JP2001247627A - ふっ素樹脂成形体、ふっ素樹脂及びふっ素樹脂の製造方法 - Google Patents

ふっ素樹脂成形体、ふっ素樹脂及びふっ素樹脂の製造方法

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JP2001247627A
JP2001247627A JP2000333918A JP2000333918A JP2001247627A JP 2001247627 A JP2001247627 A JP 2001247627A JP 2000333918 A JP2000333918 A JP 2000333918A JP 2000333918 A JP2000333918 A JP 2000333918A JP 2001247627 A JP2001247627 A JP 2001247627A
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Miyuki Takenaka
みゆき 竹中
Yuji Yamada
裕司 山田
Tetsuya Tatebe
哲也 立部
Masaru Hayashi
勝 林
Shoji Kozuka
祥二 小塚
Kimito Sakai
公人 酒井
Hirofumi Omori
廣文 大森
Masaaki Morita
正明 森田
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不純物等による周囲の二次汚染を防止したふ
っ素樹脂成形体を提供することを目的とする。 【解決手段】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
っ素樹脂成形体10において、前記粒子の内部の不安定
末端基数を1とした際の前記粒子の単位表面当りの不安
定末端基数が1〜10の範囲内にあることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ふっ素樹脂成形
体、ふっ素樹脂およびふっ素樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高分子材料、特にふっ素樹脂は優
れた耐薬品性を有しているため、近年、広範囲の分野に
おいて、装置や治具の材料として幅広く用いられてい
る。その中でも、特に、ポリテトラフルオロエチレン
(以下、PTFEと称する)及びテトラフルオロパーア
ルコキシビニルエーテル共重合体エチレン(以下、PF
Aと称する)などのふっ素樹脂は耐熱性や加工性が優れ
ているので、最も広範囲に用いられている。
【0003】半導体製造の分野においても、ふっ素樹脂
は製造工程に使用される装置やエッチング器具などとし
て汎用されているが、近年の機能アップ、もしくは容量
増大の要求に伴い、製造工程で侵入する微量不純物の影
響が深刻化している。特に、これまで問題となっていた
金属不純物以外にも、近年ではガス状有機物やふっ化物
イオンの溶出など、様々な不純物の低減が望まれてお
り、現状のふっ素樹脂およびその加工品に対する問題の
重要性が指摘されるようになった。
【0004】また、微量分析の分野では、試料の濃縮や
分解にふっ素樹脂容器が用いられているが、半導体ウエ
ハーの大口径化に伴い、より大型な容器を必要とすると
ともに、より精度の高い分析のために、不純物溶出の少
ないふっ素樹脂の品質改善が求められている。
【0005】上述の問題を解決する方法としては、ふっ
素樹脂中の不純物自体を減少させる方法、およびふっ素
樹脂中の不純物が外部に浸出しないように樹脂表面の性
質を改善する方法が考えられ、いくつかの方法が提案さ
れている。
【0006】たとえば、溶出ふっ化物イオンをできるだ
け少なくするために、全ての不安定末端基を安定な−C
3基として、原料ペレットからの溶出ふっ化物イオン
が0.2ppm以下に低減された例が報告されている。
【0007】また、表面の平滑性を得て撥水性を高める
ため、加熱しながら圧縮成形することによって、表面粗
さを80nmから20nmに減少されたPFA樹脂が提
案されている。
【0008】さらに、マイクロバニッシング加工や摩耗
熱を利用した表面改質、高水圧による微少弾性変性加工
などの物理的な表面平滑化によって、表面粗さを0.5
μmPTV程度に減少させたふっ素樹脂が提案されてい
る。この樹脂においては、金属不純物の溶出が0.5n
g以下になることが確認されている。
【0009】しかしながら、上述の改良されたふっ素樹
脂であっても、酸などの薬液に長時間浸されると、徐々
に表面が荒れて凹凸が激しくなり、ふっ素樹脂から発生
してくる有機炭素などの不純物粒子や金属不純物が表面
に滞留しやすくなる。この結果、滞留不純物が二次汚染
の原因となっていた。
【0010】また、樹脂内部の不純物が拡大された凹凸
部分を通して溶出しやすくなり、表面処理の効果は消失
する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来のふっ素樹脂は、
酸などの薬液に長時間浸されると、徐々に表面が荒れて
凹凸が激しくなり、ふっ素樹脂から発生してくる有機炭
素などの不純物粒子や金属不純物が表面に滞留しやすく
なり、これに起因して二次汚染が発生していると言う問
題点があった。
【0012】本発明は、このような従来技術の問題点を
解決するためになされたもので、不純物等による周囲の
二次汚染を防止したふっ素樹脂成形体、ふっ素樹脂及び
ふっ素樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のふっ
素樹脂成形体は、複数のふっ素樹脂粒子を一体成形した
ふっ素樹脂成形体において、前記粒子の内部の不安定末
端基数を1とした際の前記粒子の単位表面当りの不安定
末端基数が1〜10の範囲内にあることを特徴とするも
のである。
【0014】本発明に係るふっ素樹脂は、粒子状で、か
つ前記粒子の内部の不安定末端基数を1とした際の前記
粒子の単位表面当りの不安定末端基数が1〜10の範囲
内にあることを特徴とするものである。
【0015】ここで、不安定末端基とは、パーフルオロ
アルキル基以外の官能基を意味する。不安定末端基とし
ては、例えば、−COF、−COOH、−CF=C
2、−CONH2、−CH2OH、−CF2H、−CF2
25、−C25、−COOCH 3、−CF2CH2
H、−CF2Cl及び−COO−からなる群から選ばれ
る1種類以上の官能基を挙げることができる。また、不
安定末端基数は、ふっ素樹脂粒子の内部あるいは表面で
の平均的な数値を採用することができる。
【0016】前記粒子の内部の不安定末端基数を1とし
た際、前記粒子の単位表面当りの不安定末端基数を1〜
3の範囲内にすることがより好ましい。
【0017】本発明に係る第2のふっ素樹脂成形体は、
複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふっ素樹脂成形体
において、前記成形体の表面粗さが0.05μmPTV
以下で、かつ金属不純物溶出量が0.01ng/g以下
であることを特徴とするものである。
【0018】金属不純物溶出量は少ない方が好ましいも
のの、0.00001ng/gより少量の金属不純物溶
出量の測定は検出限界に近づくためにやや困難である。
また、大量生産における取り扱いをより容易にする観点
から、金属不純物溶出量は0.0001ng/g以上、
0.01ng/g以下にすることが好ましい。
【0019】一方、成形体の表面粗さが0.05μmP
TVを超えると、十分な撥水性を得られなくなるため、
強酸や強アルカリのような薬液に晒された際に表面が粗
れ易くなり、成形体の表面に新たな汚染物質が滞留しや
すくなる。大量生産における取り扱いを容易にする観点
から、表面粗さは、0.0001μmPTV以上、0.
