JPH08245723A - 撥水性樹脂及びその調整方法 - Google Patents

撥水性樹脂及びその調整方法

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JPH08245723A
JPH08245723A JP5413995A JP5413995A JPH08245723A JP H08245723 A JPH08245723 A JP H08245723A JP 5413995 A JP5413995 A JP 5413995A JP 5413995 A JP5413995 A JP 5413995A JP H08245723 A JPH08245723 A JP H08245723A
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resin
water
surface roughness
heating
molding
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JP5413995A
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English (en)
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Miyuki Takenaka
みゆき 竹中
Masaru Hayashi
勝 林
Takashi Yoshida
吉田  孝
Michihiko Inaba
道彦 稲葉
Hiroshi Endo
博 遠藤
Eijiro Koike
栄二郎 小池
Masahiro Hashimoto
政弘 橋本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 周囲を汚染せずに長期使用可能な樹脂及び樹
脂の調製法の提供。 【構成】 撥水性樹脂は、表面粗さが0.05μmP−
V以下で、表面凹凸における任意の隣接する2つの凸部
の頂点を含む垂直断面において当該2つの頂点を結ぶ直
線と樹脂表面とで形成される図形の面積の平均値が0.
01〜0.1μm2 の範囲となる。原料樹脂を含水溶媒
と共に加圧下で加熱し、次に酸性含水溶媒と共に加圧下
で加熱し、原料樹脂を粒径0.1〜0.5μmの樹脂粒
子とし、溶融成型、加工を経て表面粗さが0.03〜
0.1μmP−Vの樹脂加工物とし、加熱しながら加圧
することにより、該撥水性樹脂を得る。 【効果】 酸等の薬液に対する耐性を有し、不純物が少
ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体等に関連するエ
レクトロニクス、配管等の構造材料、航空・宇宙工学及
び建設等の分野において広く使用されている高分子樹脂
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子材料は優れた耐薬品性を有してい
るため、近年、各種製造工程に使用される様々な装置や
治具の材料として幅広く用いられている。その中でも、
特に、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと
称する)及びテトラフルオロパーアルコキシビニルエー
テル共重合体エチレン(以下、PFAと称する)等の弗
素樹脂は、耐熱性や加工性が優れているので、最も広範
囲に用いられている。
【0003】半導体製造の分野においても、弗素樹脂は
製造工程に使用される装置や器具に用いられているが、
半導体の集積度が高まるに従って、製造工程で浸入する
微量不純物の影響が深刻化し、現状の弗素樹脂及びその
加工品に対する問題の重要性が指摘されるようになっ
た。このため、弗素樹脂の品質改善が求められている。
