JP2001189209A - 焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents
焼結磁石およびその製造方法Info
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Abstract
くい乾式成形法を用いて製造されるフェライト焼結磁石
において、焼結体密度を向上させることにより残留磁束
密度の向上をはかる。 【解決手段】 Sr、BaおよびPbから選択され、S
rを必ず含むものをAとし、Y、希土類元素およびBi
から選択され、Laを必ず含むものをRとし、Co、ま
たはCoおよびZnをMとしたとき、主成分としてA,
R,FeおよびMを含有し、主成分を式A1-xRx(Fe
12-yMy)zO19で表したとき、0.04≦x≦0.4
5、0.04≦y≦0.3、0.9≦x/y≦1.5、
0.95≦z≦1.05であり、さらに、副成分として
SiO2およびCaOを含有し、主成分に対する副成分
の比率が0.42〜0.84質量%であり、副成分中の
モル比Ca/Siが1.3〜2.2である焼結磁石。
Description
てフェライト焼結磁石を製造する方法およびこの方法に
より製造されたフェライト焼結磁石に関する。
(M型)フェライト磁石は、安価でしかも高い磁気特性
を有するという特徴から、家電製品や自動車に搭載され
る電装用モータなどに広く利用されている。
合して仮焼し、次いで、適度な粒度となるまで粉砕して
磁石材料粉末とした後、必要な形状に成形し、焼結する
ことにより製造する。異方性焼結磁石を製造するために
は、磁場中で成形を行う。成形方法は湿式法と乾式法と
に大別され、高磁気特性を目標とするものには湿式成形
法が用いられる。
などの分散媒に懸濁させてスラリーを調製し、このスラ
リーを成形装置の成形空間内に圧送して充填し、磁場中
で加圧すると共に分散媒を成形空間外へ排除することに
より成形体を得る。湿式成形法では分散媒を用いるた
め、磁石材料粉末を構成する粒子が回転しやすく、その
結果、磁場印加による配向が容易となって高磁気特性、
特に高い残留磁束密度が得られる。しかし、湿式成形法
では分散媒を排除する必要があるため、成形時間が長く
なって生産性が低くなる、成形装置の金型構造が複雑に
なる、成形装置が大掛かりになる、といった短所も存在
する。
粉末を成形空間内に充填し、磁場中で加圧して成形す
る。乾式成形法は、生産性が高く、成形装置の構造も単
純であるため、製造コストが低いという長所があるが、
湿式成形法に比べ磁場印加による配向性が劣る結果、高
い残留磁束密度が得られないという短所がある。なお、
磁石の残留磁束密度Brは、磁石の密度およびその配向
度と、その結晶構造で決まる飽和磁化(4πIs)とで
決定され、 Br=4πIs×配向度×密度 で表わされる。
石材料粒子同士の凝集、摩擦を和らげる分散媒が存在し
ないためである。乾式成形法では、一般に、粒子間の摩
擦低減のために、界面活性剤等の有機物を添加したり、
加圧時の補形力を向上させるために有機バインダを添加
したりする。例えば特開平7−99129号公報では、
仮焼後の湿式粉砕の際にスラリー中に界面活性剤を添加
することにより、配向度を向上させて高残留磁束密度を
得る提案がなされている。ただし、有機物の添加は密度
を低下させ、その結果、配向度向上による残留磁束密度
向上効果が相殺されてしまうので、有機物の添加量を抑
え得る配向度向上手段が望まれる。
は、焼結助剤や結晶粒径制御剤として働く添加物を磁石
材料粒子間に介在させて液相化させることにより、焼結
体密度や保磁力を向上させることが一般的である。添加
物としてはSiO2、CaOが最も一般的である。例え
ば上記特開平7−99129号公報では、SiO2を
0.1〜1.0質量%、CaOを0.05〜1.5質量
%含有させることが好ましい旨が開示され、実施例で
は、仮焼粉に対し0.5質量%のSiO2と1質量%の
CaCO3とを添加している。また、特許第29086
31号公報では、焼結を促進するために、SiO2およ
びCaOに加えてMO(ただしMはPb、BaおよびS
rの少なくとも1種)を添加し、MOの一部を結晶粒界
中に存在させることを提案している。なお、同公報の実
