JP2010268599A - 永久磁石モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】永久磁石モータの動作状態に対応させて減磁の発生を正確に検出する。
【解決手段】PI制御部86は、d−q軸変換を用いたフィードバック制御によって、d軸およびq軸の電圧指令値を設定する。Vq基準値マップ保持部90は、現在の電流指令Id*,Iq*に基づいて、永久磁石モータ60に減磁が発生していないときのq軸電圧指令値である基準値Vqmを設定する。減磁率演算部94は、PI制御部86によるq軸電圧指令値の現在値Vqcと、上記基準値Vqmとの差を、永久磁石モータ60の回転角速度で除算することによって減磁率Ddmを演算する。減磁率判定値設定部92は、減磁率判定値Admをモータ回転数MRNに応じて可変に設定する。減磁検出部95は、Ddm>Admのとき、永久磁石モータ60に減磁が発生していると検出する。
【選択図】図1
【解決手段】PI制御部86は、d−q軸変換を用いたフィードバック制御によって、d軸およびq軸の電圧指令値を設定する。Vq基準値マップ保持部90は、現在の電流指令Id*,Iq*に基づいて、永久磁石モータ60に減磁が発生していないときのq軸電圧指令値である基準値Vqmを設定する。減磁率演算部94は、PI制御部86によるq軸電圧指令値の現在値Vqcと、上記基準値Vqmとの差を、永久磁石モータ60の回転角速度で除算することによって減磁率Ddmを演算する。減磁率判定値設定部92は、減磁率判定値Admをモータ回転数MRNに応じて可変に設定する。減磁検出部95は、Ddm>Admのとき、永久磁石モータ60に減磁が発生していると検出する。
【選択図】図1
Description
この発明は、永久磁石モータの制御装置に関し、より特定的には、永久磁石モータの減磁の発生を検出するための制御に関する。
交流電動機の一形態として、ロータに永久磁石が取り付けられた永久磁石モータが使用されている。このような永久磁石モータでは、磁石温度の上昇に伴って発生磁束数が低下する現象(いわゆる減磁現象)が発生することが知られているが、特に、磁石温度が限度を超えて過度に上昇すると、磁石温度が低下しても磁気特性が回復しなくなってしまう。このため、永久磁石モータの使用時には、一定レベルを超えた減磁の発生をオンラインで検出することが求められる。このような減磁の検出のための構成が、たとえば、特開2005−51892号公報(特許文献1)、特開2005−192325号公報(特許文献2)および特開2008−199738号公報(特許文献3)等に記載されている。
特に、特許文献1には、d−q軸変換を用いたフィードバック制御が適用される永久磁石モータにおいて、そのq軸電圧指令値および回転角速度に基づいて減磁を検出する構成が記載されている。
特許文献1の構成では、q軸電圧指令値および回転角速度に基づいて推定された減磁率を、判定の閾値となる所定値と比較することによって減磁を検出しているが、当該所定値をどのように設定するかによって、減磁を正確に検出できるか否かが左右される。特に、判定の閾値を固定すると、永久磁石モータの動作状態によっては、減磁を正確に検出できなくなることが懸念される。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、永久磁石モータの動作状態を反映して減磁の発生を正確に検出することである。
この発明による永久磁石モータの制御装置は、制御部と、基準値設定部と、減磁率演算部と、判定値設定部と、減磁検出部とを備える。制御部は、永久磁石モータのd−q軸変換を用いたフィードバック制御に従ってd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を設定するように構成される。基準値設定部は、永久磁石モータの減磁非発生時における、モータ状態値とq軸電圧指令値との間の予め求められた特性に従って、モータ状態値の現在値に基づいてq軸電圧指令値の基準値を設定するように構成される。減磁率演算部は、制御部により設定されたq軸電圧指令値と、基準値設定部により設定された基準値との差を、永久磁石モータの回転角速度で除算する演算に基づいて、永久磁石モータの減磁率を推定するように構成される。判定値設定部は、永久磁石モータの回転数に応じて減磁率判定値を可変設定するように構成される。減磁検出部は、減磁率演算部によって求められた減磁率が、判定値設定部により設定された減磁率判定値よりも高いときに、永久磁石モータでの減磁発生を検出するように構成される。
この発明によれば、永久磁石モータの動作状態に対応させて減磁の発生を正確に検出することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態による永久磁石モータの制御装置が適用されるモータ駆動システムの概略ブロック図である。
