JP2002003819A - 制振用熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

制振用熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物

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JP2002003819A
JP2002003819A JP2000186046A JP2000186046A JP2002003819A JP 2002003819 A JP2002003819 A JP 2002003819A JP 2000186046 A JP2000186046 A JP 2000186046A JP 2000186046 A JP2000186046 A JP 2000186046A JP 2002003819 A JP2002003819 A JP 2002003819A
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thermosetting resin
resin composition
vibration damping
ethylenically unsaturated
graft copolymer
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Shinya Hikita
真也 疋田
Norihisa Ujigawa
典久 氏川
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Original Assignee
NOF Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振性能を要求温度領域で十分に発揮するこ
とができる制振用熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物を
提供する。 【解決手段】 振動や騒音を抑制するための制振用熱硬
化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及びグラフト共重合体
よりなる。このグラフト共重合体は、熱可塑性エラスト
マーからなるセグメント(A)と、エチレン性不飽和単
量体の重合体からなるセグメント(B)とよりなる。エ
チレン性不飽和単量体の重合体は(メタ)アクリル酸エ
ステルの重合体で、その溶解度パラメータがフェドーズ
の式による計算値で8〜15であるものが好ましく、ま
たそのガラス転移温度(Tg)が25℃以下であるもの
が好ましい。グラフト共重合体は、グラフト化前駆体を
溶融下に混練することにより得られる。この制振用熱硬
化性樹脂組成物を加熱硬化することによって制振用熱硬
化性樹脂の硬化物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、制振用熱硬化性
樹脂組成物及びそれを加熱硬化してなり、振動や騒音を
抑制(以下、これを本明細書では制振と略記する)する
性能を広い温度範囲で発揮できる制振用熱硬化性樹脂硬
化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】制振材料としては、一般的にゴム、エラ
ストマー等のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)
が低く、常温でゴム状である高分子材料が使用される。
これらの高分子材料は弾性と粘性の両方の性質をもち、
外部から受けた振動エネルギーを熱エネルギーに変換す
ることにより制振性能を発現している。また、高分子材
料は弾性体から粘性体へ変換する温度(Tg)において
高い制振性能を示すことが知られている。
【0003】制振材料を使用するに当たっては、前記高
分子材料単独では強度が不十分であるため、鋼板に塗布
する制振塗料や制振材料を鋼鈑と鋼鈑の間に挟み込んだ
制振鋼鈑等の鋼鈑との複合材料の形で実用化されてい
る。
【0004】熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊
維強化プラスチック(以下、FRPと略記する)は成形
性に優れていること、そしてその成形物は鋼板より軽量
で機械的強度、耐熱性、寸法安定性及び耐食性に優れる
材料であることから自動車、住宅設備用途で広く使用さ
れている。また、熱硬化性樹脂は接着剤として使用され
る場合もあり、その場合には硬化後の三次元網目構造に
より高強度或いは高度に信頼性を要求される接着部位に
使用される。
【0005】FRPにその特性を維持した状態で制振特
性を付与する目的で、熱硬化性樹脂としてTgの高いビ
ニルエステル樹脂とTgの低い不飽和ポリエステル樹脂
をブレンドし、要求温度での制振性能を向上させる試み
(Soc.Automot.Eng.,[Spec.Publ.]SP(1996))
や、フィラー等をブレンドしてTgを低減させ、常温で
の制振特性を付与する試み(Kunststofe(1988))がな
されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制振塗
料を用いる場合、鋼鈑に塗布された制振塗料の塗膜が薄
いことから、制振性能が十分に発揮されない。また、制
振鋼鈑の場合、制振材料の厚みを一定以上にしなければ
制振性能を十分に発揮できないなどの問題があった。ま
た、FRPに制振特性を付与する場合、一般的な熱硬化
性樹脂成形物のTgは100℃以上であるため、一般に
性能が要求される要求温度領域(25〜100℃)にお
ける制振特性は不十分であった。
【0007】この発明は、上記のような従来技術の問題
点に着目してなされたものである。その目的とするとこ
ろは、要求温度領域で制振性能を十分に発揮することが
できる制振用熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明における第1の発明の制振用熱硬化性樹
脂組成物は、熱硬化性樹脂及びグラフト共重合体を含有
し、前記グラフト共重合体が熱可塑性エラストマーを構
成部分とするセグメント(A)と、エチレン性不飽和単
量体の重合体又は共重合体を構成部分とするセグメント
(B)とからなるものである。
【0009】第2の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物
は、第1の発明において、前記エチレン性不飽和単量体
の重合体又は共重合体が(メタ)アクリル酸エステルの
重合体又は共重合体であり、その溶解度パラメータがフ
ェドーズの式による計算値で8〜15であるものであ
る。
【0010】第3の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物
は、第2の発明において、前記(メタ)アクリル酸エス
テルの重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)が
25℃以下であるものである。
【0011】第4の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物
は、第1から第3のいずれかの発明において、前記グラ
フト共重合体は、前記エチレン性不飽和単量体、過酸化
物結合を有するエチレン性不飽和単量体及びラジカル重
合開始剤を熱可塑性エラストマーに加えて含浸させる第
1の工程と、前記ラジカル重合開始剤が分解し、かつ過
酸化物結合を有するエチレン性不飽和単量体の過酸化物
結合が実質的に分解しない条件下で、前記エチレン性不
飽和単量体と過酸化物結合を有するエチレン性不飽和単
量体を熱可塑性エラストマー中で共重合させてグラフト
化前駆体を得る第2の工程と、前記グラフト化前駆体を
過酸化物結合を有するエチレン性不飽和単量体に由来す
る過酸化物結合が分解する温度で溶融下に混練してグラ
フト共重合体を形成する第3の工程とにより得ることの
できるものである。
【0012】第5の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物
は、第1から第4のいずれかの発明において、前記熱硬
化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又はジアリルフタレ
