JP4269305B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高流動性、耐衝撃性、耐薬品、耐熱性、光沢、成形性、摺動性、外観及び成形収縮率に優れ、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に溶着可能な熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ゴム質重合体に芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル、これらと共重合可能な他の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体を含むゴム強化樹脂とポリオレフィン系樹脂に対して、ポリオレフィン系樹脂を含有したエチレン−プロピレン系ゴム質重合体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体を配合することによる、硬質から軟質までにわたる、高流動性、耐衝撃性、耐薬品、耐熱性、光沢、成形性、摺動性、外観及び成形収縮率に優れ、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に充分な溶着性のある熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジエン系ゴムに芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル、共重合可能な他の単量体をグラフト重合してなるABS樹脂は、成形性、耐衝撃性、剛性、塗装性に優れているため、電気製品、自動車部品、建材、雑貨等の用途に用いられてきている。しかし、有機溶剤に対しては脆弱で成形品の表面に塗布すると表面が侵食される等の現象が発生し、用途が制約されているという問題がある。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂は、例えばポリプロピレンは、透明性、延展伸性、剛性に優れ、また耐水性、耐薬品性、耐加水分解性、ヒンジ特性、表面硬度や光沢、耐熱性、絶縁性及び流動性が良好な樹脂である。これらの特性からフィルム、電気部品、家庭日用品、雑貨、自動車部品等の用途に幅広く使用されている汎用樹脂である。しかし、耐衝撃性、低温特性に問題を持っている。
【0004】
また、ポリエチレンは、低温特性、摺動性、耐薬品性等に優れるが、剛性と耐熱性に問題がある。
【0005】
ポリマーアロイ化することにより、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂のそれぞれの持っている欠点を補い、それぞれの特性を生かしたポリマーアロイの開発が過去に検討されている。しかし、スチレン系樹脂樹脂とポリオレフィン系樹脂は、非相溶性であるので混合により層状剥離が発生して物性を向上させることはおろか、界面の強度も乏しいので溶着させることすらできない。このため、これまでスチレン系樹脂樹脂とポリオレフィン系樹脂をポリマーアロイ化するには種々の化学反応性変性技術、相溶化剤が試みられている。ところが、現在のところ実用上充分な技術は確立されていない。化学反応性変性技術には、無水カルボン酸変性やエポキシ変性があるが、各相の界面の強度を高めることはできるが、根本的なスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂が固化する際の収縮率の差についての問題を解決していない。加えて、化学反応による悪臭が製品に残存する。一方、相溶化剤では、例えば、ABSとポリプロピレンを相溶化するには、エチレン−酢酸ビニル共重合体を添加することにより耐薬品性を改良したポリマーアロイ(特許文献1)や芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体による耐薬品性の改良(特許文献2)が開示されているが、耐熱性が不足や層状剥離が起こる等の問題が存在する。また、本発明に一番近い、AESグラフトを混合する方法(特許文献3)、これはエチレン−プロピレン系ゴム質重合体を用いることにより、同じオレフィン系樹脂であるプロピレン系樹脂との相溶性を高め、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂が固化する際の収縮率の差もエチレン−プロピレン系ゴム質重合体により緩和させる技術である。しかし、検討の結果、単純にAESを混合するだけでは不十分で、これでは面衝撃性や光沢が実用上不足することが判明した。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−53549号公報
【特許文献2】
特開昭57−53550号公報
【特許文献3】
特開昭57−76047号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の上記課題を解決し、耐衝撃性、光沢、耐薬品性、流動性、成形収縮率、外観、摺動性が優れている上に、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に充分な溶着性がある、硬質から軟質までにわたる、熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、(A)芳香族ビニル系単量体の単独、又は、芳香族ビニル系単量体とこれと共重合可能な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体、α−又はβ−不飽和ジカルボンのイミド化合物からなる群から選択された1種以上の単量体との混合物を重合した共重合体からなるスチレン系樹脂と、
(B)ポリオレフィン系樹脂と、
(C)ポリオレフィン系樹脂を含有するエチレン−プロピレン系ゴム質共重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル単量体からなる群から選択された1種以上の単量体を重合してなるグラフト共重合体、
とを配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明では、エチレン−プロピレン系ゴム質共重合体にポリオレフィン系樹脂を含有させることにより、(B)成分のポリオレフィン系樹脂との相溶性を飛躍的に向上させ、更にエチレン−プロピレン系ゴム質共重合体に流動性や摺動性等の機能を付加させる。
【0011】
熱可塑性樹脂組成物の混合形態の制御については、(A)成分と(B)成分と(C)成分の全重量を100重量部としたときに、(B)成分を1〜30重量部又は(C)成分を20重量部以上混合することにより、単にポリオレフィン系樹脂が分散相やマトリクス相を形成するのではなく、高度に面衝撃性を発現することができるIPN的な層状構造や、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の両相に溶着させるために最も適した樹脂表面特性をもつ共相連続構造(ポリマーABCハンドブック:(社)高分子学会編)をとることができる。これは、電子顕微鏡による観察で確認できる。
【0012】
