JP2001069950A - 肉類加工食材の製造方法および肉類加工食材 - Google Patents

肉類加工食材の製造方法および肉類加工食材

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JP2001069950A JP25179799A JP25179799A JP2001069950A JP 2001069950 A JP2001069950 A JP 2001069950A JP 25179799 A JP25179799 A JP 25179799A JP 25179799 A JP25179799 A JP 25179799A JP 2001069950 A JP2001069950 A JP 2001069950A
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Etsuo Sawano
悦雄 澤野
Hiroshi Sawano
弘 澤野
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SAWA SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 肉類の食味、食感を高め、酵素処理時間を短
縮する肉類加工食材の製造方法および肉類加工食材を提
供する。 【解決手段】 肉類を細断と同時またはその後に酵素処
理を行うことで、肉類の表面積が増大して、酵素との接
触面積が増大し、これにより酵素反応が促進されて、短
時間のうちに効率よく肉類を酵素で処理することができ
る。その結果、等外品、加工残屑の肉類からでも、均一
な肉類加工食材のペースト状製品,サイコロ状製品,フ
レーク状製品,パウダ状製品などを生成することができ
る。しかも、その製造時間も短縮することができる。さ
らに、食した際の舌触りやのど越しなどが良好な高品質
の肉類加工食材を低コストで製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は肉類加工食材の製
造方法および肉類加工食材、詳しくは牛,豚,鯨などの
獣肉、鯛,鰹などの魚肉、えび・かに肉、サザエ,アサ
リなどの貝肉といった肉類、特に、一般には廃棄処分さ
れる等外品および加工残屑を有効利用する肉類加工食材
の製造方法および肉類加工食材に関する。
【0002】
【従来の技術】人間が食する肉類には、牛,豚などの獣
肉(畜肉を含む)、鶏,鴨などの鳥肉の他、いわし,フ
グなどの魚肉、そしてアコヤ貝,牡蠣などの貝肉といっ
たものが知られている。これらの肉類は、所定の食品加
工処理を施すことで、例えば畜肉や魚肉製のハム,ソー
セージなどの各種の肉類加工食材として利用されてい
る。ところで、この食品加工を行う際には、まず商品と
しての価値が低い硬い肉、老廃肉などの下等品や等外品
が除かれる。その後、食品加工時に排出される加工残屑
が発生している。これらの等外品や加工残屑を含む肉類
は腐敗する速度がはやく、産業廃棄物の指定を受けて、
その大量の廃棄処分により大きな環境問題および処分費
用の問題が、年々深刻化してきている。そこで、従来、
等外品や加工残屑の肉類を廃棄せずに、食品の原料とし
て利用する各種の発明も提案されている。例えば、チョ
ッパなどにより機械的に細かく細断する方法などがそれ
である。また、その他にも酵素を利用した処理方法も知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、等外品
や加工残屑の肉類は、それに含まれる筋などの動物繊維
が非常に硬いことから、前述した従来のチョッパなどに
よる各種の肉類の処理方法では、その処理後のもので
も、舌にザラつき感が残り、その食味や食感を悪くして
いた。また、従来の単なる機械的な処理や、酵素による
化学的な処理のみでは、加工時間も長くなってしまい、
実用性および商業的な普及性にも乏しいという問題点が
あった。
【0004】そこで、この発明者らは、鋭意研究の結
果、等外品および加工残屑を含む肉類を機械的に細かく
切断する細断処理を行うと同時またはその後に、肉処理
酵素による肉類の酵素分解を行えば、酵素の触媒面積を
拡大して酵素反応を促進し、肉類の微細化処理時間が短
縮することを突き止めた。しかも、この等外品や加工残
屑を含む肉類に、肉処理酵素を含む各種の酵素を添加す
ることで、その酵素の働きによって、食味がよく、食し
た際にザラつき感などの不快感がない肉類加工食材が得
られることを知見し、この発明を完成させるに至った。
【0005】
【発明の目的】この発明は、肉類加工食材の食味、食感
を高めることができ、これにより肉類加工食材の用途拡
大を図ることができ、しかも等外品や加工残屑を有効利
用することができ、またその加工処理時間を短縮するこ
とができる肉類加工食材の製造方法および肉類加工食材
を提供することを、その目的としている。また、この発
明は、肉類に添加される酵素量の削減および処理時間の
短縮を図ることができる肉類加工食材の製造方法を提供
することを、その目的としている。さらに、この発明
は、長期保存が可能であり、取り扱いも容易な肉類加工
食材の製造方法および肉類加工食材を提供することを、
その目的としている。そして、パウダ状の肉類加工食材
を効率よく生産することができる肉類加工食材の製造方
法および肉類加工食材を提供することを、その目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、獣鳥鯨肉および魚介類の肉類を細かく切断する細断
処理と同時に、この肉類に、所定の酵素処理を行う肉処
