JPH06207079A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH06207079A
JPH06207079A JP1783393A JP1783393A JPH06207079A JP H06207079 A JPH06207079 A JP H06207079A JP 1783393 A JP1783393 A JP 1783393A JP 1783393 A JP1783393 A JP 1783393A JP H06207079 A JPH06207079 A JP H06207079A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
weight
component
parts
styrene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1783393A
Other languages
English (en)
Inventor
Takateru Imai
高照 今井
Tatsunori Hashiya
龍紀 橋谷
Naoji Nagahara
直司 長原
Kenju Furuyama
建樹 古山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP1783393A priority Critical patent/JPH06207079A/ja
Publication of JPH06207079A publication Critical patent/JPH06207079A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 力学的性質、剛性、制振性のバランスに優れ
た、制振材に有用な熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 (イ)メタクリル酸エステル類を主たる成分
とするゴム変性樹脂10〜100重量%、(ロ)示差熱
量計(DSC)により測定したガラス転移温度が80℃
以上であるメタクリル酸エステル類を主たる成分とする
樹脂90〜0重量%、および(ハ)ガラス転移温度が−
10〜+70℃の樹脂0〜40重量%からなる重合体混
合物100重量部に対して、(ニ)無機充填材0〜15
0重量部を配合してなり、25℃における損失正接(t
anδ)が0.035以上である制振材に有用な熱可塑
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム強化メタクリル酸
エステル系熱可塑性樹脂を必須成分とし、制振材用に有
用な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境の快適化を求める動きが
盛んとなり、生活環境にある機器からの振動抑制、騒音
の低減が求められている。具体的には、鋼板に柔軟なゴ
ム状組成物を塗布・硬化させた制振鋼板や、室温付近で
の制振特性が優れるポリプロピレンを用いるなどの例が
見受けられる。しかしながら、制振鋼板は、加工工程が
複雑なため高価であり、また重量物であるため限られた
用途にしか使用できない。また、ポリプロピレンは、曲
げ弾性率が低く、構造体としてはやはり限られた用途し
か使用できないなどの問題点がある。
【0003】ところで、ポリメタクリル酸エステル類
は、特定の側鎖構造を有することで、室温付近で大きな
tanδ値を示す材料であり、かつ剛性に優れるため、
ポリプロピレンの欠点を補うものとして期待されるが、
耐衝撃性に劣るため構造用材料としての使用は困難であ
る。また、適度な制振特性を有する重合体は、音響機
器、特にスピーカーの制振板、箱体として必要なもので
あり、従来は、ポリプロピレンを無機充填材で強化し、
弾性率を向上させた材料が広く用いられている。しかし
ながら、さらに音質を高めるためには、非強化あるいは
低含有量で同等の性能を有する新材料の出現が強く望ま
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、ポリメタクリル酸メ
チル類の耐衝撃性を改良し、剛性に優れ、構造用材料、
音響部品として適した性能を有する制振性に優れた熱可
塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(イ)ゴム状
重合体の存在下にメタクリル酸エステル類を主成分とす
る単量体を重合して得られるグラフト重合体10〜10
0重量%、(ロ)示差熱量計(DSC)により測定した
ガラス転移温度が80℃以上であるメタクリル酸エステ
ル類を主成分とする単量体を重合して得られる重合体9
0〜0重量%、(ハ)示差熱量計(DSC)により測定
したガラス転移温度が−10℃〜+70℃の範囲にある
重合体0〜40重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+
(ハ)=100重量%〕を主成分とする重合体混合物1
00重量部に対し、(ニ)無機充填材0〜150重量部
を配合してなり、25℃における損失正接(tanδ)
が0.035以上である熱可塑性樹脂組成物を提供する
ものである。
【0006】本発明の(イ)成分に使用されるゴム状重
合体は、室温でゴム状の性状を示す重合体を総称する
が、示差熱量計(DSC)測定によるガラス転移温度
(Tg)が−20℃以下であるものが好ましい。このゴ
ム状重合体の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、ア