前述したように、(C)成分のグラフト共重合体については、エチレン−プロピレン系ゴム質共重合体にポリオレフィン系樹脂を含有させることにより、(B)成分のポリオレフィン系樹脂との相溶性を飛躍的に向上させ、更にエチレン−プロピレン系ゴム質共重合体に流動性や摺動性等の機能を付加させることを目的とするが1〜70重量%が最適である。
【0013】
エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体は、最適架橋していること、又は、全く架橋していないことが好ましい。最適架橋していることにより、共相連続構造や硬質材を形成しても耐衝撃性を発現することができる。一方、未架橋であることによりIPN的な層状構造を形成することができ、(A)成分と(B)成分の相溶化を容易に行うことができる。
【0014】
エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体のグラフト共重合体に対する割合は、(B)成分との相溶化に用いるエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体をスチレン系のグラフト成分で覆ってしまわないように高ゴム分率であることを必要とし、60〜90重量部であることが好ましい。
【0015】
スチレン系のグラフト成分は、(B)成分のポリオレフィン系樹脂との相溶性を考慮するとシアン化ビニル単量体は、層状剥離や光沢の低下を起こすため用いない方が好ましいが、(A)成分のスチレン系樹脂の組成によっては芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対してシアン化ビニル単量体0〜60重量%を含む単量体混合物を用いることにより、更に耐衝撃性や外観を向上させることができる。
【0016】
(C)成分のグラフト率は、(B)成分との相溶化に用いるエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体をスチレン系のグラフト成分で覆ってしまわないように10〜60%とかなり低いことが好ましい。
【0017】
グラフト共重合に使用するポリオレフィン系樹脂を含有するエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体ラテックスの平均粒子径は、0.3〜1.2μmであることが好ましく、これにより(B)成分との相溶性、耐衝撃性を発現する。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂を除いたエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に含まれるエチレン成分は50〜90重量%であることが好ましく、これより低い場合は、IPN的な層状構造を保つことができずに、また、共相連続構造をとっても耐衝撃性は発現せず、加えて、摺動性が劣る。
【0019】
ポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体のアセトン可溶重合体の重量平均分子量は10000〜80000であることが好ましく、この平均分子量が10000未満の場合、最終の熱可塑樹脂組成物の耐衝撃性が著しく損なわれることがあり、80000を超える場合、最終の熱可塑樹脂組成物の流動性が低下することがある。
【0020】
本発明におけるスチレン系樹脂としては、芳香族ビニル系単量体単独又は、芳香族ビニル系単量体とこれと共重合可能(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体、α−又はβ−不飽和ジカルボンのイミド化合物からなる群から選択された1種以上の単量体との混合物を重合した共重合体である。
【0021】
本発明におけるスチレン系樹脂を製造する際には、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可能なその他の単量体からなる群から選ばれた1種以上の単量体を用い、グラフト共重合体との相溶性を考慮して一般的には、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対して、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%と共重合可能なその他の単量体0〜70重量%とを用い、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とを用いる場合には芳香族ビニル系単量体65〜80重量%とシアン化ビニル系単量体35〜20重量%とを用いる。
【0022】
本発明におけるスチレン系樹脂を製造するのに用いることのできる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン及びo−,p−ジクロロスチレン等が挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0023】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート及びベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート及びベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0024】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0025】
本発明におけるスチレン系樹脂を製造するのに用いることのできるα−又はβ−不飽和ジカルボンのイミド化合物と不飽和カルボン酸アミドとしては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等;アクリルアミドやメタクリルアミド等が挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0027】
本発明におけるスチレン系樹脂に混合可能であるグラフト共重合体を製造するのに用いることのできる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン及びo−,p−ジクロロスチレン等が挙げられ、剛性や耐衝撃性等の物性の面からスチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。またこれらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0028】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート及びベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート及びベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステルが挙げられ、耐衝撃性、耐熱性等の物性の面からメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート及びエチルアクリレートが好ましい。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0029】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0030】