ート樹脂であるものである。
【0013】第6の発明の制振用熱硬化性樹脂硬化物
は、第1から第5のいずれかの発明の制振用熱硬化性樹
脂組成物を加熱硬化して得られるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。制振用熱硬化性樹脂組成物は、熱硬
化性樹脂及びグラフト共重合体を含有して構成されてい
る。グラフト共重合体は、熱可塑性エラストマーを構成
部分とするセグメント(A)と、エチレン性不飽和単量
体の重合体又は共重合体〔以下、(共)重合体とも称す
る〕を構成部分とするセグメント(B)とからなってい
る。
【0015】上記の熱硬化性樹脂は、硬化剤又は加熱に
より樹脂が三次元架橋し、機械的特性、耐溶剤性等に優
れるものであればいずれも使用することができる。この
熱硬化性樹脂としては、特に不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又
はジアリルフタレート樹脂が好ましい。
【0016】制振用熱硬化性樹脂組成物に用いられる不
飽和ポリエステルとしては、通常の不飽和ポリエステル
アルキッドであり、α、β−不飽和二塩基酸(その無水
物も含む)及び飽和二塩基酸(その無水物も含む)の混
合物と、多価アルコール類との通常のエステル化反応に
より製造される。この不飽和ポリエステルとしては、低
反応性の不飽和ポリエステルから高反応性の不飽和ポリ
エステルまで特に限定されない。
【0017】ここで、α、β−不飽和二塩基酸として
は、例えばマレイン酸、フマル酸、メサコン酸、テトラ
コン酸、イタコン酸(それぞれの無水物を含む)又はそ
れらのアルキルエステル類等が挙げられる。また、飽和
二塩基酸としては、例えば無水フタル酸、オルトフタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、ハロゲン化無水フタル酸、アジピン酸、コハク酸、
セバシン酸又はこれらのアルキルエステル類が挙げられ
る。
【0018】さらに、前記二塩基酸との縮合反応により
エステルを形成する多価アルコール類としては、例えば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、1、3−ブタンジオ
ール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオ
ール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール類、水
素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにプロピレン
オキシド等の付加したグリコール類の他、例えばトリメ
チロールプロパン等のトリオール類等を挙げることがで
きる。
【0019】次に、ビニルエステル樹脂は特に限定され
るものではなく、例えば、エポキシ化合物と不飽和一塩
基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによっ
て得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴ
マーをエチレン性不飽和単量体で希釈した液状樹脂であ
る。上記ビニルエステル樹脂の原料として用いられるエ
ポキシ化合物としては、分子中に少なくとも1個のエポ
キシ基を有する化合物であれば特に限定されるものでは
ないが、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS等のビスフェノール類と、エピハ
ロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビス系グリ
シジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノール、クレゾー
ル、ビスフェノールとホルマリンとの縮合物であるノボ
ラックとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる
ノボラック系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テト
ラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸と
エピハドヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジ
ルエステル型エポキシ樹脂、水添加ビスフェノールやグ
リコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得ら
れるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヒダントイン
やシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により
得られる含アミン系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂
等が挙げられる。
【0020】また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及
び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中に
エポキシ基を有する化合物であってもよい。これらエポ
キシ樹脂は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を
適宜混合して用いてもよい。
【0021】上記ビニルエステル樹脂の原料として用い
る不飽和一塩基酸としては、特に限定されるものではな
いが、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
ン酸等が挙げられる。また、マレイン酸、イタコン酸等
のハーフエステル等を用いてもよい。さらにこれらの化
合物とフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の多価カ
ルボン酸や酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチ
ン酸等の飽和一価カルボン酸や、フタル酸等の飽和多価
カルボン酸又はその無水物や、末端基がカルボキシル基
である飽和又は不飽和アルキッド等の化合物とを併用し
てもよい。これら不飽和一塩基酸は、一種類のみを用い
てもよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0022】上記エステル化触媒としては、具体的には
ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の第三級
アミン類、トリメチルアンモニウムクロライド等の第四
級アンモニウム塩、塩化リチウム、塩化クロム等の無機
塩、2−エチル―4―メチルイミダゾール等のイミダゾ
ール化合物、テトラメチルフォスフォニウムクロライ
ド、ジエチルフェニルプロピルフォスフォニウムクロラ
イド、トリエチルフェニルフォスフォニウムクロライ
ド、ベンジルトリエチルフェニルフォスフォニウムクロ
ライド、ジベンジルエチルメチルフォスフォニウムクロ
ライド、ベンジルメチルジフェニルフォスフォニウムク
ロライド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド
等のフォスフォニウム塩、第二級アミン類、テトラブチ
ル尿素、トリフェニルホスフィン、トリトリールホスフ
ィン、トリフェニルスチビン等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらエステル化触媒は、一種
類のみを用いてもよいし、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0023】熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹
脂及びビニルエステル樹脂を使用する場合には、必要に
応じてエチレン性不飽和単量体を併用することができ
る。エチレン性不飽和単量体(以下、単量体Aと略記す
る)としては、単官能のスチレン、ビニルトルエン、α
−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレ
