JP5420006B2 - 同期機制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、同期機を駆動する電力変換手段を備えた同期機制御装置に関するものである。
周知のように、界磁として永久磁石を有する同期機をインバータ等の電力変換手段を有する同期機制御装置にて制御する際、同期機の電機子への通電等に起因する温度上昇に伴い、界磁の永久磁石の磁化の強さ、即ち磁束が減少する「減磁」と呼ばれる現象が発生し、更に許容温度を超えると温度が常温に下がっても磁束が減磁発生前の状態に戻らない「不可逆減磁」と呼ばれる現象が発生する。
このため、界磁として永久磁石を有する同期機を制御する際、少なくとも永久磁石の温度を不可逆減磁が発生する許容温度以下に抑制するように制御する必要がある。しかし、同期機の構造上のスペースの問題や周囲をケースで防護している等の理由により、温度検出器を永久磁石に直接取り付けることは困難であり、さらに、界磁として永久磁石を有する同期機の多くは回転子側の内部に永久磁石を有することが多く、温度検出器を取りつけることへの更なる大きな障害要因となっている。そのため、何らかの方法で永久磁石の温度、或いは永久磁石の温度と相関のある磁束を間接的に測定、或いは推定する技術が求められている。
このような課題の解決を図った同期機制御装置の一例として、インバータと電機子巻線との間において授受される電流を検出する電流センサ、電機子巻線の温度を検出して電機子巻線の抵抗値を補正するための温度センサ、界磁の磁極位置を検出するための磁極位置センサの各センサから得られた電流、温度、回転速度の各情報に基づいて、同期機(回転電機)のモデルと比例積分器で構成された磁束オブザーバにより界磁の永久磁石から電機子巻線に鎖交する磁束の値を取得するようにした従来の装置がある(例えば、特許文献1参照)。
同様な制御装置の他の例として、電機子巻線(ステータ巻線)への通電時に、先ず、基準界磁電流マップに格納されている複数の電源電圧毎のマップデータの中から、電圧検出器から出力されるバッテリの端子電圧に対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに含まれる複数の所定基準磁石温度毎のマップデータの中から、トルクセンサにより検出されるトルクおよび角度演算部から出力される回転数、及びq軸電流(後述する本願発明においては界磁電流を意味する)に対応するマップデータを選択し、選択したマップデータに対応する所定基準磁石温度を磁石温度の推定値として設定する磁石温度推定部を有する従来の装置がある(例えば、特許文献2参照)。
また、同様な制御装置の他の例として、同期機の回転速度、基本波電流又はその指令値、及び基本波周波数の整数倍の周波数を有する高調波電圧指令値に基づいて同期機の永久磁石による電機子鎖交磁束を演算し、電機子鎖交磁束に対する永久磁石温度のテーブルを参照して電機子鎖交磁束演算値に対する永久磁石の温度を推定するようにした従来の装置がある(例えば、特許文献3参照)。
さらに、同様な制御装置の他の一例として、永久磁石(型)同期電動機の入力電圧を検出する電圧検出器及び、電圧検出器の出力からq軸電圧を抽出して出力する電圧成分変換器、回転速度を検出する速度検出器を有し、設定記憶手段に永久磁石型同期電動機の一次抵抗を設定記憶し、d軸電流、q軸電流、q軸電圧、回転速度、設定記憶手段の一次抵抗
と磁束とから永久磁石型同期電動機の温度変化を推定する温度推定器を有する従来の装置がある(例えば、特許文献4参照)。
また、同期機に対する電圧指令や電機子電流等に基づいて、同期機の回転子位置を演算により推定する技術の例は、特許文献5、及び特許文献6に開示されている。
特開2010−110141号公報 特許第4652176号公報 特開2003−235286号公報 特許第4548886号公報 特許第4672236号公報 国際公開WO2010/109528号公報
特許文献1に示された従来の装置においては、磁束オブザーバにより界磁としての永久磁石から電機子巻線に鎖交する磁束の値を取得する際に、電機子巻線の温度を検出する温度センサに基づいて補正された電機子巻線の抵抗値を用いるため、電機子巻線の温度を検出するための温度センサを必要とし、制御装置の構成部品が必ず増えるといった課題がある。
特許文献2に示された従来の装置においては、トルク、回転数および電源電圧を含む多くのパラメータを磁石温度を変更しながら計測して磁石温度推定用の多くのマップデータを作成するため、これらのマップデータの作成に大きな労力を必要とする課題がある。
特許文献3に示された従来の装置においては、本来同期機の駆動に必要としない基本波成分の基本波周波数の整数倍の周波数を有する高調波電流を制御するため、この高調波電流が同期機の制御性能に影響を及ぼす可能性があるといった課題がある。
特許文献4に示された従来の装置においては、電圧成分もシビアに影響する方式であるため、電圧検出器を必要とし、制御装置の構成部品が増えるといった課題がある。また、この特許文献4には同期電動機の入力電圧を推定する旨の記載があるが、推定方法の詳細は開示されていない。
この発明は、従来の同機器制御装置における前述のような課題を解決するためになされたものであり、界磁としての永久磁石を有する同期機を駆動しながら、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、永久磁石の温度または磁束の値を高い精度で推定することが可能な同期機制御装置を提供することを目的とするものである。
この発明に係る同期機制御装置は、
界磁を構成する永久磁石を有する同期機に対して、電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段と、
前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段と、
制御指令に基づいて前記電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、
前記同期機の回転子位置を推定若しくは検出する位置検出手段と、
少なくとも前記電機子電流と前記電圧指令のうちの何れか一方に基づいて前記同期機の総電機子鎖交磁束の発生方向であるγ軸を推定する磁束推定器と、
前記回転子位置と前記推定した前記γ軸とに基づいて、前記電機子電流をγ軸とその直交方向であるδ軸からなるγ-δ軸上の電流へ座標変換し、前記制御指令と前記γ−δ軸上の電流とに基づいて、前記永久磁石の温度または磁束を推定する磁石状態推定手段と、
を備え、
前記磁石状態推定手段は、前記制御指令に対して、前記γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度または磁束との相関を示したマップ若しくは数式を有する磁石状態参照手段を備えている、ことを特徴とするものである。
この発明による同期機制御装置によれば、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、電圧変換手段の電圧出力精度の影響を受けにくい精度の良い永久磁石の温度または磁束を少ないマップデータで推定しながら同期機を駆動することができる。
この発明の実施の形態1による同期機制御装置を、同期機を含めて示すシステム構成図である。 この発明の実施の形態1による同期機制御装置の変形例を、同期機を含めて示すシステム構成図である。 界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図である。 この発明の実施の形態1による同期機制御装置における磁石状態推定手段の構成の一例を示す構成図である。 所定のd-q軸電流指令条件におけるγ-δ軸上の電流Iγ、Iδと永久磁石温度との関係を説明する特性図である。
界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図において、d-q軸電流指令が一定の条件下で基準状態と基準状態に対して減磁が生じた時のベクトル図の差異を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る同期機制御装置を、同期機を含めて示すシステム構成図である。 この発明の実施の形態2による同期機制御装置における電圧指令演算手段の構成の一例を示すシステム図である。 この発明の実施の形態2による同期機制御装置における磁石状態推定手段の構成の一例を示す構成図である。 所定の総電機子鎖交磁束指令Φ*、δ軸電流指令Iδ*条件におけるγ軸電流Iγと永久磁石温度との関係を説明する特性図である。
界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図において、総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とが一定の条件下で基準状態と基準状態に対して減磁が生じた時のベクトル図の差異を示す説明図である。 この発明の実施の形態3による同期機制御装置を、同期機含めて示すシステム構成図である。 この発明の実施の形態3による同期機制御装置の変形例を、同期機含めて示すシステム構成図である。 図13に示す制御指令生成器の構成の一例を示す構成図である。 図14に示す磁束指令生成器におけるδ軸電流指令Iδ*と磁束指令Φ*との関係を説明する概念図である。
図13に示す制御指令生成器の他の構成例を示す構成図である。 図16に示す磁束指令生成器におけるトルク指令τ0*と磁束指令Φ*との関係を説明する概念図である。 この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石温度推定器の構成の一例を示す構成図である。 この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石温度推定器の別の例を示す構成図である。 この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石状態参照手段においてγ-δ軸上の電流と永久磁石温度(磁束)との相関を示したマップあるいは数式を設ける制御指令の条件を表した一例を示す説明図である。
この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、永久磁石温度(磁束)の推定動作を行う速度範囲を示す説明図である。 この発明の実施の形態5による同期機制御装置における、界磁に永久磁石を有する同期機の無通電時のベクトル図である。 この発明の実施の形態6による同期機制御装置における、δ軸上の電流を零に制御した時のベクトル図である。 この発明の実施の形態6による同期機制御装置における、δ軸電流指令Iδ*またはトルク指令τ*と永久磁石の温度または磁束を推定する動作タイミングとのタイムチャートの一例を表す図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による同期機制御装置の構成、および各構成要素の機能について説明する。図1は、この発明の実施の形態1による同期機制御装置を同期機を含めて示すシステム構成図である。なお、この発明における同期機1は、界磁として永久磁石を有している。
