JP2000190667A - 情報記録用紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 雨水等によっで用紙が濡れても用紙を破る
ことなく確実に剥離できる貼り合わせ葉書類を提供す
る。 【解決手段】 情報記録用紙の基材表面に通常では接
着せず、一定条件が付与されると接着可能になり、接着
後剥離可能な疑似接着剤層を設け、前記疑似接着剤層
は、天然ゴム系接着剤（Ａ）と、スチレン−ブタジエン
系接着剤（Ｂ）を、（Ａ）：（Ｂ）の配合比率が３：７
〜７：３のの割合で混合した接着剤を主成分とする構成
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、重ね合わせ面に対
して圧力などの一定の条件を加えると疑似接着剤層を介
して接着するが必要時に容易に剥離できる機能を有する
情報記録用紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、重ね合わせ面に対して圧力などの
一定の条件を加えると疑似接着剤層を介して接着するが
必要時に容易に剥離できる機能を有する情報記録用紙
が、封書、葉書や各種のダイレクトメール、配送伝票、
ラベル等に広く用いられている。

【０００３】かかる封書や葉書等には１枚の用紙を少な
くとも２枚の紙面に折り畳み、又は２枚の用紙を重ね合
わせ、重ね合わせた紙面を接着して作成し、受取人が貼
り合わせた紙面を剥離して内部の印刷や印字内容を見る
ようにした構造が知られている。

【０００４】通常、この種の貼り合わせ葉書類では、紙
基材の少なくとも片面の一部に、天然ゴム、合成ゴムな
どのいわゆる非剥離性接着剤と、その接着剤の接着力を
抑制する微粒子充填剤とからなる接着剤の層が設けられ
ており、一定の条件を加えると疑似接着剤層を介して接
着するが必要時に容易に剥離できる機能を有するものが
一般的である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の貼り合
わせ葉書類は接着剤に天然ゴム系や合成ゴム系の接着剤
を殆ど単独に使用しているため、再剥離可能に擬似接着
後、郵送途中に雨に当たるなどにより当該葉書が水に濡
れた場合、用紙の表裏面や周縁の端面から内部に水が侵
入して用紙の強度が著しく低下し、紙裂け、紙基材破れ
が生じたり、接着層の剥離などの問題が生じることが明
らかになってきた。その最終的な結果は、情報の消失ま
たは不鮮明である。

【０００６】このための対策として、特開平７−２７６
８５８号では紙基材自体の強度を高める手段を、特開平
７−３０９０８６号では耐水化手段を講じることをそれ
ぞれ提案している。

【０００７】前者の特開平７−２７６８５８号、特開平
７−３０９０８６号では、葉書類の耐濡れ性をアップさ
せるべく、用紙の表面又は表裏面にコーティング樹脂被
膜を形成する方法が提案されるが、少しの濡れの場合に
は用紙を破ることなく剥離できるものの、多量の雨水で
用紙が濡れた場合や長時間の間、用紙が濡れていた場合
には用紙の周縁端面から内部に水が侵入して剥離時に用
紙が破れるという問題と、繊維が離解し難く、古紙とし
て再利用が困難であること、薬品が高価であり、遊離ホ
ルマリンが紙中に残る問題等が依然として残る。

【０００８】本発明は、かかる問題点に鑑み、雨水等に
よって用紙が濡れても用紙を破ることなく確実に剥離で
きるようにした情報記録用紙を提供することを課題とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本件発明者は上述の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、用紙が水に濡れた場合
の挙動として、紙基材自体の強度低下よりも、接着剤の
接着強度が濡れることにより向上することが剥離時に用
紙が破れるという問題の主要因であることを見出し、本
発明を完成するに至った。

【００１０】そこで、本発明に係る情報記録用紙は、基
材表面に通常では接着せず、一定条件が付与されると接
着可能になり、接着後剥離可能な疑似接着剤層が設けら
れ、その疑似接着剤層に伝達情報のプリントが行われる
情報記録用紙であって、前記疑似接着剤層は、天然ゴム
系接着剤（Ａ）と、スチレン−ブタジエン系接着剤
（Ｂ）を、（Ａ）：（Ｂ）の配合比率が３：７〜７：３
の割合で混合した接着剤を主成分として含む擬似接着剤
層であることを特徴とし、更に好ましくは、上記疑似接
着剤層に使用される、スチレン−ブタジエン系接着剤
は、ブタジエンの含有量が３０〜９０％である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る情報記録用紙
についてさらに詳述する。まず、本発明に係る情報記録
用紙の好適な使用形態について添付図面を参照しつつ説
明する。

