JP2001191665A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】明細書
【発明の名称】疑似接着用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】支持体シート表面に対する少なくとも片面の一部に、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後において剥離可能な接着剤からなる疑似接着剤組成物の層を設けてなる疑似接着用紙であって、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験における離解所要時間が3分〜30分の範囲であることを特徴とする疑似接着用紙。
【請求項2】疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満である請求項1記載の疑似接着用紙。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後、必要時に容易に剥離でき、耐水性を有しながら、容易に離解可能な疑似接着用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年は、通信、郵送などの連絡手段により情報を伝達する量が多くなる一方で、個人情報など親展性を必要とする連絡手段が重要視されている。また、郵便法の改正に伴い、親展性を有する葉書システムが実用化され、普及している。親展性を有する葉書システムとは、個人情報などの各種情報が折り畳み内面に記載された往復葉書状の葉書を折り畳み、重ね合わせた部分を疑似接着して、情報を隠蔽したのち、郵送し、受取人が疑似接着部分を剥離して隠蔽情報を読み取るというものである。これら親展性を必要とする連絡手段には、例えば会社が従業員に、銀行やクレジット会社が顧客に親展性を有する情報を連絡するものもある。
【0003】
かかる親展性を有する連絡手段として、疑似接着用紙を利用したものが提案され盛んに利用されている。疑似接着用紙は、支持体の少なくとも片面の一部に、天然ゴム、合成ゴム、あるいはこれらのゴムラテックスなどのいわゆる非剥離性接着剤と、その接着剤の接着力を抑制する微粒子充填剤とからなる接着剤組成物(以下、疑似接着剤ともいう)の接着層が設けられており、一時的に接着するが必要時に容易に剥離できる機能を有するものである。
【0004】
他方、親展性を有する葉書システムの汎用化に伴って、郵送途中に雨に当たるなど不慮の事故により当該葉書が水に濡れた場合、支持体シートの表面および支持体中の強度が低下し、支持体シートの裂け、支持体シート破れが生じたり、接着層の剥離などの問題が生じることが明らかになってきた。その最終的な結果は、情報の消失または不鮮明である。
【0005】
このための対策として、特開平7−276858号では支持体シート自体の強度を高める手段を、持開平7−309086号では耐水化手段を講じることをそれぞれ提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の特開平7−276858号公報のものでは、支持体の強化に役立っても、十分な接着層との接着強度を得られない点に問題を有し、しかも資源の有効利用についてなんら考慮がなされていない。
【0007】
後者の特開平7−309086号公報のものは、具体的には、(1)支持体を合成紙とする、(2)耐水化剤を紙に内添した支持体を用いる、(3)用紙の表面に耐水化剤とバインダーとを架橋させた耐水処理層を形成することを思想とするものである。
【0008】
しかしながら、前記の(1)の場合には、この種の葉書に一般的に用いられている紙とはほど遠いものとなり、かつコスト高になるなどの決定的な問題を抱えて特殊の場合以外は採用でき難い。
【0009】
この点において(2)および(3)の形態が有効であるものの、まず(2)の場合には次記の各点の問題を生じる。
a)一般のフォーム紙、上質紙を利用できず、特別な沙造条件となり、生産コストが嵩む。
b)耐水強度は、接着層と基紙との界面において最も重要であるものの、耐水化剤を基紙に内添したものでは、十分な接着強度を得ることができない。
c)敢えて、接着強度を高めるためには、耐水化剤の内添量を多くする必要があるが、これではコスト高となる。
d)抄造過程で耐水化剤を内添する場合には、経時安定化を図る必要があり、製造工程および在庫管理に慎重な管理を要する。
【0010】
他方、(3)の場合にも次の問題が残る。
A)耐水処理層の塗工では、塗布前に耐水化剤とバインダーとを混合させると、反応が起こり塗工欠陥が発生し、塗工が困難となる。
B)耐水処理層は耐水化剤とバインダーとを架橋させた膜であるから、接着剤のアンカー効果が悪くなり、接着層の脱落を生じることが多くなる。
C)耐水処理層の造膜によって、透気度がきわめて大きくなることによって、カールが発生したり、印刷および加工適性が低下する。
D)耐水化剤の使用は薬品コストの高騰を招く。
E)例示された耐水化剤とバインダーとを混合させると多くの場合、発泡を生じ作業性が悪いものとなる。
F)耐水化剤があることによって、用紙の再資源化時における繊維の分散性が悪くなり、再資源化を困難にする。したがって、本発明の課題は、前記各問題点を解消して後述の各利点をもたらす疑似接着用紙を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の請求項1記載の発明は、支持体シート表面に対する少なくとも片面の一部に、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後において剥離可能な接着剤からなる疑似接着剤組成物の層を設けてなる疑似接着用紙であって、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験における離解所要時間が3分〜30分の範囲であることを特徴とする疑似接着用紙である。