05μmPTV以下にすることが好ましい。表面粗さの
より好ましい範囲は、0.01〜0.05μmPTV
で、さらに好ましい範囲は0.02〜0.05μmPT
Vである。
【0020】本発明に係る第2のふっ素樹脂は、粒子状
をなし、平均粒径が10〜100μmで、かつ金属不純
物溶出量が0.01ng/g以下であることを特徴とす
るものである。
【0021】金属不純物溶出量は少ない方が好ましいも
のの、0.00001ng/gより少量の金属不純物溶
出量の測定は検出限界に近づくためにやや困難である。
また、大量生産における取り扱いをより容易にする観点
から、金属不純物溶出量は0.0001ng/g以上、
0.01ng/g以下にすることが好ましい。
【0022】平均粒径のより好ましい範囲は、20〜1
00μmで、さらに好ましい範囲は20〜70μmであ
る。
【0023】本発明に係る第3のふっ素樹脂成形体は、
複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふっ素樹脂成形体
において、前記粒子の平均粒径が10〜100μmで、
かつかさ密度が500〜800g/lであることを特徴
とするものである。
【0024】また、本発明に係る第3のふっ素樹脂は、
粒子状をなし、平均粒径が10〜100μmで、かつか
さ密度が500〜800g/lであることを特徴とする
ものである。
【0025】ふっ素樹脂粒子のかさ密度を500g/l
より小さくすると、金型への充填量が少なくなり、その
結果、焼成後に内部空隙率が増大してしまう。さらには
比表面積も増大し、結果として金属不純物の溶出量が多
くなる。また、大量生産における取り扱い性を向上させ
る観点から、ふっ素樹脂粒子のかさ密度は、500g/
l以上、800g/l以下にすることが好ましい。さら
に好ましいかさ密度範囲は、600〜750g/lであ
る。
【0026】一方、平均粒径のより好ましい範囲は、2
0〜100μmで、さらに好ましい範囲は20〜70μ
mである。
【0027】本発明に係る第4のふっ素樹脂成形体は、
複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふっ素樹脂成形体
において、BET法による比表面積が0.01〜1m2
/gであることを特徴とするものである。
【0028】成形体のBET法による比表面積を前記範
囲に規定するのは次のような理由によるものである。B
ET法による比表面積を0.01〜1m2/gにする
と、成形体の内部の細孔を少なくしてノンポーラス物質
に近くすることができるため、薬液と成形体との接触面
積を少なくすることができ、金属不純物の溶出を抑制す
ることができる。BET法による比表面積が1m2/g
より大きくなると、酸やアルカリのような薬液と成形体
との接触面積が増加して金属不純物の溶出量が多くなる
恐れがある。一方、BET法による比表面積を0.01
2/g未満にすると、成形体を洗浄する際、成形体に
浸透した洗浄液が成形体の外部に流出し難くなるため、
成形体の清浄度が低下する恐れがある。BET法による
比表面積のより好ましい範囲は、0.01〜0.05m
2/gである。
【0029】本発明に係る第5のふっ素樹脂成形体は、
複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふっ素樹脂成形体
において、前記粒子の結晶度が0.4〜0.6であるこ
とを特徴とするものである。
【0030】また、本発明に係る第4のふっ素樹脂は、
粒子状のふっ素樹脂であって、前記粒子の結晶度が0.
4〜0.6であることを特徴とするものである。
【0031】ふっ素樹脂粒子の結晶度を前記範囲に規定
することによって、ふっ素樹脂粒子及びふっ素樹脂成形
体からの金属不純物の溶出を抑制することができる。結
晶度のより好ましい範囲は、0.42〜0.45であ
る。
【0032】本発明に係るふっ素樹脂の製造方法は、高
分子ふっ素系樹脂の原料粉末を酸含有の水溶媒に混入
し、温度が80〜250℃で加熱すると共に前記水溶液
が液状で存在しうる圧力で加圧することにより前記高分
子ふっ素系樹脂の不安定末端基を低減する工程を具備す
ることを特徴とするものである。
【0033】不安定末端基の制御工程の望ましい条件を
説明する。水溶液の加熱温度のより好ましい範囲は、8
0〜230℃である。230℃を超えると場合によって
はふっ素樹脂の分解が始まりかえって不安定末端基が増
大する可能性があるからである。また、水溶液の圧力条
件としては、1.1Pa〜2Paが望ましい。2Paを
超えると、ふっ素樹脂の分解が始まりかえって不安定末
端基が増大する可能性があるからである。
【0034】前記酸としては、金属を溶解することが可
能な酸であれば特に限定されず、例えば、硝酸、塩酸、
フッ化水素酸等を挙げることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】上記課題を達成するために、本発
明者らは鋭意研究を重ねた結果、高分子ふっ素系樹脂の
重合仕上がりの原料粉末の平均粒径が10〜100μ
m、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは2
0〜70μmの範囲にあり、かつふっ素樹脂内部と表面
における不安定末端基数の比が1:1〜1:10好まし
くは、1:1〜1:3となるように調整した樹脂を用い
ることにより、格段に不純物溶出汚染が少なくなること
を見出し、本発明の高純度樹脂を発明するに至った。こ
の比率を1:1より小さくするために不安定末端基をふ
っ素化処理により安定化させることは可能であるもの
の、工程が増加することにより逆に金属汚染を招く等現
実的ではなく工業的には価値が少ない。
【0036】本発明で使用される原料粉末の一例を図2
及び図3に示す。一般にPTFE粉末はシート、フィル
ム用の原料粉末として多用されている平均粒子径20〜
50μmの比較的小さい微粒子20から構成される微粒
子タイプ(図2)と、スリーブ、ロッド用材料として多
用されている平均粒子径40〜700μmの比較的大き
な微粒子30から構成される造粒タイプ(図3)の2種
類が市販されているが、造粒タイプは微粒子タイプから
製造するため、製造工程が増していること、更にメーカ
ーによっては添加材(フィラー)を使用しているため、
金属汚染が多くなっていることなどが分かってきた。ま
た、製造工程においては特別なクリーンルームなどを用
いない限り、ふっ素樹脂固有の特性である表面の帯電性
から、表面に金属不純物を付着させやすく、二次汚染の
原因となることが分かってきた。
【0037】また、一般的なPTFE樹脂を作製する場
合、焼成後、表面を特に処理せず、そのまま切削加工処
理などを施している。しかし、この時、表面粗さは10
μmPTV以上と非常に粗く、更に表面には−COF、
−COOH、−CF=CF2、−CONH2、−CH2
H、−CF2H、−CF225、−C25、−COOC
3、−CF2CH2OH、−CF2Cl及び−COO−か
らなる群のうちの少なくとも一つからなる不安定末端基
が多数存在し、これが表面粗れの一因となることが分か
ってきた。すなわち、以下の(1)式に示すような加水
分解反応により表面の末端基は徐々に分解され、表面形
態を劣化させるとともに、樹脂内部の不純物が拡大され
た凹凸部分を通して溶出しやすくなり、二次汚染の原因
となることが分かってきた。
【0038】 −COF+H2O → −COOH +H+ + F- (1) 高分子ふっ素系樹脂の重合仕上がりの原料粉末の平均粒
径が10〜100μm、好ましくは20〜100μm、
さらに好ましくは20〜70μmの範囲にある原材料を
用いることで、樹脂に起因する金属不純物量は低減する
ため、溶出する金属不純物量も極めて少なくなり、安定