図1を参照して、モータ駆動装置100は、直流電源10と、電圧センサ11,12と、コンバータ20と、コンデンサ30と、インバータ40と、電流センサ50と、回転位置センサ70と、制御装置80,80♯とを備える。
コンバータ20は、直流電源10とコンデンサ30との間に接続される。コンデンサ30は、電源ライン1とアースライン2との間に接続される。
電圧センサ11は、直流電源10から出力される直流電圧Vbを検出して制御装置80♯へ出力する。電圧センサ12は、コンデンサ30の両端の電圧Vmを検出して制御装置80,80♯へ出力する。
コンバータ20は、制御装置80♯からの信号PWM1によって直流電源10からの直流電圧Vbを昇圧してコンデンサ30に供給する。コンデンサ30は、コンバータ20からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ40に供給する。ここで、図2を用いて、コンバータ20の回路構成例を説明する。
図2を参照して、コンバータ20は、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)Q1,Q2と、逆並列ダイオードD1,D2と、リアクトルL1とを含む。なお、本実施の形態では、電力用半導体スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられるものとするが、オンオフ制御可能な他のパワーデバイスをIGBTに代えて用いることも可能である。
スイッチング素子Q1,Q2は、電源ライン1とアースライン2との間に直列に接続される。リアクトルL1は、一方端がスイッチング素子Q1およびQ2との中間点に接続され、他方端が直流電源10の正極に接続される。また、各スイッチング素子Q1,Q2には、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ接続されている。
再び図1を参照して、インバータ40は、コンデンサ30を介して直流電圧を受け、その受けた直流電圧を制御装置80からの信号PWM2によって交流電圧に変換して永久磁石モータ60を駆動する。ここで、図3を用いて、インバータ40の回路構成例を説明する。
図3を参照して、図3を参照して、インバータ40は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15、V相アーム16およびW相アーム17は、電源ライン1とアースライン2との間に並列に設けられる。
U相アーム15は、直列に接続されたスイッチング素子Q3,Q4から成り、V相アーム16は、直列に接続されたスイッチング素子Q5,Q6から成り、W相アーム17は、直列に接続されたスイッチング素子Q7,Q8から成る。また、各スイッチング素子Q3〜Q8には、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
インバータ40の各相アームの中間点は、永久磁石モータ60の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、永久磁石モータ60のU相コイルの他端がスイッチング素子Q3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がスイッチング素子Q5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がスイッチング素子Q7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
再び、図1を参照して、電流センサ50は、永久磁石モータ60に流れるモータ電流Iu,Ivを検出し、その検出したモータ電流Iu,Ivを制御装置80へ出力する。なお、図1においては、電流センサ50は、2個しか示されていない。これは、永久磁石モータ60が3相モータの場合、2つの相に流れるモータ電流Iu,Ivを検出すれば、その検出されたモータ電流Iu,Ivに基づいて残りの相に流れるモータ電流Iwを演算できるからである。したがって、3相の各々に流れるモータ電流Iu,Iv,Iwを独自に検出する場合、3個の電流センサ50を設けてもよい。
永久磁石モータ60は、図示しない、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをステータコイルとして含む3相のモータである。回転位置センサ70は、永久磁石モータ60のロータの回転位置を検出し、その検出した回転位置を示すセンサ値θを制御装置80へ出力する。
制御装置80,80♯の各々は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU:Electric Control Unit)により構成され、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。あるいは、ECUの少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。また、図1では、制御装置80および80♯を別個に記載しているが、両者の機能を単一のECUによって実現する構成とすることも可能である。
