JP2004090593A - 再剥離性圧着記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】常温、常圧の通常状態では粘着性、接着性を示さず、加圧時に接着性を示し、圧着後に剥離可能である感圧接着層を、該感圧接着層は、合成シリカ、アクリル共重合系エマルジョン、カチオン性樹脂及び天然ゴム系エマルジョンを含有し、主成分として天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)とを混合した感圧接着剤を含有し、 かつ配合比(B)/(A)が0.10以上〜0.70未満であるとともに、原紙の湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明の再剥離性圧着記録用紙は、インクジェット方式及びノンインパクト方式による記録、並びに水性インクを用いる他のペンプロッター等の記録、印刷、筆記に用いることができ、プロセスインキ、紫外線硬化型インキなどによるオフセット印刷も可能であり、更に、これら各種の方法を印刷、印字等の用途に於いて兼用可能な圧着記録用紙に関するものである。ここで圧着記録用紙とは、通常状態では粘着性、接着性ともに示さず加圧時に接着性を示し、加圧接着後に剥離可能な感圧接着層を有する記録用紙のことである。
【0002】
【従来の技術】
従来、官庁、自治体等の公的及び準公的機関や銀行、生命保険会社、証券会社等の金融機関、さらには学校等からの成績通知や受験(検)合格通知等の個人的プライバシーに係わる親展情報の郵送には、発送者の判断により葉書または封書が使われていた。しかし、個人情報の隠蔽化の点から葉書に比べ、高価な封書の使用が多く、発送者に多額の郵便費用がかかる問題があった。
【0003】
近年、郵便法の改正に伴い、封書よりも郵便料金が安く、封書と同様に情報の機密保持ができる親展葉書として二つ折り、三つ折りの記録用紙を重ね合わせ、葉書状に圧着する所謂「圧着葉書」が開発され、普及し始めている。
【0004】
通常、親展葉書用紙は葉書として定形事項を印刷した後、個人情報などの秘密情報を圧着層面に、宛先等をプリンター等で印字しドライシーラー等で秘密情報を外部に見えないように加圧積層して親展葉書となる。親展葉書は受取人が該圧着層より剥離することにより、情報を得ることが出来、いったん剥離すると該圧着面は通常の状態では接着性が無いため、剥離前の状態にはならない葉書である。
【0005】
情報システムの発展はめざましく、それに伴い、各情報システムに適合した記録方式が開発されている。コピー・印字スピードの高速化のみならずカラー化に代表される高画質化が進み、これらの実現に大きく寄与するために複写・印字方式である電子写真記録方式、インクジェット記録方式、感熱記録媒体を使用するサーマルヘッド記録方式が広く採用されている。
【0006】
インクジェット記録方式には種々の原理によりインクの微小液滴を飛ばして画像・文字などを記録するが、高速、低騒音、多色化が容易、現像−定着が不要などの特徴があり、記録装置として種々の用途において普及している。更に多色インクジェット方式により形成される画像は製版方式による多色印刷と遜色無い物を得ることが可能である。またコストが安価なことから、作製部数が少なくて済むフルカラー画像記録分野にまで用途範囲が広がってきている。
【0007】
圧着記録用紙に印刷を行うにあたり、従来使用されている酸化重合型のインキを使用した場合は、感圧接着剤組成物の塗布層上に印刷を行うことによる、インキが基材に浸透せず、また、印刷スピードが早い為、インキの乾燥不良が生じ、印刷後のシートがブロッキングしたり、印刷面に汚れが発生したり等の弊害が生じ、実際には使用できない。また圧着記録用紙を所定の力で貼り合わせた場合に、印刷したインキがインキの乾燥不良により、その対向面に転写し印刷情報の判読が不能になるという問題も生じる。
【0008】
現在その対策として、圧着記録用紙に印刷を施す場合、紫外線硬化型インキが使用されている。紫外線硬化型インキで印刷する場合には、紫外線照射装置で紫外線を照射しインキを硬化、乾燥させるため、印刷後のシートのブロッキング、インキの裏写り、印刷面の汚れが発生する等の弊害や、圧着記録用紙を所定の圧力で貼り合わせた場合に、印刷したインキがその対向面に転写するという問題は発生しない。
【0009】
しかしながら、従来使用の天然ゴム、あるいは合成ゴム、あるいはアクリル系粘着剤等の非剥離性接着剤を基材とした感圧擬似接着剤の塗布層は紫外線ランプ等により酸化劣化を受けやすい。このように接着成分が劣化を受けると、接着成分の粘弾性が乏しくなり、必要とする自着性あるいは粘着性を示さなくなる問題が生じる。
【0010】
そこで、感圧擬似接着剤組成物の接着力を設計する場合には、上述した紫外線等による接着力の劣化を考慮して、予め高い接着力を発現するように調整される。
