JP2001199903A - 核酸含有複合体 - Google Patents

核酸含有複合体

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JP2001199903A JP2000278878A JP2000278878A JP2001199903A JP 2001199903 A JP2001199903 A JP 2001199903A JP 2000278878 A JP2000278878 A JP 2000278878A JP 2000278878 A JP2000278878 A JP 2000278878A JP 2001199903 A JP2001199903 A JP 2001199903A
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英三 盛
Yasuhiko Tabata
泰彦 田畑
Kiyoshi Ando
潔 安藤
Etsuro Tanaka
越郎 田中
Harukazu Izeki
治和 井関
Hiromi Sakamoto
裕美 坂本
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    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 核酸と生分解性高分子、就中正に荷電し
ている水不溶性の生分解性高分子とを含有することを特
徴とする核酸含有複合体。 【効果】 本発明の核酸含有複合体はその優れた核酸徐
放性によって、治療を必要とする部位に所望の核酸、就
中DNAを長期にわたり持続して供給することが可能で
ある。また、マクロファージ等の食細胞に取り込まれ、
且つ標的部位特異的に送達され得ることにより、標的部
位特異的な核酸の機能発現が可能となり、より特異性の
ある遺伝子治療が可能となる。アデノウイルス等のウイ
ルスベクターやリポソームの使用と異なり、組換え体の
発生や毒性といった副作用がない。したがって本発明の
核酸含有複合体は遺伝子治療の分野に特に好適である。
また、導入した核酸の生物学的効果を高めることから遺
伝子治療における遺伝子投与量の低用量化を実現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸と正に荷電し
ている水不溶性の生分解性高分子とを含有することを特
徴とする核酸含有複合体ならびに当該複合体からの核酸
の放出速度を制御する方法に関する。本発明はまた、核
酸と生分解性高分子とを含有する核酸含有複合体を含ん
でなる食作用を有する細胞(以下食細胞とも称する)、
ならびに当該核酸含有複合体を有効成分とする、食細胞
仲介型遺伝子治療に使用し得る医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ヒト疾患の分子遺伝学的要因が明
らかになるにつれ、遺伝子治療研究がますます重要視さ
れている。遺伝子治療法は標的とする部位でのDNAの
発現を目的としており、いかにDNAを標的部位に到達
させるか、いかにDNAを標的部位に効率的に導入し、
当該部位で機能的に発現させるかということが重要とな
る。外来DNAの効果的な導入と発現には種々の方法が
報告され、(1)物理的な方法によるDNAの導入(マイ
クロインジェクション法、エレクトロポレーション法
等)、(2)化学的な方法によるDNAの導入(リン酸カ
ルシウム法、DEAEデキストラン法等)、(3)生物学
的な方法(レトロウイルスやアデノウイルスといったウ
イルスベクター等)に大別される。リン酸カルシウム
法、DEAEデキストラン法といった従来の化学的な方
法は総じて遺伝子導入効率が低い。マイクロインジェク
ション法やエレクトロポレーション法といった物理的方
法は特殊な装置を必要とする場合があり、臨床上の使用
には実用的でない。ウイルスベクターはその高い遺伝子
導入効率のために臨床面での応用が期待されているが、
ウイルスを使用するという点で副作用の危険を伴うもの
である。
【0003】上記欠点を克服すべく新たな技術も開発さ
れている。リポソーム法は遺伝子をその内部に取り込む
ことで、不活化や分解から遺伝子を保護する。また、ウ
イルスDNAをもたず、危険な組換え体が発生する可能
性を完全に排除することができる。しかしながら様々な
細胞への強い毒性のためリポソームのDNAの担体とし
ての使用は制限されており、導入のための新しい物質の
開発が現在も続けられている。
【0004】また、血管病変に対する遺伝子治療の分野
では、血管に導入するカテーテルの表面にハイドロゲル
を付着させ、その中にプラスミド遺伝子を入れ、直接血
管に塗布するいわゆるハイドロゲル法も知られている
(Marchall, E., Science, 269, 1050-1055, 1995)。
この方法では、プラスミドはハイドロゲルから単純拡散
によって徐放される。概してこの方法では徐放期間は短
く、またその期間の制御も難しい。遺伝子治療において
は治療すべき疾患やその状況に応じて治療遺伝子の量、
あるいは供給期間を調整する必要があり、従って治療遺
伝子の徐放期間を必要に応じて自由に制御できる手段が
求められている。
【0005】また、遺伝子治療等の臨床で使用する場
合、外来遺伝子の機能的発現の為には、当該遺伝子を安
定したレベルで、標的部位に持続的に供給する必要があ
る。さらに、近年アンチセンスオリゴ核酸を用いた遺伝
子治療の研究が注目を集めており、核酸を部位特異的
に、且つ安定して一定期間生体へ供給する手段が求めら
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安全
で且つ細胞への導入効率が高く、また標的部位に持続的
に核酸を供給することが可能な核酸含有複合体ならびに
該複合体からの核酸の放出速度を制御する方法を提供す
ることである。さらに本発明の別の目的は、安全で取り
扱いが容易であり、且つ生体での部位特異的な機能発現
に優れた核酸含有複合体、ならびに当該核酸含有複合体
を用いた標的部位特異的に核酸の機能を発現し得る方法
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑みて、鋭意研究を行なった結果、負に荷電した核酸と
正に荷電した水不溶性の生分解性高分子とを複合化して
安定な複合体をつくることにより、体内での核酸の分解
を抑制できること、および所望の部位での持続的な核酸
の放出が可能なことを見出した。さらに当該核酸含有複
合体のように、核酸を生分解性高分子と複合体化するこ
とによって得られる複合体は免疫系に重要な役割を担う
食細胞に容易に取り込まれ(当該複合体の食細胞へのタ
ーゲッティング)、当該複合体を取り込んだ食細胞がそ
の遊走能に基づいて標的部位へと運ばれ(食細胞の標的
部位へのターゲッティング)、当該標的部位での核酸の
機能発現に優れた効果を有することを見出して本発明を
完成した。即ち、本発明は、以下の通りである。
【0008】(1)核酸と正に荷電している水不溶性の
生分解性高分子とを含有し、当該生分解性高分子の分解
によって核酸を放出し得る核酸含有複合体。 (2)核酸と、正荷電基を導入した正に荷電している水
不溶性の生分解性高分子とを含有する核酸含有複合体。 (3)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子がコ
ラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒアルロン
酸、アルギン酸、デンプンおよびそれらの誘導体からな
る群より選択される少なくとも1種である上記(1)ま
たは(2)記載の核酸含有複合体。 (4)誘導体がアミノ誘導体である上記(3)記載の核
酸含有複合体。 (5)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子が正
荷電基を導入した架橋ゼラチンである上記(1)または
(2)記載の核酸含有複合体。
【0009】(6)核酸がプラスミドDNA、オリゴヌ
クレオチドおよび二本鎖核酸化合物からなる群より選択
される少なくとも1種である上記(1)または(2)記
載の核酸含有複合体。 (7)核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子、肝細胞増殖
因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子(特に好ま
しくは配列表配列番号1に記載される塩基配列からなる
DNA)からなる群より選択される少なくとも1種であ
る上記(1)または(2)記載の核酸含有複合体。 (8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の核酸含有
複合体を有効成分とする医薬。 (9)遺伝子治療用、特に遺伝子を局所に投与すること
により行われることを特徴とする遺伝子治療用である、
上記(8)記載の医薬。 (10)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子中
に核酸を含有し、当該生分解性高分子の分解によって核
酸を放出することを特徴とする核酸放出速度の制御方
法。
【0010】(11)正荷電基を導入した正に荷電して
いる水不溶性の生分解性高分子中に核酸を含有し、当該
生分解性高分子の分解によって核酸を放出することを特
徴とする核酸放出速度の制御方法。 (12)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子中
に核酸を含有し、当該生分解性高分子の分解によって核
酸を放出してその機能を発現させることを特徴とする、
当該核酸の機能発現を増強する方法。 (13)正荷電基を導入した正に荷電している水不溶性
の生分解性高分子中に核酸を含有し、当該生分解性高分
子の分解によって核酸を放出してその機能を発現させる
ことを特徴とする、当該核酸の機能発現を増強する方
法。 (14)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子が
コラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒアルロン
酸、アルギン酸、デンプンおよびそれらの誘導体(例え
ばアミノ誘導体)からなる群より選択される少なくとも
1種である、上記(10)または(11)記載の核酸放
出速度の制御方法、あるいは上記(12)または(1
3)記載の核酸の機能発現を増強する方法。 (15)正に荷電している水不溶性の生分解性高分子が
正荷電基を導入した架橋ゼラチンである、上記(10)
または(11)記載の核酸放出速度の制御方法、あるい
は上記(12)または(13)記載の核酸の機能発現を
増強する方法。
【0011】(16)核酸がプラスミドDNA、オリゴ
ヌクレオチドおよび二本鎖核酸化合物からなる群より選
択される少なくとも1種である、上記(10)または
(11)記載の核酸放出速度の制御方法、あるいは上記
(12)または(13)記載の核酸の機能発現を増強す
る方法。 (17)核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子、肝細胞増
殖因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子(特に好
ましくは配列表配列番号1に記載される塩基配列からな
るDNA)からなる群より選択される少なくとも1種で
ある、上記(10)または(11)記載の核酸放出速度
の制御方法、あるいは上記(12)または(13)記載
の核酸の機能発現を増強する方法。 (18)核酸と生分解性高分子とを含有する核酸含有複
合体を含んでなる食細胞。 (19)生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチン、キチ
ン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプンお
よびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくと
も1種である上記(18)記載の食細胞。 (20)核酸含有複合体が上記(1)または(2)記載
の核酸含有複合体である、上記(18)記載の食細胞。
【0012】(21)標的部位での核酸の機能を発現す
る方法であって、少なくとも、(i)核酸と生分解性高
分子とを含有する核酸含有複合体を食細胞に取り込ませ
る過程、(ii)当該食細胞内で当該核酸を発現誘導す
る過程、および(iii)当該食細胞を標的部位に到達
せしめる過程を含む方法。 (22)核酸含有複合体が上記(1)または(2)記載
の核酸含有複合体である、上記(21)記載の方法。 (23)生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチン、キチ
ン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプンお
よびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくと
も1種である上記(21)記載の方法。 (24)遺伝子治療用の、核酸と生分解性高分子とを含
有する核酸含有複合体を有効成分とする医薬であって、
当該遺伝子治療が、少なくとも(i)核酸と生分解性高
分子とを含有する核酸含有複合体を食細胞に取り込ませ
る過程、(ii)当該食細胞内で当該核酸を発現誘導す
る過程、および(iii)当該食細胞を標的部位に到達
せしめる過程を含むものである、医薬。 (25)生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチン、キチ
ン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デンプンお
よびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくと
も1種である上記(24)記載の医薬。
【0013】(26)核酸含有複合体が上記(1)〜
(7)のいずれかに記載の核酸含有複合体である、上記
(24)記載の医薬。
【0014】本発明において複合体に含め得る核酸とし
ては、特に限定されないが、その導入が治療的効果をも
たらすものが好ましく、当該複合体の使用目的によって
適宜選択される。本発明においては、種々のプラスミド
DNAに加え、ある遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレ
オチドやおとり型核酸(デコイ)のような二本鎖核酸化
合物等も好適に使用され得る。より具体的に、循環器領
域の遺伝子治療ならびに癌の遺伝子治療において、本発
明の核酸含有複合体に含め得る核酸をその使用目的と併
せ表1に例示するが、本発明はそれらに何ら限定される
ものではなく、他の臨床分野にも当然適用可能であるこ
とは当業者には公知である。
【0015】
【表1】
【0016】本発明の核酸含有複合体に含められる核酸
の好ましい例としては、血管内皮細胞増殖因子遺伝子、
肝細胞増殖因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子
が挙げられる。かかる一連の遺伝子は当業者には良く知
られたものであり、例えば線維芽細胞増殖因子遺伝子と
しては配列表配列番号1に示される塩基配列を有するF
GF4/HST1遺伝子が挙げられる。
【0017】FGF4/HST1遺伝子は、NIH3T
3細胞をトランスフォームする活性のある遺伝子として
分離、同定されたが(hst−1;Proc. Natl. Acad.