本発明におけるスチレン系樹脂に混合可能であるグラフト共重合体を製造するのに用いることのできる共重合可能なその他の単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド及びN−シクロヘキシルマレイミド等のα−又はβ−不飽和ジカルボンのイミド化合物;アクリルアミドやメタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド化合物が挙げられる。また、これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用しても構わない。
【0031】
本発明におけるスチレン系樹脂に混合可能であるグラフト共重合体を製造する際には、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可能なその他の単量体からなる群から選ばれた1種以上の単量体を用い、一般的には芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対して、シアン化ビニル系単量体0〜60重量%と共重合可能なその他の単量体0〜70重量%とを用い、好ましくは芳香族ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の一方又は両方を含む単量体全量に対して、シアン化ビニル系単量体0〜50重量%とを用いる。またこの際の、グラフト率[(ゴム状重合体にグラフトしている単量体成分の総重量/ゴム状重合体の総重量)×100]は通常のスチレン系樹脂の範疇でよく、例えば、30〜150である。
【0032】
本発明におけるスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル三元共重合体、スチレン−アクリロニトリル−メチルメタククリレート三元共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド三元共重合体及びスチレン−α−メチルスチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド四元共重合体等が挙げられる。これら重合体又は共重合体は、単独でもまた2種以上を用いてもよい。また、グラフト共重合体や、グラフト共重合体にブレンドする重合体又は共重合体を得るための重合法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、またこれらの組み合わせ等の公知方法による。
【0033】
本発明における(B)成分であるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンの単独重合体ならびにプロピレンとエチレンやブテン−1、ペンテン−1等のα−オレフィンの1種又は2種以上よりなるランダムもしくはブロック共重合体や、カルボン酸、無水マレイン酸等により変性した変性ポリプロピレン、また低密度ポリエチレン、直鎖状−低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ブチレン共重合体又は非晶ポリオレフィン系樹脂も用いることができる。
【0034】
(C)成分であるグラフト共重合体は、ポリオレフィン系樹脂を含有したエチレン−プロピレン系ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可能なその他の単量体からなる群から選ばれた1種以上の単量体又は混合物を重合してなるグラフト共重合体であるが、特には、ポリオレフィン系樹脂1〜70重量%を含有したエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックス60〜90重量部に芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対して合計100重量%に対してシアン化ビニル単量体0〜80重量%を含む単量体混合物40〜10重量部をグラフト重合して得られるポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体であることが好ましい。
【0035】
この乳化グラフト重合は、例えば、上記エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックス及びビニル系単量体混合物の所定量を合計で100重量部となるように用い、クメンハイドロパーオキサイト、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びデキストローズからなるレドックス開始剤、連鎖移動剤の存在下、70〜95℃の温度にて反応させることにより行うことができる。この際、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びでデキストローズからなる重合開始剤の一部、好ましくはその全量に対する量比にて0.3〜0.8を反応開始時に上記ラテックスに一括して加えると共に、反応開始時から少なくとも一時間の添加時間にわたって上記ビニル系単量体又は混合物及びクメンハイドロパーオキサイトの全量を連続的に上記ラテックスに加え、かつ、上記重合活性剤の残部及び乳化剤を上記ビニル系単量体又は混合物及びクメンハイドロパーオキサイトの添加時間よりも30分間以上長い時間にわたって連続的に上記ラテックスに加えるのが好ましい。
【0036】
なお、上記エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムラテックスは、ゴム成分のエチレンとプロピレンの重量比が90:10〜50:50の範囲にあることが好ましく、また、非共役ジエン成分は、好ましくは1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2ノルボルネン、5−ビニルノルボルネンジ及びシクロペンタジエン等である。
【0037】
(C)成分のポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体を製造するのに用いる、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体及び共重合可能なその他の単量体からなる群から選ばれた1種以上の単量体は前記(A)と同様のものを用いることができるが、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレンやα−メチルスチレンが好ましく用いられる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましく用いられる。加えて、シアン化ビニル化合物としてはアクリロニトリルやメタクリロニトリルが好ましく用いられる。このビニル系単量体又は混合物において、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対してシアン化ビニル単量体0〜60重量%の範囲にあることが好ましい。
【0038】
上記(C)成分のグラフト乳化重合に当たり、重合開始剤として、特に、上述のごとく、クメンハイドロパーオキサイト、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びデキストローズからなるレドックス開始剤が好適に用いられる。
【0039】