ン等のスチレン誘導体、アクリル酸又はメタクリル酸の
アルキルエステル類、酢酸ビニル等の不飽和ビニルエス
テル類、また、多官能のo−、m−、p−ジビニルベン
ゼン等のスチレン誘導体、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)クリレート、
ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート等のジ及びトリ(メ
タ)アクリレート類、ジアリルフタレート類が使用され
る。これらは一種又は二種以上を混合して使用すること
ができる。
【0024】上記した単量体Aの配合割合は、熱硬化性
樹脂と単量体Aの合計量に対して、通常10〜70重量
%、好ましくは30〜60重量%である。単量体Aが1
0重量%未満では制振用熱硬化性樹脂組成物の粘度が高
くなって実用的な熱硬化性樹脂組成物とはならず、70
重量%を越えると得られる硬化物の機械的強度が低下す
る。
【0025】単量体Aを配合する熱硬化性樹脂は、単量
体Aを上記比率で配合したものを熱硬化性樹脂とした場
合、グラフト共重合体の配合割合が好ましくは1〜40
重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。この
配合割合が1重量%未満では制振用熱硬化性樹脂組成物
の制振特性が十分に発揮されず、40重量%を越えると
制振用熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇して取扱いが困
難となる傾向にある。
【0026】続いて、ジアリルフタレート樹脂として
は、二塩基酸とアリルアルコールとの縮合反応から生成
されるジアリルエステルをプレポリマー化したものであ
る。一般には無水フタル酸とアリルクロライドから生成
されるジアリルオルソフタレート(以下、DAPと略記
する)樹脂及びイソフタル酸とアリルクロライドから生
成されるジアリルイソフタレート(以下、DAIPと略
記する)樹脂が使用される。ジアリルフタレート樹脂
は、硬化剤の存在下に加熱することで硬化する。硬化剤
としては一般的に過酸化物が使用される。
【0027】熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂及びジアリルフタレート樹脂を
使用する場合には、ケトンペルオキシド類、ペルオキシ
ケタール類、ヒドロペルオキシド類、ジアルキルペルオ
キシド類、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカー
ボネート類、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシカ
ーボネート類等の公知の各種硬化剤を使用して硬化させ
ることができる。
【0028】この硬化剤の配合量は、熱硬化性樹脂とグ
ラフト共重合体の合計量に対して、好ましくは0.1〜
5重量%であり、さらに好ましくは0.5〜3重量%で
ある。この配合量が0.1重量%未満には熱硬化性樹脂
組成物が完全硬化に至らず、5重量%を越えると硬化速
度が速すぎて硬化物にクラックが入りやすくなる。
【0029】次に、エポキシ樹脂は特に限定されるもの
ではなく、公知の各種のものが使用され、その分子中に
エポキシ基を少なくとも2個以上有するものであれば、
分子構造、分子量等に特に制限されない。具体的には例
えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリ
シジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エ
ポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、ヒダントイン型
エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂
は、単独又は二種類以上を混合して使用することができ
る。
【0030】エポキシ樹脂を使用する場合の硬化剤とし
ては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂
肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジ
フェニルメタン、ジアミノジエイルジフェニルメタン等
の芳香族ポリアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエ
チレンジアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、
ポリアミドアミン等の第二級アミン、第三級アミン、無
水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸、無水マレイン酸、無水コハク酸テトラヒドロ無水フ
タル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水
物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチ
ルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダ
ゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾー
ル誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アジピン
酸ヒドラジド等の有機酸ヒドラジド、3−(3,4−ジ
クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(p−
クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素等の尿素誘導
体、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリ
ア樹脂、メラミン樹脂等のメチロール基含有化合物、ポ
リイソシアネート、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩等が挙げられる。これらの硬化剤はエポキシ
基に対して化学量論量以上加えることが必要であり、そ
のような条件下で二種類以上を併用することができる。
【0031】また、フェノール樹脂はフェノールとホル
ムアルデヒドとの付加縮合反応により生成するものであ
れば問題なく使用することができる。一般にレゾール又
はノボラック樹脂が使用される。レゾール樹脂は加熱又
は酸性触媒の存在下に硬化反応を行うことができる。ノ
ボラック樹脂は、ヘキサメチレンテトラミンを添加し、
酸性触媒の存在下に加熱することで硬化させることがで
きる。
【0032】これらの不飽和ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びジア
リルフタレート樹脂の中では、制振用熱硬化性樹脂組成
物を成形材料として使用する場合に安定した性能を発揮
することができる不飽和ポリエステル樹脂が最も好まし
い。
【0033】次に、グラフト共重合体は前述したように
熱可塑性エラストマーを構造部分とするセグメント
(A)と、エチレン性不飽和単量体の(共)重合体を構
成成分とするセグメント(B)とからなっている。この
グラフト共重合体は、通常セグメント(A)を幹とし、
セグメント(B)を枝とする構造を有している。
【0034】セグメント(A)の構造部分となる熱可塑
性エラストマーとしては、スチレンに溶解するものが好
ましく使用できる。例えば、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレ
ン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−水
素添加ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)
スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重
合体(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オ
レフィン系熱可塑性エラストマー又はウレタン系エラス