しかしながらこれらの圧着記録用紙を使用する場合は、各利用者により使用の形態、あるいは加工等の条件等は、様々であるのが一般的である。すなわち同じ接着力に調整された圧着記録用紙であっても、オフセット印刷機による印刷のみに使用する場合、あるいはノンインパクトプリンター等による印字のみに使用する場合、あるいは両者を組み合わせた印刷に使用する場合があり、それぞれの場合により、接着力の度合いが異なってくる為、使用時の圧着記録用紙の接着力が異なってくる。したがって、これらの圧着記録用紙を同一条件で擬似接着させると、接着力が低すぎて輸送中に自然剥離したり、あるいは接着力が高すぎて再剥離せず圧着記録用紙が破れてしまうという事故が発生する等の欠点がある。
【0011】
また、これらの感圧擬似圧着シートを印刷する場合は、各利用者により印刷の条件、印刷スピード、紫外線ランプの出力、紫外線ランプの種類、紫外線ランプの灯数等様々であるのが一般的である。すなわち同じ接着力に調整された感圧擬似接着シートであっても、印刷時の条件により、接着力の劣化の度合いが異なってくる為、使用時の感圧擬似接着シートの接着力が異なってくる。従って、上記の場合と同様に、これらの感圧擬似圧着シートを、同一条件で擬似接着させると、接着力が低すぎて輸送中に自然剥離したり、あるいは接着力が高すぎて再剥離せず圧着記録用紙が破れてしまうという事故が発生する等の欠点がある。
【0012】
また、感圧擬似圧着シートによる圧着葉書の郵送途中又は、郵便受け等で雨水等に濡れると、接着剤の界面で剥離すべきが、紙層が剥離してしまい受取人に知らせるべき情報が読み取れなくなってしまうという欠点があることが判った。また長時間雨水に濡れると、用紙表面の強さが極度に弱くなってしまい、手指等で軽く触っただけで用紙表面に紙裂けが発生してしまい、宛名面等の情報が消えてしまう欠点もあり、甚だしい時には葉書が破れてしまい葉書としての機能を失ってしまうこともある。
【0013】
用紙が水に濡れた場合の挙動として、湿潤時の強度を向上させていない従来の一般の原紙ではそれ自体の紙層間強度の低下が起こり、尚且つ接着剤の接着強度が濡れる事により向上することが剥離時に用紙が破れるという問題の主要因である。
【0014】
そこで、特開平7−309086号公報のように原紙の湿潤強度を上げることで、雨水等によって用紙が濡れても破れなくするという提案がある。しかし、この方法は原紙の湿潤強度を上げる事でリサイクル時に用紙が再離解できないという欠点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、感圧擬似圧着シート表面に紫外線硬化型のインキを用いて各種情報等を設け、紫外線照射によるインキの定着処理等による接着力の低下がなく、安定した接着力を有すると共に、郵送時の雨水等によって用紙が濡れても用紙を破ることなく、更に用紙を再離解できることでリサイクル可能であり、また受取人が意図的に剥す場合には均一で緻密な剥離感が得られ、スムーズに剥離できるようにした情報記録用紙すなわち再剥離性圧着記録用紙を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係わる再剥離性圧着記録用紙は、常温、常圧の通常状態では粘着性、接着性を示さず、加圧時に接着性を示し、圧着後に剥離可能である感圧接着層を、少なくとも原紙の片面に有する再剥離性圧着記録用紙において、
該感圧接着層は、合成シリカ、アクリル共重合系エマルジョン、カチオン性樹脂及び天然ゴム系エマルジョンを含有し、主成分として天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)とを混合した感圧接着剤を含有し、かつ配合比(B)/(A)が0.10以上〜0.70未満であるとともに、原紙の湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
本発明の再剥離性圧着記録用紙の感圧接着剤塗工液で形成するオフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な感圧接着層において、インクジェット方式による発色性、滲み、且つ耐水性並びにプロセスインキ、紫外線硬化型インキなどによるオフセット印刷適性並びに再剥離性を満たすには、主成分となる薬品の選択が重要であり、天然ゴム系エマルジョン、アクリル共重合系エマルジョン等とカチオン性樹脂と合成シリカを組み合わせることがそれらの条件を満たす物である。
【0019】
天然ゴム系エマルジョンとしては、通常封筒用口糊などで用いられている感圧接着剤でも良く、天然生ゴム、天然加硫ゴム、メタクリル酸メチル(MMA)やスチレンモノマーなどのグラフト共重合天然ゴムエマルジョンがあり、これらを混合して用いても良い。
【0020】
