JP4657408B2 - 金属膜用研磨剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な金属膜用研磨剤に関する。詳しくは、過酸化水素を酸化剤として使用した金属膜用研磨剤において、研磨時にディッシングを起こし難く且つ高い研磨速度を有するという優れた特性を有する金属膜用研磨剤を提供する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴って、配線技術は益々微細化かつ多層化の方向に進んでいる。そして、上記配線技術の多層化により半導体基板表面の段差は大きくなり、その結果、その上に形成される配線の加工精度や信頼性を低下させ、微細化を妨げるという問題を有する。
【0003】
上記の多層化による問題点を解決するために、配線パターンや電極等(以下、配線等という)が形成された層を平坦化し、その上にさらに配線等を形成する技術が開発されている。
【0004】
即ち、半導体基板の表面に金属配線用の凹部を有する絶縁膜を形成し、その上にバリア膜を介して該凹部を埋めるように金属膜を形成した後、凹部以外に存在する金属膜及びバリア膜を研磨によって除去して絶縁膜と凹部に存在する金属膜との平坦化された面を形成する方法である。
【0005】
上記方法において、バリア膜は、金属膜として用いるアルミニウムや銅が絶縁膜中に拡散するのを防止し、且つそれら金属膜の半導体基板表面への密着性を良くする機能を有するものであり、一般に、窒化チタンや窒化タンタルなどが使用される。
【0006】
また、上記方法は、高い研磨性能を実現するため、機械的な研磨とそれを促進するような化学反応とを併用する研磨方法が採られる。この研磨方法は、化学機械研磨(以下、CMPと略記する)法と呼ばれ、金属膜、絶縁膜、バリア膜等の研磨対象に応じて使用する研磨剤の組成が種々提案されている。上記研磨剤の一般的な組成は、研磨砥粒と薬剤とよりなる。
【0007】
金属膜用研磨剤、特に銅系の金属を使用した基板に有用な研磨剤としては、アルミナ砥粒等の金属酸化物砥粒を使用し、これに薬剤として酸化剤及び、酒石酸やシュウ酸等の塩、及び金属の溶解により金属部分が優先的に浸食されて起こるディッシングを防止するためのベンゾトリアゾール等の防食剤を含む水系スラリーよりなるものが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記金属膜用研磨剤は、ディッシングを防止するための防食剤を必要とし、その添加量に比例して金属膜の研磨速度が低下するという問題を有する。
【0009】
また、上記金属膜用研磨剤は、研磨砥粒としてはアルミナ粒子が一般に使用されるが、研磨後の研磨傷(スクラッチ)の発生が懸念される。
【0010】
一方、上記金属膜用研磨剤における酸化剤として、過酸化水素は、取扱性、研磨後の排水処理等において他の酸化剤と比して有利であり、好適に使用されている。
【0011】
従って、本発明の目的は、研磨時のディッシングを有効に防止しながら、高い研磨速度を達成することができ、しかも、スクラッチの発生が抑えられた金属膜用研磨剤を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、前記金属酸化物砥粒、酸化剤、塩及び防食剤の水系スラリーよりなる研磨剤において、酸化剤として過酸化水素を使用し、研磨剤中におけるその濃度を2重量%以上という比較的高い濃度に調整することによって、特に防食剤を添加しなくてもディッシングが効果的に減少でき、更に、これに無機アンモニウム塩を塩として添加し、研磨剤を特定のpHのアルカリ側に調整することによって研磨速度が著しく向上することができ、本発明の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、化学機械研磨法に用いる研磨剤であって、シリカ粒子、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及びリン酸アンモニウムよりなる群より選ばれた少なくとも一種である無機アンモニウム塩、過酸化水素及び水よりなり、該過酸化水素の濃度が2〜6重量%、及び該無機アンモニウム塩を0.4〜1.0重量%の範囲で含有し、且つ、pHが8.8〜9.9の範囲であるシリカスラリーよりなることを特徴とする銅膜用研磨剤(以下、金属膜用研磨剤ということもある。)である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る研磨剤について詳細に説明する。
