JP6162922B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤに関するものである。
西暦1960年頃までの車両は、車両の重量が軽く、車両に要求される巡航速度も遅かったため、タイヤへの負担が軽く、タイヤの断面幅が狭いバイアスタイヤが用いられていた。しかし、近年の車両の高出力化や高速道路網の発達に伴い、高速走行時の操縦安定性や耐磨耗性の向上が求められるようになってきており、広幅、偏平のラジアル構造のタイヤが主流となりつつある(特許文献1など)。
しかし、タイヤの広幅化は、車両スペースを圧迫し、居住性を低下させる。このことは、特に、近年実用化されている電気自動車においては、タイヤ車軸回りにタイヤを回転させるトルクを制御するためのモーターなどの駆動部品を収容するスペースの確保が必要となり、タイヤ回りのスペース確保の重要性が高まりつつある状況を鑑みると、大きな問題である。
また、近年、環境問題への関心の高まりにより低燃費性への要求が厳しくなってきている状況にある。ここで、燃費性を向上させるためにタイヤの転がり抵抗値(RR値)を低減するには、タイヤを大径化、広幅化することが有効であることが知られているが、タイヤを大径化、広幅化すると、タイヤ重量及び車両の空気抵抗が増大するため、かえって車両抵抗が増大し、また、タイヤの負荷能力も過剰となってしまうという問題がある。
一方で、タイヤを軽量化するために、タイヤを小径化、狭幅化すると、タイヤの操縦性の低下を招いてしまう。
特開平7−40706号公報
このように、タイヤの燃費性、居住性(車両スペース)の確保と、タイヤの諸性能との両立を図ることは、一般的に困難であり、これらを両立させるための技術の開発が希求されていた。
本発明は、上記の問題を解決することを課題とするものであり、低燃費性と車両スペースを確保しつつも、タイヤの耐久性及び耐磨耗性を向上させた乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、まず、ラジアルタイヤの燃費性及び車両スペースを確保するためには、タイヤの狭幅化及び大径化、すなわち、タイヤの断面幅SWと外径ODとを適切な比の下に規制することが極めて有効であることを見出した。
さらに、発明者らは、狭幅化及び大径化したタイヤにおいて、ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅を適切化することがタイヤの耐久性及び耐磨耗性の向上に有効であるとの新規知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は、以下の通りである。
(1)本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスを有し、該カーカスのタイヤ径方向外側に、1層以上のベルト層からなるベルトと、タイヤ周方向に延びるコードのゴム引き層からなる1層以上のベルト補強層とを備え、
前記タイヤの断面幅SWが135mm以上であり、且つ、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.24以下であり、
前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅をW1とし、前記ベルト層のうち最もタイヤ幅方向の幅が狭いベルト層のタイヤ幅方向の幅をW2とするとき、比W1/W2は、
0.8≦W1/W2≦1.05
を満たし、
前記タイヤのエアボリュームは、15000cm3 以上であることを特徴とする。
上記比SW/ODを0.24以下とすることにより、燃費性を向上し、且つ、車両スペースを確保することができる。
さらに、ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅を上記の範囲とすることにより、タイヤの耐久性及び耐磨耗性を向上させることができる。
ここで、「ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅W1」、及び「ベルト層のうち最もタイヤ幅方向の幅が狭いベルト層のタイヤ幅方向の幅W2」は、タイヤをリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填して、無負荷状態としたときのタイヤ幅方向の幅をいうものとする。
(2)また、本発明においては、前記ベルト補強層のコードのヤング率は、15000MPa以上である。
これにより、タイヤのリング剛性が向上して、コーナリングパワーや耐偏磨耗性が向上するからである。
なお、ヤング率は、JIS L10178.5 a) (2002)にて試験を行い、JISL1017 8.8(2002)に準拠して求めるものである。
(3)また、本発明にあっては、前記ベルト層は、タイヤ周方向に対して、45°以上の角度で傾斜して延びるベルトコードからなり、層間で前記ベルトコードが互いに交差する、複数の傾斜ベルト層である。