アクリル共重合系エマルジョンとしては、アクリル酸エステル、スチレン・アクリルなどのアクリル共重合系エマルジョンなどがある。また、MMAのグラフト共重合系天然ゴムエマルジョンにアクリル共重合エマルジョンを併用した物が、印刷インキ受理性、表面強度、耐刷力、耐ブロッキング性、耐熱性、耐水性、顔料の固着性などを向上させる。
【0021】
また、アクリル共重合系エマルジョンは水溶性樹脂エマルジョンと分散させることが好ましい。本発明においてはアクリル共重合系エマルジョン100部に対して少なくとも5部〜200部の水溶性樹脂エマルジョンが含有されていることが好ましい。
【0022】
アクリル共重合エマルジョンに分散される水溶性樹脂エマルジョンは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の公知の水溶性高分子の中から、適宜選択して使用することが出来る。また、これらの樹脂は、単独に用いても2種類以上を併用しても良い。本発明においては、耐紫外線、印刷適性、耐ブロッキング性、耐水性等に優れた、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0023】
本発明において、感圧接着層の非剥離性接着剤としては、天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)の配合比(B)/(A)が0.10以上〜0.70未満の割合で混合した接着剤を主成分として含む接着層であることを特徴とする。
【0024】
そして、天然ゴム系エマルジョン(A)とアクリル共重合系エマルジョン(B)の混合比率(B)/(A)は、適度に調整する必要がある。なぜなら天然ゴム系エマルジョンが過多の場合は、ブロッキングの発生が多くなり、紙ライクな手触りが損なわれプリンター、印刷機での搬送トラブルが発生しやすくなる。また用紙が濡れた場合の耐水接着強度が不安定になり、原紙の破れが生じ易くなるほか、黄変化、紫外線による再剥離強度変化が発生する。反面、アクリル共重合系エマルジョンが過多の場合は、インクジェット品位におけるインク滲みが起きやすくなり、また再剥離させたときに印字面の対向面のインク写りが起こり、対向面の情報の判読に支障をきたす。
【0025】
更に好ましくは感圧接着剤層に使用されるアクリル共重合エマルジョンの含有量を5%〜30%の範囲に調整することで、耐水接着強度安定性、耐磨耗性、耐紫外線、弾性に優れた再剥離が容易な擬似接着剤層を得ることができる。
【0026】
アクリル共重合エマルジョンの含有量が5%未満では、オフセット印刷時における印刷強度が低くなり、インキによる塗工層剥け、紙剥けがおこる。また紫外線照射における天然ゴムの劣化による接着強度が不安定となる。アクリル共重合エマルジョンの含有量が30%を超えると、表面のベタつき、ブロッキングが発生する場合がある。
【0027】
カチオン性樹脂は、直接染料、酸性染料あるいは反応染料を紙に定着させる染料定着剤として用いており、シリカ系顔料をそのカチオン性によりカチオン活性させ、アニオン性を有するインクジェット用インクをイオン結合により定着させるのに効果があり、水性インクの耐水性を付与させる為に含有させる。本発明でいうカチオン性樹脂としてはポリアミン、ポリアルキルアミン及び変性ポリアミン系などのポリアミン系樹脂、ポリアミド・エポキシ樹脂、アミン・エピクロロヒドリン縮合樹脂などが使用できる。特にアミン・エピクロロヒドリン縮合樹脂を使用することが望ましい。印刷シートの単位面積当たりの塗工層に含まれるカチオン性樹脂は0.1〜4.0g/m2とするのが好ましい。カチオン性樹脂が0.1g/m2未満の場合は、水性インクの耐水性の効果が不充分であり、4.0g/m2を超える場合は、対向面への水性インクの転写が顕著になるからである。
【0028】
合成シリカとしては沈降法合成シリカ又はゲル法合成シリカを使用できるが、再剥離強度を向上させる目的において、合成シリカは圧着時のクッション性に優れる超微粉シリカの二次凝集粒子である沈降法合成シリカを使用することが好ましい。ゲル法合成シリカの二次凝集粒子は緻密である為に硬く、クッション性が沈降法合成シリカと比較して劣る為である。沈降法合成シリカを用いることで再剥離強度が向上するので、ゲル法シリカを含有した感圧接着層と同じ再剥離強度を得る場合、圧着ローラーのクリアランスを広げて加圧を減少させることができるので、対向面へのインク写りが起こらない再剥離性圧着記録用紙を得ることができる。沈降法合成シリカは、平均粒径が3〜4μmのものがさらに好ましい。二次凝集粒子の細孔にインクジェット用インクを取り込むからである。
【0029】
なお本発明において、クッション性又はインクジェット用インクの吸収性を調整する為に、ゲル法合成シリカを沈降法合成シリカに混合して使用しても良い。
【0030】