【0015】
本発明においては、砥粒としてシリカ粒子を使用することが、スクラッチを防止するため、及び研磨剤の安定性のために重要である。即ち、砥粒として他の種類の砥粒、例えば、アルミナ粒子はCMP研磨工程においてスクラッチが発生し易く、スクラッチが発生すると、デバイスの配線が断線したりショートしたりする場合があり、デバイスの歩留まりを低下させる原因となる。また、本発明の研磨剤は、後記のように、pHが8.5以上のアルカリ側で用いられるが、該pH範囲においてもシリカ粒子はアルミナ粒子と異なり、殆ど凝集せずに安定である。
【0016】
上記シリカ粒子としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、火炎中で四塩化ケイ素やシラン系ガスを燃焼させて製造されるヒュームドシリカ、アルコキシシランを原料に用いて加水分解して製造されるゾル−ゲルシリカ(以下、高純度コロイダルシリカともいう)、珪酸ソーダを原料にして鉱酸で中和して製造される沈殿法シリカ、同じく珪酸ソーダを原料にしてオストワルド法で製造されるコロイダルシリカなどが挙げられる。
【0017】
上記の中でも、ヒュームドシリカや高純度コロイダルシリカは純度が高いため、半導体デバイス用の金属膜用研磨剤としては好適である。
【0018】
また、上記シリカ粒子の比表面積は特に限定されないが、20〜400m2/gの範囲が好適である。即ち、比表面積が20m2/gよりも小さくなると、シリカ粒子が沈降し易くなる傾向にある。一方、比表面積が400m2/gよりも大きい場合、研磨剤中のシリカ粒子がゲル化し易くなる場合がある。
【0019】
本発明の金属膜用研磨剤において、上記シリカ粒子の濃度は0.5〜20重量%の範囲が良く、1〜10重量%の範囲が最適である。シリカ粒子の濃度が0.5重量%よりも小さい場合、金属膜の研磨速度が低下する傾向があり、20重量%よりも大きい場合には、研磨剤がゲル化するなどの問題が発生する場合がある。
【0020】
本発明において、無機アンモニウム塩を使用することにより、金属膜の研磨速度を高め、しかも、金属膜の溶解速度を低く抑え、研磨時のディッシングを抑える効果を発揮する。
【0021】
上記無機アンモニウム塩としては公知のものが使用できる。好適な代表例を例示すると、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、臭化アンモニウム、フッ化アンモニウム、過塩素酸アンモニウム等が挙げられる。また、上記無機アンモニウム塩のアンモニアの一部を水素で置き換えた塩類も同様に使用できる。
【0022】
これらの無機アンモニウム塩のうち、研磨速度とディッシングの起こり易さの指標となる金属の溶解量との良好なバランスを有する炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及びリン酸アンモニウムが好ましい。
【0023】
上記塩の研磨剤中における濃度は、0.2〜2重量%の範囲が好ましい。かかる塩の濃度が0.2重量%未満では金属膜の研磨速度が低い場合がある。塩の濃度が2重量%を超えると金属膜の溶解速度が増加したり、研磨剤中のシリカ粒子が凝集し易くなったりする場合がある。
【0024】
尚、上記塩は、最初から塩の形で添加しても良いし、または酸性化合物と塩基性化合物とを別々に添加して研磨剤中で生成させて使用しても良い。
【0025】
本発明の金属膜用研磨剤は、酸化剤として過酸化水素を、研磨剤中におけるその濃度が2〜8重量%となるように使用することが、前記無機アンモニウム塩との組み合わせにおいて、金属膜のディッシングの抑制と、金属膜の研磨速度の向上を達成するために重要である。
【0026】
また、本発明の金属膜用研磨剤はpHが8.5〜10.2の範囲、更に好ましくは、9〜10の範囲に調整されることが、上記の過酸化水素濃度において研磨速度を高く維持するために極めて重要である。即ち、pHが8.5未満の場合、研磨速度が著しく低下し、実用的な研磨剤と成らない。一方、pHが10.2を超えると、たとえ過酸化水素の濃度を前記範囲に調整したとしても、金属膜の溶解性が高くなり、ディッシングが起こり易くなる傾向にある。