【0004】上述の問題を解決する方法としては、弗素
樹脂中の不純物自体を減少させる方法、及び、弗素樹脂
中の不純物が外部に浸出しないように樹脂表面の性質を
改善する方法が考えられ、いくつかの方法が提案されて
いる。
【0005】例えば、表面が平滑になるように表面処理
をすると弗素樹脂表面の撥水性が高められることに基づ
いて、加熱しながら圧縮成型することによって表面粗さ
を80nmから20nmに減少させたPFA樹脂が提案され
ている。
【0006】又、マイクロバニッシング加工や摩耗熱を
利用した表面改質、高水圧による微小弾性変形加工等の
物理的な表面平滑化によって、表面粗さを0.5μmP
−V程度に減少させた弗素樹脂が提案されている。この
樹脂においては金属不純物の溶出が0.5ng以下になる
ことが確認されている。
【0007】更に、気相弗素処理によって弗素樹脂の表
面にトリフルオロメチル基を高密度で分布させて表面エ
ネルギーを低下させることによって撥水性を高めた弗素
樹脂も提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の改良さ
れた弗素樹脂であっても、酸等の薬液に長時間浸される
と、徐々に表面が荒れて凹凸が大きくなり、有機炭素等
の不純物粒子や金属不純物が樹脂表面に滞留し易くな
る。この結果、滞留不純物が再汚染の原因となる。
【0009】又、樹脂内部の不純物が拡大された凹凸部
分を通して溶出し易くなり、表面処理の効果は喪失す
る。
【0010】上述したように、従来の弗素樹脂には、樹
脂に含まれる不純物による外部の汚染を長時間に渡って
十分に防止できないという問題点があった。
【0011】本発明は、この様な従来技術の課題を解決
するためになされたもので、不純物等によって周囲を汚
染することなく長期間使用できる樹脂及び該樹脂の調製
方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、表面粗さを
0.05μmP−V以下に減少させると樹脂の耐久性が
格段に向上し、周囲の汚染を激減させることを見いだ
し、本発明の樹脂を発明するに至った。
【0013】本発明の撥水性樹脂は、表面粗さが0.0
5μmP−V以下であり、表面凹凸における任意の隣接
する2つの凸部の頂点を含む垂直断面において当該2つ
の頂点を結ぶ直線と樹脂表面とで形成される図形の面積
の平均値が0.01〜0.1μm2 の範囲となる。
【0014】又、撥水性樹脂の調整方法は、原料樹脂を
含水溶媒と共に100〜300℃に加熱しながら水が液
状で存在し得る圧力に加圧する第1の溶出工程と、酸性
含水溶媒と共に100〜300℃に加熱しながら水が液
状で存在し得る圧力に加圧する第2の溶出工程と、第1
及び第2溶出工程の後に原料樹脂を粒径0.1〜0.5
μmの樹脂粒子に粒子化する粒子化工程と、該樹脂粒子
を溶融成型して樹脂成形物を得る成型工程と、該樹脂成
形物を表面粗さが0.03〜0.1μmP−Vの樹脂加
工物となるように加工する加工工程と、該樹脂加工品を
290〜310℃に加熱しながら80〜120 kg/cm2
で加圧する加圧工程とを有する。
【0015】
【作用】加圧下で含水溶媒共に加熱することにより、弗
素樹脂の腐食性ガスの原因となる弗素イオンが抽出さ
れ、酸性含水溶媒との加熱により、金属不純物が抽出除
去される。純度が上がった樹脂を溶融成形する前に、粒
度分布の狭い粒子に成形することによって成形物の均一
性が向上する。均一性の高い成形物を加工すると、表面
粗さが小さい加工物になり、更に加熱しながら加圧圧縮
することによって表面粗さが更に減少し、表面の凹凸形
状も、不純物が付着し難い丸みを帯びた形状となる。
【0016】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0017】弗素樹脂に含まれる不純物による周囲の汚