【0012】
請求項2記載の発明は、疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の疑似接着用紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る疑似接着用紙についてさらに詳述する。まず、本発明に係る疑似接着用紙の好適な使用形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示す折り畳み疑似接着給与封筒は、支持体シート1の表面に接着層2が設けられこの接着層2上に給与情報を印刷した後、(B)図に示すように、その情報印刷面3を内面に印刷面印刷方向中心線から2つに谷折りし、加圧接着させるものである。裏面には、宛名情報などが印刷される。
【0015】
図2に示す三つ折り葉書は、支持体シート1の表裏面に接着層2,2を形成し、その表面に隠蔽情報、通信情報、宛名情報4を印刷した後、(B)図に示すように、宛名印刷面が表面になるよう折り畳み加圧接着させるものである。
【0016】
図3に示す二つ折り葉書および図4に示す一部折り畳みタイプの葉書は、支持体シート1の折り畳み内面側に接着層を形成し情報を印刷し、折り合わせて加圧接着するもので、いずれも接着層相互を重ね合わせて加圧接着するものである。
【0017】
上記例においては、郵送された受取者は疑似接着面を見開くことにより隠蔽されていた印刷情報を読み取ることができる。
【0018】
本発明の疑似接着用紙は、上記例に掲げた用途以外にも広く好適に用いられる。例えば、本発明は、各種葉書、封書、報告書にも好適に使用されるものであり、また、疑似接着剤組成物を支持体シートの一部のみ塗布したり、一部非塗布部を設けることで再剥離を容易ならしめることも可能である。本発明の疑似接着用紙は、折り畳み疑似接着用紙、重ね合わせ疑似接着用紙の他、親展性を有する情報隠蔽用紙、親展性葉書、親展性封筒などとして好適に使用される。
【0019】
さて、本発明に係る疑似接着用紙の支持体シートとしては、米坪が66〜200g/m2のフォーム用紙、上質紙、中質紙のほか、アート紙、コート紙、軽量コート紙等のいわゆる塗工紙を好適に用いることもできる。米坪が66g/m2未満では、不慮の湿潤時の耐性が劣り、200g/m2を超えるものでは印刷適性等作業性が劣る。また、支持体シートとして、古紙パルプを50%以上配合した再生紙を用いると、同一坪量で比較した場合、一般の上質紙より不透明度が高く、親展情報を伝達する葉書用紙などの用途に適している。
【0020】
耐水性、支持体シートと接着層との界面接着強度を向上させるため、支持体シート、接着層に対して澱粉を塗布または内添しないことが有効である。
【0021】
本発明において、疑似接着剤組成物の基剤として用いられる非剥離性接着剤としては、ラテックス、具体的には天然ゴム系、合成ゴム系または合成樹脂系等の従来通常の疑似接着剤組成物に使用されているものの中から任意に選択して用いることができるが、特に、天然ゴムを無硫黄加流し、メタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックス、天然ゴムにメタアクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた天然ゴムラテックス、アクリル変性ゴムラテックス、ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとの混合物が耐ブロッキング性、耐経時劣化性、インク着肉性等の点で好適である。
【0022】
また、本出願人が特開平7−292329に開示したように、疑似接着剤組成物の基剤に、疑似接着剤組成物の接着力を向上させるためにポリエチレングリコールを添加してもよい。
【0023】
上記は疑似接着剤組成物系のものであるが、感熱接着剤や湿潤接着剤などを用いることもできる。
【0024】
非剥離性接着剤の接着力を抑制する微粒子充填剤としては、従来一般に用いられている微粒子充填剤の全てを用いることができる。具体的には、一次または二次凝集体を形成しているカルサイト系沈降性炭酸カルシウム、二次凝集体を形成しているアラゴナイト系沈降性炭酸カルシウム、スチレンビーズ、合成微粒子シリカ、通常のカルシウムや、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムもしくはチタン等の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩もしくは珪酸塩、またはこれらの混合物などが挙げられる。この他にも、焼成カオリンクレーおよび米澱粉の混合物を用いてもよい。
【0025】
疑似接着剤組成物の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、ロールコーター、バーコーター、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の塗工・印刷方式による塗工が好適であり、接着層表面を約1〜10kg/cm2で加圧し、接着層表面の過度の突出を平坦にするのが好ましい。
【0026】
いずれにしても、支持体シートの表面に対して形成された、上述例の疑似接着剤組成物からなる接着層は、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となる。この場合において、一定の条件としては、常態において加圧すること、加熱しながら加圧すること、感熱接着剤を用いる場合には加熱すること、湿潤接着剤を用いる場合には水に濡らすことなどを挙げることができる。接着後においては、接着層に対向する一方のシートを手で剥離可能である。