【0027】
本発明においては、金属膜用研磨剤のpHを上記範囲に調整するために、必要に応じて、公知の塩基性化合物を添加することができる。該塩基性化合物としては特に限定されないが、アンモニアや各種のアミン類やそれらの塩類が好適に採用できる。
【0028】
上記塩基性化合物の添加量は、その化合物の種類によって異なるために一概に決定できないが、金属膜用研磨剤のpHを前記範囲に調整するために必要な量を適宜添加すればよい。
【0029】
本発明の金属膜用研磨剤は、上述した組成によって研磨時のディッシングを十分に防止できる程に金属膜の溶解速度を低減することができるが、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で防食剤を添加することもできる。例えば、ベンゾトリアゾール等の防食剤を添加する場合、その濃度は100ppm以下、好ましくは80ppm以下がより好ましい。100ppmを超えて添加した場合には、金属膜の研磨速度が大幅に低下し、実用に供し得ない場合がある。
【0030】
また、本発明の金属膜用研磨剤には、必要に応じて、更に他の公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、界面活性剤、水溶性高分子類、アルコール類、安定剤、沈降防止剤等である。
【0031】
本発明の金属膜用研磨剤の製造方法において、各成分の添加順序は特に制限されるものではなく、研磨に供する時点で全成分が含まれていればよい。
【0032】
一般に、過酸化水素は金属膜用研磨剤中に存在させておくと、空気との接触やその他の成分との接触により徐々に分解して、その酸化力が低下する場合が多いので使用時に添加することが望ましい。
【0033】
具体的には、上記過酸化水素の分解を防止するために、研磨剤の主成分と過酸化水素とを分割して保存することが好ましい。
【0034】
即ち、本発明によれば、シリカ粒子、無機アンモニウム塩及び水よりなるA成分と過酸化水素よりなるB成分とに分割して保存した金属膜用研磨剤が提供される。
【0035】
上記A成分のpHは、B成分との混合後のpHが前記範囲となるように調整されればよい。B成分の添加によるpHの変動方向、変動幅は、これに含まれる過酸化水素の量によって異なるので、予め混合実験を行い、最適なpHを決定することが望ましい。
【0036】
なお、これまでに述べてきた、シリカ粒子、無機アンモニウム塩、過酸化水素の各濃度は、主に研磨剤として使用する時の最適な濃度範囲を述べており、上述した濃度よりも高いものを製造して、使用時に純水で希釈して使用しても何ら問題はない。
【0037】
ところで、研磨剤を使用した半導体デバイスの製造は、半導体基板表面に絶縁膜、バリア膜及び金属膜を所定のパターンで積層し、これを研磨することによって行われる。
【0038】
上記半導体基板は、ICやLSIなどの半導体デバイスに使用されるシリコン基板が代表的であるが、ゲルマニウムや化合物半導体などの半導体基板も使用される。
【0039】
また、絶縁膜とは配線層間の電気的分離に用いられるものであって、絶縁性のものであれば特に制限はない。一般には、酸化シリコン膜(プラズマ−TEOS膜やSOG膜と呼ばれているものなど)や有機SOG膜等が使用される。
【0040】
更に、バリア膜は配線用金属の絶縁膜中への拡散を防止すると共に、金属膜の絶縁膜への密着性を良くするために絶縁膜と金属膜の間に形成される薄膜であって、タンタル膜、窒化タンタル膜、チタン膜、窒化チタン膜、窒化タングステン膜などが挙げられる。中でも、窒化チタン膜や窒化タンタル膜が好適である。
【0041】
更にまた、金属膜は、配線パターンや電極を形成するための配線材料であり、アルミニウム膜、銅膜、タングステン膜などが挙げられる。本発明の金属膜用研磨剤は、特に、銅膜に対して顕著な効果を発揮する。
【0042】
本発明の金属膜用研磨剤を使用した代表的な研磨方法を図1に従って詳細に説明する。
【0043】
前記半導体基板表面に形成される絶縁膜に設けられる凹部Aは、配線等を形成するために絶縁膜上に形成される溝や接続孔である。
【0044】
先ず、(a)上記凹部Aを有する絶縁膜2上に順次積層されたバリア膜3及び金属膜4を(b)本発明の金属膜用研磨剤を使用して選択的に研磨することにより、バリア膜3の存在する位置で研磨を停止させる(以下、この研磨を第一段研磨といい、これに使用する研磨剤を第一の研磨剤という)。