これにより、コーナリングパワーや耐偏磨耗性を向上させることができるからである。
(4)本発明にあっては、前記W2は、タイヤのトレッド幅に対して0.85〜1.10倍であることが好ましい。
(5)本発明にあっては、タイヤ幅方向断面にて、タイヤ赤道面CLにおけるトレッド表面上の点をPとし、点Pを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm1とし、接地端Eを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm2とし、直線m1と直線m2とのタイヤ径方向の距離を落ち高LCRとするとき、トレッド幅TWに対する比LCR/TWが0.045以下である。
(6)本発明にあっては、2層の前記ベルト層と、1層の前記ベルト補強層とを備えることが好ましい。
本発明によれば、低燃費性や車両スペースを確保しつつも、タイヤの耐久性及び耐磨耗性にも優れた乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
タイヤの断面幅SWと外径ODを示す図である。 (a)本発明の大径化、狭幅化したタイヤを装着した車両を示す図である。(b)従来のタイヤを装着した車両を示す図である。 本発明の試験に用いたラジアルタイヤの半部の概略断面図である。 タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODと、車両の空気抵抗値(Cd値)及びタイヤの転がり抵抗値(RR値)との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るラジアルタイヤの半部の概略断面図である。
以下、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤとも称する)を導くに至った過程について説明する。
まず、発明者らは、ラジアルタイヤのタイヤ断面幅SW(図1参照)を従前に比し狭くすることによって、車両スペースの確保が可能であること、特にタイヤの車両装着内側近傍に駆動部品の設置スペースが確保されることに着目した(図2参照)。
さらに、タイヤ断面幅SWを狭くすると、タイヤを前方から見た面積が減少するため、車両の空気抵抗値(Cd値)が低減されるという効果がある。
しかしながら、接地部分の変形が大きくなるため、同じ空気圧の場合、タイヤの転がり抵抗値(RR値)が大きくなるという問題がある。
一方で、発明者らは、ラジアルタイヤ特有の性質により、上記の問題点を解決しうることを見出した。すなわち、ラジアルタイヤはバイアスタイヤに比し、トレッドの変形が小さいため、ラジアルタイヤの外径OD(図1参照)を従前に比し大きくすることによって、路面の粗さの影響を受けにくくし、同じ空気圧の場合に、転がり抵抗値(RR値)を低減させることができることに着目した。また、大径化することで、タイヤの負荷能力を向上させることもでき、さらに、図2に示すように、ラジアルタイヤの大径化によって車輪軸が高くなり、床下のスペースが拡大されるため、車両のトランク等のスペースや、駆動部品の設置スペースが確保することができることも見出した。
ここで、上記のように、タイヤの狭幅化と大径化は、共に車両スペース確保の効果があるものの、転がり抵抗値(RR値)に関しては、トレードオフの関係にある。また、タイヤの狭幅化によって車両の空気抵抗値(Cd値)の低減を図ることができる。
そこで、発明者らは、車両の空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)について、タイヤ断面幅とタイヤ外径とのバランスの適切化を図ることによって、これらの特性を従来のラジアルタイヤより向上させるべく鋭意検討した。
発明者らは、タイヤ断面幅SWとタイヤの外径ODとの比SW/ODに着目し、規格外のものを含む様々なタイヤサイズのタイヤを車両に装着させて、車両の空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)を計測する試験を行い、これらの特性が共に従来のラジアルタイヤより上回る、比SW/ODの条件を導出した。
以下、比SW/ODの好適範囲を導出するに至った試験結果について、詳しく説明する。
ここで、図3は、上記試験に用いたタイヤのタイヤ幅方向の概略断面図である。なお、図3は、タイヤ赤道面CLを境界とした一方の半部のみを示しており、図示しない他方の半部については、一方の半部と同様の構造であるため、図示を省略してある。
図3は、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填して、無負荷状態としたときのタイヤを示している。
供試タイヤとして、図3に示すような、一対のビード部1間をトロイダル状に跨り、ラジアルに配列した、カーカス2を備えた空気入りラジアルタイヤを、タイヤサイズを変えて複数試作した。