特に、このように特定されたレドックス開始剤を用いると共に上述するように、重合反応において、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びデキストローズからなる重合活性剤、クメンハイドロパーオキサイト、ビニル系単量体又は混合物及び乳化剤の添加量や、ラテックスへの添加時期、添加時間等を調整し、更に、所定の反応温度にて、連鎖移動剤の不存在下に反応させることによって、乳化剤の使用量を従来の約1/3程度に低減して、単量体の添加率が高く、かつ、重合安定性を格段に高めて、目的とする優れた性質を有するグラフト共重合体(C)を得ることができる。
【0040】
本発明における(C)成分のポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体は、ポリオレフィン系樹脂1〜70重量%を含有するエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体60〜90重量部の存在下、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対してシアン化ビニル単量体0〜80重量%を含む単量体混合物40〜10重量部をグラフト重合して得られる。
【0041】
ポリオレフィン系樹脂含有変性グラフト共重合体のグラフト率は、10〜60%であって、この範囲より大きくても小さくても、外観や耐衝撃性が悪くなる。ポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体のアセトン可溶重合体の重量平均分子量が10000〜80000であることが好ましい。この平均分子量が10000に満たない場合、最終の熱可塑樹脂組成物の耐衝撃性が著しく損なわれることがあり、80000を超える場合、最終の熱可塑樹脂組成物の流動性が低下することがある。
【0042】
ポリオレフィン系樹脂を除いたゴム成分であるエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に含有されるエチレンの割合は、50〜90重量%であること好ましい。この割合が50重量%未満の場合、目的とする摺動性が得られ難く、90重量%を超える場合、衝撃強度の低下を招く場合がある。非共役ジエン成分としては、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン及びジシクロペンタジエン等が好ましい。
【0043】
(C)に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、前記(B)と同様のものを用いることができる。例えば、ポリプロピレンの単独重合体ならびにプロピレンとエチレンやブテン−1、ペンテン−1等のα−オレフィンの1種又は2種以上よりなるランダムもしくはブロック共重合体や無水マレイン酸等により変性した変性ポリプロピレン、また低密度ポリエチレン、直鎖状−低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ブチレン共重合体又は非晶ポリオレフィン系樹脂も用いることができる。なお、(B)で用いたポリオレフィン系樹脂と同じ種類のものでも、異なるもののどちらでもよい。
【0044】
このような、ポリオレフィン系樹脂を、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に、1重量%以上配合することにより、最終的に得られる熱可塑性組成物の流動性、摺動性、耐薬品性を高めることができる。しかしながら、70重量%を超えると衝撃強度の低下を生じ易くなる。このため、本発明において、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に、ポリオレフィン系樹脂を1〜70重量%配合することが好ましい。
【0045】
エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックスのゲル含有量は40〜95重量%であり、粒子径が0.3〜1.2μmであることが、硬質材の物性バランス上好適である。ゲル含有量が40重量%より少ないときは、最終的に得られる熱可塑樹脂組成物の耐衝撃性と表面外観が悪化し易く、ゲル含量が95重量%より多いときは、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく悪化することがある。一方、粒子径が0.3μm未満のときには、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく悪化し易く、1.2μmを超えるときには、光沢が低下し表面外観が悪化することがある。
【0046】
エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体含有未架橋ラテックスのゲル含有量は0〜10重量%であり、上記のように、粒子径が0.3〜1.2μmであることが、軟質材の物性バランス上好適である。ゲル含量が10重量%より多いときは、得られる軟質熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく悪化することがある。一方、粒子径が0.3μm未満のときには、得られる熱可塑性樹脂組成物が充分な柔軟性を示さず、1.2μmを超えるときには、充分な相溶性を示さず耐衝撃性が悪化することがある。
【0047】
ポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体は、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋又は未架橋共重合体60〜90重量部に対して、上記単量体混合物40〜10重量部を乳化グラフト重合して得られるものが好ましい。ポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体のエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体含有架橋又は未架橋共重合体が60重量部未満で単量体又は単量体混合物が40重量部を超える場合は、最終の熱可塑性組成物の摺動性や摩耗性は改善され難く、また、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体含有架橋又は未架橋共重合体が90重量部を超え、単量体又は単量体混合物が10重量部未満である場合は、表面光沢、表面外観が悪化することがある。
【0048】
ポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体を製造するためには、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体とポリオレフィン系樹脂と多価アルコールを用い、均一分散させたエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体ラテックスを製造する。すなわち、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体の所定量を適当な溶媒に溶解して、これに乳化剤を添加して乳化させ多価アルコールを添加する。この場合、溶剤としては、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤を用いることができる。乳化剤としては特に制限はないが、例えば、オレイン酸カリウム及び不均化ロジン酸カリウム等の界面活性剤が用いられる。更に、多価アルコールとしては、エチレングリコール、テトラメチレングリコール又はグリセリン等を用いることができる。