したバックグラウンドを供給することになる。また、粒
度分布の狭い粒子を成形することによって、成形体の均
一性が向上する。均一性の高い成形体を加工すると、表
面粗さが小さい加工物になり、表面の凹凸形状も、不純
物が付着しがたい丸みを帯びた形状となる。
【0039】また、ふっ素樹脂内部と表面における不安
定末端基数の比が1:1〜1:10、好ましくは1:1
〜1:3となるように調整した樹脂を用いることによ
り、−COF、−COOH、−CF=CF2、−CON
2、−CH2OH、−CF2H、−CF225、−C2
5、−COOCH3、−CF2CH2OH、−CF2
l、−COO−のような不安定末端基の加水分解及び劣
化は低減され、表面の不安定状態による樹脂の劣化が低
減される。
【0040】ついで、不安定末端基の制御方法について
説明する。高分子ふっ素系樹脂の粉末を酸含有の水溶媒
に混入し、温度が80〜250℃で加熱すると共に前記
水溶液が液状で存在しうる圧力で加圧することにより、
高分子ふっ素系樹脂粉末の表面付近の不安定末端基を低
減することができると共に、高分子ふっ素系樹脂粉末の
表面に吸着した金属不純物を酸性含水溶媒との接触によ
り抽出除去することができる。この工程が行われた後、
高分子ふっ素系樹脂の粉末を含水溶媒により洗浄し、つ
いで真空乾燥させることが望ましい。不安定末端基の低
減処理がなされた高分子ふっ素系樹脂粉末を含水溶媒で
洗浄することにより、不安定末端基からふっ化物イオン
が発生するのを抑制することができるため、腐食性ガス
であるフッ化水素酸を低減することができ、成形中の汚
染を抑制することができる。また、高分子ふっ素系樹脂
粉末として金属含有量の少ない微粒子を使用すると、成
形品の金属含有量も極めて少なくなる。
【0041】さらに、該高分子ふっ素系樹脂の粉末の成
形体に、表面粗さが0.01〜0.02μmPTVとな
るような加工処理を施すことによって、成形体表面の不
安定末端基が除去され、かつ表面吸着の少ない安定した
表面状態を得ることが可能となる。
【0042】ふっ素樹脂を原材料であるフロン(CHC
3)とフッ化水素酸(HF)から製造する際には若干の
NaやCaが含まれることはこれまでも明らかにされて
いるが、原料の造粒方法による相違は見出されていなか
った。造粒工程を有した造粒タイプ(例えば、平均粒径
が400〜700μm)と微粒子タイプ(例えば、平均
粒径が20〜50μm)の原料粉末の金属溶出量、フッ
化物イオン濃度を比較する研究を行った結果、造粒タイ
プではMoやWなどの重金属が添加されている場合があ
ることが分かった。また、不安定末端基(例えば、−C
OF,−COOH,−CF=CF2,−CONH2,−C
2OH,−CF2H,−CF225など)を−CF3
したペレットはこの製造工程からの逆汚染が見られ、高
純度樹脂を調整する上では、原料を選択する必要が極め
て大きいことを明らかとした。
【0043】また、図1の(b)に示す造粒タイプ(例
えば、平均粒径が400〜700μm)から得られる成
形体11は、図1の(a)に示す微粒子タイプ(例え
ば、平均粒径が20〜50μm)から得られる成形体1
0と比較して表面の凹凸の起伏が激しいことが分かる。
この形状的特徴を数値的に表現する方法の一つとして、
表面凹凸上の隣接する2つの凸部の頂点P1、P2を含
む垂直断面において2頂点P1、P2を結ぶ直線と樹脂
表面とで囲まれた断面積A1を用いて規定することがで
きる。微粒子タイプから得られる成形体10は、断面積
A1が平均値で0.01〜0.02μm2の範囲となる
ような表面形状にすることができる。一方、造粒タイプ
から得られる成形体11は、凸部の2頂点P3、P4を
結ぶ直線と樹脂表面とで囲まれた断面積A2が平均値で
1〜3μm2の範囲となるような表面形状にすることが
できる。
【0044】表面を機械的に滑らかにする研磨などの物
理的処理の効果は、樹脂に含まれる不純物自体が多けれ
ば半減する。例えば、樹脂表面近くに不純物の大きな粒
子があれば、表面の物理的処理の際に粒子表面に露出し
たり、脱落することによって、かえって表面が粗くな
る。更に、従来のふっ素樹脂からは腐食性ガスが生じ易
く、このままでは、樹脂成形の際に腐食性ガスによって
成形機が損傷し、成形機の成分金属で樹脂が汚染され
る。また、成形後においても周囲のものを腐食する。例
えば、従来のふっ素樹脂製のバスケットに保管したシリ
コンウエハに曇りが生じるのは、ふっ素樹脂表面から生
成する腐食性ガスによるものである。従って、このよう
な腐食性ガスの生成も防止する必要がある。
【0045】上記を鑑み、本発明においては、第1の特
徴として、樹脂から不純物及び上述の腐食性ガスの原因
となるフッ化物イオンの抽出除去を行う。本研究から、
原料粉末の汚染は主として、不安定末端基のような表面
付着物であることが分かったため、迅速に除去可能な手
段として、高分子ふっ素系樹脂の粉末を酸含有の水溶媒
に混入し、温度が80〜250℃で加熱すると共に前記
水溶液が液状で存在しうる圧力で加圧することにより前
記高分子ふっ素系樹脂粉末の不安定末端基を低減する工
程と、前記高分子ふっ素系樹脂粉末を含水溶媒で洗浄す
る工程と、前記高分子ふっ素系樹脂粉末を真空乾燥させ
る工程とを有する手段を選択した。
【0046】樹脂は、例えば溶融成形により所望の形状
に成形することができる。従来から使用されている造粒
タイプ(例えば、平均粒径が400〜700μm)と微
粒子タイプ(例えば、平均粒径が20〜50μm)の詳
細について明らかにされていないものの、一般に、造粒
タイプはフィラーやノニオン性界面活性材を含有する水
溶液を湿潤し、機械力を作用させることにより造粒して
いる。この際の造粒装置や粉砕機には金属成分が多いた
め、フッ化物イオンなどの影響も受け、金属汚染に晒さ
れる機会は多い。よって、本研究においては微粒子タイ
プ(例えば、平均粒径が20〜50μm)を使用するこ
とが望ましい。
【0047】溶融成形した樹脂をより精密に形状を整え
る場合は、超精密加工装置などを用いた切削加工や研磨
加工によって、さらに精密な加工を施すことができる。
特にPTFEの成形では、予備成形後に電気炉中で焼成
(焼成温度は360〜380℃が好ましい)する際、電
気炉内からの汚染を受ける。そのため、表面に近い部位
では特に金属の混入が高いため、これらを除去する上で
も切削加工処理は重要なポイントである。
【0048】例えば、上述の方法に従って、焼成成形さ
れたふっ素樹脂成形物を樹脂の回転数を1000〜12
00RPM,工具送り数を5〜8μm/rev.,切り
込みを100μm程度に設定して、管状に加工した時、
表面粗さが0.02〜0.05μmPTVの内周囲面お
よび外周囲面を有する樹脂加工物が得られる。
【0049】上述の一連の処理をふっ素樹脂に施した場
合、樹脂中のフッ化物イオンを10ppb以下まで減少
させることができる。また、ナトリウム、カルシウム、
鉄などの金属不純物も0.001ng/cm2以下まで
減少させることができ、金属不純物の総量も0.01n
g以下に抑えることができる。さらに、TOC(全有機
炭素)も20μg/1000mlとなり、パーティクル
や他の不純物に関しても大幅な低減が認められた。
【0050】上述の処理方法は、成形が可能なふっ素樹
脂のいずれにも適用することができ、得られる樹脂成形
体の表面粗さを0.01〜0.05μmPTVの範囲内
にすることができる。例えば、高分子ふっ素系樹脂とし
て以下の材料を挙げることができる。テトラフルオロエ
チレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重
合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピ
レンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレン
との共重合体、ビニリデンフルオライドの単独重合体、
ビニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとの
共重合体、ビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプ
ロピレンとの共重合体、ビニリデンフルオライドとクロ
ロトリフルオロエチレンとの共重合体、クロロトリフル
オロエチレンとエチレンとの共重合体、パーフルオロビ
ニルエーテル基を含有する変性ポリテトラフルオロエチ
レン樹脂等のふっ素樹脂である。これらの樹脂の粒子或
いは成形体の表面粗さを上述の処理によって改善するこ
とができる。また、PP(ポリプロピレン)、PEE
(ポリエステルエラストマー)、PBT(ポリブチレン
テレフタレート)、PEEK(ポリエーテルケトン)、
PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の非ふっ素系の
熱可塑性樹脂についても、上述した高分子ふっ素系樹脂
と同様に表面がなだらかな樹脂に調整し、重合触媒など
に起因して樹脂に含まれる金属を除去することができ
る。
【0051】特に、パーフルオロビニルエーテル基を含
有する変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂の粉末を酸
含有の水溶媒に混入し、温度が80〜250℃で加熱す
ると共に前記水溶液が液状で存在しうる圧力で加圧する
ことにより前記変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂の
不安定末端基を低減し、次いで必要に応じて前記変性ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂粉末の含水溶媒による洗
浄及び乾燥を施した後、前記変性ポリテトラフルオロエ
チレン樹脂粉末の成形体を形成することによって、原料
ふっ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を用
いる場合に比べてBET法による比表面積の小さい成形
体を得ることができる。これは、パーフルオロビニルエ
ーテル基を含有する変性ポリテトラフルオロエチレン樹
脂の溶融温度がポリテトラフルオロエチレン樹脂に比べ
て低く、樹脂同士の密着性が高くなることに起因するも
のと考えられる。
【0052】また、パーフルオロビニルエーテル基を含
有する変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂の粉末を酸
含有の水溶媒に混入し、温度が80〜250℃で加熱す
ると共に前記水溶液が液状で存在しうる圧力で加圧する
ことにより前記変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂の
不安定末端基を低減し、次いで必要に応じて前記変性ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂粉末の含水溶媒による洗
浄及び乾燥を施すことによって、原料ふっ素樹脂として
ポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いる場合に比べて
結晶度の高いふっ素樹脂を得ることができる。
【0053】パーフルオロビニルエーテル基としては、
例えば、CF2=CF−O−X(ただし、Xは、炭素数
が1〜6のパーフルオロアルキル基、炭素数が4〜9の
パーフルオロアルコキシアルキル基及び下記化1で表わ
されるパーフルオロビニルエーテル成分単位よりなる群
から選択される少なくとも1種類の成分単位を使用する
ことができる。
【0054】
【化1】
【0055】ただし、化1のnは、1〜4の整数を示
す。
【0056】変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂中の
パーフルオロビニルエーテル基の含有量は、0.000
1〜2重量%の範囲内にすることが好ましい。これは次
のような理由によるものである。パーフルオロビニルエ
ーテル基の含有量を0.0001重量%未満にすると、
ふっ素樹脂及びふっ素樹脂成形体からの金属不純物の溶
出量を十分に低減することが困難になる恐れがある。一
方、パーフルオロビニルエーテル基の含有量が2重量%
を超えると、共重合の際に使用する重合開始剤や分子量
調整剤に由来する−COOH、−CH2OH、−COO
CH3などの不安定末端基が再度増加する恐れがある。
パーフルオロビニルエーテル基の含有量のより好ましい
範囲は、0.0005〜1重量%である。
【0057】複数の高分子ふっ素系樹脂粒子を一体成形
したふっ素樹脂成形体において、前記成形体の表面粗さ
を0.05μmPTV以下にすることによって、撥水性
を著しく向上することができるため、強酸・強アルカリ
などの薬液による侵食に対する耐久性を長時間に亘って
保持することができ、薬液に晒された後でも滑らかさを
維持することができる。特に、高分子ふっ素系樹脂粒子
の原料として微粒子タイプ(例えば、平均粒径が20〜
50μm)を使用すると、微粒子タイプは造粒タイプ
(例えば、平均粒径が400〜700μm)に比較して
緻密度が高いため、ふっ素樹脂成形体内部への薬液の浸
透性を低くすることができる。このため、ふっ素樹脂成
形体内部に存在している金属不純物の溶出を大幅に低減
することができる。また、ふっ素樹脂成形体の滑らかさ
を維持することができるため、新たな重金属汚染物質が
樹脂の表面に滞留するのを防止することができる。
【0058】このような薬液に対する耐久性が向上した
樹脂は、半導体や液晶などの精密電子機器の製造装置、
器具および配管などの設備、半導体原料であるウエハの
洗浄容器やキャリアボックス、種々の分析装置および分
析用容器など、微量不純物を嫌う分野の構造材料として
有益である。
【0059】
【実施例】以下、例示的ではあるが限定的ではない発明
の実施例を説明することによって本発明をより深く理解
することができる。
【0060】(実施例1):市販PTFE粉末を使用 市販のPTFE粉末(平均粒径50μm、モールディン
グパウダー)100gおよび1モル硝酸200mlを容
積1リットルの清浄なポリエチレン製の加圧容器に投入
し、密閉して200℃、1.3Paで加圧処理した状態
で連続2時間、金属不純物を抽出した。この後、容器か
ら希酸を除去して、200mlの超純水を加えて、1時
間振とう後、硝酸イオンをイオンクロマトグラフィで測
定し、フッ化物イオンと硝酸イオンのピークが検出され
なくまるまで、超純水を交換し、1時間振とうする操作
を行った。
【0061】次いで、内容物を取り出して、真空乾燥器
内において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料
となる微粒子を形成した。得られた微粒子について、下
記に説明する方法により平均粒径、かさ密度及び不安定
末端基比を測定したところ、下記表1に示すように、平
均粒径が10μmで、かさ密度が700g/lで、微粒
子内部の不安定末端基数を1とした際の微粒子の単位表
面積当たりの不安定末端基数が3であった。
【0062】(A)平均粒径 JIS K 6935−2(1999年)に記載の方法
に基づいて測定を行う。すなわち、アルミニウム製皿に
50g±0.1gの試料を入れ、10℃以下に冷却す
る。各ふるいの自重をはかり、10min±0.5mi
n間篩い分け機械で振動させる。各篩上の樹脂粉末の質
量を測定し、篩番号及び目開き寸法をプロットする。こ
の直線より累積パーセント50%(d:50)における
粒径を平均粒径とする。