【００１２】図１に示す折り畳み疑似接着給与封筒は、
紙基材１の表面に疑似接着剤層２が設けられこの疑似接
着剤層２上に給与情報を印刷した後、（Ｂ）図に示すよ
うに、その情報印刷面３を内面に印刷面印刷方向中心線
から２つに谷折りし、加圧接着させるものである。裏面
には、宛名情報４などが印刷される。

【００１３】図２に示す三つ折り葉書は、紙基材１の表
裏面に疑似接着剤層２，２を形成し、その表面に隠蔽情
報３、通信情報、宛名情報４を印刷した後、（Ｂ）図に
示すように、宛名印刷面が表面になるよう折り畳み加圧
接着させるものである。

【００１４】図３に示す二つ折り葉書および図４に示す
一部折り畳みタイプの葉書は、紙基材１の折り畳み内面
側に疑似接着剤層を形成し情報を印刷し、折り合わせて
加圧接着するもので、いずれも疑似接着剤層相互を重ね
合わせて加圧接着するものである。

【００１５】上記引例においては、郵送された受取者は
疑似接着面を見開くことにより隠蔽されていた印刷情報
を読み取ることができる。

【００１６】本発明の情報記録用紙は、上記例に掲げた
用途以外にも広く好適に用いられる。例えば、本発明
は、各種葉書、封筒、報告書にも好適に使用されるもの
であり、また、接着剤を紙基材の一部のみ塗布したり、
一部非塗布部を設けることで再剥離を容易ならしめるこ
とも可能である。本発明の情報記録用紙は、折り畳み疑
似接着用紙、重ね合わせ疑似接着用紙の他、親展性を有
する情報隠蔽用紙、親展性葉書、親展性封筒などとして
好適に使用される。

【００１７】さて、本発明に係る情報記録用紙の紙基材
としては、フォーム用紙、上質紙、中質紙のほか、アー
ト紙、コート紙、軽量コート紙等のいわゆる塗工紙を用
いることもできる。また、前記紙基材に、古紙パルプを
７０％以上配合することで、同一坪数で比較した場合、
一般の上質紙より不透明度が高く、親展情報を伝達する
葉書用紙などの用途に適している。

【００１８】この紙基材に対して、必要に応じてサイズ
プレスなどを用いて澱粉を塗布して表面強度を高めるこ
とが有効である。

【００１９】本発明において、接着剤の基剤として用い
られる非剥離性接着剤としては、特に天然ゴムを無硫黄
加硫し、メタアクリル酸メチルと混合した天然ゴムラテ
ックス、天然ゴムにメタアクリル酸メチルをグラフト重
合させて得られた天然ゴムラテックスとスチレン−ブタ
ジエン系接着剤との混合物を主成分とすることが、耐湿
接着強度安定性、耐ブロッキング性、耐経時劣化性、イ
ンク着肉性、再利用時の分別除去性等の点で好適であ
る。

【００２０】本発明においては、天然ゴム系接着剤
（Ａ）と、スチレン−ブタジエン系接着剤（Ｂ）を、
（Ａ）：（Ｂ）の配合比率が３：７〜７：３の割合で混
合した接着剤を主成分として含む擬似接着剤層であるこ
とを特徴とするが、（Ａ）の配合比率が３未満である
と、ブロッキングの発生が多くなり、紙ライクな手触り
が損なわれプリンター、印刷機での搬送トラブルが発生
しやすくなる。配合比率が７を超えると、用紙が濡れた
場合の耐湿接着強度安定性が悪くなり、紙基材の破れが
生じ易くなるほか、黄変化、紫外線による接着強度劣化
が発生する。

【００２１】更に好ましくは、疑似接着剤層に使用され
る、スチレン−ブタジエン系接着剤の、ブタジエンの含
有量を３０〜９０％の範囲に調整することで、耐水接着
強度安定性、耐磨耗性、弾性に優れた再剥離が容易な擬
似接着剤層を得ることができる。

【００２２】ブタジエンの含有量が３０％以下では、耐
水接着強度が劣り、９０％以上では、用紙表面のベタつ
き、ブロッキングが発生する場合がある。

【００２３】更に、上記擬似接着剤層には、感圧接着剤
として従来通常使用されているものの中から任意に選択
配合して用いることもできる。

【００２４】また、本出願人が特開平７−２９２３２９
に開示したように、接着剤の基剤に、接着剤の接着力を
安定、向上させるためにポリエチレングリコールを添加
してもよい。