トマー等があり、好ましくはスチレン系エラストマーで
ある。また、これらの一種類を単独で使用しても良い
し、二種類以上を混合して使用しても良い。
【0035】セグメント(B)は、エチレン性不飽和単
量体の一種類を使用して形成される単独重合体又は二種
類以上を使用して形成される共重合体よりなる。エチレ
ン性不飽和単量体としては(メタ)アクリル酸エステ
ル、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジヘキ
シルフマレート、ジオクタデシルフマレート、ジラウリ
ルイタコネート等の不飽和ジカルボン酸エステル類、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸
ビニル、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル等のビニル
エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチ
ルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、t−
ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等の
芳香族単量体、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビ
ニルイミダゾール、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノ
エチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、
(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)
アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等の三級窒
素含有単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸1−メチル−2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、モノ(メ
タ)アクリル酸グリセロール、モノ(メタ)アクリル酸
ポリエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸ポリ
プロピレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸メトキ
シポリエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸オ
クチルオキシポリプロピレングリコール等の水酸基又は
エーテル結合を有する単量体等が使用できる。
【0036】このエチレン性不飽和単量体としては、炭
素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸
エステルが好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、アクリル酸メチル(フェドーズの式に
より計算される単独重合体の溶解度パラメータの値を以
下、SP値として略記する。SP値;8.9、Tg;10
℃)、アクリル酸エチル(SP値;8.9、Tg;−24
℃)、アクリル酸プロピル(SP値;8.8Tg;−37
℃)アクリル酸ブチル(SP値;8.8、Tg;−54
℃)、アクリル酸ヘプチル(SP値;8.8、Tg;−3
8℃)、アクリル酸ヘキシル(SP値;8.8、Tg;−
57℃)、アクリル酸オクチル(SP値;8.7、Tg;
−65℃)、アクリル酸ノニル(SP値;8.7、Tg;
−58℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(SP値;
8.6、Tg;−50℃)、アクリル酸ドデシル(SP
値;8.7、Tg;−3℃)、メタクリル酸ブチル(SP
値;8.8、Tg;20℃)、メタクリル酸ヘキシル
(SP値;8.8、Tg;−5℃)、メタクリル酸オクチ
ル(SP値;8.7、Tg;−70℃)、メタクリル酸デ
シル(SP値;8.7、Tg;−70℃)、メタクリル酸
ドデシル(SP値;8.7、Tg;−65℃)、メタクリ
ル酸ヘキサデシル(SP値;8.7、Tg;15℃)等が
挙げられる。
【0037】これらの(メタ)アクリル酸エステルは一
種類又は二種類以上使用してもよい。なお、二種類以上
使用する場合のSP値及びTgは加成性を仮定して各単独
重合体のSP値及びTgから計算したものとする。
【0038】前記(メタ)アクリル酸エステルの中で
は、さらにフェドーズの式により計算される単独重合体
又は共重合体の溶解度パラメータであるSP値が8〜1
5であることが好ましい。このSP値が8未満の場合又
は15を越える場合、熱硬化性樹脂に対するグラフト共
重合体の相溶性が悪くなるため、グラフト共重合体が硬
化物(成形品)表面にブリード(又はブリードアウト)
して硬化物の表面性が悪化しやすくなる。
【0039】また、単独重合体又は共重合体のTgが2
5℃以下であることが好ましく、−60〜25℃がさら
に好ましい。Tgが25℃を越えると熱硬化性樹脂硬化
物の制振性能が不十分となる傾向にある。
【0040】ここで、SP(δ)の計算に用いたフェド
ーズの式とは、下記の一般式で表されるものである。 δ=(△E/V)1/2=(Σ△ei/ΣΔvi)1/2 式中のΔE、Vはそれぞれ凝集エネルギー密度、モル体
積を、△ei、Δviはそれぞれ原子又は原子団の蒸発エネ
ルギー、モル体積を示す。代表的な原子又は原子団の△
ei、Δviを表1に示した。
【0041】
【表1】 セグメント(A)とセグメント(B)との割合は、セグ
メント(A)又はセグメント(B)が通常1〜99重量
%、好ましくは5〜95重量%の範囲にある.セグメン
ト(A)が99重量%を越えるか、又はセグメント
(B)が1重量%未満である場合、熱硬化性樹脂とグラ
フと共重合体の相溶性が悪くなる。一方、セグメント
(A)が1重量%未満であるか、又はセグメント(B)
が99重量%を越えると熱硬化性樹脂硬化物の制振特性
が十分に発揮されない。
【0042】セグメント(A)とセグメント(B)のい
ずれも重量平均分子量が通常0.5〜100万の範囲で
あり、好ましくは1〜50万の範囲である。重量平均分
子量をこのような範囲内に設定することにより、各セグ
メント(A)、(B)の製造が容易になる。
【0043】制振用熱硬化性樹脂組成物は、シートモー
ルディングコンパウンド(SMC)、バルクモールディ
ングコンパウンド(BMC)等の成形物であるFRP
(繊維強化プラスチック)成形材料として使用する際に
は、硬化物の強度及び質感を高めるため、充填剤を配合
することができる。
【0044】この充填剤としては特に限定されるもので
はないが、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、
無水珪酸粒子、珪石粉、クレー、木粉等が挙げられる。
その配合割合は、熱硬化性樹脂とグラフト共重合体の合
計量に対して、好ましくは100〜300重量%であ
り、さらに好ましくは150〜200重量%である。こ
の配合割合が100重量%未満では硬化物の強度が弱
く、200重量%を越えると制振用熱硬化性樹脂組成物
の粘度が高くなって作業性が悪くなるとともに、硬化物
の強度が弱くなる。
【0045】制振用熱硬化性樹脂組成物の中には、さら
に必要に応じてステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム等の内部離型剤、酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物及
び水酸化物或いはイソシアネート化合物等の増粘剤、ス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の内部離型
剤、及びガラス繊維、炭素繊維等の繊維補強材が配合さ
れる。その他、用途に応じて顔料、染料等の着色料、改
質剤、安定剤、紫外線吸収剤、重合調整剤、重合禁止
剤、可塑剤等を通常の使用範囲内で適宜加えることも可
能である。
【0046】制振用熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化法と