ここで、図示例のタイヤにおいて、カーカス2は有機繊維で構成され、カーカス2のクラウン部のタイヤ径方向外側には1層以上の、図示例では2層のベルト層3a、3bからなるベルト3、及びトレッド4が順に配置されている。図示例の2層のベルト層3a、3bは、ベルトコードがタイヤ赤道面CLに対して20〜75°の角度で傾斜した、傾斜ベルト層であり、層間でベルトコードが交差する配置となっている。また、ベルト層のタイヤ径方向外側には、タイヤ赤道面CLに沿って螺旋巻きし、従って実質上周方向に延びるコードのゴム引き層からなる、1層以上、図示例で1層のベルト補強層5が配置されている。
ベルト補強層5は、ナイロン、ケブラーなどの有機繊維からなるコードを用いることができ、図示例では、ベルト補強層5はナイロンからなる、ヤング率3.2GPa、繊度1400dtexのコードで構成され、打ち込み数は50(本/50mm)である。
さらに、トレッド4には、複数の、図示例で半部に1つのタイヤ周方向に延びる主溝6が設けられている。
また、ベルト補強層5のタイヤ幅方向の幅W1と、タイヤ幅方向の幅が最も狭いベルト層3a(以下、最狭幅ベルト層と称することもある)のタイヤ幅方向の幅W2との比W1/W2は、1.1である。
さらに、後述する、落ち高LCRとトレッド幅TWとの比LCR/TWは、0.05である。
以上のタイヤ構造を基本として、種々の断面幅及び外径のタイヤを多数試作した。
まず、評価基準となるタイヤとして、最も汎用的な車両で使用され、タイヤ性能の比較に適している、タイヤサイズ175/65R15のタイヤを基準タイヤとして用意した。
また、様々なタイヤサイズのタイヤを用意し、リムに組み込み、以下の試験を行った。
表1に各タイヤの諸元を示す。
なお、タイヤサイズに関しては、JATMA(日本のタイヤ規格)、TRA(アメリカのタイヤ規格)、ETRTO(欧州のタイヤ規格)等の従来の規格に捉われずに、これらの規格外のタイヤサイズも含めて、幅広く検討した。
Figure 0006162922
<タイヤの転がり抵抗値(RR値)>
上記各タイヤをリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷して、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、基準タイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
ここに、「装着する車両毎に規定される最大負荷」とは、最大乗員数を想定した時に、4輪の中で最も荷重のかかるタイヤへの負荷荷重を意味する。
<車両の空気抵抗値(Cd値)>
実験室にて、上記各タイヤを排気量1500ccの車両に装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷して、100km/hに相当する速度で送風したときの空気力を車輪下にある床置き天秤を用いて測定し、基準タイヤを100とする指数によって評価した。数値が小さいほど空気抵抗は小さい。
以下、評価結果を表2及び図4に示す。
Figure 0006162922
表2及び図4に示す試験結果から、タイヤ断面幅SWとタイヤ外径ODとの比SW/ODが0.24以下である、タイヤサイズのラジアルタイヤ(供試タイヤ1〜7)は、全体として、比SW/ODが0.24超であるタイヤ(供試タイヤ8〜16、基準タイヤ)より空気抵抗値(Cd値)と転がり抵抗値(RR値)とが共に低減され、車両抵抗が大きく低減することの知見を得た。
次に、タイヤ断面幅SWとタイヤ外径ODとの比SW/ODを0.24以下とすることで、実際に車両の燃費性が向上し、車両スペースを確保することができることを確かめるため、上記の供試タイヤについて、以下の試験を行った。
<実燃費>
JOC8モード走行による試験を行った。評価結果は、基準タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、燃費が良いことを表している。
<車両スペース>
1.7m幅車両にタイヤを装着した際のリアトランク幅を計測した。評価結果は、基準タイヤの評価結果を100とした指数で表し、指数が大きい方が、車両スペースが広いことを表している。
試験結果を以下の表3に示す。
Figure 0006162922
表3に示すように、比SW/ODが0.24超の供試タイヤ8〜16では、それぞれ、燃費性、車両スペースの少なくとも一方が、基準タイヤより低下したのに対し、比SW/ODが0.24以下である供試タイヤ1〜7は、いずれも基準タイヤより燃費性が良く、車両スペースも広いことがわかる。
発明者らは、斯くの如くして、乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、比SW/ODを0.24以下とすることで、車両スペースを確保しつつ、車両抵抗を低減させて、燃費性を向上させることができることを見出したものである。
