JP5265394B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents
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Description
そこで、本発明の目的は、転がり抵抗を低減したランフラットタイヤを提供することにある。
(1)一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、少なくとも1層の傾斜ベルト層を有するベルトおよびトレッドを順に配置し、タイヤのサイド部における前記カーカスのタイヤ幅方向内側に補強ゴムを配置したランフラットタイヤであって、
該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.05以下であるとともに、
前記カーカスのタイヤ径方向最外側とビードトゥとの間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、前記カーカスの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることを特徴とするランフラットタイヤ。
該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.05以下であるとともに、
前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記最外側層の幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることを特徴とするランフラットタイヤ。
図1に、本発明のランフラットタイヤ(以下、タイヤともいう)の幅方向断面を示す。タイヤ6は、ビードコア1を埋設した一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカス2を骨格として、このカーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側に、少なくとも1層、図示例で2層の傾斜ベルト層3a、3bと1層の周方向ベルト層3cを有するベルト3およびトレッド5を順に配置するとともに、タイヤのサイド部におけるカーカス2のタイヤ幅方向内側に三日月状断面を有する補強ゴム4を配置してなる。傾斜ベルト層3a、3bは、タイヤ赤道面CLに対して傾斜して延びるコードの多数本をゴムで被覆した層を層間でコードが交差する向きに配置してなり、周方向ベルト層3cは、タイヤ赤道面CLに沿って延びるコードの多数本をゴムで被覆してなる。
ここで、タイヤ6を適用リム7に装着した状態とは、日本自動車タイヤ協会規格(JATMA)に規定の標準リムに組み込んだ状態にて、内圧を負荷せずに若しくは、30kPa程度までの極低内圧を負荷した状態を意味する。
タイヤの転がり抵抗(RR)は、歪エネルギー(SE)にトレッドゴムの損失正接(tanδ)とトレッドゴムの体積(Vol)をかけたものと考えられる。すなわち、
RR=SE×tanδ×Vol
で与えられる。
そこで、図1に示すタイヤの負荷転動時にトレッド5に発生する歪エネルギーについて、有限要素法を用いて詳細に解析したところ、トレッド5における歪エネルギーの比率は図2に示す通りであった。
図2より、トレッド5に発生する歪エネルギーは、トレッドセンター部が40%、トレッドショルダー部が60%であり、トレッドショルダー部における歪エネルギーを更に低減させることが、転がり抵抗の低減に有効であることが分かった。
なお、トレッドセンター部は、タイヤ赤道面CLを中心として、最外側傾斜ベルト層3bの幅BWの1/2の幅を有する領域にあり、トレッドショルダー部は、トレッドセンター部の幅方向両外側の領域にあるものとする。
図3において、トレッドショルダー部の歪を、半径方向の垂直歪R、周方向の垂直歪C、幅方向の垂直歪Z、周方向断面内のせん断歪RC、幅方向断面内のせん断歪RZおよび半径方向断面内のせん断歪CZの割合で表している。
図3より、幅方向断面内のせん断歪RZが50%であり、トレッドショルダー部に発生する歪エネルギーの中で支配的であることが分かる。なお、幅方向断面内のせん断歪RZとは、図4に示すように、タイヤ幅方向断面内において、破線の四角形が実線の平行四辺形に変形する際のせん断歪のことである。
第1は、図5(a)に、内圧を与えた状態のトレッド5を破線で、負荷転動時のトレッド5を実線で模式的に示すように、曲率を有するベルト(図示せず)の径方向外側のトレッド5が、タイヤの負荷転動時に平坦な路面10に強制的に押し付けられるため、丸いクラウン形状がまっすぐに伸ばされる形のせん断変形が生ずる。
特に、サイド補強ランフラットタイヤでは、補強ゴム4がパンク時に車両を支えるため、補強ゴム4の曲げ剛性が高い。それゆえ、タイヤの負荷転動時には、サイド部の補強ゴム4の変形は小さく、サイド部に隣接するトレッドショルダー部のゴムのせん断変形が大きくなる。
第2は、ベルト3において、そのトレッドセンター部とトレッドショルダー部の間に径差があるため、図5(b)に模式的に示すように、トレッドセンター部のベルト部分3CENTより、トレッドショルダー部のベルト部分3SHOの方が接地時により多く周方向に伸ばされる。その結果、タイヤ幅方向断面内に収縮し路面で拘束されているトレッド表面とベルトの間にあるトレッドゴムにせん断歪RZが発生する。
