JP2001197769A - 同期モータの脱調を判定する装置および方法 - Google Patents
同期モータの脱調を判定する装置および方法Info
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Abstract
タの脱調判定を的確に行う。 【解決手段】 同期モータのトルク指令値、回転数に基
づいて、モータから出力されるべき期待動力を求める。
一方、モータに実際に印加されている電圧および電流に
基づいて消費電力を検出する。両者の偏差または比を含
むパラメータが予め設定された閾値を超えた場合には、
脱調が生じたものと判定する。期待動力と消費電力との
偏差をパラメータとして利用する場合には、閾値はトル
ク指令値、回転数との関係で設定する。期待動力と消費
電力との比をパラメータとして用いる場合には、閾値は
回転数との関係で設定する。こうすれば非常に軽い負荷
で脱調判定を的確に行うことができる。
Description
時において脱調を検出するための技術に関する。
より所望のトルクを得るためには、ロータの位置、即ち
電気角に応じて巻線に流す多相交流を制御する必要があ
る。電気角の検出誤差が大きくなり、電圧が印加される
方向が本来印加すべき方向からずれると、同期モータは
所望のトルクが得られなくなる。ずれが更に大きくなる
と、完全に制御不能となり、いわゆる脱調状態となるこ
とがある。脱調が生じた場合には制御処理をリセットし
て運転を再開するなどの処理を施す必要がある。
回転中に生じる逆起電圧を利用した検出方法、コイルに
流れる電流の実効値と力率角、即ち印加した電圧の位相
と電流の位相との差とを組み合わせて脱調の有無を判定
する技術などが提案されている(例えば、特開平9−2
94390記載の技術など)。
中に生じる逆起電圧を利用した技術では、モータが高速
回転している場合や停止中には脱調検出を的確に行うこ
とができない場合があった。また、コイルに流れる電流
の実効値と力率角とを組み合わせて利用する技術では、
実効値や力率角について非常に複雑な演算が必要であ
り、モータ制御装置の負荷が大きかった。近年では、電
気角をセンサレスで検出し、同期モータを制御する技術
も提案されている。かかる場合、制御装置には、電気角
を検出するための演算負荷もかけられるため、脱調検出
のための負荷は特に看過し得ないものとなっていた。
されたものであり、同期モータが脱調しているか否か
を、幅広い運転状態において軽い負荷で検出可能とする
技術を提供することを目的とする。
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明で
は、電気角を検出し、該電気角に応じてコイルに多相交
流を流して同期モータの駆動を制御する際における脱調
を検出する第1の構成の脱調検出装置として、前記同期
モータに単位時間当たりに入力または出力されるエネル
ギのうち少なくとも一方の予想値を求める予想値特定手
段と、前記同期モータで消費される電力を検出する消費
電力検出手段と、前記同期モータのトルク指令値および
回転数に応じて、前記予想値と前記検出された電力との
偏差を含む所定のパラメータと、予め設定された所定の
閾値との大小関係とを比較し、前記同期モータの脱調が
発生しているか否かを判定する脱調判定手段とを備える
ものとした。
前記同期モータに単位時間当たりに入力または出力され
るエネルギのうち少なくとも一方の予想値を求める予想
値特定手段と、前記同期モータで消費される電力を検出
する消費電力検出手段と、前記同期モータの回転数に応
じて、前記予想値と前記検出された電力との比を含む所
定のパラメータと予め設定された所定の閾値との大小関
係とを比較し、前記同期モータの脱調が発生しているか
否かを判定する脱調判定手段とを備えるものとした。
に、同期モータに本来入力されるべきエネルギ、または
同期モータから本来出力されるべきエネルギと、実際に
入力または出力されるエネルギとの相違に基づいて脱調
の有無を判定しようとするものである。なお、制御処理
においては、こうした判断は単位時間当たりのエネルギ
で行われるのが通常であるから、本明細書では、エネル
ギとは単位時間当たりにモータで入出力されるエネルギ
を意味するものとする。その意味で、本明細書において
は、エネルギは仕事率、動力、電力と同義である。
るべきエネルギ(以下、「予想エネルギ」という)と、
実際に入出力されるエネルギの検出値(以下、「検出エ
ネルギ」)とは、熱による損失、制御の時間遅れ、電気
角の検出誤差などに起因する若干の相違が存在する程度
である。これに対し、脱調時には、両者の相違は、正常
時とは明らかに区別できる程に大きく異なる。従って、
予想エネルギと検出エネルギの相違を所定の基準で評価
することにより脱調の有無を検出することができる。予
想エネルギおよび検出エネルギは、共にモータのトル
ク、回転数、電圧、電流の乗算で求められるものであ
り、演算負担が非常に軽い。従って、本発明によれば、
軽い負担で脱調を検出することが可能となる。
く機械的なエネルギ、即ち動力と、電気的なエネルギ、
即ち電力とがある。機械的なエネルギを用いることも可
能ではあるが、本発明では、いずれの脱調検出装置にお
いても、検出エネルギとしては、モータで消費される電
力を用いる。消費電力は、通常のモータ制御時に必要な