Sci.USA, 83:3997-4001, 1986)、その後線維芽細胞増
殖因子(FGF)と相同性があることが明らかとなり、
4番目のFGFファミリーのメンバーとなった(FGF
4)。現在、FGF1〜20の、20種類のFGFファ
ミリーが知られている。
【0018】FGF4/HST1蛋白質はシグナルペプ
チドを持った分泌性蛋白質で、線維芽細胞・血管内皮細
胞に対する細胞増殖促進作用、血管新生作用、巨核球の
増殖・分化の促進、巨核球からのサイトカインの分泌促
進、巨核球と内皮細胞との接着促進、インビトロにおけ
る末梢血小板数の上昇の誘導、化学療法剤投与・放射線
照射による血小板減少症モデルにおける事前投与による
血小板減少の改善及び回復期間の短縮化、事前投与によ
る致死量放射線照射による生存率の向上等の活性が報告
されている。
【0019】FGF4/HST1遺伝子の遺伝子治療へ
の適用として、当該遺伝子を組み込んだアデノウイルス
ベクターの動脈硬化による慢性の安定型狭心症への適用
が試みられている(Collateral Therapeutics社)。
【0020】本発明において、当該核酸は、細胞に導入
されることによりその細胞内で機能を発現することがで
きるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入さ
れた細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされ
るポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該
DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましく
は、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有す
る蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミ
ネーター領域が連続的に配列されている。
【0021】所望により2種以上の核酸をひとつのプラ
スミドに含めることも可能である。また、所望により2
種以上の核酸を別個に後述の水不溶性の生分解性高分子
と結合させ、一つの核酸含有複合体としてもよい。
【0022】簡便には当分野において入手可能なプラス
ミドに所望の核酸を適当な制限酵素部位を利用して挿入
することによって調製することができる。導入すべき核
酸の塩基配列を基に合成、半合成の手段により調製する
ことも可能である。
【0023】本発明において、核酸を導入する対象とし
て望ましい「細胞」としては、当該核酸の機能発現が求
められる細胞に加え、細胞外の異物を細胞内へと取り込
む性質(食作用)を有する細胞、すなわち後述のマクロ
ファージに代表される食細胞が好ましい。当該核酸の機
能発現が求められる細胞としては、例えば使用する核酸
(すなわちその機能)に応じて種々選択され、例えば心
筋細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞等が挙げられる。ま
た、単球、樹状細胞、マクロファージ、組織球、クッパ
ー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハ
ンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等の食細胞および白
血球、線維芽細胞やある種の上皮細胞(消化管上皮細胞
・尿細管上皮細胞等)はその食作用により効率よく核酸
含有複合体をその内部に取り込むことができ(食細胞へ
の核酸含有複合体のターゲッティング)、且つその標的
指向性により核酸を所望の部位に送達させる(食細胞の
標的細胞へのターゲッティング)のに都合が良い。これ
により、心臓、筋肉、血管、血液、骨髄、リンパ組織、
結合組織、肝臓、骨、滑膜、神経、皮膚、炎症組織、癌
組織等のあらゆる臓器・組織を遺伝子導入の対象とする
ことが可能となる。
【0024】本発明において、「生分解性高分子」と
は、生体のもつ生理活性物質、例えば酵素等の働きによ
って初めて当該高分子が加水分解されるものを意味す
る。より具体的にはキチン、キトサン、ヒアルロン酸、
アルギン酸、デンプン、ペクチン等の多糖類、ゼラチ
ン、コラーゲン、フィブリン、アルブミン等のタンパク
質ならびにそれらの誘導体等が挙げられ、好ましくはゼ
ラチンあるいはその誘導体である。本発明において「生
分解性高分子の分解」とは、上述の如く、生体のもつ酵
素等の生理活性物質の働きや非酵素的作用によって加水
分解されることを意味する。ここで「誘導体」とは、核
酸含有複合体を形成するのに適した形に修飾したものを
意味し、具体的には後述のアミノ基を導入したアミノ誘
導体が挙げられる。当該生分解性高分子の由来は特に限
定されず、ヒトをはじめ、ブタ、ウシ等種々の動物由来
のものが用いられる。これらは天然に得られるものであ
っても、微生物を用いた発酵法により得られるものであ
ってもよい。ヒトへの適用、特に遺伝子治療に用いる場
合、抗原性ならびに微生物感染の危険性を鑑みてヒト由
来であることが好ましい。
【0025】本発明において核酸含有複合体からの核酸
のより優れた徐放性を期待する場合には、核酸と複合体
を形成させる生分解性高分子は水不溶性であることが好
ましい。ここで水不溶性とは、分子間の化学的あるいは
物理的な架橋により水中で溶解しないような性質が付与
されていることを意味し、日本薬局方の規定に準じた場
合、やや溶けにくい〜ほとんど溶けない状態をいう。
【0026】当該生分解性高分子は、核酸と複合体を形
成することが可能なものであれば特に限定されず、特に
徐放性放出を期待する場合には安定な核酸含有複合体を
形成するよう正に荷電していることが好ましい。当該正
の荷電の程度は、通常負に荷電している核酸とポリイオ
ンコンプレックスを形成し得る程度が期待される。当該
ポリイオンコンプレックスの形成は、水溶性の状態にあ
る各々を水中で混合して得られる混合液の濁度の上昇に
よって確認することができる。
【0027】核酸の有する負の電荷と、生分解性高分子
の有する正の電荷とが強力に結合(イオン結合)するこ
とによって安定な核酸含有複合体が形成される。本発明
において正に荷電していない、あるいはほとんどしてい
ない生分解性高分子を利用する場合には、予めアミノ基
等を導入することによってカチオン化しておいてもよ
い。また、既に正に荷電している生分解性高分子に対し
てもアミノ基等の正荷電基を導入することにより正の荷
電が強まり、核酸との結合力が増し、より安定した核酸
含有複合体を形成することができる。当該カチオン化は
従来公知の方法で行なうことができる。
【0028】カチオン化の工程は、生理条件下でカチオ
ン化する官能基を導入し得る方法であれば特に限定され
ないが、生分解性高分子の有する水酸基あるいはカルボ
キシル基等にアミノ基またはアンモニウム基を温和な条
件下で導入する方法が好ましい。例えばエチレンジアミ
ン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン等の
アルキルジアミンや、トリメチルアンモニウムアセトヒ
ドラジド、スペルミン、スペルミジンまたはジエチルア
ミド塩化物等を、種々の縮合剤、例えば1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩、塩化シアヌル、N,N’−カルボジイミダゾール、
臭化シアン、ジエポキシ化合物、トシルクロライド、ジ
エチルトリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−ペ
ンタン酸ジ無水物等のジ無水物化合物、トリシルクロリ
ド等を用いて反応させる方法がある。中でもエチレンジ
アミンを反応させる方法が簡便且つ汎用性があり好適で
ある。
【0029】本発明において、「正荷電基を導入する」
という工程は、生分解性高分子を生理条件下でカチオン
化する官能基を導入することを意味し、具体的には上述
の官能基が当該生分解性高分子に導入される。
【0030】さらに本発明は、核酸の徐放制御を可能と
すべく当該生分解性高分子を架橋処理等によって水不溶
性とすることが好ましい。一般に多くの生分解性高分子
は水溶性であるので得られる核酸含有複合体も水溶性と
なり、生体に投与した際、一過性に核酸が当該複合体か
ら放出され、安定した局所的且つ持続的な核酸の供給が
困難となる。本発明では、生分解性高分子として水不溶
化されたものを用いることにより、当該生分解性高分子
の生体での分解性に応じて核酸の放出を自由に制御する
ことが可能となる。すなわち核酸の徐放速度を生分解性
高分子の分解によって制御することが可能となる。さら
に徐放化により当該核酸含有複合体の局所における遺伝
子発現効率の向上が可能となる。
【0031】本発明において使用される水不溶性の生分
解性高分子としては、好ましくは架橋処理により水不溶
化を行なったゼラチンハイドロゲル、より好ましくは含
水率85〜99%のゼラチンハイドロゲルである。
【0032】生分解性高分子の架橋化は従来公知の方法
に従って行なうことができる。具体的には架橋剤を使用
する方法、熱処理法あるいは紫外線を使用する方法等が
挙げられる。
【0033】架橋剤は、使用する生分解性高分子の種類
により適宜好適なものが選択されるが、通常、ホルマリ
ン、グルタルアルデヒド、水溶性カルボジイミド〔1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド塩酸塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホ
リノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエンスル
ホナート等〕、エポクロロヒドリン、ジエポキシ化合物
〔ビスエポキシジエチレングリコール、1,4−ビス−
(2,3−エポキシプロポキシ)−ブタン等〕等の架橋
剤が用いられる。架橋反応において生分解性高分子の濃
度は1〜30重量%、好ましくは5〜10重量%、架橋
剤の濃度は10-3〜10重量%、好ましくは10-2〜1
重量%であり、0〜40℃、好ましくは25〜30℃
で、1〜48時間、好ましくは12〜24時間反応を行
なう。
【0034】生分解性高分子の架橋は熱処理によっても
行なうことができる。熱架橋の方法についてゼラチンの
場合を例にとって以下に具体的に説明する。ゼラチン水
溶液(10重量%程度が好ましい)をプラスチックシャ