制御装置80♯は、外部ECUからのトルク指令値TR、電圧センサ11からの直流電圧Vb、電圧センサ12からの電圧Vmおよび回転数検出部81からのモータ回転数MRNに基づいて、コンバータ20を制御するための信号PWM1を生成してコンバータ20へ出力する。
より具体的には、制御装置80♯は、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいてコンバータ20の電圧指令を演算し、その演算した電圧指令と、直流電圧Vbと、電圧Vmとに基づいて電圧Vmを電圧指令に設定するための信号PWM2を生成する。コンバータ20は、信号PWM1に従ってスイッチング素子Q1,Q2がオンオフ制御することによって、電源ライン1の電圧Vmを電圧指令に制御する。
制御装置80は、外部ECUからのトルク指令値TRに従って永久磁石モータ60を制御するための信号PWM2を生成して、インバータ40へ出力する。図1では、制御装置80は、永久磁石モータ60の制御に係る機能ブロックの集合体として記載される。
制御装置80は、回転数検出部81と、3相/2相変換部82と、電流指令生成部83と、減算器84,85と、PI制御部86と、2相/3相変換部87と、PWM生成部88と、Vq基準値マップ保持部90と、減磁率判定値設定部92と、減磁率演算部94と、減磁検出部95とを含む。これらの各機能ブロックについては、当該ブロックに相当する機能を有する回路(ハードウェア)として制御装置80内に構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従って制御装置80がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
回転数検出部81は、回転位置センサ70からセンサ値θを受け、その受けたセンサ値θに基づいてモータ回転数MRNを検出する。そして、回転数検出部81は、モータ回転数MRNを電流指令生成部83、Vq基準値マップ保持部90、減磁率判定値設定部92、減磁率演算部94、および制御装置80♯へ出力する。
3相/2相変換部82は、2個の電流センサ50からモータ電流Iu,Ivを受ける。そして、3相/2相変換部82は、モータ電流Iu,Ivに基づいてモータ電流Iw=−Iu−Ivを演算する。
そうすると、3相/2相変換部82は、モータ電流Iu,Iv,Iwを回転位置センサ70からのセンサ値θを用いて三相二相変換する。すなわち、3相/2相変換部82は、モータ電流Iu,Iv,Iwおよびセンサ値θに基づき、周知のd−q軸変換式に従って電流値Id,Iqを演算する。
つまり、3相/2相変換部82は、永久磁石モータ60の3相コイルの各相に流れる3相のモータ電流Iu,Iv,Iwをセンサ値θを用いてd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqに変換する。そして、3相/2相変換部82は、演算した電流値Idを減算器84へ出力し、演算した電流値Iqを減算器85へ出力する。
電流指令生成部83は、モータ駆動装置100の外部に設けられたECUからトルク指令値TRを受け、回転数検出部81からモータ回転数MRNを受け、電圧センサ12から電圧Vmを受ける。そして、電流指令生成部83は、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、トルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するための電流指令Id*,Iq*を生成し、その生成した電流指令Id*を減算器84およびVq基準値マップ保持部90へ出力し、生成した電流指令Iq*を減算器85およびVq基準値マップ保持部90へ出力する。
減算器84は、電流指令Id*と電流値Idとの偏差ΔIdを演算し、その演算した偏差ΔIdをPI制御部86へ出力する。また、減算器85は、電流指令Iq*と電流値Iqとの偏差ΔIqを演算し、その演算した偏差ΔIqをPI制御部86へ出力する。
PI制御部86は、偏差ΔId,ΔIqに対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の電圧操作量であるd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを演算する。d軸電圧指令値Vdは、2相/3相変換部87へ出力される一方で、q軸電圧指令値Vqは、2相/3相変換部87および減磁率演算部94へ出力される。