【0027】
本発明の第1の形態は、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験において、離解所要時間が3分〜30分の範囲、特に5分〜15分の範囲がパルプ繊維の劣化が少ないことから好適であることを特徴とする。前記離解条件下において、離解所要時間が3分未満では、不慮の水濡れがあった場合、支持体シートの湿潤による強度劣化、疑似接着剤組成物の疑似接着強度変動が大きく剥離の際に支持体シートの破損、剥離困難の問題が生じる場合がある。離解に30分を超える時間が必要な場合は、離解に要するエネルギー費用、処理時間の負担が大きくコストアップになる。
【0028】
本発明の第2形態は、疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満であることを特徴とする。湿潤は、JIS P 8135に基づき調整した。湿潤時の紙層間剥離強さの最も好適は、5〜45gf/15mmである。
【0029】
紙層間剥離強さの調整は、支持体シートに内添または塗布または含浸するPVAの量にて容易に調整できる。使用条件によっては、耐水化剤、湿潤紙力増強剤等の紙力を向上する増強剤を補助的に添加してもよい。
【0030】
剥離強さが50gf/15mm以上では、古紙としての再利用時に離解性が悪く、多大なエネルギー、コストを必要とし、5gf/15mm未満では、不慮の水濡れが生じた際に紙層中で破損が生じる場合がある。
【0031】
優れた再剥離性、耐水性を維持しつつ、離解性を高める第1及び第2の形態を得るには、前記支持体シートにPVAを内添する/または接着層側表面の少なくとも一部に、PVAを塗布または含浸し、これにPVAを内添した疑似接着剤組成物からなる層を形成することで得られる。
【0032】
この場合、PVAとしては、特にカルボキシ基変性PVA、スルホン基変性PVA、アセトアセチル基変性PVA、カチオン基(4級アンモニウム塩)変性PVA、珪素含有PVAを用いることができるが、好ましくは珪素含有PVAが好適である。
【0033】
珪素含有PVAは、各種無機物と顕著な相互作用を有し、特にシリカとは化学結合体を形成するため、接着層を形成する際、微粒子充填剤との造膜性に優れ、その被膜は透明かつ強靱でバリヤー性に優れているため、高い耐水性を発揮し、疑似接着剤組成物との親和性も高く疑似接着剤組成物の経時劣化防止、印刷適性向上が図られ、印字が対抗面に転写され情報印刷面が汚れる問題もなくなる。
【0034】
さらに、支持体シートと接着層とにPVAを内添、または塗布、含浸することで、支持体シートと接着層との界面接着強度が極めて堅牢になり、不慮の事故などによる濡れが生じても、接着強度に変動を来すことなく所定の接着層の剥離強度を維持することができる。
【0035】
このPVAの使用量は、乾燥重量で内添の場合、2〜20g/m2、塗布または含浸の場合0.5〜10g/m2であることが望ましい。少量であると、目的の耐水性が得られず、過度に多いと、コスト高となるばかりでなく、古紙として再利用する際に容易に離解ができず、再利用に分別が必要となりコストアップになる。
【0036】
続いて、支持体シート上に接着層が形成される。これによって、接着層中の接着剤の水酸基やカルボキシル基とPVA中のアルデヒド基やメチロール基とが反応して接着性、耐水性が高まり、かつ、その反応が支持体シートの表面部分で生じるので、支持体シートの繊維との結合を高め、支持体シートに対する接着層の、接着性および密着性を高める。
【0037】
特に耐水性向上に効果が認められるのは、珪素含有PVA、エポキシ変性PVA、カルボキシ基変性PVA、アセトアセチル基変性PVA、カチオン基変性PVAの各変性PVAを1種または2種以上混合させて含有させることである。この第2の形態においては、接着剤中にPH調整剤を含有させることが望ましく、このPH調整剤としてアンモニアを例示することができ、PHとして9〜12に調整すると、接着剤の発泡を防止しながら好適に塗布を行うことができる。
【0038】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
支持体シートとして古紙を50%配合した印刷用紙(米坪66g/m2)を用い、この支持体シートに、PVAを10g/m2内添した。
次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを80重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ20重量部、穀物澱粉50重量部、珪素含有PVA5重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例2>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートに珪素含有PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部、珪素含有PVA15重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例3>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、この支持体シートにエポキシ変性PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、エポキシ変性PVA20重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例4>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカルボキシ基変性PVAを4g/m2塗工した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部、カルボキシ基変性PVA15重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例5>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカチオン基変性PVAを3g/m2塗布した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、カチオン基変性PVA20重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例1>