理酵素および水を添加してこの肉類を酵素処理する肉類
加工食材の製造方法である。ここでいう肉類の品種は限
定されない。例えば、請求項15および請求項19に記
載された食用の獣肉および魚介類の他、鳥肉などが挙げ
られる。なお、この肉類中には等外品および加工残屑な
どを含む。獣肉としては、例えば牛肉,豚肉,羊肉など
の畜肉の他、鯨肉,鹿肉,猪肉,熊肉なども含まれる。
また、各種のハム,ソーセージ,ベーコンなどの加工肉
も含まれる。また、魚介類としては、例えばマグロ肉,
カツオ肉,サバ肉,アジ肉,いわし肉,フグ肉,イカ
肉,海老肉,かに肉,牡蠣肉,ホタテ貝肉,アコヤ貝肉
などが挙げられる。そして、鳥肉としては、例えば鶏
肉,カモ肉,スズメ肉,アヒル肉などが挙げられる。
【0007】肉処理酵素は水に溶かして使用される。こ
の際の水の温度は限定されない。ただし、この酵素との
反応が良好に行える30〜65℃の温水が好ましい。こ
こでいう肉処理酵素の種類は限定されない。例えば、請
求項3の蛋白質分解酵素、脂質分解酵素および蛋白架橋
結合酵素などが挙げられる。これらの蛋白質分解酵素、
脂質分解酵素および蛋白架橋結合酵素は、単独で添加し
てもよいし、まとめて添加してもよい。添加方法は、原
料である肉類に注入、または添加混合する場合と、浸漬
溶液として肉類を浸漬させる場合と、ふりかけ溶液とし
て用いる場合とがある。肉類は多くの細胞によって形成
されているが、主に蛋白質,糖質および脂質で構成され
ており、そのうち、蛋白質は蛋白質分解酵素によって分
解され、脂質は脂質分解酵素で分解される。なお、蛋白
質分解酵素(プロテアーゼなど)を加えて蛋白質を分解
することで、食味を高めることができる。肉処理酵素の
添加条件は限定されない。通常は、添加量0.05〜
2.0重量%、反応温度30〜65℃、反応時間60〜
180分間である。
【0008】肉類の細断処理の方法およびそれに使用さ
れる細断装置も限定されない。酵素反応と同時またはそ
の前に機械的な細断処理を付加することで、固形物の肉
類の表面積の増大とそれにともなう酵素との接触面積の
増大によって、酵素反応効率を格段に高めて反応時間を
大幅に短縮させ、かつ肉類の微細化による製品の触感の
優良化が図られる。細断装置としては、例えば回転円筒
式ミル(ポットミル,チューブミル,コニカルミルなど
の転動タイプのミル)、震動ボールミル(粉砕容器を高
速で震動させ、容器内のボール同士を衝突させる方式の
ボールミル)、遠心式ボールミル(粉砕容器に自転と公
転とを与え、容器内のボールに遠心力を加えて、ボール
と容器壁との間に摩擦力を生じさせる方式のボールミ
ル:例えば遊星ボールミル,ハイスウィングミル,プラ
ネタリーミル)、媒体攪拌式ミル(粉砕容器内に挿入し
たアジテータを高速で回転させることによって、容器内
のボールを激しく攪拌し、ボール間に剪断摩擦力を生じ
させる方式のミル)、コロイドミル(高速に回転するロ
ータとケーシングとの間でスラリに剪断力を与える方式
のミル)などが挙げられるが、本発明で特に好ましく採
用されるミルは、分離機能が高く、砕料を均一サイズに
微粉砕できるコロイドミルである。肉類に調味の必要が
ある際には、酵素処理中またはその後に、各種の調味料
などを使って味付けを行う。
【0009】細断処理による肉類の微細化の程度は限定
されない。例えば、請求項11の0.2mm以下でもよ
い。製造された肉類加工食材の用途は限定されない。例
えば、ペースト状製品,パウダー状製品,フレーク状製
品,サイコロ状製品のように、原料である各種の肉類に
混入して利用することもできるし、原料とは別に、単独
の食材として利用することもできる。これらの事項は、
請求項2,請求項16,請求項17にも該当する。
【0010】請求項2に記載の発明は、獣鳥鯨肉および
魚介類の肉類を細かく切断する細断処理を行った後に、
この肉類に、所定の酵素処理を行う肉処理酵素および水
を添加してこの肉類を酵素処理する肉類加工食材の製造
方法である。細断処理後の肉類に肉処理酵素を添加する
時期は任意である。
【0011】請求項3に記載の発明は、上記肉処理酵素
が、肉類に含まれる蛋白質およびペプチドに作用してペ
プチド結合の加水分解を促す蛋白質分解酵素、肉類に含
まれる脂肪分を分解する脂質分解酵素、および、加水分
解により微細化された肉類の蛋白の結合を促す蛋白架橋
結合酵素の酵素群から選出されたものである請求項1ま
たは請求項2に記載の肉類加工食材の製造方法である。
蛋白質分解酵素、脂質分解酵素および蛋白架橋結合酵素
の種類や添加条件は限定されない。ただし、ここでいう
蛋白質分解酵素(請求項4のプロテアーゼなど)とは、
ペプチドに作用して、ペプチド結合の加水分解を触媒に
する酵素であり、逆反応(ペプチド合成)のプラステイ
ン反応も触媒となる。
【0012】プロテアーゼは、その作用からエンドペク
チナーゼ(プロテイスナーゼ)とエキソペプチダーゼ
(ペプチダーゼ)の2種類に大別することができる。エ
ンドペプチダーゼは蛋白質、ポリペプチドに作用してお
おまかに分解し、低分子ペプチドを生成する酵素をい
う。エキソペプチダーゼはペプチドに作用して、アミノ
酸を生成する。プロテアーゼには、パパイン,プロライ
ンなどの植物起源のもの、パンクレアチン,レンニンな
どの動物起源のもの、および、微生物(かび,細菌,酵
母)起源のものがある。
【0013】脂質分解酵素には請求項5のリパーゼなど
が挙げられる。リパーゼは、エステラーゼの一種で、中
性脂肪(グリセロールエステル)を加水分解して、脂肪
酸とグリセロールに分解する反応を可逆的に触媒する酵