クリロニトリル−ブタジエンランダム共重合体、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体などのジエン系重合体、およびこれ
らの水素添加物、エチレン−プロピレン−(ジエン)ゴ
ム、エチレン−ブテン−(ジエン)ゴム、アクリルゴ
ム、ブチルゴム、シリコンゴムなどが挙げられ、これら
は単独であるいは混合して用いられる。
【0007】なお、(イ)成分に使用されるゴム状重合
体の分子量は、耐衝撃性および加工性の点から数平均分
子量で5万〜100万が好ましく、さらに好ましくは7
万〜80万である。また、(イ)成分中のゴム状重合体
の含有量は、目的に応じて任意に選ぶことができるが、
高生産性を達成するためには、通常、10〜70重量
%、好ましくは15〜60重量%である。
【0008】(イ)成分で用いられるメタクリル酸エス
テル類は、単独で重合体となった場合のDSC測定によ
るガラス転移温度が+65℃以上であることが好まし
い。このメタクリル酸エステル類の具体例としては、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリ
ル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸N−フェニルアミド、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2−
ナフチルなどが挙げられ、これらは単独であるいは混合
して用いられる。このメタクリル酸エステル類のなかで
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチルシク
ロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸−2
−ナフチル、メタクリル酸N−フェニルアミドが好まし
く、特にメタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル
シクロヘキシルが特に好ましい。
【0009】(イ)成分では、単量体として、メタクリ
ル酸エステル類とともに、重合可能な他の単量体を併用
してもよい。この他の単量体の具体例としては、芳香族
ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、N−置換マレイ
ミド化合物、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン
酸などが好ましく用いられる。このうち、芳香族ビニル
化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニル
キシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モ
ノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレ
ン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニル
ナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルス
チレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレ
ン、ビニルピリジンなどが挙げられ、特にスチレン、α
−メチルスチレンが好ましい。
【0010】また、シアン化ビニル化合物の具体例とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙
げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。さらに、N
−置換マレイミド化合物としては、N−メチルマレイミ
ド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレ
イミドなどが挙げられ、特にN−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイ
ミドが好ましい。
【0011】(イ)成分に使用される単量体の割合は、
メタクリル酸エステル類/他の単量体(重量比)=10
0〜50/0〜50、好ましくは100〜55/0〜4
5、さらに好ましくは100〜60/0〜40である。
メタクリル酸エステル類が50重量%未満では、得られ
る組成物の制振性能が劣り好ましくない。
【0012】本発明の(イ)グラフト重合体は、ゴム状
重合体の存在下に、メタクリル酸エステル類を主成分と
する単量体をラジカル重合する種々の方法、例えば乳化
重合法、塊状重合法、懸濁重合法などによって製造する
ことができる。なお、(イ)グラフト重合体は、メチル
エチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃で測定)
が0.3dl/g以上、好ましくは0.35〜1dl/
g、さらに好ましくは0.4〜0.8dl/gである。
また、(イ)グラフト重合体のグラフト率は、5重量%
以上が好ましく、さらに好ましくは10〜100重量%
である。
【0013】次に、本発明で用いられる(ロ)成分は、
メタクリル酸エステル類を主成分とする単量体を重合し
て得られる重合体であり、好ましい単量体およびその成
分比は、前記(イ)成分を構成する単量体と同様であ
る。(ロ)成分の重合体のDSC測定によるTgは、組
成物の耐熱性の点から、通常、80℃以上、好ましくは
