JP2001247853A - 研磨用組成物 - Google Patents

研磨用組成物

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JP2001247853A JP2001004842A JP2001004842A JP2001247853A JP 2001247853 A JP2001247853 A JP 2001247853A JP 2001004842 A JP2001004842 A JP 2001004842A JP 2001004842 A JP2001004842 A JP 2001004842A JP 2001247853 A JP2001247853 A JP 2001247853A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅膜およびタンタル含有化合物を含む半導体
デバイスの製造におけるCMP加工プロセスにおいて、
銅およびタンタル含有化合物を同程度でかつ大きな研磨
速度で研磨することができ、選択比が高く、第1研磨ま
たは第2研磨の使用に好適な研磨用組成物を提供する。 【解決手段】 研磨材、防食剤、酸化剤、酸、pH調整
剤および水を含んでなり、pHが2〜5の範囲内であっ
て、さらに研磨材がコロイダルシリカまたはフュームド
シリカであり、研磨材の一次粒子径が20nm以下であ
る研磨用組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体の表面平坦
化加工の研磨に使用される研磨用組成物に係り、さらに
詳しくは、銅およびタンタルまたはタンタル含有化合物
を含む表面の平坦化加工時の研磨において、優れた平坦
化特性を有し、かつ優れた研磨表面の形成に適用可能な
研磨用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のコンピューターを始めとするいわ
ゆるハイテク製品の進歩は目覚ましく、これに使用され
る部品、例えばULSIは、年々高集積化・高速化の一
途を辿っている。これに伴い、半導体デバイスのデザイ
ンルールは年々微細化が進み、デバイス製造プロセスで
の焦点深度は浅くなり、パターン形成面に要求される平
坦性は厳しくなってきている。
【0003】また、従来より半導体デバイスの加工プロ
セスに関してその効率化が種々図られており、例えば米
国特許第5,391,258号および米国特許第5,4
76,606号において、金属とシリカの複合材を研磨
する合成物、特にその各材料に対する除去に最適な選択
性の技術が開示されている。そして、これらの特許は、
シリカの除去速度を抑制することによるタングステンと
シリカ複合材間の除去の選択性を向上させることを目的
としている。
【0004】また、近年配線の微細化による配線抵抗の
増大に対処するため、配線材料としてタングステン配線
およびアルミニウム配線に代わり銅配線の使用が検討さ
れている。銅は、その性質上エッチングが難しく、その
ため以下のようなプロセスが必要とされる。すなわち、
絶縁膜上に配線溝および孔を形成した後、スパッタリン
グ法またはメッキ法により配線用の銅を成膜し(いわゆ
るダマシン法)、ついで、絶縁膜上に堆積した不要な銅
膜を機械的研磨と化学的研磨とを組み合わせたメカノケ
ミカル研磨(Chemical Mechanical
Polishing、以下「CMP」という)により
除去する。
【0005】しかしながら、前述のプロセスでは、銅原
子が絶縁膜中へ拡散しデバイス特性を劣化させることが
ある。そこで、銅原子の拡散を防止する目的で、配線溝
または孔を形成した絶縁膜上にバリア層を設けることが
検討されている。このようなバリア層の材料としては、
タンタルまたは窒化タンタル(以下、これらを総称して
「タンタル含有化合物」という)がデバイスの信頼性の
観点から最も優れており、今後最も採用される可能性が
高い。
【0006】従って、このような銅膜およびタンタル含
有化合物を含む半導体デバイスのCMP加工プロセス
は、まず最表層にある銅膜、ついでバリア層であるタン
タル含有化合物をそれぞれ研磨し、さらに二酸化ケイ素
または酸フッ化ケイ素等の絶縁膜に達した時点で研磨を
終了することとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような銅配線形
成のためのCMP加工プロセスは、以下のような問題が
ある。すなわち、最も懸念される問題としては、研磨後
の銅配線が絶縁膜に比べて窪んだ状態(いわゆるディッ
シング)を生じること、および、密に配線が形成される
部分が他の部分に比べて窪んだ状態(いわゆるエロージ
ョン)を起こすことが挙げられる。理想的なプロセスと
しては、1種類の研磨用組成物のみを使用し、1回の研
磨工程で、銅膜およびタンタル含有化合物膜を研磨によ
り均一に除去し、さらに絶縁膜に達した時点で確実に研
磨を終了させるものである。
【0008】また、銅配線については、配線層全てにつ
いてその実用化が望まれてきている。すなわち、最上層
の場合は銅の成膜厚が2μm(20000Å)に達し、
最下層の場合は3000Å程度である。なお、バリア膜
であるタンタル含有化合物の成膜厚は、全ての層で20
0〜500Å程度とほぼ同じである。これらの状況を鑑
み、上層の銅配線と下層の銅配線のプロセスを分けて考
える必要があった。
【0009】すなわち、上層の銅配線に対しては、従来
から提案されているいわゆる2ステップ研磨による方法
