JP2001055021A - タイヤのビードコア構造及び空気入りタイヤ - Google Patents
タイヤのビードコア構造及び空気入りタイヤInfo
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Abstract
く、ビードワイヤーの配置を良好に維持でき、高い耐久
性や優れた操縦安定性のタイヤが得られるビードコア構
造及びその構造を有する空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】 空気入りタイヤのビード部Bに配置さ
れ、カーカス層2に囲まれたビードワイヤーの集束体と
して形成されるビードコア1の構造において、前記ビー
ドワイヤーを線径の異なる複数種のビードワイヤー3
a,3bで構成すると共に、最も線径の大きなビードワ
イヤー3aをビードコア1の最内周の最もビードトウ側
に少なくとも配置してあることを特徴とする。
Description
ビード部のビードコア構造及びそのビードコア構造を有
する空気入りタイヤに関するものである。
状のビード部とそのビード部から各々外周側へ延びるサ
イドウォール部とそのサイドウォール部の各々の外周側
端同士を連ねるトレッド部とを備える。そして、図6に
示すように、当該ビード部Bにはカーカス層2に囲まれ
たビードワイヤー3の集束体として形成されるビードコ
ア1が配設される。このビードコア1は、タイヤを構成
する部材の中で最も剛性の高いものであり、ビード部B
においてカーカス層2の端部を係止してこれを支え、タ
イヤのビード部BをリムR上に嵌着した状態に保つとい
う役割を有する。
ヤ3の本数およびその配置等は、タイヤサイズやタイヤ
構造の違い等によって異なるが、例えば乗用車用タイヤ
の場合は、図6のように子午線断面において19本のビ
ードワイヤー3が長方形に近い形状で積層されたビード
コア構造などが採用される。またバス、トラック用等の
大型のタイヤの場合は、更に本数の多いビードコア構造
が採用される。
図6のように配置する方法としては、複数列に配置した
複数のビードワイヤー3をビードコア1の最内周から外
周側に巻回して積層する方法(グロメット式)と、一本
のビードワイヤー3をタイヤ軸方向にスライドさせなが
ら巻回して、ビードコア1の最内周から外周側に1層づ
つ積層する方法(シングルストランド式)が、現在主流
である。
造を有するビードコアを配したビード部に、サイドウォ
ール部とトレッド部とを一体化した未加硫原料を、所定
の形状を有する成形型内で加圧成形し、加熱加硫する工
程を経て生産される。
従来のビードコア構造では、上記の生産工程において、
カーカス層の張力がビードコアに強い力でかかるため、
各ビードワイヤーの配置が乱れ易く、それらが不均一な
配置になったタイヤが得られ易い。その結果、ビードコ
アの剛性が不均一となり、タイヤの操縦安定性、乗り心
地特性、タイヤのユニフォーミティ性能の低下の要因と
なっていた。更に、ビードコアの形状が長方形に近いた
め、走行時のタイヤの変形に際し、ビードコアの特定の
部位に応力が集中し易く、ビード部の耐久性等が低くな
るという懸念もあった。
地特性、生産効率の向上等の観点から、種々の形態のビ
ードコア構造が提案されている。例えば、子午線断面に
おけるビードワイヤーの配置やその集束形状を工夫した
もの(特開平7−205618号公報)、ビードワイヤ
ーを他の材料と複合化したもの(特開平7−15661
8号公報)、ビードコアの曲げ剛性指数を規定したもの
(特開平10−53011号公報)などが存在する。し
かし、ビードコア構造を過度に複雑化させることは、生
産効率の面であまり好ましくなく、また既存の設備も利
用し難くくなる。このため、従来の製造工程をあまり変
えることなく、上記の問題点を改善する技術が望まれて
いた。
産工程を複雑化させることなく、ビードワイヤーの配置
を良好に維持でき、高い耐久性や優れた操縦安定性のタ
イヤが得られるビードコア構造及びその構造を有する空
気入りタイヤを提供することにある。
本発明により達成できる。即ち、本発明のビードコア構
造は、空気入りタイヤのビード部に配置され、カーカス
層に囲まれたビードワイヤーの集束体として形成される
ビードコアの構造において、前記ビードワイヤーを線径
の異なる複数種のビードワイヤーで構成すると共に、最
も線径の大きなビードワイヤーをビードコアの最内周の
最もビードトウ側に少なくとも配置してあることを特徴
とする。
ーをそれぞれビードコアの最内周から外周側に巻回して
積層すると共に、少なくとも最もビードトウ側に最も線