【0063】(B)かさ密度 JIS K 6935−2(1999年)に記載の方法
に基づいて測定を行う。すなわち、清浄で、乾燥した容
量カップ(250ml)をはかりにのせ、ゼロ調整後、
樹脂粉末をカップに満たし、山盛り状態にする。15秒
間放置後、カップ中の樹脂粉末の質量を秤量し、次式に
よりかさ密度を換算する。
【0064】かさ密度(単位;g/l)=M×4 ただし、前記式において、Mは樹脂粉末の質量を意味す
る。
【0065】(C)不安定末端基比 PTFE微粒子100gについて、測定装置として日本
Dionex製DX100を用い、純水抽出(表面部
分)と加圧抽出(バルク部分)によるふっ化物イオンの
定量を行った。加圧抽出時のフッ化物イオン検出量を1
とした際の純水抽出時のフッ化物イオン検出量比を算出
し、得られた検出量比を微粒子の単位表面積当たりの値
に換算し、この換算値をPTFE微粒子内部の不安定末
端基数を1とした際の前記微粒子の単位表面積当たりの
不安定末端基数とした。
【0066】次いで、得られた微粒子を金型に充填し、
成形圧力250kg/cm2で5分間保持し、得られた
予備成形品(直径約50mm、厚さ50mm)を室温か
ら50℃/hrの昇温速度で370℃まで昇温し、37
0℃で7時間保持した後、50℃/hrで冷却すること
によりふっ素樹脂成形体を得た。この時の加工面の表面
粗さを表面粗さ計を用いて測定したところ、測定結果は
P−V:1.5μmであった。また、成形体の表面形状
は、図1の(a)に示すように、起伏の小さい凹凸を持
つものであった。成形体の2つの頂点P1、P2を結ぶ
直線と成形体の表面とで囲まれた面積A1を計算したと
ころ、平均で5μm2であった。
【0067】ひきつづき、得られたPTFE成形体を超
精密加工装置を用いて、表面から100μmほどを切削
加工した。加工の際のPTFE成形体の回転数は100
0rpm、工具送り数は5mm/rev.,切り込みは
25μmに設定した。得られたPTFE成形体の表面粗
さの測定結果はP−V:0.012μmであり、また図
1(a)の凹凸形状P1,P2に対応する面積A1を計
算したところ、平均で0.05μm2であった。
【0068】切削加工処理が施されたPTFE成形体に
ついて、以下の(1)〜(3)に説明する測定を行っ
た。測定結果は下記表2に示した。
【0069】(1)BET法による比表面積 切削加工処理が施されたPTFE成形体を直径が約6m
mで、厚さが15mmのサイズに切断し、これを3個標
準セルに取り、装置の前処理部で、温度約110℃、約
15時間の脱ガス処理(減圧乾燥)を行った後に測定し
た。測定は、窒素吸着法によるオートソーブで、分析装
置として島津細孔分布・比表面積測定装置ASAp−2
010を使用した。
【0070】(2)結晶化度 PTFEやPCTFE等の高分子ふっ素系樹脂は結晶質
と非晶質とが混在したポリマーであり、その割合(結晶
化度)の違いにより物性が異なる。そのため、結晶化度
の評価はこれらポリマーの応用においては重要であり、
様々な方法(XRD、NMR、IR、密度測定、DSC
融解熱)により測定される。X線回折法は、測定自体は
極めて簡単で、結晶質による鋭いピークの積分強度と、
非晶質によるブロードなピークの積分強度の比から結晶
化度を判定する。ただし、(a)実際のPTFEのよう
な高分子ふっ素系樹脂は結晶質と非晶質との完全な二層
モデルでの表現は困難である、(b)結晶質のピークと
非晶質のピークとのピーク分離が容易ではない(これは
前述の(a)が関係している)、等の難しさがある。
【0071】このような知見に基づき、今回は、切削加
工処理が施されたPTFE成形体から板状のサンプルを
切り出し、通常の粉末X線回折装置(日本電子製:JD
X−11RA)でθ/2θ法による測定を行い、2θが
5°〜25°の範囲のみのデータに対して、結晶質によ
るピーク(gaussian)と非晶質によるピーク(gaussia
n)を仮定してピーク分離を行い、各ピークの面積を算
出し、下記(2)式より結晶化度Cを算出した。
【0072】 結晶化度C=Ic/(Ic+K×Ia) (2) 但し、(2)式において、Icは結晶質によるピークの
面積であり、Iaは非晶質によるピークの面積であり、
Kは1とした。
【0073】実施例1のPTFE成形体についての粉末
X線回折パターンを図4に、この図4の粉末X線回折パ
ターンの縦軸を10倍に拡大したものを図5に示す。さ
らに、図4の粉末X線回折パターンにおける2θが15
°〜20°に見られるピークを、2θが16°付近(C
uKα線)に見られる非晶質のピークP1と、2θが1
8°付近(CuKα線)に見られる結晶質のピークP2
とに分離した結果を図6に、図6の回折パターンの縦軸
を10倍に拡大したものを図7に示す。
【0074】(3)金属不純物の溶出量 切削加工後のPTFE成形体について、0.1M硝酸
(10ml、3時間、100℃で加熱)を用いて金属不
純物の溶出試験を行った。成形体1個当りの各種金属の
溶出量を表2に示す。なお、測定装置にはPerkin
−Elmer製5100ZLを用いた。
【0075】(実施例2)0.0001重量%のパーフ
ルオロビニルエーテル基を含有する変性ポリテトラフル
オロエチレン樹脂の粉末(平均粒径30μm)を用意し
た。パーフルオロビニルエーテル基には、下記化2に示
す構造を有する有機基を使用した。
【0076】
【化2】
【0077】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0078】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様な方法によりふっ素樹脂成形体を得た。
ひきつづき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装
置を用いて、表面から100μmほどを切削加工した。
加工の際の条件は、実施例1で説明したのと同様にし
た。得られたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果は
P−V:0.008μmであり、また図1(a)の形状
P1,P2に対応する面積A1を計算したところ、平均
で0.04μm2であった。
【0079】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0080】(実施例3)パーフルオロビニルエーテル
基の含有量が0.001重量%であること以外は前述し
た実施例2で説明したのと同様な変性ポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂の粉末を用意した。
【0081】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0082】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様にしてふっ素樹脂成形体を得た。ひきつ
づき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装置を用
いて、表面から100μmほどを切削加工した。加工の
際の条件は、実施例1で説明したのと同様にした。得ら
れたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果はP−V:
0.007μmであり、また図1(a)の形状P1,P
2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.0
4μm2であった。
【0083】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0084】(実施例4)パーフルオロビニルエーテル