ーレに流延し、風乾することによってゼラチンフィルム
を得る。そのフイルムを減圧下、好ましくは10mmH
g程度で通常110〜160℃、好ましくは120〜1
50℃、通常1〜48時間、好ましくは6〜24時間放
置することによって行なう。また、紫外線により当該ゼ
ラチンフィルムを架橋する場合は、得られたゼラチンフ
ィルムを殺菌ランプの下において通常室温、好ましくは
0〜40℃で放置する。
【0035】使用するゼラチンは溶解性、安定性および
膨潤性等の物性の異なるゼラチンを混合して用いてもよ
い。一方、調製した架橋ゼラチンは単一あるいは必要に
応じて物性の異なるものを混合してもよい。
【0036】本発明の核酸含有複合体に含められる正に
荷電している水不溶性の生分解性高分子は、上述の特徴
を有する生分解性高分子を1種類単独で当該複合体に含
める以外に、2種類以上の生分解性高分子を混合(単に
混ぜて同一の核酸含有複合体に含める)した状態で当該
複合体に含めることができ、また、あらかじめ2種類以
上の生分解性高分子を化学結合させてから当該複合体に
含めることもできる。いずれの態様もすべて本発明に包
含されるものである。
【0037】あらかじめ2種類以上の生分解性高分子を
化学結合させてから当該複合体に含める場合には、各生
分解性高分子を別個に水不溶性とした後で化学結合させ
ることも、各生分解性高分子を化学結合させた後で水不
溶化処理を行なうこともできるが、処理の簡便さの点か
ら各生分解性高分子を化学結合させた後で水不溶化処理
を行なうことが好ましい。
【0038】本発明において、核酸と正に荷電している
水不溶性の生分解性高分子とを含有する複合体は、上述
の核酸と正に荷電している水不溶性の生分解性高分子と
を混合することにより簡単に調製することができる。核
酸と正に荷電している水不溶性の生分解性高分子との量
比は、使用する生分解性高分子の正電荷の程度によって
も異なるが、通常、核酸を過剰量用い、生分解性高分子
が核酸で飽和された状態で使用する。
【0039】より具体的には、架橋ゼラチンゲル内に核
酸を含有している核酸含有複合体を調製する場合は、ゼ
ラチンの5〜30重量%水溶液に直接架橋剤を添加して
調製した架橋ゼラチンゲル、あるいは架橋剤水溶液に未
架橋ゼラチンゲルを浸漬して調製した架橋ゼラチンゲル
を直接核酸含有溶液中に浸漬するか、あるいは架橋ゼラ
チンゲルを乾燥した後、それを核酸含有溶液中で再膨潤
させることによって調製できる。
【0040】負に強力に荷電している核酸は正に荷電し
ている生分解性高分子とイオン結合し複合体を形成す
る。このような本発明の複合体においては、内部にとり
こまれている核酸は、酵素等の作用による生分解性高分
子の分解によって当該複合体から放出されることを特徴
とする。核酸としてDNAを例にとって図1に当該複合
体の模式図を示す。
【0041】複合化にあたり、得られる核酸含有複合体
の安定性や核酸放出持続性、放出された核酸の機能発現
等の目的に応じて所望により他の成分を加えることもで
きる。他の成分としては例えばアミノ糖あるいはその高
分子量体やキトサンオリゴマー、塩基性アミノ酸あるい
はそのオリゴマーや高分子量体、ポリアリルアミン、ポ
リジエチルアミノエチルアクリルアミド、ポリエチレン
イミン等の塩基性高分子等が挙げられる。さらに、臓器
特異的に発現している受容体に結合するリガンド蛋白質
あるいは標的に特異的な抗体を加えることによって核酸
含有複合体の所望部位への送達、ひいては局所での核酸
放出を可能にする。
【0042】本発明はまた正に荷電している水不溶性の
生分解性高分子中に核酸を含有し、核酸を放出させるこ
とを特徴とする核酸放出速度の制御方法に関する。本発
明の核酸の放出速度を制御する方法において使用される
核酸ならびに正に荷電している水不溶性の生分解性高分
子には上述のものが挙げられる。
【0043】当該複合体に含められる核酸は、水不溶性
の生分解性高分子が生体内で分解されるに従って複合体
外部へと徐々に放出される(すなわち分解律速型の放
出)。より速度を制御し得るという点で、当該放出は該
生分解性高分子によってのみ行なわれるものであること
が好ましい。この放出速度は、使用する生分解性高分子
の生分解性の程度(例えば当該生分解性高分子の含水率
等によっても影響を受ける)に加え、当該複合体内での
核酸と生分解性高分子との結合の強さの程度、安定性に
も密接に関連しており、正負の電荷のバランスによりそ
の放出速度を制御することができる。通常、より正電荷
に富んだ生分解性高分子を使用した場合程、得られる核
酸含有複合体内における核酸の保持性が向上し、水溶性
の生分解性高分子の分解による核酸の徐放性制御の点か
ら優れている。生分解性高分子の正電荷が不足する場合
には、上述の如く当該高分子にさらにアミノ基等を導入
することによりカチオン化し正電荷を高めることができ
る。
【0044】本発明はまた、核酸と生分解性高分子とを
含有する核酸含有複合体を含んでなる食細胞を提供す
る。これは、当該複合体が免疫系において重要な役割を
担う食細胞に容易に取り込まれ(核酸含有複合体の細胞
へのターゲッティング)、且つ食細胞の有する遊走能に
より標的部位へ運搬される(食細胞の標的部位へのター
ゲッティング)、即ち、所望部位での容易且つ安全な核
酸の機能発現が可能になる、という新たな知見に基づく
ものである。本発明において用いられる食細胞として
は、食作用を有し、且つ病変部位(例えば炎症部、癌組
織等)への遊走能を有する細胞であれば特に限定され
ず、例えばマクロファージ、単球等が挙げられる。ま
た、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜
A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、
多核巨細胞等が、遊走能は乏しいものの好適に使用する
ことができる。核酸と生分解性高分子とを含有する核酸
含有複合体は、上記食細胞の食作用により容易に当該食
細胞にとりこまれる。当該食細胞への当該核酸含有複合
体のとりこみは使用目的に応じてin situ、インビトロ
のいずれでも行ない得る。
【0045】ここで用いられる核酸含有複合体に含めら
れる核酸、ならびに生分解性高分子としては上述と同様
のものが挙げられる。当該生分解性高分子の荷電性、溶
解性については生体に悪影響を及ぼさない限り特に限定
されないが、食細胞への取り込みの容易さ、その効率の
良さならびにそのスピードの早さといった観点から、水
不溶性であることが好ましく、また、核酸を確実に運搬
するべく強固に結合していることが望ましいという観点
では正に荷電したものが好ましい。「水不溶性」ならび
に「正に荷電した」なる用語の意図するところは前述の
とおりである。
【0046】核酸と生分解性高分子とを含有する核酸含
有複合体を含んでなる食細胞は実験目的の使用の他に、
医薬としても好適に使用することができる。すなわち、
核酸含有複合体を含んでなる食細胞をインビトロで調製
した後、得られた食細胞を生体に投与することにより、
食細胞の病変部位への集積性という特性を利用して、標
的部位で所望の核酸からの遺伝子情報を発現させること
ができる。
【0047】本発明は、また、少なくとも、(i)核酸
と生分解性高分子とを含有する核酸含有複合体を食細胞
に取り込ませる過程、(ii)当該食細胞内で当該核酸
を発現誘導する過程、および(iii)当該食細胞を標
的部位に到達せしめる過程を含む、標的部位特異的に核
酸の機能を発現させる方法を提供する。以下、過程毎に
説明する。
【0048】(i)核酸と生分解性高分子とを含有する
核酸含有複合体を食細胞に取り込ませる過程 当該過程は、上述の如く、食細胞が本来有する食作用に
より、核酸含有複合体を取り込むことによって達成され
る。当該過程は、予めインビトロで当該核酸含有複合体
と食細胞を混合することによって、あるいは、当該核酸
含有複合体を生体に投与し、生体内での食細胞への取り
込みを利用することによって実施することもできる。イ
ンビトロでの核酸含有複合体と食細胞との混合比は、食
細胞が当該核酸含有複合体を取り込むことができれば特
に限定されず、通常、核酸含有複合体を過剰に加えるこ
とで達成される。生体への核酸含有複合体の投与、ある
いはインビトロで調製した食細胞の生体への投与は、後
述の本発明の核酸含有複合体ならびに医薬の投与方法に
準じて行なうことができる。特に本発明の食細胞(核酸
含有複合体を取り込んだもの)を生体に投与する場合に
は、食細胞の働きを維持したまま処置する必要があり、
具体的には骨髄移植あるいは免疫療法に準じた手法がと
られ得る。より具体的には投与方法の代表例として以下
のようなものがある。(a)病変部またはその近傍組織内
に投与する。(b)体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄
腔)内に投与する。(c)病変部を支配する血管内、リン
パ組織内に投与する。(d)病変部から離れた血管または
皮膚・脂肪・骨格筋組織内に投与する。いずれの場合に
も食細胞が有する遊走能により投与部よりも病変部への
効果がより期待できる。
【0049】(ii)食細胞内で核酸を発現誘導する過
程 当該過程は、通常当分野で行われる手法を用いて行われ
る。すなわち、食細胞に導入されることによりその細胞
内で機能を発現することができるような形態(上述)で
核酸を含めることにより行なう。特に本発明において
は、生分解性高分子と複合体化した核酸含有複合体の形
態で当該核酸を食細胞に取り込ませるため、該核酸含有
複合体の生分解性によって制御される核酸の徐放によ
り、細胞内での当該核酸の導入効率ならびに細胞内での
核酸の発現が促進される。
【0050】(iii)食細胞を標的部位に到達せしめ
る過程 当該過程は、食細胞の遊走能によって行なわれることが
容易であり、且つ安全である。標的部位によって食細胞
を適宜選択することが好ましい。例えば癌組織や炎症組
織へのターゲッティングを所望する場合にはマクロファ
ージ、類上皮細胞、多核巨細胞が、血液には単球が、骨
髄やリンパ組織には樹状細胞が、結合組織には組織球
が、肝臓にはクッパー細胞が、骨には破骨細胞が、滑膜
には滑膜A細胞が、神経には小膠細胞が、皮膚にはラン
ゲルハンス細胞が好適に用いられる。また、各種臓器表
面に当該食細胞を投与することにより、その臓器の深部
へと核酸(当該食細胞に担持されている)を運ぶことも
できる。
【0051】本発明は、また、上記のような、食細胞の