【００２５】上記は感圧接着剤系のものであるが、再利
用する際、容易に分離除去可能な感熱接着剤や湿潤接着
剤などを併用して用いることもできる。

【００２６】非剥離性接着剤の接着力を抑制する微粒子
充填剤としては、従来一般に用いられている微粒子充填
剤の全てを用いることができる。具体的には、一次また
は二次凝集体を形成している力ルサイト系沈降性炭駿カ
ルシウム、二次凝集体を形成しているアラゴナイト系沈
降性炭酸カルシウム、スチレンビーズ、穀物澱粉、変性
澱粉、合成微粒子シリカ、通常のカルシウムや、亜鉛、
マグネシウム、アルミニウムもしくはチタン等の金属の
酸化物、水酸化物、炭酸塩もしくは珪酸塩、またはこれ
らの混合物などが挙げられる。この他にも、焼成カオリ
ンクレーおよび米澱粉の混合物を用いてもよい。

【００２７】無機微粒子充填剤の使用は、他の接着力抑
制剤と比較し、再利用時に填料等として回収可能であ
り、紙用等の内添、または塗工用として再利用できるこ
とから有益である。再利用填料は、流動床ボイラー等で
約５００〜１２００℃で焼成し０．５〜１０μに粉砕す
ることで白色度の高い再利用填料を得ることができ、再
度情報記録用紙に使用できる。

【００２８】接着剤の塗工方法としては、エアーナイフ
コーター、ブレードコーター、カーテンコーター、バー
コーター、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の塗工・印
刷方式による塗工が好適であり、疑似接着剤表面を約１
〜１０ｋｇ／ｃｍ²で加圧し、疑似接着剤層表面の過度
の突出を平坦にするのが好ましい。

【００２９】いずれにしても、紙基材表面に対して形成
された、上述例の疑似接着剤からなる接着層は、通常で
は接着せずー定の条件が付与されたとき接着可能とな
る。この場合において、一定の条件としては、常態にお
いて加圧すること、加熱しながら加圧すること、感熱接
着剤を用いる場合には加熱すること、湿潤接着剤を用い
る場合には水に濡らすことなどを挙げることができる。
接着後においては、接着剤層に対向するー方のシートを
手で剥離可能である。

【００３０】前記紙基材には、擬似接着層側表面に、湿
潤紙力増強剤層を形成し、これに前記擬似接着層を形成
する構成も行うことができる。湿潤紙力増強剤層の形成
にあたっては、ブレードやエアナイフ方式、スプレー、
印刷などの適宜の塗工方法を採ることができる。

【００３１】この場合、湿潤紙力増強剤としては、尿素
ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹
脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン樹
脂、ジアルデヒドデンプン、グリオキザール変性ポリア
クリルアミド、あるいはその変成物、さらにはこれらの
混合物などを用いることができるが、特にメラミンホル
ムアルデヒド樹脂が好ましい。

【００３２】さらに、この湿潤紙力増強剤の塗布量は、
乾燥重量で０．５ｇ〜１０ｇ／ｍ²であることが望まし
い。少量であると、耐水効果が得られず、過度に多いと
再利用が困難になるだけでなく、コスト高、接着性の低
下を招くなどの点で不利である。

【００３３】湿潤紙力増強剤層上に擬似接着層を形成す
ることによって、接着層中の接着剤の水酸基やカルボキ
シル基と湿潤紙力増強剤中のアルデヒド基やメチール基
とが反応して接着性が高まり、かつ、その反応が紙基材
の表面部分で生じるので、紙基材の繊維との結合を高
め、紙基材に対する湿潤紙力増強剤層および接着層の、
接着性および密着性を高める。

【００３４】湿潤紙力増強剤の他の使用形態として、接
着剤中にも湿潤紙力増強剤を含有させることがある。こ
の形態においては、紙基材に対して予め湿潤紙力増強剤
層を形成する必要はなく、直接紙基材に湿潤紙力増強剤
含有接着剤層を塗布すれはよい。この形態においては、
接着剤中にＰＨ調整剤を含有させることが望ましく、こ
のＰＨ調整剤としてアンモニアを例示することができ、
ＰＨとして９〜１２に調整すると、接着剤の発泡を防止
しながら好適に塗布を行うことができる。

【００３５】

【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。ま
た、特にことわらない限り、以下に記載する「部」及び
「％」は、それぞれ「重量部」及び「重量％」を意味す
る。 く実験例>紙基材として上質紙を用い、この紙基材に、
感圧接着剤として天然ゴムを無硫黄加硫しメタアクリル
酸メチルと混合した天然ゴムラテックスとスチレン−ブ
タジエン系接着剤からなる接着剤基剤を調整し、これに
微粒子充填剤として合成微粒子シリカ、澱粉を添加して
生成した接着剤を塗布して本発明の情報記録用紙を製作
した。