【0049】
乳化剤の添加量は、エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に対して、1〜10重量部とするのが好ましい。なお、乳化剤は、オレイン酸をエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に混合しておき、これに水酸化カリウム水溶液を添加してオレイン酸カリウムを生成させることにより添加することもできる。多価アルコールの添加量は、0.1〜1重量部が好適である。
【0050】
このラテックスのエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体100重量部に対して、ジビニルベンゼン等の多官能性化合物を0.1〜5.0重量部及びジ−t−ブチル−オキシトリメチルシクロヘキサン等の有機化酸化物を0.1〜5.0重量部添加して、60〜140℃で0.5〜5.0時間程度反応させることにより架橋ラテックスを調製する。
【0051】
本発明において、このように調製されるエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体含有架橋ラテックスのゲル含量は、前述のごとく40〜95重量%であることが好ましい。なお、架橋ラテックスのゲル含量は、このラテックスを希硫酸で水洗、乾燥後、1g採取し200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで200メッシュのステンレス金網にて濾過し、残渣を乾燥することによって求めることができる。
【0052】
次いで、このように調製した架橋又は未架橋ラテックス30〜90重量部(固形分)と芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対して、シアン化ビニル単量体0〜80重量%を含む単量体混合物70〜10重量部を適当な温度に加温してグラフト重合させる。本発明の方法においては、単量体又は単量体混合物にレドックス系開始剤を混合し1時間以上にわたって連続的に系内に添加する必要がある。この添加時間が1時間未満の場合、ラテックス安定性は悪化し重合収率は低下する。
【0053】
レドックス系開始剤としては、油溶性の有機化酸化物が好ましく、通常の場合、硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤の組み合わせで使用される。油溶性開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイト、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機化酸化物が好ましい。特に、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム及びデキストローズからなるものが好ましい。
【0054】
重合を終了して得られたポリオレフィン系樹脂含有変性グラフト共重合体には、必要に応じて酸化防止剤を添加する。次いで、得られたポリオレフィン系樹脂含有変性グラフト共重合体から樹脂固形分を析出させる。この場合、析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液を単独、又は併用して用いることができる。析出物を分離し、これを水洗、脱水、乾燥、することによりポリオレフィン系樹脂含有変性グラフト共重合体を得る。
【0055】
熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の全重量を100重量部としたときに、(B)成分が1〜30重量部又は、(C)成分が20重量部以上であることが好ましい。
【0056】
(B)成分の割合が1重量部未満であると流動性や耐薬品性が得られ難く、(C)成分が20重量部未満であるときに(B)成分が30重量部を超えると耐衝撃性、外観不良が発生し易くなる。
【0057】
(C)成分が20重量部未満であると耐衝撃性が劣り、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に対する熱溶着性、また伸びが劣り易くなる。
【0058】
なお、本発明の熱可塑性組成物には、上記成分の他に、所望に応じ公知の着色剤、熱安定剤、造核剤、滑剤、離型剤、難燃剤、紫外線吸収剤、静電防止剤等を添加することができる。また、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、炭酸カルシウム等を添加して補強することもできる。また、要求される性能に応じて、他の重合体例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂や、他の熱可塑性エラストマー(TPE)例えば、TPO、TPEE、TPU、TPS、RB等のエラストマーを適宜加えることができる。
【0059】
本発明の熱可塑性組成物は、(A)〜(C)成分及び上記のような添加剤を所定の割合で、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、又はタンブラー等の混合装置で、混合し、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、コニーダー及びロール等の溶融混練装置を用いて溶融混練することにより得ることができるが、何らこのような製造方法に限定されるものではない。
【0060】
このような本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して、要求に応じた部品を製造するには、上記のような方法で得た本発明の熱可塑性樹脂組成物を通常の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形又は二色成形等により所望の形状に成形すればよい。
【0061】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に溶着可能であることから、本発明の熱可塑性樹脂組成物とスチレン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂との二層シートや本発明の熱可塑性樹脂組成物、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との三層シートあるいは多層シートの成形を行うことができる。
【0062】
これらの成形品は、単独での使用はもちろん、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方に溶着可能であることから、それらの材料の接合部にも使用できる。例えば硬質材は、自動車のメッキ部品、ドアミラー、ラジエターグリル、リアフィッシャー、ホイルキャップ、モール、コンソールボックス、インストツメンタルパネル、ステアリングコラムカバー及びカウリング等に好適である。また、各種OA機器のハウジング部品、家庭電化製品のハウジング、例えば、テレビ、ラジオ、ステレオ、エアコン及びビデオ等に用いられ、優れた表面光沢、衝撃強度、耐候性、耐薬品性、摺動性を保持することができる。また、例えば軟質材は、家庭電化製品のバンパー、コネクターキャップ、冷蔵庫のガスケット、風呂蓋つなぎ、吸着盤及びシール材等に用いられ、優れた柔軟性、表面光沢、衝撃強度、耐候性、耐薬品性を保持することができる。