ここで、さらに、発明者らは、上記比SW/ODが0.24以下であるタイヤは、狭幅化したことにより、接地面積が減少して路面からの入力(圧力)が増大し、タイヤ径方向の撓み率が増大することから、タイヤの転動時に、ベルトとベルト補強層との間の歪みが増大し、これらの間でセパレーションを発生しやすくなることにより、タイヤの耐久性が悪化し、また、ベルトとベルト補強層との間のゴムに生じるせん断力がタイヤ周方向及びタイヤ幅方向で不均一となり、接地圧分布が不均一となるため、タイヤの耐磨耗性が悪化するという、狭幅・大径タイヤに特有の問題が生じることを見出し、この問題を解決すべく鋭意検討を行い、この問題を解決し得るタイヤ構造に関する知見を得た。
そこで、次に、上記比SW/ODが0.24以下の乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤの耐久性及び耐磨耗性を向上させるためのタイヤの構造について説明する。
図5は、本発明の一実施形態にかかるタイヤのタイヤ幅方向の概略断面図である。なお、図5は、タイヤ赤道CLを境界とした一方の半部のみを示しており、図示しない他方の半部については、一方の半部と同様の構造であるため、図示を省略してある。
図5は、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填して、無負荷状態としたときのタイヤを示している。
図5に示すように、本発明のタイヤは、ベルト補強層8のタイヤ幅方向の幅W1と、ベルト7を構成する2層のベルト層7a、7bのうち、最狭幅ベルト層7aのタイヤ幅方向の幅W2との比W1/W2を適切化した点において、図3に示すタイヤと異なっている。
具体的には、本発明にあっては、比W1/W2は、
0.8≦W1/W2≦1.05
を満たすことが肝要である。
その他のタイヤ構造等は、図3に示すタイヤと同等である。
なお、「ベルト補強層8のタイヤ幅方向の幅W1」は、ベルト補強層が複数層ある場合には、タイヤ幅方向の幅が最も狭いベルト補強層のタイヤ幅方向の幅をいうものとする。
以下、本発明の作用効果について説明する。
本発明によれば、比W1/W2を上記の範囲とし、最狭幅ベルト層のタイヤ幅方向の幅に対して、ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅をほぼ同等ないし若干狭くしている。このため、ベルト補強層の剛性が低減し、ベルトとベルト補強層との間の剛性差による歪みの発生を抑えることができる。従って、上述した、この歪みに起因するタイヤの耐久性の低下を抑えることができ、また、ベルトとベルト補強層との間のゴムに生じるせん断力をタイヤ周方向及びタイヤ幅方向で均一化して、タイヤの耐磨耗性を向上させることができる。さらにまた、上記歪みが低減することによって、接地特性も改善されるため、コーナリングパワー、コーナリングフォース、及び燃費性も向上する。
ここで、比W1/W2が1.05超であると、上記のベルトとベルト補強層との剛性差を緩和する効果が十分でなく、一方で、比W1/W2が0.8未満であると、ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅が狭くなりすぎて、リング剛性が低下し、タイヤの耐磨耗性やコーナリングパワーを確保し難くなる。
また、タイヤの耐磨耗性、コーナリングパワー、コーナリングフォース、及び燃費性をより一層向上させるためには、同様の理由により、比W1/W2は、
0.8≦W1/W2≦0.95
を満たすことがより好ましい。
なお、W2はトレッド幅TWに対して0.85〜1.10倍であることが好ましい。
なお、本発明のタイヤは、エアボリュームが15000cm以上のものであることが好ましい。公道での使用が可能な乗用車としてのタイヤの最低限の負荷能力を保持するために必要だからである。
また、本発明にあっては、ベルト補強層8のコードのヤング率は、15000MPa以上であることが好ましい。
15000MPa以上とすることにより、タイヤのリング剛性が向上して、タイヤ周方向の変形が抑制されることとなるため、ゴムの非圧縮性により、タイヤ幅方向の変形も抑制される。
従って、路面からのタイヤ幅方向の入力に対して、接地面が周方向の広域にわたって変形することになるため、接地面は、タイヤ幅方向の位置による周方向の接地長の変化が小さい形状となる。
このため、耐偏磨耗性及びコーナリングパワーが向上する。
一方で、ベルト補強層8のコードのヤング率が高すぎると、接地長が小さくなり、最大コーナリングフォースが低下してしまうため、ベルト補強層8のコードのヤング率は、
30000MPa以下とすることが好ましい。
さらに、本発明にあっては、ベルト層7は、タイヤ周方向に対して、45°以上の角度で傾斜して延びるベルトコードからなり、層間でベルトコードが互いに交差する、複数の傾斜ベルト層であることが好ましい。