まず、この発明の実施の形態1による同期機制御装置における同期機を駆動するために必要な構成について、電力変換手段の出力側から順に、電力変換手段の入力側となる電圧指令の生成までの流れを説明する。図1に於いて、界磁としての永久磁石を有する同期機1は、この発明の実施の形態1による同期機制御装置により制御される。この同期機制御装置は、入力側が電源12に接続され出力側が同期機1の電機子巻線に接続された電力変換手段2と、同期機1の電機子電流を検出する電流検出手段3と、電圧指令演算手段4と、位置検出手段5と、磁束推定器6と、磁石状態推定手段7と、第1の座標変換器11aと、第2の座標変換器11bとを備える。
電源12は、直流電圧を出力する電源あるいは電池により構成される。単相あるいは三相の交流電源から周知のコンバータによって直流電圧を得るようにした装置は、電源12の概念に含まれる。電力変換手段2は、周知のPWM(Pulse Width Modulation:パルス
幅変調)制御されるインバータを含み、入力側に接続された電源12からの直流電力を多相交流電力に変換し、その多相交流電力を同期機1の電機子巻線に供給する。更に詳しく述べれば、電力変換手段2は、後述する電圧指令演算手段4により得られる電圧指令、厳密には電圧指令演算手段4から出力される電圧指令を座標変換した多相交流電圧指令、に基づく多相交流電圧を発生し、その多相交流電圧を同期機1の電機子巻線に印加して同期機1を駆動する。その結果、同期機1の電機子巻線に出力電流が発生する。この電機子巻線に発生する出力電流を以下、電機子電流と表記する。
同期機1の出力電流である電機子電流は、電流センサ等により構成された電流検出手段3によって検出される。電流検出手段3は、同期機1が三相同期回転電機である場合、同期機1の三相の電機子電流iu、iv、iwの、全相の電機子電流を検出する構成、あるいは、1つの相(例えばw相)の電機子電流iwについては、検出した他の2つの相の電機子電流iu、ivを用いて[iw=−iu−iv]の関係から求めるようにして、2つ
の相の電機子電流を検出するようにした構成であっても良い。なお、電流検出手段3は、同期機1の各相の電機子電流を直接検出する電流センサ等による構成以外に、電源12と電力変換手段2との間を流れるDCリンク電流から電機子電流を検出する周知の技術を用いたものであっても良い。
位置検出手段5は、周知のレゾルバやエンコーダ等により構成され、同期機1の回転子位置θを検出する。ここで、同期機1の回転子位置θとは、u相電機子巻線を基準にした軸に対する、界磁を構成する永久磁石のN極方向の角度を意味するものであり、一般的に、同期機1の回転速度(電気角周波数ωとする)で回転する回転二軸座標(以下、d-q軸と表記する)のd軸は、前述の永久磁石のN極方向に定め、q軸は、そのd軸に対して90°進んだ直交方向に定める。下の説明もこれに従う。
図2は、この発明の実施の形態1による同期機制御装置の変形例を同期機を含めて示すシステム構成図である。前述の図1における位置検出手段5は、周知のレゾルバやエンコーダ等を用いて同期機1の回転子位置θを検出するようにした例であるが、図2に示す同期機制御装置は、周知の適応オブザーバ等を適用して電圧指令や電機子電流等に基づいて回転子位置θを演算により推定するようにした位置検出手段5aを備えている。この位置検出手段5aの構成は、例えば特許文献5、若しくは特許文献6に示されている構成で実現可能であることから、ここでは説明は省略する。なお、図1と図2の差異は、位置検出手段5(5a)に係る箇所のみであり、その他の構成は同一である。
座標変換器11aは、同期機1の電機子電流iu、iv、iwを回転子位置θに基づいて下記の式(1)による演算により、d-q軸上の電流Id、Iqへ変換する。
Figure 0005420006
電圧指令演算手段4は、d-q軸上の電流Id、Iqを所望の制御指令(ここでは電流
指令Id*、Iq*)に一致させるようにd-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を出力する。
電流フィードバック制御を行う場合は、d-q軸上の電流指令Id*、Iq*とd-q軸上の電流Id、Iqとの偏差に基づいて、下記の式(2)による比例積分制御(PI制御)を行い、d-q軸上の電圧指令(電流フィードバック制御指令)Vd*、Vq*を生成する。
Figure 0005420006
ここで、Kpdは電流制御d軸比例ゲイン、Kidは電流制御d軸積分ゲイン、Kpqは電流制御q軸比例ゲイン、Kiqは電流制御q軸積分ゲイン、sはラプラス演算子である。なお、ラプラス演算子sの逆数1/sは1回の時間積分を意味する。
ただし、高速駆動時のような同期機1の回転速度(電気角周波数)ωに対して電力変換
手段2、例えば周知のPWM制御インバータ、のキャリア周波数の比が小さい場合等、同期機1の各相に印加される交流電圧の1周期に対する電力変換手段2のスイッチング素子のスイッチング回数が少なくなると、同期機1の電流を所望の電流指令に追従させるために必要な電圧指令の更新が行えず、電流フィードバック制御を行うことが困難となる。このような場合には、電圧フィードフォワード制御を行えば良い。電圧フィードフォワード制御を行うためには、図1若しくは図2には電圧指令演算手段4の入力として記載されていない回転速度ωを、電圧指令演算手段4へ入力する必要がある。回転速度ωは、位置検出手段5若しくは5aで検出した回転子位置θを用いて微分演算を行うことで得られる。
電圧フィードフォワード制御を行う場合は、d-q軸上の電流指令Id*、Iq*、回転
速度ω、永久磁石磁束Φmに基づいて、下記の式(3)によりd-q軸上の電圧指令(電
圧フィードフォワード制御指令)Vd*、Vq*を生成する。
Figure 0005420006
ここで、Ldはd軸方向のインダクタンス(以下、d軸インダクタンスと表記する)
、Lqはq軸方向のインダクタンス(以下、q軸インダクタンスと表記する)、Rは抵抗(同期機1の電機子巻線の抵抗が主であり、同期機1と電力変換手段2との間の配線抵抗の影響が無視できないくらいに大きい場合は、この配線抵抗も考慮した抵抗値とする)である。
なお、式(3)の永久磁石磁束Φmにおいては、駆動開始時は基準値等の所定の値としておき、この発明の実施の形態1による同期機制御装置を実施することで得られる永久磁石磁束推定値Φmagを新たなΦmとして再帰的に逐次更新しても良い。
式(3)では、その演算に用いているd-q軸電流は全て指令値Id*、Iq*であるが
、これに代えて、d-q軸上の電流Id、Iq、あるいは、Id*とIdとの平均値と、Id*とIdとの平均値とを用いても良い。
また、通常時は電流フィードバック制御のみ、あるいは電流フィードバック制御と電圧フィードフォワード制御との併用とし、電流フィードバック制御が困難な運転条件では、電流フィードバック制御を無効とし、電圧フィードフォワード制御のみを行うような構成としても良い。
電圧指令演算手段4から出力されるd-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*は、座標変換器
11bにおいて下記の式(4)による演算により、回転子位置θに基づいて電圧指令vu*、vv*、vw*に変換された上で、電力変換手段2に出力される。
Figure 0005420006
ただし、(4)式において電流検出手段3で検出された電機子電流iu、iv、iwの値に基づく制御演算が電力変換手段2から出力される電圧vu、vv、vwに反映されるまでの制御演算遅れ時間(無駄時間)を考慮し、回転子位置θに対し、前記制御演算遅れ時間に基づく位相補正量Δθd1の分だけ補正した位相で座標変換しても良い。
電力変換手段2は、前述の通り、電圧指令vu*、vv*、vw*に基づいて周知のPW
M制御方式等により同期機1に電圧vu、vv、vwを印加する。
以上が、この発明の実施の形態1による同期機制御装置において、同期機1を駆動するために必要な構成である。次に、この発明の実施の形態1による同期機制御装置の特徴である、同期機1が界磁として有している永久磁石の温度または磁束量を推定するために必要な構成である磁束推定器6と磁石状態推定手段7について説明する。
磁束推定器6は、少なくともd-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*に基づいて総電機子鎖
交磁束Φの発生方向であるγ軸を推定、具体的には、d軸に対して、推定した総電機子鎖交磁束(ベクトル)Φの方向のなす角度∠Φ0を推定する。総電機子鎖交磁束Φとは、前述の永久磁石が生成する磁束(以下、永久磁石磁束と称する)Φmと前述の電機子電流が生成する磁束(電機子反作用磁束)Φaとの合成磁束のことであり、この発明の実施の形態1では、前述のγ軸に対して90°進んだ直交方向をδ軸とする。
図3は、界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図であり、前述のγ-δ軸と、d軸
に対して総電機子鎖交磁束Φの方向のなす角度∠Φ0との関係等を示している。前述の角度∠Φ0を演算する好適な一手法として、d-q軸上の電流Id、Iqと総電機子鎖交磁
束Φのd軸成分Φd、同q軸成分Φqとの関係式である下記の式(5)により、Φd、Φqを求め、求めたΦd、Φqから下記の式(6)に基づいて∠Φ0を演算する。
Figure 0005420006
Figure 0005420006
なお、式(5)の演算に用いるd-q軸インダクタンスLd、Lqは、磁気飽和のため
に電機子電流により値が変化することが知られており、例えばd-q軸上の電流Id、I
qとd-q軸インダクタンスLd、Lqとの関係を数式あるいはテーブルの形で記憶して
おき、電流に応じて変化させることにより、インダクタンス変動による磁束推定の誤差を低減できるような構成としても良い。
また、永久磁石磁束Φmにおいては、温度によって逐次変化していくことから、駆動開始時は基準値等の所定の値としておき、この発明の実施の形態1による同期機制御装置を実施することで得られる永久磁石磁束推定値Φmagを新たなΦmとして再帰的に逐次更新する。
また、前述の角度∠Φ0を演算する別の好適な一手法として、d-q軸上の電圧Vd、
Vqと、総電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd、同q軸成分Φqとの関係式である下記の式(7)式により、Φd、Φqを求め、求めたΦd、Φqから前述の式(6)に基づいて角度∠Φ0を演算する。
Figure 0005420006
ただし、この発明の実施の形態1における図1、図2の構成では、d-q軸上の電圧V
d、Vqの実際の値が不明であるため、d-q軸上の電圧Vd、Vqに代えてd-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を用いる。その際、同期機1の駆動開始前においてd-q軸上の電
圧指令Vd*、Vq*が0であり、[Φd=Φq=0]となることから、同期機1の駆動開始における総電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φdの初期値として、基準値等の所定の永久磁石磁束Φmを与える。