エマルジョン、例えば天然ゴム系エマルジョンとアクリル共重合系エマルジョンとの混合物に沈降法合成シリカ100重量部に対し、カチオン性樹脂を5〜80重量部の範囲となるように、沈降法合成シリカ及びカチオン性樹脂を添加し、塗工乾燥することにより、インクジェット用インクの発色、滲み、耐水性が十分に満たされる。
【0031】
また、他の塗工用顔料、例えば酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント、硫酸バリウム、水酸化アルミなどを適宜併用しても良い。また平均粒径が20μm程度の小麦澱粉との併用は、感圧接着層の表面に二つのピークの異なる凹凸状態を形成し、再剥離強度を向上させながら、耐ブロッキング性を付与させるので最も好ましいが、これ以外の澱粉、例えば馬鈴薯、タピオカ、コーンなどを原料とした物、あるいはシリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンなどを併用することができる。
【0032】
オフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層を形成する為の顔料塗工液は、合成シリカ、少なくとも1種類以上のカチオン性樹脂、及び少なくとも1種類以上の水系バインダーにより製造する。
【0033】
ここでカチオン性樹脂とは、上述した物と同様の物を用いることができ、水系バインダーは、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合物、スチレン・ブタジエン系エマルジョン共重合物、アクリル・ブタジエン系エマルジョン共重合物等を用いることができる。
【0034】
これらの顔料塗工液及び感圧接着剤塗工液には各種添加剤を含有しても良く、塗工時の作業向上の為、レベリング剤や消泡剤・抑泡剤、後加工性を向上させるためにワックス類、視感による白色度向上のため蛍光染料、導電性を付与させるため界面活性剤や無機塩類からなるいわゆる帯電防止剤などを含有させることができる。その他、必要に応じて分散剤、印刷適性向上剤、潤滑剤、撥水剤、浸透剤、増粘剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、染料定着剤、サイズ剤、紙力増強剤、保水剤、消臭剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤なども目的に応じて併用することが出来る。
【0035】
さらに、印刷強度(表面強度)を向上させる目的において酸化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、大豆蛋白、合成蛋白、カゼインなどを並びに酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジェン系エマルジョン、スチレン・ブタジエン系エマルジョン、アクリル・ブタジエン系エマルジョンなどを必要に応じ含有させることができる。
【0036】
また、長時間雨水に濡れたときに生じる前記したときのような問題は原紙製造時に湿潤紙力増強剤を併用することで解決できることがわかり、湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)の範囲に入るように抄造することが必要である。
【0037】
湿潤紙力増強剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の公知の湿潤紙力増強剤がいずれも使用でき、原紙を抄造後、湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)となるだけの量を内添することが必要である。また、湿潤引っ張り強さが1.2kgf以上では、長時間雨水に濡れたとしても用紙が破れる事はないが、リサイクル時の再離解が不可能になる。
【0038】
上記オフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な顔料塗工液の塗工は、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗工されるが、塗工量は乾燥重量で3〜15g/m2の範囲で調整されるのが望ましい。塗工量を上記範囲に限定した理由は、3g/m2未満ではインクジェット用インク受理層且つオフセットインキ受理層として、インクの受容量が低下し、印字品位や印刷上がりなどの視感的な面で劣り、更にインクジェット用インクの耐水定着性が低下し、好ましくないためである。また、塗工量が15g/m2を超えると、印字品位や印刷上がりなどの視感的な見栄えは向上するが、経済的な面から実用性が劣り、筆記性が乏しく、紙粉が発生しやすく、好ましくない。
【0039】