センサを用いて検出することができるため、新たなハー
ドウェアの追加が不要であるという利点がある。
て、第1の構成では、両者の偏差を含むパラメータを用
い、第2の構成では、両者の比を含むパラメータを用い
るものとした。両者の偏差または両者の比に適宜、所定
の係数を乗じたパラメータや、両者の偏差または両者の
比を含む関数として設定されたパラメータを用いること
ができる。
定された所定の閾値との大小関係に基づき脱調が発生し
ているか否かを判定するが、第1の構成においては、大
小関係の判定をトルク指令値および回転数に応じて行
い、第2の構成においては、回転数に応じて行う。「応
じて」とは、パラメータ自体をトルク指令値、回転数な
どに基づいて補正した上で所定の閾値と比較する態様、
所定の閾値をトルク指令値、回転数との関係で設定する
態様の両者が含まれる。
り、上述のパラメータと脱調との関係を精緻に調査し
た。その結果、従来、報告されて来なかった事象とし
て、予想エネルギと検出エネルギの偏差を含むパラメー
タを用いた場合には、該パラメータの値が、トルク指令
値、回転数に応じて変動する現象を見出した。第1の構
成は、かかる観点から実現されており、トルク指令値お
よび回転数に応じて、パラメータの値と所定の閾値とを
比較することにより、脱調の有無を的確に判断すること
ができる。
として、予想エネルギと検出エネルギの比を含むパラメ
ータを用いた場合には、該パラメータの値が、回転数に
応じて変動するものの、トルク指令値の影響をほとんど
受けない現象を見出した。第2の構成は、かかる観点か
ら実現されており、回転数に応じて、パラメータの値と
所定の閾値とを比較することにより、脱調の有無を的確
に判断することができる。第2の構成によれば、トルク
指令値を考慮する必要がない利点がある。
ネルギと電気的エネルギの双方が利用可能であるから、
本発明の脱調検出装置において、前記予想値特定手段
は、前記同期モータのトルク指令値および回転数に基づ
いて該同期モータに入力または出力される機械的動力を
求める手段とすることもできるし、前記予想値特定手段
は、前記同期モータのトルク指令値および回転数に基づ
いて、前記電気角が真値である場合において前記同期モ
ータで消費される電力の予想値を求める手段であるもの
とすることもできる。
する際に必ず入力される値であるから、前者の態様で
は、これを利用して直ちに予想エネルギを求めることが
できる利点がある。後者の態様では、トルク指令値およ
び回転数での運転を実現するために消費される電力をテ
ーブルまたは関数などを参照して求める必要が生じる。
但し、モータの制御では、トルク指令値に応じてモータ
の各相に流す電流の設定はテーブルを参照して行われる
のが通常であるから、消費される電力もこれと併せて行
うものとすれば、比較的軽い負荷で求めることができる
利点がある。また、同期モータは停止中でもロータにト
ルクを作用させることができ、この場合、前者の態様で
は機械的動力が0となるため、脱調判定が困難となる
が、後者の態様は、かかる弊害なく脱調の検出を適切に
行うことができる利点がある。
素子などを利用したセンサによって検出しながらモータ
の運転を制御する場合に適用することもできるが、前記
電気角の検出がセンサレスで行われる場合に、より有効
に適用することができる。センサレスで電気角を検出し
て運転を制御する場合には、電気角の検出値に誤差が生
じやすく脱調しやすいからである。また、同期モータの
回転中に適用されるセンサレスでの電気角の検出方法
は、一般に誤差が所定範囲内に収まっている場合に安定
して電気角を検出できるように設定されており、一旦検
出誤差が大きくなり脱調が生じると、電気角を検出して
運転制御を通常の状態に修復することが非常に困難とな
るからである。更に、本発明の脱調検出装置は、非常に
軽い負荷で脱調の判定を行うことができるため、電気角
の検出時の処理負担が比較的大きいセンサレス制御にお
いても、制御装置に過度な負荷がかかることを回避でき
る利点がある。
成した場合について説明した。本発明は、かかる態様に
限らず種々の態様で構成可能である。例えば、上記脱調
検出装置を組み込んだモータ制御装置として構成しても
よいし、該モータ制御装置およびモータを適用した車
両、産業機械などの装置として構成してもよい。また、
脱調検出方法、モータ制御方法などの態様で構成するこ
とも可能である。
場合においてモータの運転を通常の状態に戻すための対
処手段を備えるものとしてもよい。対処手段は、例え
ば、モータの運転制御処理をリセットし、運転を再開す
ることによって通常の状態に復帰させる手段として構成
することができる。また、該モータを搭載した装置の運
転者に対し、脱調が生じたことを報知する手段を設け、
通常の状態への復帰を促す態様で構成するものとしても
よい。このように対処手段は、モータの制御上、脱調検
出装置よりも上位の階層に位置する制御部に対し、通常
の運転状態への復帰を促す種々の構成を適用することが
できる。
施例に基づき、以下の順序で説明する。最初に、制御ゲ
インの設定対象となるモータ制御装置の構成およびその
制御処理について説明し、その後、制御ゲインの設定方
法について説明する。 A.装置の構成: B.モータ制御処理: C.電気角検出処理: D.電流制御処理: E.脱調判定処理: F.第1実施例の変形例: G.第2実施例: H.第2実施例の変形例:
ータ制御装置10の概略構成を示す説明図である。脱調
検出装置は、モータ制御装置10のハードウェアを利用
しており、モータ制御装置の一機能として構成されてい
る。制御対象となるモータ40は種々の同期モータを適
用可能であり、本実施例では、ロータに永久磁石を貼付
した突極型の三相同期モータを用いた。モータ制御装置
10は、トランジスタインバータ130をスイッチング
して、電源としてのバッテリ132からモータ40の
U,V,W相に流れる電流を制御することで、その運転
を制御する。本実施例ではモータ40について、ロータ
の電気角を検出するセンサを設けず、センサレスで電気
角を算出して制御するものとしている。
0、三相同期モータ40のU相電流iu、V相電流ivを
検出する電流センサ102、103、検出された電流の
高周波ノイズを除去するフィルタ106、107、検出
した電流値をディジタルデータに変換する2個のアナロ
グディジタル変換器(ADC)112、113を備え、
これらによって各相に流れる電流を検出する。W相につ
いて電流センサ、フィルタ、ADCを備えないのは、三
相交流の場合、U,V,W相の電流の総和は常に値0に
保たれているため、W相の電流iwについては検出しな
くても、U,V相の電流値から算出可能だからである。
また、モータ40の回転数を検出する回転数センサ41
が備えられており、検出された回転数は制御ユニット1
00に入力される。
ように、算術論理演算を行うCPU120、このCPU
120が行う処理や必要なデータを予め記憶したROM
122、処理に必要なデータ等を一時的に読み書きする
RAM124、計時を行うクロック126等が設けられ
ており、バスにより相互に接続されている。このバスに
は、入力ポート116や出力ポート118も接続されて
おり、CPU120は、これらのポート116を介し
て、三相同期モータ40のU,Vの各相に流れる電流i
u,ivを読み込むことができる。また、制御ユニット
100には、トルク指令が別途入力される。
らは、トランジスタインバータ130のU,V,W相に
ついて設けられた各トランジスタをいわゆるPWM制御
するための制御出力Vu,Vv,Vwが出力される。こ
の制御出力に応じて各トランジスタがオン・オフされる
と、同期モータ40のU,V,W相のコイルには擬似正
弦波の交流が流れ回転磁界を生じ、その作用によってモ
ータ40が回転する。
けるモータ制御処理について説明する。図2は三相同期
モータ40の等価回路である。三相同期モータ40は、
図示する通り、U,V,Wの三相コイルと、永久磁石を
有するロータで表される。この等価回路において永久磁
石のN極側を正方向として貫く軸をd軸と呼び、d軸に
直交する軸をq軸と呼ぶ。電気角はU相コイルを貫く軸
とd軸との角度θとなる。
合、要求されたトルクによってd軸方向、q軸方向に流
すべき電流値がそれぞれ決まる。かかる電流を実現する
ためには、各相に流れる電流を電気角に応じて変化させ
る必要がある。ところが、モータ40をセンサレスで制
御する場合、電気角θは制御ユニット100にとっては
未知数である。従って、制御ユニット100は、従前の
電気角とモータ40の回転速度から現時点での電気角θ
cを推定して電圧を印加し、その電圧に応じて各相に流
れる電流値を用いた所定の演算式によって電気角の誤差
Δθを補正して真値θを検出する。こうして検出された
電気角θに基づいて各相に流れる電流を制御するのであ
る。なお、正常に運転している場合には、電気角の誤差
が比較的小さいため上述の処理により安定してモータ4
0を駆動することができる。しかしながら、何らかの原
因により電気角の検出誤差が極端に大きくなると、上述
の制御を安定して行うことができなくなり、モータ40
の運転を制御できなくなることがある。かかる状態を脱
調と呼ぶ。本実施例のモータ制御装置10は、モータ4
0の駆動制御と併せて脱調が生じているか否かの判定を
行うことにより、その対処も可能としている。本実施例
におけるモータ制御は、以下に示すフローチャートによ
り実現される。
ャートである。制御ユニット100のCPU120が繰
り返し実行する処理である。この処理では、まずトルク
指令値、およびモータ40の回転数を入力し、電気角検
出処理を行ってモータ40の電気角を検出する(ステッ
プS10、S20)。その後、要求トルクを出力するた
めの電流を検出された電気角に応じて流す電流制御処理
を行う(ステップS30)。最後に、脱調の有無を判定
する脱調判定処理を行う(ステップS40)。なお、図
3の例では、モータ制御処理ルーチンを実行する度に脱
調判定処理を行う場合を例示したが、脱調判定処理は、
このルーチンを数回実行するごとに行うものとしてもよ
い。以下、各ルーチンについて説明する。
理ルーチンのフローチャートである。本実施例では、軽
い演算負荷で精度良く電気角を検出可能な方法を用い
た。即ち、モータ40のコイルについて成立する電圧方
程式に基づいて求められるd軸電流のモデル値と実際に
検出されたd軸電流の値との偏差を少なくとも含む単一
のパラメータを用いた演算式で電気角を検出するものと
した。
る。この処理が開始された時点では、これまでに行って
きた制御に基づいてCPU120は電気角をあるモデル
値θcに推定している(図2参照)。また、モータ40
の各コイルには、これまでに行ってきた制御により、要
