JP4156137B2 - 金属膜用研磨剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な研磨剤に関する。詳しくは、金属膜の研磨特性に優れ、且つ金属膜の溶解特性が低く抑えられた研磨剤を提供する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴って、配線技術は益々微細化かつ多層化の方向に進んでいる。そして、上記配線技術の多層化により半導体基板表面の段差は大きくなり、その結果、その上に形成される配線の加工精度や信頼性を低下させ、微細化を妨げるという問題を有する。
上記の多層化による問題点を解決するために、配線パターンや電極等(以下、配線等という)が形成された層を平坦化し、その上にさらに配線等を形成する技術が開発されている。即ち、半導体基板の表面に金属配線用の凹部を有する絶縁膜を形成し、その上にバリア膜を介して該凹部を埋めるように金属膜を形成した後、凹部以外に存在する金属膜及びバリア膜を研磨によって除去して絶縁膜と凹部に存在する金属膜との平坦化された面を形成する方法である。
【0003】
上記技術において、バリア膜は、金属膜として用いるアルミニウムや銅が絶縁膜中に拡散するのを防止し、且つそれら金属膜の半導体基板表面への密着性を良くする機能を有するものであり、一般に、窒化チタンや窒化タンタルなどが使用される。
【0004】
上記研磨方法は、高い研磨性能を実現するため、機械的な研磨とそれを促進するような化学反応とを併用する方法が採られる。この方法は、化学機械研磨(以下、CMPと略記する)法と呼ばれ、金属膜、絶縁膜、バリア膜等の研磨対象に応じて使用する研磨剤の組成が種々提案されている。上記研磨剤の一般的な組成は、研磨砥粒と薬剤とよりなる。
【0005】
金属膜用研磨剤、特に銅系の金属を使用した基板に有用な研磨剤は、アルミナ砥粒を使用し、これに薬剤として過酸化水素、塩酸、硫酸等の無機酸(無機酸類)又はその塩やシュウ酸、リン酸等の有機酸又はその塩(有機酸類)などの酸類及び、金属の溶解を防止するためのベンゾトリアゾール等の防食剤を含む組成が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記金属膜用研磨剤は、研磨砥粒としてアルミナを用いているため、研磨後の研磨傷(スクラッチ)の発生が懸念される。
【0007】
また、アルミナとの組み合わせにおいて、例えば、シュウ酸アンモニウムの如き有機酸類を使用した場合、研磨速度を向上させるために数重量%の濃度が必要となる。そのため、研磨対象の金属が溶解し、配線として残したい絶縁膜表面の凹部を埋めた金属までが薄くなる現象(以下、この現象をディッシングという)が発生し易くなる。このディッシングが起こると配線不良が発生し易くなるため、ディッシングの発生をできる限り抑える必要がある。ディッシングを抑えるために前記ベンゾトリアゾールなどの、いわゆる防食剤が添加されるが、これを多量に添加すると、金属膜の研磨速度が極端に低下し過ぎて実用上問題となる場合がある。
【0008】
以上のように、スクラッチ、研磨速度、ディッシングの問題を両立させることは難しく、これらの問題を解決した金属膜用研磨剤の開発が待たれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、上記金属膜用研磨剤の系における研磨砥粒としてシリカ粒子を用い、有機酸類の濃度とpHとを特定の範囲に調整した研磨剤が、スクラッチを発生させること無く金属膜を実用的な研磨速度で研磨でき、且つディッシングも起こし難いことを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、半導体基板表面に絶縁膜、バリア膜及び金属膜を所定のパターンで積層し、これを研磨する工程を有する半導体デバイスの製造方法において、当該研磨として、
(1)シリカ粒子、有機酸類、酸化剤及び水よりなり、有機酸類の濃度が0.01〜0.1当量/lの範囲であり、且つ、pHが5〜8の範囲である第一の研磨剤を用いてバリア膜が露出するまで研磨する第一段研磨を行い、次いで、