【００３６】初期接着力：初期着力の評価は、疑似接着
剤層が形成された用紙を２０℃、５０％で調湿し、２つ
折りで大日本印刷社製またはムーア社製の圧着機により
１５０μmのギャップを通して疑似接着させた後、横目
に５ｃｍ幅に切れ目を入れ、Ｔ型剥離機で６００ｍｍ／
ｍｉｎの速度で剥離し、剥離状況を観察することにより
行った。 ・剥離良好なもの→○ ・一部、接着剤の取られが有るものの、容易に剥離可能
なもの→△ ・擬似接着剤層の剥がれ、用紙の破れが生じる、若しく
は接着力が弱い（接着力が無い）もの→× 耐水性：所定の大きさの各試料を大日本印刷社製または
ムーア社製の圧着機により１５０μmのギャップを通し
て疑似接着させた後、巾５ｃｍに裁断し、水中に１０分
間浸漬した後、用紙表面の余分な水分を濾紙で取り除
き、１００mm／分の速度でＴ型剥離試験を行った。 ・剥離良好なもの→○ ・一部、接着剤の取られが有るものの、容易に剥離可能
なもの→△ ・擬似接着剤層の剥がれ、用紙の破れが生じたもの→× 耐湿接着強度安定性：所定の大きさの各試料を、２０
℃、８０％で調湿し、大日本印刷社製またはムーア社製
の圧着機により１５０μmのギャップを通して疑似接着
させた後、巾５ｃｍに裁断し、１００mm／分の速度でＴ
型剥離試験を行った。 ・剥離良好なもの→○ ・一部、接着剤の取られが有るものの、容易に剥離可能
なもの→△ ・擬似接着剤層の剥がれ、用紙の破れが生じたもの→× 再利用時の離解性：ＪＩＳＰ−８２０９に基づき標準離
解機にて所定時間離解後、手抄きシートを作成し試料と
した。前記試料の用紙表面、および繊維状態を黙視観察
した。 ・良好な地合いのもの→○ ・繊維の結束、異物が顕著にあるもの→× 結果を表１に示す。

【００３７】

【表１】

【００３８】（Ａ）は、天然ゴムラテックス（Ｂ）は、
スチレン−ブタジエン系接着剤 比較例４は、紙基材に更にメラミンホルムアルデヒド樹
脂を０．８ｇ／ｃｍ^２塗布した上で試料とした。

【００３９】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の情報記録用紙は、その用紙表面の擬似接着剤層を、天
然ゴム系接着剤（Ａ）と、スチレン−ブタジエン系接着
剤（Ｂ）を、（Ａ）：（Ｂ）の配合比率が３：７〜７：
３のの割合で混合した接着剤を主成分に構成することに
より、郵送途中に雨に当たるなどにより当該用紙が水に
濡れた場合、用紙の表裏面や周縁の端面から内部に水が
侵入して用紙の強度が著しく低下しても、安定した耐湿
接着強度を維持することで、紙裂け、紙基材破れが生じ
たり、接着層の剥離などの問題が生じることがなく、情
報記録用紙に求められる、印刷的性、擬似接着性に優れ
た効果を得る。

【図面の簡単な説明】

【図1】折重ね給与封筒の説明図である。

【図2】三つ折葉書の説明図である。

【図3】二つ折葉書の説明図である。

【図4】一部折返し葉書の説明図である。

【符号の税明】

1…紙基材、2…疑似接着剤層、3…情報印刷面、4…宛名
情報。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｄ２１Ｈ 19/44 Ｄ２１Ｈ 19/44 27/00 27/00 Ａ Ｆターム(参考） 2C005 WA03 4F100 AK73B AK73G AL05B AN01B AN01G BA02 CB05 DG10A GB90 HB31B JB06 JK01 JK03 JK06 JL14 YY00B 4J004 AA04 AA05 AB01 CB02 4L055 AG18 AG47 AG52 AG63 AG71 AG76 AG89 AG96 AH01 AH37 AJ03 BE08 EA32 FA13 FA19 FA30 GA19 GA42

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基材表面に通常では接着せず、一定条件が
   付与されると接着可能になり、接着後剥離可能な疑似接
   着剤層が設けられ、その疑似接着剤層に伝達情報のプリ
   ントが行われる情報記録用紙であって、前記疑似接着剤
   層は、天然ゴム系接着剤（Ａ）と、スチレン−ブタジエ
   ン系接着剤（Ｂ）を、（Ａ）：（Ｂ）の配合比率が３：
   ７〜７：３の割合で混合した接着剤を主成分として含む
   擬似接着剤層であることを特徴とする情報記録用紙。
2. 【請求項２】上記疑似接着剤層に使用される、スチレン
   −ブタジエン系接着剤は、ブタジエンの含有量が３０〜
   ９０％である請求項１記載の情報記録用紙。