求トルクに応じた電流が流れている。この状態で、CP
U120はd軸の電流Id、q軸の電流Iqを検出する
(ステップS21)。これらの電流は、図1に示した電
流センサ102,103により検出されるU相、V相の
電流値を3相/2相変換することにより得られる。
いて、CPU120は次式(1)〜(4)により、ΔI
d、ΔIqを算出する(ステップS22)。 ΔId=Id(n)−Idm …(1); Idm=Id(n-1)+t{Vd-R・Id(n-1)+ω・Lq・Iq(n-1)}/Ld …(2); ΔIq=Iq(n)−Iqm …(3); Iqm=Iq(n-1)+t{Vq-R・Iq(n-1)−ω・Ld・Id(n-1)−E(n-1)}/Lq …(4); ここで、各変数は次の内容を意味する。Id(n)は現
タイミングにおける磁化電流の値;Idmは磁化電流の
モデル値;Id(n−1)は前タイミングにおける磁化
電流の値;Iq(n)は現タイミングにおけるトルク電
流の値;Iqmはトルク電流のモデル値;Iq(n−
1)は前タイミングにおけるトルク電流の値;Ldは磁
化電流の方向のインダクタンス;Lqはトルク電流の方
向のインダクタンス;Rはコイルの抵抗値;Eはコイル
に生じる起電力;Vdは磁化電流方向の電圧値;Vqは
トルク電流方向の電圧値;tは演算の実行周期;ωはモ
ータの回転角速度[rad/sec];
正を行う(ステップS23)。本実施例では、要求トル
クと補正量との関係がROM122にテーブルとして記
憶されており、CPU120は要求トルクに基づいてこ
のテーブルを参照してΔId、ΔIqの補正量を求めて
いる。この補正は、要求トルクが大きくなった場合にモ
ータ40のコイルに磁束飽和が生じ、電流の偏差ΔI
d、ΔIqが(1)〜(4)式からずれるのを補償する
ための補正である。補正量は電気角が誤差0のときにΔ
Id,ΔIqが値0となるように、要求トルクに応じて
実験的に設定される。コイルに流れる電流が比較的小さ
い場合には、かかる補正を省略するものとしてもよい。
後述する通り、本実施例では、「ΔId+ΔIq」なる
パラメータを用いて電気角の算出を行うから、補正テー
ブルはこのパラメータに合わせ、「ΔId+Iq」に対
して備えるものとしてもよい。更に、パラメータによっ
ては、「α・ΔId+β・ΔIq(α、βは係数)」の
形で補正テーブルを備えることもできる。
て、次式(5)(6)により電気角θ(n)を求め(ス
テップS24)、式(7)によりωを算出する(ステッ
プS25)。こうして算出された電気角θ(n)および
角速度ωは、次のタイミングにおける制御処理において
用いられる。 θ=θ(n−1)+Kp・PM+Ki・ΣPM …(5); PM=α・ΔId+β・ΔIq …(6); ω=(Kp・PM+Ki・ΣPM)/t …(7); つまり、ΔId、ΔIqの多項式を一つのパラメータと
する比例積分制御によって電気角θを算出していること
になる。なお、α、βは任意の実数であり、本実施例で
はα=β=1とした。Kp,Kiは制御ゲインであり、
実験的または解析的に適切な値を設定すればよい。
Mを用いた比例積分式で電気角を検出することができる
ため、高速に処理することができる。また、制御ゲイン
Kp,Kiの設定次第で非常に高い精度で電気角を検出
できることが確認されている。なお、電気角をセンサレ
スで検出する方法は、他にも種々の方法が知られてお
り、これらのいずれを適用しても構わない。一例とし
て、電圧方程式の微分項を時間差分に置き換えた演算式
を用いて電気角を検出する方法を適用することができ
る。
ーチンのフローチャートである。トルク指令値T*、回
転数Nに応じて各相に流れる電流を制御する処理であ
る。この処理では、CPU120は、まずトルク指令値
T*、回転数Nおよび電気角θを入力する(ステップS
31)。そして、各相の電流iu,iv,iwを検出す
る(ステップS32)。検出された各相電流を3相/2
相変換すれば、d軸、q軸方向に流れている電流を求め
ることができる。電気角θは、この3相/2相変換に用
いられる。次に、トルク指令値T*,回転数Nに基づい
て、その運転状態を実現するためのd軸電流、q軸電流
を設定する(ステップS33)。トルク指令値、回転数
とd軸電流、q軸電流との対応関係を予め2次元テーブ
ルの形で用意し、このテーブルを参照してd軸電流、q
軸電流を設定する。こうして各軸方向に流すべき電流が
設定されると、検出されたd軸電流、q軸電流との偏差
に基づいて印加電圧を設定する(ステップS34)。印
加電圧の設定は、種々の方法で行うことができるが、こ
こでは、偏差に基づく比例積分制御で印加電圧を設定し
た。d軸、q軸電圧をトルク指令値T*、回転数Nの2
次元テーブルで与え、開ループ制御するものとしてもよ
い。これらの方法により、d軸方向、q軸方向の印加電
圧が設定されると、CPU120は、2相/3相変換に
より、各相への印加電圧に変換し、この電圧を実現する
ようにインバータのスイッチングを制御する信号を生成
する(ステップS35)。
判定の考え方は次の通りである。電気角の検出誤差が小
さい場合、電流制御においてd軸、q軸には設定通りの
電圧が印加され、設定された電流が流れるはずである。
この結果、モータ40はトルク指令値、回転数に応じた
状態で回転する。つまり、モータ40からは「トルク指
令値×回転数」で表される機械的な動力が出力されるは