素である。動物の胃液,膵液,腸液,血清,肺,腎臓,
副腎,脂肪組織,胎盤などに存在する。植物では、ヒマ
(種子,茎,葉)、キンポウゲ科,ケシ科,アブラナ
科,アオイ科植物の種子、エンバク,コムギ,ダイズな
どに存在する。また、ブドウ球菌,牛痘ウイルスなどに
も存在する。基質がトリグリセリドなら、まず1,2−
ジグリセリドまたは2,3−ジグリセリドを、続いて2
−モノグリセリドを生成する。モノグリセリドを良い基
質とするリパーゼもある。
【0014】これらの蛋白質分解酵素および脂質分解酵
素による酵素反応によって、肉類中のアミノ酸含有量お
よびエキス分が増加し、特に魚肉の場合には、酵素処理
された魚肉をろ過し、魚油分を除去した後に濃縮させた
フィシュ・ソリュブルを得ることができる。また、廃鶏
肉などの場合には、酵素反応により硬い肉をやわらかく
することができる。また、蛋白架橋結合酵素の種類は限
定されない。例えば、請求項6のトランスグルタミナー
ゼなどが挙げられる。このトランスグルタミナーゼは、
蛋白質を架橋結合して、分解後の蛋白質の整形、結合に
利用される。また、この蛋白質の粘弾性を高めることも
できる。この蛋白架橋結合酵素、トランスグルタミナー
ゼは、蛋白質やペプチド中のアミノ酸である「グルタミ
ン」残基と「リジン」残基を強力に架橋結合“G−L結
合”する反応を触媒する酵素であり、製品としては微生
物由来のもの、モルモットなど哺乳動物由来のもの、魚
類由来のもの、ジーンクローニングによって得られるも
のなどがあるが、特に微生物由来のものが経済的に好ま
しい。
【0015】請求項4に記載の発明は、上記蛋白質分解
酵素がプロテアーゼである請求項3に記載の肉類加工食
材の製造方法である。
【0016】請求項5に記載の発明は、上記脂質分解酵
素がリパーゼである請求項3に記載の肉類加工食材の製
造方法である。
【0017】請求項6に記載の発明は、上記蛋白架橋結
合酵素がトランスグルタミナーゼである請求項3に記載
の肉類加工食材の製造方法である。
【0018】請求項7に記載の発明は、上記蛋白質分解
酵素の添加条件が、添加量0.05〜1.0重量%、反
応温度30〜65℃、反応時間30〜90分間である請
求項3または請求項4に記載の肉類加工食材の製造方法
である。蛋白質分解酵素の好ましい添加量は0.1〜
0.5重量%である。添加量が0.05重量%未満では
蛋白質分解酵素の分解力が弱くて、長時間の分解時間が
必要となる。また、1.0重量%を超えると蛋白質分解
酵素の生産効率が低下して実用性を失う。また、蛋白質
分解酵素の好ましい反応温度は45〜55℃である。反
応温度が30℃未満では蛋白質分解酵素の活性が低いた
めに長時間を要する。また、65℃を超えると酵素活性
が低下して実用的ではない。さらに、蛋白質分解酵素の
好ましい反応時間は45〜70分間である。30分間未
満では蛋白質分解酵素による蛋白質の分解が不十分とな
る。また、90分間を超えるとこの酵素の生産効率が低
下する。
【0019】請求項8に記載の発明は、上記脂質分解酵
素の添加条件が、添加量0.05〜0.5重量%、反応
温度30〜65℃、反応時間30〜90分間である請求
項3または請求項5に記載の肉類加工食材の製造方法で
ある。脂質分解酵素の好ましい添加量は0.1〜0.3
重量%である。添加量が0.05重量%未満では分解力
が弱くて、分解に長時間を要する。また、0.5重量%
を超えると酵素の生産効率が低く実用性が低下する。ま
た、脂質分解酵素の好ましい反応温度は30〜45℃で
ある。反応温度が30℃未満では分解力が弱くて、分解
不充分である。また、65℃を超えると同じく酵素分解
力が低下する。さらに、脂質分解酵素の好ましい反応時
間は40〜60分間である。30分間未満では分解が弱
く分解が不充分となる。また、90分間を超えると酵素
の生産効率が低く実用性がない。
【0020】請求項9に記載の発明は、上記蛋白架橋結
合酵素の添加条件が、添加量0.05〜1.0重量%、
反応温度30〜65℃、反応時間10〜35分間である
請求項3または請求項6に記載の肉類加工食材の製造方
法である。蛋白架橋結合酵素の好ましい添加量は0.1
〜0.3重量%である。添加量が0.05重量%未満で
は蛋白結合が不充分となる。また、0.5重量%を超え
ると食感を変えるという不都合が生じる。また、蛋白架
橋結合酵素の好ましい反応温度は45〜55℃である。
反応温度が30℃未満では蛋白結合時間が長くかかる。
また、65℃を超えると同じく蛋白結合が低下する。さ
らに、蛋白架橋結合酵素の好ましい反応時間は15〜3
0分間である。10分間未満では蛋白結合が弱い。ま
た、35分間を超えると酵素の生産性が低下して実用的
でない。
【0021】請求項10に記載の発明は、上記肉類の細
断処理が、肉類を切断し、攪拌あるいは循環して酵素反
応を促進させる細断反応装置を用いて行われる請求項1
〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の肉類加工食材
の製造方法である。細断反応装置の種類は限定されな
い。要は、肉類を剪断(切断)、攪拌あるいは循環して
酵素反応を促進させることができる装置であればよい。
細断反応装置の主要部を構成するミルの破砕刃間のクリ
アランスは限定されない。ただし、0.1〜1.0mm
が好ましい。
【0022】請求項11に記載の発明は、上記細断処理
が、肉類を0.2mm以下に微細化するものである請求
項1〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の肉類加
工食材の製造方法である。細断処理後の肉類の好ましい