(2)シリカ粒子と水よりなり、pHが5〜8の範囲である第二の研磨剤を用いて絶縁膜が露出するまで研磨する第二段研磨を行う、
少なくとも2段階の研磨を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る研磨剤について詳細に説明する。
【0012】
本発明は、砥粒としてシリカ粒子を使用することが重要である。即ち、砥粒として他の種類の砥粒、例えば、アルミナを使用した場合は、スクラッチの発生が多いという問題がある。CMP研磨工程においてスクラッチが発生すると、デバイスの配線が断線したりショートしたりするため、デバイスの歩留まりを大幅に低下させる原因となる。したがって、スクラッチを発生させないことは極めて重要である。
【0013】
本発明に使用されるシリカ粒子としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、火炎中で四塩化ケイ素やシラン系ガスを燃焼させて製造されるヒュームドシリカ、アルコキシシランを原料に用いて加水分解して製造されるゾル−ゲルシリカ(以下、高純度コロイダルシリカともいう)、珪酸ソーダを原料にして鉱酸で中和して製造される沈殿法シリカ、同じく珪酸ソーダを原料にしてオストワルド法で製造されるコロイダルシリカなどが挙げられる。
【0014】
また、上記シリカ粒子の比表面積は特に限定されないが、20〜250m2/gの範囲が好適である。即ち、比表面積が20m2/gよりも小さくなると、シリカ粒子が沈降し易くなる傾向にある。一方、比表面積が250m2/gよりも大きい場合、研磨剤が不安定性になる場合がある。なお、シリカ粒子の比表面積が20〜100m2/gの範囲のときは、研磨剤の安定性に優れており、特に好適である。
【0015】
本発明の金属膜用研磨剤における上記シリカ粒子の濃度は0.1〜30重量%の範囲が良く、好ましくは0.1〜20重量%の範囲が最適である。シリカ粒子の濃度が0.1重量%よりも小さいと、金属膜の研磨速度が低下し、30重量%よりも大きい場合には、研磨剤がゲル化するなど研磨剤の安定性が低下する場合がある。なお、シリカ粒子の濃度が0.1〜5重量%の範囲では、シリカ粒子の比表面積に依らず、バリア膜に対する金属膜の選択比が高く、金属膜を選択的に研磨する際には好適である。
【0016】
本発明に用いる有機酸類としては公知のものが使用できる。例えば、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酪酸などの酸及びこれと塩基性化合物との反応物である有機酸塩が挙げられる。これらの中でも、シュウ酸は金属膜に対する溶解性が低く、極めて好ましく採用される。即ち、有機酸類としてシュウ酸を使用した場合には、金属膜の研磨速度を十分維持しながら、研磨がバリア膜に達した際における、金属膜の溶解を効果的に防止でき、前記絶縁膜凹部における金属膜のディッシングを防止するのに適している。なお、有機酸類の代わりに、塩酸や硫酸などの無機酸類を使用した場合には、一般的にディッシング特性が悪かったり、研磨速度が不十分だったりする傾向にある。
【0017】
また、上記有機酸塩を形成するための塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物が使用できる。例えば、アンモニア、KOH、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、プロパンジアミン、ピペラジン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、リシン、アルギニン等が挙げられる。上記の中でも、金属膜の溶解性(ディッシング)が低く、且つ十分な金属膜の研磨速度を出すことができる塩基性化合物としては、アンモニアが極めて好適に採用できる。
【0018】
さらに、本発明の金属膜用研磨剤においては、上記有機酸類を研磨剤1リットル中に0.01〜0.1当量、好ましくは0.02〜0.08当量/lの範囲で含んでいることが極めて重要である。
【0019】