食作用を利用した核酸含有複合体の取り込み、ならびに
当該食細胞の遊走能による標的部位への送達を利用する
新しい遺伝子治療用の医薬を提供する。当該医薬は、核
酸と生分解性高分子とを含有する核酸含有複合体を有効
成分とし、それぞれの意図する範囲は上述の通りであ
る。
【0052】本発明の核酸含有複合体は任意の方法で生
体に投与することができるが、目的とする特定部位での
核酸の持続的且つ局所的な放出のためには非経口的な投
与が特に好ましい。当該複合体に更に必要に応じて製剤
上許容し得る担体(安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH
調整剤、増粘剤等)と混合することにより、本発明の核
酸含有複合体を有効成分とする医薬を調製することがで
きる。これら担体は公知のものが使用できる。さらに徐
放効果を調節する各種添加剤を含めることもできる。
【0053】本発明の核酸含有複合体を有効成分とする
医薬は、含まれる核酸の種類が異なる2種以上の核酸含
有複合体を含めたものも包含される。このような複数の
治療目的を併せ持つ医薬は、多様化する遺伝子治療の分
野で特に有用である。
【0054】本発明の核酸含有複合体は、目的に応じて
種々の形状の製剤化が可能である。例えば、粒状、円・
角柱状、シート状、ディスク状、ペースト状等の固形、
半固形製剤、あるいは懸濁剤や乳剤等の注射剤が挙げら
れる。好ましくは目的とする特定部位での徐放効果に優
れ、また局所投与に好適な固形製剤である。例えばシー
ト状に製した本発明の核酸含有複合体は、局所血管の内
壁に固定するのに適している。より具体的には動脈形成
術用のステントに当該シート状の核酸含有複合体を巻き
つけ、カテーテルにより任意の血管枝に当該ステントを
挿入し、局所血管内でバルーンを膨らませることにより
血管内壁に核酸含有複合体を固定する方法が挙げられ
る。当該方法は、固定部位の血管壁そのものへの遺伝子
導入、さらに固定部位末梢領域に対する選択的遺伝子治
療(癌に対する遺伝子治療、例えば抗血管新生療法、あ
るいは循環障害に対する遺伝子治療、例えば血管新生療
法等)が可能となる。
【0055】注射剤は、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮
内、静脈内、リンパ管内、リンパ節内、動脈内、体腔
(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内、等に
投与され得、好ましくは筋肉内に投与される。病変組織
内に直接投与することも可能である。
【0056】固形、半固形製剤の場合は、核酸の放出を
期待する部位に該製剤を直接埋め込む方法、ペースト状
製剤を注射器にて注入する方法、粒子状製剤を懸濁注射
により注入する方法、経皮経管的にカテーテルを挿入
し、これを介してステントに付着させた複合体を血管内
に留置する方法、複合体の微粒子(約数ミクロン〜約1
5ミクロン)をカテーテルにより注入し核酸の放出を期
待する部位に局在させる方法等が挙げられる。
【0057】本発明を製剤化するにあたり、除菌濾過等
の無菌化工程を経ることが更に望ましい。
【0058】本発明によれば、動物、特にヒトに投与さ
れる用量は目的の核酸、使用される生分解性高分子、投
与方法および治療される特定部位等、種々の要因によっ
て変化する。しかしながら、その投与量は治療的応答を
もたらすに十分であるべきである。
【0059】本発明の核酸含有複合体は、好ましくは遺
伝子治療に適用される。適用可能な疾患としては、当該
複合体に含められる核酸の種類によって異なるが、末梢
動脈疾患、冠動脈疾患、動脈拡張術後再狭窄等の病変を
生じる循環器領域での疾患に加え、癌(悪性黒色腫、脳
腫瘍、転移性悪性腫瘍、乳癌等)、感染症(HIV
等)、単一遺伝病(嚢胞性線維症、慢性肉芽腫、α1−
アンチトリプシン欠損症、Gaucher病等)等が挙げられ
る。より具体的には、当該複合体に含める核酸として線
維芽細胞増殖因子遺伝子、就中配列表配列番号1に記載
される塩基配列からなるDNAを用いる場合には、上述
のFGF4/HST1蛋白質の有する生理活性が治療に
有用な各種疾患に適用できる。
【0060】
【実施例】本発明をより詳細に説明するために実施例及
び実験例を挙げるが、本発明はこれらに何ら限定される
ものではない。
【0061】実施例1 (1)アミノ化ゼラチンの作製 等電点9.0のゼラチン(新田ゼラチン(株))1gを
50mlの0.1Mリン酸緩衝液(PB、pH5.0)
に溶解させた。その後、その溶液中へゼラチンのカルボ
キシル基(分子量10,000、カルボキシル基含量;
95モル/ゼラチン分子)に対して、50倍モル量のエ
チレンジアミン(分子量60.1)、さらに続いてカル
ボキシル基に対して50倍モル量の1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
(分子量191.7)を加えた。この混合溶液を37
℃、12時間攪拌した。反応終了後、2日間の水に対す
る透析、凍結乾燥することによってアミノ化ゼラチンを
得た。トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを用い
たアミノ基の比色定量を行なったところ、ゼラチンのカ
ルボキシル基の56%がアミノ化されていた。
【0062】(2)粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル
の作製 あらかじめ40℃に加温しておいた100mg/mlの
アミノ化ゼラチン水溶液(0.2ml)を5mlのオリ
ーブ油へ投入、40℃にて1分間、タッチミキシングす
ることによって乳化した。さらに、40秒間の超音波乳
化を行なった直後、氷で急冷、1.43mlのアセトン
を加え、遠心(5,000rpm、5分間、4℃)する
ことによって未架橋粒子を回収した。得られた粒子は、
アセトンを用いて遠心洗浄(5,000rpm、5分
間、4℃)を行なった。次に、得られた粒子を30μl
の25重量%グルタルアルデヒド水溶液と20mlの
0.1重量%Tween80水溶液との混合水溶液中に
懸濁し、4℃、40時間攪拌することによって、当該ゼ
ラチン粒子を化学架橋した。その後、得られた粒子を遠
心分離(5,000rpm、5分間、4℃)して回収し
た。次に、未反応アルデヒド基をブロックする目的で、
粒子を100mMのグリシンの0.1重量%Tween
80水溶液(20ml)中に分散し、37℃、1時間攪
拌した。反応終了後、0.1重量%Tween80水溶
液(2回)および蒸留水(3回)を用いた遠心洗浄によ
り粒子を回収し、アセトンでよくリンスした後粒子を風
乾した。乾燥粒子、およびPB(pH7.0)中で37
℃、12時間の条件で、膨潤させた粒子の大きさをそれ
ぞれ顕微鏡写真から計測し、その比から含水率を評価し
たところ、98.6容量%であった(粒子状アミノ化ゼ
ラチンハイドロゲル)。また、得られた粒子の乾燥時で
の平均サイズは100μm(膨潤時200μm)であっ
た。
【0063】(3)粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル
結合DNAの作製 DNAとしては、筋肉中で特に活性の高いプロモーター
CAG(chicken β-actin promoter; Gene, 108:193-20
0, 1991)を有するpCAGGS発現ベクターのEcoR
I部位に大腸菌のlacZ遺伝子を挿入結合して得られ
るlacZ発現プラスミドDNA(pCAGGS−la
cZ;以下単にlacZプラスミドともいう)を用いた
(大阪大学医学部分子防御医学・宮崎純一研究室より供
与)。当DNAをTlCl3により放射ラベル化して用
いた。すなわち、5μlのNa125I溶液(740MB
q/ml−0.1N NaOH水溶液中、NEN Research
Products, DuPont社製)を0.3mM Na2SO3
溶液(2μl)と混合、25℃、30分間放置した。こ
の溶液へ5μgのDNAを溶解した0.1M CH3
OONa−40mM CH3COOH混合溶液(pH
5.0)を5μl、さらに0.3mgのTlCl3を溶
解した0.2M CH3COONa−1.0mMCH3
OOH混合溶液(pH4.0)を0.3ml加えた。そ
の後、60℃で40分間放置した。その後、その混合溶
液に0.1mlの0.1mM Na2SO3水溶液、さら
に0.9mlの1mM EDTAを含む0.1mM N
aCl−50mMトリス−塩酸溶液(pH7.0)を加
え、60℃、30分間加温した。反応終了後、溶液を冷
却、PD−10ゲルクロマトグラフィカラム(アマシャ
ムファルマシア バイオテク社製)にて放射ヨード化D
NAと遊離放射化ヨードとを分離した。次に、この放射
ヨード化DNAの水溶液10μlを凍結乾燥した粒子状
アミノ化ゼラチンハイドロゲルに滴下、25℃で1時間
放置、粒子を水溶液中に含浸させ、放射ヨード化DNA
含有複合体を得た。
【0064】実施例2 ゼラチン水溶液(最終濃度5重量%)に1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩水溶液(最終濃度10.7mM)を加えた後、15c
m×15cmのプラスチックシャーレに流し込み、4℃
にて24時間保って、架橋反応を行なった。用いたゼラ
チンは等電点4.9アルカリ処理ゼラチンである。反応
終了後、シャーレから架橋ゼラチンゲルをはずし厚みが
200μmのゼラチンシートを得た。得られたシートを
水で良く洗った後、凍結乾燥した。この乾燥架橋ゼラチ
ンシートを実施例1と同様にして調製した放射ヨード化
DNA(lacZプラスミド)水溶液中で1時間放置
し、放射ヨード化DNA含有架橋ゼラチンシートを得
た。
【0065】実験例1 粒子状アミノ化ゼラチンハイド
ロゲルへの遺伝子の取りこみ 正に荷電している水不溶性の生分解性高分子中に核酸が
取りこまれていることを確認した。500μg/mlの
濃度でlacZプラスミドを含有する水溶液と、実施例
1(2)で調製した粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル
を混合し、水溶液中のlacZプラスミド濃度を紫外吸
光度法(波長:260nm)で経時的に計測した。対照
としては水(lacZプラスミドを含有しない)を用い
た。結果を図2に示す。水溶液中のlacZプラスミド
は1時間以内に速やかに粒子状アミノ化ゼラチンハイド
ロゲルに取りこまれた(水溶液中のlacZプラスミド