90℃以上である。特に好ましい(ロ)成分は、ポリメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重
合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体、
メタクリル酸メチル−スチレン−N−シクロヘキシルマ
レイミド共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−ア
クリロニトリル共重合体などが挙げられる。なお、
(ロ)成分の重量平均分子量は、通常、8万〜40万、
好ましくは10〜30万、特に好ましくは12〜25万
である。
【0014】次に、(ハ)成分は、DSC測定によるガ
ラス転移温度が−10℃〜+70℃、好ましくは0〜6
0℃、特に好ましくは10〜50℃の範囲内にある重合
体である。(ハ)成分は、ある特定の温度領域のtan
δ値を向上させたいときに使用される。例えば、ある温
度(例;40℃)でのtanδ値を向上させたい場合に
は、ガラス転移温度が40℃付近にある重合体を適当量
配合することにより、その温度におけるtanδ値を効
果的に向上させることができる。従って、(ハ)成分の
重合体を構成する単量体としては特に限定されないが、
(イ)成分および/または(ロ)成分とある程度混合す
る方が好ましい。
【0015】(ハ)成分の具体例としては、(メタ)ア
クリル酸エステル類を主たる成分とする重合体であり、
例えば芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリルエステル
類との共重合体で、かつ前記ガラス転移温度範囲にある
ものが好ましい。この芳香族ビニル化合物および(メ
タ)アクリル酸エステルの具体例としては、(イ)〜
(ロ)成分に使用される単量体に加えて、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸2−
エチルヘキシルなどが挙げられ、これらは単独であるい
は組み合わせて使用することができる。
【0016】(ハ)成分としては、前記に限定されるわ
けではなく、例えば高スチレン含有のスチレン−ブタジ
エンの、ランダムもしくはブロック共重合体、およびこ
れらの水素添加物、スチレン−イソプレンの、ランダム
もしくはブロック共重合体、およびこれらの水素添加物
なども使用することができる。(ハ)成分の重量平均分
子量は、通常、5万〜40万、好ましくは8万〜30万
程度である。
【0017】なお、(イ)〜(ハ)成分は、乳化重合、
溶液重合、懸濁重合などによって製造される。また、こ
の際、重合に用いられる重合開始剤、分子量調節剤、乳
化剤、分散剤、溶媒などは、通常、これらの重合法で用
いられるものをそのまま使用することが可能である。
【0018】(ニ)無機充填材は、得られる組成物の剛
性を調整するために配合されるものである。この(ニ)
無機充填材の具体例は、ガラス繊維、ガラスミルドファ
イバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイ
カ、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ワラスト
ナイト、カオリン、シリカなどのゴム、プラスチックに
使用される通常の無機充填材である。これらのなかで
は、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレ
ーク、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラスト
ナイトなどが特に好ましい。
【0019】本発明における(イ)〜(ニ)成分の使用
量は、(イ)成分10〜100重量%、(ロ)成分90
〜0重量%、(ハ)成分0〜40重量%〔ただし、
(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕を主成分とす
る重合体混合物100重量部に対し、(ニ)成分0〜1
50重量部、好ましくは0〜100重量部である。この
組成比は、目的とする組成物に要求される物性により異
なるため一概に論ずることは困難であり、目的に応じて
上記範囲内で適宜決定される。
【0020】(イ)/(ロ)/(ハ)成分の好ましい範
囲は、次のとおりである。 (イ)/(ロ)/(ハ)=20〜80/80〜20/
0〜30重量%であると、剛性に優れ、かつ広い温度
(−50℃〜+70℃)において、制振性能(tanδ
値)が高く一定であり、周波数特性の優れた組成物とな
る。 (イ)/(ロ)/(ハ)=70〜98/0〜70/2
〜30重量%であると、剛性に優れ、(ロ)成分のガラ
ス転移温度近辺で特異的の制振性能が優れた、すなわち
ある特定の温度あるいは周波数における制振性能に優れ
た組成物となる。 (イ)/(ロ)/(ハ)=20〜65/78〜5/2
〜30重量%であると、上記〜の特徴を有し、広い
温度範囲あるいは広い周波数範囲で良好な制振性能を有
し、かつ特定の温度あるいは周波数における性能が増強
された組成物となる。
【0021】(イ)成分が10重量%未満、あるいは
(ロ)成分が90重量%を超える場合には、耐衝撃性が
劣り実用に適さない。一方、(ハ)成分が40重量%を
超える場合には、耐衝撃性の低下、剛性の低下を生じ、
やはり実用に適さない組成物となる。また、(ニ)無機
充填材を150重量部を超えて使用すると、組成物の流
動性が極端に悪化し、成形加工性が劣るため好ましくな
い。
【0022】本発明の組成物の組成を決定する際に考慮