径の大きなビードワイヤーを積層してあることが好まし
い。
〜2.2mmのものと線径0.9〜1.6mmのものと
で構成されていることが好ましい。
環状のビード部とそのビード部から各々外周側へ延びる
サイドウォール部とそのサイドウォール部の各々の外周
側端同士を連ねるトレッド部とを備える空気入りタイヤ
において、前記ビード部が上記いずれかに記載のビード
コア構造を有することを特徴とする。
析の結果に基づいてなされたものである。即ち、図1に
示すように配置された各ビードワイヤーに1〜19まで
の番号を付して、タイヤを装着した状態で各ビードワイ
ヤーにかかる応力を相対的な指数で表すと、図2に示す
グラフのようになる。これによると、応力の大きい順で
3番目までのものが、最もビードトウ側のビードワイヤ
ー(番号:1,3,6)に相当し、また、応力の大きい
順で6番目までのものが、最もビードトウ側とその次の
ビードワイヤー(番号:1,3,6,10,2,5)に
相当する。一方、図3はビードコアの周囲に配置される
各ビードワイヤーが、タイヤの生産工程においてタイヤ
の軸方向と径方向にどの程度変位するか示すものであ
る。これによると、径方向に最も変位が大きいのが、最
もビードトウ側の最内周のビードワイヤー(番号:1)
であり、軸方向に最も変位が大きいのが最もビードトウ
側の最内周から2番目のビードワイヤー(番号:3)で
ある。なお、FEM解析は、構造物の物性を調査するた
めに、構造物を有限要素に分割し、各々の要素で記述さ
れる運動方程式(応力を質量マトリックス、減衰マトリ
ックス、剛性マトリックス及び変位との関数で表した
式)を微積分等の演算により求める解析手法であり、タ
イヤの各種特性の予測に利用されている。
径の大きなビードワイヤーをビードコアの最内周の最も
ビードトウ側に配置してあるため、上記のFEM解析結
果から予測される応力の偏りやビードワイヤーの変位に
対して、特に有効な改善対策となる。即ち、応力が大き
な部位やビードワイヤーの変位が大きい部位に、最も線
径の大きなビードワイヤーが配置されることにより、タ
イヤ生産時にビードワイヤーの配置が良好(均一)に維
持されるため、タイヤの操縦安定性や乗り心地特性等を
改善することができる。また、車両走行時においても、
タイヤの変形時にカーカス層からの大きな張力を受ける
部位に、最も線径の大きなビードワイヤーが配置されて
いるため、大きな線径による支持形態(曲率半径が大)
とその剛性により、タイヤの耐久性や操縦安定性を高め
ることができる。一方、剛性を必要としない部位に、よ
り線径の小さいものを配置することができるため、材料
コストや軽量化の面でも有利になる。更に、特定位置に
配置されるビードワイヤーの線径を変えるだけでよいた
め、ビードコアの生産工程をあまり複雑化させることが
なく、既存の設備も利用し易い。
ードコアの最内周から外周側に巻回して積層すると共
に、少なくとも最もビードトウ側に最も線径の大きなビ
ードワイヤーを積層してある場合、次のような作用効果
を奏する。即ち、タイヤを装着した状態で生じる応力の
大きい順で3番目までのものが、最もビードトウ側のビ
ードワイヤーであり、また、タイヤの生産時にタイヤの
軸方向と径方向に各々最も変位するビードワイヤーが、
最もビードトウ側に存在する。このため、最もビードト
ウ側に最も線径の大きなビードワイヤーを積層すること
により、ビードワイヤーの配置を更に良好に維持するこ
とができ、タイヤの耐久性や操縦安定性をより高めるこ
とができる。また、最もビードトウ側に最も線径の大き
なビードワイヤーを積層してあるため、走行時のタイヤ
の変形に対して、高い曲げ反力、捩じり反力を発生しつ
つも、剪断力に対しては柔軟に変形するので、操縦安定
性が更に向上する。
2mmのものと線径0.9〜1.6mmのものとで構成
されている場合、2種の線径とすることにより、ビード
コアの生産工程を複雑化させずに済み、また、線径の比
率が適当な範囲となるため、各ビードワイヤーに対して
適当な曲げ剛性等を付与することができ、上記の如き作
用効果を十分に得ることができる。
ずれかに記載のビードコア構造を有するため、上述の如
き作用効果を奏することができ、ビードコアの生産工程
を複雑化させることなく、ビードワイヤーの配置を良好
に維持でき、高い耐久性や優れた操縦安定性の空気入り
タイヤを提供することができる。
て図面を参照しながら、ビードコア構造、空気入りタイ
ヤの順で説明する。
のビード部Bの子午線断面を示すものである。本実施形
態では、ビードワイヤーを線径の異なる2種のビードワ