本発明者らは、砥粒としてシリカ粒子を用い、中性付近の研磨剤を調製した場合、シュウ酸アンモニウム等の塩が0.1当量/lを上回るような高濃度で添加するとシリカ粒子の凝集が著しくなり、研磨剤がゲル化したり、それによってスクラッチが発生し易くなったりすることを見い出した。
即ち、研磨剤中の有機酸類の濃度が0.1当量/lを超えるとシリカ粒子が凝集し易くなり、研磨剤が不安定になったり、凝集したシリカ粒子によって金属膜表面にスクラッチが発生し易くなる。また、0.01当量/l未満では金属膜の研磨速度が低い。
【0020】
本発明において、研磨剤のpHを5〜8の範囲に調整することが金属膜の溶解性を抑えたり、研磨速度を高く維持するために重要であり、pHの調整には前記塩基性化合物が特に制限無く使用される。該塩基性化合物は、研磨剤のpHを5〜8の範囲に調整するのに必要な量だけ添加すれば良い。
【0021】
なお、塩基性化合物にアンモニアを使用した場合は、金属膜のディッシングを抑えつつ、且つ金属膜表面の仕上がり状態を更に向上させるために、アンモニアと一緒に前述したトリエタノールアミン等のアミン類を少量添加することも好ましい態様である。該アミン類の添加量は、塩基性化合物に対するモル分率で1〜30%の範囲で添加することが好ましい。アミン類の添加量が30%を越えると金属膜の溶解速度が大きくなる場合がある。アミン類を少量添加することによって金属膜表面の仕上がり状態が向上するのは、少量のアミンによって金属膜表面が多少溶解し易くなることによるものと推測される。
【0022】
本発明の金属膜用研磨剤において、酸化剤は金属膜を実用的な研磨速度で研磨するために必要である。かかる酸化剤は、特に制限無く公知のものが使用できる。例えば、過酸化物、過塩素酸塩、過硫酸塩、過よう素酸塩、酸化性金属塩、酸化性金属錯体などが挙げられる。それらの中でも、取り扱いやすさ、純度等のうえで過酸化水素、過硫酸アンモニウムが好ましく採用される。
【0023】
また、本発明の金属膜用研磨剤において、上記酸化剤の濃度は0.1〜10重量%の範囲が良く、好ましくは0.2〜6重量%の範囲が適当である。酸化剤の濃度が0.1重量%未満であると研磨速度が低い傾向があり、且つ金属膜のディッシングが起こり易くなる傾向にある。また、酸化剤の濃度が10重量%を越えても研磨速度の向上効果はあまり見られない場合が多く、濃度の高い酸化剤を使用することは危険性の面でも問題があり、また廃水処理の負担が増えるなどの問題が生じることが懸念される。
【0024】
本発明の金属膜用研磨剤のpHは、5〜8の範囲が好適である。pHが5未満であったり、8を超えたりすると金属膜の溶解性(ディッシング特性)が悪くなる場合がある。
【0025】
なお、本発明の研磨剤には、必要に応じて公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、界面活性剤、防食剤、水溶性高分子類、アルコール類、安定剤、沈降防止剤等である。但し、ベンゾトリアゾール等の防食剤を添加する場合は、その濃度は100ppm以下、好ましくは80ppm以下がより好ましい。100ppmを超えて添加した場合には、金属膜の研磨速度が大幅に低下し、実用に供し得ない場合がある。
【0026】
本発明の金属膜用研磨剤の使用において、各成分の添加順序は特に制限されるものではなく、使用時、即ち、研磨時に全成分が含まれていればよい。しかし、一般に、酸化剤は空気中に放置しておくと徐々に分解して、その酸化力が低下する場合が多いので使用時に添加することが望ましい。
【0027】
なお、これまでに述べてきた、シリカ粒子、有機酸類、酸化剤の各濃度は、主に研磨剤として使用する時の最適な濃度範囲を述べており、上述した濃度よりも高いものを製造して、使用時に純水で希釈して使用しても何ら問題はない。
【0028】
ところで、研磨剤を使用した半導体デバイスの製造は、半導体基板表面に絶縁膜、バリア膜及び金属膜を所定のパターンで積層し、これを研磨することによって行われる。
【0029】
上記半導体基板は、ICやLSIなどの半導体デバイスに使用されるシリコン基板が代表的であるが、ゲルマニウムや化合物半導体などの半導体基板も使用される。