支持体シートとして上質紙(米坪66g/m2)を用いた。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを70重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ20重量部、穀物澱粉50重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例2>
支持体シートとして古紙を20%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートに珪素含有PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを100重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例3>
支持体シートとして古紙を50%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、エポキシ基変性PVAを50g/m 2 内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを120重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例4>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカルボキシ基変性PVAを30g/m2塗工した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例5>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用いた。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、カチオン基変性PVA50重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
【0039】
これらの各疑似接着用紙について下記の実験を行った。結果を表1に示す。
(湿潤強度)JIS P 8135を参考に湿潤調整した試料をもちい、J.TAPPI No.19に基づく紙層間剥離強さの測定を行った。測定値が50gf/15mm未満を◎、50gf/15mm以上を×とした。
(離解性)JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での1分、3分、5分、10分、15分、20分、30分、45分の離解試験を行った。離解が3分から15分未満に行えたものを◎、15分から30分の範囲を△、3分未満と30分を超えた場合を×とした。
(不透明度)JIS P 8138に規定する測定方法で測定した。不透明度70%以上を○、80%以上を◎とした。不透明度70%未満を×とした。
(再湿疑似接着強度)本発明に係る疑似接着用紙を2つ折りにし、50kg/cm2の圧力に調整したドライシーラーにて疑似接着した試料を調整した。20℃、65RHの環境下で24時間放置した純水に10分間浸漬したのち、手指にて剥離を行い支持体シートの紙層破壊、疑似接着面の紙剥がれ、情報の判読を目視にて評価した。問題なく剥離できるものを◎、若干紙剥けがあるものを○、紙剥けが有るものの情報を判読できるものを△、紙層破壊、紙剥けを生じるものを×とした。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、要すれば、次記の利点が得られる。
(1)古紙を利用した印刷用紙を用いて、再利用可能な耐水性の向上した疑似接着用紙を得ることができる。
(2)従来例のように支持体シートの表面に強固な造膜を行うものではないから、用紙の通気性に優れ、カールの発生がなく、印刷適性および加工適性に優れたものとなる。
(3)同様な理由により、しかも、支持体シートのPVAと接着剤中のPVAとが優れた親和性を有することなどの理由により、支持体シート、接着層の良好な界面接着性を得ることができる。
(4)耐水化剤を設ける場合に比較して、廉価なPVAを使用でき、かつ使用量が少なくでき、優れた耐水性を発揮するものとなる。
(5)支持体シート中に耐水化剤を内添していないために優れた水難解性を示し、古紙回収によるリサイクル化などの再資源化においてきわめて有利である。
(6)塗工の場合、PVAそのものにより層を形成でき、発泡を生じることなく塗布を行うことができる。
(7)使用薬品トータルのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
折り畳み給与封筒の説明図である。
【図2】
三つ折り葉書の説明図である。
【図3】
二つ折り葉書の説明図である。
【図4】
一部折り畳み葉書の説明図である。
【符号の説明】
1…支持体シート、2…接着層、3…情報印刷面、4…宛名情報。
