JP4306054B2 - 熱可塑性エラストマー組成物およびこれを用いた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびこれを用いた熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル芳香族化合物−共役ジエン系ブロック共重合体の水素添加物を含有した、ゴム用途および樹脂の相溶化剤として好適な、熱可塑性エラストマー組成物ならびにこれを用いた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン系樹脂は、剛性が高く、成形性、リサイクル性に優れており、また、比較的低コストであるため、様々な分野で用いられているが、耐溶剤性に劣るという問題を有している。これらの問題を解決する手段として、耐油性、耐溶剤性に優れたポリオレフィン系樹脂をポリスチレン系樹脂とブレンドする方法が用いられているが、元来ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂は相溶性に乏しく、単純にブレンドしただけでは、得られた材料における耐衝撃性が低下し、層間剥離し易くなるなど物性の低下が著しい。
【0003】
そこでポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性の改良を目的として、スチレン−共役ジエン系水素添加エラストマーを相溶化剤として添加した組成物が、例えば特開昭56−38338号公報、特開平6−192501号公報等で知られている。しかしながら、従来用いられてきた相溶化剤は、樹脂成形物の耐衝撃性、耐溶剤性、剛性、耐層間剥離性等の要求特性全てについては満足できていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ビニル芳香族化合物−共役ジエン系ブロック共重合体の水素添加物を含有した、ゴム用途および樹脂の相溶化剤として好適な熱可塑性ラストマー組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記発明の熱可塑性ラストマー組成物を相溶化剤に用いた、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂からなる、剛性、引張破断伸び、耐衝撃性等の力学特性に優れ、耐溶剤性があり、層間剥離し難い優れた樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(ハ)ポリスチレン系樹脂5〜95重量%および(ニ)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%からなる樹脂混合物100重量部に対して、下記の熱可塑性エラストマー組成物1〜50重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
(イ)ビニル芳香族化合物重合体ブロック(P)および共役ジエン重合体ブロック(Q)を含有し、かつブロック構造が(P−Q) Pまたは(P−Q) (ただし、nは1以上の整数、mは1以上の整数である。)で表されるブロック共重合体、および(ロ)ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロックもしくはビニル芳香族化合物と30重量%以下の共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロック(A)、共役ジエン化合物の単独重合体ブロックもしくは共役ジエン化合物と30重量%以下のビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック(ただし、結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計の含量が30〜80%である)(B)および結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合含量が30重量%未満のポリブタジエンブロック(C)からなるブロック共重合体を水素添加し、共役ジエン部分の二重結合の80%以上が水素添加されたブロック共重合体を含有してなり、(イ)成分と(ロ)成分の重量比((イ)成分/(ロ)成分)が10/90〜90/10であり、かつ、(イ)成分と(ロ)成分中の結合ビニル芳香族化合物含量が10〜70重量%である熱可塑性エラストマー組成物
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の(イ)成分として用いられるブロック共重合体(以後、スチレン系ブロック共重合体と記載することもある。)は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(P)および共役ジエン重合体ブロック(Q)を含有し、かつブロック構造が(P−Q) Pまたは(P−Q) (ただし、nは1以上の整数、好ましくは1〜10の整数、mは1以上の整数、好ましくは2〜10の整数である。)で表されるブロック共重合体である。
【0007】
(P)成分に用いられるビニル芳香族化合物としてはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、その中でもスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0008】
(Q)成分に用いられる共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられ、その中でも1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
(Q)成分は、主として共役ジエンからなるが、前記ビニル芳香族化合物を20重量%未満でランダム共重合したものでもよい。
【0009】
(イ)ブロック共重合体中に占めるビニル芳香族化合物の含有率は5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。ビニル芳香族化合物の割合が5重量%未満では、(イ)成分と(ロ)成分とからなる熱可塑性エラストマー組成物が軟質となり、80重量%より多いとエラストマー的性質を失う。さらにこの組成物を(ハ)ポリスチレン系樹脂と(ニ)ポリオレフィン系樹脂に配合して樹脂組成物としたとき、その耐衝撃性が低下するため好ましくない。
(イ)ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000の範囲である。
【0010】
本発明の(ロ)成分として用いられる水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロックもしくはビニル芳香族化合物と30重量%以下の共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロック(A)共役ジエン化合物の単独重合体ブロックもしくは共役ジエン化合物と30重量%以下のビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック(ただし、結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計の含量が30〜80%、好ましくは35〜70%である。)(B)および結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合含量が30重量%未満、好ましくは10〜20%のポリブタジエンブロック(C)を含有するブロック共重合体を水素添加したものである。このブロック共重合体は、通常A−B−Cまたは(A−B−C) −X(nは2〜4から選ばれる整数、Xはカップリング剤残基である。)の構造を有する。
