JP2002234945A - ポリテトラフルオロエチレン造粒物及びその成形品 - Google Patents
ポリテトラフルオロエチレン造粒物及びその成形品Info
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Abstract
テトラフルオロエチレン(PTFE)造粒物、及び、高
い伸びと高い硬度を有するPTFE成形品を提供する。 【解決手段】粒子径0.1〜9.5μmのPTFE微細
粉末を8.3質量%以上含有するPTFE粉末と該コー
クス粉末の質量比が95〜60/5〜40であるPTF
E造粒物。
Description
原料となるテトラフルオロエチレン造粒物に関する。
ロエチレン(以下、PTFEという。)は、圧縮成形又
はラム押出法による成形用途に使用されている。通常、
懸濁重合では、平均粒子径2〜5mmのPTFE粒子が
得られるが、該粒子は粉砕され、平均粒子径が25〜6
5μmのPTFE粉末として種々の用途に使用される。
特に、平均粒子径が25〜65μmのPTFE粉末と種
々の充填剤を均一に混合して組成物を得、ついで造粒し
て得られたPTFE造粒物が、成形用粉末として使用さ
れている。
は、充填剤を含まないPTFE成形品よりも耐摩耗性、
硬度などの物理特性が向上し、各種のシール用摺動部材
として幅広く使用されている。しかし、このPTFE造
粒物は、薄肉成形品や微小成形品を製造する場合には、
成形金型への自動化充填に要求される充分な粉末流動性
等の特性が満足できなかった。
子径20μm以下のPTFE粉末と充填剤から得られた
PTFE造粒物が記載されている。充填剤として、ガラ
ス繊維粉末、グラファイト粉末、青銅粉末、カーボン繊
維粉末等を用いて得られたPTFE造粒物は、優れた粉
末流動性と高い見掛密度を有し、金型成形工程の自動化
や生産性向上に有用であると記載されている。しかし、
充填剤としてコークス粉末の使用については記載がな
い。
ながら摺動軸へ組込む、いわゆるカットなしシールリン
グのような摺動部材が種々の装置に使用されている。そ
の結果、このようなシールリング用途に使用できる、高
い伸びを有する摺動部材が必要とされ、高い伸びを有す
るPTFE成形品の需要が増大している。特に、鉄、ス
テンレス鋼等の高硬度材料から製造された装置の摺動面
のシールリングには、高い伸びに加え、耐摩耗性に優れ
る高硬度の摺動部材が必要とされている。
ァイト粉末とPTFE粉末の組成物が記載されている。
該組成物を成形して得られた成形品は高い伸びを有する
が硬度が低い。また、該組成物は成形時の粉末流動性が
充分でない。さらに、PTFE造粒物についての記載が
ない。
面積3m2/g以下のカーボン充填材とPTFEの組成
物が記載されている。該組成物を成形して得られた成形
品は高い伸びを有するが、該組成物は粉末流動性が充分
でない。また、PTFE造粒物については記載がない。
流動性と高い見掛密度を有するPTFE造粒物、及びそ
のPTFE造粒物を成形して得た高い伸びと高い硬度を
有する成形品の提供を目的とする。
及びコークス粉末から得られたPTFE造粒物であっ
て、該PTFE粉末が粒子径0.1〜9.5μmのPT
FE微細粉末を8.3質量%以上含有し、該PTFE粉
末/該コークス粉末の質量比が95〜60/5〜40で
あることを特徴とするPTFE造粒物を提供する。ま
た、本発明は、前記PTFE造粒物を成形して得た成形
品を提供する。
粒子径0.1〜9.5μmのPTFE微細粉末(以下、
単にPTFE微細粉末という。)を8.3質量%以上含
有する。PTFE粉末中のPTFE微細粉末の含有割合
(以下、PTFE微細粉末含有率といいう。)が8.3
質量%未満では、造粒物製造時の造粒性が低下し、得ら
れるPTFE造粒物の粉末流動性が劣るうえ、成形品の
伸びが低下する傾向となる。PTFE粉末中のPTFE
微細粉末含有率は10質量%以上が好ましく、12質量
%以上がより好ましい。
ど造粒性は向上するが、あまりに粒子径が小さいPTF
E微細粉末は製造が困難になる。また、粒子径9.5μ
mを超えるPTFE微細粉末では造粒性の向上効果が大
きくない。PTFE粉末にあまりに大きな粒子径のPT
FE粒子が含有されると造粒性が低下し、造粒物の粉末
流動性が低下するとともに、高い伸びを有する成形品が
得られない。PTFE粉末の最大粒子径は750μm以
下が好ましく、600μm以下がより好ましく、450
μm以下が最も好ましい。
しては、懸濁重合で得た平均粒子径2〜5mmのPTF
E粒子を粉砕することが好ましい。特に、平均粒子径2
0μm以下のPTFE粉末が好ましい。例えば、粉砕に