【0063】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明をする。本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量部を意味する。
【0064】
<(A)成分…スチレン系樹脂の製造>
(ビニル共重合体1の製造)
脂肪酸塩を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤とし、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて、水中にてスチレン72.0部、アクリロニトリル28.0部を乳化重合させて、共重合体1(PSAN)を得た。この共重合体の数平均分子量Mnは32000、重量平均分子量Mwは67000、分子量分布Mw/Mnは2.1であった。数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル・パーミネーション・クロマトグラフィーによる。
【0065】
(ビニル共重合体2の製造)
脂肪族塩を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤とし、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて、水中にてスチレン25部とアクリロニトリル5部、メチルメタクリレート70部を乳化重合させて、共重合体(AN−MS系)を得た。
【0066】
(ビニル共重合体3の製造)
脂肪族塩を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤とし、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて、水中にてスチレン70部とメチルメタクリレート30部を乳化重合させて、共重合体3(MS系)を得た。
【0067】
(ビニル共重合体4の製造)
脂肪族塩を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤とし、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて、水中にてスチレン18部とα−メチルスチレン46.6部、アクリロニトリル28.6部及びN−フェニルマレイミド6.8部を乳化重合させて、共重合体4(PMI系)を得た。
【0068】
(グラフト率の測定)
製造したグラフト共重合体のグラフト率は以下の方法で測定した。
【0069】
グラフト重合体の一定量(x)をアセトン中に投入し、振とう機で2時間振とうして遊離の共重合体を溶解させ、遠心分離機を用いてこの溶液を15000rpmで30分間にわたって遠心分離して不溶分を得た。次に、乾燥機で充分に揮発分を除いて、乾燥した不溶分(y)を得た。下記式によりグラフト率を算出した。
【0070】
グラフト率(%)=[{(y)−(x)×グラフト共重合体のゴム分率}/{(x)×グラフト共重合体のゴム分率}]×100
【0071】
(グラフト共重合体1の製造)
乳化剤の存在下に水中にてポリブタジエン50部にスチレン35部とアクリロニトリル15部を、クメンハイドロパーオキサイドを含むレドックス重合開始剤を常法にしたがって乳化重合させ、グラフト共重合体1を得た。
【0072】
(グラフト共重合体2の製造)
乳化剤の存在下に水中にてポリブタジエン50部にスチレン50部を、クメンハイドロパーオキサイドを含むレドックス重合開始剤を常法にしたがって乳化重合させ、グラフト共重合体2を得た。
【0073】
(B)成分のポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂1、2としてグランドポリマー製のJ709W、J226Eを用いた。また、ポリオレフィン系樹脂3、4としては、三井化学製の2208J、A220Jを用いた。
【0074】
<EPDMグラフト共重合体の製造>
「エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋又は未架橋ラテックスの製造」
EPDM(商品名:EPT3012P、三井化学製、エチレン含有量:82モル%)100重量部をn−ヘキサン556重量部に溶解した後、オレイン酸4.5重量部を加え溶解した。別に、水700重量部にKOH0.9重量部を溶解した水溶液に、エチレングリコール0.5重量部を加え60℃に保ち、これに先に調製した上記重合体溶液を徐々に加えて乳化した後、ホモミキサーで攪拌した。次いで溶剤と水の一部を留去して、未架橋ラテックスを得た。測定の結果ゲル含量は0重量%、粒分布は0.4〜0.6μmであった。
【0075】
このラテックスに、ゴム成分であるエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体100重量部にジビニルベンゼン1.5重量部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン1.0重量部を添加して、120℃で1時間反応させエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックスを製造した。ゲル含量は48重量%で、平均径は0.57μmであった。また、使用したEPDMのエチレン含有量は、公知の熱分解ガスクロマトグラフィー法を用いて確認した。
【0076】
「EPDMグラフト共重合体1の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックス60重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しEPDMグラフト共重合体1を得た。単量体転化率は93重量%であった。また、凝固析出物は0.28重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0077】
「EPDMグラフト共重合体2の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体未架橋ラテックス60重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しEPDMグラフト共重合体2を得た。単量体転化率は92重量%であった。また、凝固析出物は0.30重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0078】
<(C)成分…ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体の製造>
「ポリオレフィン系樹脂含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋又は未架橋ラテックスの製造」
