JP4779201B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期モータについて、センサレスでロータの電気角を検出し、運転を制御するモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
交流モータの一つとして、コイルに多相交流を流すことによって生じる回転磁界に同期してロータを回転させる同期モータがある。同期モータにより所望の回転トルクを得るためには、ロータの位置、即ち電気角に応じてコイルに流す多相交流を制御する必要がある。
【0003】
突極型の同期モータについては、電気角検出用のセンサを用いることなく、電気角を検出し、運転を制御する方法(以下、「センサレス制御」と称する)が提案されている。センサレス制御は、センサの故障が生じない点で信頼性が高い。
【0004】
回転中のセンサレス制御は、例えば、次式(1)(2)に示す電圧方程式に基づいて行われる。
Vd−R・Id−p(Ld・Id)+ω・Lq・Iq=0 ・・・(1);
Vq−R・Iq−p(Lq・Iq)−ω・Ld・Id−E=0 ・・・(2);
ここで、V…モータに印加される電圧値;
I…モータコイルに流れる電流値;
L…コイルのインダクタンス;
R…モータコイル抵抗;
ω…モータの電気角の角速度(モータの機械的な角速度に極対数を乗じて求められる値);
E…モータの回転によって生じる起電力;
p(Ld・Id)=d(Ld・Id)/dt;
をそれぞれ表している。なお、V,I,Lに付けられた添え字dおよびqは、それぞれの値がモータのいわゆるd軸、q軸方向の値であることを意味している。
【0005】
永久磁石型の三相同期モータは図3に示す等価回路によって表される。この等価回路において、モータの回転中心を通り、永久磁石の作る磁界に沿う方向を一般にd軸と呼ぶ。一方、ロータの回転面内においてd軸に直交する方向を一般にq軸と呼ぶ。また、図3の等価回路においてU相とd軸のなす角度がモータの電気角θに相当する。
【0006】
上述の電圧方程式(1)(2)は、電気角に誤差が含まれていなければ、d軸、q軸について常に成立する方程式である。しかしながら、センサレスでモータを制御する場合、まずモータの制御装置はある推定された電気角(図3におけるθcに相当)に基づいて上記方程式を演算する。このとき、演算結果には推定された電気角θcと現実の電気角θとの誤差角(図3におけるΔθ)に応じた演算誤差が生じる。つまり、算出された電流および電圧値を用いて上述の電圧方程式(1)(2)を計算すれば、本来は値0となるべき両方程式が0以外の値となる。この演算誤差は、誤差角Δθに対応して生じる。従って、この演算誤差に基づいて電気角の推定値を逐次修正することによって、センサレス制御を実現できる。
【0007】
但し、上述の制御方法は、各時点での電気角を0〜2π(rad)の範囲で一義的に特定するものではない。推定した電気角と真値との誤差角Δθを特定するに過ぎない。しかも、電圧方程式の演算誤差には、2つの誤差角Δθが対応するのが通常であり、誤差角Δθさえ0〜2πの範囲で一義的に特定するのが困難な状況にあった。従来は、±π/2の範囲内に誤差角Δθが収まっているものと仮定して制御が実行されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電圧信号や電流の検出値に対するノイズの影響、モータ運転中の不測の外乱によって、電気角の誤差は、±π/2の範囲を超えて生じることがある。一旦、このように大きな誤差が生じると、従来の制御、即ち誤差角Δθに応じた電気角の補正では、真値に至るまでに長時間かかっていた。場合によっては、電気角が真値に収束しないこともあった。
【0009】
このような大きな誤差が生じると、同期モータから要求トルクを出力し得ないばかりでなく、運転状態が不安定となり、異音や振動を生じていた。更に、電気角をπ(rad)ずれて認識、即ち、現実のロータのN極、S極の位置関係(以下、「極性」と呼ぶ)を逆に認識することにより、同期モータに逆トルクが発生することもあった。
【0010】
本発明はこれらの課題を解決するためになされ、電気角の大きな検出誤差に起因する制御の不安定性を緩和すること、即ち同期モータのセンサレス制御の信頼性を向上することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、ロータとコイルが巻回されたステータとを有する同期モータの運転をセンサレスで制御するモータ制御装置において、電圧印加回路、電流センサ、駆動制御手段、極性判定手段を備えるものとした。
【0012】
電圧印加回路は、同期モータのコイルに電圧を印加する回路である。電源およびスイッチング素子などのハードウェアが含まれる。電流センサは、印加された電圧に応じて前記コイルに流れた電流を検出するセンサである。高周波成分を除去するためのフィルタなども含まれる。
【0013】
駆動制御手段は、同期モータをセンサレスで制御するユニットである。電圧と電流との関係に基づいてロータの電気角の推定値に含まれる誤差を逐次補正しながら、その推定値に基づいて同期モータに駆動用の電圧を印加するよう電圧印加回路を制御する。同期モータの運転が開始された後は、電気角を0〜2πの範囲で一義的に特定する処理は実行されず、推定値に含まれる誤差を補正することによって推定値の誤差の発散を抑制する。
【0014】
極性判定手段は、同期モータの回転中に、所定のタイミングで、ロータの極性を判定するユニットである。ロータのN極、S極の電気的な位置関係が、電気角の推定値と整合しているか否かを判定する処理を行う。π(rad)を単位として電気角の推定値の正否を判定する手段とも言える。
【0015】
このユニットは、所定の判定用電圧を印加するように電圧印加回路を制御する判定用電圧印加手段と、電流センサで検出された電流の変化に基づいて、極性の判定を行う判定手段から構成される。従って、極性判定もセンサレスで行われる。N極、S極の電気的な位置に応じてコイルのインダクタンスが変化するため、特定相のコイルにN極が近い場合と、S極が近い場合とでは電圧に対する電流変化の様子が相違する。極性判定手段は、かかる物理的性質を利用して、ロータの極性判定を行うものである。
【0016】
電気角の推定値に±π/2を超える大きな誤差が含まれた場合には、極性の逆認識を招く。本発明では、極性判定手段の作用により、極性の正否を適宜判定することができる。従って、かかる大きな誤差が生じた場合でも、極性の正否、ひいては電気角検出の正否を速やかに判定することができ、制御の信頼性を向上することができる。なお、所定のタイミングとは、一定の周期としてもよいし、電気角の誤差が大きくなり制御が不安定になったタイミングとしてもよい。その他種々の設定が可能である。