施例には成形法についての記載はないが、記載されてい
る磁気特性から判断すると、湿式成形法を用いたものと
考えられる。また、特開平5−182820号公報で
は、SiO2、CaCO3、SrCO3に加え、さらにH3
BO3を添加して焼結することが提案されている。同公
報の実施例では、湿式成形法を用いている。
は、M型のSr系フェライトの主成分の一部をLaおよ
びCoで置換することにより、高飽和磁化および高保磁
力を両立させる提案がなされている。ただし、同公報に
おいて高飽和磁化および高保磁力が確認されているのは
湿式成形を用いた場合である。
来、Sr系フェライト磁石の高性能化には、まず、湿式
成形法を用いることが第1と考えられている。そのた
め、低コスト化が可能な乾式成形法を用い、かつ、磁石
の高性能化をはかる提案は少ない。
が高特性が得られにくい乾式成形法を用いて製造される
フェライト焼結磁石において、焼結体密度を向上させる
ことにより残留磁束密度の向上をはかることである。
(1)および(2)の本発明により達成される。 (1) 六方晶マグネトプランバイト型フェライトを主
相として有し、Sr、BaおよびPbから選択される少
なくとも1種の元素であって、Srを必ず含むものをA
とし、Y、希土類元素およびBiから選択される少なく
とも1種の元素であってLaを必ず含むものをRとし、
Co、またはCoおよびZnをMとしたとき、主成分と
してA,R,FeおよびMを含有し、前記主成分の組成
を 式 A1-xRx(Fe12-yMy)zO19 (x,y,zはモル数を表す)で表したとき、 0.04≦x≦0.45、 0.04≦y≦0.3、 0.9≦x/y≦1.5、 0.95≦z≦1.05 であり、さらに、副成分としてSiO2およびCaOを
含有し、主成分に対する副成分の比率が0.42〜0.
84質量%であり、副成分中のモル比Ca/Siが1.
3〜2.2であり、乾式成形法を用いて製造されたもの
である焼結磁石。 (2) 上記(1)の焼結磁石を製造する方法であっ
て、出発原料の混合物を得る混合工程と、前記混合物を
焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、前記仮焼体を粉砕し
て磁石材料粉末を得る粉砕工程と、前記磁石材料粉末を
乾式成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼
結する焼結工程とを設け、混合工程またはこれと粉砕工
程とにおいて、副成分の出発原料を添加する焼結磁石の
製造方法。
ト磁石において添加物として一般的に用いられていたS
iO2およびCaCO3を添加する際に、両者の総量を従
来よりも低く抑えると共に、モル比Ca/Siが所定範
囲内となるように制御する。本発明者は、SiO2およ
びCaCO3をこのように添加して乾式成形し、得られ
た成形体を焼結したとき、磁石材料粒子が従来とは全く
異なる焼結挙動を示し、その結果、従来の乾式成形法で
は実現し得ない高残留磁束密度かつ十分な保磁力を備え
る焼結磁石が実現することを見いだした。
減することにより、結晶の板状化が促進される結果、焼
結体密度が著しく向上する。そして、この板状化促進に
よって焼結時の結晶の再配列が活発となるので、配向性
の悪い乾式成形法を用いた場合でも焼結後の配向度が良
好となる。このように焼結体密度および配向度が向上す
る結果、残留磁束密度が著しく向上する。一方、結晶粒
の板状化が進んで粒径が均一となり、微小粒子の比率が
減少するため、保磁力はやや低下する。これに対し本発
明では、主組成の置換成分として上記元素Rおよび元素
Mを含有させることにより保磁力を向上させる。その結
果、本発明では、従来の乾式成形フェライト磁石では実
現不可能であった著しく高い残留磁束密度と十分に高い
保磁力とが得られる。
来全く知られていないことである。前記した各公報に
は、SiO2およびCaCO3の添加量の下限として、本
発明において限定する範囲を包含する範囲が記載されて
いるものもある。しかし、前記各公報の実施例に記載さ
れているように、SiO2とCaCO3との合計量を本発
明で限定する範囲内として磁石を作製した例はない。本
発明で限定する副成分含有量はSiO2+CaOとして
算出されているため、これをSiO2+CaCO3に換算