【0011】
前記のビニル芳香族化合物重合体ブロック(A)は、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、または、ビニル芳香族化合物と30重量%以下の共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロックである。
前記の重合体ブロック(B)は、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、または、共役ジエン化合物と30重量%以下のビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックである。
【0012】
また、(ロ)成分に用いられるビニル芳香族化合物は、前記(P)成分に用いられるビニル芳香族化合物と同じであって、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、その中でもスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0013】
ここで(ロ)成分に用いられる共役ジエン化合物は、前記(Q)成分に用いられる共役ジエン化合物と同じであって、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられ、その中でも1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0014】
さらに、(ロ)成分の水素添加ブロック共重合体を、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基およびエポキシ基から選ばれた、少なくとも一種の官能基を有する化合物で変性した官能基変性体として用いてもよい。また、水素添加ブロック共重合体と変性水素添加ブロック共重合体との任意の割合のブレンド物を用いることもできる。
【0015】
本発明の(ロ)水素添加ブロック共重合体において、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加率は80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。水素添加率が80%未満では、エラストマー組成物として耐候性、耐熱性の点で不充分であり、また、これを樹脂組成物としたときの剛性、耐衝撃性が低下するため好ましくない。
さらに、本発明で用いる(ロ)水素添加ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは10,000〜500,000の範囲である。
【0016】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物における(イ)ブロック共重合体と(ロ)水素添加ブロック共重合体の重量比は、(イ)/(ロ)=10/90〜90/10好ましくは20/80〜80/20さらに好ましくは30/70〜70/30である。また、前記(イ)成分と(ロ)成分中の結合ビニル芳香族化合物含量は、10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。この比率の範囲外では、樹脂成分である(ハ)成分、(ニ)成分との組成物としたとき、耐衝撃性および層間剥離が改良されないため好ましくない。
【0017】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造は、(イ)ブロック共重合体と(ロ)水素添加されたブロック共重合体とを、溶液状で混合した後、溶媒を除去する、あるいは、固形状の(イ)成分と(ロ)成分とを、押し出し機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の従来公知の混練り機を使用して均一に混合して行うことができる。
【0018】
本発明の(イ)成分と(ロ)成分とからなる熱可塑性エラストマー組成物は、加工性が優れており、電線、ルーフィング、履物工業用品などのゴム用途に単独で、またはエチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどとブレンドして用いられる。さらにまた、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、樹脂の改質剤や相溶化剤として有用である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(ハ)ポリスチレン系樹脂と(ニ)ポリオレフィン系樹脂との相溶化剤として特に有用である。
【0019】
本発明の(ハ)成分として用いられるポリスチレン系樹脂は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどを主たる単量体成分とする(共)重合体である。このポリスチレン系重合体の具体例としては、スチレン単独重合体、ジエン系ゴムエラストマーにスチレン系モノマーをグラフト重合した耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−(ポリブタジエン)−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−(エチレン−プロピレンゴム)−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体などの、一般にポリスチレン系重合体と称される重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の(共)重合体である。
【0020】
本発明で用いる(ハ)ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFR:200℃、2.16kg荷重、ASTM D1238に準拠)は、好ましくは0.01g/10分以上、さらに好ましくは0.1g/10分以上である。
【0021】
本発明の(ニ)成分として用いられるポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのオレフィンの単独重合体または、プロピレンと次に示すようなモノマーとの共重合体であってもよい。
【0022】