イヤー3a,3bで構成し、線径の大きい方のビードワ
イヤー3aをビードコア1の最もビードトウ側と2番目
の列とに積層して配置した例を示す。
入りタイヤのビード部Bに配置され、タイヤの内側から
外側へ向けて折返されたカーカス層2に囲まれたビード
ワイヤー3a,3bの集束体として形成されている。そ
の際、2種のビードワイヤー3a,3bが使用されてい
るが、ビードワイヤー3aとしては線径1.6〜2.2
mmのものを、ビードワイヤー3bとしては線径0.9
〜1.6mmのものを使用するのが好ましい。また、前
者の線径と後者の線径の比率(前者/後者)は、1.0
を超えて2.4以下が好ましく、1.3〜1.6がより
好ましい。当該範囲とすることにより、各ビードワイヤ
ーに対して適当な曲げ剛性等を付与することができ、タ
イヤの操縦安定性をより向上させることができる。な
お、ビードワイヤーの断面形状は、円形以外のものでも
よく、その場合、上記の線径とは同一断面積を有する円
形に換算した場合の線径を指す。
は、従来からタイヤに使用されている各種の線材が何れ
も使用可能であり、例えば、ゴムとの接着性を高めるた
めにブロンズメッキなどを施した硬鋼線材などが好適に
使用できる。なお、ビードワイヤー3aと3bとで異な
る材質のものを使用することも可能であるが、その場合
でも、ビードワイヤー3aの方が線材としての剛性が高
くなるようにするのが好ましい。
分にはゴム等が充填されているが、これはタイヤの構成
材料と同種のゴム原料等を予め被覆したビードワイヤー
3a,3bが、通常、積層時に使用されるためである。
各々についてシングルストランド式で行ってもよいが、
グロメット式の方が本発明には適している。つまり、ビ
ードワイヤー3aと3bとを、各々2列に配置してゴム
原料で被覆した帯状体(リボン体)をそれぞれ用意し、
前者については帯状体を3層積層し、後者については帯
状体を3層積層した後、ビードトウ側のビードワイヤー
3bのみを更に1層積層することにより、図4に示すよ
うなビードコア1が積層体として得られる。
ヤは、一対の環状のビード部とそのビード部から各々外
周側へ延びるサイドウォール部とそのサイドウォール部
の各々の外周側端同士を連ねるトレッド部とを備える空
気入りタイヤにおいて、前記ビード部が以上のようなビ
ードコア構造を有することを特徴とするものである。従
って、ビードコア構造以外の部分については、従来の空
気入りタイヤの構造、材料、形状、大きさ等が何れも採
用できる。また、空気入りタイヤの生産工程について
も、前述のようなビードワイヤー3a,3bの積層方法
を利用してビードコア1を製造する点以外は、従来のタ
イヤの生産工程に準じて行うことができる。
ア構造の例を示したが、図5(a)〜図5(d)に示す
ようなビードコア構造であってもよい。即ち、ビードワ
イヤーを線径の異なる2種のビードワイヤー3a,3b
で構成し、線径の大きい方のビードワイヤー3aをビー
ドコア1の最もビードトウ側のみに積層して配置した構
造(図5(a)参照)、線径の大きい方のビードワイヤ
ー3aをビードコア1の最もビードトウ側と2番目と3
番目の列とに積層して配置した構造(図5(b)参
照)、ビードワイヤーを線径の異なる3種のビードワイ
ヤー3a,3b,3cで構成し、線径の大きい順に、ビ
ードトウ側から1列+1列+2列づつ積層配置した構造
(図5(c)参照)、又は最内周の最もビードトウ側と
それに近接する合計4本のビードワイヤーを線径の大き
いビードワイヤー3aとし、残りのビードワイヤーを線
径の小さいビードワイヤー3bとした構造(図5(d)
参照)なども採用することができる。つまり、本発明の
ビードコア構造は、最も線径の大きなビードワイヤーを
ビードコアの最内周の最もビードトウ側に少なくとも配
置してあればよいため、線径の大きいビードワイヤーの
本数の比率を変えたり、ビードワイヤーの線径の種類を
3種以上にしたり、線径の大きいビードワイヤーの配置
を変えたりすることが可能である。
ドコア構造を有するビードコアは、前述の実施形態に準
じて製造することができるが、図5(d)に示すビード
コア構造の場合、次のようにして製造するのが好まし
い。即ち、ビードワイヤー3aをシングルストランド方
式で2列×2層だけ積層した後、ビードワイヤー3bを
シングルストランド方式で最内周から外周側へと3層目
まで2列×3層だけ積層し、4層目からはビードワイヤ
ー3aの外周を覆うように全体にビードワイヤー3bを
巻回して、最外層まで積層する方法が好ましい。
ヤの場合を主に想定して、比較的少ない本数のビードワ