すなわち、比BD/BWが0.01未満の場合、荷重をかけない状態でもトレッドショルダー部はほぼ接地しており、荷重をかけてトレッドショルダー部を路面に押し付けると、トレッドショルダー部のゴムは圧縮変形する。ランフラットタイヤではサイド部の補強ゴム4によりサイド部の剛性が高いため、トレッドショルダー部のゴムの圧縮変形がより大きくなり、すなわち、ヒステリシスロスが大きくなり転がり抵抗が悪化する。
一方、比BD/BWが0.05超の場合、トレッドショルダー部のゴムのせん断歪RZを低減できず、転がり低減効果が発現できない。
T0=1/2×aP(b−2R1sinθ)
で与えられることが知られている(株式会社ブリヂストン、「自動車用タイヤの基礎と実際」、山海堂、2006)。上式からθを小さくすればベルト張力T0を大きくできることがわかる。このθを小さくするためには、図1に示すように、カーカス2の最大幅位置Cをトレッド5の近傍に位置させ、この部分の曲率を大きくすることが有効である。具体的にはカーカス2のタイヤ径方向最外側とビードトゥ9との間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、カーカス2の最大幅位置Cにタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥ9にタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下である必要がある。
なぜなら、この比CSWh/CSHが0.6未満の場合θを小さくすることができず、一方、この比CSWh/CSHが0.9超の場合タイヤの形を成さない。なお、一般のタイヤでは、この比CSWh/CSHは0.4以上0.6以下に設定される。
比BW/CSWが0.8未満の場合、タイヤ幅方向断面内での負荷分散が十分に図れず、転がり抵抗低減効果が十分に発揮されないおそれがある。ベルト端外側に被覆ゴムが必要なため、カーカス2の最大幅CSWに対するベルト幅の上限は限られる。
発明例タイヤおよび比較例タイヤは、図7に示すようなフラットなクラウン部を有し、従来例タイヤは、図8に示すような丸いクラウン部を有する。各供試タイヤはいずれも、タイヤ赤道面CLに対して26°の角度で傾斜して延びるスチールコードの多数本をゴムで被覆してなる2層を層間でコードが交差する向きに配置してなる傾斜ベルト層3a、3bと、タイヤ赤道面CLに沿って延びるナイロンコードの多数本をゴムで被覆してなるキャップ3cと、傾斜ベルト層3a、3bおよびキャップ3cのタイヤ幅方向端部を補強するためのレイヤ3dとからなるベルト構造を有し、タイヤのサイド部におけるカーカス2のタイヤ幅方向内側に三日月状断面の補強ゴム4を有する。
各供試タイヤにおいて、ベルトの落ち率として最外側傾斜ベルト層3bの幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWと、カーカス2の形状として比CSWh/CSHと、カーカス幅対比ベルト幅としてカーカス2の最大幅CSWに対する最外側傾斜ベルト層2bの幅BWの比BW/CSWとを測定し、表1に示す。
よって、本発明により、転がり抵抗を低減したランフラットタイヤを提供することができる。
2 カーカス
3 ベルト
3a 傾斜ベルト層
3b 傾斜ベルト層(最外側傾斜ベルト層)
3c 周方向ベルト層(キャップ)
3d レイヤ
4 補強ゴム
5 トレッド
6 タイヤ
7 適用リム
9 ビードトゥ
Claims (3)
- 一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、少なくとも1層の傾斜ベルト層を有するベルトおよびトレッドを順に配置し、タイヤのサイド部における前記カーカスのタイヤ幅方向内側に補強ゴムを配置したランフラットタイヤであって、
該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.05以下であるとともに、
前記カーカスのタイヤ径方向最外側とビードトゥとの間のタイヤ径方向の距離CSHに対する、前記カーカスの最大幅位置にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離CSWhの比CSWh/CSHが0.6以上0.9以下であることを特徴とするランフラットタイヤ。 - 前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記最外側層の幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
- 一対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスを骨格として、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、少なくとも1層の傾斜ベルト層を有するベルトおよびトレッドを順に配置し、タイヤのサイド部における前記カーカスのタイヤ幅方向内側に補強ゴムを配置したランフラットタイヤであって、
該タイヤを適用リムに装着した状態のタイヤ幅方向断面において、前記傾斜ベルト層の最外側層の幅BWに対する、当該最外側層の幅方向中心部と幅方向端部との径差BDの比BD/BWが0.01以上0.05以下であるとともに、
前記カーカスの最大幅CSWに対する、前記最外側層の幅BWの比BW/CSWが0.8以上0.94以下であることを特徴とするランフラットタイヤ。
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