2相/3相変換部87は、PI制御部86からの電圧指令値Vd,Vqを回転位置センサ70からのセンサ値θを用いて二相三相変換する。すなわち、2相/3相変換部87は、PI制御部86からの電圧指令値Vd,Vqおよび回転位置センサ70からのセンサ値θに基づき、周知のd−q軸逆変換式に従って永久磁石モータ60の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwを演算する。
つまり、2相/3相変換部87は、d軸およびq軸電圧指令値Vd,Vqをセンサ値θを用いて永久磁石モータ60の3相コイルに印加する電圧操作量Vu,Vv,Vwに変換する。そして、2相/3相変換部87は、電圧操作量Vu,Vv,VwをPWM生成部88へ出力する。
PWM生成部88は、電圧操作量Vu,Vv,Vwと、電圧センサ12からの電圧Vmとに基づいて信号PWM2を生成し、その生成した信号PWM2をインバータ40へ出力する。より具体的には、PWM生成部88は、電圧操作量Vu,Vv,Vwと、所定周波数の搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って、信号PWM2を生成する。このとき、搬送波の振幅は、電圧Vmの電圧レベルに応じて変化される。
インバータ40では、信号PWM2に従ってスイッチング素子Q3〜Q8がオンオフ制御されることによって、電圧操作量Vu,Vv,Vwに従った擬似交流電圧が、永久磁石モータ60のU相コイル、V相コイルおよびW相コイルにそれぞれ印加される。
Vq基準値マップ保持部90は、永久磁石モータ60の動作状態に対応したq軸電圧指令値の基準値Vqmを設定するためのマップを保持するとともに、現在の動作状態に応じて基準値Vqmを設定する。たとえば、永久磁石モータ60の動作状態は、電流指令Id*,Iqによって示される。すなわち、Vq基準値マップ保持部90は、電流指令Id*,Iqの組み合わせに対応してq軸電圧指令値の基準値Vqmを設定するためのマップを保持する。
この基準値Vqmは、永久磁石モータ60が減磁していない場合における、現在のモータ状態におけるq軸電圧指令値に相当する。たとえば、電流センサ50をはじめとする各センサの誤差を十分に較正した状態で実際にモータ駆動装置100を動作させる実機実験を行い、この際に、種々の電流指令Id*,Iq*の組み合わせに対して、フィードバック制御の結果得られたq軸電圧指令値(PI制御部86)を求めることによって、この実験結果に基づいてVq基準値マップを作成することができる。
そして、Vq基準値マップ保持部90は、電流指令生成部83から電流指令Id*,Iq*を受けると、この電流指令Id*,Iq*に対応する基準値Vqmをマップから抽出して、減磁率演算部94へ出力する。なお、永久磁石モータ60の動作状態として、電流指令Id*,Iqを用いるのは一例に過ぎず、他の変数(たとえば、永久磁石モータ60のトルクおよび回転数の組み合わせ等)に基づいてq軸電圧指令値の基準値Vqmを設定をすることも可能である。
減磁率演算部94は、q軸電圧指令値Vqについて、Vq基準値マップ保持部90からの基準値Vqmと、PI制御部86からの現在値Vqcとを受けるとともに、回転数検出部81からのモータ回転数MRNを受ける。そして、減磁率演算部94は、q軸電圧指令値の基準値Vqmおよび現在値Vq1と、モータ回転数MRNから求められる回転角速度とに基づいて、永久磁石モータ60の減磁率Ddmの推定演算を実行する。
ここで、図4を用いて、減磁率演算部94による減磁率の推定演算の詳細を説明する。
図4を参照して、永久磁石モータ60の磁石による電圧はq軸方向に現われる。したがって、この発明においては、d−q軸変換を用いて永久磁石モータ60を制御するときのq軸電圧指令値に基づいて永久磁石モータ60の減磁量を演算する。
図4を参照して、永久磁石モータ60の磁石による電圧はq軸方向に現われる。したがって、この発明においては、d−q軸変換を用いて永久磁石モータ60を制御するときのq軸電圧指令値に基づいて永久磁石モータ60の減磁量を演算する。
d−q軸変換を用いて永久磁石モータ60を制御する場合、q軸の電圧方程式は、次式のようになる。
Vq=ωLdId+RIq+ωΦ・・・(1)
ただし、ω:回転角速度、Φ:永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld:q軸のインダクタンス、R:電機子抵抗、Id:電機子電流のd軸成分、Iq:電機子電流のq軸成分である。なお、式(1)において、ωLdIdは、弱め界磁制御に用いられる項である。
ただし、ω:回転角速度、Φ:永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld:q軸のインダクタンス、R:電機子抵抗、Id:電機子電流のd軸成分、Iq:電機子電流のq軸成分である。なお、式(1)において、ωLdIdは、弱め界磁制御に用いられる項である。