染は、弗素樹脂の表面を滑らかにすることによって軽減
することができるが、表面の滑らかさを酸等の薬液に対
して長時間維持することはできない。薬液に対する耐久
性を弗素樹脂に付与するための研究を行った結果、表面
粗さを更に0.05μmP−V以下迄減少させた弗素樹
脂であれば、薬液に対する耐久性を有し、表面の滑らか
さを長時間保持できることが見出された。更に、表面粗
さの減少による効果は、弗素樹脂に限らず、他の樹脂に
おいても生じる。又、樹脂表面の形状に関しては、外部
からの汚染物質が樹脂表面に滞留して再汚染するのを防
ぐためには、表面形状を断面図で表したときに、図1の
(a)のような形状の方が(b)より好ましい。この形
状的特徴を数値的に表現する1つの方法として、表面凹
凸における隣接する2つの凸部の頂点P1,P2、P
1’,P2’を含む垂直断面を規定した時に2頂点を結
ぶ直線と樹脂表面S、S’との間に形成される図形A、
A’の面積を用いて規定することができる。本発明に係
る樹脂の表面形状においては、面積が平均値で0.01
〜0.1μm2 の範囲となり、(a)型の形状となる。
(b)型の形状においては、面積は0.5〜10μm2
となる。
【0018】上述のように表面粗さを0.05μmP−
V以下迄減少させた表面の滑らかな樹脂を得るには、特
定の処理工程を経ることが必要となる。
【0019】まず、表面を機械的に滑らかにする研磨等
の物理的処理の効果は、樹脂に含まれる不純物自体が多
ければ半減する。例えば、樹脂表面近くに不純物の大き
な粒子があれば、表面の物理的処理の際に粒子表面に露
出したり脱落することによってかえって表面が粗くな
る。更に、従来の弗素樹脂からは腐食性ガスが生じ易
く、このままでは、樹脂成型の際に腐食性ガスによって
成型機が損傷し、成型機の成分金属で樹脂が汚染され
る。又、成型後においても周囲のものを腐食する。例え
ば、従来の弗素樹脂製のバスケット中に保管したシリコ
ンウエハに曇りが生じるのは弗素樹脂表面から生成する
腐食性ガスによるものである。従って、このような腐食
性ガスの生成も防止する必要がある。
【0020】上記を鑑み、本発明においては、第1の特
徴として、樹脂から不純物及び上述の腐食性ガスの原因
となる弗素の抽出除去を行う。腐食性ガスの原因となる
弗素は、弗素樹脂の末端基にある弗素が反応したもので
あり、熱分解や溶出によって弗素樹脂から遊離して弗素
ガスや弗素イオンを生じる。従って、まず、溶出によっ
て末端基の弗素の抽出除去を行う。溶出の際に、末端基
の弗素は下記のような反応に従って脱離する。
【0021】
【化1】 2(−COF) + O2 → 2CO2 + F2 −COF + H2 O → −COOH + H+ -
【0022】弗素イオンの溶出は、弗素樹脂を加圧下で
水性の抽出溶媒と共に加熱することによって可能であ
る。抽出溶媒は、新たな不純物の弗素樹脂への導入を避
けるために、純水あるいは含水弗素系溶媒が用いられ
る。弗素系溶媒としては、例えばR−113(CCl2
F−CClF2 )等が挙げられる。加熱温度は、100
〜300℃、好ましくは150〜250℃に設定し、こ
の温度において抽出溶媒が液体として系内に存在し得る
ように、例えばオートクレーブ等を用いて加圧する。抽
出操作を約1時間程度行うことによって腐食性ガスの原
因となる弗素の殆どは弗素樹脂から除去される。より好
ましくは、5〜30時間抽出操作が続けられる。溶出が
好適に行われるように、弗素樹脂は予め細かく粉砕して
おくことが望ましい。
【0023】上述の溶出操作を、抽出溶媒を塩酸、弗化
水素酸、硝酸、硫酸、酢酸等の酸を含有する0.1〜1
M程度の酸性水に代えて行うと、樹脂の製造時に用いら
れた触媒に起因するナトリウムやカルシウム等の金属が