また、図1若しくは図2には磁束推定器6の入力として記載されていない回転速度ωを、磁束推定器6へ入力する必要があることから、前述の同様に位置検出手段5若しくは5aで検出した回転子位置θを用いて微分演算を行うことで回転速度ωを得る。前述の式(7)において、電流の変化が緩やかであると仮定してラプラス演算子sを含む項は無視しても良い。
抵抗Rの扱いにおいても、同期機1の温度によって抵抗値が変化することから、同期機1の温度を検出して抵抗Rの値を補正しても良く、さらに、抵抗Rに係る項がその他の項に比較して小さい場合には、これを含む項を無視し、前述の角度∠Φ0演算において同期機1の電機子電流に関する情報を用いずに演算の簡素化を図るようにしても良い。
図4は、この発明の実施の形態1による同期機制御装置における磁石状態推定手段の構成の一例を示すシステム構成図である。この発明の実施の形態1による同期機制御装置の特徴に一つである磁石状態推定手段7は、図4に示すように、座標変換器11cと磁石温度推定器71とで構成し、ある所定の制御指令(ここでは、所定のd−q軸電流指令Id*、Iq*)を与えた時にγ−δ軸上の電流Iγ、Iδに基づいて永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
座標変換器11cは、d-q軸上の電流Id、Iqを磁束推定器6で求めた角度∠Φ0
に基づいて下記の式(8)によりγ-δ軸上の電流Iγ、Iδへ変換する。d-q軸上の電流Id、Iqに代えてd-q軸上の電流指令Id*、Iq*をγ-δ軸上の電流Iγ、Iδへ変換しても良い。
Figure 0005420006
なお、式(8)による変換で得られるγ軸電流Iγが同期機1の総電機子鎖交磁束Φを操作する磁化電流に、δ軸電流Iδが同期機1のトルク発生に寄与するトルク電流にそれぞれ相当する。
磁石温度推定器71は、所定のd-q軸電流指令Id*、Iq*を与えた時の温度変化に
伴うγ-δ軸上の電流Iγ、Iδと永久磁石温度(推定値)Tmagとの関係を示すマッ
プ若しくは数式を記憶しておき、IγまたはIδが入力されるとそのマップ若しくは数式を参照して、永久磁石温度推定値Tmagを出力する。これらのマップあるいは数式は、同期機1の特性(インダクタンス変化や磁石減磁特性)が予め解析等で判明している場合は、同期機1の特性データを用いて予め求めておき、判明していない場合は実測により特性データを採取すれば良い。
図5は、所定のd-q軸電流指令条件におけるγ-δ軸上の電流Iγ、Iδと永久磁石温度との関係を説明する特性図であり、所定のd-q軸電流指令条件(例えば、Id*:0[A]、Iq*:600[A])におけるγ-δ軸上の電流Iγ、Iδと永久磁石温度との関係の一例を示している。図5の(A)は、横軸にγ軸電流Iγを、縦軸に永久磁石温度(推定値)Tmagをとり、γ軸電流Iγに対する永久磁石温度Tmagの特性を示している。図5の(B)は、横軸にδ軸電流Iδを、縦軸に永久磁石温度(推定値)Tmagをとり、δ軸電流Iδに対する永久磁石温度Tmagの特性を示している。
図5の(A)または(B)の特性図のうちの少なくても一方があれば、例えばd-q軸
電流指令をId*:0[A]、Iq*:600[A]に設定して同期機1を駆動することで永久磁石温度Tmagを推定することができる。
図4の構成では、磁石状態推定手段7の出力は永久磁石温度推定値Tmagとなっているが、永久磁石温度推定値Tmagと永久磁石磁束推定値Φmagとの間には相関があり、この相関関係を把握しておくことで、磁石状態推定手段7の出力を永久磁石磁束推定値Φmagにすることも可能である。例えば、温度上昇10℃に対して1[%]の割合で減磁が発生する永久磁石の場合、基準となる温度をT0、温度T0の時の(基準)永久磁石磁束をΦm0とした場合、永久磁石温度推定値Tmagと永久磁石磁束推定値Φmagとの関係は下記の式(9)となる。
Figure 0005420006
次に、所定のd-q軸電流指令Id*、Iq*を与えた時にγ-δ軸上の電流Iγ、Iδに基づいて永久磁石温度Tmagを推定する原理について説明する。図6は、界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図において、d-q軸電流指令が一定の条件下で基準状態と
基準状態に対して減磁が生じた時のベクトル図の差異を示す説明図であり、図6の(A)
は、基準状態、すなわち、永久磁石に減磁が生じていない時のベクトル図、図6の(B)は、図6の(A)を基準とし、制御指令、すなわち、この実施の形態1においては所定のd-q軸電流指令Id*、Iq*が一定(所望に制御されているとの前提でd-q軸電流Id、Iqも一定)の定常状態において、同期機1の温度上昇に伴う永久磁石の減磁(ΔΦmag分の磁石磁束の低下)が発生した時のベクトル図である。
図5に示すように、減磁により総電機子鎖交磁束Φの向き、すなわちγ軸の向きが変化するため、d-q軸電流Id、Iqが一定に保たれていたとしても、d-q軸電流Id、Iqをγ-δ軸上に座標変換すると、減磁前後でγ-δ軸電流Iγ、Iδに変化が生じ、このγ-δ軸電流Iγ、Iδの変化を捉えることで、永久磁石磁束Φmagの変化、すなわち
永久磁石温度Tmagの変化も捉えられる。
以上述べたこの発明の実施の形態1による同期機制御装置によれば、永久磁石に直接温度検出器を取り付ける必要は無く、かつ、電圧情報ではなくγ-δ軸上の電流Iγ、Iδ
に基づいて同期機1の永久磁石温度(または磁束)を推定することから、電圧変換手段2の電圧出力精度(例えば、インバータのデッドタイムに起因する電圧誤差)の影響を受けにくく、精度良く永久磁石の温度または磁束を推定できる効果がある。
また、少なくともマップデータが1種類あれば、これらの推定ができ、少ないマップデータで永久磁石温度または磁束を推定できる効果がある。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による同期機制御装置について説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係る同期機制御装置を同期機を含めて示すシステム構成図である。前述の実施の形態1では、制御指令としてd-q軸上の電流指令Id*、Iq*を与える形
態としたが、実施の形態2では、制御指令として総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指
令Iδ*とを与える形態とした。また、特に図示していないが、実施の形態2においても図2に示したような推定演算により回転子位置θを得る位置検出手段5aを備える構成でも良い。
以下、実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、同一部分については、適宜説明を省略する。まず、実施の形態2において同期機1を駆動するために必要な構成について、電機子電流iu、iv、iwを回転子位置θに基づいて前述の式(1)の演算によりd-q
軸上の電流Id、Iqへ変換する処理以降、電力変換手段2の入力側となる電圧指令の生成までの流れを説明する。
図7において、磁束推定器6aは、実施の形態1で示したd軸に対する推定した総電機子鎖交磁束Φの方向のなす角度∠Φ0を推定する動作に加え、総電機子鎖交磁束Φの大きさ|Φ|とu相電機子巻線を基準にとった軸に対する推定した総電機子鎖交磁束Φの方向のなす角度∠Φ(以下、総電機子鎖交磁束Φの位相と表記)とを求める。具体的には、実施の形態1に示した方法で、総電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd、同q軸成分Φqを推定し、下記の式(10)、および式(11)に基づいて、総電機子鎖交磁束Φの大きさ|Φ|と位相∠Φとを求める。
Figure 0005420006
Figure 0005420006
図8は、この発明の実施の形態2による同期機制御装置における電圧指令演算手段の構成の一例を示すシステム図である。図8に示すように、電圧指令演算手段4aは、γ軸電流指令生成器41と、γ-δ軸電圧指令生成器42とで構成し、総電機子鎖交磁束Φとδ
軸電流Iδとを所望の制御指令、ここでは総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*、に一致させるようにγ-δ軸上の電圧指令Vγ*、Vδ*を出力する。
γ軸電流指令生成器41は、総電機子鎖交磁束誤差ΔΦが零となるよう調整するように磁束誤差ΔΦに基づいてγ軸電流指令Iγ*を生成する。磁束誤差ΔΦは、前述の式(1
0)により求めた総電機子鎖交磁束の大きさ|Φ|を総電機子鎖交磁束指令Φ*から減じ
て算出される値であり、この演算式は下記の式(12)となる。
Figure 0005420006
γ軸電流Iγは、同期機1の磁化成分である磁化電流であることから、γ軸電流により総電機子鎖交磁束を操作することができる。具体的には、磁化電流の増減量と総電機子鎖交磁束の増減量は、γ軸方向インダクタンスLγを比例係数として比例関係となり、磁束誤差ΔΦが零になるよう調整するための制御器としては例えば積分器が好適である。
このことから、下記の式(13)に示されるような積分制御演算を用いて、γ軸電流指令Iγ*を生成する。
Figure 0005420006
ここで、Kfは積分ゲインである。
γ-δ軸上の電流Iγ、Iδを電流指令Iγ*、Iδ*に一致させるようにγ-δ軸上の電圧指令Vγ*、Vδ*を出力する。γ-δ軸上の電流Iγ、Iδは、実施の形態1と同様に
後述の磁石状態推定手段7aにおいて求める。電流フィードバック制御を行う場合は、γ-δ軸上の電流指令Iγ*、Iδ*とγ-δ軸上の電流Iγ、Iδとの偏差に基づいて下記の式(14)の比例積分制御(PI制御)を行い、γ-δ軸上の電圧指令(電流フィードバ
ック制御指令)Vγ*、Vδ*を生成する。
Figure 0005420006
ここで、Kpγは電流制御γ軸比例ゲイン、Kiγは電流制御γ軸積分ゲイン、Kpδは電流制御δ軸比例ゲイン、Kiδは電流制御δ軸積分ゲインである。
実施の形態1の場合と同様に、電流フィードバック制御を行うことが困難となる場合には、電圧フィードフォワード制御を行えば良い。ただし、電圧フィードフォワード制御を行うためには、図7には電圧指令演算手段4aの入力として記載されていない回転速度ωと電機子鎖交磁束の大きさ|Φ|とを、電圧指令演算手段4aへ入力する必要があり、前述と同様に別途、回転子位置θに基づいて微分演算を行うことによって回転速度ωを求めておく。
電圧フィードフォワード制御を行う場合は、γ-δ軸上の電流指令Iγ*、Iδ*、回転
速度ω、電機子鎖交磁束の大きさ|Φ|とに基づいて、下記の式(15)によりγ-δ軸
上の電圧指令(電圧フィードフォワード制御指令)Vγ*、Vδ*を生成する。
Figure 0005420006
式(15)では、その演算に用いているγ-δ軸電流は、全て指令値Iγ*、Iδ*であ
るが、これ等に代えて、γ-δ軸上の電流Iγ、Iδ、あるいは、Iγ*とIγとの平均値、Iδ*とIδとの平均値等を用いても良い。また、通常時は電流フィードバック制御のみ、あるいは電流フィードバック制御と電圧フィードフォワード制御との併用とし、電流フィードバック制御が困難な運転条件では、電流フィードバック制御を無効とし、電圧フィードフォワード制御のみを行うような構成としても良い。