すべき点は、(ハ)、(ニ)成分は、部分的なtanδ
の増加、剛性の向上が必要である場合、必要とされる最
小限を使用する。また、(イ)成分は、組成物の耐衝撃
性を向上させる成分であり、上記範囲内で好ましく使用
されるが、(イ)成分に含有されるゴム状重合体の種類
および量が個々のケースで異なるため、より正確には組
成物中の(イ)成分に起因するゴム状重合体量を考慮す
る。すなわち、本発明の組成物中のゴム状重合体の含有
量は、組成物中の樹脂成分に対して、通常、3〜35重
量%、好ましくは4〜30重量%、さらに好ましくは5
〜25重量%である。3重量%未満では耐衝撃性が劣
り、一方35重量%を超えると成形加工性、剛性が劣
る。
【0023】本発明の組成物の25℃における損失正接
(tanδ)の値は、通常、0.035以上、好ましく
は0.04以上、さらに好ましくは0.05以上、特に
好ましくは0.06以上である。0.035未満では、
制振性能に劣る。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応
じて帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、
光酸化防止剤、着色剤、滑剤などの樹脂組成物において
一般的に用いられる添加剤を用いることができる。
【0025】本発明の組成物を製造するには、バンバリ
ーミキサー、ブラベンダー、プラストミル、ニーダー、
ベント付き押し出し機などの一般に熱可塑性樹脂の混練
りに用いられる各種の装置、方法を用いて混合すること
ができるが、特にベント付き押し出し機を用いる方法が
好ましい。特に、無機充填材を配合する場合には、二軸
押し出し機、あるいは連続ニーダーを用いて製造する方
法が好ましい。混練り温度は、組成にもよるが、180
〜300℃の範囲内で行うことが望ましい。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中、部および%は特に断らな
い限り、重量基準である。また、実施例の各種の評価
は、下記の評価方法に拠った。耐衝撃性(アイゾットインパクト) ASTM D256に準じてアイゾットインパクトを測
定した。単位は、kgfcm/cmである。メルトフローレート ASTM D1238に準じて測定した(220℃、1
0kg荷重)。単位は、g/10minである。
【0027】熱変形温度 ASTM D648に準じて測定した(1/4インチ、
18.6kg/cm2荷重)。曲げ試験 JIS 1号ダンベルを用いて、JIS K7203に
準じ、曲げ弾性率を測定した。単位は、kg/cm2
ある。引張強度、破断伸び JIS 1号ダンベルを用いて、JIS K7113に
準じ、引張試験を行った。単位は、引張強度がkg/c
2 、破断伸びが%である。tanδ 東洋ボールドウイン社製、粘弾性測定装置DDV−III
EPを用い、周波数11Hz、測定温度−100℃〜+
100℃、昇温速度2℃/分で測定した。
【0028】参考例ゴム状重合体の製造例 内容積5リットルのオートクレーブに、脱気・脱水した
シクロヘキサン2,500g、スチレン175gおよび
1,3−ブタジエン32.5gを仕込んだのち、テトラ
ヒドロフラン2.5gおよびn−ブチルリチウム0.3
4gを加えて重合温度が30℃から80℃になるように
昇温重合を行った。重合転化率がほぼ100%になった
のち、SiCl4 を0.14g加えた。その後、2,6
−ジ−t−ブチルカテコールを加え、重合液をサンプリ
ングし分析用とした。分析により、重合したスチレン−
ブタジエン共重合体は、ビニル結合含量30%、スチレ
ン含有量35%、Mw/Mn=1.5であった。
【0029】その後、系内をチッ素ガスで置換し、あら
かじめ別容器で調製したナフテン酸ニッケル:n−ブチ
ルリチウム:テトラヒドロフラン=1:8:20(モル
比)の触媒液を、オレフィンとなる部分2,000モル
に対してニッケル原子として1モルになるように仕込ん
だ。その後、反応系内に水素ガスを導入し、70℃で水
素添加反応を行った。水素ガスの吸収消費量より、水添
率をコントロールしたのち、チッ素ガスで系内の水素ガ
スを置換し、老化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル
−p−クレゾールを1phr添加した。脱触・凝固を繰
り返したのち、常法によりロール乾燥を行い。水添率9
0%の水添ジエン系共重合体を得た。
【0030】グラフト重合体(イ−1)の製造例 ゴム状重合体であるポリブタジエンラテックス40部
(固形分換算)の存在下にメタクリル酸メチル45部、
スチレン10部、アクリロニトリル5部を乳化重合し、
グラフト重合体イ−1を得た。
【0031】グラフト重合体(イ−2)の製造例 前記ゴム状重合体の製造例に記載した水添ジエン系共重
合体25部、トルエン100部、メタクリル酸メチル6
0部、スチレン15部を、攪拌機を備えたオートクレー
ブに仕込み、系内をチッ素ガスで置換したのち、攪拌し
た。内容物が均一になったことを確認してから、80℃
で昇温、ベンゾイルパーオキサイド0.3部をメチルエ
チルケトン5部に溶解した溶液を注入した。100℃で
4時間重合を行い、収率がほぼ100%に達したことを
確認したのち、反応液を室温まで冷却し、メタノール中
で凝固、ろ別し、グラフト重合体イ−2を得た。
【0032】グラフト重合体(イ−3)の製造例 単量体として、スチレン45部、アクリロニトリル15
部を用いた以外は、グラフト重合体イ−1の製造例に準
じて、グラフト重合体イ−3を得た。グラフト重合体(イ−4)の製造例 単量体として、スチレン55部、アクリロニトリル20