が有力である。この場合のプロセスとしては、まず第1
研磨にて銅膜のみを高い研磨速度(一般的には5000
Å/min以上)で研磨し、1000〜2000Åの
銅膜を残し、バリア膜の手前で研磨を終える方法と、
除去すべき銅膜を全て研磨除去し、バリア膜に達した後
研磨を終える方法との2通りにおいて研磨の終点とす
る。どちらの方法においても、第1研磨に要求される性
能は、銅膜に対する高い研磨速度であり、第2研磨に要
求される性能は、バリア膜に対する高い研磨速度と絶縁
膜に対する研磨速度の抑制である。
【0010】この2ステップ研磨の第1研磨用の研磨用
組成物に関しては、例えば特開平7−233485号公
報等において、アミノ酢酸およびアミド硫酸から選ばれ
る少なくとも1種類の有機酸と酸化剤と水とを含有する
銅系金属膜の研磨液、およびこの研磨液を使用した半導
体デバイスの製造方法が開示されている。
【0011】この研磨液を使用し銅膜を研磨すると、比
較的大きな研磨速度(一般的には5000Å/min程
度)が得られる。これは銅膜表面の銅原子が酸化剤の作
用により銅イオンとなり、この銅イオンをキレート性化
合物が取り込むことにより、高い研磨速度が得られるも
のと推察され、この研磨用組成物は、上層の銅配線の形
成における第1研磨用として有用であろう。
【0012】しかしながら、従来には、上記の指針に基
づくCMP加工プロセスにおいてタンタル含有化合物
膜、すなわち第2研磨用として使用できる理想的な研磨
用組成物は提案されていなかった。このような状況を鑑
み、本発明者らは、既に研磨材、タンタルを酸化するこ
とができる酸化剤、酸化タンタルを還元することができ
る還元剤および水を含有させたことを特徴とした研磨用
組成物およびそれを用いた研磨方法(特願平10−34
2106号公報)を提案している。そして、これをさら
に改善した、研磨材、シュウ酸、エチレンジアミン誘導
体、ベンゾトリアゾール誘導体および水を含有させた研
磨用組成物、並びに、研磨材、シュウ酸、エチレンジア
ミン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、過酸化水素お
よび水を含有させた研磨用組成物(特願平11−266
049号公報)を提案しており、この発明により、確か
に高い研磨速度でタンタル含有化合物を研磨することが
でき、第2研磨用の研磨用組成物として使用することは
可能である。
【0013】そこで、前記研磨用組成物を用い研磨をす
ると、タンタル含有化合物に対してある程度の研磨速度
は達成できるものの、絶縁膜の研磨速度に対するタンタ
ル含有化合物の研磨速度の比(以下、単に「選択比」と
いう)がせいぜい4程度であり、絶縁膜で研磨を確実に
終了するにはプロセスマージンが狭く、結果として歩留
まりの低下を招いていた。すなわち、バリア膜に対する
高い研磨速度を維持し、かつ絶縁膜に対する研磨速度の
抑制が可能な研磨用組成物の開発が切望されている。
【0014】また、前述のように、下層の銅配線の場
合、銅の成膜厚さが3000〜4000Åとなり、それ
を2回の研磨に分けて研磨を行うことは、工程の煩雑
さ、コスト面からも不利となる。また、特開平7−23
3485号公報等のように、アミノ酢酸またはアミド硫
酸で銅膜を研磨する場合は銅に対する研磨速度が高すぎ
るため、プロセス管理上その採用は困難である。そこ
で、銅膜とバリア膜を連続的に研磨し、絶縁膜で研磨を
止めたいという新たな要求が持ちあがってきた。その場
合、研磨用組成物として要求される性能は、銅膜の研磨
速度とバリア膜の研磨速度を同程度にし、絶縁膜の研磨
速度を極力抑制することである。すなわち、銅膜および
バリア膜を同程度かつある程度高い研磨速度で研磨で
き、さらに絶縁膜に対する研磨速度を抑制した研磨用組
成物の開発が切望されている。
【0015】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、銅膜およびタンタル含有化合物を
含む半導体デバイスの製造におけるCMP加工プロセス
において、銅およびタンタル含有化合物を同程度でかつ
大きな研磨速度で研磨することができるとともに、選択
比が高く、さらに第1研磨または第2研磨の使用に好適
な研磨用組成物を提供することを目的としたものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る研磨用組成
物は、研磨材、防食剤、酸化剤、酸、pH調整剤および
水を含んでなり、pHが2〜5の範囲内であって、さら
に研磨材がコロイダルシリカまたはフュームドシリカで
あり、研磨材の一次粒子径が20nm以下であることを
特徴とするものである。
【0017】本発明に係る研磨用組成物は、遷移金属不
純物の含有量が10ppm以下であることを特徴とする
ものである。
【0018】本発明に係る研磨用組成物は、研磨材の含
有量が組成物に対して1〜10重量%の範囲内であるこ
とを特徴とするものである。
【0019】本発明に係る研磨用組成物は、防食剤がベ
ンゾトリアゾール誘導体であることを特徴とするもので
ある。
【0020】本発明に係る研磨用組成物は、ベンゾトリ
アゾール誘導体がベンゾトリアゾールであり、含有量が
0.1〜0.5重量%の範囲内であることを特徴とする
ものである。
【0021】本発明に係る研磨用組成物は、酸化剤が過
酸化水素であることを特徴とするものである。
【0022】本発明に係る研磨用組成物は、過酸化水素
の含有量が組成物に対して1〜5重量%の範囲内である
ことを特徴とするものである。