大きさは0.1〜0.05mmである。0.2mmを超
えると、舌ざわり、のどごし感が悪くなって、食感が著
しく粗悪になり、食品に適さないという不都合が生じ
る。
【0023】請求項12に記載の発明は、上記細断処理
後の肉類を乾燥させてパウダ状にする請求項1〜請求項
11のうちのいずれか1項に記載の肉類加工食材の製造
方法である。肉類を乾燥させる方法および用いられる乾
燥装置、そしてその乾燥時の条件は限定されない。この
事項は請求項18にも該当する。
【0024】請求項13に記載の発明は、上記肉類の乾
燥が、ドラム内に供給された蒸気の熱により、ドラム外
周面に付着した細断処理後の肉類を乾燥させるドラムド
ライヤにより行われる請求項12に記載の肉類加工食材
の製造方法である。ドラムドライヤの種類は限定されな
い。また、これを用いた細断処理後の肉類の乾燥条件も
限定されない。
【0025】請求項14に記載の発明は、上記ドラムド
ライヤの乾燥条件が、ドラム表面温度100〜160
℃、加熱時間8〜40秒間である請求項13に記載の肉
類加工食材の製造方法である。好ましいドラム表面温度
は100〜150℃である。この表面温度が100℃未
満では乾燥が不十分となる。また、この表面温度が16
0℃を超えると、焦げが生じて品質が不良になる。好ま
しい加熱時間は10〜20秒間である。8秒間未満では
乾燥不足という不都合が生じる。また、40秒間を超え
ると焦げが生じて品質不良が発生する。
【0026】請求項15に記載の発明は、上記肉類が、
食用の獣鳥鯨肉および魚介類である請求項1〜請求項1
4のうちのいずれか1項に記載の肉類加工食材の製造方
法である。
【0027】請求項16に記載の発明は、獣鳥鯨肉およ
び魚介類の肉類を細かく切断する細断処理と同時に、こ
の肉類に、所定の酵素処理を行う肉処理酵素および水を
添加してこの肉類を酵素処理することで得られた肉類加
工食材である。
【0028】請求項17に記載の発明は、獣鳥鯨肉およ
び魚介類の肉類を細かく切断する細断処理を行った後
に、この肉類に、所定の酵素処理を行う肉処理酵素およ
び水を添加してこの肉類を酵素処理することで得られた
肉類加工食材である。
【0029】請求項18に記載の発明は、上記細断処理
された肉類を乾燥させてパウダ状にした請求項16また
は請求項17に記載の肉類加工食材である。
【0030】請求項19に記載の発明は、上記肉類が、
食用の獣鳥鯨肉および魚介類である請求項16〜請求項
18のうちのいずれか1項に記載の肉類加工食材であ
る。
【0031】
【作用】この発明によれば、肉類を、細断すると同時ま
たはその後に酵素処理することで、固形物である肉類、
例えばその等外品や加工残屑の酵素との接触面積が増大
する。つまり、細断という機械的な剪断作用を施すこと
で接触面積が拡大し、この肉類の微細化された粒表面に
常に活性な界面が生成され、しかも接触面積が拡大した
この微細な粒表面に肉処理酵素が反応し、その相乗作用
により短時間のうちに効率よくこの微細な粒を酵素処理
することができる。よって、酵素が蛋白質分解酵素や脂
質分解酵素の場合には、固形物である肉類の等外品や加
工残屑を短時間で微細化し、均一な肉類加工食材が得ら
れる。
【0032】特に、請求項12および請求項18の発明
によれば、酵素処理後の肉類を乾燥させてパウダ状に形
成するので、長期保存が可能であり、取り扱いも容易に
なる。
【0033】さらに、請求項13の発明によれば、酵素
処理後のペースト状の肉類をドラムドライヤにより瞬時
に加熱乾燥するので、食材の変質が避けられて処理時間
の短縮化を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
参照して説明する。まず、原料肉として畜肉を用いた第
1の実施例を説明する。図1は、この発明の第1の実施
例に係る肉類加工食材の製造方法のフローチャートであ
る。図2は、この発明の第1の実施例に係る細断反応装
置の一部断面を含む正面図である。図3は、図2のA部
分の一部断面を含む拡大正面図である。図4は、この発
明の第1の実施例に係る微細化された肉類の乾燥装置の
斜視図である。
【0035】図1において示すように、この発明の第1
の実施例に係る生肉,ハム,ソーセージ,ベーコンなど
の畜肉(等外品,加工残屑を含む)を原料とした肉類加
工食材の製造方法は、以下の工程からなる。すなわち、
まず所定量の原料肉を準備し(S101)、これを食品
粗切断機により粗切りする(S102)。その後、この
原料肉を所定の肉処理酵素を含む酵素により酵素分解処
理する(S103)。酵素処理の方法としては、例えば
この粗切りされたものを所定濃度の酵素溶液に浸漬した
り、後述するバイオミルリアクタ(機械的細断反応装
置)などの細断装置により処理する方法などがある。こ
のうち、バイオミルリアクタによる場合には、この機械
内部で、溶液中で細断しながら攪拌、循環させて酵素反
応が行われる。このバイオミルリアクタの内部では、機
械的なきわめて細かい細断によって酵素反応が飛躍的に
促進され、短時間で充分な酵素反応、例えば酵素分解反
応では微細化が施され、この加工肉はペースト状とな
る。そして、この加工肉に対して加熱、冷却の各処理が
施される(S104)。ペースト状加工肉は加熱により
殺菌され、酵素失活が施されることとなる。次に、この
加工肉に対して塩,コショウなどの調味料が適量だけ加
えられて調味される(S105)。なお、調味後のペー
スト状加工肉は、酵素結合処理され(S106)、製品
化される(S107)。また、成型トレーに流し込み
(S108)、所定温度の冷蔵庫で所定時間冷やして固