【発明の名称】疑似接着用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】支持体シート表面に対する少なくとも片面の一部に、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後において剥離可能な接着剤からなる疑似接着剤組成物の層を設けてなる疑似接着用紙であって、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験における離解所要時間が3分〜30分の範囲であることを特徴とする疑似接着用紙。
【請求項2】疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満である請求項1記載の疑似接着用紙。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後、必要時に容易に剥離でき、耐水性を有しながら、容易に離解可能な疑似接着用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年は、通信、郵送などの連絡手段により情報を伝達する量が多くなる一方で、個人情報など親展性を必要とする連絡手段が重要視されている。また、郵便法の改正に伴い、親展性を有する葉書システムが実用化され、普及している。親展性を有する葉書システムとは、個人情報などの各種情報が折り畳み内面に記載された往復葉書状の葉書を折り畳み、重ね合わせた部分を疑似接着して、情報を隠蔽したのち、郵送し、受取人が疑似接着部分を剥離して隠蔽情報を読み取るというものである。これら親展性を必要とする連絡手段には、例えば会社が従業員に、銀行やクレジット会社が顧客に親展性を有する情報を連絡するものもある。
【0003】
かかる親展性を有する連絡手段として、疑似接着用紙を利用したものが提案され盛んに利用されている。疑似接着用紙は、支持体の少なくとも片面の一部に、天然ゴム、合成ゴム、あるいはこれらのゴムラテックスなどのいわゆる非剥離性接着剤と、その接着剤の接着力を抑制する微粒子充填剤とからなる接着剤組成物(以下、疑似接着剤ともいう)の接着層が設けられており、一時的に接着するが必要時に容易に剥離できる機能を有するものである。
【0004】
他方、親展性を有する葉書システムの汎用化に伴って、郵送途中に雨に当たるなど不慮の事故により当該葉書が水に濡れた場合、支持体シートの表面および支持体中の強度が低下し、支持体シートの裂け、支持体シート破れが生じたり、接着層の剥離などの問題が生じることが明らかになってきた。その最終的な結果は、情報の消失または不鮮明である。
【0005】
このための対策として、特開平7−276858号では支持体シート自体の強度を高める手段を、持開平7−309086号では耐水化手段を講じることをそれぞれ提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の特開平7−276858号公報のものでは、支持体の強化に役立っても、十分な接着層との接着強度を得られない点に問題を有し、しかも資源の有効利用についてなんら考慮がなされていない。
【0007】
後者の特開平7−309086号公報のものは、具体的には、(1)支持体を合成紙とする、(2)耐水化剤を紙に内添した支持体を用いる、(3)用紙の表面に耐水化剤とバインダーとを架橋させた耐水処理層を形成することを思想とするものである。
【0008】
しかしながら、前記の(1)の場合には、この種の葉書に一般的に用いられている紙とはほど遠いものとなり、かつコスト高になるなどの決定的な問題を抱えて特殊の場合以外は採用でき難い。
【0009】
この点において(2)および(3)の形態が有効であるものの、まず(2)の場合には次記の各点の問題を生じる。
a)一般のフォーム紙、上質紙を利用できず、特別な沙造条件となり、生産コストが嵩む。
b)耐水強度は、接着層と基紙との界面において最も重要であるものの、耐水化剤を基紙に内添したものでは、十分な接着強度を得ることができない。
c)敢えて、接着強度を高めるためには、耐水化剤の内添量を多くする必要があるが、これではコスト高となる。
d)抄造過程で耐水化剤を内添する場合には、経時安定化を図る必要があり、製造工程および在庫管理に慎重な管理を要する。
【0010】
他方、(3)の場合にも次の問題が残る。
A)耐水処理層の塗工では、塗布前に耐水化剤とバインダーとを混合させると、反応が起こり塗工欠陥が発生し、塗工が困難となる。
B)耐水処理層は耐水化剤とバインダーとを架橋させた膜であるから、接着剤のアンカー効果が悪くなり、接着層の脱落を生じることが多くなる。
C)耐水処理層の造膜によって、透気度がきわめて大きくなることによって、カールが発生したり、印刷および加工適性が低下する。
D)耐水化剤の使用は薬品コストの高騰を招く。
E)例示された耐水化剤とバインダーとを混合させると多くの場合、発泡を生じ作業性が悪いものとなる。
F)耐水化剤があることによって、用紙の再資源化時における繊維の分散性が悪くなり、再資源化を困難にする。したがって、本発明の課題は、前記各問題点を解消して後述の各利点をもたらす疑似接着用紙を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の請求項1記載の発明は、支持体シート表面に対する少なくとも片面の一部に、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となり、接着後において剥離可能な接着剤からなる疑似接着剤組成物の層を設けてなる疑似接着用紙であって、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験における離解所要時間が3分〜30分の範囲であることを特徴とする疑似接着用紙である。
【0012】