【0017】
極性が誤って認識されていると判定された場合、種々の処理が適用可能である。一例として、駆動制御手段で極性判定の結果を反映して電気角の補正を行うことができる。こうすれば、速やかに制御を安定した状態に復帰させられる。別の例として、同期モータの運転を一旦停止し、制御をリセットしてから再始動するものとしてもよい。
【0018】
本発明において、駆動制御手段は、例えば、
所定の検出用電圧を印加するように前記電圧印加回路を制御する検出用電圧印加手段と、
前記電流センサで検出された電流値を用いた所定の演算により前記推定値と真値との誤差角を求める誤差角特定手段と、
該誤差角を反映させて前記推定値の補正を行う反映手段とを有する手段として構成することができる。
【0019】
ここで、所定の演算としては、同期モータのd軸方向の電流変化量ΔId、q軸方向の電流変化量ΔIqの多項式をパラメータとする比例項、積分項を含む演算式を適用できる。
【0020】
例えば、一定周期で誤差を反映した電気角の特定が行われる場合には、次式(3)を用いることができる。
θ=θ(n−1)+k1・PM+k2・ΣPM …(3);
ここで、
PM=α・ΔId+β・ΔIq;
ΔId=Id(n)−Idm;
Idm=Id(n−1)+t(Vd−R・Id(n−1)+ω・Lq・Iq(n−1))/Ld;
ΔIq=Iq(n)−Iqm;
Iqm=Iq(n−1)+t(Vq−R・Iq(n−1)−ω・Ld・Id(n−1)−E(n−1))/Lq;
ω=(k1・PM+k2・ΣPM)/t;
E(n)=E(n−1)−k3・ΔIq;
【0021】
α、βは任意の実数;
θ(n−1) は前タイミングにおける電気角の値;
Id(n)は現タイミングにおける磁化電流の値;
Idmは磁化電流のモデル値;
Id(n−1)は前タイミングにおける磁化電流の値;
Iq(n)は現タイミングにおけるトルク電流の値;
Iqmはトルク電流のモデル値;
Iq(n−1)は前タイミングにおけるトルク電流の値;
Ldは磁化電流の方向のインダクタンス;
Lqはトルク電流の方向のインダクタンス;
Rはコイルの抵抗値;
Eはコイルに生じる起電力;
Vdは磁化電流方向の電圧値;
Vqはトルク電流方向の電圧値;
tは演算の実行周期;
ωはモータの回転速度(rad/sec);
k1,k2,k3は係数;
【0022】
その他、先に示した電圧方程式(1)、(2)を時間差分形式に置き換えて得られる次式により電気角を求めるものとしてもよい。
【0023】
本発明における極性判定手段の具体的な態様を例示する。
第1の態様として、判定用電圧印加手段は、所定の相に対して、ロータの極性に応じて該相に磁気飽和を生じさせ得る大きさの前記判定用電圧判定用電圧を印加する手段とすることができる。同期モータがU相,V相,W相の三相を有する場合には、いずれかの相に判定用電圧を印加することになる。
【0024】
一般にN極が近い位置にあると各相に磁気飽和が生じやすくなり、インダクタンスが小さくなるから、電流値は比較的大きい。S極が近い位置にあると逆に電流値は比較的小さい。従って、第1の態様で判定用電圧を印加すれば、電流値の大小関係に基づいて極性を判定できる。
【0025】
この原理を利用した判定方法として、例えば、判定用電圧を正方向および負方向に交互に印加し、正方向に生じた電流と負方向に生じた電流との大小関係に基づいて極性を判定する方法が挙げられる。この方法では、後述する閾値のチューニングや記憶が不要となり、比較的容易に安定して極性判定を行うことができる利点がある。
【0026】
第1の態様では、前記判定用電圧の印加に先立って、前記コイルに流れる電流を磁気飽和が生じない範囲まで抑制することも望ましい。運転中にコイルに印加されている駆動用電圧によって、コイルに磁気飽和が生じている場合には、正負の判定用電圧に対する電流にほとんど差違が生じない場合がある。判定用電圧を印加する前に予め駆動用電圧による影響を抑制しておけば、かかる弊害なく安定して極性判定を行うことができる。抑制する電圧の印加には、駆動用電圧と逆電圧を印加する態様、駆動用電圧の指令値を下げる態様などが含まれる。後者の態様は、例えば、電圧の指令値を0にすることによって容易に実現できる。
【0027】
上述の原理を利用した別の判定方法として、判定用電圧を、各判定につき1回だけ印加し、それに応じて生じた電流と所定の閾値との大小関係に基づいて極性を判定してもよい。電圧の印加が1回で済むため、判定時間の短縮、判定用電圧の印加に伴う異音の低減を図ることができる。判定基準となる閾値は、極性が正しく認定されている時の電流値、誤認定されている時の電流値を実験等で求めておき、両者を踏まえて任意に設定すればよい。閾値は固定値としてもよいし、モータの回転数、トルク、電気角などのパラメータに応じて適宜変動させてもよい。
【0028】
閾値との比較で極性判定する場合において、その時点での電流を増大する方向に、判定用電圧を印加した場合を考える。通常の運転状態であれば、この電圧によって十分に極性判定が可能である。但し、要求トルクが高い場合など特定の運転時には駆動用電圧によって既に磁気飽和が生じている場合がある。かかる場合には、極性が正しく認定されているか否かに関わらず判定用電圧に応じて流れる電流値に差違がほとんど生じなくなり、極性判定の精度が低下する可能性がある。従って、判定用電圧は、極性判定を行う時点での電流を低減する方向に印加することが望ましい。この場合でも、判定用電圧は、極性が正しく認識されている場合と誤って認識されている場合とで電流に差が生じる程度の大きさに設定しておく。
【0029】
第1の態様において、判定用電圧を印加する相は、予め設定されている。いずれか一つの特定の相に固定してもよいし、モータの運転状態に応じて変化させてもよい。後者の場合は、例えば、電気角の推定値に応じて定めることができる。判定用電圧に応じて流れる電流は、電気角に伴って周期的に変化するため、電気角を用いることで極性判定に適した相を選択することができる。一般に各相電流の正負のピークに対応する電気角は、π(rad)ずれているため、極性判定の正誤に関わらず電気角に応じて適切な相を選択することが可能である。
【0030】
極性判定手段の第2の態様は、電気角に対し相対的に定まる所定方向に判定用電圧を印加し、極性正常時における電流変化の範囲から外れる電流変化が所定期間継続して現れた場合に極性異常と判定するものとできる。ロータの回転に応じて判定用電圧の印加方向も回転する点が第1の態様と相違する。
【0031】