しては、通常のFRP成形法が問題なく使用できる。例
えば、加熱圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形
法等が挙げられる。
【0047】前記グラフト共重合体の製造方法として
は、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射
法等いずれの方法でも良いが、最も好ましいのは、グラ
フト化前駆体を溶融混練してグラフト共重合体を得る方
法である。なぜなら、グラフト効率が高いため性能の発
現がより効果的であり、かつ製造方法が簡便であるため
である。
【0048】以下に、グラフト化前駆体の合成法及びこ
れを溶融混練して前述のグラフト共重合体を得る方法に
ついて具体的に説明する。まず、第1工程として過酸化
物結合を有するエチレン性不飽和単量体、ラジカル重合
開始剤、前記エチレン性不飽和単量体の一種以上、重合
禁止剤及び可塑剤を熱可塑性エラストマーに加えて含浸
させる。
【0049】第1工程において過酸化物結合を有するエ
チレン性不飽和単量体としては、公知の過酸化物結合を
有するエチレン性不飽和単量体はすべて使用可能である
が、好ましくは下記の一般式(1)〜(3)で示される
単量体が挙げられる。過酸化物結合を有するエチレン性
不飽和単量体は単独で又は2種以上が混合して用いられ
る。その使用量は、前記エチレン性不飽和単量体100
重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1
重量部未満の場合にはグラフト効率が低くなり、10重
量部を越える場合には組成物の粘度が高くなり、取り扱
いが困難となる傾向にある。
【0050】
【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又
はメチル基、R3、R4は炭素数1〜4のアルキル基、R
5は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
クロアルキル基、フェニル基、アルキル基置換フェニル
基を表し、nは1〜5を表す)
【0051】
【化2】 (式中、R6は水素原子又はメチル基、R7は水素原子又
はメチル基、R8、R9は炭素数1〜4のアルキル基、R
10は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
クロアルキル基、フェニル基、アルキル基置換フェニル
基を表し、nは0〜4を表す)
【0052】
【化3】 (式中、R11は水素原子又はメチル基、R12、R13は炭
素数1〜4のアルキル基、R14は炭素数1〜12のアル
キル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル
基、アルキル基置換フェニル基を表す) 前記一般式(1)で表される過酸化物結合を含有するエ
チレン性不飽和単量体としては、具体的には、t−ブチ
ルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカーボ
ネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイルオ
キシエトキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキ
シ(メタ)アクリロイルオキシイソプロピルカーボネー
ト、t−アミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシ
エチルカーボネート、t−アミルペルオキシ(メタ)ア
クリロイルオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキ
シルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシエチルカー
ボネート、t−オクチルペルオキシ(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルカーボネート、クミルペルオキシ(メ
タ)アクリロイルオキシエチルカーボネート、p−イソ
プロピルクミルペルオキシ(メタ)アクリロイルオキシ
エチルカーボネート、p−メンチルペルオキシ(メタ)
アクリロイルオキシエチルカーボネート、1−シクロヘ
キシル−1−メチルエチルペルオキシ(メタ)アクリロ
イルオキシエチルカーボネート等が挙げられる。
【0053】前記一般式(2)で示される過酸化物結合
を含有するエチレン性不飽和単量体としては、具体的に
は、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネー
ト、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルオキシエチル
カーボネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルオ
キシエトキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、t−ヘキシルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、t−オクチルペルオキ
シ(メタ)アリルカーボネート、クミル(メタ)アリル
カーボネート等が挙げられる。
【0054】前記一般式(3)で示される過酸化物結合
を含有するエチレン性不飽和単量体としては、具体的に
は、t−ブチルペルオキシメチルフマレート、t−ブチ
ルペルオキシエチルフマレート、t−ブチルペルオキシ
−n−フマレート、t−ブチルペルオキシイソプロピル
フマレート、t−ブチルペルオキシ−n−ブチルフマレ
ート、t−ブチルペルオキシ−t−ブチルフマレート、
t−ブチルペルオキシ−n−オクチルフマレート、t−
ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルフマレート、t
−ブチルペルオキシフェニルフマレート、t−ブチルペ
ルオキシ−m−トルイルフマレート、t−ブチルペルオ
キシシクロヘキシルフマレート、t−アミルペルオキシ
−n−プロピルフマレート、t−アミルペルオキシイソ
プロピルフマレート、t−アミルペルオキシ−n−ブチ
ルフマレート、t−アミルペルオキシフェニルフマレー
ト、t−ヘキシルペルオキシエチルフマレート、t−ヘ
キシルペルオキシイソプロピルフマレート、t−ヘキシ
ルペルオキシ−t−ブチルフマレート、t−ヘキシルペ
ルオキシ−2−エチルヘキシルフマレート、t−オクチ
ルペルオキシメチルフマレート、t−オクチルペルオキ
シイソプロピルフマレート、t−オクチルペルオキシ−
n−オクチルフマレート、t−オクチルペルオキシシク
ロヘキシルフマレート、クミルペルオキシイソプロピル
フマレート、p−メンチルペルオキシイソプロピルフマ
レート等が挙げられる。
【0055】これら過酸化物結合を有するエチレン性不
飽和単量体の中で、t−ブチルペルオキシアクリロイル
オキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
クリロイルオキシエチルカーボネート、t−ブチルペル
オキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタ
クリルカーボネート及びt−ブチルペルオキシイソプロ
ピルフマレートが好ましい。これらの過酸化物結合を有
するエチレン性不飽和単量体は、優れた制振性能を有す
る硬化物が得られる点で好ましい。
【0056】続いて、第2工程として前記ラジカル重合
開始剤が分解し、かつ前記過酸化物結合を有するエチレ
ン性不飽和単量体の過酸化物結合が実質的に分解しない
条件下で、過酸化物結合を有する単量体と前記(メタ)
アクリル酸エステル単量体の一種以上を熱可塑性エラス
トマー中で共重合させてグラフト化前駆体を得る。
【0057】第2工程の過酸化物結合を有するグラフト
化前駆体を形成する方法としては、ラジカル重合開始剤
を用いる通常のラジカル重合法により製造する方法が挙
げられる。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法及び乳化重合法のいずれでも良いが、懸
濁重合法が好ましい。
【0058】前記ラジカル重合開始剤は特に限定されな