すると、ほぼ0.6〜1.2質量%となる。これを前記
各公報の実施例における添加量と比較すると、例えば、
湿式成形法を用いてLaおよびCoを含有する磁石が製
造されている上記特開平11−154604号公報では
SiO2+CaCO3が2.0質量%となり、また、乾式
成形法を用いている上記特開平7−99129号公報で
は、SiO2+CaCO3が1.5質量%となり、いずれ
も本発明で限定する範囲を大きく上回る。
O3を本発明で限定する範囲内で添加した例がないの
は、SiO2およびCaCO3が単なる結晶粒径制御剤お
よび焼結助剤として考えられていたからである。そのた
め、これらを少量しか添加しないと焼結体密度が低くな
って残留磁束密度が低くなると考えられていた。これに
対し本発明者は、上述したように結晶の板状化が促進さ
れること、その結果、配向度および焼結体密度が向上す
ること、これにより残留磁束密度が向上することを、全
く新たに見いだした。
予期し得ない効果として、焼結時の温度変動および雰囲
気変動による磁気特性(特に保磁力)への影響が小さく
なる、という効果が得られることがわかった。フェライ
ト磁石を製造する際には、その焼結工程において、バイ
ンダや分散剤等の分解・燃焼に伴う酸素の吸収、構成元
素の価数の変化や構造の変化に伴う酸素の吸収・放出等
により、焼成雰囲気中の酸素分圧が絶えず変動してい
る。その変動の幅は、被焼成体の組成および焼成炉への
投入量、添加物の種類および添加量など、各種条件に応
じて大きく異なるため、酸素分圧が常に一定となるよう
に制御することは難しい。したがって、焼成時の酸素分
圧変動により特性が影響されやすい組成のフェライト磁
石では、本来の高保磁力を安定して実現することが難し
い。特に、量産時の生産性向上に有効である連続炉で
は、バッチ炉に比べ酸素分圧の変動がより大きくなる。
また、焼成に要するコストが低い炉、例えばガス燃焼炉
など燃料の燃焼を利用して加熱する方式の炉では、燃料
の燃焼の際に酸素を消費するため、炉中の酸素分圧が激
しく変動する。したがって、連続炉および燃焼炉ならび
に燃焼炉タイプの連続炉を利用する場合には、特に、焼
成時の酸素分圧変動に影響されにくいフェライト磁石が
求められる。このような要望に対し、本発明では焼結時
の温度変動および雰囲気変動による磁気特性への影響を
小さくできるので、乾式成形法を用いることによる低コ
スト化に加え、焼成炉の選択にかかわる低コスト化も可
能である。
トを主相とする焼結磁石が製造される。
r、BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元
素であって、Srを必ず含むものをAとし、Y、希土類
元素およびBiから選択される少なくとも1種の元素で
あってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCo
およびZnをMとしたとき、A,R,FeおよびMを主
成分として含有する。
わち元素Rの量が少なすぎると、六方晶フェライトに対
する元素Mの固溶量を多くできなくなり、飽和磁化向上
効果および/または異方性磁場向上効果が不十分となっ
てくる。xが大きすぎると六方晶フェライト中に元素R
が置換固溶できなくなり、例えば元素Rを含むオルソフ
ェライトが生成して飽和磁化が低くなってくる。yが小
さすぎると飽和磁化向上効果および/または異方性磁場
向上効果が不十分となってくる。yが大きすぎると六方
晶フェライト中に元素Mが置換固溶できなくなってく
る。また、元素Mが置換固溶できる範囲であっても、異
方性定数(K1)や異方性磁場(HA)の劣化が大きくな
ってしまう。zが小さすぎるとSrおよび元素Rを含む
非磁性相が増えるため、飽和磁化が低くなってしまう。
zが大きすぎるとα−Fe2O3相または元素Mを含む非
磁性スピネルフェライト相が増えるため、飽和磁化が低
くなってしまう。
きすぎても元素Rと元素Mとの価数の平衡がとれなくな
り、W型フェライト等の異相が生成しやすくなる。元素
Mは2価であるから、元素Rが3価イオンである場合、
理想的にはx/y=1である。なお、x/yが1超の領
域で許容範囲が大きい理由は、yが小さくてもFe3+→
Fe2+の還元によって価数の平衡がとれるためである。
モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好
ましくは100モル%である。元素A中のSrの比率が
低すぎると、飽和磁化および保磁力を十分に高くできな
い。
ましくは40モル%以上、より好ましくは70モル%以
上であり、飽和磁化向上のためには元素RとしてLaだ
けを用いることが最も好ましい。これは、六方晶M型フ
ェライトに対する固溶限界量を比較すると、Laが最も
多いためである。したがって、元素R中のLaの割合が
低すぎると元素Rの固溶量を多くすることができず、そ
の結果、元素Mの固溶量も多くすることができなくな
る。また、Biを併用すれば仮焼温度および焼結温度を
低くすることができるので、生産上有利である。
ある。元素M中のCoの比率は、好ましくは50モル%
以上、より好ましくは80モル%以上であり、最も好ま
しくは100モル%である。Coの比率が低すぎると、
保磁力および飽和磁化の向上が不十分となる。
のモル数は19となっているが、これは、元素Rがすべ
て3価であって、かつx=y、z=1のときの化学量論
組成比を示したものである。元素Rの種類やx、y、z
の値によって、酸素のモル数は異なってくる。また、例
えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素の欠損
(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、Fe
はM型フェライト中においては通常3価で存在するが、
これが2価などに変化する可能性もある。また、Co等
の元素Mも価数が変化する可能性があり、これらにより
金属元素に対する酸素の比率は変化する。本明細書で
は、元素Rの種類やx、y、zの値によらず酸素のモル
数を19と表示してあるが、実際の酸素のモル数は化学
量論組成比から多少偏倚していてもよい。
分としてSiO2およびCaOが含有される。上記主成
分に対するSiO2およびCaOの合計量の比率は、
0.42〜0.84質量%、好ましくは0.42〜0.
75質量%である。なお、主成分の質量は、磁石中に含
有される金属元素量に基づいて、上記組成式を利用して
算出する。また、副成分中におけるモル比Ca/Si
は、1.3〜2.2、好ましくは1.6〜2.2であ
る。
内とすることにより、焼結時の異常粒成長を抑制できる
と共に、結晶粒の板状化が促進される。その結果、焼結
時の結晶の再配列が進むと共に緻密な焼結体が得られる
ので、残留磁束密度が極めて高い焼結磁石が実現する。
主成分に対する副成分の比率が低すぎると、焼結に必要
な液相の生成が不十分となって焼結体密度の向上が不十
分となる結果、残留磁束密度が低くなる。一方、主成分
に対する副成分の比率が高すぎても、焼結体密度の向上
が不十分となり、残留磁束密度が低くなってしまう。モ
ル比Ca/Siが小さすぎると、焼結体密度の向上が不
十分となる。一方、モル比Ca/Siが大きすぎると、
すなわち、SiO2が多すぎると、粒成長の制御が効か
ず、保磁力が低くなってしまう。
もよい。Al2O3の含有量は、好ましくは1.0質量%
以下である。本発明を適用すれば、Al2O3含有量をこ
の程度に抑えても、十分に高い保磁力が得られるため、
残留磁束密度の低下を抑えることができる。なお、Al
2O3添加の効果を十分に発揮させるためには、Al2O3
含有量を0.1質量%以上とすることが好ましい、
い。B2O3を含むことにより仮焼温度および焼結温度を
低くすることができるので、生産上有利である。B2O3
の含有量は、主成分に対し0.5質量%以下であること
が好ましい。B2O3含有量が多すぎると、飽和磁化が低
くなってしまう。
なくとも1種が含まれていてもよい。これらをそれぞれ
Na2O、K2OおよびRb2Oに換算したとき、これら
の含有量の合計は、焼結磁石全体の3質量%以下である
ことが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁
化が低くなってしまう。これらの元素をMIで表わした
とき、焼結磁石中においてMIは例えば Sr1.3-2aRaMI a-0.3Fe11.7M0.3O19 の形で含有される。なお、この場合、0.3<a≦0.