極性判定電圧に対する電流変化は、極性が正常に認識されている時と異常認識されている時とで、有意差が現れることが多い。従って、正常時に検出されるはずの範囲を超える電流変化が所定期間に亘って検出された場合には、極性異常と判断することができる。所定期間とは、ノイズの影響によって一時的に異常な電流変化が現れる可能性を考慮したものである。かかる観点から、所定期間は、誤判定を回避可能な任意の期間を設定すればよい。
【0032】
極性判定手段の第3の態様は、電気角に応じて相対的に定まる少なくとも2方向に判定用電圧を印加し、該2方向それぞれで判定用電圧に応じて生じた電流変化の相違に基づいて極性を判定するものとできる。ロータの回転に応じて判定用電圧の印加方向も回転する点で第2の態様と共通する。電圧に対する電流の挙動は、電気角との相対的な方向に応じて2π周期で変動する。例えば、真値と認識されている電気角に対して、正負にΔθずらした2方向に電圧を印加すると、電流変化の方向が極性に応じて変動する。極性が正しく認識されている場合に2方向の電流変化の傾きが正であったとすれば、異常認識されている場合には傾きが負となる。第3の態様では、この電流変化の方向に基づいて、極性判定を行うことができる。2方向は、種々の設定が可能であり、いずれか一方を真値とされている電気角に一致させてもよい。
【0033】
判定用電圧が印加される2方向は、前記同期モータへの要求トルクに応じた方向としてもよい。即ち、要求トルクに応じて判定用電圧を印加する方向を変更してもよい。要求トルクに応じて、即ち駆動用電圧に応じてコイルに流れている電流は変わるから、それぞれ極性判定に適した方向を選択することにより、極性判定を安定して行うことができる。
【0034】
本発明のモータ制御装置においては、モータの運転状態に応じて極性判定方法を切り替えて使用してもよい。例えば、電気角の推定値に応じて定まる所定の相に対して判定用電圧を印加する第1の極性判定と、電気角に対し相対的に定まる所定方向に判定用電圧を印加する第2の極性判定とを同期モータの運転状態に応じて切り替えて使用してもよい。運転状態には、モータの回転数や要求トルクが挙げられる。モータの運転状態に応じて安定して極性判定可能な手法を使い分けることができ、制御の安定性、信頼性をより向上することができる。一例として、モータの要求トルクが低い場合に第1の極性判定を適用し、その他の場合に第2の極性判定を適用する方法が挙げられる。
【0035】
本発明は、上述のモータ制御装置の他、電気角検出装置、モータ制御方法、電気角検出方法など種々の態様で構成可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、実施例に基づき、以下の順序で説明する。
【0037】
A.装置の構成:
図1は実施例としてのモータ制御装置10の概略構成を示す説明図である。図2は制御対象となっている三相同期モータ40の概略構成を示す説明図である。まず、図2を用いて、三相同期モータ40の構造について説明する。この三相同期モータ40は、ステータ30とロータ50とからなる。ロータ50は、直交する位置に4箇所の突極71〜74を備える。また、突極71〜74の中間位置には、それぞれ永久磁石51〜54が貼付されている。永久磁石51〜54は、ロータ50の半径方向に磁化されており、その極性は隣り合う磁石同士が互いに異なる磁極となっている。例えば、永久磁石51は外周面がN極であり、その隣の永久磁石52は外周面がS極となっている。
【0038】
ステータ30は、計12個のティース22を備える。ティース22間に形成されたスロット24には、ステータ30に回転磁界を発生させるコイル32が巻回されている。
【0039】
永久磁石51により形成される磁束が、回転軸中心を通ってロータ50を径方向に貫く軸をd軸と呼び、ロータ50の回転面内において前記d軸に電気的に直交する軸をq軸と呼ぶ。d軸およびq軸はロータ50の回転に伴い回転する軸である。本実施例では、4つの永久磁石が用いられているため、d軸とq軸の幾何学的角度は45度である。
【0040】
図3に三相同期モータ40の等価回路を示す。等価回路は、U,V,Wの三相コイルと、回転軸中心回りに回転する永久磁石で表される。d軸はこの等価回路において永久磁石のN極側を正方向として貫く軸である。q軸は、幾何学的にd軸に直交する軸となる。電気角θはU相コイルを貫く軸とd軸との角度となる。
【0041】
モータ制御装置10は、インバータ130、バッテリ132、制御ユニット100、電流センサ102、103、フィルタ106、107、アナログディジタル変換器(ADC)112、113から構成されている。インバータ130はトランジスタのスイッチングによりバッテリ132を電源として三相交流を生じさせる。制御ユニット100は、内部にCPU、RAM,ROM等を備えるマイクロコンピュータである。制御ユニット100は、トルク指令値に応じた電流が流れるよう、電気角θに応じてインバータ130のスイッチングを制御し、三相同期モータ40を運転する。
【0042】
電気角θは、モータ40のコイル32に印加された電圧と、電流との関係に基づいてセンサレスで検出される。電流は、電流センサ102、103、フィルタ106、107、アナログディジタル変換器(ADC)112、113を用いて検出される。電流センサ102,103は、U相電流Iu、V相電流Ivを検出する。フィルタ106,107は、検出された電流の高周波ノイズを除去する。ADC112、113は、電流値をディジタルデータに変換する。なお、三相交流の各相に流れる電流の総和は常に値0であるから、W相の電流については検出を要しない。
【0043】
制御ユニット100からは、インバータ130に出力信号Vu,Vv,Vwが出力される。出力信号は、インバータ130の各相に設けられたトランジスタのスイッチングを制御する信号である。PWM制御によって、各相のトランジスタのスイッチング・デューティを制御することによって、所望電圧の三相交流をモータ40に印加することができる。
【0044】
B.ベクトル制御:
本実施例では、電流をベクトルとして扱うベクトル制御によってモータ30を制御している。ベクトル制御では、平面内の電流ベクトルは代表的な2方向の電流ベクトルの和で表される。本実施例では、d軸方向、q軸方向の電流をこの2方向として使用する。U,V,Wの各相に流れる電流Iu,Iv,Iwとd軸方向の電流Id、q軸方向の電流Iqとの変換は次式によって行われる。
【0045】
U,V相の電流Iu,Ivから電流Id、Iqへの変換(3相/2相変換);
Id=(−Iu・sin(θ−2π/3)+Iv・sinθ)・√2;
Iq=(−Iu・cos(θ−2π/3)+Iv・cosθ)・√2;
【0046】
電流Id、Iqから電流Iu,Iv,Iwへの変換(2相/3相変換);