イヤーで構成されるビードコア構造を例示したが、バ
ス、トラック用等の大型のタイヤの場合は、更に本数の
多いビードコア構造が採用される。また、いずれの場合
でも、タイヤサイズやタイヤ構造の違い等によって、全
体の本数を更に少なくしたり、逆に多くすることが適宜
可能である。
ーが直上に積層される積層形態(矩形配置)を有するビ
ードコア構造を例示したが、本発明は、このような積層
形態に限定されるものではない。
等について説明する。表1に示すビードコア構造と線径
とを有する空気入りタイヤ(サイズ:205/55R1
6)をそれぞれ作製し、次のような水圧バースト試験と
操縦安定性試験を行った。また、FEM解析によりタイ
ヤ作製時の各ビードワイヤーの変位量を計算して(図3
および図7参照)、その分布から変位量のバラツキを求
め、相対的な指数(小さい程バラツキが小)として表し
た。なお、ビードワイヤーの線径は、その総断面積が何
れの例でも同一になるように設定した。
みして、チューブ内に水を注入し加圧する方法で行な
い、安全基準に基いて設定された圧力値で破断が生じる
か否かで判定し、従来例を100として指数で表示し
た。また、操縦安定性試験は、各タイヤを乗用車に装着
し、専門のドライバーにより操縦安定性を限界性能、応
答性能、直進性能の観点から相対的に評価し、従来例を
100として指数で表示した。
イヤーを使用した本発明の実施例の場合、変位量のバラ
ツキが小さく、水圧バースト試験と操縦安定性試験の結
果が、同一線径のものを使用した従来例と比較して大幅
に改善されていた。
比:約1.4倍)のビードワイヤーを使用した場合に
は、操縦安定性がより良好になっており、この線径比を
含む範囲が特に好ましいことが分かる。
の前提となるビードワイヤーの配置を示す図
によるビードワイヤーの位置と応力との関係を示すグラ
フ
によるビードワイヤーの位置と変位量との関係を示すグ
ラフ
面図
線断面図
図
変位量をFEM解析により計算した結果を示すグラフ
(図3の従来例に対応するもの)
Claims (4)
- 【請求項1】 空気入りタイヤのビード部に配置され、
カーカス層に囲まれたビードワイヤーの集束体として形
成されるビードコアの構造において、 前記ビードワイヤーを線径の異なる複数種のビードワイ
ヤーで構成すると共に、最も線径の大きなビードワイヤ
ーをビードコアの最内周の最もビードトウ側に少なくと
も配置してあることを特徴とするタイヤのビードコア構
造。 - 【請求項2】 前記複数種のビードワイヤーをそれぞれ
ビードコアの最内周から外周側に巻回して積層すると共
に、少なくとも最もビードトウ側に最も線径の大きなビ
ードワイヤーを積層してある請求項1記載のビードコア
構造。 - 【請求項3】 前記ビードワイヤーが、線径1.6〜
2.2mmのものと線径0.9〜1.6mmのものとで
構成されている請求項1又は2に記載のビードコア構
造。 - 【請求項4】 一対の環状のビード部とそのビード部か
ら各々外周側へ延びるサイドウォール部とそのサイドウ
ォール部の各々の外周側端同士を連ねるトレッド部とを
備える空気入りタイヤにおいて、 前記ビード部が請求項1〜3いずれかに記載のビードコ
ア構造を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP23108799A JP4390163B2 (ja) | 1999-08-18 | 1999-08-18 | タイヤのビードコア構造及び空気入りタイヤ |
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
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JP2001055021A true JP2001055021A (ja) | 2001-02-27 |
JP4390163B2 JP4390163B2 (ja) | 2009-12-24 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23108799A Expired - Fee Related JP4390163B2 (ja) | 1999-08-18 | 1999-08-18 | タイヤのビードコア構造及び空気入りタイヤ |
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JP (1) | JP4390163B2 (ja) |
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