5であることが好ましい。aが大きすぎると、飽和磁化
が低くなってしまう他、焼成時に元素MIが多量に蒸発
してしまうという問題が生じる。
i,Mg,Mn,Ni,Cr,Cu,Ti,Zr,G
e,Sn,V,Nb,Ta,Sb,W,Mo等を酸化物
の形で、それぞれ酸化ガリウム5質量%以下、酸化イン
ジウム3質量%以下、酸化リチウム1質量%以下、酸化
マグネシウム3質量%以下、酸化マンガン3質量%以
下、酸化ニッケル3質量%以下、酸化クロム5質量%以
下、酸化銅3質量%以下、酸化チタン3質量%以下、酸
化ジルコニウム3質量%以下、酸化ゲルマニウム3質量
%以下、酸化スズ3質量%以下、酸化バナジウム3質量
%以下、酸化ニオブ3質量%以下、酸化タンタル3質量
%以下、酸化アンチモン3質量%以下、酸化タングステ
ン3質量%以下、酸化モリブデン3質量%以下程度含有
されていてもよい。
により測定することができる。また、主相、すなわち六
方晶構造を有するフェライト相の存在は、X線回折によ
り確認できる。
明の製造方法は、乾式成形法を用いる通常の方法と同様
に、出発原料の混合物を得る混合工程と、前記混合物を
焼成して仮焼体を得る仮焼工程と、前記仮焼体を粉砕し
て磁石材料粉末を得る粉砕工程と、前記磁石材料粉末を
乾式成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼
結する焼結工程とを有する。
る各種化合物、例えば炭酸塩、シュウ酸塩等を用いれば
よい。
て好ましくは1000〜1350℃で1秒間〜10時
間、特に1秒間〜3時間程度行えばよい。仮焼体は、実
質的にマグネトプランバイト型のフェライト構造をも
つ。
仮焼体を粉砕ないし解砕するために設ける。粉砕工程で
は、まず、乾式粗粉砕を行うことが好ましい。乾式粗粉
砕には、フェライト粒子に結晶歪を導入して、保磁力H
cBをいったん小さくする効果もある。保磁力の低下によ
り粒子の凝集が抑制され、分散性が向上する。また、粒
子の凝集を抑制することにより、配向度が向上する。粒
子に導入された結晶歪は、後の焼成工程において解放さ
れ、保磁力が回復することによって永久磁石とすること
ができる。
料として、SiO2と、焼成によりCaOとなるCaC
O3とが添加される。副成分の出発原料は、一部を仮焼
前に、すなわち上記混合工程において添加してもよい。
ただし、副成分の出発原料は仮焼後に添加したほうが、
より有効に粒界成分として機能し、焼結時の均一な粒成
長に寄与する。そのため、粉砕工程において添加する量
は、副成分全体の好ましくは50質量%以上、より好ま
しくは80質量%とする。不純物および添加されたSi
やCaは、大部分粒界や三重点部分に偏析するが、一部
は粒内のフェライト部分(主相)にも取り込まれる。特
にCaは、Srサイトにはいる可能性が高い。
スラリーを調製し、これを用いて湿式粉砕を行うことが
好ましい。湿式粉砕後、乾燥することにより磁石材料粉
末が得られる。
または有機バインダを必要に応じて添加してもよい。
成形圧力は29〜49MPa程度、印加磁場は0.5〜
1.0T程度とすればよい。
において、好ましくは1150〜1270℃、より好ま
しくは1160〜1240℃の温度(安定温度)で焼成
する。焼成時に安定温度に保持する時間(安定時間)
は、0.5〜3時間程度とすることが好ましい。
の形状に加工され、例えば下記に示すような幅広い用途
に使用される。
ドウ用、ABS用、ファン用、ワイパ用、パワーステア
リング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、
ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータ;FD
Dスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘ
ッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VT
Rカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、
VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラ
ジカセ等キャプスタン用、CD,LD,MDスピンドル
用、CD,LD,MDローディング用、CD,LD光ピ
ックアップ用等のOA、AVI機器用モータ;エアコンコ
ンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆
動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレ
ート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェ
ーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータ;
ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器
テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用