めた後所定サイズのサイコロ形状に細断して(S10
9)、サイコロ状加工肉として製品化してもよい(S1
10)。さらに、フレーク状製品またはパウダ状製品を
得る場合には、上記ペースト状加工肉を後述するドラム
ドライヤにより所定温度で瞬間高温加熱し(S11
1)、それから粒度分別という精選工程(S112)を
経て、フレーク状加工肉またはパウダ状加工肉として製
品化する(S113)。
【0036】次に、バイオミルリアクタについて詳細に
説明する。図2,図3にて、10はバイオミルリアクタ
であり、このバイオミルリアクタ10は、粗切り後の原
料肉を切断、攪拌および循環して酵素反応を促進させ
る。このバイオミルリアクタ10は、機枠11の上部に
取り付けられた原料液収容タンク12を有している。原
料液収容タンク12は、例えば厚さ1.5mmのSUS
304製であり、外径が1m、高さが1mのホッパ形状
の容器である。すなわち、タンク上面には開口部が形成
され、逆円錐状をしたタンク下部を有している。もちろ
ん、この原料液収容タンク12の材質、容量は限定され
ず、通常、タンク中部には所定の攪拌機が設けられてい
る。
【0037】原料液収容タンク12の下底部の出口に
は、コロイドミル13が連結されている。このコロイド
ミル13の下部には、コロイドミル13から導出された
処理済液(スラリ)の導出管路14が連結されており、
この導出管路14の途中には、スラリ排出管15が分岐
して設けられている。なお、このスラリ排出管15には
開閉バルブ16が設けられている。この導出管路14の
導管は金属製または合成樹脂製の管体である。また、導
出管路14のスラリ排出管15との分岐部分より下流部
分は、上記タンク12に沿って立ち上がっている。この
立ち上がり部分の先端に連結された逆J字形のスラリ供
給ノズル17が、原料液収容タンク12の上部内へ差し
込まれている。
【0038】また、この導出管路14の立ち上がり部分
には、水冷式の冷却ジャケット18が二重管のように配
設されている。この冷却ジャケット18は、導出管路1
4を流れるスラリの温度をコントロールする。なお、図
2において、18aは水または温水などの熱媒体導入
部、18bはその導出部である。スラリの液温が低い場
合は、温水などの熱媒体を流通させて加温することがで
きる。また、第1の実施例では、冷却ジャケット18を
導出管路14の途中に配設しているが、これに限定され
ない。例えば、冷却器(図示せず)を原料液収容タンク
12の内周面または外周面に接触させて、それをジャケ
ットとしてもよい。そして、機枠11の底枠の中央部に
は、出力シャフト19aを上方へ向けて、コロイドミル
13の駆動用のモータ19が設置されている。
【0039】次に、このコロイドルミル13を詳細に説
明する。コロイドルミル13は、主に、円錐台型の内部
空間を有するステータ20とその内部にわずかな隙間a
を隔てて回転自在に配設された円錐台型のロータ21と
を有している。なお、この隙間aは0.1〜1.0mm
に調整することができるように設定してある。これらの
ステータ20およびロータ21は強度および硬度の高い
材料(金属、セラミックスなど)で構成されている。ス
テータ20の内壁面は平滑面でもよいし、小さな多数の
凹凸面を設けた粗面でもよい。また、ステータ20の内
壁面に、後述する突条刃22に交差する突条刃を設け
て、剪断作用を高めるようにしてもよい。また、ロータ
21の表面には、例えば回転軸に対して約60度傾斜し
た曲率半径の大きな突条刃22が突設されている。この
ロータ21の上端面および下端面には、それぞれ複数枚
の攪拌羽根23,24が放射状に突設されている。
【0040】このロータ21の下部には、モータ19の
出力シャフト19aの上端が固着され、矢印に示す一定
方向に回転することができるようになっている。ロータ
21が回転すると、原料液収容タンク12中の原料肉と
酵素との混合液を、コロイドルミル13内に吸引する。
そして、傾斜した多数の突条刃22・・・間に形成され
た湾曲する長溝22a・・・により、上記混合液は吸引
され、ステータ20とロータ21の突条刃22との間の
わずかな隙間aを介して原料肉が細断されて、機械的に
微細化(通常0.2mm以下)される。さらにこの第1
の実施例では、ロータ21が円錐台型であるために、回
転と同時にロータ21の上下で遠心力に差が生じる。こ
れにより、突条刃22が一種のプロペラのような作用を
なし、スラリを下方へ導出することができる。また、そ
の下部に設けた複数枚の攪拌羽根24によって、スラリ
の流動を加速することができる。
【0041】なお、スラリの吸引供給手段として、上記
攪拌羽根24…を設けずとも、スリの導出管路14の途
中に液体ポンプを設けて、原料液収容タンク12中の混
合液をコロイドミル13に吸引供給することもできる。
また、図2に示すように、導出管路14の最下位置にス
ラリ排出管15を分岐させ、その分岐部に開閉バルブ1
6を設けているので、一定時間反応が完了した時点でこ
のバルブ16を開き、上記攪拌羽根24または上記ポン
プを作動させることにより、スラリを管路外に取り出す
こともできる。なお、開閉バルブ16は手動開閉式でも
よいし、電磁開閉式でもよい。
【0042】次に、このコロイドルミル13の作動につ
いて説明する。まず、原料液収容タンク12中に粗切り
された原料肉を投入し、これに水を加えて攪拌機を回転
させながら、タンク12中に配設されたヒータ(図示せ
ず)または冷却エレメント(図示せず)あるいは冷却管
により、もしくはタンク12内に冷水または温水を供給
してタンク12内の混合液を適温に温度調整する。そし