部を用いた以外は、グラフト重合体イ−2の製造例に準
じて、グラフト重合体イ−4を得た。
【0033】重合体(ロ−1)の製造例 単量体として、メタクリル酸メチル80部、スチレン2
0部を用い、ゴム状重合体の非存在下で、グラフト重合
体イ−2の製造例に準じて溶液重合を行い、重合体ロ−
1を得た。重合体(ロ−2)の製造例 単量体として、メタクリル酸メチル65部、スチレン1
0部、N−シクロヘキシルマレイミド25部を用いた以
外は、重合体ロ−1の製造例に準じて溶液重合を行い、
重合体ロ−2を得た。
【0034】重合体(ハ−1)の製造例 単量体として、スチレン54部、エチルアクリレート4
6部を用いた以外は、重合体ロ−1の製造例に準じて溶
液重合を行い、重合体ハ−1を得た。DSC測定による
重合体ハ−1のガラス転移温度は46℃であった。重合体(ハ−2)の製造例 単量体として、スチレン66部、2−エチルヘキシルア
クリレート34部を用いた以外は、重合体ロ−1の製造
例に準じて溶液重合を行い、重合体ハ−2を得た。DS
C測定による重合体ハ−2のガラス転移温度は33℃で
あった。
【0035】実施例1〜10、比較例1〜6 表1〜3に示す配合処方で、混練り機〔Buss社製、
Ko−KneaderMDK46〕を用いて造粒し、9
0℃で乾燥したのち、射出成形機〔東芝機(株)製、I
S80A〕を用いてテストピースを作製し、物性を評価
した。ただし、動的粘弾性測定用のテストピースは、厚
み1〜1.2mmの成形板より、縦50mm、横7mm
の短冊状サンプルを切り出した。
【0036】表1〜2から明らかなように、実施例1〜
10の本発明の組成物は、制振性、剛性のバランスに優
れた組成物であることが分かる。これに対し、表3から
明らかなように、比較例1〜2は、(イ)、(ロ)成分
ともにメタクリル酸エステル類を共重合しない例であ
り、25℃のtanδが低く、制振性に劣ることが分か
る。比較例3は、メタクリル酸エステル類を共重合して
いない(ロ)成分を用いた例であり、25℃のtanδ
は低く、制振性が劣り、かつ(イ)成分と馴染まないた
め力学的強度も低い。
【0037】比較例4は、(ハ)成分を本発明の範囲外
で用いた例である。tanδ値は向上するが、剛性、力
学的性質が劣り、実用に適さない。比較例5は、(ニ)
成分を本発明の範囲外で用いた例である。成形加工性が
極端に劣り射出成形不能であった。比較例6は、
(イ)、(ロ)成分を本発明の範囲外で用いた例であ
り、アイゾットインパクトが低く実用に適さない。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】*1)tanδ(25℃);25℃以上に
出現するピークがある場合のみ記した。 *2)PMMA;ポリメタクリル酸メチル〔クラレ
(株)製、パラペットG〕 *3)マイカ;巴工業(株)製、ミカレット21PU *4)GF;繊維径13μm、カット長3mmのガラス
ファイバー *5)PMS;メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共
重合体〔クラレ(株)製、パラペットSH〕 *6)AS;アクリロニトリル−スチレン共重合体(ア
クリロニトリル結合含量=27%)
【0042】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、力学的
強度、剛性、制振性のバランスに優れたものであり、例
えばモーターなどの回転あるいは振動する装置を組み入
れるハウジング材料、あるいは適度なダンピング特性と
剛性を要求されるスピーカー振動板、あるいはスピーカ
ー本体のハウジングに適した材料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/04 LKY 7308−4J 101/00 LSZ 7242−4J (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)ゴム状重合体の存在下にメタクリ
    ル酸エステル類を主成分とする単量体を重合して得られ
    るグラフト重合体10〜100重量%、(ロ)示差熱量
    計(DSC)により測定したガラス転移温度が80℃以
    上であるメタクリル酸エステル類を主成分とする単量体
    を重合して得られる重合体90〜0重量%、(ハ)示差
    熱量計(DSC)により測定したガラス転移温度が−1
    0℃〜+70℃の範囲にある重合体0〜40重量%〔た
    だし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕を主成
    分とする重合体混合物100重量部に対し、(ニ)無機
    充填材0〜150重量部を配合してなり、25℃におけ
    る損失正接(tanδ)が0.035以上である熱可塑
    性樹脂組成物。
JP1783393A 1993-01-11 1993-01-11 熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH06207079A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1783393A JPH06207079A (ja) 1993-01-11 1993-01-11 熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1783393A JPH06207079A (ja) 1993-01-11 1993-01-11 熱可塑性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06207079A true JPH06207079A (ja) 1994-07-26