Iu=(Id・cosθ−Iq・sinθ)・√(2/3);
Iv=(Id・cos(θ−2π/3)−Iq・sin(θ−2π/3))・√(2/3);
Iw= −Iu−Iv;
【0047】
C.モータ制御:
図4はモータ制御処理のフローチャートである。制御ユニット100のCPUが他の制御処理と共に周期的に実行するルーチンである。CPUはモータ40の制御目標となる要求トルク、回転数を入力し(ステップS10)、センサレスで電気角を検出し(ステップS100)、その電気角に基づいて電流制御処理を行う(ステップS200)。電流制御処理とは、トルクを生じさせる電流を電気角に応じてコイル32に流す処理である。CPUは、所定の極性判定タイミングにおいて、極性判定処理を行う(ステップS300,S302)。極性判定処理は、電気角がπ(rad)ほどずれて誤認識されていないかを判定する処理である。この処理は、極性の誤認識による制御の不安定化を回避するための処理である。
【0048】
極性判定タイミングは種々の設定が可能である。モータ制御処理を所定回数実行する度に1度してもよい。電気角の誤差に起因してトルク変動や異音が生じた時点で実行するものとしてもよい。所定期間トルク変動が継続して生じたタイミングで実行してもよい。
【0049】
極性が誤認識されていると判定された場合については、種々の処理が適用可能である。例えば、モータの制御処理をリセットしてもよい。モータの運転を停止してもよい。制御に用いられている電気角の極性を自動的に反転させて制御を継続してもよい。極性の誤認識によって制御が不安定になっていることを運転者等に報知するものとしてもよい。これらの処理は、別途、極性誤認識への対応処理を設けることにより実現される。
【0050】
D.電気角検出処理:
センサレスでの電気角検出(図4のステップS100)の処理内容について説明する。図5は電気角検出処理ルーチンのフローチャートである。この処理が開始された時点では、これまでに行ってきた制御に基づいてCPUは電気角をあるモデル値θcに推定している(図3参照)。コイル32には、要求トルクに応じた電流が流れている。
【0051】
この処理では、CPUはd軸、q軸方向に所定の検出用電圧を印加し、各方向の電流Id、Iqを検出する(ステップS102、S104)。電流Id,Iqは、U相電流、V相電流を2相/3相して得られる。座標変換は、モデル値としての電気角θcを用いて行われる。検出用電圧は、電圧値が既知であれば良く、駆動用の印加電圧を検出用電圧に兼用してもよい。
【0052】
こうして検出された電流値Id,Iqを用いて、CPUは先に示した式(3)に基づき、電流変化量ΔId、ΔIqを算出する(ステップS106)。式中の(n)および(n−1)は、電気角検出処理ルーチンが周期的に繰り返し実行されていることを踏まえて付されている。(n)は現在の処理中に検出された値、(n−1)は前回の処理時に検出された値を意味する。変数tは電気角検出処理ルーチンが実行される周期を用いる。Idm、Iqmは、磁化電流のモデル値であり、電気角が正しいものとして電圧方程式を計算することにより得られる電流の理論値に相当する。
【0053】
次にCPUは、ΔId、ΔIqの補正を行う(ステップS108)。先に示した式(3)はインダクタンスを一定値としているが、実際にはコイルに流れる電流による磁界の影響を受けてインダクタンスが非線形に変化する領域が存在する。上記補正は、この変化による影響をΔId、ΔIq側で相殺するために行われる。本実施例では、要求トルクと補正量との関係を表すテーブルを予め用意し、これを用いて補正するものとした。補正量は、実験的または解析的に求めることができる。
【0054】
こうして補正された電流変化量ΔId、ΔIqを用いて、CPUは先に示した式(3)に基づき電気角θ(n)を求める(ステップS110)。CPUは、次のステップで使用するωを算出する(ステップS112)。電気角θ(n)は、ΔIdとΔIqの多項式(α・ΔId+β・ΔIq)をパラメータPMとする比例項、積分項によって求められる。本実施例では、α=β=1、即ちPM=ΔId+ΔIqとした。上記α、βは種々の値を適用可能である。この算出方法には、演算が比較的容易であり、高速処理に適している利点がある。
【0055】
電気角は、その他種々の方法で求めることができる。パラメータPMを用いた演算式ではなく、次式によって電気角θ(n)を求めるものとしてもよい。
θ(n)=θ(n-1)+tE(n)/kk2+sgn・kk3・ΔId;
sgnはω>0のとき「+」であり、ω<0のとき「−」であることを意味する。モータが回転していることが前提であるため、ω=0である場合は考慮しない。kk2,kk3はkk1と同じく電気角の算出に用いられるゲインであり、実験的に定められるものである。
【0056】
なお、後に説明する極性判定処理において、極性が誤認識されていると判断された場合は、その後にステップS110を実行する際に極性を正す補正を行ってもよい。この補正は、例えば、電気角θにさらにπ(rad)を加えることにより実現できる。
【0057】
E.極性判定処理:
極性判定処理(図4のステップS302)は、以下に示す種々の態様のいずれかを選択して適用することができる。
【0058】
E1.第1態様の極性判定処理:
第1態様の極性判定について、判定原理を説明した後、具体的な処理方法について説明する。図6は電流による磁界も含めた外部磁界Hと磁束密度Bとの関係を示すグラフである。q軸についての関係を示した。曲線Cq上の各点における接線の傾きがインダクタンスLqに相当する。要求トルクが比較的小さい領域A(ポイントp1など)では、磁束密度が低く、インダクタンスは一定である。要求トルクが比較的高い領域B(ポイントp3など)では、曲線Cqが非線形となり、インダクタンスが小さくなる。インダクタンスが小さい程、コイルに流れる電流量が大きくなる。例えば、駆動電流によってコイルの磁束密度が点p2に相当する状態にあるときに、正方向の判定用電圧をさらに印加すれば、磁束密度は点p3に移行し、磁気飽和を生じる。負方向の判定用電圧を印加すれば、磁束密度は点p1に移行するため、磁気飽和は生じない。駆動電流による磁束密度が、領域A内のいずれかの点にあれば、十分な大きさの判定用電圧を印加することにより、正方向印加時にのみ磁気飽和を生じさせることができる。
【0059】