より得られた平均粒子径20μmのPTFE粉末は、P
TFE微細粉末を15質量%含有する。
方法としては、粉砕により得られた平均粒子径20μm
以下のPTFE粉末と入手容易な平均粒子径25〜65
μmのPTFE粉末を混合することも好ましい。例え
ば、PTFE微細粉末含有率が90質量%であり平均粒
子径5.7μmのPTFE粉末とPTFE微細粉末含有
率が8質量%であり平均粒子径35.1μmのPTFE
粉末とを20/80の質量比でヘンシェルミキサを用い
て混合するとPTFE微細粉末含有率が11.7質量%
であり平均粒子径32.9μmのPTFE粉末が得られ
る。
ン(以下、TFEという。)の単独重合体が用いられる
が、溶融流動性を付与するには到らない、0.5モル%
以下の割合でTFEと共重合できる共単量体に基づく重
合単位を含有するPTFEを用いてもよい。
オロプロピレン、クロロトリフロオロエチレン、トリフ
ルオロエチレン等のTFEを除くフルオロオレフィン
類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ペルフ
ルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)、(ペル
フルオロアルキル)メチル=トリフルオロビニル=エー
テル等のフルオロビニルエーテル類、(ペルフルオロア
ルキル)エチレン、エチレン、プロピレン等のオレフィ
ン類等が挙げられる。特に、ヘキサフルオロプロピレ
ン、ペルフルオロ(n−プロピルビニルエーテル)、
(ペルフルオロ−n−ブチル)エチレンが好ましい。
径は1〜50μmが好ましい。コークス粉末の平均粒子
径が小さすぎるとPTFE成形品の伸びが低く、大きす
ぎるとPTFE成形品の耐摩耗性が低い。コークス粉末
の平均粒子径は10〜35μmがより好ましい。
粉末の質量比は95〜60/5〜40である。PTFE
粉末があまりに多いと成形品の硬度が充分でなく、あま
りに少ないと成形品の引張強さ及び伸びが低下する傾向
となる。PTFE粉末/コークス粉末の質量比は90〜
65/10〜35が好ましい。特に、高硬度を有する成
形品を得るためには、PTFE粉末/コークス粉末の質
量比は85〜65/15〜35がより好ましい。
しては、水を使用しない乾式法と水を使用する湿式法が
採用できる。乾式法では、原料のPTFE粉末とコーク
ス粉末をヘンシェルミキサ等で混合した後、有機溶媒を
バインダとして添加し、転動型、撹拌型又は流動層型等
の造粒機で造粒することが好ましい。湿式法では、原料
のPTFE粉末とコークス粉末の混合品を水に不溶の有
機媒体をバインダとして、水中で撹拌して造粒すること
が好ましい。
粉末の作用機構は必ずしも明確ではないが、以下のよう
に考えられる。PTFE微細粉末の含有率が高いPTF
E粉末を使用することにより、PTFE粉末間及びPT
FE粉末とコークス粉末との間の密着力が増大し造粒性
が向上し、緻密で見掛密度が大きく、粉末流動性に優れ
るPTFE造粒物が得られると考えられる。また、コー
クス粉末をこのようなPTFE粉末と組み合わせること
によって、高い伸びと高い硬度を有するPTFE成形品
が得られると考えられる。
は、圧縮成形法やラム押出成形法等が用いられる。圧縮
成形法では、つぎの成形条件が好ましい。予備成形時の
成形圧:44〜118MPa、成形速度:ストローク長
の1/2になるまでは100mm/分、ストローク長の
1/2になった以降は、最高圧力まで20mm/分、最
高圧力での保持時間:粉体1kg当たり2分、焼成時の
焼成最高温度:360〜380℃、最高温度での保持時
間:次式で算出される時間X、昇温及び冷却速度:50
〜70℃/時。
リング、ショックアブソーバ等の摺動部材、ガスケッ
ト、バックアップリング等のシール部材等が挙げられ
る。
び比較例(例5〜8及び11)を挙げて本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されない。PTFE
粉末及びPTFE造粒物の特性試験方法は、以下に記載
の方法に従った。
(単位:μm)]島津製作所製レーザー回折式粒度分布
測定装置SALD−3000により測定した。得られた
PTFE粉末の粒子径分布より、積分法によりPTFE
微細粉末含有率及びPTFE粉末の平均粒子径を算出し
た。 [PTFE造粒物の平均粒子径(単位:μm)]上から
順に10、20、35、40、60メッシュの標準ふる
いを重ね、10メッシュふるい上にPTFE造粒物をの
せて振動させ、各ふるい上に残るPTFE造粒物の質量
を求めた。この質量に基づいて対数確率紙での50%粒