プロピレンとの共重合に使用される好ましいモノマーとしては、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖状α−オレフィン、2−メチルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等の分岐状α−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのジカルボン酸やそのモノエステル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル酸、またはメタクリル酸エステル、スチレン、α−スチレン、p−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸などの酸無水物、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のαβ−不飽和ニトリル、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエンモノマー、さらにアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド等使用することができる。これらの共重合可能なモノマーは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら共重合成分の量としては、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらを共重合した場合の共重合体の様式については特に制限は無く、例えばランダム型、ブロック型、グラフト型、これらの混合物などいずれであってもよい。
【0023】
(ニ)ポリオレフィン系樹脂として使用する好ましい(共)重合体としては、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が挙げられるが、特に好ましくはポリプロピレンである。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0024】
また、本発明の(ニ)ポリオレフィン系樹脂として、上記のポリオレフィン系重合体に酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基およびエポキシ基から選ばれた、少なくとも一種の官能基を結合させた、官能基変性体を用いることもできる。
【0025】
なお、本発明で用いる(ニ)ポリオレフィン系樹脂のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.01g/10分以上、さらに好ましくは0.1g/10分以上である。
【0026】
上記の組成物における(ハ)ポリスチレン系樹脂と(ニ)ポリオレフィン系樹脂との重量比は、好ましくは(ハ)/(ニ)=95/5〜5/95、特に好ましくは95/5〜20/80である。ポリスチレン系樹脂が95重量%を超えると耐溶剤性が低下し、5重量%未満では剛性が低下する。
本発明の樹脂組成物は、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の各成分を所定の割合に均一に含む組成物であればよく、その混合方法、混合の順序には特に限定はない。
【0027】
(イ)ブロック共重合体および(ロ)水素添加ブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー組成物の添加量は、(ハ)ポリスチレン系樹脂と(ニ)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して1〜50重量部である。(イ)スチレン系ブロック共重合体および(ロ)水素添加ブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー組成物の添加量が、1重量部未満では相溶化の効果が十分でなく、また50重量部を超えると剛性が低下するため好ましくない。
【0028】
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば老化防止剤、耐候剤、金属不活性剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、銅害防止剤等の安定剤、防菌・防かび剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、シリコンオイル、難燃化剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤、帯電防止剤、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズなどの充填剤またはこれらの混合物、ポリオレフィンワックス、セルロースパウダー、ゴム粉等の充填剤、低分子量ポリマー等を配合して用いることができる。また、本発明の効果を損なわない程度にゴム質重合体、熱可塑性樹脂などを適宜配合することができる。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造に際しては、押し出し機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の従来公知の混練り機、およびそれらを組み合わせた混練り機を使用することができる。混練りするにあたり、各成分を一括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りした後、残りの成分を添加し混練りする多段分割混練り法を採用することができる。また、このようにして得られた樹脂組成物は射出成形、押出成形、回転成形、プレス成形、中空成形等の公知の方法で成形することが可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の%は、特に断らない限り、重量基準である。
また、実施例中における各種化学組成および評価は、次のようにして測定した値および評価である。
【0031】
(1)結合ビニル芳香族化合物含量
679cm−1のフェニル基の吸収をもとに、赤外分析法により測定した。
(2)共役ジエンのビニル結合含量
赤外分析法を用い、モレロ法により算出した。
(3)水素添加率
四塩化炭素を溶媒に用い、90MHz、H−NMRスペクトルから算出した。(4)重量平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒に用い、38℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算で求めた。
【0032】
(5)剛性
ASTM D790に従って、三点曲げ試験法により、23℃の温度条件下で曲げ弾性率を測定し、剛性の指標とした。
(6)耐衝撃性
ASTM D256に従って、アイゾッド衝撃試験機により、23℃の温度条件下でアイゾッド衝撃強度を測定し、耐衝撃性の指標とした。
(7)引張破断伸び
ASTM D638に従って、23℃の温度条件下で試験片(Type1 )の引張試験を行い、引張破断伸びを測定した。
【0033】
(8)耐溶剤性試験
樹脂組成物を射出成形して得られた試験片を23℃のトルエンに浸せきし、試験片が溶解するか否かを、下記の基準に従って目視評価した。
○:全く変化しない。
△:溶解はしていないが、表面の光沢が無くなる。
×:完全に溶解する 。
(9)層間剥離
樹脂組成物を射出成形により平板状に成形した試験片にカッターで切れ目を入れ、その切れ目にセロテープを貼り付けてから引っ張り、表面が剥離するか否かを目視で確認し、下記の基準に従って目視評価した。
:表面が剥離しない。
×:表面が剥離する。
【0034】
実施例、比較例、および評価の配合処方に用いられた各種の成分は、以下の通りである。
(イ)成分
(イ−1):S−B−S型ブロック共重合体(S:ポリスチレンブロック、B:ポリブタジエンブロック)(TR2250:JSR(株)製、スチレン含量52%、MFR:4g/min、200℃、5kg)