溶出し、弗素樹脂の純度が向上する。従って、抽出操作
を施す樹脂及び抽出対象物質によって、抽出溶媒を適宜
選択して溶出処理を行えば、樹脂内の不純物を減少させ
ることができる。
【0024】樹脂は溶融成型によって所望の形状に成形
される。従来は、一般的に0.1〜10μm程度の不均
一なペレットが溶融成型に用いられていた。しかし、溶
融する樹脂ペレットの粒子サイズのばらつきがこのよう
に大きいと、成形後の樹脂にしばしば亀甲模様等の模様
が現れる。このような模様のある成形樹脂を表面研磨す
ると、樹脂の状態の不均一さによって表面の凹凸が激し
くなる。本発明においては、これを防止するために、第
2の特徴として、超音波処理、ウォータージェット等の
粉砕操作と、遠心分離等の分離操作によって、溶融成型
する前の樹脂の大きさを均一にする。この際、樹脂の粒
径が0.1〜5μm、好ましくは0.1〜1μmとなる
ように処理条件を適宜調整する。樹脂の大きさの均一化
は、前述の溶出処理を施した樹脂を溶融成型する前に行
うが、更に、溶出処理の前にも行うと溶出処理をより効
率よく行うことができる。樹脂の溶融成型の条件等は樹
脂の種類に応じて、常法に従って適宜定めることができ
る。
【0025】溶融成形した樹脂をより精密に形状を整え
る場合は、超精密加工装置等を用いた切削加工や研磨加
工によってさらに精密な加工を施すことができる。上述
の溶出及び溶融成型工程を経て得られる樹脂成形物は、
不純物の量が少なく均質であるので、切削加工や研磨加
工によって生じる面は、従来に比べてはるかに滑らかな
面になる。例えば、上述の方法に従って溶融成型された
弗素樹脂成形物を、樹脂の回転数を1000 rpm前後、
工具送り数を5〜8μm/rev.、切込みを20μm程度
に設定して管状に加工した時、表面粗さが0.05μm
P−V前後、正確には0.03〜0.1μmP−Vの内
周面及び外周面を有する樹脂加工物が得られる。
【0026】この後、樹脂加工物は、圧縮加工装置を用
いて加熱しながら加圧圧縮することによって、表面粗さ
は更に、0.01〜0.05μmP−Vに減少させるこ
とができる。この加圧処理は、290〜310℃、好ま
しくは300℃前後の温度で行い、80〜120kg/cm
2 、好ましくは100kg/cm2 の圧力で加圧することに
よって達成される。樹脂加工物の表面の凹凸形状が図1
の(b)の状態であったものでも、この加圧処理によっ
て図1の(a)の状態となる。図2は、上述の溶出処
理、粒子の超音波処理及び溶融成型を経て切削加工及び
加熱処理を行って得られた管状のPFA樹脂成形品の内
径面の表面状態を原子間力顕微鏡によって観察したAF
M像である。
【0027】上記加圧処理は、例えば図3に示すような
圧縮加工装置を用いて行うことができる。この圧縮加工
装置1は、真空容器3内で対面するように上下に配置さ
れる1対の圧縮板5、7を有し、上方に位置する圧縮板
5には圧縮ジグ9が取り付けられている。下方の圧縮板
5上にシリコン製平板11が載置され、その上に弗素樹
脂成形物F等の樹脂を据え、更にシリコン製の押え板1
3を載せる。真空容器3内を加熱排気し、上方の圧縮板
5を平板13に抗して押圧することによって、弗素樹脂
成形物Fが圧縮される。
【0028】上述の一連の処理を弗素樹脂に施した場
合、樹脂中の塩素イオン、硝酸イオン及び弗素イオンの
含有量が10〜100 ppbまで減少し、これらのイオン
の総量も100〜1000 ppb程度になる。又、ナトリ
ウム、カリウム、鉄、銅等の金属不純物は、1〜10 p
pt程度まで減少し、金属不純物の総量も1〜100 ppt
程度に抑えられる。更に、その他の不純物粒子について
も、大きい粒子は言うまでもなく、0.3μm以下の小
粒子についても1〜100カウント程度まで減少する。