子径を求め、PTFE造粒物の平均粒子径と定めた。
L)]JIS K6891に準じて測定した。内容積1
00mLのステンレス鋼製のはかり瓶に、上部に設置さ
れた漏斗よりPTFE造粒物の試料を落として、はかり
瓶から盛り上がった試料を平板で擦り落とした後、はか
り瓶内に残った試料の重さをはかり瓶の内容積で除した
値を見掛密度とした。 [PTFE造粒物の粉末流動性(単位:mm)]ホッパ
形状をした容器にPTFE造粒物試料100gを投入
し、容器の底部を一定の速度で開いて試料が約50g落
下した時の開口部(スリット)の距離を粉末流動性とし
た。数値が小さいほど、粉末流動性は良好である。
位:%)]JIS K6891に準じて測定した。試験
試料は、つぎのようにして作成した。PTFE造粒物を
圧力58.9MPaで予備成形し、370℃で4時間焼
成した後、降温速度70℃/時で冷却して得た厚さ2m
mのシートからダンベル3号型で試験試料を打ち抜い
た。ただし、例5では、PTFE造粒物の代わりにPT
FE組成物を用いて成形して得た試験試料を使用した。 [硬度(単位:デュロメーターD)]JIS K721
5に準拠して測定した。
(フルオンG190シリーズ、旭硝子フロロポリマーズ
社製)を使用した。PTFE粉末を混合して用いる場合
には、ヘンシェルミキサを使用した。例えば、例3で
は、フルオンG190−5とフルオンG190−35と
を50/50の質量比で、ヘンシェルミキサにて、撹拌
翼集速度40m/秒、撹拌時間90秒の条件下に混合し
てPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末は、PT
FE微細粉末を24.1質量%含有し、平均粒子径は2
5.5μmであった。例4においても例3と同様にして
予め混合して得たPTFE粉末を用いた。得られたPT
FE粉末中のPTFE微細粉末含有率を測定した結果を
表2に示す。
0μmのコークス粉末(KC−200、富士黒鉛社製)
の200gを添加して、ヘンシェルミキサにて、撹拌翼
周速度40m/秒、撹拌時間90秒の条件下に混合しP
TFE組成物を得た。得られたPTFE組成物を石油ナ
フサをバインダとして造粒し、パン整粒機で整粒した
後、乾燥しPTFE造粒物を得た。表2に、原料のPT
FE粉末と該コークス粉末の混合質量比、得られたPT
FE造粒物の平均粒子径、見掛密度、粉末流動性、該P
TFE造粒物を成形して得た成形品の引張強さ、伸び及
び硬度を示す。
ェルミキサにて、撹拌翼速度40m/秒、撹拌時間90
秒の条件で混合し、PTFE組成物を得た。得られたP
TFE組成物の見掛密度及び粉末流動性をPTFE造粒
物と同様にして測定した。また、PTFE造粒物と同様
に成形して得られたPTFE組成物の成形品特性を、例
1〜5と同様にして測定した結果を表2に示す。
均粒子径30μmのグラファイト粉末(KS−75、富
士黒鉛社製)の200gを用いる以外は、例1〜4と同
様にしてPTFE造粒物及び成形品を得た。例1〜4と
同様にしてPTFE造粒物特性及び成形品物性を測定し
た結果を表2に示す。
1〜5と同様にしてPTFE造粒物を得た。得られたP
TFE造粒物の平均粒子径、見掛密度、粉末流動性、該
PTFE造粒物を成形して得た成形品の引張強さ、伸び
及び硬度を表3に示す。
高く、粉末流動性に優れ、金型成形工程の自動化や生産
性の向上等に有用である。また、本発明のPTFE造粒
物から得られる成形品は、高い伸び及び高い硬度を有し
ているので、高硬度の摺動面に延伸装着されるシールリ
ング等の摺動部材として有用である。
Claims (4)
- 【請求項1】ポリテトラフルオロエチレン粉末及びコー
クス粉末から得られたポリテトラフルオロエチレン造粒
物であって、該ポリテトラフルオロエチレン粉末が粒子
径0.1〜9.5μmのポリテトラフルオロエチレン微
細粉末を8.3質量%以上含有し、該ポリテトラフルオ
ロエチレン粉末/該コークス粉末の質量比が95〜60
/5〜40であることを特徴とするポリテトラフルオロ
エチレン造粒物。 - 【請求項2】前記ポリテトラフルオロエチレン粉末が前
記ポリテトラフルオロエチレン微細粉末を10質量%以
上含有する請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレ
ン造粒物。 - 【請求項3】該コークス粉末の平均粒子径が1〜50μ
mである請求項1又は2に記載の造粒物。 - 【請求項4】請求項1、2又は3に記載の造粒物を成形
して得た成形品。
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