上記オフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な感圧接着剤塗工液の塗工は、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗工されるが、塗工量は乾燥重量で3〜15g/m2の範囲で調整されるのが望ましい。塗工量を上記範囲に限定した理由は、3g/m2未満ではインクジェット用インク受理層且つオフセットインキ受理層として、インクの受容量が低下し、印字品位や印刷上がりなどの視感的な面で劣り、更にインクジェット用インクの耐水定着性や感圧接着剤層としての接着力が低下し、好ましくないためである。また、塗工量が15g/m2を超えると、印字品位や印刷上がりなどの視感的な見栄えは向上するが、経済的な面から実用性が劣り、筆記性が乏しく、紙粉が発生しやすく、感圧接着層としての接着力が強すぎて印字面の紙表面破壊を起こし、好ましくない。
【0040】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例により説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例の重量部数はすべて固形分換算での数値で示すものとする。
【0041】
実施例1
湿潤時の引張り強さが1.12kgf/15mm(MD)の原紙に、以下の組成の顔料塗工液を乾燥塗工量が7g/m2となるように塗工、乾燥させた後、上記顔料塗工層の反対面に下記の感圧接着塗工液を乾燥塗工量がそれぞれ6g/m2となるように塗工、乾燥させて再剥離性圧着記録用紙を作製し、これを実施例1とした。
<顔料塗工液>
合成シリカ 100部
ポリビニルアルコール 15部
カチオン性樹脂 15部
<感圧接着塗工液>
沈降法合成シリカ(水沢化学工業社製、ミズカシル P−526) 100部
天然ゴム系エマルジョン 70部
アクリル共重合系エマルジョン 30部
(日信化学工業製、ビニブラン VA757)
澱粉粒子 100部
アミン・エピクロロヒドリン縮合樹脂 35部
<原紙>
湿潤時の引張り強さ 1.12kgf/15mm(MD)
【0042】
実施例2
実施例1の感圧接着塗工液1でアクリル共重合系エマルジョン(日信化学工業製、ビニブラン VA757)を10部に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作成し、これを実施例2とした。
【0043】
実施例3
実施例1の感圧接着塗工液1でアクリル共重合系エマルジョン(日信化学工業製、ビニブラン VA757)を40部に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作成し、これを実施例3とした。
【0044】
比較例1
実施例1の感圧接着塗工液1でアクリル共重合系エマルジョン(日信化学工業製、ビニブラン VA757)をスチレン・ブタジエン共重合系エマルジョン30部に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作成し、これを比較例1とした。
【0045】
比較例2
実施例1の感圧接着塗工液1でアクリル共重合系エマルジョン(日信化学工業製、ビニブラン VA757)を60部に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作成し、これを比較例2とした。
【0046】
比較例3
実施例1の原紙を湿潤時の引張り強さが0.71kgf/15mm(MD)に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作製し、これを比較例3とした。
【0047】
比較例4
実施例1の原紙を湿潤時の引張り強さが1.44kgf/15mm(MD)に変更した以外は、実施例1と同様にして再剥離性圧着記録用紙を作製し、これを比較例4とした。
【0048】
上記実施例及び各比較例に従って製作した再剥離性圧着記録用紙の顔料塗工面側となるオフセット印刷可能なインクジェット用インク受理層(以下、単に宛名面と称する)及び、感圧接着面側となるオフセット印刷可能でインクジェット用インク受理可能な感圧接着層(以下、単に圧着面と称する)について、シーラー圧着後、インクの印字品位、紫外線照射前後の再剥離強度、再剥離時の紙層破壊の各性能試験を行なった。
表1に各実施例及び各比較例の各性能試験の結果を示す。
以下各性能試験の方法とその評価の仕方を示す。
【0049】
(1)インクの印字品位
インクジェットプリンター(ヒューレットパッカード社製HP DeskJet560J)のインクカートリッジにサイテックス1040黒インクを注射器で注入し、圧着面にテスト印字パターン(文字、線、ベタ)を印字し、視感で評価した。鮮明な画像、印字が得られたものから◎、○、△、×とした。
【0050】
(2)再剥離強度