【0023】本発明に係る研磨用組成物は、酸が硝酸、
塩酸、硫酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ
酸、コハク酸、酪酸およびマロン酸からなる群から選ば
れる少なくとも1種類であることを特徴とするものであ
る。
【0024】本発明に係る研磨用組成物は、酸の含有量
が組成物に対して0.1〜0.5重量%の範囲内である
ことを特徴とするものである。
【0025】本発明に係る研磨用組成物は、pH調整剤
が水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウムからなる群
から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする
ものである。
【0026】本発明に係る研磨用組成物は、pH調整剤
の含有量が酸を含有させた状態でpHを2〜5の範囲内
に調整する量であることを特徴とするものである。
【0027】以下、本発明をさらに詳細に説明する。な
お、以下の説明は本発明の理解を容易にするためのもの
であり、本発明を限定するものではない。
【0028】なお、本発明の以下の記述において、第1
研磨工程および第2研磨工程はそれぞれ「1研」および
「2研」と記し、各研磨工程における研磨加工能力は
「研磨速度」と記す。また、本発明では、「バリア膜」
は「タンタル含有化合物」を意味し、「除去すべき銅
膜」または「除去すべきバリア膜」は、研磨終了後、銅
配線を形成するのに残存してはならない銅膜またはバリ
ア膜を意味して、最終的には配線溝または孔に埋設され
た部分以外の全てを指すものとする。そして、「絶縁
膜」は、二酸化ケイ素および酸フッ化ケイ素の両者を指
し、「選択比」は、絶縁膜の研磨速度に対するバリア膜
の研磨速度の比を示す。例えば絶縁膜の研磨速度が10
0でありバリア膜の研磨速度が500の場合は選択比は
5となる。
【0029】<研磨材>本発明に係る研磨用組成物の成
分の1つである研磨材は、いわゆる砥粒としての役割を
もち、CMP加工プロセスにおける機械的研磨の一翼を
担うものである。従来のCMP加工プロセスに用いられ
る研磨材としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、
酸化セリウム、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、炭化ケ
イ素および二酸化マンガン等が挙げられる。これらのう
ち本発明に用いられる研磨材としては、防食剤、酸化
剤、酸、pH調整剤などとの共存下においても安定であ
ることが必要で、これら含有物に対して化学的に安定な
二酸化ケイ素を用いることが望ましい。
【0030】さらに、二酸化ケイ素のうち、一次粒子径
が20nm以下のものであり、研磨用組成物中の遷移金
属の含有量が10ppm以下であることが肝要である。
これらの要件を満たす二酸化ケイ素としては、コロイダ
ルシリカまたはフュームドシリカであり、コロイダルシ
リカの製造方法の主な例としては、ケイ酸ナトリウムを
イオン交換して得られた超微粒子コロイダルシリカを粒
子成長させるものと、アルコキシシランを酸またはアル
カリで加水分解させて製造するもの(いわゆるゾルゲル
法によるコロイダルシリカ)との2種があるが、これら
のうち、比較的純度の高いコロイダルシリカが製造でき
るゾルゲル法によるコロイダルシリカを用いるのが好ま
しい。また、フュームドシリカは、四塩化ケイ素、水素
および酸素を燃焼反応させることにより製造され、三次
元的なネットワーク構造を有しているが、本発明に係る
研磨用組成物の成分の1つとして使用する場合は、その
ネットワークを混練機、分散機などで解砕し、コロイド
状の分散となるよう加工して用いる。
【0031】なお、本発明に係る研磨材の一次粒子径
は、窒素吸着法(BET法)によって測定される比表面
積から算出される一次粒子径、および、電子顕微鏡観察
(SEM)により計測された一次粒子径の両者を指す。
なお、BET法による一次粒子径は、研磨材として二酸
化ケイ素を用いる場合、一次粒子径=2727/(比表
面積)の式により求められる。
【0032】また、本発明に係る研磨材は、前述したよ
うに機械的研磨の役割を果たすが、その研磨力は、銅お
よびタンタル含有化合物に対しての研磨力を高めるた
め、絶縁膜に対しての研磨力を抑制することが肝要とな
る。さらに詳しくは、研磨と同時に形成される銅膜上層
の酸化銅およびタンタル含有化合物膜上層の酸化タンタ
ルに対しては研磨を促進し、絶縁膜に対しては研磨速度
を抑制することが必要である。そのために最適な一次粒
子径は20nm以下であり、20nmを越えた場合は絶
縁膜に対する研磨が十分抑制できず、その結果選択比が
小さくなって好ましくない。また、研磨材の含有量は、
組成物に対して1〜10重量%の範囲内が好ましい。含
有量が1重量%に満たないと、機械的研磨能は不十分と
なりタンタル含有化合物に対して高い研磨速度は得られ
ず、10重量%を越えると、絶縁膜の研磨速度が大きく
なって高い選択比が得られない。
【0033】<防食剤>本発明に係る研磨用組成物の成
分の1つである防食剤は、銅の研磨速度を所望の値まで
減ずるため、および、研磨後の銅膜表面の腐蝕を防止す
るために含有される。防食剤としては、ベンゾトリアゾ
ール誘導体であり、好ましくはベンゾトリアゾールであ
る。このベンゾトリアゾールの作用は、ベンゾトリアゾ
ール誘導体にも同様に具備されるものと考えられる。ベ
ンゾトリアゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾー
ル、2−メチルベンゾトリアゾール、2−フェニルベン
ゾトリアゾール、2−エチルベンゾトリアゾールおよび
2−プロピルベンゾトリアゾールなどが挙げられる。防
食剤の含有量は、組成物に対して0.1〜0.5重量%
の範囲内が好ましく、0.1重量%に満たない場合は、
銅を非常に高い研磨速度で研磨できるが、研磨後に腐蝕
の発生を抑制できず好ましくない。また、0.5重量%
を越えた場合は、ベンゾトリアゾール自体が水に溶けに
くくなり、その結果、完全に溶解できないまたは低温下
で析出するおそれがあり好ましくない。
【0034】<酸化剤>本発明に係る研磨用組成物の成
分の1つである酸化剤は、銅およびタンタル含有化合物
を酸化させるために含有される。酸化剤としては、過酸
化水素であり、その過酸化水素は、金属イオンを含まな
いため半導体デバイスを汚染する危険性が少なく、しか
も銅膜およびタンタル含有化合物膜を酸化するには十分
な酸化力を有している。
【0035】過酸化水素の含有量は、組成物に対して1
〜5重量%の範囲内が好ましく、1重量%に満たない場
合は、銅およびタンタル含有化合物を酸化するには十分
とは言えず好ましくない。また、5重量%を越えた場合
は、酸化力が高すぎるため研磨後も銅表面が深く酸化さ
れ、その後の酸化膜除去(主に洗浄にて実施されるが)
が困難となり好ましくない。
【0036】<酸>本発明に係る研磨用組成物の成分の
1つである酸は、pHを下げる効果があれば如何なるも
のを使用してもよく、具体的には硝酸、塩酸、硫酸、炭
酸、リン酸のような無機酸、および、乳酸、酢酸、シュ
ウ酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酪酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、安息香酸、
サリチル酸、フタル酸のような有機酸等が挙げられる。
本発明では、これらのうち比較的純度が高く安価に供給
可能な硝酸、塩酸、硫酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、クエ
ン酸、リンゴ酸、コハク酸、酪酸およびマロン酸からな
る群から選ばれる少なくとも1種類を用いる。但し、研
磨材自身を溶解させるおそれのあるフッ酸は本発明に係
る酸として好ましくない。
【0037】酸の含有量は、組成物に対して0.1〜
0.5重量%の範囲内が好ましい。酸の含有は、pHを
下げることによって銅をイオン化させる効果を発現す
る。しかしながら、銅をイオン化させると共にpHも上
昇する。従って、研磨と共に発生する銅イオンの量も鑑
み、その銅イオン存在下においてもpHを2〜5に保つ
のがよく、研磨用組成物に緩衝効果が具備されているの
が好ましい。この指針に基づき酸の含有量は決定され
る。すなわち、研磨用組成物の供給速度と銅の研磨速度
を鑑み、研磨によりすべて銅がイオン化されたとしても
pHがほぼ維持される量とするのが好ましい。
【0038】以下、具体的に示す。8インチのウェーハ
ーを用い、銅膜を2000Å/minの研磨速度で除去
するとともに、研磨用組成物の供給速度を150ml/
minとし、酸としてコハク酸を使用すると仮定する
と、1分あたりの銅の研磨量は、 (研磨速度)×(ウェーハー面積)×(銅比重)=
(0.2×10-4)×(10×10×3.14)×8.
93=0.06g となり、モル数で示すと、 (銅の研磨量)/(銅の原子量)=0.06/63.5
5=0.00094mol となる。この銅すべてがコハク酸と塩を形成すると仮定
し、さらに緩衝効果を考えて、上記銅の2倍のモル数
(0.0019mol)のコハク酸(分子量118)を
研磨用組成物中に含有させるとする。コハク酸の必要量
は、 (コハク酸の分子量)×(銅の2倍のモル数)=118
×0.0019=0.22g となる。また、研磨用組成物の供給速度を考慮すると、
コハク酸の含有量は、 (コハク酸の必要量)/(供給速度)=0.22/15
0=0.15重量% となる。
【0039】以上の計算および様々な酸の分子量または
当量を考慮し、本発明の酸の含有量としては、0.1重
量%以上が好ましい。一方、酸を過度に含有させた場合
は、酸が研磨用組成物中に溶解しきれず、低温下で析出
したりあるいは廃液処理費のコストアップなど研磨とは
関わりのない別の因子によって好ましくない。従って、
酸の含有量は0.5重量%以下が好ましい。
【0040】<pH調整剤>本発明に係る研磨用組成物
の成分の1つであるpH調整剤は、本発明に係る酸によ
り下げられたpHを本発明におけるpHの規定内に上げ
るために含有される。従って、pH調整剤としては、前
記目的を達するものであれば如何なるものを使用しても
よく、具体的には水酸化カリウム、水酸化アンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、ヒドロキシルアミン、水酸化ト
リメチルアミン、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭
酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムおよび
水酸化ストロンチウムなどが挙げられる。本発明では、
これらのうち比較的純度が高く安価に供給可能な水酸化
カリウムおよび水酸化アンモニウムからなる群から選ば
れる少なくとも1種類を用いる。