ずである。このとき、モータ40で消費される電力とモ
ータ40から出力されるべき動力(以下、期待動力と呼
ぶ)との差違は、電気角検出誤差や制御の時間遅れに起
因する若干の誤差に伴う損失分や熱で失われる損失分程
度の比較的小さい範囲に収まる。
誤差が非常に大きいため、電流制御においてd軸、q軸
に設定通りの電圧が印加されなくなる。d軸、q軸は、
電気角に応じて回転する軸であり、電気角の検出誤差が
大きい場合には、制御ユニット100がd軸、q軸方向
であると確信している方向と現実のd軸、q軸方向が大
きく異なってしまうためである。この結果、各相に流れ
る電流が本来の電流と異なるだけでなく、通電によって
生じた磁界がする仕事量が正常時と大きく異なることな
どに起因して消費される電力も正常時と異なってくる。
従って、モータ40で消費される電力とモータ40から
出力されるべき動力との差違は、非常に大きくなる。こ
うした関係は、モータ40が回生運転されている場合に
も成立する。回生運転している場合には、トルク指令値
T*が負の値となるから期待動力は負の値となる。一
方、モータ40では発電が行われるため、消費電力とし
ては負の値となる。従って、双方が負の値同士で上述の
関係が成立する。
を利用したものであり、モータ40の期待動力と実際に
消費される電力との差違に基づいて脱調の有無を判定す
る。脱調判定は、具体的には次の処理により実現され
る。図6は脱調判定処理ルーチンのフローチャートであ
る。この処理では、CPUは、トルク指令値T*、モー
タ40の回転数Nおよび電圧指令値vu,vv,vwを
入力する(ステップS41)。電圧指令値vu,vv,
vw[V]は、先に図3で示した電流制御処理で設定さ
れる値である。次に、各相の電流iu,iv,iw
[A]を電流センサ102,103を利用して検出し、
電圧指令値と電流値との各相ごとの積の総和から消費電
力Pe[W]を演算する(ステップS42,S43)。
即ち、「Pe=iu×vu+iv×vv+iw×vw」
である。
待動力Pmを計算する(ステップS44)。ここで、期
待動力Pmは電力Peと統一された単位系で演算され
る。本実施例では、トルク指令値[N・m]と回転数
[rad/sec]とを用いて演算した。
の絶対値をパラメータとし、このパラメータが所定の閾
値Thよりも大きいか否かを判定する(ステップS4
5)。ここで、パラメータと閾値Thとの関係について
説明する。図7は「Pe−Pm」と電気角の検出誤差と
の関係を示すグラフである。本願発明者がある同期モー
タを用いて行った実験結果である。ここでは、回転数N
1[rpm]における4段階のトルク指令値T1,T
2,T3,T4について結果を例示した。T1,T2,
T3,T4の順にトルク指令値が大きくなる。電気角の
検出誤差が0近傍、即ち、正常運転されている場合に
は、先に説明した通り、電力Peと期待動力Pmとの偏
差もほぼ0に近い状態にあるが、電気角の検出誤差が大
きくなるにつれて偏差の絶対値が大きくなることが分か
る。検出誤差が極端に大きくなると制御が非常に不安定
になり脱調に至る。
検出処理や電流制御処理のモデルや要求される制御の精
度に応じて任意に設定可能である。本実施例では、検出
誤差の絶対値が90度よりも若干小さい値に脱調の判断
基準Alimを設定した。従って、ステップS45で用
いられる閾値Thは、この判断基準となる値Alimに
対応する偏差を用いればよい。図示する通り、トルク指
令値T4について、検出誤差「Alim」に対応する値
は点P1における偏差である。検出誤差「−Alim」
に対応する値は点P2における偏差である。本実施例で
は、両者が一致しないため、安全側に閾値を設定した。
即ち、絶対値の小さい点P1に相当する値を閾値Thと
して用いた。この結果、検出誤差が負側に現れる場合
は、検出誤差「−Alim1」よりも負側になった時点
で脱調と判定されることになる。
判断基準となる検出誤差と、それに対応する偏差との関
係は、トルク指令値に応じて変動する。従って、本実施
例では、ステップS45で用いられる閾値Thを、トル
ク指令値ごとに設定した。また、図7に示した実験結果
は、ある回転数N1[rpm」におけるものであり、他
の回転数N2,N3においては、起電力の相違などに起
因して異なる実験結果が得られている。従って、本実施
例では、ステップS45で用いられる閾値Thを、回転
数によって異なる値に設定した。実際には、閾値Thを
トルク指令値、回転数に応じた2次元テーブルの形で記
憶し、ステップS45では、トルク指令値T*、回転数
Nに応じてこの2次元テーブルを補間して閾値Th(T
*、N)を求めた。
き説明する。ステップS45において、パラメータの値
が閾値Thよりも大きい場合には、脱調している可能性
があると判断され、閾値Th以下である場合には、正常
状態であると判断される。但し、ノイズの影響によりパ
ラメータが瞬間的に閾値Thを超える可能性があるた
め、本実施例では、かかる原因による誤判断を回避すべ
く、パラメータが閾値Thを超える状態が一定期間継続
した場合に初めて脱調が生じているものと判断する。
いて行われる。ステップS45においてパラメータが閾
値Thよりも大きい場合には、変数tdをΔtだけ増大
させる(ステップS46)。Δtは、脱調判定処理ルー
チンを前回実行してから今回までの経過時間である。通
常、脱調判定処理ルーチンは、一定時間ごとに周期的に