【0030】
また、絶縁膜とは配線層間の電気的分離に用いられるものであって、絶縁性のものであれば特に制限はない。一般には、酸化シリコン膜(プラズマ−TEOS膜やSOG膜と呼ばれているものなど)や有機SOG膜等が使用される。
【0031】
更に、バリア膜は配線用金属の絶縁膜中への拡散を防止すると共に、金属膜の絶縁膜への密着性を良くするために絶縁膜と金属膜の間に形成される薄膜であって、タンタル膜、窒化タンタル膜、チタン膜、窒化チタン膜、窒化タングステン膜などが挙げられる。中でも、窒化チタン膜や窒化タンタル膜が好適である。
【0032】
更にまた、金属膜は、配線パターンや電極を形成するための配線材料であり、アルミニウム膜、銅膜、タングステン膜などが挙げられる。本発明の金属膜用研磨剤は、特に、銅膜に対して顕著な効果を発揮する。
【0033】
本発明の研磨剤を使用した代表的な研磨方法を図1に従って詳細に説明する。
【0034】
前記半導体基板表面に形成される絶縁膜に設けられる凹部Aは、配線等を形成するために絶縁膜上に形成される溝や接続孔である。
【0035】
先ず、(a)上記凹部Aを有する絶縁膜2上に順次積層されたバリア膜3及び金属膜4を(b)本発明の金属膜用研磨剤を使用して選択的に研磨することにより、バリア膜3の存在する位置で研磨を停止させる(以下、この研磨を第一段研磨といい、これに使用する研磨剤を第一の研磨剤という)。
【0036】
第一段研磨においては、本発明の金属膜用研磨剤を用いることにより、スクラッチやディッシングの発生を抑えながら金属膜を選択的に除去できるため、バリア膜と金属膜とよりなる平坦な表面を形成することができる。
【0037】
次いで、(c)第一の研磨剤とは選択比が異なる研磨剤(以下、第二の研磨剤という)を使用してバリア膜と金属膜を同時研磨し(以下、第二段研磨という)、更に必要に応じて、金属膜、バリア膜及び絶縁膜を同時研磨する(以下、第三段研磨という)。
【0038】
本研磨方法においては、第一段研磨において金属膜の研磨を選択的に行う必要がある。そのためには、本発明の金属膜用研磨剤の内、特に選択比(金属膜/バリア膜の研磨速度比)の高い研磨剤を使用することが望ましい。金属膜の研磨を選択的に行うためには、上記選択比は5以上が好ましく、更に好ましくは10以上が好適である。具体的には、研磨剤中のシリカ粒子の含有量を10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下にすることにより金属膜の研磨を選択的に行うことが可能である。
【0039】
第一段研磨において研磨剤で金属膜を除去した後の被研磨面には、バリア膜と凹部に埋められた金属膜が露出した状態で存在する。
【0040】
第二の研磨剤は、該被研磨面からバリア膜を除去する必要があるため、第一段研磨とは逆に、金属膜に対してバリア膜を同等以上の研磨速度で研磨することが望ましい。従って、金属膜とバリア膜との選択比(金属膜/バリア膜の研磨速度比)は1以下が好ましく、さらに好ましくは0.7以下である。
【0041】
上記選択比が1を超えるとバリア膜よりも金属膜が研磨されすぎる場合があり、ディッシング特性が低下する可能性がある。
【0042】
また、第二の研磨剤は、シリカ粒子と水よりなる研磨剤が好ましく、さらに比表面積が10〜80m2/gの範囲のシリカ粒子を用いた場合には、バリア膜の研磨速度が高いため好ましい。さらに好ましくは、ゾル−ゲル法などの液相中で合成され、且つ乾燥工程を経ずに製造されたシリカ粒子を用いることが好ましい。
【0043】
即ち、液相中で合成されたシリカ粒子は分散性に優れており、且つ粒子の形状が球状で軟らかいため、研磨の際に研磨対象のスクラッチの発生が非常に少ないという特徴がある。
【0044】
なお、半導体基板上に形成するバリア膜の厚みは、一般的に100〜500オングストロームの範囲にあることが多いため、第二の研磨剤のバリア膜に対する研磨速度は50〜1000オングストローム/minの範囲、好ましくは200〜500オングストローム/minの範囲にある方が制御し易く、バリア膜の除去に要する時間は2分以内、好ましくは1分以内であることがさらに好ましい。