いが、10時間半減期温度が100℃以下の重合開始剤
を用いるのが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量
は、生成する重合体が所望の分子量になるように選択さ
れる必要があるが、通常は単量体に対して0.01〜5
重量%が好ましい。
【0059】重合温度及び重合時間は過酸化物結合を有
するエチレン性不飽和単量体の過酸化物結合が分解しな
いように選択する必要があり、好ましくは重合温度50
〜80℃、重合時間3〜10時間である。また、重合の
際に分子量を調整するために連鎖移動剤を使用しても良
い。
【0060】引き続き第3の工程として、前記グラフト
化前駆体を過酸化物結合を有するエチレン性不飽和単量
体に由来する過酸化物結合が分解する温度で溶融下に混
練してグラフト共重合体を得る。その温度は80〜30
0℃が好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。
80℃未満であると溶融が不完全であったり、また溶融
粘度が高く、混合が不十分となる。一方、300℃を越
えると熱可塑性エラストマー、前記エチレン性不飽和単
量体の(共)重合体等の分解が起こり好ましくない傾向
にある。
【0061】溶融混練する方法としては、バンバリーミ
キサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ミキ
シングロール等の通常用いられる混練機による方法が挙
げられる。
【0062】以上のような制振用熱硬化性樹脂組成物を
加熱硬化させることにより、熱硬化性樹脂硬化物が得ら
れる。加熱条件は、例えばSMC、BMC成形法の場合
には100〜160℃で1〜10分間に設定されるが、
目的に応じて適宜設定される。その場合、所定の圧力で
加圧してもよく、また予め低い温度で一定時間加熱する
熟成を行ってもよい。
【0063】次に、上記の実施形態によって発揮される
効果についてまとめて説明する。 ・ グラフト共重合体のセグメント(A)を構成する熱
可塑性エラストマーが常温を含む広い温度範囲で示す弾
性又は粘性による制振特性に優れるため、制振用熱硬化
性樹脂組成物の硬化物は、常温を含む広い温度領域で制
振性能を発揮することができる。
【0064】・ 制振用熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化
して得られる成形品等の硬化物は、上記のような弾性又
は粘性を発現するセグメント(A)と、熱硬化性樹脂に
対する結合力(相溶性)を発揮するセグメント(B)と
よりなるグラフト共重合体を含有していることから、持
続的な制振性能に優れている。
【0065】・ グラフト共重合体のセグメント(B)
を構成する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の
溶解度パラメータ値(SP値)を8〜15に設定するこ
とにより、グラフト共重合体が熱硬化性樹脂に相溶して
熱可塑性エラストマーの硬化物表面へのブリードが抑え
られ、表面性の優れた硬化物が得られる。
【0066】・ グラフト共重合体のセグメント(B)
を構成する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の
Tgを25℃以下にすることによって、常温付近を含む
広い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与すること
ができる。
【0067】・ グラフト共重合体は、前述した熱可塑
性エラストマーに他の成分を含浸させる第1工程、グラ
フト化前駆体を得る第2工程及びグラフト共重合体を得
る第3の工程を経て製造されることにより、グラフト共
重合体を簡便に得ることができる。しかも、得られたグ
ラフト共重合体は、グラフト効率が高く、制振特性の発
現がより効果的である。
【0068】・ 前記グラフト共重合体を添加して成形
した熱硬化性樹脂は、グラフト共重合体と熱硬化性樹脂
との相溶性が良好であることから、成形性及び寸法安定
性に優れている。
【0069】・ また、従来熱硬化性樹脂としてエポキ
シ樹脂を用い、アクリル樹脂を添加して制振特性を付与
した接着剤を騒音の発生源に近いパネルに適用してロー
ドノイズを低減する技術が知られているが〔自動車にお
けるダンピング技術(1996)〕、この技術はアクリ
ル樹脂を添加するために接着性が低下する。これに対
し、この発明では上記のようなグラフト共重合体を使用
することから、制振性熱硬化性樹脂組成物を接着剤とし
て使用した場合に接着性の低下を防止することができ
る。
【0070】さらに、従来熱硬化性樹脂としてフェノー
ル樹脂を用いた成形材料に制振特性を付与する目的で、
シリコーンゲル弾性体をフェノール樹脂と溶融混合する
技術も知られているが、シリコーンゲル弾性体を添加す
ることでフェノール樹脂の特性である耐熱性が低下す
る。これに対し、この発明では前記グラフト共重合体を
用いることにより、耐熱性の低下を防止することができ
る。
【0071】・ 前記のような制振性熱硬化性樹脂組成
物を加熱硬化することにより、制振特性をはじめ成形性
及び寸法安定性に優れた熱硬化性樹脂硬化物を容易に得
ることができる。
【0072】
【実施例】以下、参考例、実施例及び比較例により前記
実施形態をさらに具体的に説明するが、この発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。なお、これらの例
において、部及び%は特に断らない限り、それぞれ重量
部及び重量%を表す。また、表中の化合物の略記号は次
の化合物を示す。 MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチ
ルカーボネート AC:t−ブチルペルオキシアリルカーボネート MA:アクリル酸メチル EA:アクリル酸エチル BA:アクリル酸ブチル MMA:メタクリル酸メチル IPP:ジイソプロピルペルオキシジカーボネート BPO:ベンゾイルペルオキシド NDM:n−ドデシルメルカプタン SBS:ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレント
リブロック共重合体 SIS:ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレント
リブロック共重合体 SEBS:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリス
チレントリブロック共重合体 SEPS:ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリス
チレントリブロック共重合体 (参考例1、グラフト共重合体の製造例)温度計、攪拌
機及びコンデンサーを備えたステンレス製反応器に水2
10部、1.0%ポリビニルアルコール20部、第二リ
ン酸カルシウム10%水溶液〔日本合成化学(株)製の
商品名;スーパータイト10〕20部及び熱可塑性エラ
ストマーとしてスチレン−水素添加ブタジエン−スチレ
ン共重合体〔SEBS;シェルジャパン(株)製の商品名;
クレイトンG1726〕50部を入れて攪拌させた。
【0073】これに過酸化物結合を有する単量体として
t−ブチルペルオキシメタクリロイルオキシエチルカー
ボネート1.5部、ラジカル重合開始剤としてジイソプ
ロピルペルオキシジカーボネート〔日本油脂(株)製の
商品名;パーロイルIPP〕0.675部、アクリル酸エ
チル37.5部及びアクリル酸メチル12.5部を仕込
んだ。
【0074】その後、窒素ガス気流下、70℃に昇温
し、1時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤、
過酸化物結合を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体の混合物を熱可塑性エラストマーに含浸さ
せた。続いて、50℃に降温してから60℃に昇温し、
その温度で1時間重合させ、過酸化物結合を有する共重
合体が熱可塑性エラストマー中に存在するグラフト化前
駆体92部を得た。
【0075】このグラフト化前駆体を除水、乾燥後、ラ
ボプラストミルを用い、180℃において回転数100