行われるから、かかる場合には、Δtはこのサンプリン
グタイムに相当する一定値を用いることができる。こう
して徐々に増大する変数tdが所定の臨界値tlimを
超えた場合に、脱調が生じたと判断して、脱調の検出フ
ラグFrをオン、即ち値1にする(ステップS47,S
48)。変数tdの値が臨界値tlim以下である間
は、脱調が生じていないと判断して、検出フラグFrを
オフ、即ち値0に設定する(ステップS50)。一方、
ステップS45においてパラメータが閾値Th以下であ
る場合には、脱調は生じていないと判断されるから、変
数tdを値0にリセットするとともに(ステップS4
9)、検出フラグFrを値0に設定する(ステップS5
0)。
によれば、出力されるべき期待動力と実際の消費電力と
の偏差に基づいて脱調の有無を検出することができる。
両者の値は、上述の通り、乗算、加算程度で求めること
ができるため、脱調検出を非常に軽い処理負担で実現す
ることができる。この結果、モータの駆動制御の信頼性
を向上することができる。特に、センサレスで電気角を
検出してモータを制御する場合には、検出誤差が大きく
なると、制御が非常に不安定になり、正常な運転状態に
自然復帰させることが非常に困難である。従って、脱調
判定処理を設けることが制御の信頼性確保のために必須
である。特に本実施例のように軽い負担で脱調検出でき
れば、その有用性は非常に高い。
Frに格納するのみであり、特別な対処を施してはいな
い。脱調が生じた場合の対処は、このフラグFrの値に
基づいて、図3に示したモータ制御処理よりも上位の階
層に位置するルーチンで行うことができる。処理内容
は、種々の態様が考えられ、例えば、モータ40の運転
制御を一旦リセットし、電気角の初期検出のための特別
なルーチンから再度実行し直すものとすることができ
る。また、モータ40が搭載された装置の運転者に脱調
が生じたことを音または表示などで報知し、運転の停止
を促す処理を行うものとしてもよい。モータ40の代替
となる動力源が備えられている装置の場合には、モータ
40の運転を停止し、代替動力源への切り替えを行うこ
とも可能である。もちろん、これらの対処は、脱調検出
処理において併せて行うものとしても構わない。
費電力Peと期待動力Pmとの偏差を脱調判定のパラメ
ータとして用いた場合を例示した。パラメータは、他に
も種々の設定が可能である。変形例として、消費電力P
eと期待動力Pmとの比を含むパラメータを用いる場合
を例示する。
の検出誤差との関係を示すグラフである。先に図7で示
したのと同様、4段階のトルク指令値T1,T2,T
3,T4に対する結果を示した。図示する通り、電気角
の検出誤差が0付近では、両者の比はほぼ1に近い値と
なる。検出誤差が大きくなるほど、両者の比は値1より
も小さくなる。実施例におけるパラメータ「Pe−P
m」の場合は、トルク指令値に応じて、検出誤差とパラ
メータの値とが異なる結果を示していた。これに対し、
変形例では、検出誤差が±90度以内の範囲であれば、
検出誤差とパラメータとの関係はトルク指令値に関わら
ず一致することが分かる。従って、変形例におけるパラ
メータ「Pe/Pm」を用いる場合には、脱調の判定基
準となる閾値(図6のステップS45参照)は、トルク
指令値に依存せず、回転数のみの関数として設定するこ
とができる。
/Pm」を用いて脱調判定を行う場合には、脱調判定の
基準となるパラメータ値を回転数に応じた1次元のテー
ブルとして記憶しておけば済む。脱調判定は、実施例
(図6参照)の処理をそのまま適用しつつ、ステップS
45において、回転数のみとの関係で閾値Thを求める
ようにすればよい。このため、変形例では、閾値を記憶
するテーブルの容量を抑制することができ、補間などで
閾値を求める処理を更に簡略化することができる利点が
ある。ここでは、「Pe/Pm」をパラメータとして用
いた場合を例示したが、これに限らず「Pe/Pm」を
含む多項式などをパラメータとして用いることができ
る。
モータ制御装置について説明する。モータ制御装置のハ
ードウェア構成およびモータ制御処理の内容は、第1実
施例と同じである(図1、図3参照)。第2実施例で
は、脱調判定処理ルーチンの処理内容、具体的には処理
に用いるパラメータの種類が第1実施例と相違する。第
1実施例では、モータ40で実際に消費される電力とモ
ータ40から出力されるべき期待動力とを用いて脱調の
判定を行った。これに対し、第2実施例では、期待動力
に変えて消費電力の予想値、即ち、モータ40が正常に
運転されている場合に消費されると予想される電力値を
用いて脱調の検出を行う。先に説明した通り、正常に運
転されている場合には、モータ40の期待動力と消費電
力の予想値とは、ほぼ一致する物理量であるから、脱調
判定の基本的な考え方も第1実施例と共通している。
ーチンのフローチャートである。この処理では、CPU
120はモータ40のトルク指令値T*、回転数N、各
相の電圧指令値vu,vv,vwに加えて予想消費電力
P0を入力する(ステップS60)。予想消費電力P0
は、モータ40の電流制御処理(図3のステップS3
0)で容易に求めることができる。先に説明した通り、
電流制御処理では、d軸電流、q軸電流について予め設
定されたテーブルを参照して、トルク指令値T*、回転
数Nに対応したd軸電流id0、q軸電流iq0を設定し、こ