(イ−2):S−B−S型ブロック共重合体(S:ポリスチレンブロック、B:ポリブタジエンブロック)(TR2827:JSR(株)製、スチレン含量24%、MFR:2.5g/min、190℃、2.16kg)
【0035】
(ロ)成分
水素添加ブロック共重合体(ロ−1)の製造
内容積5リットルのオートクレーブに、シクロヘキサン2.5kg、1,3−ブタジエン500g、n−ブチルリチウム0.4gを加えて、50℃で重合転化率が18%になったのち、テトラヒドロフラン9.8gを添加して昇温し、重合転化率100%になるまで重合を行った。次に、スチレン90gを添加し、重合を続行した。
【0036】
重合完結後、反応液を70℃にし、n−ブチルリチウム0.8g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.8gとビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド0.25gおよびジエチルアルミニウムクロライド1gを加え、水素圧力10kg/cm2で1時間反応させて水素添加した。この反応液を、大量のメチルアルコールの中に混合して析出する固形物を回収、乾燥して水添ブロック共重合体(ロ−1)を得た。得られた水素添加ブロック共重合体(ロ−1)の水素添加率は99%、第1段目の1,2−ビニル結合含有量は12%、2段目の1,2−ビニル結合含有量は40%であった。また、表1に示すような水素添加ブロック共重合体になるように、単量体種類、単量体量、触媒量、重合温度、重合時間などを変化させて、水素添加ブロック共重合体(ロ−1)に準じて、水素添加ブロック共重合体(ロ−2、3、4)を得た。
(ロ−1〜4)の水素添加ブロック共重合体のミクロ構造、重量平均分子量、水素添加率は表1に示すとおりである。
【0037】
【表1】
Figure 0004306054
【0038】
(ハ)成分
ポリスチレン:(H554:日本ポリスチレン(株)製、MFR:3g/10min、200℃、5kg)
(ニ)成分
ポリプロピレン:(J705:(株)グランドポリマー製、MFR:10g/10min、230℃、2.16kg)
【0039】
実施例1〜5、比較例1〜5
上記各(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)成分を表2および表3に示す配合処方で混合し、二軸押出機を用いて溶融混練りし、ペレット化した。次に射出成形により物性評価用の試験片を作製した。物性評価の結果も同じく表2および表3に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0004306054
【0041】
【表3】
Figure 0004306054
【0042】
表2に示した実施例1〜6の結果から、本発明の樹脂組成物は剛性、耐衝撃性、引張破断伸び、耐溶剤性および層間剥離のバランスに優れることがわかる。また、表3に示した比較例1〜5の結果から本発明の範囲をはずれた樹脂組成物は、評価した物性の1つまたは2つ以上で劣るものであった。
比較例1は、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との重量比が本発明の範囲外であるため、耐溶剤性に劣る。比較例2および3は(イ)スチレン系ブロック共重合体および(ロ)水素添加ブロック共重合体の含有量が本発明の範囲外であるものである。比較例2は耐衝撃性、引張破断伸び、耐溶剤性、層間剥離に劣り、比較例3は剛性に劣る。比較例4および5は、(イ)スチレン系ブロック共重合体と(ロ)水素添加ブロック共重合体との比率が本発明の範囲外であるため、耐衝撃性、層間剥離に劣る。
【0043】
【発明の効果】
本発明によって得られる熱可塑性エラストマー組成物は、加工性に優れる。また、この熱可塑性エラストマー組成物は樹脂の相溶化剤として有用である。これをポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との混合物に配合した樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の双方の特徴を有しており、耐衝撃性、剛性、耐溶剤性、引張破断伸びに優れ、層間剥離し難い材料である。その利用分野としては食品包装容器、各種トレー、シート、チューブ、フィルム、繊維、積層物、コーティング材、コネクタやプリント基板等の電気・電子部品、コンピュータ等のOA機器や家電の筐体、自動車部品、精密部品、建材等の各種工業部品が挙げられる。

Claims (3)

  1. (ハ)ポリスチレン系樹脂5〜95重量%および(ニ)ポリオレフィン系樹脂95〜5重量%からなる樹脂混合物100重量部に対して、下記の熱可塑性エラストマー組成物1〜50重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
    (イ)ビニル芳香族化合物重合体ブロック(P)および共役ジエン重合体ブロック(Q)を含有し、かつブロック構造が(P−Q) Pまたは(P−Q) (ただし、nは1以上の整数、mは1以上の整数である。)で表されるブロック共重合体、および(ロ)ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロックもしくはビニル芳香族化合物と30重量%以下の共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロック(A)、共役ジエン化合物の単独重合体ブロックもしくは共役ジエン化合物と30重量%以下のビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック(ただし、結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計の含量が30〜80%である)(B)および結合共役ジエン単位の1,2−ビニル結合含量が30重量%未満のポリブタジエンブロック(C)からなるブロック共重合体を水素添加し、共役ジエン部分の二重結合の80%以上が水素添加されたブロック共重合体を含有してなり、(イ)成分と(ロ)成分の重量比((イ)成分/(ロ)成分)が10/90〜90/10であり、かつ、(イ)成分と(ロ)成分中の結合ビニル芳香族化合物含量が10〜70重量%である熱可塑性エラストマー組成物
  2. (ロ)成分が、上記重合体ブロック(A)、上記重合体ブロック(B)、および上記ポリブタジエンブロック(C)を、(A)成分/(B)成分/(C)成分=5〜75/10〜70/10〜40(重量%)(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%)の割合で含有するものであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物
  3. (ハ)成分20〜95重量%および(ニ)成分80〜5重量%からなる樹脂混合物100重量部に対して、(イ)成分と(ロ)成分の重量比((イ)成分/(ロ)成分)が20/80〜80/20であり、かつ(イ)成分と(ロ)成分中の結合ビニル芳香族化合物含量が15〜65重量%である上記熱可塑性エラストマー組成物1〜40重量部を含有する請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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