基の含有量が0.01重量%であること以外は前述した
実施例2で説明したのと同様な変性ポリテトラフルオロ
エチレン樹脂の粉末を用意した。
【0085】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0086】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様にしてふっ素樹脂成形体を得た。ひきつ
づき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装置を用
いて、表面から100μmほどを切削加工した。加工の
際の条件は、実施例1で説明したのと同様にした。得ら
れたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果はP−V:
0.007μmであり、また図1(a)の形状P1,P
2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.0
3μm2であった。
【0087】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0088】(実施例5)パーフルオロビニルエーテル
基の含有量が0.1重量%であること以外は前述した実
施例2で説明したのと同様な変性ポリテトラフルオロエ
チレン樹脂の粉末を用意した。
【0089】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0090】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様にしてふっ素樹脂成形体を得た。ひきつ
づき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装置を用
いて、表面から100μmほどを切削加工した。加工の
際の条件は、実施例1で説明したのと同様にした。得ら
れたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果はP−V:
0.007μmであり、また図1(a)の形状P1,P
2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.0
3μm2であった。
【0091】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0092】(実施例6)パーフルオロビニルエーテル
基の含有量が1重量%であること以外は前述した実施例
2で説明したのと同様な変性ポリテトラフルオロエチレ
ン樹脂の粉末を用意した。
【0093】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0094】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様にしてふっ素樹脂成形体を得た。ひきつ
づき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装置を用
いて、表面から100μmほどを切削加工した。加工の
際の条件は、実施例1で説明したのと同様にした。得ら
れたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果はP−V:
0.007μmであり、また図1(a)の形状P1,P
2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.0
35μm2であった。
【0095】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0096】(実施例7)パーフルオロビニルエーテル
基の含有量が10重量%であること以外は前述した実施
例2で説明したのと同様な変性ポリテトラフルオロエチ
レン樹脂の粉末を用意した。
【0097】前述した変性ポリテトラフルオロエチレン
樹脂の粉末100gについて、前述した実施例1で説明
したのと同様にして金属不純物の抽出、超純水による洗
浄及び真空乾燥を行うことにより、成形体の原料となる
微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した実
施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、かさ
密度及び不安定末端基比を測定し、その結果を下記表1
に示す。
【0098】得られた微粒子から前述した実施例1で説
明したのと同様にしてふっ素樹脂成形体を得た。ひきつ
づき、得られたふっ素樹脂成形体を超精密加工装置を用
いて、表面から100μmほどを切削加工した。加工の
際の条件は、実施例1で説明したのと同様にした。得ら
れたふっ素樹脂成形体の表面粗さの測定結果はP−V:
0.007μmであり、また図1(a)の形状P1,P
2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.0
35μm2であった。
【0099】切削加工処理が施されたふっ素樹脂成形体
について、前述した実施例1の(1)〜(3)で説明し
たのと同様な測定を行った。測定結果は下記表2に示し
た。
【0100】(比較例1)市販のPTFE粉末(平均粒
径50μm、モールディングパウダー)100gおよび
1モル硝酸200mlを容積1リットルの清浄なポリエ
チレン製の加圧容器に投入し、密閉して20℃に保持し
て連続2時間、金属不純物を抽出した。この後、容器か
ら希酸を除去して、200mlの超純水を加えて、1時
間振とう後、硝酸イオンをイオンクロマトグラフィで測
定し、フッ化物イオンと硝酸イオンのピークが検出され
なくまるまで、超純水を交換し、1時間振とうする操作
を行った。
【0101】次いで、内容物を取り出して、真空乾燥器
内において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料
となる微粒子を形成した。
【0102】得られた微粒子から前述した実施例1と同
様にしてPTFE成形体を作製した。PTFE粉末及び
PTFE成形体についての特性評価を実施例1と同様に
して行い、その結果を下記表1、2と図8〜図11に示
す。
【0103】図8には、比較例1のPTFE成形体につ
いての粉末X線回折パターンを示し、図9に図8の粉末
X線回折パターンの縦軸を10倍に拡大したものを示
す。さらに、図8の粉末X線回折パターンにおける2θ
が15°〜20°に見られるピークを、2θが16°付
近(CuKα線)に見られる非晶質のピークP3と、2
θが18°付近(CuKα線)に見られる結晶質のピー
クP4とに分離した結果を図10に、図10の回折パタ
ーンの縦軸を拡大したものを図11に示す。
【0104】(比較例2)市販のPTFE粉末(平均粒
径600μm、モールディングパウダー)100gおよ
び1M硝酸200mlを容積1lの清浄なポリエチレン
製の瓶に投入し、密閉して300℃に保持しながら2時
間振とう機で振とうして、金属不純物を抽出した。この
後、容器から希酸を除去して、200mlの超純水を加
えて、1時間振とう後、硝酸イオンをイオンクロマトグ
ラフィで測定し、フッ化物イオンと硝酸イオンのピーク
が検出されなくまるまで、超純水を交換し、1時間振と
うする操作を行った。
【0105】次いで、内容物を取り出して、真空乾燥器
内において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料
となる微粒子を形成した。
【0106】得られた微粒子から前述した実施例1と同
様にしてPTFE成形体を作製した。PTFE粉末及び
PTFE成形体についての特性評価を実施例1と同様に
して行い、その結果を下記表1、2に示す。