図4の(a)は、減磁が生じていない場合を示し、図4の(b)は、減磁が生じている場合を示す。減磁が生じていない場合の電機子鎖交磁束Φ=Φmとすると、(1)式より、この場合のq軸電圧指令値Vqm♯は、下記(2)式で示される。
Vqm♯=ωLdId+RIq+ωΦm・・・(2)
一方、減磁が生じている場合の電機子鎖交磁束Φ=Φ1とし、q軸電圧指令値Vq=Vq1とすると、(1)式より、この場合のq軸電圧指令値Vq1は、下記(3)式で示される。
一方、減磁が生じている場合の電機子鎖交磁束Φ=Φ1とし、q軸電圧指令値Vq=Vq1とすると、(1)式より、この場合のq軸電圧指令値Vq1は、下記(3)式で示される。
Vq1=ωLdId+RIq+ωΦ1・・・(3)
図4の(a),(b)の各々では、電圧方程式に従って、左辺のq軸電圧と右辺の誘起電圧の和(ベクトル和)とが釣り合う様に、PI制御部86によるq軸電圧指令値Vqが決まることが示されている。すなわち、式(2),(3)のVqm♯およびVq1は、減磁が生じていない場合および減磁が生じている場合のそれぞれにおいて、フィードバック制御の結果得られる、PI制御部86によるq軸電圧指令値Vqに相当する。なお、一般的には、Id<0かつIq>0であるので、図4(a),(b)での表記にはこの電流極性が反映されている。
図4の(a),(b)の各々では、電圧方程式に従って、左辺のq軸電圧と右辺の誘起電圧の和(ベクトル和)とが釣り合う様に、PI制御部86によるq軸電圧指令値Vqが決まることが示されている。すなわち、式(2),(3)のVqm♯およびVq1は、減磁が生じていない場合および減磁が生じている場合のそれぞれにおいて、フィードバック制御の結果得られる、PI制御部86によるq軸電圧指令値Vqに相当する。なお、一般的には、Id<0かつIq>0であるので、図4(a),(b)での表記にはこの電流極性が反映されている。
そして、式(2)から式(3)を減算すると、下記(4)式が得られる。減磁が生じている場合、Φ1<Φmであるので、式(4)の右辺中の(Φm−Φ1)は、電機子鎖交磁束の変化量、すなわち、減磁量を表わす。
Vqm♯−Vq1=ω(Φm−Φ1)・・・(4)
式(4)の両辺を減磁の非発生時に対応するωΦmで除算することによって、下記(5)式が得られる。
式(4)の両辺を減磁の非発生時に対応するωΦmで除算することによって、下記(5)式が得られる。
(Vqm♯−Vq1)/ωΦm=(Φm−Φ1)/Φm・・・(5)
(5)式の右辺(Φm−Φ1)/Φmは、減磁の非発生時における電機子鎖交磁束Φmに対する減磁量(Φm−Φ1)の割合、すなわち減磁率に相当する。また、上述のように、Vq基準値マップ保持部90には、Vqm♯に相当するq軸電圧指令値がマップ値として格納されている。
(5)式の右辺(Φm−Φ1)/Φmは、減磁の非発生時における電機子鎖交磁束Φmに対する減磁量(Φm−Φ1)の割合、すなわち減磁率に相当する。また、上述のように、Vq基準値マップ保持部90には、Vqm♯に相当するq軸電圧指令値がマップ値として格納されている。
したがって、減磁率演算部94は、モータ回転数MRN(rpm)から求められる回転角速度ω(ω=2π・MRN/60)と、q軸電圧指令値Vqについての、Vq基準値マップ保持部90からの基準値VqmおよびPI制御部86からの現在値Vqcと、減磁の非発生時(永久磁石の常温状態)に予め測定した電機子鎖交磁束Φmとを用いて、下記(6)式に従って減磁率Ddmを演算することができる。
Ddm=(Vqm−Vqc)/ωΦm=・・・(6)
このように、この発明においては、d−q軸変換を用いて永久磁石モータ60を制御する場合のq軸電圧指令値に基づいて減磁率を推定演算することができる。
このように、この発明においては、d−q軸変換を用いて永久磁石モータ60を制御する場合のq軸電圧指令値に基づいて減磁率を推定演算することができる。
再び図1を参照して、減磁検出部95は、減磁率演算部94により演算された減磁率Ddmを、減磁率判定値設定部92により設定された減磁率判定値Admと比較することにより、Ddm>Admとなったときに、永久磁石モータ60に減磁が発生していると検出する。減磁検出部95は、減磁の検出時には減磁検出フラグFdmをオンする。一方で、Ddm≦Admのときには、減磁検出フラグFdmはオフされる。
減磁検出フラグFdmがオンされると、これ以上の永久磁石の温度上昇を抑制するための処置として、永久磁石モータ60への供給電流やモータ回転数MRNが制限される。あるいは、減磁検出フラグFdmのオンに応答して、外部へ警報を出力してもよい。
この発明において、減磁率判定値設定部92は、減磁率判定値Admを固定値とするのではなく、モータ回転数MRNに応じて可変に設定する。
ここで、図5を用いて、センサ誤差に起因する減磁率の演算誤差の特性について説明する。