ポリプロピレン(商品名:J709W、グランドポリマー製)20重量%含有EPDM(商品名:EPT3012P、三井化学製、エチレン含有量:82モル%)100重量部をn−ヘキサン556重量部に溶解した後、オレイン酸4.5重量部を加え溶解した。別に、水700重量部にKOH0.9重量部を溶解した水溶液に、エチレングリコール0.5重量部を加え60℃に保ち、これに先に調製した上記重合体溶液を徐々に加えて乳化した後、ホモミキサーで攪拌した。次いで溶剤と水の一部を留去して、未架橋ラテックスを得た。測定の結果ゲル含量は0重量%、粒分布は0.4〜0.6μmであった。
【0079】
このラテックスに、ゴム成分であるポリオレフィン系樹脂含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体100重量部にジビニルベンゼン1.5重量部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン1.0重量部を添加して、120℃で1時間反応させポリプロピレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックスを製造した。ゲル含量は48重量%で、平均径は0.57μmであった。
【0080】
また、同様の方法で、ポリエチレン(商品名:2208J、三井化学製)20重量%含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋又は未架橋ラテックスを製造した。
【0081】
なお、ポリオレフィン系樹脂含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体は、ポリプロピレン又はポリエチレンとエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムを予めタンブラーで均一に混合し、44mm径の二軸押出機でバレル温度200℃にて溶融混練し、ダイスから吐出されるスレッドを切断、ペレットにして上記ラテックスの製造に用いた。
【0082】
ゲル測定は、先に述べた方法で行った。粒子径の測定は、UPA粒度分析計で行った。
【0083】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体1の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリプロピレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックス70重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル10重量部、スチレン20重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体1を得た。単量体転化率は93重量%であった。また、凝固析出物は0.28重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0084】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体2の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリプロピレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックス80重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル5重量部、スチレン15重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体2を得た。単量体転化率は93重量%であった。また、凝固析出物は0.28重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0085】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体3の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリエチレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体架橋ラテックス80重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル1重量部、メチルメタクリレート16重量部、スチレン3重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体3を得た。単量体転化率は92重量%であった。また、凝固析出物は0.30重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0086】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体4の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリプロピレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体未架橋ラテックス70重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、アクリロニトリル10重量部、スチレン20重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体4を得た。単量体転化率は92重量%であった。また、凝固析出物は0.30重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0087】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体5の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリプロピレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体未架橋ラテックス70重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、メチルメタクリレート30重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体5を得た。単量体転化率は93重量%であった。また、凝固析出物は0.28重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0088】
「ポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体6の製造」
攪拌機付きステンレス重合槽に、上記で製造したポリエチレン含有エチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体未架橋ラテックス70重量部(固形分)、水170重量部(ラテックス中の水分も含む)、水酸化ナトリウム0.01重量部、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.57重量部を80℃に加温した後、スチレン30重量部とクメンハイドロパーオキサイド1.0重量部からなるビニル系単量体混合物と開始剤からなる溶液を150分間で添加した。また、ピロリン酸ナトリウム0.45重量部、硫酸第一鉄0.01重量部、デキストローズ0.56重量部、オレイン酸ナトリウム1.0重量部及び水からなる触媒溶液は180分間添加、重合しポリオレフィン系樹脂含有EPDMグラフト共重合体6を得た。単量体転化率は94重量%であった。また、凝固析出物は0.27重量%であった。単量体転化率は、ラテックスの一部を採取してガスクロマトグラフィーを用いて求めた残存単量体から算出した。