電圧指令演算手段4aから出力されるγ-δ軸上の電圧指令Vγ*、Vδ*は、座標変換
器11dにおいて下記の式(16)の演算により、磁束推定器6aで推定した総電機子鎖交磁束Φの位相∠Φに基づいて電圧指令vu*、vv*、vw*に変換された上で、電力変
換手段2に出力される。
Figure 0005420006
ただし、式(16)において、電流検出手段3で検出された電機子電流iu、iv、iwの値に基づく制御演算が電力変換手段2から出力される電圧vu、vv、vwに反映されるまでの制御演算遅れ時間(無駄時間)を考慮し、回転子位置θに対し、前述の制御演算遅れ時間に基づく位相補正量Δθd2の分を補正した位相で座標変換しても良い。
電力変換手段2は、実施の形態1の場合と同様に、電圧指令vu*、vv*、vw*に基
づいて周知のPWM制御方式等により同期機1に電圧vu、vv、vwを印加する。
次に、永久磁石の温度または磁石量を推定するために必要な構成である磁石状態推定手段7aについて説明する。図9は、この発明の実施の形態2による同期機制御装置における磁石状態推定手段の構成の一例を示す構成図である。図9において、磁石状態推定手段7aは、座標変換器11cと磁石温度推定器71aとで構成され、ある所定の制御指令、ここでは総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*、を与えた時にγ軸電流Iγに基づいて永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
座標変換器11cは、d-q軸上の電流Id、Iqを磁束推定器6aで求めた前述の角
度∠Φ0に基づいて前述の式(8)によりγ-δ軸上の電流Iγ、Iδへ変換する。なお
、座標変換器11cで生成されたγ-δ軸上の電流Iγ、Iδの値は、前述の電圧指令演
算手段4aでも使用される。
磁石温度推定器71aは、所定の総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを与えた時の温度変化に伴うγ軸電流Iγと永久磁石温度(推定値)Tmagとの関係を示すマップあるいは数式を記憶しておき、γ軸電流Iγが入力されると前述のマップまたは数式を参照して、永久磁石温度推定値Tmagを出力する。これらのマップあるいは数式は、実施の形態1の場合と同様に、同期機1の特性、つまりインダクタンス変化や磁石減磁特性等、が予め解析等で判明している場合は、同期機1の特性データを用いて予め求めておき、判明していない場合は実測により特性データを採取すれば良い。また、磁石温度推定器71aへ入力するγ軸電流Iγに代えてγ軸電流指令生成器41から出力される電流指令Iγ*を用いても良い。
図10は、所定の総電機子鎖交磁束指令Φ*、δ軸電流指令Iδ*条件におけるγ軸電流Iγと永久磁石温度Tmagとの関係を説明する特性図であり、一例として、総電機子鎖交磁束指令Φ*を0.08[Wb]、δ軸電流指令Iδを450[A]とした場合におけるγ軸電流Iγと永久磁石温度Tmagとの関係を示している。図10は、横軸にγ軸電流Iγ、縦軸に永久磁石温度(推定値)Tmagをとり、γ軸電流Iγに対する永久磁石温度(推定値)Tmagの特性を示している。
図10に示すように、一例として、総電機子鎖交磁束指令Φ*を0.08[Wb]、δ軸電流指令Iδ*を450[A]に設定して同期機1を駆動することで、γ軸電流Iγから
永久磁石温度Tmagを推定することができる。前述の図9の構成では、磁石状態推定手段7aの出力は永久磁石温度推定値Tmagとなっているが、前述の通り永久磁石温度推定値Tmagと永久磁石磁束推定値Φmagとは相関があり、この相関関係を把握しておくことで、出力を永久磁石磁束推定値Φmagにすることも勿論可能である。
ここで、所定の制御指令として総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを与えたときに、γ軸電流Iγに基づいて永久磁石温度Tmagを推定することの原理について同期機のベクトル図を用いて説明する。図11は、界磁に永久磁石を有する同期機のベクトル図において、総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とが一定の条件下で基準状態と基準状態に対して減磁が生じた時のベクトル図の差異を示す説明図である。図11において、(A)は基準状態、すなわち、永久磁石に減磁が生じていない時のベクトル図、(B)は、所定の制御指令である総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とが一定、つまり、所望に制御されているとの前提で総電機子鎖交磁束の大きさ|Φ|とδ軸電流Iδとが一定、の定常状態において、同期機1の温度上昇に伴う永久磁石の減磁、すなわちΔΦmagの分だけ磁石磁束の低下が発生したときのベクトル図である。
前述の永久磁石の減磁により総電機子鎖交磁束Φの向き、すなわちγ軸の向きが変化するため,総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*が一定に保たれていたとしても、減磁前後でγ軸電流Iγに変化が生じ、このγ軸電流Iγの変化を捉えることで、永久磁石磁束Φmagの変化、すなわち永久磁石温度Tmagの変化も捉えられる。
以上述べたこの発明の実施の形態2による同期機制御装置によれば、前述の実施の形態1の場合と同様に、永久磁石に直接温度検出器を取り付ける必要は無く、かつ、電圧情報ではなくγ軸電流Iγに基づいて同期機1の永久磁石温度(または磁束)を推定することから、電圧変換手段2の電圧出力精度、例えば、インバータのデッドタイムに起因する電圧誤差の影響を受けにくく、精度良く永久磁石の温度または磁束を推定できる効果がある。また、少なくともマップデータが1種類あればこれらの推定ができ、少ないマップデータで永久磁石温度または磁束を推定できる効果がある。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による同期機制御装置について説明する。図12は、この発明の実施の形態3による同期機制御装置を、同期機含めて示すシステム構成図、図13は、この発明の実施の形態3による同期機制御装置の変形例を、同期機含めて示すシステム構成図である。この発明の実施の形態3による同期機制御装置は、図12または図13に示すように、トルク指令に基づいて前記制御指令を生成するための上位の指令生成系である制御指令演算手段8(または8a)を追加し、トルク指令をγ軸電流Iγに応じて制限し、制限後のトルク指令に応じて前記制御指令を出力するようにしたものである。
図12において、制御指令演算手段8は、前述の実施の形態1で説明した制御指令としてのd-q軸上の電流指令Id*、Iq*を発生する一方、図13において、制御指令演算
手段8aは、前述の実施の形態2で説明した制御指令としての総電機子鎖交磁束指令Φ*
とδ軸電流指令Iδ*とを発生する。図12、図13に示すように、制御指令演算手段8
2、8aは、トルク指令制限器81と制御指令生成器82、82aとで構成される。トルク指令制限器81の構成は、図12、図13とも同じである。以下、トルク指令制限器81で制限される前のトルク指令をτ*、トルク指令制限器81出力である(制限後の)トルク指令をτ0*として区別する。
前述の通り、γ軸電流Iγは同期機1の総電機子鎖交磁束を操作する磁化電流に相当し、同期機1の温度上昇に伴う永久磁石の減磁(ΔΦmag分の磁石磁束の低下)が発生すると、制御指令が一定ならば、減磁の分の磁石磁束をγ軸電流Iγの増加によって補うように作用する。(制御指令としてd‐q軸上の電流指令Id*、Iq*を与える形態においては例外あり。)
従って、γ軸電流Iγが増加するに従い、同期機1の電機子電流(実効値)も増加するため、同期機1で発生する熱(電機子巻線の抵抗で発生する熱等)によって永久磁石を含む同期機1の全体の温度も上昇し、永久磁石の減磁がより進行する。さらに許容温度を超えると温度が常温に下がっても磁束が減磁発生前の状態に戻らない不可逆減磁に至る可能性がある。また、電力変換手段2の性能(例えば電力変換手段2の構成部品であるスイッチング素子の素子定格)によって制限される同期機1の電機子電流の上限値が存在し、γ軸電流Iγの増加によって該上限値を超過する可能性もある。
そこで、同期機1の温度が上昇した際、更なる温度上昇と同期機1の電機子電流の上限超過を抑制するために、トルク指令τ*を前記γ軸電流Iγに応じて制限することで、間
接的に制御指令(d‐q軸上の電流指令Id*、Iq*、あるいは、総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*)の大きさを小さくし、電機子電流(実効値)の増加を抑制するような構成とする。
トルク指令制限器81は、トルク指令τ*をγ軸電流Iγに応じて制限し、(制限後の
)トルク指令τ0*を出力する。γ軸電流Iγとトルク指令τ*の制限値との相関は、駆動条件や同期機1の熱容量や冷却性能、さらには、電力変換手段2の性能に応じて設定される。例えば、所定の制御指令において、γ軸電流Iγがある値を超えると永久磁石温度が不可逆減磁に至る温度に漸近したと判断して、トルク指令を下げる、極端には「0」にする等の処理を施した上で、(制限後の)トルク指令τ0*を出力するといった形態にする。また、γ軸電流Iγが増加するに従いトルク指令τ*の制限値を段階的に逓減するような形態としても良い。
なお、総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを与える図13の形態では、磁化電流指令生成器41から出力されるγ軸電流指令Iγ*の値が存在することから、γ軸電流Iγの代わりにIγ*を用いても良い。
図12における制御指令生成器82は、(制限後の)トルク指令をτ0*に基づいて、
制御指令であるd‐q軸上の電流指令Id*、Iq*を生成する。界磁として永久磁石を有する同期機1の場合、同一のトルクを発生させることの可能なd軸電流Idとq軸電流Iqとの組み合わせが無数に存在することが知られており、(制限後の)トルク指令τ0*に対し、所望の条件(例えば、効率最大、トルク最大等)に合致する適切なd‐q軸上の電流指令Id*、Iq*を出力する。
d‐q軸上の電流指令Id*、Iq*の選択方法としては、周知の電動機の効率を最大とする方法、電動機の力率を1とする方法、ある鎖交磁束に対して得られるトルクを最大とする方法、ある電動機電流に対して得られるトルクを最大とする方法等がある。この発明の実施の形態3による同期機制御装置においては、トルク指令τ0*に基づいてd‐q軸
上の電流指令Id*、Iq*を選択する方法は問わないため、これらの電流指令Id*、Iq*の選択方法の詳細については省略するが、最も簡便な方法では、例えば、電圧指令演算手段4から出力されるd‐q軸上の電圧指令Vd*、Vq*が、同期機1に対して電力変換手段2が印加可能な電圧を超えないように、負のd軸電流指令値Id*を調整した上で、前述の式(17)に基づいてq軸電流指令Iq*を生成する方法がある。