再剥離性圧着記録用紙を葉書の大きさにカットし、圧着面を内側に折り込み、ロール加圧により圧着し、その圧着力を測定する。また、圧着面に紫外線照射(オゾン発生水銀ランプ 型GS HI−20N 2000W、紫外線ランプと紙との距離27cm、照射時間0.57秒)後、葉書の大きさにカットし、圧着面を内側に折り込み、ロール加圧により圧着し、その圧着力を測定する。ロール加圧には、ドライシーラーPRESSLE econo(トッパン・フォームズ株式会社製)を使用した。ロール加圧は、幅10cmの試料をロールシーラーのギャップ約130μmの条件でローラー処理を行う。各実施例及び各比較例の再剥離性圧着記録用紙は上記の条件でロール圧着を行う。本作業は迅速に行い、試料はポリ袋に密封保存するため、試料は実機製造時の水分を維持しているものとする。次に23℃、50%R.H.の環境下でストログラフM−1型(東洋精機製作製)で速度300mm/分、剥離角90度(T型剥離)で剥離し、その抵抗値を測定する。試料は幅10cmの中央部を25mm巾に断裁して測定し、数値を平均して圧着力gf/25mmを求める。剥離可能な圧着力とは、望ましくは紫外線照射後、60〜120gf/25mmである。これより高いと剥離する場合に紙面が破れるなどのトラブルが発生しやすく、低いと配達中などに剥離してしまうなどのトラブルが発生しやすい。
【0051】
(3)湿潤時の原紙の引張り強さ(MD)
原紙を5分間水浸漬した後、JIS P−8113に準じて測定をおこなった。
(4)再剥離時の紙層破壊
親展情報を見る為に接着された面を指で再剥離し、原紙の紙層破壊が起こるか否かで評価した。○は紙剥けがないことを、×は紙剥けが起こったことを示す。
(5)用紙の再離解性
JIS P−8209に準じた標準離解機により50℃温水、苛性0.5%(対パ)、離解濃度1%で10分離解した。○は完全に離解できたものとし、×は離解できなかったことを示す。
上記の方法により試験を行い、その評価結果を下記表1に示した。
【0052】
【表1】
* (B)/(A)は天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)の配合比
【0053】
表1から明らかなように、配合比(B)/(A)が0.1〜0.7の範囲内のある実施例1〜3はオフセット印刷で想定される紫外線照射におけるゴムの劣化が少なく、及びインクジェット印刷用記録紙としての機能を満足し、水に濡れたときの紙層破壊が起こらなく、用紙の再離解が可能という優れた効果があることが判る。
【0054】
これに対して、比較例1はオフセット印刷で想定される紫外線照射におけるゴムの劣化が大きい。比較例2はアクリル共重合エマルジョン過剰の為、インクの塗工層への浸透が小さく、結果として滲みが見られる。比較例3は原紙の引っ張り強度が低い為、水浸漬後の紙層間強度低下が起こり、用紙が破れるという結果となった。また、比較例4は原紙の引っ張り強度が高いため、用紙の再離解が不可能であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係る再剥離性圧着記録用紙は、その用紙表面の擬似接着層の主成分を、天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)とを混合した感圧接着剤を含有し、かつ配合比(B)/(A)が0.10以上〜0.70未満であることにより、紫外線硬化型のインクを使用して印刷し、紫外線ランプの照射によりインキの乾燥を行うことにより、接着力の劣化が少なく、及びインクジェット印刷用記録紙としての機能を満足し、原紙は湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)であることにより、郵送途中に雨に当たるなど当該用紙が水に濡れた場合、用紙の表裏面や周縁の端面から内部に水が侵入しても用紙の強度が低下せず、更に用紙を再離解できることでリサイクル可能であり、また安定した再剥離強度を維持することで、紙剥けが生じることがなく、再剥離性圧着記録用紙に求められる優れた効果を得る。
Claims (1)
- 常温、常圧の通常状態では粘着性、接着性を示さず、加圧時に接着性を示し、圧着後に剥離可能である感圧接着層を、少なくとも原紙の片面に有する再剥離性圧着記録用紙において、
該感圧接着層は、合成シリカ、アクリル共重合系エマルジョン、カチオン性樹脂及び天然ゴム系エマルジョンを含有し、主成分として天然ゴム系エマルジョン(A)と、アクリル共重合系エマルジョン(B)とを混合した感圧接着剤を含有し、
かつ配合比(B)/(A)が0.10以上〜0.70未満であるとともに、
原紙の湿潤引張り強さ(JIS P−8113)が1.0kgf以上〜1.2kgf未満/15mm(MD)であることを特徴とする再剥離性圧着記録用紙。
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