【0045】
上記研磨速度が50オングストローム/min未満では生産性が低下する場合があり、1000オングストローム/min以上ではバリア膜のみならず、その下部の絶縁膜または配線の金属膜まで研磨してしまう場合があり、所望の位置で研磨を停止することが難しくなり、制御性が低下する場合がある。
【0046】
かかる研磨特性を達成するため、第二の研磨剤中のシリカ粒子の濃度としては1〜20重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲が好ましい。バリア膜の研磨においてはシリカ粒子の機械的作用によって研磨する場合が多いため、シリカ粒子の濃度を変えることにより、上記の所望の研磨速度に制御することができる。
【0047】
また、第二の研磨剤は、pHが5〜8の範囲、好ましくは6〜8の範囲にある場合には、金属膜と絶縁膜とをほぼ同じ研磨速度で研磨できる傾向があり、好適である。研磨剤のpHが5未満では金属膜の研磨速度が、8を超えると絶縁膜の研磨速度が、バリア膜の研磨速度と比較してそれぞれ著しく高くなる場合がある。そのような場合には、金属膜や絶縁膜にディッシングが発生し易くなり、半導体基板表面の平坦性が低下する場合がある。また、pHが5未満または8を超えた場合には、金属膜が腐食し易くなる傾向にある。
【0048】
上記で説明したように、シリカ粒子と水よりなる第二の研磨剤で研磨することによって、バリア膜を効率的に除去可能で、且つ半導体基板の表面を高度に平坦に仕上げることが可能である。
【0049】
また、第二の研磨剤には、本発明の金属膜用研磨剤の構成成分である有機酸類、酸化剤などを極少量添加することや、界面活性剤や水溶性高分子などの添加剤を加えることもできる。
【0050】
また、バリア膜と金属膜との研磨、即ち、第二段研磨に次いで、必要に応じて、第三段研磨が行われる。かかる研磨に使用される第三の研磨剤は、金属膜、バリア膜及び絶縁膜をほぼ等しい研磨速度で研磨できることが好ましい。特に好ましくは、絶縁膜に対する金属膜とバリア膜との選択比(金属膜/絶縁膜研磨速度比及びバリア膜/絶縁膜研磨速度比)は、好ましくは、0.3〜3、さらに好ましくは0.5〜2、特に、0.8〜1.2である。
【0051】
上記範囲を超えると、どちらかの膜が選択的に研磨され、ディッシングが発生し易くなる。
【0052】
上記第三の研磨剤は、公知の研磨剤より上記選択比のものを選択して使用しても良いし、第二の研磨剤の中から、上記選択比のものを選択して使用しても良い。後者の場合、第二段研磨と第三段研磨を連続して行うことができ好ましい。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の研磨剤は、スクラッチの発生を抑えつつ、2000オングストローム/min以上の実用的な研磨速度を示し、さらに金属膜に対する溶解性が低いという特徴を有する。
【0054】
また、本発明の研磨剤は、半導体基板表面に金属配線用の凹部を有する絶縁膜を形成し、その上にバリア膜を介して該凹部を埋めるように金属膜を形成した後、金属膜及びバリア膜を研磨することにより除去して絶縁膜と凹部に存在する金属膜との平坦化された面を形成するに際し、上記金属膜の研磨を選択的に行うことができる。
【0055】
さらに、上記の方法によって金属膜を選択的に研磨した後、次いで、シリカ粒子と水よりなる研磨剤を使用して金属膜及びバリア膜を同時研磨し、さらに、金属膜、バリア膜及び絶縁膜を同時研磨することによって、極めて平坦性の高い半導体基板表面を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
(研磨試験)
銅(Cu)膜あるいは窒化タンタル(TaN)膜あるいは酸化シリコン(SiO2)膜が表面に形成された4インチのシリコンウェハを用いて研磨試験を行った。研磨パッドにはロデール製のIC1000/SUBA400を用い、加工圧力300g/cm2、定盤回転数40rpm、研磨剤の滴下速度80ml/minの条件で研磨試験を行い、研磨速度を求めた。