図5を参照して、センサ誤差が重畳された状態でフィードバック制御が行われることにより、減磁が発生していなくてもq軸電圧指令の現在値Vqcが基準値Vqmから離れてしまう。すなわち、減磁が発生していなくても、(6)式によって演算される減磁率が大きくなってしまう。
センサ誤差は、代表的には、電流センサ50等のオフセット誤差であるため、基本的には白色雑音となる。このため、(6)式から理解されるように、減磁率の演算においては、高回転数領域になるほど、センサ誤差に起因する減磁率の演算誤差は相対的に小さくなる。
すなわち、図5に示されるように、同一のセンサ誤差に対する、減磁率演算部94によって演算された減磁率のぶれ量Ddm♯は、モータ回転数MRNの上昇に従って低下する。
図5の比較例では、モータ回転数MRNによらず減磁率判定値Admが固定される。このようにすると、センサ誤差の影響が大きくなる(Ddm♯が大きくなる)低回転数領域において減磁の誤検出が発生しないようなマージンを考慮して、減磁率判定値Admを決める必要がある。しかしながら、このようにすると、高回転数域において減磁の検出が遅れてしまうことが懸念される。一方で、高回転数域で減磁を確実に検出できるように減磁率判定値Admを下げると、低回転数域では、センサ誤差に起因するq軸電圧指令値の変化によって減磁を誤検出するおそれがある。
図6を参照して、この発明では、減磁率判定値設定部92は、減磁率判定値Admを、永久磁石モータ60の回転数MRNに応じて可変に設定する。具体的には、図6に示されるように、センサ誤差の影響が大きくなる低回転数領域では、減磁の誤検出を防止するために減磁率判定値Admが相対的に高く設定される一方で、センサ誤差の影響が小さくなる高回転数領域では、減磁を速やかに検出するために減磁率判定値Admを相対的に低く設定する。
このようにすると、永久磁石モータ60の低回転数領域では減磁の発生を誤検出することなく、かつ、高回転数領域では減磁の発生を速やかに検出することが可能となる。すなわち、永久磁石モータ60の動作状態を反映して減磁の発生を正確に検出することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、永久磁石モータでの減磁の検出に適用することができる。
1 電源ライン、2 アースライン、10 直流電源、11,12 電圧センサ、15〜17 各相アーム、20 コンバータ、30 コンデンサ、40 インバータ、50 電流センサ、60 永久磁石モータ、70 回転位置センサ、80,80♯ 制御装置、81 回転数検出部、82 3相/2相変換部、83 電流指令生成部、84,85 減算器、86 PI制御部、87 2相/3相変換部、88 PWM生成部、90 Vq基準値マップ保持部、92 減磁率判定値設定部、94 減磁率演算部、95 減磁検出部、100 モータ駆動装置、Adm 減磁率判定値、D1〜D8 逆並列ダイオード、Ddm 減磁率(演算値)、Ddm♯ 減磁率ぶれ量(演算値)、Fdm 減磁検出フラグ、Id*,Iq* 電流指令(d−q軸)、Id,Iq 電流値(d−q軸)、Iu,Iv,Iw モータ電流、L1 リアクトル、MRN モータ回転数、PWM1,PWM2 信号、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、TR トルク指令値、Vb 直流電圧、Vd,Vq 電圧指令値、Vm 電圧、Vq1 q軸電圧指令(減磁発生時)、Vqc 現在値(q軸電圧指令値)、Vqm♯ q軸電圧指令(減磁非発生時)、Vqm 基準値(q軸電圧指令値)、Vu,Vv,Vw 電圧操作量(3相)、Φ1 電機子鎖交磁束(減磁発生時)、Φm 電機子鎖交磁束(減磁非発生時)、ω 回転角速度。
Claims (1)
- 永久磁石モータのd−q軸変換を用いたフィードバック制御に従ってd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を設定するための制御部と、
前記永久磁石モータの減磁非発生時における、モータ状態値と前記q軸電圧指令値との間の予め求められた特性に従って、前記モータ状態値の現在値に基づいて前記q軸電圧指令値の基準値を設定するための基準値設定部と、
前記制御部により設定された前記q軸電圧指令値と、前記基準値設定部により設定された前記基準値との差を、前記永久磁石モータの回転角速度で除算する演算に基づいて、前記永久磁石モータの減磁率を推定するための減磁率演算部と、
前記永久磁石モータの回転数に応じて減磁率判定値を可変設定するための判定値設定部と、
前記減磁率演算部によって求められた前記減磁率が、前記判定値設定部により設定された前記減磁率判定値よりも高いときに、前記永久磁石モータでの減磁発生を検出するための減磁検出部とを備える、永久磁石モータの制御装置。
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