て、適量の肉処理酵素、例えば蛋白質分解酵素や脂質分
解酵素を添加する。その結果、タンク12内では、原料
肉、水、酵素類が混合されて混合液が生成され、下方の
コロイドミル13へ送られる。
【0043】このコロイドミル13の内部では、細断部
(ステータ20面とロータ21面の対面部)において、
原料肉が細断されて、一種のプロペラを構成する多数の
突条刃22の推力によりコロイドミル13を通り抜け
る。コロイドミル13を通り抜けたスラリ(加工肉の混
合液)は、導出管路14を経て冷却ジャケット18で液
温45℃前後に冷却され、さらにスラリ供給ノズル17
から再びタンク12に循環供給される。この装置を所定
時間作動させて、蛋白質分解酵素,脂質分解酵素を用い
た肉処理酵素反応(一次酵素反応)を施す。これによ
り、ペースト状加工肉が得られる。なお、必要時、例え
ばサイコロ状の畜肉加工食材を製造する際などには、蛋
白架橋結合酵素を適量だけ添加して所定温度で所定時間
攪拌を繰り返し、蛋白質結合反応(二次酵素反応)を施
す。なお、サイコロ形状以外の畜肉加工食材を製造する
際にも、若干量の蛋白架橋結合酵素を添加してもよい。
【0044】以上のように、このバイオミルリアクタ1
0を採用したことで、固形物の原料肉の細断と酵素分解
反応が同時に行われる。これにより、原料肉の表面積が
増大し、しかも微細化された原料肉粒に、常に活性な界
面が生成されることになる。その結果、酵素反応が幾何
級数的に促進される。よって、短時間で固形物の原料肉
が微細化され、なめらかな舌触りを有するペースト状加
工肉を製造することができる。
【0045】ところで、単なる攪拌機能を備えた通常の
バイオミルリアクタを用いる場合、通常の原料肉のpH
は5.5〜6.5である。したがって、例えば肉類の分
解酵素を添加して酵素反応を促す際には、その反応に対
しての適当なpH値である、pH3.0〜6.0に調整
するために、酸(クエン酸,乳酸など)を添加しなけれ
ばならない。また、その酵素反応が終了した後には、ア
ルカリ(例えば炭酸水素ナトリウム)を加えて、元のp
Hに戻すという工程が必要になる。このため、上記pH
調整作業と、これにともなう味覚の劣化などの問題が生
じてしまう。しかしながら、このバイオミルリアクタ1
0を用いれば、仮にpH調整剤を使用しなくても、短時
間で反応を行うことができる。これにより、薬剤および
工程の削減が図れてコスト低減も図れる。しかも、無添
加であるので食味も損なわれず、安全性が保たれるとい
う利点がある。
【0046】次に、図4を参照してドラムドライヤを詳
細に説明する。図4において、25はドラムドライヤで
あり、このドラムドライヤ25は、主に、軸線を平行に
して並設された一対のドラム26と、チェーン式動力伝
達系を介して、これらのドラム26を、図4矢印に示す
対峙方向へ回転させる回転モータ27と、両ドラム26
の加熱源となる水蒸気を発生させる水蒸気発生装置28
と、各ドラム26の外周面に付着されたフレーク状加工
肉またはパウダ状加工肉を掻き落とす一対のスクレーパ
29とを備えている。2本のドラム26の隙間に微細化
されたペースト状加工肉が投入されると、回転モータ2
7により低速回転中のドラム26間で薄膜化される。そ
の後、脱水乾燥されたペースト状加工肉は、各ドラム2
6の外周面に付着したままドラム26とともに回転す
る。そして、最終的にはそれぞれのスクレーパ29によ
りドラム外周面から掻き落とされて、フレーク状加工肉
またはパウダ状加工肉となって回収される。なお、良好
なパウダ状加工肉を回収したい場合には、フレーク状加
工肉を所定の粉砕機を用いて粉砕処理する。なお、図4
中の30は、水蒸気発生装置28の水蒸気をそれぞれの
ドラム26内へ導く水蒸気供給経路の途中に設けられた
水蒸気圧計、31は水蒸気圧調整弁である。
【0047】次に、図5のフローチャートに基づき、第
2の実施例の肉類加工食材の製造方法およびこの方法で
製造された肉類加工食材を説明する。ここでは、使用す
る原料肉が魚介類である。図5において、この第2の実
施例に係るマグロ,カツオ,サバ,アジ,いわし,フ
グ,イカ,えび,かに,カキ,ホタテ貝,アコヤ貝など
の魚介肉(等外品,加工残屑を含む)を原料としたペー
スト状製品,フレーク状製品およびパウダ状製品などの
肉類加工食材の製造方法は、以下の工程からなる。すな
わち、まず所定量の魚介類を原料として洗浄等して準備
し(S201)、これを所定温度で所定時間だけボイル
する(S202)。そして、ボイルした魚介類をフード
カッタなどにより粗切りし(S203)、続いてこれを
上記バイオミルリアクタ10に投入し、溶液中で細断し
ながら攪拌、循環させて酵素処理を行う(S204)。
次に、得られたペースト状の魚介類に調味を施し(S2
05)、これを耐熱耐圧性の袋に詰めて加圧加熱殺菌釜
により加圧加熱殺菌することでレトルト処理(S20
9)を施す。この結果、袋詰めのペースト状製品が得ら
れる(S210)。または、このペースト状魚介類を加
熱殺菌して酵素失活を施した後、ドラムドライヤ25に
より瞬間的に高温加熱し(S206)、次いで上記精選
工程を経ることで(S207)、フレーク状製品または
パウダ状製品を製造してもよい(S208)。
【0048】次に、上記バイオミルリアクタ10、ドラ
ムドライヤ25を用いて、この発明の肉類加工食材の製
造方法に基づいて、実際にハムフレーク,サイコロ状ハ
ム,いわしパウダ,アコヤ貝パウダの製造試験を行った
ときの結果を報告する。ただし、この発明はこれらの試
験例に限定されるものではない。
【0049】(試験例1)まず、等外品の豚肉ハム1.