【0041】pH調整剤の含有量は、前記酸との混在下
でpHを2〜5に調整できる範囲が好ましく、具体的な
含有量の範囲は、酸の含有量および当量により一義的に
決定される。
【0042】さらに、pHの規定と銅の研磨について言
及する。図1に銅のPourbaix図を示す。本発明
に係る研磨用組成物は、酸化剤が含有されているため、
酸化還元電位は図上の上側に位置し、pHは2〜5の範
囲内である。この図によれば、本発明に係る研磨用組成
物中での銅の安定状態は銅イオンであり、pHの規定お
よび酸化剤の含有により銅の研磨が促進される。また、
本発明の必須条件である防食剤は、銅表面に安定な保護
膜を形成して研磨を抑制する。この研磨促進効果と研磨
抑制効果のバランスを維持することにより、銅の研磨速
度を適正値に導く。
【0043】<水>本発明に係る研磨用組成物の成分の
1つである水は、上記の各成分が正確にその役割を果た
せるように、不純分を極力減らしたものを使用すること
が好ましい。すなわち、イオン交換樹脂にて不純物イオ
ンを除去し、フィルターを通して懸濁物を除去したもの
または蒸留水を使用することが好ましい。
【0044】<研磨用組成物>本発明に係る研磨用組成
物は、上記各成分、すなわちコロイダルシリカまたはフ
ュームドシリカでその一次粒子径が20nm以下の研磨
材と、防食剤と、酸化剤と、酸と、pH調整剤とを水に
混合し、溶解または分散させることにより調製する。研
磨材はこの組成物中に均一に分散して懸濁液となり、他
の成分は水に溶解する。この混合、溶解または分散の方
法は任意であり、例えば翼式攪拌機による攪拌または超
音波分散を用いてもよい。
【0045】また、本発明に係る研磨用組成物は、比較
的高濃度の原液として調製して貯蔵または輸送などを
し、実際の研磨加工時に希釈して使用することもでき
る。前述の濃度範囲は、実際の研磨加工時のものとして
記述したものであり、使用時に希釈する使用方法をとる
場合は、貯蔵または輸送などの状態においてより高濃度
の溶液となることは言うまでもない。また、酸化剤とし
て過酸化水素を用いる場合、輸送中、保存中に過酸化水
素が分解するおそれがあるため、実際に使用する直前に
所定量を混合し研磨用組成物を調整するのが好ましい。
さらに、各成分の含有量は、研磨時に最終的に調製され
る組成物での含有量を規定したものであり、研磨直前に
酸化剤である過酸化水素を加えた場合は、その増分も加
味した組成物として各種含有量が規定される。
【0046】さらに、本発明に係る研磨用組成物は、許
容される遷移金属の含有量が、全遷移金属を合算して1
0ppm以下、好ましくは1ppm以下である。一般的
に遷移金属は複数の電価状態を持つ。例えば鉄イオンの
場合は2価および3価の状態を、銅イオンの場合は1価
および2価の状態を有する。これらの遷移金属が研磨用
組成物内に存在すると、過酸化水素の分解反応を促進す
る。従って、遷移金属が研磨用組成物内に含有される
と、過酸化水素は徐々に分解し、その結果、銅およびタ
ンタル含有化合物の研磨速度が時間の経過と共に減少す
る。よって、遷移金属不純物の含有量を上記範囲内とす
ることが好ましい。なお、カリウム、ナトリウムおよび
ストロンチウムなどのアルカリ金属と、カルシウム、マ
グネシウムおよびバリウムなどのアルカリ土類金属と
は、その性質上複数の電価状態を持たないため過酸化水
素の分解には全く寄与せず、その含有量の規定は特にな
い。
【0047】そして、本発明に係る研磨用組成物を用い
た場合の銅膜、タンタル含有化合物膜および絶縁膜に対
する研磨機構を次のように推測する。まず、銅膜および
タンタル含有化合物膜に対しては、酸化剤である過酸化
水素の効果により酸化膜が形成される。その酸化膜は、
過酸化水素の強い酸化作用により、通常の自然酸化によ
る酸化膜より比較的脆弱な酸化膜が形成されるものと推
定される。その後、形成された酸化膜は、研磨材である
コロイダルシリカまたはフュームドシリカによって機械
的に研磨される。なお、本発明に係る研磨用組成物は、
銅またはタンタルとキレートを形成し、研磨を促進させ
るものではない。また、防食剤の含有は、銅の研磨速度
を所望の値まで減ずるためと、研磨後の銅膜表面の腐蝕
を防止するためとであり、タンタル含有化合物の研磨速
度には影響を与えない。さらに、pHの調整は、銅およ
びタンタル含有化合物の酸化を加速するためであり、銅
をイオン化するのに最適な状態を創出するため実施され
る。従って、pHが大きくなれば、銅の研磨は抑制され
る。一方、研磨材以外の成分(防食剤、過酸化水素、
酸、pH調整剤、および、水)は絶縁膜の研磨に際し何
の影響も与えない。よって、絶縁膜に対する研磨速度は
研磨材の機械的研磨能のみに応じ決定され、この絶縁膜
に対する研磨速度を抑制は、その一次粒子径を極力細か
くすることによって実現される。
【0048】また、本発明に係る研磨用組成物を用いれ
ば、銅とタンタル含有化合物膜(バリア膜)をほぼ同程
度の研磨速度で研磨でき、かつ、絶縁膜を殆ど研磨しな
い研磨特性が得られる。具体的には、銅およびバリア膜
に対しては500〜2000Å/minの研磨速度で研
磨でき、絶縁膜に対しては5〜50Å/minの研磨速
度に抑えられる。なお、この研磨速度の調整は、研磨機
自体の設定によって自由に制御できる。すなわち、研磨
圧力と、プレートおよびキャリアの回転数に伴う線速度
との設定によって制御される。一般的には、研磨速度
は、研磨速度∝研磨圧力×線速度の関係式により一義的
に決定される。
【0049】また、本発明に係る研磨用組成物は、銅配