濃度の低下)。この様な水溶液中のlacZプラスミド
濃度の低下は、以後24時間にいたるまで続き、当該l
acZプラスミドがゼラチンハイドロゲルに吸着されつ
づけていることがわかる。
【0066】参考実験例1 粒子状アミノ化ゼラチンハ
イドロゲルの生体内分解性 本発明の核酸含有複合体の構成要素である粒子状アミノ
化ゼラチンハイドロゲルが生体内分解性であることを確
認した。125I−Bolton−Hunter試薬の無
水ベンゼン溶液(NEN−120X、147MBq/m
l−無水ベンゼン中、NEN Research Products, DuPont
社製)を試験管に0.1ml取り、窒素ガスバブリング
により、ベンゼンを蒸発させた。この試験管へ10mg
/ml濃度となるように実施例1(2)で調製した粒子状
アミノ化ゼラチンハイドロゲルを分散させた蒸留水5m
lを加え、4℃で12時間攪拌、当該ゼラチンハイドロ
ゲルを放射ヨード化した。得られた放射ヨード化粒子状
アミノ化ゼラチンハイドロゲルを蒸留水を用いて遠心洗
浄(5,000rpm、5分間、4℃)し、ラベル化に
関与していない125I−Bolton−Hunter試
薬を除去した。最終的に、粒子を0.1Mリン酸緩衝生
理食塩水溶液(PBS、pH7.0)にて0.5mg/
mlに濃度を調製した。得られた放射ヨード化粒子状ア
ミノ化ゼラチンハイドロゲルをddYマウス(清水実験
材料株式会社より購入、雌6週齢)の右大腿筋肉内へ投
与した(マウスあたり0.1ml)。所定時間経過後、
右大腿筋を切除、その放射活性を測定し、初期の投与放
射活性と比較することにより残存放射活性を評価した。
各実験条件について3匹ずつで実験を行なった。結果、
粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲルは生体内で経時的
に分解され、生分解性であることが確認された。
【0067】実験例2 DNAの生体内残存性の評価 参考実験例1と同様にして調製した放射ヨード化粒子状
アミノ化ゼラチンハイドロゲル、あるいは実施例1(3)
で調製した放射ヨード化DNAを含浸した粒子状アミノ
化ゼラチンハイドロゲルをそれぞれ0.1mlのPBS
に分散させた後、ddYマウス(清水実験材料株式会社
より購入、雌6週齢)の右大腿筋肉内へそれぞれ投与し
た。コントロールとして、放射ヨード化DNAの水溶液
10μlに90μlのPBSを加えた後、マウスの右大
腿筋肉に投与した。実験動物数は、各実験条件に対して
3匹であり、残存放射活性はその平均値±標準誤差とし
て表示した。結果を図3に示す。ゼラチン粒子の残存放
射活性が時間とともに徐々に減少することから、体内で
粒子が分解している、即ち生分解性であることがわかる
(―●―)。一方、ゼラチンハイドロゲルに含浸された
DNAの残存放射活性も時間とともに減少し、その時間
経過は粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル自身の残存
放射活性と同じプロファイルであった(―○―)。この
ことは、粒子の分解とともにDNAが粒子から徐放され
たことを示している。なお、DNAを水溶液として投与
した場合には、残存放射活性はすばやく減少した(―△
―)。このことは、DNAが投与部位に留まることなく
速やかに排泄または代謝されたことを示している。
【0068】実験例3 粒子状アミノ化ゼラチンハイド
ロゲル結合DNAの遺伝子発現 家兎の大腿動脈を除去して下肢虚血モデルを作成した。
10日後にlacZプラスミドを虚血部筋肉内に投与
し、投与後2週間経過した時点で、虚血部筋肉組織につ
いてLacZ染色を行ない、遺伝子の発現の様子を調べ
た。結果を図4に示す。実施例1(3)で調製した直径
200μm(膨潤時)の粒子状アミノ化ゼラチンハイド
ロゲル結合lacZプラスミド(lacZプラスミドの
量で500μg:図4A)、粒子状アミノ化ゼラチンハ
イドロゲルと結合していない裸の状態の(naked)
lacZプラスミド(500μg、対照:図4B)を投
与した場合について調べた。また、同様にして、lac
Zプラスミドの量を1/10に減らして粒子状アミノ化
ゼラチンハイドロゲル結合lacZプラスミドを投与し
た場合についても調べた(lacZプラスミドの量で5
0μg:図4C)。LacZの染色は次のようにして行
なった。 1.標本を37%ホルムアルデヒド−25%グルタルアル
デヒド混合溶液で4℃で5分間固定。 2.PBSにて洗浄(3回) 3.染色液(1mg/ml X−gal、5mMヘキサシ
アノ鉄(III)酸カリウム、5mMヘキサシアノ鉄(I
I)酸カリウム、1M塩化マグネシウム)で染色。
【0069】lacZプラスミド単独投与に比べ、粒子
状アミノ化ゼラチンハイドロゲルと結合させてlacZ
プラスミドを投与した場合にはより広範な遺伝子発現が
認められた(AとBの比較)。また、粒子状アミノ化ゼ
ラチンハイドロゲルと結合させたlacZプラスミド
は、その投与量を1/10に減じても有意な遺伝子発現
が観察された。
【0070】参考実験例2 アデノウイルスベクターを
用いた場合の遺伝子発現 実験例3と同様の家兎の下肢虚血モデルを用いて、アデ
ノウイルスベクターを用いた遺伝子導入について調べ
た。1×109pfuのlacZ遺伝子を組み込んだア
デノウイルスベクター(東京大学医科学研究所・斎藤泉
研究室より供与)を投与した場合、投与後3日の時点で
lacZプラスミド単独投与および粒子状アミノ化ゼラ
チンハイドロゲルに結合させてlacZプラスミドを投
与した場合よりも強いlacZ遺伝子の発現が認められ
た(図5A)。しかしながら、投与後2週間の時点では
当該遺伝子発現は有意に減弱した(図5B)。
【0071】実験例4 家兎の下肢虚血モデルにおける
血管新生 実験例3と同様の家兎の下肢虚血モデルを用いて、線維
芽細胞増殖因子FGF4/HST1プラスミドの投与に
よる新生血管形成について調べた。使用する核酸がFG
F4/HST1プラスミド(500μgまたは5μg)
である点を除いては、実施例1と同様にして粒子状アミ
ノ化ゼラチンハイドロゲル結合FGF4/HST1プラ
スミドを調製した。当該プラスミドとしては、pRc/
CMV2ベクター(INVITORGEN社)のHindIII部位
にFGF4/HST1遺伝子(配列表配列番号1)を挿
入結合して得られるFGF4/HST1発現プラスミド
DNA(以下単にFGF4/HST1プラスミドともい
う)を用いた。対照として裸の状態の(naked)F
GF4/HST1プラスミド(500μg)と、同ゼラ
チンハイドロゲルと結合させたlacZプラスミド(5
00μg)を用いた。下肢虚血モデル作成10日後に上
述の態様で各種プラスミドを虚血部筋肉内に筋肉注射
し、投与後2週間経過した時点で、新生血管の造影(X
線撮影)を行なった。結果を図6に示す。
【0072】図6Aおよび図6Bは粒子状アミノ化ゼラ
チンハイドロゲル結合FGF4/HST1プラスミド
(FGF4/HST1プラスミドの量でAは500μ
g、Bは5μgそれぞれ投与)を、図6Cは粒子状アミ
ノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZプラスミド(5
00μg、対照)、図6Dは(naked)FGF4/
HST1プラスミド(500μg、対照)を投与した場
合の結果を示している。FGF4/HST1プラスミド
を粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲルと結合させて投
与することによって、裸の状態で投与するよりも多くの
血管が新生し、FGF4/HST1プラスミドの機能発
現が増強されていることが示された(図6Aと図6C、
Dとの対比)。また、投与量を1/100に減じてもこ
の効果が認められた(図6B)。また、FGF4/HS
T1プラスミドを裸の状態でなくゼラチンハイドロゲル
と結合させて投与することで当該プラスミドを局所的に
高い効率で機能させることが可能である。
【0073】FGF4/HST1プラスミドのかわりに
VEGF165プラスミド(500μg)を用いた実験で
も同様の結果が得られた。VEGF165プラスミドは東
京大学渋谷正史先生より供与された。当該プラスミド
は、pCAGGS発現ベクターのXhoI部位にVEG
165遺伝子を挿入結合して得られるものである。
【0074】実験例5 家兎動脈壁への遺伝子導入 (1)lacZプラスミド 実験例2で調製した乾燥架橋ゼラチンの薄層シートをス
テンレス製ステント(Synthesis; Cardio Vascular Dyn
amics, Inc.)に装着した。5〜10μg/μlのla
cZプラスミド溶液を該架橋ゼラチン薄層シートに滴下
し2時間の間、乾燥しないように滴下を繰り返した(合
計約50〜100μl滴下)。これにより該架橋ゼラチ
ンとlacZプラスミドをコンジュゲートした。この架
橋ゼラチンでコートされたステントを家兎の腸骨動脈に
植え込んだ。5日後に腸骨動脈を取出しTissue-Tek(R)
O.C.T. Compound 内に包埋し、液体窒素下に固定後使
用時まで−80℃で保存した。固定したサンプルで薄切
切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染
色、DAB染色(diaminobenzidine)、Xgal染色を行
なった。結果を図7に示す。血管平滑筋層より外層に、
lacZの発現が認められ、マクロファージによるプラ
スミド取り込みならびにその発現が確認された。
【0075】(2)VEGF165プラスミド 上記(1)と同様の方法により、1〜2μg/μlのV
EGF165プラスミドを50〜100μl架橋ゼラチン
薄層シートに滴下した。当該プラスミドが発現している
ことを免疫組織化学染色法(1次抗体としてanti human
VEGF IgG fraction (Austral Biologicals社)を使用)
により確認した。
【0076】実験例6 放射光微小血管造影法による、
新生血管網の成熟度の検討 (1)プラスミドの投与 下肢虚血を有する家兎(実施例3と同様)の病側下肢大
腿筋肉内に、架橋ゼラチンと結合していない裸の状態の
(naked)VEGF165プラスミド500μgを含
む水溶液を直視下に投与した。また、下肢虚血を有する
家兎の病側下肢大腿筋肉内に、直径約200μmの粒子
状架橋ゼラチン4mgと結合しているVEGF165プラ
スミド500μgを含む生理食塩水を直視下に投与し
た。