rpmで溶融混練してグラフト共重合体を得た。 (参考例2〜15)熱可塑性エラストマー、過酸化物結
合を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量
体を表2及び表3に示すように変えた以外は、全て参考
例1と同様にしてグラフト共重合体を製造した。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】 (参考例16、比較用低収縮剤の調製)ポリスチレン
〔三菱化学(株)製の商品名;HF77〕をその濃度が
30%になるようにスチレンに溶解し、比較用低収縮剤
(A)とした。
【0078】ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−
ポリスチレントリブロック共重合体〔シェルジャパン
(株)製の商品名;クレイトンG1726〕をその濃度が3
0%になるようにスチレンに溶解し、比較用低収縮剤
(B)とした。
【0079】(参考例17、相溶化剤の調製)日本油脂
(株)製のポリスチレン−酢酸ビニルブロック共重合体
(商品名;モディパーS501)をその濃度が30%に
なるようにスチレンに分散して相溶化剤とした。
【0080】(参考例18、不飽和ポリエステル樹脂の
製造)無水マレイン酸800部、イソフタル酸200
部、プロピレングリコール1100部を通常の方法でエ
ステル化し、得られた不飽和ポリエステル樹脂をスチレ
ンで希釈して固形分濃度が65%になるように調整し、
酸価が18.0の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0081】(参考例19、ビニルエステル樹脂の製
造)ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基とメ
タクリル酸のカルボニル基を当量仕込み、エポキシ基を
完全に反応させた。得られたビニルエステル樹脂をスチ
レンで希釈して固形分が65%になるように調整し、ビ
ニルエステル樹脂を得た。
【0082】(実施例1〜15)参考例1〜12で得ら
れたグラフト共重合体をそれぞれ濃度が30%になるよ
うにスチレンに分散させた分散液とした。そして、これ
らを参考例18で得られた不飽和ポリエステル樹脂と混
合し、表4に示す配合条件でBMCを作製した。
【0083】
【表4】 上記条件で作製したBMCを40℃で24時間熟成し、
その後成形圧力10MPa、成形温度140℃、成形時
間5分でプレスにより圧縮成形し、成形物を得た。それ
ぞれの成形物について、次に示す方法により成形収縮及
びtanδを測定した。それらの結果を表4に示した。な
お、表の表面状態の欄において◎は優れた状態、○は良
好な状態、×は不良な状態を示す。
【0084】(tanδの測定法)tanδはJIS−K719
8に基づいて厚さ2mm、幅10mm、長さ50mmの
成形物を作製し、その動的粘弾性測定装置〔セイコーイ
ンスツルメント(株)製の粘弾性測定装置DMS610
0〕により求めた。測定は試料の温度を−5℃〜250
℃まで5℃/minの速度で昇温しながら10Hzで測定を
行った。このtanδは、その値が大きいほど動的粘弾
性特性が良好で、制振特性に優れていることを示す。
【0085】(成形収縮率の測定方法)JIS−K691
1に基づいて厚さ5mmの円盤状成形物を成形し、金型
の内径と成形物の寸法から次式により成形収縮率を求め
た。 成形収縮率(%)=〔(金型の内径)−(成形物寸
法)〕×100/(金型内径) (機械強度の測定法)JIS−K7203に基づき厚さ4
mm、幅10mm及び長さ80mmの成形品を作製し、
曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
【0086】(耐食性の測定法)成形品の耐食性はJIS
−K7114に基づき10%水酸化ナトリウム水溶液、
10%硫酸水溶液に25℃で7日間浸漬した後の重量変
化を以下の式より計算した。増加を(+)、損失を
(−)で示す。 質量変化率(%)=〔(試験後の質量)−(試験前の質
量)〕×100/(試験前の質量) (実施例16)不飽和ポリエステル樹脂84.1部、参
考例1のグラフト共重合体の30%スチレン溶液15.
9部(グラフト共重合体4.77部、スチレン11.1
3部)に変えた以外は表4の配合条件に従ってBMCの
成形物を作製した。その成形物について各種試験を行っ
た結果を表5及び表6に示した。
【0087】(実施例17)不飽和ポリエステル樹脂
4.76部、参考例1のグラフト共重合体の30%スチ
レン溶液95.24部(グラフト共重合体28.57
部、スチレン66.67部)に変えた以外は表4の配合
条件に従ってBMCの成形物を作製した。その成形物に
ついて各種試験を行った結果を表5及び表6に示した。
【0088】(実施例18)実施例1の不飽和ポリエス
テル樹脂を参考例で示したビニルエステル樹脂に変更す
る以外は表4の配合条件に従ってBMCの成形物を作製し
た。その成形物について各種試験を行った結果を表5及
び表6に示した。
【0089】(実施例19)ジアリルフタレート樹脂8
6.5部、参考例1のグラフト共重合体13.5部、ベ
ンゾイルペルオキシド〔日本油脂(株)製の商品名;ナ
イパーBW〕1部、ステアリン酸亜鉛1部及びガラス繊
維100部をニーダーにて混合して成形材料を作製し
た。そして、加熱圧縮成形により成形物を得、それにつ
いて評価を行った結果を表5及び表6に示した。
【0090】(実施例20)レゾール型フェノール樹脂
86.5部、参考例1のグラフト共重合体13.5部、
木粉160部及びステアリン酸亜鉛2部を混合して成形
材料を作製した。そして、150℃にて加熱圧縮成形に
より成形物を得、それについて評価を行った結果を表5
及び表6に示した。
【0091】(実施例21)ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂〔油化シェルエポキシ(株)製の商品名;エピコ
ート828、エポキシ当量190〕100部、参考例1
のグラフト共重合体20部、硬化剤としてジシアンジア
ミド10部及び促進剤として2−メチルイミダゾール
0.5部を添加、混合して、2mm厚のシリコーンスペ
ーサを使用して作成した型に注型し、150℃で1時間
硬化させて注型板を作製した。得られた注型板について
評価を行った結果を表5及び表6に示した。
【0092】
【表5】 なお、表5中の表面状態の欄における◎印は優れた状態
を、○印は良好な状態を、×印は不良な状態を示す。
【0093】
【表6】 (比較例1)グラフト共重合体のスチレン分散液に代え
て、参考例16で得られた比較用低収縮剤(A)を使用
した以外は表4の配合条件に従ってBMCの成形物を作
製した。その成形物について各種試験を行った結果を表
7及び表8に示した。
【0094】(比較例2)グラフト共重合体のスチレン
分散液に代え、参考例16で得られた比較用低収縮剤
(B)を使用した以外は表4の配合条件に従ってBMC
の成形物を作製した。その成形物について各種試験を行
った結果を表7及び表8に示した。
【0095】(比較例3)グラフト共重合体のスチレン
分散液45.65部に代えて参考例16で得られた比較
低収縮剤(B)を13.70部用い、さらに参考例17
で得られた相溶化剤を31.95部用いた以外は表4に
示す配合条件に従ってBMCの成形物を作製した。その
成形物について各種試験を行った結果を表7及び表8に
示した。
【0096】
【表7】 なお、表7の表面状態における×印は不良な状態を示
す。
【0097】
【表8】 表5から表8に示したように、各実施例の制振用熱硬化
性樹脂組成物及びその硬化物は以下のような効果を発現
できることが明らかとなった。
【0098】実施例1〜21と比較例1との対比から実
施例の硬化物は、公知の低収縮剤を有する熱硬化性樹脂
組成物を加熱硬化して得られる硬化物に比較して、25
℃から75℃におけるtanδが大きく、広い温度範囲
にわたり制振性に優れている。
【0099】実施例1〜21と、比較例1及び2との対
比から各実施例の硬化物は、公知の低収縮剤を有する熱
硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物に比較
して線収縮率が小さく、寸法安定性に優れている。これ
は、実施例1〜17のグラフト共重合体が熱硬化性樹脂
との相溶性に優れ、添加したグラフト共重合体がそれだ