TOC(有機炭素濃度)も0.1〜10 ppb程度まで減
少する。
【0029】上述の処理方法は、溶融成型が可能な弗素
樹脂のいずれにも適用することができ、得られる樹脂の
表面粗さは0.01〜0.05μmP−Vの範囲とな
る。例えば、PTFE、PFA、FEP(ポリ弗化エチ
レンプロピレン)、PCTFE(ポリ三弗化塩化エチレ
ン)、ETFE(ポリエチレン四弗化エチレン)、EC
TFE(ポリエチレン三弗化塩化エチレン)、PVDF
(ポリ弗化ビニリデン)、PVF(ポリ弗化ビニル)等
の弗素樹脂の表面粗さを上述の処理によって改善するこ
とができる。特に、加圧成型焼成法によって作られるP
TFEは、表面がポーラスで熱摩耗加工がし易いので、
特に適している。又、PP(ポリプロピレン)、PEE
K(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェ
ニレンスルフィド)等の非弗素系の熱可塑性樹脂につい
ても、同様に表面が滑らかな樹脂に調整し、重合触媒な
どに起因して樹脂に含まれる金属を除去することができ
る。
【0030】上述のように表面粗さが0.05μmP−
V以下に減少した樹脂は、撥水性の向上が極めて著しい
ため、強酸等の薬液による侵食に対しても長時間耐久性
を保持し、晒された後でも滑らかさを維持することがで
きる。この耐性の改善は、後述の実施例の記載における
表面粗さの測定結果において薬液による表面荒れを防止
する効果が明かに見られることから容易に理解すること
ができる。樹脂が滑らかさを保持するので、新たに重金
属等の汚染物質が樹脂の表面に滞留するのを防止でき
る。もちろん、樹脂に含まれる金属等の不純物が浸出す
ることも防止される。更に、樹脂に含まれる不純物自体
が少なくなるので、樹脂から周囲に不純物が浸出するこ
とは極めて僅かになる。
【0031】このような薬液に対する耐久性が向上した
樹脂は、半導体や液晶等の精密電子機器の製造装置、器
具及び配管などの設備、半導体原料であるウエハの洗浄
容器やキャリアボックス、種々の分析装置及び分析用容
器等の器具類など、微量不純物を嫌う分野の構造材料と
して有益である。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0033】(実施例1)加圧成型焼成法によって作ら
れ表面がポーラスなPTFE樹脂ペレット100g及び
純水200mlを加圧容器に投入し、容器を密閉して約2
00℃に1時間加熱して弗素を抽出した。この後、加圧
容器から水を除去して1M塩酸200mlを加圧容器に入
れて密閉し、再度、約200℃に1時間加熱して金属を
抽出した。加圧容器からPTFE樹脂ペレットを取り出
して純粋で洗浄し、超音波処理を施して粒径が0.1〜
0.5μmのPTFE粒子100gを得た。
【0034】上記PTFE粒子を300〜400℃で溶
融して筒状に成形し、得られたPTFE成形物を超精密
加工装置を用いて管状に切削加工した。加工の際のPT
FE成形物の回転数は1000 rpm、工具送り数は5μ
m/rev.、切込みは20μmに設定した。加工面の表面
粗さを表面粗さ計を用いて測定した。測定結果は図4の
(a)のようになり、Ra:0.029μm、RMS:
0.035μm、Rmax:0.185μmであった。
図1の形状A,A’に対応する面積を計算したところ、
平均で4μm2 であった。
【0035】更に、圧縮加工装置を用いて、加工後のP
TFE管状成形物を300℃に加熱して100kg/cm2
の圧力で60分間加圧圧縮した。得られたPTFE成形
物の表面粗さを測定した。測定結果は図4の(b)のよ
うになり、Ra:0.012μm、RMS:0.015
μm、Rmax:0.085μmであった。図1の形状
A,A’に対応する面積を計算したところ、平均で0.