請求項2記載の発明は、疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の疑似接着用紙である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る疑似接着用紙についてさらに詳述する。まず、本発明に係る疑似接着用紙の好適な使用形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示す折り畳み疑似接着給与封筒は、支持体シート1の表面に接着層2が設けられこの接着層2上に給与情報を印刷した後、(B)図に示すように、その情報印刷面3を内面に印刷面印刷方向中心線から2つに谷折りし、加圧接着させるものである。裏面には、宛名情報などが印刷される。
【0015】
図2に示す三つ折り葉書は、支持体シート1の表裏面に接着層2,2を形成し、その表面に隠蔽情報、通信情報、宛名情報4を印刷した後、(B)図に示すように、宛名印刷面が表面になるよう折り畳み加圧接着させるものである。
【0016】
図3に示す二つ折り葉書および図4に示す一部折り畳みタイプの葉書は、支持体シート1の折り畳み内面側に接着層を形成し情報を印刷し、折り合わせて加圧接着するもので、いずれも接着層相互を重ね合わせて加圧接着するものである。
【0017】
上記例においては、郵送された受取者は疑似接着面を見開くことにより隠蔽されていた印刷情報を読み取ることができる。
【0018】
本発明の疑似接着用紙は、上記例に掲げた用途以外にも広く好適に用いられる。例えば、本発明は、各種葉書、封書、報告書にも好適に使用されるものであり、また、疑似接着剤組成物を支持体シートの一部のみ塗布したり、一部非塗布部を設けることで再剥離を容易ならしめることも可能である。本発明の疑似接着用紙は、折り畳み疑似接着用紙、重ね合わせ疑似接着用紙の他、親展性を有する情報隠蔽用紙、親展性葉書、親展性封筒などとして好適に使用される。
【0019】
さて、本発明に係る疑似接着用紙の支持体シートとしては、米坪が66〜200g/m2のフォーム用紙、上質紙、中質紙のほか、アート紙、コート紙、軽量コート紙等のいわゆる塗工紙を好適に用いることもできる。米坪が66g/m2未満では、不慮の湿潤時の耐性が劣り、200g/m2を超えるものでは印刷適性等作業性が劣る。また、支持体シートとして、古紙パルプを50%以上配合した再生紙を用いると、同一坪量で比較した場合、一般の上質紙より不透明度が高く、親展情報を伝達する葉書用紙などの用途に適している。
【0020】
耐水性、支持体シートと接着層との界面接着強度を向上させるため、支持体シート、接着層に対して澱粉を塗布または内添しないことが有効である。
【0021】
本発明において、疑似接着剤組成物の基剤として用いられる非剥離性接着剤としては、ラテックス、具体的には天然ゴム系、合成ゴム系または合成樹脂系等の従来通常の疑似接着剤組成物に使用されているものの中から任意に選択して用いることができるが、特に、天然ゴムを無硫黄加流し、メタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックス、天然ゴムにメタアクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた天然ゴムラテックス、アクリル変性ゴムラテックス、ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとの混合物が耐ブロッキング性、耐経時劣化性、インク着肉性等の点で好適である。
【0022】
また、本出願人が特開平7−292329に開示したように、疑似接着剤組成物の基剤に、疑似接着剤組成物の接着力を向上させるためにポリエチレングリコールを添加してもよい。
【0023】
上記は疑似接着剤組成物系のものであるが、感熱接着剤や湿潤接着剤などを用いることもできる。
【0024】
非剥離性接着剤の接着力を抑制する微粒子充填剤としては、従来一般に用いられている微粒子充填剤の全てを用いることができる。具体的には、一次または二次凝集体を形成しているカルサイト系沈降性炭酸カルシウム、二次凝集体を形成しているアラゴナイト系沈降性炭酸カルシウム、スチレンビーズ、合成微粒子シリカ、通常のカルシウムや、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムもしくはチタン等の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩もしくは珪酸塩、またはこれらの混合物などが挙げられる。この他にも、焼成カオリンクレーおよび米澱粉の混合物を用いてもよい。
【0025】
疑似接着剤組成物の塗工方法としては、エアーナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、ロールコーター、バーコーター、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の塗工・印刷方式による塗工が好適であり、接着層表面を約1〜10kg/cm2で加圧し、接着層表面の過度の突出を平坦にするのが好ましい。
【0026】
いずれにしても、支持体シートの表面に対して形成された、上述例の疑似接着剤組成物からなる接着層は、通常では接着せず一定の条件が付与されたとき接着可能となる。この場合において、一定の条件としては、常態において加圧すること、加熱しながら加圧すること、感熱接着剤を用いる場合には加熱すること、湿潤接着剤を用いる場合には水に濡らすことなどを挙げることができる。接着後においては、接着層に対向する一方のシートを手で剥離可能である。
【0027】
本発明の第1の形態は、JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での離解試験において、離解所要時間が3分〜30分の範囲、特に5分〜15分の範囲がパルプ繊維の劣化が少ないことから好適であることを特徴とする。前記離解条件下において、離解所要時間が3分未満では、不慮の水濡れがあった場合、支持体シートの湿潤による強度劣化、疑似接着剤組成物の疑似接着強度変動が大きく剥離の際に支持体シートの破損、剥離困難の問題が生じる場合がある。離解に30分を超える時間が必要な場合は、離解に要するエネルギー費用、処理時間の負担が大きくコストアップになる。