(溶解性試験)
Cu膜が表面に形成されたシリコンウェハを用いて溶解性の試験を行った。研磨剤中に試験片を浸漬し、それらの入った容器を50℃に保持された恒温振盪器中に入れた。10分後に恒温振盪器から取出した後、直ちにウエハを研磨剤中から純水中に移し、表面に残存する研磨剤を洗い流した。浸漬前後のCu膜の膜厚変化から研磨剤に対するCu膜の溶解速度を求めた。
【0057】
なお、Cu膜の溶解速度が10オングストローム/min以下のときは、測定精度上の問題から、10オングストローム/min以下と表記した。
参考例1及び参考比較例1
シリカ粒子として比表面積が30m2/gの高純度コロイダルシリカ、酸化剤として過酸化水素、有機酸類としてシュウ酸を用いて数種類の研磨剤を調製し、評価した。なお、シリカ粒子は2重量%、過酸化水素は0.25重量%、シュウ酸は0〜5400ppm(0〜0.12当量/l)の範囲で数種類の研磨剤を調製し、それぞれアンモニアを適量加えてpH約7に調整した。
【0058】
試験の結果を表1に示した。なお、No.1と4は参考比較例である。
【0059】
シュウ酸を添加しない場合はCu膜をほとんど研磨できず、シュウ酸の含有量が1800ppm(0.04当量/l)〜3600ppm(0.08当量/l)の範囲では実用的な2000オングストローム/min以上の十分な研磨速度を出せることがわかった。一方、シュウ酸の含有量が5400ppm(0.12当量/l)ではCu膜の研磨速度は十分であったが、Cu膜の溶解速度が大きいことがわかった。Cu膜の溶解速度が大きい場合はディッシングが大きくなったり、Cu膜の表面荒れが発生することが懸念されるため、Cu膜の溶解速度としては200オングストローム/min以下、好ましくは100オングストローム/min以下が更に好ましい。
【0060】
シュウ酸の含有量が3600ppm以下では、研磨後のCu膜の表面を光学顕微鏡で観察してもスクラッチが発生していなかったのに対して、5400ppmの場合は、目視で確認できるようなスクラッチが多数発生した。また、シュウ酸の含有量が3600ppm以下では、研磨剤は2週間以上安定であったが、5400ppmでは1週間以下に研磨剤の粘度が上昇し、ゲル化する傾向が見られた。
【0061】
したがって、実用的な研磨速度でCu膜が研磨でき、且つスクラッチが発生し難く、Cu膜の溶解速度が低い有機酸類の濃度としては、0.01〜0.1当量/lの範囲が好適であることがわかった。
【0062】
【表1】
参考例2及び参考比較例2
アンモニアの添加量を種々変えて、pHの異なる研磨剤を調製した以外は、参考例1のNo.3と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0063】
試験の結果を表2に示した。尚、No.1と5は参考比較例である。
【0064】
pHが5〜8の範囲では、Cu膜の研磨速度、溶解速度とも優れていたが、上記範囲を外れると溶解速度が大きくなったり、研磨速度が低下することがわかった。
【0065】
【表2】
参考例3
シリカ粒子として比表面積の異なる各種のシリカを用い、更にシリカ粒子の含有量も変えた以外は参考例1のNo.3と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0066】
研磨試験の結果を表3に示した。
【0067】
30〜200m2/gの範囲のシリカ粒子を用いて試験したが、どのシリカを用いてもCu膜は実用的な2000オングストローム/min以上の研磨速度を示し、またバリア膜に対する選択比(Cu/TaN)は10以上を示すことがわかった。Cu膜の溶解速度はどのシリカを用いても差はなく、良好であった。
【0068】
【表3】
参考比較例3
シュウ酸の代わりに硫酸と塩酸を用いた以外は参考例1のNo.3と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0069】
試験の結果を表4に示した。尚、No.2と3は参考比較例である。
【0070】
