JP2007068354A - 永久磁石型回転電機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 演算負荷が過剰に増大することを抑制しつつ永久磁石の磁石温度を精度良く推定すると共に、推定した磁石温度に基づき永久磁石型回転電機の出力を適切に制御する。
【解決手段】 磁石温度推定部38は、ステータ巻線への通電時に、先ず、基準界磁電流マップ39に格納されている複数の電源電圧毎のマップデータの中から、電圧検出器43から出力されるバッテリ13の端子電圧VBに対応するマップデータを選択する。次に、選択したマップデータに含まれる複数の所定基準磁石温度Tm毎のマップデータの中から、トルクセンサ(図示略)により検出されるモータトルクTRQおよび角度演算部37から出力されるモータ回転数NMおよび3相−dq変換部36から出力されるq軸電流Iq_sに対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに対応する所定基準磁石温度Tmを磁石温度Tmagの推定値として設定する。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、誘起電圧を精度良く算出するためには、膨大な演算処理が必要となる虞があると共に、モータの運転時に誘起電圧算出のために相対的に高速の演算処理を実行する必要が生じ、制御処理の演算負荷が過剰に増大してしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、演算負荷が過剰に増大することを抑制しつつ永久磁石型回転電機に具備された永久磁石の磁石温度を精度良く推定することできると共に、推定した磁石温度に基づき永久磁石型回転電機の出力を適切に制御することが可能な永久磁石型回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
さらに、請求項2に記載の本発明の永久磁石型回転電機の制御装置によれば、単純な演算処理により容易かつ迅速に磁石温度を推定することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の永久磁石型回転電機の制御装置によれば、単純な演算処理により容易かつ迅速に磁石温度を推定することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明の永久磁石型回転電機の制御装置によれば、温度推定に要する演算処理が複雑化することを防止しつつ精度良く推定された磁石温度に基づき、永久磁石型回転電機の出力制限を迅速かつ的確に実行することができ、ロータの磁石温度が過度に増大して永久磁石の減磁が生じることを防止することができる。
この実施形態による永久磁石型回転電機の制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ(図示略)と、このロータを回転させる回転磁界を発生するステータ(図示略)とを備えて構成されている。
モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、バッテリ13を直流電源とするパワードライブユニット(PDU)21と、制御部22とを備えて構成されている。
PDU21は、例えばトランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ13が接続されている。
PDU21は、例えばモータ12の駆動時に、制御部22から出力される指令値(U相交流電圧指令値Vu,V相交流電圧指令値Vv,W相交流電圧指令値Vw)に基づき、バッテリ13から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のモータ12のステータ巻線への通電を順次転流させることで各電圧指令値Vu,Vv,Vwに応じたU相電流Iu及びV相電流Iv及びW相電流Iwをモータ12の各相へと出力する。
この制御部22は、例えば、指令値設定部31と、電流制御演算部32と、dq−3相変換部34と、相電圧制限部35と、3相−dq変換部36と、角度演算部37と、磁石温度推定部38と、基準界磁電流マップ39とを備えて構成されている。
そして、この制御部22には、モータ12の各相のステータ巻線に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを検出する少なくとも2つの相電流検出器41,42から出力される検出値(例えば、U相電流Iu,W相電流Iw)と、バッテリ13の端子電圧(電源電圧)VBを検出する電圧検出器43から出力される検出値と、モータ12のロータの磁極位置(位相角)を検出する回転センサ44から出力される検出信号と、外部の制御装置(図示略)から出力されるトルク指令値とが入力されている。
そして、第1加算部33aにおいてd軸電圧指令値Vdにd軸補償項Vdkを加算して得た値を、新たにd軸電圧指令値Vdとして設定し、第2加算部33bにおいてq軸電圧指令値Vqにq軸補償項Vqkを加算して得た値を、新たにq軸電圧指令値Vqとして設定する。
また、相電圧制限部35は、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqの合成スカラーS=(Vd2+Vq2)(1/2)を、少なくとも電圧検出器43から出力されるバッテリ13の端子電圧VBの検出値に基づく所定の最大相電圧(例えばPDU21からモータ12へ供給可能な最大電圧や、例えば図2(a),(b)に示す電圧VB/√6等)以下に制限するための制限指令を出力する。
すなわち、例えば図2(a),(b)に示すように、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqの合成スカラーS=(Vd2+Vq2)(1/2)が最大相電圧となるように電流のフィードバック制御(つまりベクトル制御)が実行されているモータ12の運転時において、磁石温度Tmagが上昇すると、誘起電圧定数Keが低下傾向に変化(例えば、Ke→Ke’へ変化)することに伴い、誘起電圧定数Keにモータ12の回転数Nを乗算して得た誘起電圧(Ke・N)が減少傾向に変化(例えば、Ke・N→Ke’・Nへ変化)する。この誘起電圧(Ke・N)の減少により、最大相電圧円上における動作点B(XB,YB)が変化(例えば、B(XB,YB)→B’(XB’,YB’)へ変化)し、界磁弱め電流Iqが減少傾向に変化(例えば、Iq=I・sinα→Iq’=I’・sinα’へ変化)する。なお、位相角α>位相角α’であって、正弦値sinα>正弦値sinα’である。