【0045】
第一段研磨においては、本発明の金属膜用研磨剤を用いることにより、スクラッチやディッシングの発生を抑えながら金属膜を効率よく研磨できるため、バリア膜と金属膜とよりなる平坦な表面を形成することができる。
【0046】
次いで、(c)第一の研磨剤とは選択比が異なる研磨剤(以下、第二の研磨剤という)を使用してバリア膜と金属膜を同時研磨し(以下、第二段研磨という)、更に必要に応じて、金属膜、バリア膜及び絶縁膜を同時研磨する(以下、第三段研磨という)。
【0047】
本発明の金属膜用研磨剤は、選択比(金属膜/バリア膜の研磨速度比)の高い研磨剤であり、一般に、上記選択比は5以上、場合によっては、10以上を達成することが可能であり、上記第一の研磨剤に好適である。
【0048】
第一段研磨において研磨剤で金属膜を除去した後の被研磨面には、バリア膜と凹部に埋められた金属膜が露出した状態で存在する。
【0049】
第二の研磨剤は、該被研磨面からバリア膜を除去する必要があるため、第一段研磨とは逆に、金属膜に対してバリア膜を同等以上の研磨速度で研磨することができるものが望ましい。従って、金属膜とバリア膜との選択比(金属膜/バリア膜の研磨速度比)は1以下が好ましく、さらに好ましくは0.7以下の研磨剤が好適に使用される。即ち、上記選択比が1を超えるとバリア膜よりも金属膜が研磨されすぎる場合があり、ディッシング特性が低下する可能性がある。
【0050】
更に、第二の研磨剤でバリア膜を研磨除去した後、その下部の絶縁膜が露出することになるが、第二の研磨剤の絶縁膜に対する研磨速度が高すぎると絶縁膜がディッシングを起こす可能性がある。そのため、第二の研磨剤は、金属膜と絶縁膜とをほぼ同等の研磨速度で研磨できるものが好ましい。
【0051】
第二の研磨剤としては、シリカ粒子と水よりなる公知の研磨剤が好ましく、さらに比表面積が20〜100m2/gの範囲のシリカ粒子を用いた場合には、バリア膜の研磨速度が高いため好ましい。さらに好ましくは、ゾル−ゲル法などの液相中で合成され、且つ乾燥工程を経ずに製造されたシリカ粒子を用いることが好ましい。
【0052】
即ち、液相中で合成されたシリカ粒子は分散性に優れており、且つ粒子の形状が球状で軟らかいため、研磨の際に研磨対象のスクラッチの発生が特に少ないという特徴がある。
【0053】
なお、半導体基板上に形成するバリア膜の厚みは、一般的に100〜500オングストロームの範囲にあることが多いため、第二の研磨剤のバリア膜に対する研磨速度は50〜1000オングストローム/minの範囲、好ましくは200〜500オングストローム/minの範囲にある方が制御し易く、バリア膜の除去に要する時間は2分以内、好ましくは1分以内であることがさらに好ましい。
【0054】
上記研磨速度が50オングストローム/min未満では生産性が低下する場合があり、1000オングストローム/min以上ではバリア膜のみならず、その下部の絶縁膜または配線の金属膜まで研磨してしまう場合があり、所望の位置で研磨を停止することが難しくなり、制御性が低下する場合がある。
【0055】
かかる研磨特性を達成するため、第二の研磨剤中におけるシリカ粒子の濃度としては1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の範囲が好ましい。バリア膜の研磨においてはシリカ粒子の機械的作用によって研磨する場合が多いため、シリカ粒子の濃度を変えることにより、上記の所望の研磨速度に制御することができる。
【0056】
また、第二の研磨剤は、pHが5〜11の範囲、好ましくは6〜10の範囲にある場合には、金属膜と絶縁膜とをほぼ同じ研磨速度で研磨できるため、上記pHに調整された公知の研磨剤が使用される。
【0057】
研磨剤のpHが5未満では金属膜の研磨速度が、11を超えると絶縁膜の研磨速度が、バリア膜の研磨速度と比較してそれぞれ著しく高くなる場合がある。そのような場合には、金属膜や絶縁膜にディッシングが発生し易くなり、半導体基板表面の平坦性が低下する場合がある。また、pHが5未満または11を超えた場合には、金属膜が腐食し易くなる傾向にある。
【0058】