モータ;その他、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッ
ドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発
生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ
用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセン
サ、マグネットラッチ等に好適に使用される。
これらを SrO・nFe2O3 においてn=7.0となるように秤量し、水を分散媒と
して用いて湿式混合した。
間仮焼し、仮焼体を得た。この仮焼体を振動ミルで乾式
粗粉砕し、平均粒径3μmの粗粉砕粉を得た。
Fe2O3、La(OH)3およびCo3O4を添加した。
これらの添加量は、焼結後の主成分組成が 式 Sr1-xLax(Fe12-yCoy)zO19 において x=0.19、 y=0.18、 z=1.0 となるものとした。また、同時に、副成分の出発原料と
してSiO2粉末およびCaCO3粉末を添加した。副成
分の出発原料の添加量は、SiO2+CaOの主組成に
対する質量比およびCa/Siが表1〜表3に示される
値となるように選択した。次いで、全体の平均粒径が1
μmとなるまで湿式アトライタで粉砕した。なお、この
粉砕における分散媒には水を用いた。
次いで、昇華性バインダを1質量%添加した後、ハンマ
ーミルにより凝集粉を解砕し、磁石材料粉末を得た。
形空間内に充填し、0.7Tの磁場中において39MPaの
圧力で乾式成形し、円柱状の成形体を得た。
℃で1時間焼成し、焼結体を得た。次いで、焼結体を面
研磨して評価用サンプルとし、各サンプルについてBH
トレーサにより磁気特性を測定し、また、密度を測定し
た。各サンプルの残留磁束密度Brを表1に、保磁力H
cJを表2に、密度dfを表3に、それぞれ示す。また、
表1および表2に示される結果を、図1にHcJ−Brグ
ラフとして示す。
が明らかである。すなわち、副成分の合計含有量が0.
42〜0.84質量%であって、かつ副成分中のモル比
Ca/Siが1.3〜2.2である場合、焼結体密度d
fの向上に伴って高いBrが得られており、かつ、HcJ
も十分に高い値となっている。これに対し、従来のフェ
ライト磁石と同等の副成分を添加した場合には、Ca/
Siを調整してもBrが本発明サンプルに全くおよばな
い。
Siならびに焼結温度を表4および表5に示される値と
したほかは実施例1と同様にして、評価用サンプルを作
製した。なお、1230℃で焼結したサンプルは、実施
例1と同じものである。これらのサンプルについて、B
rおよびHcJを測定した。Brを表4に、HcJを表5に
それぞれ示す。
異なってもHcJの違いが小さいことがわかる。この結果
から、本発明によれば、焼結温度が変動した場合でもH
cJのばらつきを抑えられることがわかる。
Siならびに焼結雰囲気中の酸素分圧を表6および表7
に示される値としたほかは実施例1と同様にして、評価
用サンプルを作製した。なお、酸素分圧8%は、ガス燃
焼タイプの連続炉における安定温度付近の位置での値で
ある。また、酸素分圧20%で焼結したサンプルは、実
施例1と同じものである。これらのサンプルについて、
BrおよびHcJを測定した。Brを表6に、HcJを表7
にそれぞれ示す。
が異なってもHcJの違いが小さいことがわかる。この結
果から、本発明によれば、焼結雰囲気が変動した場合で
もHcJのばらつきを抑えられることがわかる。
度Brとの関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 六方晶マグネトプランバイト型フェライ
トを主相として有し、 Sr、BaおよびPbから選択される少なくとも1種の
元素であって、Srを必ず含むものをAとし、Y、希土
類元素およびBiから選択される少なくとも1種の元素
であってLaを必ず含むものをRとし、Co、またはC
oおよびZnをMとしたとき、主成分としてA,R,F
eおよびMを含有し、前記主成分の組成を 式 A1-xRx(Fe12-yMy)zO19 (x,y,zはモル数を表す)で表したとき、 0.04≦x≦0.45、 0.04≦y≦0.3、 0.9≦x/y≦1.5、 0.95≦z≦1.05 であり、 さらに、副成分としてSiO2およびCaOを含有し、
主成分に対する副成分の比率が0.42〜0.84質量
%であり、副成分中のモル比Ca/Siが1.3〜2.
2であり、 乾式成形法を用いて製造されたものである焼結磁石。 - 【請求項2】 請求項1の焼結磁石を製造する方法であ
って、 出発原料の混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成
して仮焼体を得る仮焼工程と、前記仮焼体を粉砕して磁
石材料粉末を得る粉砕工程と、前記磁石材料粉末を乾式
成形して成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結す
る焼結工程とを設け、 混合工程またはこれと粉砕工程とにおいて、副成分の出
発原料を添加する焼結磁石の製造方法。
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