03μm2 であった。
【0036】加圧処理後のPTFE成形物について、
0.1M硝酸を用いて金属の溶出試験を行った。溶出試
験における各金属の溶出量を表1に示す。
【0037】他方、加圧処理後のPTFE成形物の別サ
ンプルを、68%硝酸:35%塩酸=1:1の割合で混
合し200℃に加熱した混酸溶液中に24時間浸し、混
酸溶液から取り出して表面粗さを測定した。測定結果は
図5の(a)のようになり、Ra:0.016μm、R
max:0.099μmであった。
【0038】(比較例1)実施例1で用いたPTFE樹
脂ペレットと同じものを、溶出処理及び超音波処理をす
ることなく、溶融成型及び切削加工によってPTFE管
状成形物を形成した。このPTFE成形物を実施例1と
同様に金属の溶出試験を行った。この結果を表1に示
す。
【0039】(実施例2)弗素樹脂をPFAに代えた点
以外は実施例1と同様の操作を行って、加圧処理後に得
られるPFA管状成形物について金属の溶出試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0040】(比較例2)弗素樹脂をPFAに代えた点
以外は比較例1と同様の操作を行ってPFA管状成形物
を形成し、金属の溶出試験を行った。結果を表1に示
す。
【0041】(実施例3)弗素樹脂をPVDFに代えた
点以外は実施例1と同様の操作を行って、加圧処理後に
得られるPVDF管状成形物について金属の溶出試験を
行った。結果を表1に示す。
【0042】(比較例3)弗素樹脂をPVDFに代えた
点以外は比較例1と同様の操作を行ってPVDF管状成
形物を形成し、金属の溶出試験を行った。結果を表1に
示す。
【0043】(実施例4)弗素樹脂をFEPに代えた点
以外は実施例1と同様の操作を行って、加圧処理後に得
られるFEP管状成形物について金属の溶出試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0044】(比較例4)弗素樹脂をFEPに代えた点
以外は比較例1と同様の操作を行ってFEP管状成形物
を形成し、金属の溶出試験を行った。結果を表1に示
す。
【0045】(実施例5)原料樹脂をPEEKに代えた
点以外は実施例1と同様の操作を行って、加圧処理後に
得られるPEEK管状成形物について金属の溶出試験を
行った。結果を表1に示す。
【0046】(比較例5)原料樹脂をPEEKに代えた
点以外は比較例1と同様の操作を行ってPEEK管状成
形物を形成し、金属の溶出試験を行った。結果を表1に
示す。
【0047】(比較例6)加圧処理をしなかった点以外
は実施例1と同様の操作を行って、PTFE管状成形物
を得た。このPTFE成形物を68%硝酸:35%塩酸
=1:1の割合で混合し200℃に加熱した混酸溶液中
に24時間浸し、混酸溶液から取り出して表面粗さを測
定した。測定結果は図5の(b)のようになり、Ra:
0.31μm、Rmax:1.85μmであった。
【0048】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− PTFE PFA PVDF FEP PEEK 溶出 −−−−− −−−−− −−−−− −−−−− −−−−− 金属 実施 比較 実施 比較 実施 比較 実施 比較 実施 比較 (ppb) 例1 例1 例2 例2 例3 例3 例4 例4 例5 例5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Al <0.1 2.0 <0.1 0.2 <0.1 0.4 <0.1 0.2 <0.1 0.9 Ba 0.03 1.5 0.03 0.5 0.03 0.9 0.03 0.3 0.03 0.5 Cr <0.1 2.0 <0.1 0.5 <0.1 2.5 <0.1 0.5 <0.1 1.5 Cu <0.05 0.4 <0.05 0.2 <0.05 0.2 <0.05 0.5 <0.05 0.1 Fe <0.1 5.0 <0.1 1.0 <0.1 2.1 <0.1 1.7 <0.1 6.0 K <0.01 0.5 <0.01 0.3 <0.01 0.3 <0.01 0.2 <0.01 0.3 Mg <0.05 2.0 <0.05 2.0 <0.05 4.0 <0.05 6.0 <0.05 7.0 Mn <0.1 0.4 <0.1 0.3 <0.1 0.3 <0.1 0.3 <0.1 0.3 Na <0.02 5.0 <0.02 5.0 <0.02 3.0 <0.02 8.0 <0.02 9.0 Ni <0.1 1.0 <0.1 0.5 <0.1 0.5 <0.1 2.5 <0.1 0.5 Pb <0.1 0.9 <0.1 0.3 <0.1 1.2 <0.1 0.6 <0.1 0.4 Sr <0.5 1.0 <0.5 0.9 <0.5 1.9 <0.5 1.4 <0.5 2.7 U <0.03 0.2 <0.03 0.1 <0.03 1.1 <0.03 0.6 <0.03 0.2 Th <0.01 0.1 <0.01 0.2 <0.01 0.6 <0.01 0.4 <0.01 0.2 Zn <0.01 0.2 <0.01 0.3 <0.01 0.8 <0.01 1.7 <0.01 1.3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1に記載するように、本発明に従って溶出処理、