なお、下記の式(17)の永久磁石磁束Φmにおいては、温度によって逐次変化していくことから、駆動開始時は基準値等の所定の値としておき、前記磁石温度(磁束)推定動作により得られる永久磁石磁束推定値ΦmagをΦmとして再帰的に逐次更新する。
Figure 0005420006
ここで、Pmは、同期機1の極対数である。
なお、前記以外の方法として、同期機1の種々のトルクに対応するd‐q軸上の電流Id、Iqの最適値を事前に測定してマップ化しておき、運転中に(制限後の)トルク指令τ0*に応じてこのマップを随時参照して、τ0*に応じたd‐q軸上の電流指令Id*、Iq*を得る方法でも良い。
実施の形態3による同期機制御装置の変形例である図13において、制御指令生成器82aは、(制限後の)トルク指令をτ0*に基づいて、制御指令である総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを生成する。制御指令としてd-q軸上の電流指令Id*、Iq*を生成する時同様に、界磁として永久磁石を有する同期機1の場合、同一のトルクを発生させることの可能な総電機子鎖交磁束Φとδ軸電流Iδとの組み合わせが無数に存在することが知られており、制御指令生成器82aは、(制限後の)トルク指令τ0*に対し、所望の条件(例えば、効率最大、トルク最大等)に合致する適切な制御指令である総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを出力する。
図14は、図13に示す制御指令生成器の構成の一例を示す図である。図14に於いて、制御指令生成器82aは、δ軸電流指令生成器83、磁束指令生成器84とから構成され、更に好適化するには、電圧指令演算手段4aで算出されるγ軸電流指令Iγ*(図1
4中の点線矢印で示す)を用いてδ軸電流指令Iδ*を制限するδ軸電流指令制限器85
を付加している。
δ軸電流指令生成器83は、(制限後の)トルク指令τ0*と後述の磁束指令生成器8
4から出力される総電機子鎖交磁束指令Φ*とに基づいて、下記の式(18)によりδ軸
電流指令Iδ*を算出する。
Figure 0005420006
図8に示す電圧指令演算手段4a内部の磁化電流指令生成器41において、磁束誤差ΔΦが零になるよう調整されているとすると、前述の式(18)の演算において総電機子鎖交磁束指令Φ*の代わりに下記の式(10)により得られる総電機子鎖交磁束の絶対値|Φ|を用いても良い。
Figure 0005420006
前述のδ軸電流指令制限器85を付加する場合、δ軸電流指令Iδ*とγ軸電流指令I
γ*との合成電流が電力変換手段2の仕様等に基づいて決定される電流制限値Imaxに
制限するように、電流制限値Imaxとγ軸電流指令Iγ*に基づいてδ軸電流指令Iδ*を制限する。δ軸電流指令Iδ*の上限値Iδ*maxは、下記の式(20)で得られ、Iδ*maxを逐次求めながら、δ軸電流指令Iδ*の絶対値|Iδ*|がIδ*max以下となるようにδ軸電流指令Iδ*を制限する。
Figure 0005420006
磁束指令生成器84は、入力されたδ軸電流指令Iδ*に対して好適な総電機子鎖交磁
束指令Φ*、例えば、同期機1の電機子電流(実効値)一定の条件下において、最大のト
ルクを出力するような総電機子鎖交磁束指令Φ*を出力する。
このような条件で同期機1を駆動すると、同期機1の電機子巻線や同期機1と電力変換手段2との間の配線で発生する銅損が小さくなり、また、電力変換手段2で発生する導通損も小さくなることから、同期機1、電力変換手段2の変換効率が上がる。
図15は、図14に示す磁束指令生成器におけるδ軸電流指令Iδ*と磁束指令Φ*との関係を説明する概念図であり、前述の条件を満たすδ軸電流指令Iδ*と総電機子鎖交磁束指令Φ*との関係の一例を示し、この関係を磁束指令生成器84に数式化あるいはテーブルデータの形で予め格納した上で、入力されたδ電流指令Iδ*に従い好適な総電機子鎖交磁束Φ*を出力させる。
また、他の好適な総電機子鎖交磁束指令Φ*としては、図14には図示していないが、
δ軸電流指令Iδ*に加えて同期機1の回転速度ωをも参照し、δ軸電流指令Iδ*に対して速度依存性を有する同期機1の渦電流損やヒステリシス損を含む鉄損を小さくできる総電機子鎖交磁束指令Φ*がある。このような条件で同期機1を駆動すると、特に回転速度が高い時に顕著となる同期機1で発生する鉄損が小さくなり、主に高回転速度域における同期機1の変換効率が上がる。
なお、図14に示す制御指令生成器82aにおいて、δ軸電流指令制限器85を付加し、前述の式(20)によりδ軸電流指令Iδ*を制限する場合、δ軸電流指令生成器83から磁束指令生成器84の間で計算が循環的となる。すなわち、(制限後の)トルク指令τ0*→(δ軸電流指令生成器83、δ軸電流指令制限器85)→δ軸電流指令Iδ*→(磁束指令生成器84)→総電機子鎖交磁束指令Φ*→(δ軸電流指令生成器83)→δ軸電流指令Iδ・・・、といったループができており、入力されたトルク指令τ0*に対するδ軸電流指令Iδ*および総電機子鎖交磁束指令Φ*を確定するには、δ軸電流指令生成器85から磁束指令生成器84間の演算を繰り返し行い収束させる必要があり、演算処理が困難となる。
そこで、実際の装置で前述の処理をマイコンによって所定の演算周期で行う際に、例えば、δ軸電流指令生成器83が使用する総電機子鎖交磁束指令Φ*として前回(1演算周
期前)の演算結果を用い、該指令値を用いて計算したδ軸電流指令Iδ*によって今回の
総電機子鎖交磁束指令Φ*を算出する、あるいは、磁束指令生成器84において、総電機
子鎖交磁束指令Φ*の値を適切なフィルタを通して出力すること等により演算処理の安定
性を高める等の対策を施せば良い。
なお、図13において、図14に示した制御指令生成器82aに似変えて代えて、以下述べる制御指令生成器82bを用いても良い。図16は、図13に示す制御指令生成器の他の構成例を示す構成図である。図16において、制御指令生成器82bは、総電機子鎖交磁束指令Φ*を、δ軸電流指令Iδ*ではなく(制限後の)トルク指令τ0*に基づいて
生成する構成とされている。
図16における磁束指令生成器84aは、入力された(制限後の)トルク指令τ0*に
対して好適な総電機子鎖交磁束指令Φ*を出力する。例えば、図15の横軸を下記の式(
21)の関係を用いてトルク指令に変換すれば、入力された(制限後の)トルク指令τ0*に対する総電機子鎖交磁束指令Φ*を得ることができる。
Figure 0005420006
図17は、図16に示す磁束指令生成器におけるトルク指令τ0*と磁束指令Φ*との関係を説明する概念図であり、図15に基づいて得られた(制限後の)トルク指令τ0*と総電機子鎖交磁束指令Φ*との関係の一例を示す。磁束指令生成器84bは、該関係を磁束指令生成器84aに数式化あるいはテーブルデータの形で予め格納した上で、入力されたトルク指令τ0*に従い好適な総電機子鎖交磁束Φ*を出力する。なお、制御指令生成器82bにおけるδ軸電流指令生成器83、δ軸電流指令制限器85の動作は、前述の制御指令生成器82aのものと同じである。
さらに、制御指令生成器82a、82bを好適にするには、電力変換手段2の仕様によって制限される電圧制限値を考慮した総電機子鎖交磁束指令Φ*を生成すれば良い。
電力変換手段2には、この電力変換手段2の仕様と電源12の出力電圧Vpnとに依存する出力可能電圧最大値Vmax(実効値換算)があり、同期機1の電機子で発生する誘起電圧をVmax以下に抑制するように総電機子鎖交磁束指令Φ*を制限することが望ま
しい。該誘起電圧は、同期機1の抵抗Rの電圧降下を無視すれば同期機1の回転速度ωと総電機子鎖交磁束Φとの積で決まることから、電力変換手段2の出力可能最大電圧値Vmaxに基づいて、同期機1の回転速度ωに応じた磁束指令最大値Φmaxを下記の式(22)により逐次演算し、磁束指令生成器84、84aの出力をΦmaxで制限した値を総電機子鎖交磁束指令Φ*とすれば、より好適となる。
Figure 0005420006
以上述べたこの発明の実施の形態3による同期機制御装置によれば、界磁としての永久磁石を含む同期機1の温度上昇時に、トルク指令を制限することで、更なる温度上昇を抑制するように、電機子電流(実効値)の増加分を制限することで不可逆減磁を防止することができるとともに、電力変換手段2の性能によって制限される同期機1の電機子電流を制限値に以下に抑制できる効果がある。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による同期機制御装置について説明する。この発明の実施の形態4による同期機制御装置は、前述の実施の形態1の同期機制御装置における図4に示した磁石温度推定器71を以下に示す磁石温度推定器71bに置き換え、前述の実施の形態2による同期機制御装置における図9に示した磁石温度推定器71aを以下に示す磁石温度推定器71cに置き換えたものである。
図18は、この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石温度推定器の構成の一例を示す構成図であり、実施の形態1で説明した制御指令としてd-q軸上の電
流指令Id*、Iq*を与える時の磁石温度推定器71bの構成を示している。図19は、この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石温度推定器の別の例を示す構成図であり、実施の形態2で説明した制御指令としてδ軸電流指令Iδ*と総電機子鎖
交磁束指令Φ*とを与える時の磁石温度推定器71cを示している。
この発明の実施の形態4による同期機制御装置においては、図18に示す磁石温度推定器71b、および図19に示す磁石温度推定器71cに共通して、複数の制御指令、すなわちd-q軸上の電流指令Id*、Iq*、または、δ軸電流指令Iδ*と総電機子鎖交磁束指令Φ*との組からなる複数の制御指令、の各々に対して、γ-δ軸上の電流と永久磁石温度(磁束)との相関を示したマップあるいは数式を有する磁石状態参照手段(図18の72a〜72c、図19の72d〜72f)を備えることが特徴である。
図18の磁石温度推定器71bによりこの発明の実施の形態4による同期機制御装置を説明すると、例えば、d-q軸上の電流指令Id*、Iq*の複数の組(Id*、Iq*)=
(Id1、Iq1)、(Id2、Iq2)、(Id3、Iq3)、(Id4、Iq4)・・・・を予め設定しておき、各々の指令に対して、温度変化に伴うγ軸電流Iγ(あるいはδ軸電流Iδ)と永久磁石温度(推定値)Tmagとの関係を示すマップあるいは数式を記憶した磁石状態参照手段72を複数用意しておく。図18の例では、(Id*、Iq*)=(0[A]、200[A])に係るものが磁石状態参照手段72a、(Id*、Iq*)=(0[A]、400[A])に係るものが磁石状態参照手段72b、(Id*、Iq*)=(0[A]、600[A])に係るものが磁石状態参照手段72cであり、これらの制御指令条件以外においても同様の磁石状態参照手段を複数用意しておく。
これらのマップあるいは数式は、前述と同様に、同期機1の特性(インダクタンス変化や磁石減磁特性)が予め解析等で判明している場合は、同期機1の特性データを用いて予め求めておき、判明していない場合は実測により特性データを採取すれば良い。