Family

ID=11954704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1783393A Pending JPH06207079A (ja) 1993-01-11 1993-01-11 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06207079A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002284821A (ja) * 2001-03-22 2002-10-03 Kuraray Co Ltd 制振材用材料及び合成樹脂用制振性改良剤
JP2003277567A (ja) * 2002-03-20 2003-10-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2003292715A (ja) * 2002-04-03 2003-10-15 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
WO2007069600A1 (ja) 2005-12-13 2007-06-21 Kaneka Corporation 制振材用硬化性組成物および制振材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002284821A (ja) * 2001-03-22 2002-10-03 Kuraray Co Ltd 制振材用材料及び合成樹脂用制振性改良剤
JP2003277567A (ja) * 2002-03-20 2003-10-02 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2003292715A (ja) * 2002-04-03 2003-10-15 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
WO2007069600A1 (ja) 2005-12-13 2007-06-21 Kaneka Corporation 制振材用硬化性組成物および制振材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4017053B2 (ja) 長期熱老化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JPS6126936B2 (ja)
JPH068374B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
EP0739942A1 (en) Resin composition excellent in impact resistance
JPWO2019044709A1 (ja) 打音の低減された熱可塑性樹脂組成物及び成形品
EP4174098A1 (en) Resin composition and molded resin articles
JP3630182B2 (ja) 耐衝撃性に優れた樹脂組成物
JPH06207079A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS5911322A (ja) ゴム変性マレイミド系共重合体の製造方法
JPS6313453B2 (ja)
JPH0530861B2 (ja)
RU2232778C2 (ru) Ударопрочные моновинилиденароматические полимеры, модифицированные линейным и разветвленным диеновым каучуком
JPH05331246A (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂およびその組成物
JP3626288B2 (ja) 顔料分散性に優れる低剛性のスチレン系樹脂組成物
JPH0790126A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS6046122B2 (ja) 熱可塑性重合体の製造方法
JPH1025371A (ja) ゴム含有樹脂組成物およびそれを用いてなるスチレン系樹脂組成物
JP2949699B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3252981B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0931296A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0125337B2 (ja)
JPH08120153A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3432906B2 (ja) 帯電防止性に優れたabs樹脂組成物
JP3342076B2 (ja) スチレン系樹脂
JPH09124864A (ja) 芳香族ビニル系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20011016