0kgを準備し、これをチョッパ径11mmの食品粗切
断機に投入して粗切りする。一方、50℃の温水0.5
リットルに「プロテアーゼM」(商品名:天野製薬株式
会社製蛋白質分解酵素製剤)1gを溶解し、この溶液中
に上記粗切りされたハムを30分間だけ浸漬する。それ
から、水切りし、粗切りハムに所定の味付けを施した
後、150℃、10秒間だけドラムドライヤ25による
乾燥を行った。その結果、色沢、風味、食感豊かな珍味
ハムフレーク600gを得た。
【0050】(比較例1)食品粗切断機で細断されてい
ない豚肉ハムに、「プロテアーゼM」1gを添加するだ
けでハムを酵素分解させ、その他は比較例1と同様にし
てハムフレークを得た。あらかじめ細断されていないハ
ムを酵素分解したので、その処理時間が約1.5倍かか
った。しかも、得られたハムフレークは、色沢、風味、
食感ともに試験例1に比べて劣るものであった。
【0051】以上の試験例1で製造されたハムフレーク
は、その色沢、香り、食味の点において、比較例1のハ
ムフレークよりも優良であるとのパネラーテストの結果
が得られた。表1にその結果を示す。
【0052】
【表1】
【0053】ここで、この試験例1の製造方法により得
られたハムフレークの成分データを表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】(試験例2)等外品の牛肉2.0kgを準
備し、これをチョッパ径4mmの食品粗切断機に投入し
て粗切りする。一方、50℃の温水100mlに、「プ
ロテアーゼM」2gを溶解しておき、その後、この粗切
りハムおよび酵素の溶液を、クリアランス0.2mmの
バイオミルリアクタ10に投入して、50℃、30分間
だけ機械的剪断力と酵素分解力との相乗作用により、牛
肉のペーストを生成した後、80℃で加熱冷却し、次い
で「アクティバTG−M」(商品名:味の素株式会社製
蛋白質結合酵素製剤)10gを添加混合して、50℃で
30分間結合反応を促進する。続いて、成型トレーに流
し込んだ後、5℃の冷蔵庫に2時間放置し、それからト
レーより型抜きしたものを、縦10mm,横10mm,
高さ10mmのサイコロ状に細断することで、色沢、風
味、食感豊かなサイコロ状牛肉1.9kgを得た。
【0056】(比較例2)食品粗切断機で粗切りされて
いない牛肉に、「プロテアーゼM」2g、「アクティバ
TG−M」10gを添加混合して牛肉を酵素分解させ、
その他は試験例2と同様にしてサイコロ状牛肉を得た。
あらかじめ細断されていない牛肉を酵素分解させたの
で、その処理時間が約1.5倍かかった。しかも、得ら
れたサイコロ状牛肉は、色沢、風味、食感ともに試験例
2に比べて劣るものであった。
【0057】以上の試験例2で製造されたサイコロ状牛
肉は、その色沢、香り、食味の点において、比較例2の
サイコロ状牛肉よりも優良であるとのパネラーテストの
結果が得られた。表3にその結果を示す。
【0058】
【表3】
【0059】ここで、この試験例2の製造方法により得
られたサイコロ状牛肉の成分データを表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】(試験例3)いわし5.0kgを切り開い
て内蔵をとりだし、よく水洗い後、85℃、5分間ボイ
ルして冷水により冷却した。次いで、温水50℃、2.
0リットルに「プロテアーゼM」5g,「リパーゼM」
(商品名:天野製薬株式会社製脂肪分解酵素製剤)5g
を溶解して、いわしをチョッパ径2mmの粗切断機によ
り剪断しながら、酵素溶液を添加混合しバイオミルリア
クタで30分間酵素処理した後、外周面温度150℃の
ドラムドライヤ25を用いて、10秒間だけ乾燥させ、
その後、粉砕機により粉砕することで、色沢、風味、食
感豊かないわしパウダ1.2kgを得た。
【0062】(比較例3)食品粗切断機で粗切りされて
いないいわしに、「プロテアーゼM」5g、「リパーゼ
M」5gを添加混合して酵素分解させるだけで、その他
は試験例3と同様にしていわしパウダを得た。細断され
ていないいわしを酵素分解させたので、その処理時間が
約1.5倍かかった。しかも、得られたいわしパウダ
は、色沢、風味、食感ともに試験例3に比べて劣るもの
であった。
【0063】以上の試験例3で製造されたいわしパウダ
は、その色沢、香り、食味の点において、比較例3のい
わしパウダよりも優良であるとのパネラーテストの結果
が得られた。表5にその結果を示す。
【0064】
【表5】
【0065】ここで、この試験例3の製造方法により得
られたいわしパウダの成分データを表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】(試験例4)アコヤ貝3.0kgを90
℃、5分間ボイルしてチョッパを有する粗切断機により
剪断する。次いで、1.0リットルの50℃の温水を加
え、「プロテアーゼM」3gを添加混合する。これを5
0℃に保ちながら、クリアランス0.2mmのバイオミ
ルリアクタ10に投入して、45分間、機械的剪断力と
酵素分解反応を相乗作用させてペーストを生成した。そ
の後、このアコヤ貝ペースト4.0kgに調味を施し
て、外周面温度160℃のドラムドライヤ25により1
0秒間の乾燥と加熱風味を付けた。それから粉砕機によ
り粉砕し、0.6kgのアコヤ貝パウダを得た。このア
コヤ貝パウダは、火香による風味とコハク酸の味が美味
な独特のアコヤ貝パウダであった。
【0068】(比較例4)食品粗切断機での粗切りが施
されていないアコヤ貝に、「プロテアーゼM」4gを添
加し、アコヤ貝を酵素分解させるだけで、その他は試験
例4と同様にしてアコヤ貝パウダを得た。細断されてい
ないアコヤ貝を酵素分解させたので、その処理時間が約
2倍かかった。得られたアコヤ貝パウダは、色沢、風
味、食感ともに試験例4に比べて劣るものであった。
【0069】以上の試験例4で製造されたアコヤ貝パウ
ダは、その色沢、香り、食味の点において、比較例4の
アコヤ貝パウダよりも優良であるとのパネラーテストの
結果が得られた。表7にその結果を示す。
【0070】
【表7】
【0071】次に、この試験例4の製造方法により得ら
れたアコヤ貝パウダの成分データを表8に示す。
【0072】
【表8】
【0073】ここで、試験例3のいわしパウダと同じ製
造方法により得られたフグパウダと、試験例4のアコヤ
貝の製造方法と基本の製造方法が同じ方法で得られたカ
キパウダ,えびパウダおよび鮭白子パウダのそれぞれの
成分データを表9〜表12に示す。
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
【発明の効果】この発明によれば、肉類を細断と同時ま
たはその後に酵素処理することで、酵素の触媒面積が拡
大され、これにより酵素反応が促進されて、短時間のう
ちに効率よく肉類を酵素で処理することができる。その
結果、仮に等外品、加工残屑の肉類からでも、均一な肉
類加工食材のペースト状製品,サイコロ状製品,フレー
ク状製品,パウダ状製品などを生成することが可能にな
る。しかも、その製造時間も短縮することができる。さ
らに、食した際の舌触りやのど越しなどが良好な高品質
の肉類加工食材を低コストで製造することができる。