線を内部に含む半導体デバイスの製造における銅および
タンタル含有化合物を研磨する工程の1研または2研に
用いられる。
【0050】1研に用いる場合は、例えば銅の成膜厚が
5000Å以下の場合(主に下層配線層になる)に有効
であり、2研に用いる場合は、例えば銅の成膜厚が50
00Å以上の場合(主に上層配線層になる)に有効であ
る。さらに詳しく言及すれば、例えば銅の成膜厚が40
00Åの場合、銅に対する研磨速度を2000Å/mi
nに設定すれば、理想的に研磨は約2分間で終えること
ができ、面内に不均一(研磨の不均一、成膜厚の不均一
の両者を含む)があったとしても、約3分間研磨すれば
全ての除去すべき銅膜およびタンタル含有化合物膜を研
磨し、しかも絶縁膜の研磨量は、最も研磨が進行したと
ころでも100Å以下に抑えられる。また、銅の成膜厚
が1μm(10000Å)の場合は、1研として例えば
銅に対してキレート効果を示す研磨用組成物(例えばア
ミノ酢酸など)を用い、銅のみを5000Å/minの
研磨速度で約2分間研磨し、ついで残存している銅膜お
よびタンタル含有化合物膜を、その研磨速度の例えば8
00Å/min程度に設定して本発明に係る研磨用組成
物を用いて約1分間2研すれば、ほぼ平坦な研磨面が得
られる。
【0051】さらに、今後技術が進歩すると、銅配線
と、いわゆるLow−k材(比誘電率が1.5〜2.5
の絶縁材料)とを組み合わせた半導体デバイスの開発も
進む。その際、Low−k膜上に約1000Å程度のシ
リカ膜または酸フッ化ケイ素が形成される(このLow
−k膜上形成されるシリカ膜または酸フッ化ケイ素膜
は、一般的にはキャップ材と呼ばれる)。そこでのCM
P加工プロセスに要求される性能は、キャップ材とタン
タル含有化合物膜(バリア膜)との高い選択性であり、
本発明に係る研磨用組成物は、酸化剤およびpHを最適
化すれば、50以上の選択比も可能となり、非常に有効
であることが期待される。
【0052】本発明に使用されうるpH調整のために含
有される酸のうち、2つのカルボキシル基を有する酸に
ついては、米国特許5,391,258号および米国特
許第5,476,606号にも開示されている。しかし
ながら、本発明において、pH調整のために含有される
酸は、2つのカルボキシル基を含有しない酸を用いても
その結果は顕著であり、また前記米国特許において効果
が現れなかったコハク酸や、さらにシュウ酸(シリカの
除去速度を抑制せず、促進させる酸)を用いても、本発
明に係る研磨材の規定およびpHの規定により見事に抑
制される。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は
その要旨を越えない限り、以下に説明する実施の形態に
限定されるものではない。また、実施例に示される組成
物の含有量は研磨直前の最終組成物の含有量を意味す
る。
【0054】
【実施例】実施例1〜7および比較例1 <研磨用組成物の内容および調製>研磨材としてゾルゲ
ル法にて作製し一次粒子径が13nmのコロイダルシリ
カと、防食剤としてベンゾトリアゾールと、表1に示す
各種の酸とを表1に示す割合で配合されるように水に混
合し、その後、混合液のpHが2〜5の範囲内になるよ
うにpH調整剤として水酸化カリウム(KOH)を添加
し、さらに、酸化剤として過酸化水素を表1に示す割合
で配合されるように研磨直前に混合して実施例1〜7お
よび比較例1の研磨用組成物を調製した。なお、過酸化
水素は市販の31%水溶液を用いた。また、比較例1は
酸およびpH調整剤が混合されていないものとした。そ
して、調製された実施例1〜7および比較例1の各研磨
用組成物の遷移金属の含有量をICP−MS法にて測定
したところ、各研磨用組成物において、全遷移金属の合
算した値はその最大値においても0.6ppm以下であ
った。
【0055】
【表1】
【0056】<研磨試験>被研磨物として、電解メッキ
法で銅膜を10000Å成膜したウェーハー、スパッタ
リング法で窒化タンタル膜を2000Å成膜したウェー
ハーおよびCVD法で酸化ケイ素膜(TEOS膜)を1
0000Å成膜したウェーハーを、それぞれ3cm角の
板状に切り出して加工し、実施例1〜7および比較例1
の各研磨用組成物を用いて、それぞれの成膜面を下記の
条件で研磨した。 研磨機 Table Top Polisher(Engis 社製) 研磨パッド IC−1000(ロデールニッタ(株)製) 研磨時間 1分間 定盤回転数 50rpm キャリア回転数 50rpm 研磨加工圧力 2.6psi(約185g/cm2 ) 研磨用組成物供給速度 50ml/分
【0057】研磨後、ウェーハーを順次洗浄して乾燥
し、以下に示す装置および方法で、銅、窒化タンタルお
よびTEOSの各研磨速度を求めた。得られた結果を表
1に示す。 銅膜および窒化タンタル膜の研磨速度:抵抗式膜厚測定
装置 RS−35C(KLA−Tencor社製) TEOS膜の研磨速度:光学式膜圧測定器 Lambd
a−Ace(大日本スクリーン社製) 測定方法:ウェーハー内の膜厚を5点測定し、研磨前後
の膜厚差から研磨速度を計算。
【0058】ついで、研磨後の銅膜ウェーハーを光学顕
微鏡で観察し、下記の評価結果に基づいて研磨後の加工
面状態の評価を行った。得られた結果を表1に示す。 ◎:全く銅の腐蝕が見られない場合。 ○:直径が0.5μm以下の非常に小さな腐蝕がある場
合。 ×:直径が0.5μmを越える腐蝕が観察された場合。
【0059】表1から明らかなように、比較例1のpH