磁束飽和は、ロータの永久磁石による磁界の影響も受ける。極性判定が正しい場合には、永久磁石による磁界と判定用電圧による磁界との相互作用によって磁気飽和が生じる。極性判定が誤っている場合には、永久磁石による磁界が本来あるべき状態よりも弱い状態で判定用電圧を印加することになる。従って、正方向の電圧印加時でも磁気飽和は生じない。逆に、負方向に電圧を印加した時に、図6中の第3象限において非線形の領域に入ることになり、磁気飽和が生じる。従って、正方向および負方向への判定用電圧に対する磁気飽和現象の有無を検出することにより、極性判定を行うことができる。ここでは、q軸の磁気飽和を例示したが、各相ごとにみても同様の現象が生じる。
【0060】
第1態様の極性判定では、磁気飽和を利用して極性を判定する。図7は第1態様の極性判定の原理を示す説明図である。図の下段には、モータ40の運転中にU相に流れる交流の様子を示した。極性判定は、このように駆動電流が流れている状況下で、ごく短期間に行われる。上段には、極性判定時に印加される判定用電圧と電流を示した。コイルには、駆動用電圧に判定用電圧を重畳した電圧が印加される。
【0061】
図示する通り、判定用電圧は若干の時間をおいて、正方向、負方向の順に印加される。正方向の電圧に応じて、コイルに流れる電流は絶対値ΔI1だけ増加する。負方向の電圧に応じて、コイルに流れる電流は絶対値ΔI2だけ減少する。判定用電圧は、正方向に印加された時にコイルに磁気飽和を生じさせる程度の大きさに設定されているものとする。正方向の判定用電圧が印加されると、磁気飽和が生じ、インダクタンスが小さくなる。従って、この電圧に応じて正方向に生じる電流変化の絶対値ΔI1は比較的大きい。負方向に判定用電圧が印加された時は、磁気飽和を生じず、インダクタンスが大きい。従って、この電圧に応じて負方向に生じる電流変化の絶対値ΔI2は比較的小さい。なお、ここでいう電流変化とは、実測された電流の差違を意味しており、電気角の検出時に用いられる電流変化量、即ち先に示した式(3)に基づいて算出される値とは異なる。
【0062】
第1態様の極性判定では、電流変化ΔI1,ΔI2の大小関係に基づいて極性を判定する。極性が正しく認識されている場合には、正負の順で電圧を印加すると、「ΔI1>ΔI2」なる大小関係が得られる。極性が誤って認識されている場合には、正負の順に電圧を印加したつもりが、実際には負正の順に電圧が印加されたと同等の状態になる。従って、「ΔI1<ΔI2」なる大小関係が得られる。このように、検出された電気角に基づいて特定の相に正負の順に判定用電圧を印加した時、それに応じて生じる電流変化量ΔI1,ΔI2の大小関係によって、極性認識の正否を判定することができる。
【0063】
なお、図7では、電流のピーク値近傍で判定用電圧を印加する場合を例示した。駆動電流が値0となるタイミングで判定用電圧を印加した場合には、正負いずれの方向でも磁気飽和が生じない可能性がある。本実施例では、かかる原因による誤判定を回避するため、電気角に応じて判定用電圧を印加する相を切り替えている。換言すれば、電気角に応じて電流値がピーク値に近くなっている相を選択して、判定用電圧を印加するのである。もっとも、かかる相の切り替えは必ずしも必要ではなく、U,V,W相のいずれかに固定して極性判定を行うことも可能である。但し、相の切り替えを行えば、より安定して精度良く極性判定することができる利点がある。
【0064】
図8は電気角と電流変化量の関係を示すグラフである。各相にロータのN極が対向している時にコイルに磁気飽和が生じる程度の電圧を印加した場合の関係を示した。U相については、N極が対向する電気角0(rad)と、S極が対向する電気角π(rad)で電流変化量ΔIuに顕著な差違が生じる。W相については、N極が対向する電気角2π/3(rad)と、S極が対向する電気角5π/3(rad)で電流変化量ΔIwに顕著な差違が生じる。V相については、N極が対向する電気角4π/3(rad)と、S極が対向する電気角π/3(rad)で電流変化量ΔIvに顕著な差違が生じる。
【0065】
従って、電気角θに応じて、次の通り、判定用電圧を印加する相を切り替えることにより、極性判定を確実に行うことができる。
-π/6≦θ<π/6, 5π/6≦θ<7π/6 → U相;
π/6≦θ<π/2, 7π/6≦θ<3π/2 → V相;
π/2≦θ<5π/6, 3π/2≦θ<11π/6 → W相;
この関係を、図8中に併せて示した。極性が誤認識されている場合でも、判定用電圧を印加する相は変わらない。
【0066】
図9は第1態様の極性判定処理のフローチャートである。CPUは、図8に示した方法によって、判定用電圧を印加する相を電気角θに基づいて決定する(ステップS310)。こうして決定された相に対し、正方向に判定用電圧を印加して、電流変化量の絶対値ΔIpを検出する(ステップS312,S314)。次に、負方向に判定用電圧を印加して、電流変化量の絶対値ΔInを検出する(ステップS316,S318)。図7に例示した判定用電圧の印加に相当する処理である。電圧の大きさ、印加時間および正電圧を印加してから負電圧を印加するまでの間隔は、モータ40の定格等に応じて実験等により定められる。
【0067】
CPUは、こうして得られた2つの電流変化量の絶対値ΔIp、ΔInの大小関係に基づいて極性判定を行う(ステップS320)。先に説明した通り、「ΔIp>ΔIn」であれば、極性は正しく認識されていると判定される。「ΔIp<ΔIn」であれば、極性は誤認識されていると判定される。
【0068】
E2.第2態様の極性判定処理:
上述の第1態様では、2方向の電流変化量ΔIp、ΔInの大小関係に基づいて極性判定を行う場合を例示した。図8に示す通り、ΔIpが取りうる範囲と、ΔInが取りうる範囲は異なっている。従って、両者の中間に位置する閾値と、ΔIp、ΔInのいずれか一方とを比較することにより、極性判定を行うことも可能である。かかる場合の判定処理を第2態様として説明する。
【0069】
第2態様の極性判定処理は、第1態様の処理(図9)からステップS316,S318を省略した処理内容となる。第1態様では、ステップS320において、ΔIp、ΔInの大小関係に基づいて極性判定を行ったのに対し、第2態様では、ΔIpと所定の閾値との大小関係に基づいて極性判定を行う点で相違する。
【0070】
ここで、閾値の設定方法について説明する。図10は、極性認識の正誤に伴う電流変化の差違を示すグラフである。図9で示した処理によって選択された相に一定の判定電圧を印加した場合の実験結果を示した。図中の実線は極性が正しく認識されている場合、破線は極性が誤認識されている場合の結果を示している。電流変化は、トルク、回転数の影響を受けるため、代表的な回転数について各トルクに対する結果をプロットした。図示する通り、極性判定の正誤によって、電流変化には有意差が生じることが分かる。第2態様における閾値は、検出された電流変化に基づいて両者を判別する基準となる値である。従って、閾値は、各回転数およびトルクに対応する実線と破線に挟まれた領域内で任意に設定可能である。第2態様では、両者の中央値を閾値として設定した。