け有効に機能するためと考えられる。
【0100】実施例1〜21と、比較例2及び3との比
較から各実施例の硬化物は熱硬化性エラストマー単独又
は相溶化剤と併用したものより表面性に優れている。実
施例1〜21と比較例1〜3との比較から各実施例の制
振用熱硬化性樹脂組成物はSMC、BMC等に利用でき
るため、従来の制振材料のように二次加工することな
く、成形品自体に制振性能を付与することができる。
【0101】なお、前記実施形態より把握される技術的
思想について以下に記載する。 (1) 前記グラフト共重合体のエチレン性不飽和単量
体は、炭素数1〜24のアルキル基を有する(メタ)ア
クリル酸エステルである請求項1から請求項5のいずれ
かに記載の制振用熱硬化性樹脂組成物。このように構成
した場合、熱硬化性樹脂に対するグラフト共重合体の相
溶性を保持して硬化物の表面性を良好にできるととも
に、硬化物の制振特性を向上させることができる。
【0102】(2) 前記(メタ)アクリル酸エステル
の重合体又は共重合体の溶解度パラメータ値が8〜15
であり、かつガラス転移温度が−60〜25℃である上
記(1)に記載の制振用熱硬化性樹脂組成物。
【0103】このように構成した場合、熱硬化性樹脂に
対するグラフト共重合体の相溶性を保持して硬化物の表
面性をさらに良好にできるとともに、常温付近を含む広
い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与することが
できる。
【0104】(3) さらに充填剤を含有する請求項1
から請求項5のいずれかに記載の制振用熱硬化性樹脂組
成物。このように構成した場合、SMC、BMC等の成
形物であるFRP成形材料として使用する際には、硬化
物の強度及び質感を高めることができる。
【0105】
【発明の効果】この発明は以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。第1の発明の制振用熱
硬化性樹脂組成物によれば、制振性能を要求温度領域に
おいて十分に発揮することができる硬化物を得ることが
できる。
【0106】第2の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物に
よれば、第1の発明の効果に加えて、表面性の優れた硬
化物を得ることができる。第3の発明の制振用熱硬化性
樹脂組成物によれば、第2の発明の効果に加えて、常温
付近を含む広い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付
与することができる。
【0107】第4の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物に
よれば、第1から第3のいずれかの発明の効果に加え
て、グラフト共重合体を簡便に得ることができるととも
に、得られたグラフト共重合体はグラフト効率が高く、
性能の発現がより有効である。
【0108】第5の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物に
よれば、第1から第4のいずれかの発明の熱硬化性樹脂
として、代表的なものである不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂又
はジアリルフタレート樹脂に対して制振特性を付与する
ことができる。
【0109】第6の発明の制振用熱硬化性樹脂組成物の
硬化物によれば、第1から第5の発明の制振性熱硬化性
樹脂組成物を加熱硬化させたものは、常温付近を含む広
い温度範囲にわたり硬化物に制振特性を付与することが
できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/00 C08L 63/00 A 67/06 67/06 101/00 101/00 G10K 11/16 G10K 11/16 J Fターム(参考) 4F070 AA08 AA32 AB08 AB09 AC82 AC86 AC87 AC88 4J002 AA02W BF05W BN00X BN13X BN21X CC03W CC22W CD00W CD02W CD05W CD06W CD13W CD20W CF21W FD010 FD160 GH01 GR00 5D061 AA07 AA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂及びグラフト共重合体を含
    有し、前記グラフト共重合体が熱可塑性エラストマーを
    構成部分とするセグメント(A)と、エチレン性不飽和
    単量体の重合体又は共重合体を構成部分とするセグメン
    ト(B)とからなるものである制振用熱硬化性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記エチレン性不飽和単量体の重合体又
    は共重合体が(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は
    共重合体であり、その溶解度パラメータがフェドーズの
    式による計算値で8〜15である請求項1に記載の制振
    用熱硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(メタ)アクリル酸エステルの重合
    体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)が25℃以下
    である請求項2に記載の制振用熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記グラフト共重合体は、前記エチレン
    性不飽和単量体、過酸化物結合を有するエチレン性不飽
    和単量体及びラジカル重合開始剤を熱可塑性エラストマ
    ーに加えて含浸させる第1の工程と、前記ラジカル重合
    開始剤が分解し、かつ過酸化物結合を有するエチレン性
    不飽和単量体の過酸化物結合が実質的に分解しない条件
    下で、前記エチレン性不飽和単量体と過酸化物結合を有
    するエチレン性不飽和単量体を熱可塑性エラストマー中
    で共重合させてグラフト化前駆体を得る第2の工程と、
    前記グラフト化前駆体を過酸化物結合を有するエチレン
    性不飽和単量体に由来する過酸化物結合が分解する温度
    で溶融下に混練してグラフト共重合体を形成する第3の
    工程とにより得ることのできるものである請求項1から
    請求項3のいずれかに記載の制振用熱硬化性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル
    樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
    樹脂又はジアリルフタレート樹脂である請求項1から請
    求項4のいずれかに記載の制振用熱硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の制振用熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる制
    振用熱硬化性樹脂硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014188854A1 (ja) * 2013-05-21 2014-11-27 昭和電工株式会社 制振材用成形材料並びにこれを成形して得られる制振材及び構造部材用成形品
CN104231983A (zh) * 2013-06-15 2014-12-24 日东电工株式会社 粘合剂组合物、粘合剂层以及粘合片
WO2020241755A1 (ja) * 2019-05-29 2020-12-03 花王株式会社 熱可塑性樹脂組成物
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EP3421541B1 (en) * 2016-02-22 2024-04-03 Kaneka Corporation Polyol composition and thermosetting resin

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