未調整の研磨用組成物は、銅膜および窒化タンタル膜を
ほとんど研磨できなかった。これに対して、実施例1〜
7の各研磨用組成物は、銅膜および窒化タンタル膜を大
きな研磨速度で研磨することができ、TEOS膜の研磨
速度を抑制することができた。つまり、選択比(窒化タ
ンタル膜研磨速度/TEOS膜研磨速度)は20〜50
程度であり、この選択性により、プロセスマージンは広
くなって歩留まりの向上が期待できることがわかる。ま
た、銅との選択比(銅膜研磨速度/窒化タンタル研磨速
度)は0.4〜1.3の範囲内であり、この範囲内であ
れば、実施例の研磨用組成物を1研として使用したい場
合に選択比1に近いものを使用し、2研として使用した
い場合は1研後のディッシング、エロージョンの状況を
鑑み、適宜研磨用組成物を選定して用いることも可能で
あることがわかる。また、pHも2〜5の範囲内に制御
することにより、良好な研磨特性を現出できることがわ
かる。
【0060】比較例2 実施例3の研磨用組成物に、故意に硝酸鉄を混合し、そ
の鉄イオン濃度を20ppmとした比較例2の研磨用組
成物を調製した。その結果、硝酸鉄添加直後は、表1と
同程度の研磨特性を示したが、1日経過後に再測定した
ところ、銅および窒化タンタルに対する研磨速度が10
0Å/min以下にまで減少していた。これは、鉄イオ
ンの混入により過酸化水素が分解されたものと考えら
れ、遷移金属の含有量が0.6ppm以下と低い実施例
1〜7の各研磨用組成物では、遷移金属により過酸化水
素分解されず、銅および窒化タンタルに対する大きな研
磨速度を維持できることがわかる。
【0061】実施例8〜21および比較例3 <研磨用組成物の内容および調製>研磨材としてゾルゲ
ル法にて作製し表2に示す各種の一次粒子径のコロイダ
ルシリカと、防食剤としてベンゾトリアゾールと、表1
に示す各種の酸とを表2に示す割合で配合されるように
水に混合し、その後、混合液のpHが2〜5の範囲内に
なるようにpH調整剤として水酸化カリウム(KOH)
を添加し、さらに、酸化剤として過酸化水素を表2に示
す割合で配合されるように研磨直前に混合して実施例8
〜21および比較例3の研磨用組成物を調製した。な
お、過酸化水素は市販の31%水溶液を用いた。そし
て、調製された実施例8〜21および比較例3の各研磨
用組成物を用いて、実施例1と同様に研磨試験を行い、
銅、窒化タンタルおよびTEOSの各研磨速度を求める
とともに、研磨後の加工面状態の評価を行った。得られ
た結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】上記表1の酸が同一の実施例の結果を含め
て実施例2の結果をみると、表2から明らかなように、
研磨材の一次粒子径が異なる実施例7〜9および比較例
3においては、20nmを越える一次粒子径の研磨材を
用いた比較例3のTEOS膜の研磨速度が大きくなり、
選択比(窒化タンタル膜研磨速度/TEOS膜研磨速
度)が1.8と低くなって、TEOS膜(絶縁膜)に対
する研磨が十分抑制できないことがわかる。これに対し
て、20nm以下の一次粒子径の研磨材を用いた実施例
7〜9のTEOS膜の研磨速度は小さく、選択比(窒化
タンタル膜研磨速度/TEOS膜研磨速度)も例えば実
施例8では42.5と大きくなって、銅膜および窒化タ
ンタル膜に対する研磨を促進し、TEOS膜(絶縁膜)
に対する研磨を十分抑制できることがわかる。
【0064】また、研磨材の含有量が異なる実施例3,
10〜13においては、上述した研磨材の含有量の範
囲、1〜10重量%に含まれる実施例3,11,12
は、TEOS膜の研磨速度が小さく高い選択比が得ら
れ、機械的研磨が十分であることがわかり、他の実施例
10,13よりも好ましいことがわかる。
【0065】さらに、ベンゾトリアゾールの含有量が異
なる実施例2,14〜17においては、いずれも上述し
た含有量、0.1〜0.5重量%の範囲内に含まれ、銅
膜の研磨速度を所望の値まで減ずることができるととも
に、研磨後の銅膜表面の腐食を防止できることがわか
る。
【0066】過酸化水素の含有量が異なる実施例3,1
8〜21においては、上述した過酸化水素の含有量の範
囲、1〜5重量%に含まれる実施例3,19,20は、
銅膜と窒化タンタル膜との研磨速度のバランスが良く、
高い選択比(窒化タンタル膜研磨速度/TEOS膜研磨
速度)が得られ、化学的研磨が十分であることがわか
り、他の実施例18,21よりも好ましいことがわか
る。
【0067】
【発明の効果】本発明に係る研磨用組成物は、研磨材、
防食剤、酸化剤、酸、pH調整剤および水を含んでな
り、pHが2〜5の範囲内であって、さらに研磨材がコ
ロイダルシリカまたはフュームドシリカであり、研磨材
の一次粒子径が20nm以下であることを特徴とするも
のである。
【0068】これにより、銅膜およびタンタル含有化合
物を含む半導体デバイスの製造におけるCMP加工プロ
セスにおいて、銅膜およびタンタル含有化合物に対する
高い研磨速度と絶縁膜に対する低い研磨速度とを得るこ
とができ、高い選択比が得られ、高い歩留まりで半導体
デバイスの製造を行うことができる研磨用組成物を得る
ことができる。また、この研磨用組成物は、1研または
2研に用いることができる。
【0069】本発明に係る研磨用組成物は、遷移金属不
純物の含有量が10ppm以下であるので、遷移金属不
純物による酸化剤の作用の抑制を防ぐことができ、銅膜
およびタンタル含有化合物の研磨速度の低下を防ぐこと
ができる。
【0070】本発明に係る研磨用組成物は、研磨材の含