【0077】(2)アデノシン負荷 アデノシンは100μg/kg/分で腹部大動脈に投与
した。
【0078】(3)測定および結果 (naked)VEGF165プラスミド投与例ならびに
ゼラチンハイドロゲル結合VEGF165プラスミド投与
例について、その新生血管網の成熟度を放射光微小血管
造影法(空間解像度25ミクロン)により測定した。
(naked)VEGF165プラスミド投与時の結果を
図8に、ゼラチンハイドロゲル結合VEGF165プラス
ミド投与時の結果を図9に示す。(naked)VEG
165プラスミド投与例ではベースライン(アデノシン
非負荷時)と比較してアデノシン負荷時(血管拡張時)
の血管密度がむしろ減少している。一方、ゼラチンハイ
ドロゲル結合VEGF165プラスミド投与例では明らか
にアデノシン負荷時の血管密度が増加している。この所
見はゼラチンハイドロゲル結合VEGF165プラスミド
投与例ではベースラインの血流は低く制御されており、
アデノシン負荷時に血管拡張予備能が動員されることを
示す。一方、(naked)VEGF165プラスミド投
与例ではベースラインの血流は低く制御されておらず、
アデノシン負荷時に動員される血管拡張予備能が無いこ
とが示される。血流の制御とアデノシン負荷時の血管拡
張には新生血管における血管平滑筋や神経、体液性調節
機構等血管系の成熟が必要不可欠であり、ゼラチンハイ
ドロゲル結合VEGF165プラスミドを投与することに
よりこれらを好適に実現し得ることがわかった。
【0079】参考実験例3 マクロファージによる核酸
含有複合体の取り込み 核酸含有複合体を含んでなるマクロファージをインビト
ロで調製した。まず、マウス腹腔内にチオグリコレート
を注射し、4日後にマクロファージを採取した。別に、
実施例1で調製した架橋ゼラチン粒子に2mgのgreen
fluorescence protein (GFP)プラスミド100μg
を結合させておいた。当該プラスミドは、GFPのcD
NA(clontech社より購入)をHIV−CSベクターの
マルチクローニングサイトに挿入結合することにより調
製した。この架橋ゼラチン粒子−GFPプラスミドを採
取したマクロファージと混合し、4日間、33℃のPB
S中で培養した。培養4日後、蛍光顕微鏡および蛍光活
性化セルソーター(FACS;fluorescence activated
cell sorter)によりGFPの蛍光を確認した。結果を
図10に示す。マクロファージに蛍光が認められ、架橋
ゼラチン粒子−GFPを取り込んでいることが確認され
た。同様の結果が、エオジン染色液に浸した架橋ゼラチ
ン粒子を用いた実験においても確認された(マクロファ
ージ内でのエオジン粒子の確認)。
【0080】実験例7 樹状細胞への遺伝子導入と特定
抗原に対するCTLの誘導 ヒト末梢血より分離した樹状細胞(DC)にGFPプラ
スミドを投与し抗原提示能について調べた。使用する核
酸がGFPプラスミド(上述、20μg)である点を除
いては、実施例1と同様にして粒子状アミノ化ゼラチン
ハイドロゲル結合GFPプラスミドを調製した。
【0081】健常人単核球(単球)よりCD14陽性分
画を得、プールヒト血清/RPMI培地にGM−CSF
とIL−4を加えてDCを誘導する。4〜6日経過後に
粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合GFPプラス
ミドをDCに加える。60分間放置し該ゼラチンハイド
ロゲルを除去した後、さらに3日間培養した。培養後の
DCをDCマーカーであるCD1a−PEならびにCD
83−PEによって染色し、FACS解析によりDCへ
の遺伝子の導入効率を調べた。結果を図11に示す。対
照として裸の状態(naked)のGFPプラスミド
(20μg)を用いた。遺伝子導入効率は77%であっ
た。
【0082】GFPプラスミドの代わりにWT1プラス
ミドを用いた場合にも同様の高い遺伝子導入効率が得ら
れた。
【0083】さらに当該WT1遺伝子が導入されたDC
が、遺伝子産物を抗原提示する能力を有するかどうかを
CTL誘導能により測定した。DCを誘導した同一健常
者のTリンパ球を該WT1遺伝子が導入されたDCと共
培養して得られた活性化Tリンパ球について51Crで標
識した標的細胞を用いて、CTLアッセイを行なった。
導入したWT1に対するCTLが誘導され、該WT1遺
伝子導入DCの抗原提示能が示された。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、核酸の有する負の荷電
と生分解性高分子の有する正の荷電との安定した強固な
結合によって複合体が形成される。核酸の放出はその生
分解性高分子の生体内での分解によって制御されるた
め、従来の徐放製剤に見られるような単純拡散による徐
放ならびに水溶性生分解性高分子を用いた場合の一過的
な核酸の放出に比べ、より緻密な放出速度の制御が可能
となる。またより長期間にわたる放出、即ち徐放性が向
上する。又、本発明の核酸含有複合体においては、本複
合体が不溶性であり、かつ核酸が生体内での分解から防
御されているので機能発現を所望する部位に核酸が到達
するまで十分に活性を保った状態を維持させることがで
き、核酸の局所発現が可能となる。すなわち治療を必要
とする部位に限定した遺伝子治療が可能となる。
【0085】さらに使用する生分解性高分子の種類、正
負の荷電のバランスにより核酸の放出速度を制御するた
め、放出速度は一定であり、製剤化にあたりその形状に
特に注意を払う必要がなくなる。長期にわたり持続して
核酸を局所的に放出することは遺伝子治療の分野に特に
有用である。長期間目的の遺伝子が治療を必要とする部
位、あるいは生体に投与され得るとともに、遺伝子の導
入、それに続く遺伝子発現、機能発現に一番好適な核酸
の導入時期、タイミングを捕らえるチャンスが増大す
る。さらに本発明によれば通常使用する量の1/10〜
1/100程度の核酸量でその効果が期待できる。すな
わち本発明は核酸の機能発現を増強する働きを有する。
当該働きは、投与遺伝子量の低用量化が実現され、目的
とする部位以外への遺伝子の作用を低減し得るという観
点から好ましい。また、本発明の核酸含有複合体の別の
態様は、マクロファージなどの食細胞の食作用ならびに
当該食細胞の遊走能を利用した、新しい標的部位特異的
な核酸の機能発現を達成し得る方法を提供するものであ
り、当該手法により、より安全且つ容易な遺伝子治療が
可能となる。
【0086】
【配列表】 Sequence Listing <110> Hidezo Mori <110> Yasuhiko Tabata <120> Complex Containing Nucleic Acid <130> A4407 <140> JP <141> 2000-9-13 <150> JP 1999-11-09 <151> JP 11-318187 <160> 1 <210> 1 <211> 3149 <212> DNA <213> Homo sapiens <301> M. Taira, T. Yoshida, K. Miyagawa, H. Sakamoto, M. Terada and T. Sugimura <302> cDNA sequence of human transforming gene hst and identification of the coding sequence required for transforming activity <303> Proc. Natl. Acad. Sci. USA <304> 84 <306> 2980-2984 <307> 1987 <400> gcactgctcc tcagagtccc agctccagcc gcgcgctttc cgcccggctc gccgctccat 60 gcagccgggg tagagcccgg cgcccggggg ccccgtcgct tgcctcccgc acctcctcgg 120 ttgcgcactc ctgcccgagg tcggccgtgc gctcccgcgg gacgccacag gcgcagctct 180 gccccccagc ttcccgggcg cactgaccgc ctgaccgacg cacggccctc gggccgggat 240 gtcggggccc gggacggccg cggtagcgct gctcccggcg gtcctgctgg ccttgctggc 300 gccctgggcg ggccgagggg gcgccgccgc acccactgca cccaacggca cgctggaggc 360 cgagctggag cgccgctggg agagcctggt ggcgctctcg ttggcgcgcc tgccggtggc 420 agcgcagccc aaggaggcgg ccgtccagag cggcgccggc gactacctgc tgggcatcaa 480 gcggctgcgg cggctctact gcaacgtggg catcggcttc cacctccagg cgctccccga 540 cggccgcatc ggcggcgcgc acgcggacac ccgcgacagc ctgctggagc tctcgcccgt 600 ggagcggggc gtggtgagca tcttcggcgt ggccagccgg ttcttcgtgg ccatgagcag 660 caagggcaag ctctatggct cgcccttctt caccgatgag tgcacgttca aggagattct 720 ccttcccaac aactacaacg cctacgagtc ctacaagtac cccggcatgt tcatcgccct 780 gagcaagaat gggaagacca agaaggggaa ccgagtgtcg cccaccatga aggtcaccca 840 cttcctcccc aggctgtgac cctccagagg acccttgcct cagcctcggg aagcccctgg 900 gagggcagtg ccgagagtca ccttggtgca ctttcttcgg atgaagagtt taatgcaaga 960 gtaggtgtaa gatatttaaa ttaattattt aaatgtgtat atattgccac caaattattt 1020 atagttctgc gggtgtgttt tttaattttc tggggggaaa aaaagacaaa acaaaaaacc 1080 