の電流値を流すべく、d軸電圧vd0、q軸電圧vq0、ひい
ては各相に印加すべき電圧を算出する。ここで設定され
た電圧が印加されれば、上述のd軸電流id0、q軸電流i
q0が各相に流れるはずである。従って、予想消費電力P
0は、電流制御処理の過程において、設定されたd軸電
流id0、q軸電流iq0、d軸電圧vd0、q軸電圧vq0を用い
て次式で与えられる。 P0=id0×vd0+iq0×vq0;
出しておき、トルク指令値T*、回転数Nに対応してd
軸電流、q軸電流を与えるテーブルに併せて予想消費電
力P0も与えるテーブルを用意した。電流制御処理で
は、このテーブルを参照することにより、d軸電流、q
軸電流を設定するとともに予想消費電力P0を得ること
ができる。脱調判定処理ルーチンでは、この予想消費電
力P0を入力するのである。なお、予想消費電力P0
を、テーブルで与えるものとせず、上式を用いて毎回算
出するものとしてもよい。
電流を検出し(ステップS61)、入力した電圧指令値
との積をとって実際に消費されている電力Peを算出す
る(ステップS62)。この処理は、第1実施例と同様
である。
として、消費電力Peと予想消費電力P0との偏差の絶
対値を用いる。つまり、|Pe−P0|をパラメータと
する。このパラメータが所定の閾値Thよりも大きくな
る状態が、所定の期間tlimを超えるまでは脱調が生
じていないものと判定して、フラグFrを値0に維持
し、所定の期間tlimを超えた場合には脱調が生じた
ものと判定して、フラグFrに値1を設定する(ステッ
プS63〜S66)。上記パラメータが閾値Th以下の
場合には、脱調が生じていないものと判定して、継続時
間を表す変数tdを0にリセットするとともに、フラグ
Frも0に維持する(ステップS63,S67,S6
8)。この処理も第1実施例と同じである。
との関係について説明する。図10は「Pe−P0」と
電気角の検出誤差との関係を示すグラフである。4段階
のトルク指令値T1,T2,T3,T4に対応する値を
示した。図示する通り、検出誤差が0度の場合には、消
費電力Peと予想消費電力P0とはほぼ一致し、「Pe
−P0」は値0となる。検出誤差が大きくなるにつれて
「Pe−P0」の値は0からずれる。但し、パラメータ
のずれ量は、トルク指令値に応じて異なる。また、回転
数に応じても異なる。従って、第2実施例では、第1実
施例と同様、トルク指令値、回転数の2次元テーブルと
して閾値Thを設定した。ステップS63では、入力し
たトルク指令値、回転数に基づいてこの2次元テーブル
を参照して閾値Thの値を求め、この値とパラメータ|
Pe−P0|との大小関係を比較するものとした。
置によれば、第1実施例と同様、比較的軽い負荷で脱調
を的確に判定することができる。第1実施例では、脱調
判定処理において期待動力の演算を要したが、第2実施
例では、予想消費電力をテーブルで与えるものとしたた
め、脱調判定処理の負荷を更に軽減することができる。
また、同期モータ40は、停止時にも回転軸にトルクを
与えることができる。かかる場合、期待動力の値は0と
なるため、第1実施例では脱調判定が困難となるが、予
想消費電力P0を用いる第2実施例では、かかる問題な
く脱調判定をすることができる。
は、消費電力Peと予想消費電力P0との偏差を脱調判
定のパラメータとして用いた場合を例示した。第2実施
例においても、パラメータは、他にも種々の設定が可能
である。変形例として、消費電力Peと予想消費電力P
0との比をパラメータとして用いる場合を例示する。
角の検出誤差との関係を示すグラフである。4段階のト
ルク指令値T1,T2,T3,T4に対する結果を示し
た。図示する通り、電気角の検出誤差が0付近では、両
者の比は1よりも若干大きい値となる。検出誤差が大き
くなるほど、両者の比は小さくなる。第2実施例におけ
るパラメータ「Pe−P0」の場合は、トルク指令値に
応じて、検出誤差とパラメータの値とが異なる結果を示
していた。これに対し、変形例では、検出誤差が±90
度以内の範囲であれば、検出誤差とパラメータとの関係
はトルク指令値に関わらず一致する。従って、変形例に
おけるパラメータ「Pe/P0」を用いる場合には、脱
調の判定基準となる閾値(図9のステップS63参照)
は、トルク指令値に依存せず、回転数のみの関数として
設定することができる。
「Pe/P0」を用いて脱調判定を行う場合には、脱調
判定の基準となるパラメータ値を回転数に応じた1次元
のテーブルとして記憶しておけば済む。脱調判定は、実
施例(図6参照)の処理をそのまま適用しつつ、ステッ
プS63において、回転数のみとの関係で閾値Thを求
めるようにすればよい。このため、変形例では、閾値を
記憶するテーブルの容量を抑制することができ、補間な
どで閾値を求める処理を更に簡略化することができる利
点がある。ここでは、「Pe/P0」をパラメータとし
て用いた場合を例示したが、これに限らず「Pe/P
0」を含む多項式など任意のパラメータを用いることが
できる。
は、モータ40をセンサレスで制御する場合を対象とし
た。本発明は、かかる場合のみならず、モータ40の電
気角を検出するためのセンサを備える場合にも適用可能
である。この場合は、モータの制御処理(図3)におけ
る電気角検出処理がセンサの出力を入力する処理に変更
されるのみであり、脱調判定処理を含むその他の処理
は、実施例および変形例における処理内容をそのまま適