【0028】
本発明の第2形態は、疑似接着用紙に使用する支持体シートが、J.TAPPI No.19に基づく湿潤時の紙層間剥離強さにおいて、50gf/15mm未満であることを特徴とする。湿潤は、JIS P 8135に基づき調整した。湿潤時の紙層間剥離強さの最も好適は、5〜45gf/15mmである。
【0029】
紙層間剥離強さの調整は、支持体シートに内添または塗布または含浸するPVAの量にて容易に調整できる。使用条件によっては、耐水化剤、湿潤紙力増強剤等の紙力を向上する増強剤を補助的に添加してもよい。
【0030】
剥離強さが50gf/15mm以上では、古紙としての再利用時に離解性が悪く、多大なエネルギー、コストを必要とし、5gf/15mm未満では、不慮の水濡れが生じた際に紙層中で破損が生じる場合がある。
【0031】
優れた再剥離性、耐水性を維持しつつ、離解性を高める第1及び第2の形態を得るには、前記支持体シートにPVAを内添する/または接着層側表面の少なくとも一部に、PVAを塗布または含浸し、これにPVAを内添した疑似接着剤組成物からなる層を形成することで得られる。
【0032】
この場合、PVAとしては、特にカルボキシ基変性PVA、スルホン基変性PVA、アセトアセチル基変性PVA、カチオン基(4級アンモニウム塩)変性PVA、珪素含有PVAを用いることができるが、好ましくは珪素含有PVAが好適である。
【0033】
珪素含有PVAは、各種無機物と顕著な相互作用を有し、特にシリカとは化学結合体を形成するため、接着層を形成する際、微粒子充填剤との造膜性に優れ、その被膜は透明かつ強靱でバリヤー性に優れているため、高い耐水性を発揮し、疑似接着剤組成物との親和性も高く疑似接着剤組成物の経時劣化防止、印刷適性向上が図られ、印字が対抗面に転写され情報印刷面が汚れる問題もなくなる。
【0034】
さらに、支持体シートと接着層とにPVAを内添、または塗布、含浸することで、支持体シートと接着層との界面接着強度が極めて堅牢になり、不慮の事故などによる濡れが生じても、接着強度に変動を来すことなく所定の接着層の剥離強度を維持することができる。
【0035】
このPVAの使用量は、乾燥重量で内添の場合、2〜20g/m2、塗布または含浸の場合0.5〜10g/m2であることが望ましい。少量であると、目的の耐水性が得られず、過度に多いと、コスト高となるばかりでなく、古紙として再利用する際に容易に離解ができず、再利用に分別が必要となりコストアップになる。
【0036】
続いて、支持体シート上に接着層が形成される。これによって、接着層中の接着剤の水酸基やカルボキシル基とPVA中のアルデヒド基やメチロール基とが反応して接着性、耐水性が高まり、かつ、その反応が支持体シートの表面部分で生じるので、支持体シートの繊維との結合を高め、支持体シートに対する接着層の、接着性および密着性を高める。
【0037】
特に耐水性向上に効果が認められるのは、珪素含有PVA、エポキシ変性PVA、カルボキシ基変性PVA、アセトアセチル基変性PVA、カチオン基変性PVAの各変性PVAを1種または2種以上混合させて含有させることである。この第2の形態においては、接着剤中にPH調整剤を含有させることが望ましく、このPH調整剤としてアンモニアを例示することができ、PHとして9〜12に調整すると、接着剤の発泡を防止しながら好適に塗布を行うことができる。
【0038】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
支持体シートとして古紙を50%配合した印刷用紙(米坪66g/m2)を用い、この支持体シートに、PVAを10g/m2内添した。
次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを80重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ20重量部、穀物澱粉50重量部、珪素含有PVA5重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例2>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートに珪素含有PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部、珪素含有PVA15重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例3>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、この支持体シートにエポキシ変性PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、エポキシ変性PVA20重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例4>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカルボキシ基変性PVAを4g/m2塗工した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部、カルボキシ基変性PVA15重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<実施例5>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカチオン基変性PVAを3g/m2塗布した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、カチオン基変性PVA20重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例1>