【0107】(比較例3)市販のPTFE粉末(平均粒
径600μm、モールディングパウダー)100gおよ
び1M硝酸200mlを容積1lの清浄なポリエチレン
製の瓶に投入し、密閉して40℃に保持しながら2時間
振とう機で振とうして、金属不純物を抽出した。この
後、容器から希酸を除去して、200mlの超純水を加
えて、1時間振とう後、硝酸イオンをイオンクロマトグ
ラフィで測定し、フッ化物イオンと硝酸イオンのピーク
が検出されなくまるまで、超純水を交換し、1時間振と
うする操作を行った。
【0108】次いで、内容物を取り出して、真空乾燥器
内において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料
となる微粒子を形成した。
【0109】得られた微粒子から前述した実施例1と同
様にしてPTFE成形体を作製した。PTFE粉末及び
PTFE成形体についての特性評価を実施例1と同様に
して行い、その結果を下記表1、2に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】表1及び表2から明らかなように、実施例
1〜7の高分子ふっ素系樹脂及びその成形体は、強酸に
浸漬した際の金属溶出量が、比較例1〜3に比べて低い
ことがわかる。また、実施例1〜7のふっ素樹脂成形体
によると、変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂中のパ
ーフルオロビニルエーテル基の含有量が多くなるほど成
形体の結晶化度が高くなると共に比表面積が小さくなる
ことがわかる。
【0113】なお、実施例1〜7及び比較例1〜3につ
いて、ふっ素樹脂成形体1個体当りのトータル金属溶出
量から成形体1g当りのトータル金属溶出量、つまりふ
っ素樹脂微粒子1g当りのトータル金属溶出量を算出し
たところ、実施例1についての成形体(微粒子)1g当
りのトータル金属溶出量は0.003〜0.01ngの
範囲内で、実施例2〜7についての成形体(微粒子)1
g当りのトータル金属溶出量は0.01ng以下であっ
たのに対し、比較例1は0.285ng/gで、比較例
2は1.6ng/gで、比較例3は2.85ng/gで
あった。
【0114】(実施例8):市販PFA(テトラフルオ
ロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体)ペレットを使用 市販のPFA粉末(溶融粘度2.5×105ポアズ)1
00gおよび1M硝酸200mlを容積1lの清浄なポ
リエチレン製の加圧容器に投入し、密閉して80℃、
1.3Paで加圧処理した状態で連続2時間、金属不純
物を抽出した。この後、容器から希酸を除去して、20
0mlの超純水を加えて、1時間振とう後、硝酸イオン
をイオンクロマトグラフィで測定し、フッ化物イオンと
硝酸イオンのピークが検出されなくなるまで、超純水を
交換し、1時間振とうする操作を行った。
【0115】次に、内容物を取り出して、真空乾燥器内
において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料と
なる微粒子を形成した。得られた微粒子について前述し
た実施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、
かさ密度及び不安定末端基比を測定したところ、下記表
3に示すように、平均粒径が50μmで、かさ密度が3
00g/lで、微粒子内部の不安定末端基数を1とした
際の前記微粒子の単位表面積当たりの不安定末端基数が
10であった。
【0116】得られた微粒子を原料とし、円盤金型(1
00mmΦ、厚み2mm)を持つ射出成形機を用いて、
射出成形を行った。この成形に関しては、ホッパーを介
して、ノズルを有するシリンダ内に原料PFAを充填
し、シリンダの温度を昇温してPFAを溶融させた。そ
して、この溶融ふっ素樹脂をノズルからキャビテイ内に
射出し、圧縮用プレートにより、30kg/cm2の圧
縮圧をかけて、ふっ素樹脂を圧縮した。
【0117】次いで、得られたPFA成形体を実施例1
と同様の操作で、表面から100μmほどを切削加工し
た。得られたPFA成形体の表面粗さの測定結果はP−
V:0.014μmであり、また図1(a)の形状P
1,P2に対応する面積A1を計算したところ、平均で
0.05μm2であった。
【0118】切削加工処理が施されたPFA成形体につ
いて、前述した実施例1の(3)で説明したのと同様な
測定を行った。また、(3)により得られるふっ素樹脂
成形体1個体当りのトータル金属溶出量から成形体1g
当りのトータル金属溶出量、つまりふっ素樹脂微粒子1
g当りのトータル金属溶出量を算出したところ、0.0
1ng以下であった。
【0119】(比較例4)市販のPFA粉末(溶融粘度
2.5×105ポアズ)100gおよび1M硝酸200
mlを容積1lの清浄なポリエチレン製の加圧容器に投
入し、密閉して350℃に保持した状態で連続2時間、
金属不純物を抽出した。この後、容器から希酸を除去し
て、200mlの超純水を加えて、1時間振とう後、硝
酸イオンをイオンクロマトグラフィで測定し、フッ化物
イオンと硝酸イオンのピークが検出されなくなるまで、
超純水を交換し、1時間振とうする操作を行った。
【0120】次に、内容物を取り出して、真空乾燥器内
において、80℃、10時間乾燥させて成形体の原料と
なる微粒子を形成した。
【0121】得られた微粒子から前述した実施例8と同
様にしてPFA成形体を作製した。PFA粉末及びPF
A成形体についての特性評価を実施例8と同様にして行
い、その結果を下記表3に示す。また、(3)により得
られるふっ素樹脂成形体1個体当りのトータル金属溶出
量から成形体1g当りのトータル金属溶出量、つまりふ
っ素樹脂微粒子1g当りのトータル金属溶出量を算出し
たところ、1.95ngであった。
【0122】(実施例9): 市販FEP(テトラフル
オロエチレン・ヘキサフルオロピレン共重合体)を使用 市販のFEP粉末(溶融粘度7.5×104ポアズ)1
00gおよび1M硝酸200mlを容積1lの清浄なポ
リエチレン製の加圧容器に投入し、密閉して250℃、
1.3Paで加圧処理した状態で連続2時間、金属不純
物を抽出した。この後、容器から希酸を除去して、20
0mlの超純水を加えて、1時間振とう後、硝酸イオン
をイオンクロマトグラフィで測定し、フッ化物イオンと
硝酸イオンのピークが検出されなくまるまで、超純水を
交換し、1時間振とうする操作を行った。
【0123】次に、内容物を取り出して、真空乾燥器内
において、80℃、10時間乾燥させ成形体の原料とな
る微粒子を形成した。得られた微粒子について前述した
実施例1で説明したのと同様な方法により平均粒径、か
さ密度及び不安定末端基比を測定したところ、下記表3
に示すように、平均粒径が100μmで、かさ密度が5
00g/lで、微粒子内部の不安定末端基数を1とした
際の前記微粒子の単位表面積当たりの不安定末端基数が
1であった。
【0124】得られたFEP微粒子を原料として、円盤
金型(100mmΦ、厚み2mm)を持つ射出成形機を
用いて、射出成形を行った。この成形に関しては、ホッ
パーを介して、ノズルを有するシリンダ内に原料FEP
を充填し、シリンダの温度を昇温してFEPを溶融させ
た。そして、この溶融ふっ素樹脂をノズルからキャビテ
イ内に射出し、圧縮用プレートにより、30kg/cm
2の圧縮圧をかけてふっ素樹脂を圧縮した。
【0125】次いで、得られたFEP成形体を実施例1
と同様の操作で、表面から100μmほどを切削加工し
た。得られたFEP成形物の表面粗さの測定結果はP−
V:0.05μmであり、また図1(a)の形状P1,
P2に対応する面積A1を計算したところ、平均で0.