【0089】
(実施例1〜15及び比較例1〜9)
上記製造例で得た重合体を、表1及び表2に示す割合でV型ブレンダーによって均一に混合した。得られた混合物を44mm径の二軸押出機でバレル温度180℃にて溶融混練し、ダイスから吐出されるスレッドを切断して成形用ペレットを得た。このペレットを4オンスの射出成形機(東芝製)にて試験片金型を取り付けてシリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出圧力50kg/cm2冷却時間30秒間の成形条件で成形して試験片を成形した。
【0090】
得られた試験片について、各種特性の評価を行って、結果を表1及び表2に示す。物性評価は、それぞれ下記の方法にて測定した。
【0091】
耐衝撃性:アイゾット衝撃強度、試験片厚み3.2mm、ASTM:D256
耐熱性:熱変形温度、試験片厚み6.4mm、ASTM:D648(1.8MPa)
低温特性:面衝撃試験:試験片厚み2.5mm、ISO:6603−2
剛性:曲げ弾性率、試験片厚み6.4mm、ASTM:D790
硬度:ショアD、ASTM D2240
引張強度:引張降伏強さ、試験片厚み3.2mm、ASTM:D638
成形収縮率:ASTM:D955−73,ISO 2557に準拠
光沢:スガ試験機製デジタル変角光度計
(UGV−5D、入射角60°、反射角60°)
摺動性:JIS−K7218 A法(リングオンリング方式)に準拠
試験機:オリオンティク製EFM−iii EM型摩擦試験機
試験片:中空円筒試験片(内径20mm、外径25.6mm)
試験片を上下に取り付け、荷重をかけてすり合わせ動摩擦係数を測定した。
耐摩耗性:大栄科学精器製作所製平面摩耗試験機M403−83B法
テーブル往復回転:60回/分±2回
ストローク:140mm
荷重:9.8N
摩擦子にガーゼを取り付け、サンプルを10000回摩擦後、目視判定する。
表面外観:50×50×3.2mmの開いた成形体にて目視評価する。
耐薬品性:ベンディングフォーム定歪法
MEKに24時間浸漬後、目視で表面を観察し、良好は○、クラック又は溶解は×と評価した。
メルトインデクス:JIS−K7210(220℃、10kg)
:ASTM D1238(230℃、2.16kg)
熱溶着試験:76mm×25mm×3.2mmの試験片を同じ形状の試験片に成形したポリオレフィン系樹脂又はスチレン系樹脂と熱板溶着装置により溶着し、冷却後、ASTM D638により引張強度を測定した。
電子顕微鏡観察:日本電子(株)製の電子顕微鏡JEM−100CX2を用い、公知の方法で染色しモルホロジーの観察を行った。
【0092】
熱可塑樹脂組成物中のゴム質重合体、スチレン系樹脂の含有量の測定は、フィルムを用い、FT赤外分光光度計(NICOLET製、NEXUS670)により測定し、また、ゴム質重合体を熱分解ガスクロマトグラフィー装置(島津GC−14型、日本分光工業JHP3S熱分解装置)でも測定した。加えて分子量は、ゲル・パーミネーション・クロマトグラフィー(東ソー製、HLC8020)にて、THFを溶剤として用いてスチレン換算分子量として測定した。
【0093】
【表1】
Figure 0004269305
【0094】
【表2】
Figure 0004269305
【0095】
表1及び表2より、衝撃強度、耐熱性、成形収縮率、光沢、外観及び摺動性等がいずれも極めて良好で、かつスチレン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂と熱溶着性に優れる熱可塑樹脂組成物が提供されることが明らかである。
【0096】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によって、耐衝撃性、耐熱性、成形収縮率に優れる上に、光沢に優れ、外観、摺動性が良好で、かつスチレン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂と熱溶着性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することが可能となった。

Claims (4)

  1. (A)芳香族ビニル系単量体の単独、又は、芳香族ビニル系単量体とこれと共重合可能な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体、α−又はβ−不飽和ジカルボンのイミド化合物からなる群から選択された1種以上の単量体との混合物を重合した共重合体からなるスチレン系樹脂と、
    (B)ポリオレフィン系樹脂と、
    (C)ポリオレフィン系樹脂を含有するエチレン−プロピレン系ゴム質共重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル単量体からなる群から選択された1種以上の単量体を重合してなるグラフト共重合体、
    とを配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)成分と(B)成分と(C)成分の全重量を100重量部としたときに、(B)成分が1〜30重量部又は(C)成分が20重量部以上含まれており、かつ、電子顕微鏡観察によるスチレン系樹脂と( ) に由来するポリオレフィン系樹脂との混合形態が層状構造又は共相連続構造である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分が、ポリオレフィン系樹脂1〜70重量%を含有するエチレン−プロピレン非共役ジエン架橋又は未架橋共重合体60〜90重量部の存在下、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一方又は両方を含む単量体全量に対してシアン化ビニル単量体0〜60重量%を含む単量体混合物40〜10重量部をグラフト重合して得られるポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体を含有する請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分に用いられるポリオレフィン系樹脂を含有するグラフト共重合体のグラフト率は10〜60%であって、グラフト共重合に使用するポリオレフィン系樹脂を含有するエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体ラテックスのUPA粒度分析計による平均粒子径は0.3〜1.2μmであり、ポリオレフィン系樹脂を除いたエチレン−プロピレン非共役ジエン共重合体に含まれるエチレン成分は50〜90重量%であり、かつポリオレフィン系樹脂含有グラフト共重合体のアセトン可溶重合体の重量平均分子量が10000〜80000である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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