支持体シートとして上質紙(米坪66g/m2)を用いた。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを70重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ20重量部、穀物澱粉50重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例2>
支持体シートとして古紙を20%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートに珪素含有PVAを8g/m2内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを100重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例3>
支持体シートとして古紙を50%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用い、エポキシ基変性PVAを50g/m 2 内添した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを120重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例4>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪95g/m2)を用い、この支持体シートにサイズプレスにてカルボキシ基変性PVAを30g/m2塗工した。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを85重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ30重量部、穀物澱粉100重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
<比較例5>
支持体シートとして古紙を90%配合した印刷用紙(米坪200g/m2)を用いた。次いで、接着剤として天然ゴムを無硫黄加流しメタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテックスを95重量部、これに微粒子充填剤として合成微粒子シリカ50重量部、穀物澱粉150重量部、カチオン基変性PVA50重量部を添加した疑似接着剤組成物を塗布した。
【0039】
これらの各疑似接着用紙について下記の実験を行った。結果を表1に示す。
(湿潤強度)JIS P 8135を参考に湿潤調整した試料をもちい、J.TAPPI No.19に基づく紙層間剥離強さの測定を行った。測定値が50gf/15mm未満を◎、50gf/15mm以上を×とした。
(離解性)JIS P 8220に基づくパルプ離解方法において、標準離解機を使用し、絶乾量30g、離解液量2000ml、10,000回転の条件下での1分、3分、5分、10分、15分、20分、30分、45分の離解試験を行った。離解が3分から15分未満に行えたものを◎、15分から30分の範囲を△、3分未満と30分を超えた場合を×とした。
(不透明度)JIS P 8138に規定する測定方法で測定した。不透明度70%以上を○、80%以上を◎とした。不透明度70%未満を×とした。
(再湿疑似接着強度)本発明に係る疑似接着用紙を2つ折りにし、50kg/cm2の圧力に調整したドライシーラーにて疑似接着した試料を調整した。20℃、65RHの環境下で24時間放置した純水に10分間浸漬したのち、手指にて剥離を行い支持体シートの紙層破壊、疑似接着面の紙剥がれ、情報の判読を目視にて評価した。問題なく剥離できるものを◎、若干紙剥けがあるものを○、紙剥けが有るものの情報を判読できるものを△、紙層破壊、紙剥けを生じるものを×とした。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、要すれば、次記の利点が得られる。
(1)古紙を利用した印刷用紙を用いて、再利用可能な耐水性の向上した疑似接着用紙を得ることができる。
(2)従来例のように支持体シートの表面に強固な造膜を行うものではないから、用紙の通気性に優れ、カールの発生がなく、印刷適性および加工適性に優れたものとなる。
(3)同様な理由により、しかも、支持体シートのPVAと接着剤中のPVAとが優れた親和性を有することなどの理由により、支持体シート、接着層の良好な界面接着性を得ることができる。
(4)耐水化剤を設ける場合に比較して、廉価なPVAを使用でき、かつ使用量が少なくでき、優れた耐水性を発揮するものとなる。
(5)支持体シート中に耐水化剤を内添していないために優れた水難解性を示し、古紙回収によるリサイクル化などの再資源化においてきわめて有利である。
(6)塗工の場合、PVAそのものにより層を形成でき、発泡を生じることなく塗布を行うことができる。
(7)使用薬品トータルのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
折り畳み給与封筒の説明図である。
【図2】
三つ折り葉書の説明図である。
【図3】
二つ折り葉書の説明図である。
【図4】
一部折り畳み葉書の説明図である。
【符号の説明】
1…支持体シート、2…接着層、3…情報印刷面、4…宛名情報。
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