05μm2であった。
【0126】切削加工処理が施されたFEP成形体につ
いて、前述した実施例1の(3)で説明したのと同様な
測定を行った。また、(3)により得られるふっ素樹脂
成形体1個体当りのトータル金属溶出量から成形体1g
当りのトータル金属溶出量、つまりふっ素樹脂微粒子1
g当りのトータル金属溶出量を算出したところ、0.0
1ng以下であった。
【0127】(比較例5)市販のFEP粉末(溶融粘度
7.5×104ポアズ)100gおよび1M硝酸200
mlを容積1lの清浄なポリエチレン製の加圧容器に投
入し、密閉して10℃に保持した状態で連続2時間、金
属不純物を抽出した。この後、容器から希酸を除去し
て、200mlの超純水を加えて、1時間振とう後、硝
酸イオンをイオンクロマトグラフィで測定し、フッ化物
イオンと硝酸イオンのピークが検出されなくまるまで、
超純水を交換し、1時間振とうする操作を行った。
【0128】次に、内容物を取り出して、真空乾燥器内
において、80℃、10時間乾燥させ成形体の原料とな
る微粒子を形成した。
【0129】得られた微粒子から前述した実施例9と同
様にしてFEP成形体を作製した。FEP粉末及びFE
P成形体についての特性評価を実施例9と同様にして行
い、その結果を下記表3に示す。また、(3)により得
られるふっ素樹脂成形体1個体当りのトータル金属溶出
量から成形体1g当りのトータル金属溶出量、つまりふ
っ素樹脂微粒子1g当りのトータル金属溶出量を算出し
たところ、3.85ngであった。
【0130】
【表3】
【0131】表3から明らかなように、実施例8の高分
子ふっ素系樹脂及びその成形体は、強酸に浸漬した際の
金属溶出量が比較例4に比べて低く、また実施例9の高
分子ふっ素系樹脂及びその成形体は、強酸に浸漬した際
の金属溶出量が比較例5に比べて低いことがわかる。
【0132】(実施例10):連続試験による溶出量 実施例1のPTFE成形体について、強酸洗浄後の回数
処理による溶出量の挙動を調べた。洗浄処理として、濃
硝酸+濃ふっ化水素酸で3日間洗浄後、0.1M硝酸に
よる溶出量を調べた。連続的に5回行った結果を下記表
4に示す。
【0133】
【表4】
【0134】表4から明らかなように、実施例1のPT
FE成形体は、酸洗浄により成形体表面から内部に酸が
浸透しても、金属不純物溶出量が極めて少なく、成形体
内部からの金属溶出が少ないことがわかる。
【0135】(比較例6):連続試験による溶出量 比較例1のPTFE成形体について、強酸洗浄後の回数
処理による溶出量の挙動を調べた。洗浄処理として、濃
硝酸+濃ふっ化水素酸で3日間洗浄後、0.1M硝酸に
よる溶出量を調べた。連続的に5回行った結果を下記表
5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】表5から明らかなように、比較例1のPT
FE成形体は、洗浄回数が増えるに従い、内部から溶出
してくる金属不純物量も増加してくることがわかる。
【0138】
【発明の効果】以上詳述したたように本発明によれば、
不純物等による二次汚染が防止されたふっ素樹脂及びふ
っ素樹脂成形体を提供することができる。また、本発明
によれば、不純物等による二次汚染を防止することが可
能なふっ素樹脂の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るふっ素樹脂成形体の表面状態の一
例を示す模式図。
【図2】本発明に係るふっ素樹脂の製造方法で使用され
る原料粉末の一例を示す模式図。
【図3】本発明に係るふっ素樹脂の製造方法で使用され
る原料粉末の一例を示す模式図。
【図4】実施例1のPTFE成形体についての粉末X線
回折パターンを示す特性図。
【図5】図4の粉末X線回折パターンの縦軸を10倍に
拡大した特性図。
【図6】図4の粉末X線回折パターンにおけるピーク分
離結果を示す特性図。
【図7】図6の粉末X線回折パターンの縦軸を10倍に
拡大した特性図。
【図8】比較例1のPTFE成形体についての粉末X線
回折パターンを示す特性図。
【図9】図8の粉末X線回折パターンの縦軸を10倍に
拡大した特性図。
【図10】図8の粉末X線回折パターンにおけるピーク
分離結果を示す特性図。
【図11】図10の粉末X線回折パターンの縦軸を10
倍に拡大した特性図。
【符号の説明】
10、11…成形体 20…微粒子タイプの微粒子 30…造粒タイプの微粒子。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27:12 C08L 27:12 (72)発明者 立部 哲也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 林 勝 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小塚 祥二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 酒井 公人 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 大森 廣文 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 森田 正明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 4F071 AA15 AA26 AA27 AA27X AA30 AA30X AH17 AH19 BA01 BB03 BC16 4F204 AA16 FA01 FB01 FN11 FN15 4J100 AA02P AA02Q AC24P AC24Q AC26P AC26Q AC27Q AC31Q AE38P AE39Q BB07P BB18P BC58P CA01 CA04 GC35

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
    っ素樹脂成形体において、前記粒子の内部の不安定末端
    基数を1とした際の前記粒子の単位表面当りの不安定末
    端基数が1〜10の範囲内にあることを特徴とするふっ
    素樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
    っ素樹脂成形体において、前記成形体の表面粗さが0.
    05μmPTV以下で、かつ金属不純物溶出量が0.0
    1ng/g以下であることを特徴とするふっ素樹脂成形
    体。
  3. 【請求項3】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
    っ素樹脂成形体において、前記粒子の平均粒径が10〜
    100μmで、かつかさ密度が500〜800g/lで
    あることを特徴とするふっ素樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
    っ素樹脂成形体において、BET法による比表面積が
    0.01〜1m2/gであることを特徴とするふっ素樹
    脂成形体。
  5. 【請求項5】 複数のふっ素樹脂粒子を一体成形したふ
    っ素樹脂成形体において、前記粒子の結晶度が0.4〜
    0.6であることを特徴とするふっ素樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 粒子状で、かつ前記粒子の内部の不安定
    末端基数を1とした際の前記粒子の単位表面当りの不安
    定末端基数が1〜10の範囲内にあることを特徴とする
    ふっ素樹脂。
  7. 【請求項7】 前記不安定末端基は、−COF、−CO
    OH、−CF=CF 2、−CONH2、−CH2OH、−
    CF2H、−CF225、−C25、−COOCH3
    −CF2CH2OH、−CF2Cl及び−COO−からな
    る群より選ばれる1種類以上の官能基で構成されること
    を特徴とする請求項6記載のふっ素樹脂。
  8. 【請求項8】 粒子状をなし、平均粒径が10〜100
    μmで、かつ金属不純物溶出量が0.01ng/g以下
    であることを特徴とするふっ素樹脂。
  9. 【請求項9】 粒子状をなし、平均粒径が10〜100
    μmで、かつかさ密度が500〜800g/lであるこ
    とを特徴とするふっ素樹脂。
  10. 【請求項10】 粒子状のふっ素樹脂であって、前記粒
    子の結晶度が0.4〜0.6であることを特徴とするふ
    っ素樹脂。
  11. 【請求項11】 高分子ふっ素系樹脂の粉末を酸含有の
    水溶媒に混入し、温度が80〜250℃で加熱すると共
    に前記水溶液が液状で存在しうる圧力で加圧することに
    より前記高分子ふっ素系樹脂の不安定末端基を低減する
    工程を具備することを特徴とするふっ素樹脂の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記高分子ふっ素系樹脂は、パーフル
    オロビニルエーテル基を含有する変性ポリテトラフルオ
    ロエチレン樹脂であることを特徴とする請求項11記載
    のふっ素樹脂の製造方法。
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