aactctgact tttctggtgc aacagtggag aatcttacca ttggatttct ttaacttgtc 1140 aaaagttgtc acgagtgtgc tgctattctg tgttttaaaa aaaggtgaca ttggattccg 1200 atgtcatccc ctgtagtatg gcgtggagca tctctgtctg gaaaggcccg cctgaggctt 1260 gggcagccag ttcagggagc tcccaggctt ggctctcggc tagcatcctc agaggcccac 1320 tccctttgtg ccctgttgct attaatcggg acatatcggt ttacttcggg tacagaaagt 1380 gcggtgttga agtcctcgct gccactctgt ttttagatct gccaagactg acctttgaac 1440 tttcctgtag tcaatcttcc tcgatctacc agatgggaga gacccttgga caactttata 1500 aactcctgtt tgcctttttt ggatcagcga cagcccccat cgctgtgact attggggaaa 1560 agacgaagct ctttcataaa ttccatggag aggaatcaat atcccactgg aaggctagaa 1620 atggacaaga tagtgtattt gcaatcacaa acaaaaccct agtgatgaaa aataatttgt 1680 gatggcagat gcttctgatg gtgtgataga atatgttttt gaaaacaaac catcgaaccc 1740 cccgccccac ccccaaaacg ggcttccctg tgtttaggga gctttgggct agaactagct 1800 acgattttta ggtgaaatgt ccttgtaatt gtacaaagca cttggtgcag tgtttgcgtg 1860 gagcagcctg ctgctttctg atgcattccc tgtttaagtg cgtttaacat ctacctcaca 1920 agccctgaaa ccccaggcaa aacccacaga aagctcatac ccggtgcagg agtttgccat 1980 cccaagtggc tttttttcca tatgtagcca aaaaggattg cagatagcgt cggtgcgtcc 2040 cattcgaacc ttgtcacgtt tgagctatct ttaccctgtg atttactttt agtaagggtg 2100 atcatggtga aaatatttgc agacagctgt tacagtacac tatatggtca ccaagtaacc 2160 ttatattttt ctttatatat tttacaaatg taacccctgt cattgaagca accgtggaag 2220 aggcagggtc ggtgatgttt aaaaaaagtt ccgaggtgat ggcaaacatt taattttaat 2280 gaatgacttt ttagagttta tacaaaatga ccttagcttg ctaccagaaa tgctccgaat 2340 gtttcgtcaa gactttaata ctctcctagg atgtttctga actgtctccc gaattaactt 2400 tatgggagtc tacagacagc aagactggaa aatctgattg gagtttttgt ctttcacatt 2460 ccttttgaaa actctttgtt cgaatgcaaa tcatcgactt aaaatactat tcttaaccaa 2520 ggcctggaag aaagaagaca cttgcaaagc cgctaagaca ggaccacaca tcttaaactg 2580 ctgttcctac catgcactaa actgttttta agttttaaac cacaccctag gctccaggag 2640 tgttcaggaa agatggtgtt tgtaggtctc catgctgttt ggcgttgggg ggtgtggagg 2700 gatcatccgt cgactttctg aattttaatg tattcactta gtaacaaacc atgattgtct 2760 taaatgcctt aaattattat gagatttctt gtctcagagc ccaatcagat tgtcaggaat 2820 taacatgtgt taggtttgat cacccttgac cacttcttat agatatttct tcaacaaatc 2880 atgtgtgatg cctgtaggaa cacaactgta cctttaaaat attgttttca tattgctgtg 2940 atggggattc gaggttcctg tatgtgccac tgttttcaga atctgtagtt ttatacaggt 3000 gccgaccctc gttgtgatgt atgtgctgtg cacattgaca tgctgaccga caatgataag 3060 cgtttatcgt gtataaaaag acaccactgg actggatgta cacaactggg aaaggaatta 3120 aaagctatta aaattgtgcc ttgaaatgc 3149
【図面の簡単な説明】
【図1】ゼラチンハイドロゲルの3次元格子とプラスミ
ドDNAのイオン結合を示す模式図。
【図2】ゼラチンハイドロゲルへlacZプラスミドが
取りこまれる過程を経時的に示したグラフ。
【図3】ddYマウスの右大腿筋肉内への投与によるゼ
ラチンハイドロゲル結合プラスミドDNAの生体内残存
性を調べた結果を示すグラフ。残存性は放射ヨードの残
存放射活性で確認した。
【図4】家兎の下肢虚血モデルにおける、粒子状アミノ
化ゼラチンハイドロゲルに結合させて投与した場合の投
与後2週間でのlacZ遺伝子発現の様子を示した顕微
鏡写真。 A:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZ
プラスミド(lacZプラスミド:500μg) B:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲルと結合してい
ない裸の状態の(naked)lacZプラスミド(5
00μg) C:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZ
プラスミド(lacZプラスミド:50μg)
【図5】家兎の下肢虚血モデルを用いた、アデノウイル
スベクターを用いてlacZ遺伝子を投与した場合の遺
伝子発現の様子を示す顕微鏡写真 A:lacZ遺伝子投与後3日目 B:lacZ遺伝子投与後2週間
【図6】家兎の下肢虚血モデルを用いた、FGF4/H
ST1プラスミド投与における血管新生の様子を示すX
線写真。 A:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合FGF4
/HST1プラスミド(500μg) B:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合FGF4
/HST1プラスミド(5μg) C:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZ
プラスミド(500μg) D:粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲルと結合してい
ない裸の状態の(naked)FGF4/HST1プラ
スミド(500μg)
【図7】家兎動脈壁における、マクロファージ内でのl
acZ発現の様子を示す顕微鏡写真。lacZを発現し
ているマクロファージが存在する(矢印)。
【図8】放射光微小血管造影法により得られる、ベース
ラインおよび血管拡張時(アデノシン投与時)の血管密
度を示すディスプレイ上に表示した中間調画像の写真。
(naked)VEGF165プラスミド投与時の結果を
示す。
【図9】放射光微小血管造影法により得られる、ベース
ラインおよび血管拡張時(アデノシン投与時)の血管密
度を示すディスプレイ上に表示した中間調画像の写真。
ゼラチンハイドロゲル結合VEGF165プラスミド投与
時の結果を示す。
【図10】架橋ゼラチン粒子−GFPプラスミドを内部
に取り込んだマクロファージを示す顕微鏡写真。(A)
は位相差像を、(B)は(A)と同視野の蛍光像を示し
たものである。マクロファージ内に蛍光が認められ、架
橋ゼラチン粒子−GFPプラスミドがマクロファージ内
に取り込まれることがわかる。
【図11】ヒト樹状細胞への遺伝子導入効率のFACS
による解析の結果を示す図である。 A:DCを粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合G
FPプラスミドと共に培養した場合のFACS解析の結
果を示す図。 B:DCを(naked)GFPプラスミドと共に培養
した場合のFACS解析の結果を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/36 A61P 35/00 4J002 A61P 9/00 C08L 3/02 35/00 5/08 C08L 3/02 89/06 5/08 101/16 ZBP 89/06 C12R 1:91) 101/16 ZBP A61K 37/02 C12N 5/10 37/24 15/09 ZNA C12N 5/00 B //(C12N 5/10 15/00 ZNAA C12R 1:91) C12R 1:91) (72)発明者 安藤 潔 神奈川県茅ヶ崎市菱沼海岸7−66−311 (72)発明者 田中 越郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町801−9 (72)発明者 井関 治和 神奈川県厚木市幸町1−17−201 (72)発明者 坂本 裕美 千葉県千葉市花見川区南花園2−2−24 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 DA02 EA04 FA04 GA11 GA18 HA17 4B065 AA90Y AA93X AB01 BA02 BB19 BB40 CA23 CA24 CA44 4C076 AA22 BB11 BB12 BB15 BB16 BB21 BB32 CC11 CC14 CC27 CC42 EE30M EE42M EE43M FF31 FF35 4C084 AA13 BA44 DB54 DB57 DB62 MA05 NA10 NA15 ZA362 ZB262 ZC552 4C087 AA01 AA02 AA03 BB65 MA05 NA10 NA14 ZA36 ZB26 ZC55 4J002 AB04W AB05W AD01W AD03W AJ00X GB00