樹脂粒子の均一化、溶融成型、切削加工及び加圧圧縮の
各処理を施すと、PTFE樹脂は表面が極めて滑らかに
なる。更に、実施例1及び比較例6から、表面粗さが
0.05μmP−V以下に減少すると、酸溶液による表
面荒れが防止され、このことから耐酸性が飛躍的に向上
することが解る。又、このように表面粗さを減少させた
PTFE樹脂は、溶出試験において溶出する金属量が格
段に減少することが表1に示されている。
【0049】更に、表1に示す結果から解るように、本
発明に係る溶出処理、樹脂粒子の均一化、溶融成型、切
削加工及び加圧圧縮の各処理を経た樹脂は、PTFE樹
脂に限らず、他の弗素樹脂及び非弗素系樹脂も、金属の
溶出試験における金属の溶出が格段に減少し、殆どの金
属において検出限界以下の値となる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂は、
表面が滑らかで酸等の薬液に対する耐性を有するもので
あり、その工業的価値は極めて大である。また、本発明
の樹脂は不純物が少なく、高品質である。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂の表面粗さを説明する概略図である。
【図2】本発明に係るPFA樹脂加工品の表面状態を原
子間力顕微鏡によって観察したAFM像である。
【図3】本発明に係る樹脂の調整に使用する圧縮加工装
置の一例を示す概略構成図である。
【図4】弗素樹脂の表面粗さを測定した結果を示すチャ
ート図で、(a)は、加圧圧縮処理前の樹脂を表す図、
(b)は加圧圧縮処理後の樹脂の図である。
【図5】弗素樹脂の表面粗さを測定した結果を示すチャ
ート図で、(a)は、加圧圧縮処理を施した樹脂を酸に
接触させた後の表面を表す図、(b)は加圧圧縮処理を
施さずに酸に接触させた樹脂の表面の図である。
【符号の説明】
1 圧縮加工装置 3 真空容器 9 圧縮ジグ F 弗素樹脂成形物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/18 102 C09K 3/18 102 (72)発明者 稲葉 道彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 遠藤 博 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 東芝リ サーチコンサルティング株式会社内 (72)発明者 小池 栄二郎 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33 株式会 社東芝生産技術研究所内 (72)発明者 橋本 政弘 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33 株式会 社東芝生産技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗さが0.05μmP−V以下であ
    り、表面凹凸における任意の隣接する2つの凸部の頂点
    を含む垂直断面において当該2つの頂点を結ぶ直線と樹
    脂表面とで形成される図形の面積の平均値が0.01〜
    0.1μm2の範囲となることを特徴とする撥水性樹
    脂。
  2. 【請求項2】 原料樹脂を含水溶媒と共に100〜30
    0℃に加熱しながら水が液状で存在し得る圧力に加圧す
    る第1の溶出工程と、酸性含水溶媒と共に100〜30
    0℃に加熱しながら水が液状で存在し得る圧力に加圧す
    る第2の溶出工程と、第1及び第2溶出工程の後に原料
    樹脂を粒径0.1〜0.5μmの樹脂粒子に粒子化する
    粒子化工程と、該樹脂粒子を溶融成型して樹脂成形物を
    得る成型工程と、該樹脂成形物を表面粗さが0.03〜
    0.1μmP−Vの樹脂加工物となるように加工する加
    工工程と、該樹脂加工品を290〜310℃に加熱しな
    がら80〜120 kg/cm2 で加圧する加圧工程とを有す
    る撥水性樹脂の調整方法。
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