【0071】
図11は閾値の設定結果を示すグラフである。図示する通り、閾値Thは、トルクおよび回転数の関数として設定される。第2態様では、この設定結果を予めマップとして記憶しておく。検出された電流変化がこの閾値Thよりも大きい場合には極性が正しく認識されていると判断される。電流変化が閾値Thよりも小さい場合には極性が誤って認識されていると判断される。図11には、トルクおよび回転数が共に正の場合の設定結果を図示したが、両者の符号の組み合わせに応じて閾値Thを用意してもよい。
【0072】
第2態様の判定処理によれば、判定用電圧を1回印加するだけで極性判定をすることができる。従って、判定処理に要する時間を短縮することができる。また、判定用電圧の印加に伴う異音を抑制することもできる。
【0073】
第2態様では、相を切り換えて判定用電圧を印加する場合を例示したが、U,V,W相のいずれか特定の相に判定用電圧を印加するものとしてもよい。かかる場合には、判定用電圧を印加する際の電気角に応じて電流変化が影響を受けるため、閾値は回転数、トルクおよび電気角の関数として設定しておくことが望ましい。
【0074】
E3.第3態様の極性判定処理:
第2態様ではΔIpと閾値Thとの比較によって極性判定を行う場合を例示した。判定用電圧を印加する相を切り換える場合、ΔIpは、図7中におけるΔI1を利用することと同等である。つまり、電流が正のピーク時に正方向に判定用電圧を印加することになる。かかる判定では、例えば、要求トルクが比較的大きい場合など、駆動用電圧のみで既に磁気飽和が生じている場合に、極性判定の精度が低下する可能性がある。かかる場合には、極性判定の正誤に関わらず、判定用電圧に対しては磁気飽和が生じている時に相当する大きな電流変化が現れるからである。
【0075】
かかる弊害を回避するためには、駆動電流を抑制する方向に判定用電圧を印加することが有効である。例えば、第2態様の処理において、ΔIpに代えてΔInを用いればよい。これは、図9のフローチャートで、ステップS312,S314を省略した処理で実現される。この場合も第2態様と同様、電流変化と閾値との比較によって極性判定を行うことができる。第3態様では、極性が正しく認識されている場合には、磁気飽和が生じないため、電流変化は比較的小さくなる。極性がご認識されている場合には、磁気飽和が生じるため、電流変化は比較的大きくなる。判断基準となる閾値は、第2態様と同様の方法で設定可能である。
【0076】
第3態様の方法においても、相の切り替えを伴わず、特定の相に判定用電圧を印加するものとしてもよい。特定の相に流れる電流は、電気角に応じて正負が周期的に変化する。第3態様は、駆動電流を抑制する方向に判定用電圧を印加する。従って、各相に流れている電流の正負を検出し、この検出結果に基づいて判定用電圧の印加方向を切り換える。つまり、正方向に電流が流れている場合には負方向に判定用電圧を印加し、負方向に電流が流れている場合には正方向に判定用電圧を印加する。電流の流れる方向はπ(rad)周期で変化するから、判定用電圧の印加方向もπ(rad)周期で変化することになる。
【0077】
第3態様の極性判定によれば、磁気飽和が生じるほどの大きな駆動電流が流れている場合でも、精度良く極性判定を行うことができる利点がある。また、第2態様と同様、判定用電圧を1回印加するだけで極性判定することができる利点もある。
【0078】
E4.第4態様の極性判定処理:
図12は第4態様の極性判定の原理を示す説明図である。第4態様は、正負の順に判定用電圧を印加し、それに応じて生じる電流変化量の大小関係に基づいて極性判定を行う点で第1態様と共通する。但し、第4態様では、判定用電圧の印加前に駆動用電圧を0に低減する点で第1態様と相違する。
【0079】
図12には、極性判定時の電圧および電流の状態を示した。ここでは、コイルに実際に印加される電圧値を示した。図示する通り、t1までの時間では、駆動用の電圧がコイルに印加されている。また、コイルには、この電圧に応じた電流が流れている。
【0080】
時刻t1になると、極性判定を行うため、駆動用電圧を0とする。コイルに流れる電流はこれに伴い減衰する。電流が十分に減衰した時刻t2から、正負の順に判定用電圧を印加する。判定用電圧は、正方向の印加時に磁気飽和を生じさせる程度の大きさに設定されている。従って、正負それぞれの電流変化量ΔI11、ΔI12の大小関係に基づいて極性を判定することができる。極性判定が終了した後、時刻t3以降は、再び駆動電圧が印加される。
【0081】
図13は第4態様の極性判定処理のフローチャートである。第1態様の極性判定処理(図9)と異なる部分のみを示した。第4態様では、第1態様と同様の方法で判定用電圧を印加する相を決定した後(ステップS310)、コイルの電圧指令値を0にする(ステップS311)。こうしてコイルに流れる電流を十分に低減させた後、判定用電圧の印加を行う(ステップS312)。その後の処理は、第1態様(図9)と同じである。
【0082】
第4態様によれば、コイルの電流を十分に低減させてから判定用電圧を印加することにより、極性の誤判定を抑制することができる。要求トルクが比較的高い場合、駆動用電圧には磁気飽和に近い。かかる状態では、判定用電圧を負方向に印加した場合でも、磁気飽和が生じる可能性がある。第4態様では、極性判定前にコイルの電流を抑制するため、正負いずれか一方の印加時にのみ磁気飽和が生じ、確実に極性を判定することが可能となる。
【0083】
ステップS311における電圧指令値は、0に限定されない。正負いずれか一方に判定用電圧を印加した時にのみ磁気飽和が生じる程度にコイルの電流を抑制できる範囲の値を任意に用いることができる。
【0084】
なお、第1〜第4の態様において、判定用電圧を印加する相の決定は、電気角の推定値に基づいて行う場合を例示した(図8参照)。これに対し、U,V,W相にそれぞれ順次判定用電圧を印加し、極性判定に適した顕著な電流変化が現れた相を判定に使用するものとしてもよい。例えば、第1態様および第4態様では正負の判定用電圧に対する電流変化の差違が最も大きい相を選択することができる。第2態様、第3態様では、判定用電圧に対する電流変化が最大または最小となる相を選択することができる。この方法は、判定用電圧を3つの相にそれぞれ順次印加する必要があり、処理時間を要するという欠点はあるものの、電気角の推定誤差が比較的大きい場合でも、安定して極性判定を行うことができる利点がある。
【0085】
E5.第5態様の極性判定処理:
第5態様の極性判定処理の原理について説明する。図14は誤差角Δθとq軸電流の変化量ΔIqの関係を示すグラフである。要求トルク別に3種類を示した。曲線C1,C2,C3の順に要求トルクが低い。ΔIqは、電気角検出処理において式(3)に従って算出される値である。
【0086】
図示する通り、誤差角Δθが0(rad)近傍の領域PC1と、π(rad)近傍の領域PO1では、誤差角に対するΔIqの傾きが相違する。第5態様の極性判定では、傾きの相違に着目して極性判定を行う。なお、第5態様では、「誤差角」に対する傾きを利用するため、第1、第4態様と異なり、U相,V相,W相の切り替えを考慮する必要はない。
【0087】
図15はΔIqの傾きのばらつきを示す説明図である。一定の回転数、要求トルクで500回に亘り、極性正常時と異常時のΔIqの傾きを算出し、統計的に示した図である。正の傾きは、極性正常時の値である。負の傾きは、極性異常時の傾きである。運転中は、誤差角が変動するため、傾きにもばらつきが生じる。しかしながら、図示する通り、正常時と異常時の傾きは、正負で明確に区別される。従って、ΔIqの傾きの正負に基づき、極性の正否を判定することができる。
【0088】
図16は第5態様の極性判定処理のフローチャートである。この処理では、電気角θを2通りに変化させてそれぞれΔIqを求め、それらの値を用いて傾きを算出する。
【0089】
CPUは最初に電気角θに所定の誤差角Δθを加えた方向に検出用電圧を印加し(ステップS330)、生じた電流変化量ΔIq1を算出する(ステップS334)。次に、電気角θから所定の誤差角Δθを引いた方向に検出用電圧を印加し(ステップS336)、生じた電流変化量ΔIq2を算出する(ステップS338)。これらの処理は、それぞれ電気角検出処理のステップS102〜S106と同様の方法で行われる。
【0090】
こうして得られたΔIq1,ΔIq2を用いて、CPUは傾きΔItを算出する(ステップS340)。即ち、
ΔIt=(ΔIq1−ΔIq2)/(2Δθ);
である。そして、傾きΔItが正であれば極性は正しく認識され、負であれば極性は誤認識されていると判断する(ステップS342)。
【0091】
第5態様では、2回の検出用電圧を印加する場合を例示した。第5態様では、傾きΔItが算出であれば、電圧を印加する2方向は、任意に選択可能である。いずれか一方を電気角θ自体としてもよい。
【0092】
いずれか一方を電気角検出処理で印加された電圧およびΔIqで兼用することもできる。電気角検出処理で最初に想定されている電気角に敢えて2つの異なる誤差角を含ませてΔIqを算出するものとしてもよい。このように電気角検出処理を極性判定にも活用する場合には、誤差角は制御の不安定化を招かない範囲で設定することが望ましい。かかる範囲は、要求トルク、回転数、極性判定の実行周期などに依存するため、これらをパラメータとして誤差角を設定すればよい。
第5態様では、ΔIqを用いる場合を例示したが、ΔIdを用いても極性判定を行うことができる。
【0093】
E6.第6態様の極性判定処理:
第6態様では、電流変化量ΔIqの推移によって極性判定を行う。極性判定の原理を図14に基づいて説明する。
【0094】
電気角検出処理(図4のステップS100)において、図14中の点P1および点P2に相当する電流変化量ΔIqが検出された場合を考える。電気角検出処理では、誤差角が±π/2(rad)程度の範囲に収まっているものとして電気角の検出を行う。従って、電流変化量ΔIqに応じた誤差角は点P2相当と認識される。この誤差角が0となるように電気角を補正すれば、点P2は図中の矢印A1方向に移動する。これに伴って、電流変化量ΔIqは、徐々に低減する。
【0095】
極性が誤判定されている場合を考える。これは、CPUは点P2相当の状態と認識しているにも関わらず、実際には点P1相当の状態にある場合に相当する。CPUは点P2相当の誤差角に基づいて電気角を修正するから、現実の状態は点P1から図中の矢印A2方向に移動する。この結果、電流変化量ΔIqは、徐々に増加する。極性が誤判定されている場合には、電流変化量ΔIqの収束までに長期間を要する。第6態様では、かかる特定を考慮して、所定値以上の電流変化量ΔIqが長期間継続した場合に極性が誤認識されているものと判定する。
【0096】
図17は第6態様の極性判定処理のフローチャートである。CPUは、継続時間判定用の変数Tを0に初期化する(ステップS350)。次に、電気角θ方向に検出用電圧を印加し(ステップS352)、それに対する電流変化量ΔIqを算出する(ステップS354)。算出は、先に示した式(3)を用いて行われる。
【0097】
この電流変化量ΔIqが所定の値Th以下である場合には(ステップS356)、十分収束したものと判断され、極性判定フラグをオフにする(ステップS364)。即ち、極性は正しく認識されているものと判定する。閾値Thは、極性が正しく認識されている状況下での電流変化量ΔIqの変動範囲を考慮して任意の値に設定することができる。
【0098】
電流変化量ΔIqが閾値Thより大きい場合(ステップS356)には、極性が誤認識されている可能性があると判定される。従って、変数Tを所定値ΔTだけ増加する(ステップS358)。所定値ΔTは、ステップS352〜S358の繰り返し実行周期に相当する値である。
【0099】
変数Tが所定値Tthよりも大きい場合には(ステップS360)、電流変化量ΔIqが長期間収束しなかったものと判定し、極性判定フラグをオンにする(ステップS362)。つまり、極性が誤認識されているものと判定する。
【0100】
変数Tが所定値Tthに満たない場合には、ステップS352〜S358の処理を繰り返し実行する。電気角θには、実行の都度、電流変化量ΔIqを反映した補正が施される。
【0101】
所定値Tthは電流変化量ΔIqの収束期間の判断基準となる値である。極性が正常に認識されている場合に収束に要する時間を考慮して任意の値を設定可能である。所定値Tthは、ノイズの影響によって電流変化量ΔIqが一時的に大きな値となった場合の誤判定を回避できる程度の大きさに設定することが望ましい。
【0102】
第6態様の極性判定処理では、ステップS352、S354を電気角検出処理(図4のステップS100)で兼用することもできる。電気角検出処理では、電流変化量ΔIqが算出されるから(図5のステップS106参照)、この値を用いて極性判定をするものとしてもよい。第6態様において、電流変化ΔIdを用いることも可能である。
【0103】
E7.第7態様の極性判定処理:
図18は第7態様の極性判定処理のフローチャートである。第7態様の極性判定処理では、要求トルクに応じて2種類の極性判定処理を使い分ける。つまり、CPUは要求トルクが所定値Tch以下の場合には低トルク用極性判定処理を実行する(ステップS370,S372)。要求トルクが所定値Tchよりも大きい場合には高トルク用極性判定処理を実行する(ステップS370、S374)。
【0104】
低トルク用極性判定処理、高トルク用極性判定処理は、それぞれ第1〜第6態様の極性判定を任意に適用可能である。特に、低トルク用極性判定処理には、第1態様の処理を適用することが望ましい。第1態様の処理は、磁気飽和を利用している点で低トルク時に適した方法だからである。また、駆動用電圧を低下させずに極性判定を行うため、判定時に異音や振動が生じる可能性も低い。
【0105】
高トルク用極性判定処理には、第7態様または第6態様の処理を適用することが望ましい。これらの処理は、高トルク時により安定して極性判定を行うことができるからである。図14の曲線C3に着目する。これは要求トルクが比較的小さい場合の電流変化量ΔIqを表す曲線である。図中の領域PC3,PO3における電流変化量ΔIqの値およびその傾きは比較的小さい。これに対し、高トルク時の曲線C1では、顕著な差違が生じる。
【0106】
第7態様では、このように要求トルクに応じて2種類の極性判定方法を使い分けることにより、幅広い運転状態で安定して極性判定を行うことができる。なお、使い分けの判断基準となる所定値Tchは、2種類の判定方法の特性、即ち、極性判定精度、処理に要する時間等を考慮して、任意に設定可能である。
【0107】
以上で説明した本実施例のモータ制御装置によれば、極性判定処理を適宜行うことにより、ノイズ等の影響により、不測の誤差が生じた場合でも、その影響を抑制することができる。この結果、制御の信頼性、安定性を向上することができ、モータの異音、振動を抑制することができる。
【0108】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフトウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのモータ制御装置10の概略構成を示す説明図である。
【図2】制御対象となっている三相同期モータ40の概略構成を示す説明図である。
【図3】モータ40の等価回路を示す説明図である。
【図4】モータ制御処理のフローチャートである。
【図5】電気角検出処理ルーチンのフローチャートである。
【図6】電流による磁界も含めた外部磁界Hと磁束密度Bとの関係を示すグラフである。
【図7】第1態様の極性判定の原理を示す説明図である。
【図8】電気角と電流変化量の関係を示すグラフである。
【図9】第1態様の極性判定処理のフローチャートである。
【図10】極性認識の正誤に伴う電流変化の差違を示すグラフである。
【図11】閾値の設定結果を示すグラフである。
【図12】第6態様の極性判定の原理を示す説明図である。
【図13】第6態様の極性判定処理のフローチャートである。
【図14】誤差角Δθとq軸電流の変化量ΔIqの関係を示すグラフである。
【図15】ΔIqの傾きのばらつきを示す説明図である。
【図16】第7態様の極性判定処理のフローチャートである。
【図17】第6態様の極性判定処理のフローチャートである。
【図18】第7態様の極性判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
10…モータ制御装置
22…ティース
24…スロット
30…モータ
30…ステータ
32…コイル
40…三相同期モータ
50…ロータ
51〜54…永久磁石
71〜74…突極
100…制御ユニット
102,103…電流センサ
106,107…フィルタ
112,113…アナログディジタル変換器(ADC)
130…インバータ
132…バッテリ
Claims (9)
- コイルが巻回されたステータとロータとを有する同期モータの運転をセンサレスで制御するモータ制御装置であって、
前記コイルに電圧を印加する電圧印加回路と、
該印加された電圧に応じて前記コイルに流れた電流を検出する電流センサと、
前記電圧と電流との関係に基づいて該ロータの電気角の推定値に含まれる誤差を逐次補正しながら、該推定値に基づいて該同期モータに駆動用の電圧を印加するよう前記電圧印加回路を制御する駆動制御手段と、
前記同期モータの回転中に、所定のタイミングで、前記ロータの極性を判定する極性判定手段とを備え、
前記極性判定手段は、前記駆動用の電圧に加え所定の判定用電圧を正方向、負方向の順に重畳的に印加するように前記電圧印加回路を制御する判定用電圧印加手段と、
前記正方向に判定用電圧を印可したときにおける前記電流センサで検出された電流の変化量と、前記負方向に判定用電圧を印可したときにおける前記電流センサで検出された電流の変化量と、の大小関係に基づいて、極性の判定を行う判定手段を有するモータ制御装置。 - 前記駆動制御手段は、前記極性判定の結果をも反映した補正を行う手段である請求項1記載のモータ制御装置。
- 請求項1記載のモータ制御装置であって、
前記駆動制御手段は、
所定の検出用電圧を印加するように前記電圧印加回路を制御する検出用電圧印加手段と、
前記電流センサで検出された電流値を用いた所定の演算により前記推定値と真値との誤差角を求める誤差角特定手段と、
該誤差角を反映させて前記推定値の補正を行う反映手段とを有する手段であるモータ制御装置。 - 請求項3記載のモータ制御装置であって、
前記誤差角特定手段は、前記同期モータのd軸方向の電流変化量ΔId、q軸方向の電流変化量ΔIqの多項式をパラメータとする比例項、積分項を含む所定の演算式により前記誤差角を求める手段であるモータ制御装置。 - 前記判定用電圧印加手段は、所定の相に対して、前記ロータの極性に応じて該相に磁気飽和を生じさせ得る大きさの前記判定用電圧を印加する手段である請求項1記載のモータ制御装置。
- 請求項5記載のモータ制御装置であって、前記極性判定手段は、前記判定用電圧の印加に先立って、前記コイルに流れる電流を磁気飽和が生じない範囲まで抑制する電圧を印加する抑制電圧印加手段を備えるモータ制御装置。
- 請求項5記載のモータ制御装置であって、
前記判定用電圧印加手段は、前記判定用電圧を各判定につき1回だけ印加し、前記判定手段は、該判定用電圧に応じて生じた電流量と所定の閾値との大小関係に基づいて極性判定を行うモータ制御装置。 - 請求項7記載のモータ制御装置であって、
前記判定用電圧印加手段は、前記所定の相に流れている電流を低減する方向に前記判定用電圧を印加するモータ制御装置。 - 前記所定の相は、電気角の推定値に応じて定められている請求項5記載のモータ制御装置。
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