硫酸や塩酸のような無機酸ではCu膜の研磨速度が低く、また塩酸の場合はCu膜の溶解速度も高いことがわかった。
【0071】
【表4】
参考例4
酸化剤として過酸化水素の代わりに過硫酸アンモニウムを0.5重量%添加した以外は参考例1のNo.3と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0072】
試験の結果を表5に示した。
【0073】
酸化剤として過硫酸アンモニウムを使用した場合もCu膜を実用的な研磨速度で研磨でき、またCu膜の溶解速度も低いことがわかった。
【0074】
【表5】
参考例5および参考比較例4
参考例1のNo.3の研磨剤に防食剤としてベンゾトリアゾール(BTA)を所定の濃度で添加して各種の研磨剤を調製し、試験した。
【0075】
試験の結果を表6に示した。尚、No.4は参考比較例である。
【0076】
BTAの添加量が増すとCu膜の溶解速度が低下する傾向を示したが、同時に研磨速度が著しく低下する傾向を示した。上記結果より、本発明の研磨剤にBTA等の防食剤を添加する場合は、その添加量は100ppm以下、好ましくは80ppm以下がさらに好適であることがわかった。
【0077】
【表6】
実施例1
参考例1のNo.3の研磨剤を第一の研磨剤として使用した。また、比表面積が30m2/gの高純度コロイダルシリカと水を所定量混合し、シリカの濃度が7重量%の中性(pH6.8)の第二の研磨剤を調製した。
【0078】
シリコンウエハ表面に形成されたSiO2膜上に幅100μmの配線用溝が100μmの間隔で形成され、その上に厚さ約200オングストロームのTaN膜と厚さ約1.2μmのCu膜が順次積層されたTEGウエハを用いて、そのシリコンウエハ表面をまず第一の研磨剤で約2分間研磨した。その結果、SiO2膜配線溝以外の部分の上にあるCu膜が除去され、TaN膜と配線溝のCu膜が露出した状態となった。続いて、第二の研磨剤で約1分間研磨を行ったところ、TaN膜が除去され、配線溝以外の部分のSiO2膜と配線溝のCu膜が露出した状態になった。
【0079】
研磨後のシリコンウエハ表面を電子顕微鏡で観察したところ、スクラッチやディッシングは見られず、配線溝以外の部分のSiO2膜と配線溝のCu膜の表面にはほとんど段差は無く、平坦な表面が形成されていることが確認できた。
【0080】
以上の結果より、本発明の第一及び第二の金属膜用研磨剤を用いた2段階の研磨によって、極めて平坦な半導体基板表面が形成できることがわかった。
【0081】
なお、参考のために、第一の研磨剤、第二の研磨剤のCu膜、TaN膜、SiO2膜に対するそれぞれの研磨速度を表7に示した。これからわかるように、ここで用いた第一の研磨剤はバリア膜に対して金属膜を選択的に研磨でき、第二の研磨剤はバリア膜を金属膜と同等以上の研磨速度で研磨できることがわかる。
【0082】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研磨剤を用いた研磨方法の代表的な態様を示す概略図
【符号の説明】
A 凹部
1 半導体基板
2 絶縁膜
3 バリア膜
4 金属膜
Claims (2)
- 半導体基板表面に絶縁膜、バリア膜及び金属膜を所定のパターンで積層し、これを研磨する工程を有する半導体デバイスの製造方法において、当該研磨として、
(1)シリカ粒子、有機酸類、酸化剤及び水よりなり、有機酸類の濃度が0.01〜0.1当量/lの範囲であり、且つ、pHが5〜8の範囲である第一の研磨剤を用いてバリア膜が露出するまで研磨する第一段研磨を行い、次いで、
(2)シリカ粒子と水よりなり、pHが5〜8の範囲である第二の研磨剤を用いて絶縁膜が露出するまで研磨する第二段研磨を行う、
少なくとも2段階の研磨を行うことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。 - 第二の研磨剤に配合されるシリカ粒子の比表面積が10〜80m 2 /gである請求項1記載の半導体デバイスの製造方法。
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