【0079】特に、請求項12および請求項18の発明
によれば、酵素処理後の肉類を乾燥させてパウダ状にす
るので、長期保存が可能であり、取り扱いも容易にな
る。
【0080】さらに、請求項13の発明によれば、ペー
スト状の肉類をドラムドライヤにより瞬時に加熱乾燥す
るので、食材の変質が避けられて処理時間の短縮化を図
ることができる。しかも、高品位のパウダ状またはフレ
ーク状の肉類加工食材を効率よく生産することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係る肉類加工食材の
製造方法のフローチャートである。
【図2】この発明の第1の実施例に係るバイオミルリア
クタの一部断面を含む正面図である。
【図3】図2のA部分の一部断面を含む拡大正面図であ
る。
【図4】この発明の第1の実施例に係る微細化された肉
類加工食材の乾燥装置の斜視図である。
【図5】この発明の第2の実施例に係る肉類加工食材の
製造方法のフローチャートである。
【符号の説明】
10 バイオミルリアクタ(細断反応装置)、 25 ドラムドライヤ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 1/325 A23L 1/325 D Fターム(参考) 4B011 AA02 KA01 KA04 KE14 KE16 KK04 MA01 MA02 4B042 AC02 AC03 AC05 AC09 AD39 AE01 AG01 AG02 AG03 AG12 AG27 AG35 AG45 AG51 AG56 AG60 AG72 AH01 AK20 AP17 AP21 AP27 AT05

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 獣鳥鯨肉および魚介類の肉類を細かく切
    断する細断処理と同時に、この肉類に、所定の酵素処理
    を行う肉処理酵素および水を添加してこの肉類を酵素処
    理する肉類加工食材の製造方法。
  2. 【請求項2】 獣鳥鯨肉および魚介類の肉類を細かく切
    断する細断処理を行った後に、この肉類に、所定の酵素
    処理を行う肉処理酵素および水を添加してこの肉類を酵
    素処理する肉類加工食材の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記肉処理酵素が、 肉類に含まれる蛋白質およびペプチドに作用してペプチ
    ド結合の加水分解を促す蛋白質分解酵素、肉類に含まれ
    る脂肪分を分解する脂質分解酵素、および、加水分解に
    より微細化された肉類の蛋白の結合を促す蛋白架橋結合
    酵素の酵素群から選出されたものである請求項1または
    請求項2に記載の肉類加工食材の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記蛋白質分解酵素がプロテアーゼであ
    る請求項3に記載の肉類加工食材の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記脂質分解酵素がリパーゼである請求
    項3に記載の肉類加工食材の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記蛋白架橋結合酵素がトランスグルタ
    ミナーゼである請求項3に記載の肉類加工食材の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 上記蛋白質分解酵素の添加条件が、 添加量0.05〜0.5重量%、反応温度30〜65
    ℃、反応時間30〜90分間である請求項3または請求
    項4に記載の肉類加工食材の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記脂質分解酵素の添加条件が、 添加量0.05〜0.5重量%、反応温度30〜65
    ℃、反応時間30〜90分間である請求項3または請求
    項5に記載の肉類加工食材の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記蛋白架橋結合酵素の添加条件が、 添加量0.05〜1.0重量%、反応温度30〜65
    ℃、反応時間10〜35分間である請求項3または請求
    項6に記載の肉類加工食材の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記肉類の細断処理が、肉類を切断
    し、攪拌あるいは循環して酵素反応を促進させる細断反
    応装置を用いて行われる請求項1〜請求項9のうちのい
    ずれか1項に記載の肉類加工食材の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記細断処理が、肉類を0.2mm以
    下に微細化するものである請求項1〜請求項10のうち
    のいずれか1項に記載の肉類加工食材の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記細断処理後の肉類を乾燥させてパ
    ウダ状にする請求項1〜請求項11のうちのいずれか1
    項に記載の肉類加工食材の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記肉類の乾燥が、 ドラム内に供給された蒸気の熱により、ドラム外周面に
    付着した細断処理後の肉類を乾燥させるドラムドライヤ
    により行われる請求項12に記載の肉類加工食材の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 上記ドラムドライヤの乾燥条件が、 ドラム表面温度100〜160℃、加熱時間8〜40秒
    間である請求項13に記載の肉類加工食材の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記肉類が、食用の獣鳥鯨肉および魚
    介類である請求項1〜請求項14のうちのいずれか1項
    に記載の肉類加工食材の製造方法。
  16. 【請求項16】 獣鳥鯨肉および魚介類の肉類を細かく
    切断する細断処理と同時に、これらの肉類に、所定の酵
    素処理を行う肉処理酵素および水を添加してこれらの肉
    類を酵素処理することで得られた肉類加工食材。
  17. 【請求項17】 獣鳥鯨肉および魚介類の肉類を細かく
    切断する細断処理を行った後に、これらの肉類に、所定
    の酵素処理を行う肉処理酵素および水を添加してこれら
    の肉類を酵素処理することで得られた肉類加工食材。
  18. 【請求項18】 上記細断処理された肉類を乾燥させて
    パウダ状にした請求項16または請求項17に記載の肉
    類加工食材。
  19. 【請求項19】 上記肉類が、食用の獣鳥鯨肉および魚
    介類である請求項16〜請求項18のうちのいずれか1
    項に記載の肉類加工食材。
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