同期機1の駆動中におけるd-q軸上の電流指令Id*、Iq*が、予め用意した複数の
磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とほぼ一致する(該条件一致判定には多少のマージンを持たせる)ものが存在する時に、磁石温度推定器71bは、γ軸電流Iγあるいはδ軸電流Iδを該制御指令条件の磁石状態参照手段72のマップまたは数式を参照して、永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
次に、図19の磁石温度推定器71cによりこの発明の実施例による同期機制御装置を
説明すると、例えば、δ軸電流指令Iδ*と総電機子鎖交磁束指令Φ*の複数の組(Iδ*
、Φ*)=(Iδ1、Φ1)、(Iδ2、Φ2)、(Iδ3、Φ3)、(Iδ4、Φ4)
・・・・を予め設定しておき、各々の指令に対して、温度変化に伴うγ軸電流Iγと永久磁石温度(推定値)Tmagとの関係を示すマップあるいは数式を記憶した磁石状態参照手段72を複数用意しておく。図19の例では、(Iδ*、Φ*)=(0.05[Wb]、
100[A])に係るものが磁石状態参照手段72d、(Iδ*、Φ*)=(0.05[W
b]、200[A])に係るものが磁石状態参照手段72e、(Iδ*、Φ*)=(0.0
5[Wb]、300[A])に係るものが磁石状態参照手段72fであり、これらの制御指令条件以外においても同様の磁石状態参照手段を複数用意しておく。
同期機1の駆動中における制御指令(Iδ*、Φ*)が、予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とほぼ一致するものが存在する時に、γ軸電流Iγを該制御指令条件の磁石状態参照手段72のマップまたは数式を参照して、永久磁石温度推定値Tmagを出力する。
同期機1の駆動中における制御指令と、予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とが一致しない場合は、例えば、永久磁石温度推定動作を行わずに、直近の温度推定動作時の温度推定値を保持し、該値を永久磁石温度推定値Tmagとして出力するような処理を施せば良い。このような処理を施した場合は、間欠的な永久磁石温度推定動作となる。
また、前述の通り、永久磁石温度推定値Tmagと永久磁石磁束推定値Φmagとは相関があり、勿論、該相関関係に基づいて永久磁石磁束推定値Φmagを推定することも可能である。ただし、複数の制御指令各々に対する磁石状態参照手段72を用意すると、磁石状態参照手段が多い程、同期機1駆動中の制御指令と予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とが一致する確率が上昇するため、制御指令が変化してもより頻繁に永久磁石温度(磁束)を推定することが可能となるものの、少ないマップデータで推定できる本発明の効果が小さくなる恐れがある。
したがって、磁石状態参照手段72を用意する際の制御指令条件を増えすぎることなく適切に設定する必要がある。同期機1の電機子電流(実効値)が増加すると、同期機1で発生する熱(電機子巻線の抵抗で発生する熱等)によって永久磁石を含む同期機1の全体の温度も上昇し、永久磁石の減磁がより進行することは既に述べたが、言い換えると、同期機1の電機子電流(実効値)が小さい範囲ならば、同期機1の温度上昇が小さく、永久磁石の減磁が進行しない、すなわち、永久磁石温度(磁束)を推定する必要性が小さいと考えられる。
そこで、磁石状態参照手段72においてγ-δ軸上の電流と永久磁石温度(磁束)との
相関を示したマップあるいは数式を設ける制御指令の条件を所定の電流以上に限定しても良い。図20は、この発明の実施の形態4による同期機制御装置における、磁石状態参照手段においてγ-δ軸上の電流と永久磁石温度(磁束)との相関を示したマップあるいは
数式を設ける制御指令の条件を表した一例を示す説明図である。
図20において、点線で示す外側の円は、電流制限値Imaxを、点線で示す内側の円は、永久磁石温度(磁束)の推定動作を行う最小の電流条件I1を表し、この両方の円で囲まれる範囲内に複数配置されている黒丸印が、磁石状態参照手段72においてγ-δ軸
上の電流と永久磁石温度(磁束)との相関を示したマップあるいは数式を設ける制御指令の条件である。なお、界磁として永久磁石を有する同期機1は、正のd軸電流を通電する機会が多くなく、マップデータを少なくするためd軸電流が負の範囲のみに前記黒丸印を設定している。
図20は、あくまでも一例であり、必ずしも図20に示すように前述の黒丸印で示す条件を等間隔にする必要はなく、同期機1を駆動する際、特定の(複数の)制御指令しか与えない場合は該制御指令に応じて前記黒丸印を設定すればよい。
また、前述の同期機1の駆動中における制御指令と、予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とが一致しない場合に、永久磁石温度推定動作を行わないようにして間欠的な永久磁石温度推定動作となる例を示したが、この場合、同期機1の駆動中に長時間永久磁石温度推定動作が行われない可能性が生じる。このことを鑑みて、所定の期間毎に必ず永久磁石温度推定動作が行われるように、同期機1の駆動中における制御指令を、所定の期間毎に予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件に強制的に一致させるようとしても良い。
このようにすれば、同期機1の駆動中に、長時間、永久磁石温度推定動作が行われない状況を防止することが可能となる。ただし、強制的に同期機1の駆動中における制御指令を、所定の期間毎に予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件に一致させる際、同期機1のトルク出力変化を抑制する必要がある。
前述のように、界磁としての永久磁石を有する同期機1の場合、同一のトルクを発生させることの可能なd軸電流Idとq軸電流Iqとの組み合わせ、あるいは、総電機子鎖交磁束Φとδ軸電流Iδとの組み合わせ、が無数に存在することを利用し、制御指令の変更前後でトルク出力が大きく変化せず、かつ、複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件に一致する制御指令の組合せを選択するような処理を施せば、同期機1のトルク出力の変化を抑制することができる。
また、この発明の実施の形態4による同期機制御装置は、従来の技術と比較して電圧情報ではなくγ-δ軸上の電流Iγ、Iδを用いて直接永久磁石温度(磁束)を推定するこ
とから、電圧変換手段2の電圧出力精度(例えば、インバータのデッドタイムに起因する電圧誤差)の影響を受けにくいことが特徴である。ただし、d-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*を用いて総電機子鎖交磁束Φのd軸成分Φd、同q軸成分Φqを推定し、式(10)
、式(11)に基づいて、総電機子鎖交磁束Φの大きさ|Φ|と位相∠Φとを求める際に、電圧情報を用いており、電圧が低くなる低速域において、若干電圧変換手段2の電圧出力精度の影響を受ける。よって、低速域において、総電機子鎖交磁束の推定精度、さらには、該推定精度が影響する電機子電流をγ軸及びδ軸の二軸上の電流へ座標変換する際の精度に影響が及ぶため、永久磁石温度(磁束)の推定精度に影響する可能性がある。
また、同期機1自身が発生するトルクで加速するような用途の場合、速度零から通電を開始してトルクを発生させる動作において、温度上昇による減磁の影響が生じる前に電圧精度の影響を受け易い速度帯域を超えることも多く、このような用途においては、低速域で永久磁石温度(磁束)を推定する必要性が小さいと考えられる。
そこで、永久磁石温度(磁束)の推定動作を、同期機1の回転速度ωが所定の速度以上においてのみ実行するように限定すれば良い。図21は、この発明の実施の形態4による同期機制御装置において、永久磁石温度(磁束)の推定動作を行う速度範囲を示す説明図であり、電圧精度の影響が懸念される所定の速度ω1以下(負速度を考慮すると、−ω1〜ω1の範囲)では、駆動中の制御指令と、予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とが一致したとしても永久磁石温度(磁束)の推定動作を行わないようにしたものである。このようにすれば、電圧変換手段の電圧出力精度がより高くなる高速域のみ永久磁石温度(磁束)を推定する動作を実行するため、推定精度を高める効果がある。
以上述べたこの発明の実施の形態4による同期機制御装置によれば、複数の制御指令各々に対する磁石状態参照手段72を用意することから、同期機1の駆動中における制御指令と予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件とが一致する確率が上昇するため、制御指令が逐次変化したとしても、制御指令の変化に追従して永久磁石温度(磁束)を推定できる効果がある。
また、γ-δ軸上の電流と永久磁石の温度(磁束)との相関を示したマップあるいは数
式を設ける前記制御指令の条件を、該推定を必要とする電流領域に限定することで、磁石状態参照手段の構成を簡素化でできる効果がある。
さらに、所定の期間毎に必ず永久磁石温度推定動作が行われるように、同期機1駆動中の制御指令を、所定の期間毎に予め用意した複数の磁石状態参照手段72の中の制御指令条件に強制的に一致させることから、所定の期間毎に永久磁石の温度(磁束)推定を行うことで、長時間推定動作が行われない状態を防止できる効果がある。
その上、電圧変換手段の電圧出力精度がより高くなる高速域のみ永久磁石温度(磁束)を推定する動作を実行することで、電圧指令に基づいて推定される総電機子鎖交磁束の推定精度、さらには、該推定精度が影響する電機子電流をγ軸及びδ軸の二軸上の電流へ座標変換する際の精度が極めて高い時のみ温度(磁束)推定が行われることから、推定精度を高める効果がある。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5による同期機制御装置について説明する。この発明の実施の形態5による同期機制御装置は、前述の実施の形態1〜4に示したような制御指令とγ-δ軸上の電流とに基づいて永久磁石温度(磁束)を推定するモードに加え、前述の制
御指令を同期機1の電機子電流が零となるように設定し、該設定時に推定した総電機子鎖交磁束Φに基づいて永久磁石温度(磁束)を推定するモードを設けるようにしたものである。
前述の実施の形態1〜4に示したようなγ-δ軸上の電流に基づいて永久磁石温度(磁
束)を推定する場合、同期機1の電機子巻線に何らかの電流が流れていることを前提とした方式であるため、同期機1の電機子電流が零の場合、永久磁石温度(磁束)が推定できない。このため、永久磁石温度(磁束)を推定するために、不要な電流を電機子巻線へ流す必要があり、不要な電流を流すことで、不必要なトルクが発生したり、永久磁石の温度が上昇したりする懸念がある。
このことを鑑みて、前述の実施の形態1〜4に示したようなγ-δ軸上の電流に基づい