これにより、磁石温度推定部38は、ステータ巻線への通電時に、先ず、例えば図3に示す複数の所定の電源電圧毎のマップデータの中から、電圧検出器43から出力されるバッテリ13の端子電圧VBに対応するマップデータを選択する。
次に、選択したマップデータに含まれる複数の所定基準磁石温度Tm(例えば、0℃,…,120℃等)毎のマップデータの中から、トルクセンサ(図示略)により検出されるモータトルクTRQおよび角度演算部37から出力されるモータ回転数NMおよび3相−dq変換部36から出力されるq軸電流Iq_sに対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに対応する所定基準磁石温度Tmを磁石温度Tmagの推定値として設定する。
次に、ステップS02においては、3相−dq変換部36から出力されるq軸電流Iq_sつまり界磁弱め電流を取得する。
次に、ステップS03においては、角度演算部37により算出されるモータ回転数NMを取得する。
次に、ステップS04においては、例えばトルクセンサ(図示略)により検出されるモータトルクTRQを取得する。
そして、ステップS06においては、推定した磁石温度Tmagが所定閾値T0よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、外部の制御装置(図示略)から指令値設定部31に入力されたトルク指令値を所定値以下に制限して、この制限されたトルク指令値に応じてId指令Id_c及びIq指令Iq_cを設定し、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
しかも、ステータ巻線への通電時に取得する電源電圧VBおよびq軸電流Iq_sおよびモータ回転数NMおよびモータトルクTRQに対応した磁石温度Tmagを、基準界磁電流マップ39のマップデータから検索するという単純な演算処理により容易かつ迅速に推定することができ、精度良く推定された磁石温度Tmagに基づき、モータ12の出力制限を迅速かつ的確に実行することができ、磁石温度Tmagが過剰に増大して永久磁石の減磁が生じることを防止することができる。
次に、選択したマップデータに含まれる複数の所定基準磁石温度Tm(例えば、0℃,…,120℃等)毎のマップデータの中から、トルクセンサ(図示略)により検出されるモータトルクTRQおよび角度演算部37から出力されるモータ回転数NMおよび3相−dq変換部36から出力されるd軸電流Id_sに対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに対応する所定基準磁石温度Tmを磁石温度Tmagの推定値として設定する。
すなわち、ステップS12においては、3相−dq変換部36から出力されるd軸電流Id_sつまりトルク電流を取得する。
また、ステップS15においては、取得した電源電圧VBおよびd軸電流Id_sおよびモータ回転数NMおよびモータトルクTRQに対応した磁石温度Tmagを、基準トルク電流マップ49のマップデータから検索する。
12 モータ(永久磁石型回転電機)
31 指令値設定部(停止手段)
38 磁石温度推定部(磁石温度推定手段)
39 基準界磁電流マップ(データ記憶手段)
49 基準トルク電流マップ(データ記憶手段)
Claims (5)
- 界磁電流の界磁方向を界磁軸とし、該界磁軸に直交する方向をトルク軸とする回転磁束座標を用いたベクトル制御により、永久磁石を有するロータと該ロータを回転させる回転磁界を発生するステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石型回転電機を、前記ステータ巻線への通電が電源電圧に応じた最大電圧以下となるように制御して、回転駆動させる永久磁石型回転電機の制御装置であって、
前記ステータ巻線への通電時における界磁弱め電流量と、前記ステータ巻線への通電状態および複数の所定基準磁石温度に応じて予め設定された界磁弱め電流量とに基づき、前記通電時における前記永久磁石の磁石温度を推定する磁石温度推定手段を備えることを特徴とする永久磁石型回転電機の制御装置。 - 前記通電状態に係る状態量である前記永久磁石型回転電機のトルクおよび回転数および前記電源電圧と、前記複数の所定基準磁石温度とに応じて予め設定された前記界磁弱め電流量のデータを記憶するデータ記憶手段を備え、
前記磁石温度推定手段は、前記通電時における前記界磁弱め電流量と、前記通電時に検出された前記永久磁石型回転電機のトルクおよび回転数および前記電源電圧とに対応する前記所定基準磁石温度を前記データから検索して、前記通電時における前記永久磁石の磁石温度を推定することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石型回転電機の制御装置。 - 界磁電流の界磁方向を界磁軸とし、該界磁軸に直交する方向をトルク軸とする回転磁束座標を用いたベクトル制御により、永久磁石を有するロータと該ロータを回転させる回転磁界を発生するステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石型回転電機を、前記ステータ巻線への通電が電源電圧に応じた最大電圧以下となるように制御して、回転駆動させる永久磁石型回転電機の制御装置であって、
前記ステータ巻線への通電時におけるトルク電流量と、前記ステータ巻線への通電状態および複数の所定基準磁石温度に応じて予め設定されたトルク電流量とに基づき、前記通電時における前記永久磁石の磁石温度を推定する磁石温度推定手段を備えることを特徴とする永久磁石型回転電機の制御装置。 - 前記通電状態に係る状態量である前記永久磁石型回転電機のトルクおよび回転数および前記電源電圧と、前記複数の所定基準磁石温度とに応じて予め設定された前記トルク電流量のデータを記憶するデータ記憶手段を備え、
前記磁石温度推定手段は、前記通電時における前記トルク電流量と、前記通電時に検出された前記永久磁石型回転電機のトルクおよび回転数および前記電源電圧とに対応する前記所定基準磁石温度を前記データから検索して、前記通電時における前記永久磁石の磁石温度を推定することを特徴とする請求項3に記載の永久磁石型回転電機の制御装置。 - 前記磁石温度推定手段により推定された前記磁石温度が所定の閾温度を超えた場合には、前記永久磁石型回転電機の出力が所定値以下となるように制限あるいは前記永久磁石型回転電機の運転を停止する停止手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかひとつに記載の永久磁石型回転電機の制御装置。
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