有量が組成物に対して1〜10重量%の範囲内であるの
で、銅膜およびタンタル含有化合物に対する高い研磨速
度と絶縁膜に対する低い研磨速度とを得ることができ、
高い選択比の研磨用組成物を得ることができる。
【0071】本発明に係る研磨用組成物は、防食剤がベ
ンゾトリアゾール誘導体で、ベンゾトリアゾール誘導体
がベンゾトリアゾールであり、含有量が0.1〜0.5
重量%の範囲内であるので、研磨後の銅膜表面の腐食を
抑制することができ、高い歩留まりで半導体デバイスの
製造を行うことができる研磨用組成物を得ることができ
る。
【0072】本発明に係る研磨用組成物は、酸化剤が過
酸化水素であり、過酸化水素の含有量が組成物に対して
1〜5重量%の範囲内であるので、銅膜およびタンタル
含有化合物を十分酸化することができ、最適な化学的研
磨を及ぼす研磨用組成物を得ることができる。
【0073】本発明に係る研磨用組成物は、酸が硝酸、
塩酸、硫酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ
酸、コハク酸、酪酸およびマロン酸からなる群から選ば
れる少なくとも1種類であり、酸の含有量が組成物に対
して0.1〜0.5重量%の範囲内であるので、銅膜に
対して最適な化学的研磨を及ぼす研磨用組成物を得るこ
とができる。
【0074】本発明に係る研磨用組成物は、pH調整剤
が水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウムからなる群
から選ばれる少なくとも1種類であり、pH調整剤の含
有量が酸を含有させた状態でpHを2〜5の範囲内に調
整する量であるので、銅膜に対する最適な化学的研磨を
及ぼす酸の作用を十分発揮できる研磨用組成物を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅のPourbaix図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊奈 克芳 愛知県岩倉市大地町半田30 グランドール 岩倉102号 (72)発明者 ダブリゥ.スコット レィダー アメリカ合衆国、97140 オレゴン州、サ ウスウエスト グリーンゲイト シャーウ ッド 17116 (72)発明者 デイビッド エム.シモ アメリカ合衆国、97006 オレゴン州、サ ウスウエスト リサ ドライブ アロハ 19425 (72)発明者 堀 哲二 愛知県岩倉市東町藤塚177 コスモハイツ 和佳101

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研磨材、防食剤、酸化剤、酸、pH調整
    剤および水を含んでなり、pHが2〜5の範囲内であっ
    て、さらに前記研磨材がコロイダルシリカまたはフュー
    ムドシリカであり、該研磨材の一次粒子径が20nm以
    下であることを特徴とする研磨用組成物。
  2. 【請求項2】 遷移金属不純物の含有量が10ppm以
    下であることを特徴とする請求項1記載の研磨用組成
    物。
  3. 【請求項3】 研磨材の含有量が組成物に対して1〜1
    0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の研磨用組成物。
  4. 【請求項4】 防食剤がベンゾトリアゾール誘導体であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の研
    磨用組成物。
  5. 【請求項5】 ベンゾトリアゾール誘導体がベンゾトリ
    アゾールであり、含有量が0.1〜0.5重量%の範囲
    内であることを特徴とする請求項4記載の研磨用組成
    物。
  6. 【請求項6】 酸化剤が過酸化水素であることを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれか記載の研磨用組成物。
  7. 【請求項7】 過酸化水素の含有量が組成物に対して1
    〜5重量%の範囲内であることを特徴とする請求項6記
    載の研磨用組成物。
  8. 【請求項8】 酸が硝酸、塩酸、硫酸、乳酸、酢酸、シ
    ュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酪酸およびマ
    ロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の研磨
    用組成物。
  9. 【請求項9】 酸の含有量が組成物に対して0.1〜
    0.5重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1
    乃至8のいずれか記載の研磨用組成物。
  10. 【請求項10】 pH調整剤が水酸化カリウムおよび水
    酸化アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1
    種類であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか
    記載の研磨用組成物。
  11. 【請求項11】 pH調整剤の含有量が酸を含有させた
    状態でpHを2〜5の範囲内に調整する量であることを
    特徴とする請求項1乃至10のいずれか記載の研磨用組
    成物。
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