上記で説明したように、シリカ粒子と水よりなる第二の研磨剤で研磨することによって、バリア膜を効率的に除去可能で、且つ半導体基板の表面を高度に平坦に仕上げることが可能である。
【0059】
また、バリア膜と金属膜との研磨、即ち、第二段研磨に次いで、必要に応じて、第三段研磨が行われる。かかる研磨に使用される第三の研磨剤は、金属膜、バリア膜及び絶縁膜をほぼ等しい研磨速度で研磨できることが好ましい。特に好ましくは、絶縁膜に対する金属膜とバリア膜との選択比(金属膜/絶縁膜研磨速度比及びバリア膜/絶縁膜研磨速度比)は、好ましくは、0.3〜3、さらに好ましくは0.5〜2、特に、0.8〜1.2である。
【0060】
上記範囲を超えると、どちらかの膜が選択的に研磨され、ディッシングが発生し易くなる。
【0061】
上記第三の研磨剤は、公知の研磨剤より上記選択比となるものを選択して使用しても良いし、第二の研磨剤の中から、上記選択比のものを選択して使用しても良い。後者の場合、第二段研磨と第三段研磨を連続して行うことができ好ましい。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の金属膜用研磨剤は、過酸化水素を酸化剤として使用した金属膜用研磨剤において、研磨時にディッシングを起こし難く、且つ高い研磨速度を安定して有するという、優れた特性を有するものであり、半導体基板の研磨において、バリア膜上に存在する金属膜を研磨する場合に極めて有用である。
【0063】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0064】
(研磨試験)
銅(Cu)膜あるいは窒化タンタル(TaN)膜あるいは酸化シリコン(SiO2)膜が表面に形成された4インチのシリコンウェハを用いて研磨試験を行った。研磨パッドにはロデール製のIC1000/SUBA400を用い、加工圧力300g/cm2、定盤回転数40rpm、研磨剤の滴下速度80ml/minの条件で研磨試験を行い、研磨速度を求めた。
【0065】
(溶解性試験)
Cu膜が表面に形成されたシリコンウェハを用いて溶解性の試験を行った。研磨剤中に試験片を浸漬し、それらの入った容器を50℃に保持された恒温振盪器中に入れた。10分後に恒温振盪器から取出した後、直ちに試験片を研磨剤中から取り出し、表面に残存する研磨剤を洗い流した。浸漬前後のCu膜の膜厚変化から研磨剤に対するCu膜の溶解速度を求めた。
【0066】
実施例1〜3及び比較例1〜2
シリカ粒子としては比表面積が75m2/gの高純度コロイダルシリカを、無機アンモニウム塩としては炭酸アンモニウムを用い、シリカ粒子の濃度が7重量%、塩の濃度が0〜1重量%の範囲の数種類のシリカスラリーを調製し、それぞれアンモニアを適量加えてpHを9.3に調整した。続いて、それぞれのスラリーに対して30重量%過酸化水素水を10重量%添加して研磨剤を調製した(研磨剤中にはH2O2として3重量%含まれていることになる)。
【0067】
また同時に、シリカ粒子の代わりに比表面積が100m2/gのアルミナ粒子を用いて同様に研磨剤を調製し、評価した。
【0068】
試験の結果を表1に示した。
【0069】
塩類として炭酸アンモニウムを添加しない場合はCu膜をほとんど研磨できなかった。また、特に、塩類の濃度が0.2〜2重量%の範囲においては2000オングストローム/min以上の高い研磨速度が達成でき、しかも、Cu膜の溶解速度も100オングストローム/min以下と低いことがわかった。また、研磨後のCu膜表面にスクラッチの発生は認められなかった。
【0070】
従って、Cu膜の溶解速度を低く抑えつつ実用的な研磨速度でCu膜を研磨でき、且つスクラッチや表面荒れが発生し難く、研磨剤の安定性にも優れている無機アンモニウム塩の濃度としては、0.2〜2重量%の範囲が特に好適であることがわかった。
【0071】
他方、砥粒にアルミナ粒子を用いた場合は、非常に研磨剤が凝集し易く、直ぐに研磨剤が相分離を起こした。この研磨剤を良く攪拌しながら研磨試験を行ったが、十分な研磨速度は出せるものの目視でわかるようなスクラッチが多数発生した。
【0072】
以上より、本発明の研磨剤の研磨砥粒としてはシリカ粒子が有効であることが確認できた。
【0073】
【表1】
実施例4〜7及び比較例3〜4
アンモニアの添加量を種々変えて研磨剤のpHを変えた以外は実施例2と同様にして研磨剤を調製し、評価した。なお、比較例3はpH調整のために炭酸ガスを用いた。