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核酸と正に荷電している水不溶性の生分
    解性高分子とを含有し、当該生分解性高分子の分解によ
    って核酸を放出し得る核酸含有複合体。
  2. 【請求項2】 核酸と、正荷電基を導入した正に荷電し
    ている水不溶性の生分解性高分子とを含有する核酸含有
    複合体。
  3. 【請求項3】 正に荷電している水不溶性の生分解性高
    分子がコラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒア
    ルロン酸、アルギン酸、デンプンおよびそれらの誘導体
    からなる群より選択される少なくとも1種である請求項
    1または2記載の核酸含有複合体。
  4. 【請求項4】 誘導体がアミノ誘導体である請求項3記
    載の核酸含有複合体。
  5. 【請求項5】 正に荷電している水不溶性の生分解性高
    分子が正荷電基を導入した架橋ゼラチンである請求項1
    または2記載の核酸含有複合体。
  6. 【請求項6】 核酸がプラスミドDNA、オリゴヌクレ
    オチドおよび二本鎖核酸化合物からなる群より選択され
    る少なくとも1種である請求項1または2記載の核酸含
    有複合体。
  7. 【請求項7】 核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子、肝
    細胞増殖因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子か
    らなる群より選択される少なくとも1種である請求項1
    または2記載の核酸含有複合体。
  8. 【請求項8】 線維芽細胞増殖因子遺伝子が、配列表配
    列番号1に記載される塩基配列からなるDNAである、
    請求項7記載の核酸含有複合体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の核酸含
    有複合体を有効成分とする医薬。
  10. 【請求項10】 遺伝子治療用である請求項9記載の医
    薬。
  11. 【請求項11】 遺伝子治療が遺伝子を局所に投与する
    ことにより行なわれることを特徴とする請求項10記載
    の医薬。
  12. 【請求項12】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子中に核酸を含有し、当該生分解性高分子の分解に
    よって核酸を放出することを特徴とする核酸放出速度の
    制御方法。
  13. 【請求項13】 正荷電基を導入した正に荷電している
    水不溶性の生分解性高分子中に核酸を含有し、当該生分
    解性高分子の分解によって核酸を放出することを特徴と
    する核酸放出速度の制御方法。
  14. 【請求項14】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子がコラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒ
    アルロン酸、アルギン酸、デンプンおよびそれらの誘導
    体からなる群より選択される少なくとも1種である請求
    項12または13記載の方法。
  15. 【請求項15】 誘導体がアミノ誘導体である請求項1
    4記載の方法。
  16. 【請求項16】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子が正荷電基を導入した架橋ゼラチンである請求項
    12または13記載の方法。
  17. 【請求項17】 核酸がプラスミドDNA、オリゴヌク
    レオチドおよび二本鎖核酸化合物からなる群より選択さ
    れる少なくとも1種である請求項12または13記載の
    方法。
  18. 【請求項18】 核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子、
    肝細胞増殖因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子
    からなる群より選択される少なくとも1種である請求項
    12または13記載の方法。
  19. 【請求項19】 線維芽細胞増殖因子遺伝子が、配列表
    配列番号1に記載される塩基配列からなるDNAであ
    る、請求項18記載の核酸含有複合体。
  20. 【請求項20】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子中に核酸を含有し、当該生分解性高分子の分解に
    よって核酸を放出してその機能を発現させることを特徴
    とする、当該核酸の機能発現を増強する方法。
  21. 【請求項21】 正荷電基を導入した正に荷電している
    水不溶性の生分解性高分子中に核酸を含有し、当該生分
    解性高分子の分解によって核酸を放出してその機能を発
    現させることを特徴とする、当該核酸の機能発現を増強
    する方法。
  22. 【請求項22】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子がコラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、ヒ
    アルロン酸、アルギン酸、デンプンおよびそれらの誘導
    体からなる群より選択される少なくとも1種である請求
    項20または21記載の方法。
  23. 【請求項23】 誘導体がアミノ誘導体である請求項2
    2記載の方法。
  24. 【請求項24】 正に荷電している水不溶性の生分解性
    高分子が正荷電基を導入した架橋ゼラチンである請求項
    20または21記載の方法。
  25. 【請求項25】 核酸がプラスミドDNA、オリゴヌク
    レオチドおよび二本鎖核酸化合物からなる群より選択さ
    れる少なくとも1種である請求項20または21記載の
    方法。
  26. 【請求項26】 核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子、
    肝細胞増殖因子遺伝子および線維芽細胞増殖因子遺伝子
    からなる群より選択される少なくとも1種である請求項
    20または21記載の方法。
  27. 【請求項27】 線維芽細胞増殖因子遺伝子が、配列表
    配列番号1に記載される塩基配列からなるDNAであ
    る、請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 核酸と生分解性高分子とを含有する核
    酸含有複合体を含んでなる食作用を有する細胞。
  29. 【請求項29】 生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチ
    ン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デ
    ンプンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される
    少なくとも1種である請求項28記載の食作用を有する
    細胞。
  30. 【請求項30】 核酸含有複合体が請求項1または2記
    載の核酸含有複合体である、請求項28記載の食作用を
    有する細胞。
  31. 【請求項31】 標的部位で核酸の機能を発現する方法
    であって、少なくとも、(i)核酸と生分解性高分子と
    を含有する核酸含有複合体を食作用を有する細胞に取り
    込ませる過程、(ii)当該食作用を有する細胞内で当
    該核酸を発現誘導する過程、および(iii)当該食作
    用を有する細胞を標的部位に到達せしめる過程を含む方
    法。
  32. 【請求項32】 核酸含有複合体が請求項1〜8のいず
    れかに記載の核酸含有複合体である、請求項31記載の
    方法。
  33. 【請求項33】 生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチ
    ン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デ
    ンプンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される
    少なくとも1種である請求項31記載の方法。
  34. 【請求項34】 遺伝子治療用の、核酸と生分解性高分
    子とを含有する核酸含有複合体を有効成分とする医薬で
    あって、当該遺伝子治療が、少なくとも(i)核酸と生
    分解性高分子とを含有する核酸含有複合体を食作用を有
    する細胞に取り込ませる過程、(ii)当該食作用を有
    する細胞内で当該核酸を発現誘導する過程、および(i
    ii)当該食作用を有する細胞を標的部位に到達せしめ
    る過程を含むものである、医薬。
  35. 【請求項35】 生分解性高分子がコラーゲン、ゼラチ
    ン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デ
    ンプンおよびそれらの誘導体からなる群より選択される
    少なくとも1種である請求項34記載の医薬。
  36. 【請求項36】 核酸含有複合体が請求項1〜8のいず
    れかに記載の核酸含有複合体である、請求項34記載の
    医薬。
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