て永久磁石温度(磁束)を推定するモード以外に、前記制御指令を同期機1の電機子電流が零となるように設定し、該設定時に推定した総電機子鎖交磁束Φに基づいて永久磁石温度(磁束)を推定するモードを新たに加えることで、不必要な電流を電機子巻線へ流すことなく、無通電時において永久磁石温度(磁束)を推定できるようにする。
図22は、この発明の実施の形態5による同期機制御装置における、界磁に永久磁石を有する同期機の無通電時のベクトル図である。無通電時は、電機子鎖交磁束を構成する磁束は永久磁石磁束Φmのみであるため、総電機子鎖交磁束Φと永久磁石磁束Φmとが一致する。また、同期機1の電圧発生要因も永久磁石磁束Φm起因の誘起電圧のみとなることから、無通電時のd-q軸上の電圧Vd、Vqは下記の式(23)により得られる。
Figure 0005420006
前述の制御指令を同期機1の電機子電流が零となるように設定、すなわち、制御指令としてd-q軸上の電流指令Id*、Iq*をId*=Iq*=0と設定すれば、d-q軸上の電圧Vd、Vqとd-q軸上の電圧指令Vd*、Vq*が一致するように調整され、q軸電圧
指令Vq*より下記に式(24)に基づいて、総電機子鎖交磁束Φ(該値が永久磁石磁束
推定値Φmag)が求まる。
Figure 0005420006
勿論、永久磁石温度推定値Tmagと永久磁石磁束推定値Φmagとの関係を示す前述の式(9)の関係から、永久磁石温度推定値Tmagへ換算することも可能である。
制御指令として総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とを与える場合は、例えば、総電機子鎖交磁束指令Φ*として基準値等の所定の永久磁石磁束の値を、δ軸電流指令Iδ*として零を与えながら、同期機1の電機子電流を電流検出手段3によりモニタリングしておき、電機子電流が零となるように総電機子鎖交磁束指令Φ*を調整し、電機子電流が零となった無通電状態の総電機子鎖交磁束指令Φ*が永久磁石磁束推定値Φmagに相当する。この場合、総電機子鎖交磁束指令Φ*の調整の過程において電機子電流が流れる可能性があるものの、永久磁石磁束推定時においては、電機子巻線に不必要な電流は流れない。
なお、実施の形態5の構成は、実施の形態1〜4の全てに対して追加することができる。
以上述べたこの発明の実施の形態5による同期機制御装置によれば、γ-δ軸上の電流
が発生しない無通電時においても永久磁石の温度(磁束)推定を行える効果がある。
実施の形態6.
次に、この発明の実施の形態6による同期機制御装置について説明する。この発明の実施の形態6による同期機制御装置は、前述の実施の形態2あるいは3において、前述のδ軸上の電流を零に制御し無負荷状態にするために、δ軸電流指令Iδ*として「0」、すなわち、[Iδ*=0]を与えるともに、同期機1の電機子で発生する誘起電圧を電力変換手段2の出力可能電圧以下となるような総電機子鎖交磁束指令Φ*を与えるようにしたものである。
この場合、前述の式(22)の関係から、総電機子鎖交磁束指令Φ*を下記の式(25)の範囲内で設定する必要がある。
Figure 0005420006
これらの制御指令を与えるには、前述の実施の形態2における図7のように直接上記を満たすδ軸電流指令Iδ*、総電機子鎖交磁束指令Φ*とを与える、あるいは、前述の実施の形態3における図13のトルク指令τ*を0(実際にはτ0*=0)とすることで前述の式(18)に基づいた演算によりIδ*=0を得た上で、磁束指令生成器84において前記式(25)を満たすようなΦ*を与えるようにすれば良い。
図23は、この発明の実施の形態6による同期機制御装置における、δ軸上の電流を零に制御した時のベクトル図で、総電機子鎖交磁束指令Φ*とδ軸電流指令Iδ*とが一定の条件下(ただし、Φ*≦Φmax,Iδ*=0)で基準状態と基準状態に対して減磁が生じた時のベクトル図の差異を示す説明図であり、(A)は基準(無負荷)状態、すなわち、永久磁石に減磁が生じていない時のベクトル図、(B)は、所定の制御指令である総電機子鎖交磁束指令Φ*(≦Φmax)とδ軸電流指令Iδ*(=0)とが一定、つまり、所望に制御されているとの前提で総電機子鎖交磁束の大きさ|Φ|とδ軸電流Iδ(=0)とが一定、の定常状態において、同期機1の温度上昇に伴う永久磁石の減磁、すなわちΔΦmagの分だけ磁石磁束の低下が発生したときのベクトル図である。
図23において、δ軸電流Iδは流れずγ軸電流Iγのみ流れるため、永久磁石磁束Φm、γ軸電流Iγによって生成される電機子反作用磁束Φa、総電機子鎖交磁束Φの各ベクトルが全て同軸上に存在し、γ軸とd軸、δ軸とq軸とがそれぞれ同軸となる。すなわち、Φa=Lγ・Iγ=Ld・Idとなる。図23では、永久磁石磁束Φmを弱める方向に電機子反作用磁束Φaを作用させている例であり、この場合、前述の永久磁石の減磁が生じると、総電機子鎖交磁束Φが所定の一定値に制御されている以上、ΔΦmag分の磁石磁束の低下分、永久磁石磁束Φmを弱める方向に作用させている電機子反作用磁束Φaが小さくなり、結果、γ軸方向インダクタンスLγの変化の影響が小さくほとんどないとすればγ軸電流(の絶対値)|Iγ|も小さくなる。
反対に、永久磁石磁束Φmを強める方向に電機子反作用磁束Φaを作用させている場合は、ΔΦmag分の磁石磁束の低下分を電機子反作用磁束Φaの増加によって補うように作用し、結果、γ軸電流(の絶対値)|Iγ|が大きくなる。このように、何れのケースにおいても減磁前後でγ軸電流Iγの大きさに変化が生じ、このγ軸電流Iγの変化を捉えることで、永久磁石磁束Φmagの変化、すなわち永久磁石温度Tmagの変化も捉えられる。
γ軸電流Iγの変化に基づいて、永久磁石磁束Φmag、あるいは永久磁石温度推定値Tmagの変化を求める際は、前述の実施の形態に示した方法と同様に行えばよい。
この実施の形態6においては、δ軸電流Iδを流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行うためのγ軸電流Iγのみを流すことから、電機子巻線に必要以上の電流を流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行うことができる。
前記Φ*≦Φmaxの制約はあるものの、総電機子鎖交磁束指令Φ*として発熱により減磁が生じた状態(例えば100℃)における永久磁石磁束の値を設定すれば、100℃近傍
では総電機子鎖交磁束指令Φ*と永久磁石磁束Φmagとが概ね一致し、電機子反作用磁束Φaがほとんど発生しないため、γ軸電流Iγがほとんど流れない。
従って、電機子巻線に必要以上の電流を流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行なうことができ、γ軸電流Iγに起因して発生する発熱や損失も抑制できる。常温等永久磁石温度が低い場合は、総電機子鎖交磁束指令Φ*として前記同様に100℃における永久磁石磁束の値を設定すると、永久磁石磁束Φmを弱める方向に作用させる電機子反作用磁束Φaを発生させるためのγ軸電流Iγが流れるものの、δ軸電流Iδを流していないため、電機子電流があまり大きくならず、かつ、永久磁石温度が低いことからγ軸電流Iγによる発熱による影響も大きくならない。
この実施の形態6では、[Iδ*=0]を与えることから、永久磁石の温度(磁束)推定動作中は、同期機1の発生トルクは零となる。よって、同期機1の負荷駆動中、すなわちトルク発生状態において、該推定動作を行うためには、ごく短時間のみIδ*=0(またはτ*=0)かつΦ*≦Φmaxとなる指令を与えて、瞬間的に同期機1の発生トルクが零となることによる影響を最小限に抑えるようにすれば良い。
図24は、この発明の実施の形態6による同期機制御装置における、δ軸電流指令Iδ*またはトルク指令τ*と永久磁石の温度または磁束を推定する動作タイミングとのタイムチャートの一例を表す図である。図24に示すように、同期機1の負荷駆動中(トルク発生状態)において、間欠的にδ軸電流指令Iδ*またはトルク指令τ*を零とし、該期間において永久磁石の温度(磁束)推定動作を行う。このようにすれば、同期機1の負荷駆動中においても発生トルクが零となることによる影響を最小限に抑えつつ、電機子巻線に必要以上の電流を流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行え、該推定動作における電機子電流による発熱や損失を抑制できる。
以上述べたこの発明の実施の形態6による同期機制御装置によれば、電機子巻線に必要以上の電流を流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行え、電機子電流による発熱や損失を抑制できる効果がある。また、同期機1の負荷駆動中(トルク発生状態)において、間欠的にδ軸電流指令Iδ*またはトルク指令τ*を零とし、該期間において永久磁石の温度(磁束)推定動作を行うようにすることで、負荷駆動中においても発生トルクが零となることによる影響を最小限に抑えながら該推定動作に係わる電機子電流による発熱や損失を抑制できる効果がある。
以上述べたこの発明による同期機制御装置は、以下の特徴を有する。
(1)界磁を構成する永久磁石を有する同期機に対して、電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段と、前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段と、制御指令に基づいて前記電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、前記同期機の回転子位置を推定若しくは検出する位置検出手段と、少なくとも前記電機子電流と前記電圧指令のうちの何れか一方に基づいて前記同期機の総電機子鎖交磁束の発生方向であるγ軸を推定する磁束推定器と、前記永久磁石の温度または磁束を推定する磁石状態推定手段とを備え、前記磁石状態推定手段は、前記回転子位置と前記推定した前記γ軸とに基づいて、前記電機子電流をγ軸とその直交方向であるδ軸からなるγ-δ軸上の電流へ座標変換し、前記制御指令と
前記γ−δ軸上の電流とに基づいて、前記永久磁石の温度または磁束を推定することを特徴とする。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、電圧変換手段の電圧出力精度の影響を受けにくい精度の良い永久磁石の温度または磁束を、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、少ないマップデータで推定することができる。
(2)前記制御指令は、前記同期機の回転二軸座標であるd-q軸上の電流指令であるこ
とを特徴とする(実施の形態1、図1乃至図6)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、電圧変換手段の電圧出力精度の影響を受けにくい精度の良い永久磁石の温度または磁束を、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、少ないマップデータで推定することができる。