【0074】
また、更に、無機アンモニウム塩として炭酸アンモニウムの代わりにリン酸アンモニウムを1.0重量%、塩化アンモニウムを0.6重量%添加した以外は上記実施例2と同様にして研磨剤を調製し、評価した。
【0075】
結果を表2に示す。
【0076】
上記結果より、無機アンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム以外にもリン酸アンモニウムや塩化アンモニウムも好適に使用できることがわかった。また、研磨剤のpHは、8.5〜10.2の範囲が、十分な金属膜の研磨速度が発揮でき、且つ金属膜の溶解速度を低く抑えるために必要であることが判る。
【0077】
【表2】
実施例8〜10及び比較例5
過酸化水素の添加量を種々変えた以外は、実施例2と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0078】
試験の結果を表3に示した。
【0079】
上記結果より、過酸化水素の濃度が2〜8重量%の範囲では、Cu膜の研磨速度、溶解速度とも優れていたが、過酸化水素濃度が上記範囲より少ない場合、Cu膜の溶解量が著しく増加することが判る。
【0080】
【表3】
実施例11〜19
シリカ粒子として比表面積の異なる各種のシリカ粒子を用い、更にシリカ粒子の含有量も変えた以外は実施例2と同様にして研磨剤を調製し、試験した。
【0081】
研磨試験の結果を表5に示した。
【0082】
【表4】
実施例20
実施例2の研磨剤を第一の研磨剤として使用した。また、比表面積が30m2/gの高純度コロイダルシリカ粒子と水とアンモニア水を所定量混合し、シリカ粒子の濃度が7重量%のアルカリ性(pH9.5)の第二の研磨剤を調製した。
【0083】
シリコンウエハ表面に形成されたSiO2膜上に幅100μmの配線用溝が100μmの間隔で形成され、その上に厚さ約200オングストロームのTaN膜と厚さ約1.2μmのCu膜が順次積層されたTEGウエハを用いて、そのシリコンウエハ表面をまず第一の研磨剤で200秒間研磨した。その結果、SiO2膜よりなる配線溝以外の部分上にあるCu膜が除去され、TaN膜と配線溝のCu膜が露出した状態となった。
【0084】
続いて、第二の研磨剤で90秒間研磨を行ったところ、TaN膜が除去され、配線溝以外の部分のSiO2膜と配線溝のCu膜が露出した状態になった。
【0085】
研磨後のシリコンウエハ表面を電子顕微鏡で観察したところ、スクラッチやディッシングは見られず、配線溝以外の部分のSiO2膜と配線溝のCu膜の表面にはほとんど段差は無く、平坦な表面が形成されていることが確認できた。
【0086】
以上の結果より、本発明の金属膜用研磨剤を用いることによって、極めて平坦な半導体基板表面が形成できることがわかった。
【0087】
なお、参考のために、第一の研磨剤、第二の研磨剤のCu膜、TaN膜、SiO2膜に対するそれぞれの研磨速度を表5に示した。これからわかるように、ここで用いた第一の研磨剤はバリア膜に対して金属膜を選択的に研磨できることがわかる。一方、第二の研磨剤はバリア膜を金属膜や酸化膜に対して同等以上の研磨速度で研磨でき、しかも金属膜と酸化膜をほぼ等しい研磨速度で研磨できることがわかる。
【0088】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研磨剤を用いた研磨方法の代表的な態様を示す概略図
【符号の説明】
A 凹部
1 半導体基板
2 絶縁膜
3 バリア膜
4 金属膜
Claims (2)
- 化学機械研磨法に用いる研磨剤であって、シリカ粒子、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及びリン酸アンモニウムよりなる群より選ばれた少なくとも一種である無機アンモニウム塩、過酸化水素及び水よりなり、該過酸化水素の濃度が2〜6重量%、及び該無機アンモニウム塩を0.4〜1.0重量%の範囲で含有し、且つ、pHが8.8〜9.9の範囲であるシリカスラリーよりなることを特徴とする銅膜用研磨剤。
- シリカ粒子の濃度が2〜14重量%の範囲である請求項1記載の銅膜用研磨剤。
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