用することができる。更に、本実施例および変形例で例
示した脱調の検出方法は、電気角の検出誤差の大きさを
判断する方法として用いることも可能であるから、これ
を用いて、モータのセンサレス制御の補正を行うことも
できる。補正とは、電気角の定量的な補正を行う場合に
限らず、検出誤差が所定値以上に大きくなったと判断さ
れた場合には、よりロバスト性の高い制御モデルを実現
するように、センサレス制御のモデルまたはゲインを切
り替えたりる方法をとってもよい。その他、安定した運
転を実現するための種々の補正に適用することが可能で
ある。また、本実施例および変形例は、脱調の検出を行
うだけでなく、脱調状態にあることを当該モータが搭載
された装置の運転者に警告する処理とともに用いたり、
脱調状態の程度によってはモータの運転を禁止したり、
減速したりする処理とともに用いたりすることも可能で
ある。後者の例としては、例えば、通常の制御では脱調
状態からの回復が不可能と判断される程、脱調が激しい
場合に、モータの運転を禁止する処理が含まれる。
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフト
ウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものと
してもよい。
を示す説明図である。
ある。
る。
る。
る。
る。
との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
ローチャートである。
差との関係を示すグラフである。
差との関係を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 電気角を検出し、該電気角に応じてコイ
ルに多相交流を流して同期モータの駆動を制御する際に
おける脱調を検出する脱調検出装置であって、 前記同期モータに単位時間当たりに入力または出力され
るエネルギのうち少なくとも一方の予想値を求める予想
値特定手段と、 前記同期モータで消費される電力を検出する消費電力検
出手段と、 前記同期モータのトルク指令値および回転数に応じて、
前記予想値と前記検出された電力との偏差を含む所定の
パラメータと、予め設定された所定の閾値との大小関係
とを比較し、前記同期モータの脱調が発生しているか否
かを判定する脱調判定手段とを備える脱調検出装置。 - 【請求項2】 電気角を検出し、該電気角に応じてコイ
ルに多相交流を流して同期モータの駆動を制御する際に
おける脱調を検出する脱調検出装置であって、 前記同期モータに単位時間当たりに入力または出力され
るエネルギのうち少なくとも一方の予想値を求める予想
値特定手段と、 前記同期モータで消費される電力を検出する消費電力検
出手段と、 前記同期モータの回転数に応じて、前記予想値と前記検
出された電力との比を含む所定のパラメータと予め設定
された所定の閾値との大小関係とを比較し、前記同期モ
ータの脱調が発生しているか否かを判定する脱調判定手
段とを備える脱調検出装置。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の脱調検出
装置であって、 前記予想値特定手段は、前記同期モータのトルク指令値
および回転数に基づいて該同期モータに入力または出力
される機械的動力を求める手段である脱調検出装置。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の脱調検出
装置であって、 前記予想値特定手段は、前記同期モータのトルク指令値
および回転数に基づいて、前記電気角が真値である場合
において前記同期モータで消費される電力の予想値を求
める手段である脱調検出装置。 - 【請求項5】 請求項1または請求項2記載の脱調検出
装置であって、前記同期モータの駆動において、前記電
気角の検出がセンサレスで行われることを特徴とする脱
調検出装置。 - 【請求項6】 電気角を検出し、該電気角に応じてコイ
ルに多相交流を流して同期モータの駆動を制御する際に
おける脱調を検出する脱調検出方法であって、(a)
前記同期モータに単位時間当たりに入力または出力され
るエネルギのうち少なくとも一方の予想値を求める工程
と、(b) 前記同期モータで消費される電力を検出す
る工程と、(c) 前記同期モータのトルク指令値およ
び回転数に応じて、前記予想値と前記検出された電力と
の偏差を含む所定のパラメータと予め設定された所定の
閾値との大小関係とを比較し、前記同期モータの脱調が
発生しているか否かを判定する工程とを備える脱調検出
方法。 - 【請求項7】 電気角を検出し、該電気角に応じてコイ
ルに多相交流を流して同期モータの駆動を制御する際に
おける脱調を検出する脱調検出方法であって、(a)
前記同期モータに単位時間当たりに入力または出力され
るエネルギのうち少なくとも一方の予想値を求める工程
と、(b) 前記同期モータで消費される電力を検出す
る工程と、(c) 前記同期モータの回転数に応じて、
前記予想値と前記検出された電力との比を含む所定のパ
ラメータと予め設定された所定の閾値との大小関係とを
比較し、前記同期モータの脱調が発生しているか否かを
判定する工程とを備える脱調検出方法。
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