(3)前記制御指令は、前記δ軸上の電流を所定の値に制御するためのδ軸電流指令と前記総電機子鎖交磁束を所定の値に制御するための総電機子鎖交磁束指令であることを特徴とする(実施の形態2、図7乃至図11)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、電圧変換手段の電圧出力精度の影響を受けにくい精度の良い永久磁石の温度または磁束を、永久磁石に直接温度検出器を取り付けることなく、少ないマップデータで推定することができる。
(4)前記同期機に対するトルク指令を、前記γ軸電流に応じて制限し、前記制限後のトルク指令に応じて前記制御指令を出力する制御指令演算手段を備えたことを特徴とする(実施の形態3、図12乃至17)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、永久磁石を含む同期機の温度上昇時にトルク指令を制限することで、不可逆減磁を防止することができるとともに、電力変換手段の性能によって制限される同期機の電機子電流を制限値に以下に抑制できる効果がある。
(5)前記磁石状態推定手段は、複数の前記制御指令各々に対して、前記γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度または磁束との相関を示したマップ若しくは数式を有する磁石状態参照手段を備えたことを特徴とする(実施の形態4、図18乃至19)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、制御指令が逐次変化したとしても、制御指令の変化に追従して永久磁石の温度または磁束を推定できる。
(6)前記γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度または磁束との相関を示したマップ若しくは数式を設ける前記制御指令の条件は、前記電機子電流が所定値以上において設定する、ことを特徴とする(実施の形態4、図20)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度(磁束)との相関を示したマップあるいは数式を設ける前記制御指令の条件を、該推定を必要とする電流領域に限定することで、磁石状態参照手段の構成を簡素化でできる。
(7)前記制御指令は、所定の期間毎に前記磁石状態参照手段における前記γ−δ軸上の電流と前記永久磁石の温度または磁束との相関が示されている制御指令に設定され、前記磁石状態推定手段は、前記設定された制御指令に基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定することを特徴とする(実施の形態4)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、所定の期間毎に永久磁石の温度(磁束)推定を行うことで、長時間推定動作が行われない状態を防止できる。
(8)前記制御指令は、所定の期間毎に前記磁石状態参照手段における前記γ−δ軸上の電流と前記永久磁石の温度または磁束との相関が示されている制御指令に設定され、
前記磁石状態推定手段は、前記永久磁石の温度または磁束を推定する動作を、前記回転子位置から換算される前記同期機の速度が所定の速度以上においてのみ実行することを特徴とする(実施の形態4、図21)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、電圧変換手段の電圧出力精度がより高くなる高速域のみ永久磁石温度(磁束)を推定する動作を実行することで、電圧指令に基づいて推定される総電機子鎖交磁束の推定精度、さらには、該推定精度が影響する電機子電流をγ軸及びδ軸の二軸上の電流へ座標変換する際の精度が極めて高い時
のみ永久磁石の温度(磁束)推定が行われることから、推定精度を高める効果がある。
(9)前記磁石状態推定手段は、前記制御指令と前記γ−δ軸上の電流とに基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定するモードと、前記制御指令を前記電機子電流が零となるように設定し、該設定時に推定した前記総電機子鎖交磁束に基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定するモードとを備えることを特徴とする(実施の形態5、図22)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、無通電時においても永久磁石の温度(磁束)推定を行える効果がある。
(10)前記制御指令は、前記δ軸上の電流を零に制御するためのδ軸電流指令と前記同期機の電機子で発生する誘起電圧を前記電力変換手段の出力可能電圧以下となるように前記総電機子鎖交磁束を制御するための総電機子鎖交磁束指令であることを特徴とする(実施の形態6、図23)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、電機子巻線に必要以上の電流を流さずに永久磁石の温度(磁束)推定を行え、電機子電流による発熱や損失を抑制できる効果がある。
(11)前記δ軸電流指令または前記同期機に対するトルク指令を間欠的に零とし、前記磁石状態推定手段は、前記永久磁石の温度または磁束を推定する動作を、前記δ軸電流指令または前記同期機に対するトルク指令が零となる期間においてのみ実行することを特徴とする(実施の形態6、図24)。
このように構成したこの発明による同期機制御装置によれば、負荷駆動中においても発生トルクが零となることによって発生する影響を最小限に抑えながら永久磁石の温度(磁束)推定に係わる電機子電流による発熱や損失を抑制できる効果がある。
なお、この発明は、その発明の範囲内に於いて、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 同期機 2 電力変換手段
3 電流検出手段 4、4a 電圧指令演算手段
5、5a 位置検出手段 6、6a 磁束推定器
7、7a 磁石状態推定手段 8、8a 制御指令演算手段
11a、11b、11c、11d 座標変換器
12 電源 41 γ軸電流指令生成器
42 γ−δ軸電圧指令生成器
71、71a、71b、71c 磁石温度推定器
72a、72b、72c、72d、72e、72f 磁石状態参照手段
81 トルク指令生成器
82、82a、82b 制御指令生成器
83 δ軸電流指令生成器 84、84a 磁束指令生成器
85 δ軸電流指令制限器

Claims (10)

  1. 界磁を構成する永久磁石を有する同期機に対して、電圧指令に基づいて電圧を出力する電力変換手段と、
    前記同期機の電機子電流を検出する電流検出手段と、
    制御指令に基づいて前記電圧指令を演算する電圧指令演算手段と、
    前記同期機の回転子位置を推定若しくは検出する位置検出手段と、
    少なくとも前記電機子電流と前記電圧指令のうちの何れか一方に基づいて前記同期機の総電機子鎖交磁束の発生方向であるγ軸を推定する磁束推定器と、
    前記回転子位置と前記推定した前記γ軸とに基づいて、前記電機子電流をγ軸とその直交方向であるδ軸からなるγ-δ軸上の電流へ座標変換し、前記制御指令と前記γ−δ軸上の電流とに基づいて、前記永久磁石の温度または磁束を推定する磁石状態推定手段と、
    を備え、
    前記磁石状態推定手段は、前記制御指令に対して、前記γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度または磁束との相関を示したマップ若しくは数式を有する磁石状態参照手段を備えている、
    ことを特徴とする同期機制御装置。
  2. 前記制御指令は、前記同期機の回転二軸座標であるd-q軸上の電流指令である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の同期機制御装置。
  3. 前記制御指令は、前記δ軸上の電流を所定の値に制御するためのδ軸電流指令と前記総電機子鎖交磁束を所定の値に制御するための総電機子鎖交磁束指令である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の同期機制御装置。
  4. 前記同期機に対するトルク指令を、前記γ軸電流に応じて制限し、前記制限後のトルク指令に応じて前記制御指令を出力する制御指令演算手段を備えた、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の同期機制御装置。
  5. 前記γ−δ軸上の電流と永久磁石の温度または磁束との相関を示したマップ若しくは数式を設ける前記制御指令の条件は、前記電機子電流が所定値以上において設定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の同期機制御装置。
  6. 前記制御指令は、所定の期間毎に前記磁石状態参照手段における前記γ−δ軸上の電流と前記永久磁石の温度または磁束との相関が示されている制御指令に設定され、
    前記磁石状態推定手段は、前記設定された制御指令に基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載の同期機制御装置。
  7. 前記制御指令は、所定の期間毎に前記磁石状態参照手段における前記γ−δ軸上の電流と前記永久磁石の温度または磁束との相関が示されている制御指令に設定され、
    前記磁石状態推定手段は、前記永久磁石の温度または磁束を推定する動作を、前記回転子位置から換算される前記同期機の速度が所定の速度以上においてのみ実行する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の同期機制御装置。
  8. 前記磁石状態推定手段は、
    前記制御指令と前記γ−δ軸上の電流とに基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定するモードと、
    前記制御指令を前記電機子電流が零となるように設定し、該設定時に推定した前記総電機子鎖交磁束に基づいて前記永久磁石の温度または磁束を推定するモードとを備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のうちの何れか一項に記載の同期機制御装置。
  9. 前記制御指令は、前記δ軸上の電流を零に制御するためのδ軸電流指令と前記同期機の電機子で発生する誘起電圧を前記電力変換手段の出力可能電圧以下となるように前記総電機子鎖交磁束を制御するための総電機子鎖交磁束指令である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の同期機制御装置。
  10. 前記δ軸電流指令または前記同期機に対するトルク指令を間欠的に零とし、前記磁石状態推定手段は、前記永久磁石の温度または磁束を推定する動作を、前記δ軸電流指令または前記同期機に対するトルク指令が零となる期間においてのみ実行する、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の同期機制御装置。
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