なぜなら、コードをタイヤ周方向に対して高角度で傾斜させることにより、タイヤ周方向の面外曲げ剛性を低下させて、踏面変形時のゴムのタイヤ周方向の伸びを増大させ、接地長の減少を抑制することができ、これにより、コーナリングパワーや耐偏磨耗性を向上させることができるからである。
なお、接地特性の悪化を避けて、コーナリングパワー、耐磨耗性、及び燃費性を確保するため、ベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、75°以下とすることが好ましい。
ここで、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填して平板上に垂直に置き、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷に相当する重量を負荷した際の、平板との接触面における、タイヤ幅方向両端点を接地端Eとする。
また、図5に示すように、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填し、無負荷状態としたときの、両上記接地端E間のタイヤ幅方向距離をトレッド幅TWとする。
さらに、図5に示すように、タイヤをリムに装着し、タイヤを装着する車両毎に規定される最高空気圧を充填し、無負荷状態としたときにおいて、タイヤ幅方向断面にて、タイヤ赤道面CLにおけるトレッド表面上の点をPとし、点Pを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm1とする。また、接地端Eを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm2とする。そして、直線m1と直線m2とのタイヤ径方向の距離を落ち高LCRとする。
このとき、本発明のタイヤにあっては、比LCR/TWが0.045以下であることが好ましい。
なぜなら、比LCR/TWを0.045以下とすることにより、タイヤのクラウン部がフラット化(平坦化)し、接地面積が増大して、路面からの入力(圧力)を緩和して、タイヤ径方向の撓み率を低減し、タイヤの耐久性及び耐磨耗性をさらに向上させることができるからである。
一方で、接地特性の悪化を避けて、コーナリングパワー、耐磨耗性、及び燃費性を確保するため、比LCR/TWは、0.025以上とすることが好ましい。
本発明の効果を確かめるため、発明例1及び比較例1〜にかかるタイヤを試作し、リムに組み込んで、タイヤの性能を評価する以下の試験を行った。
ここで、発明例1及び比較例1〜にかかるタイヤについて、各タイヤは、図5及び図3に示すように、一対のビード部にトロイダル状に跨るカーカスを有する。
また、カーカスのタイヤ径方向外側には、2層のベルト層からなるベルト、1層のベルト補強層、及びトレッドを順に有している。
2層のベルト層は、ベルトコードが層間で互いに交差する傾斜ベルト層であり、ベルトコードは、スチールコードであり、タイヤ周方向に対して60°の角度で傾斜して延びている。
また、ベルト補強層のコードは、ナイロンからなり、ほぼタイヤ周方向に延びている。
<転がり抵抗値(RR値)>
上記各タイヤに、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重の80%を負荷して、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、比較例3にかかるタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
<耐久性>
上記各タイヤに、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷して、高速耐久ドラム試験を実施した。上記条件にてドラムにて120km/hからスタートし、5分毎に速度を10km/hずつ上昇させ、タイヤが故障に至るまでの速度を測定し、この測定値によって評価した。評価は、比較例3にかかるタイヤにおける故障発生速度を100としたときの指数で表す。当該指数は大きいほど耐久性に優れている。
<コーナリングパワー>
フラットベルト式コーナリング試験機において、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷して、速度100km/hで測定を行った。
コーナリングパワーは、比較例3にかかるタイヤにおけるコーナリングパワーを100として指数で評価した。当該指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく好ましい。
<耐磨耗性>
上記各タイヤに、タイヤを装着する車両毎に規定される空気圧を充填し、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷して、80km/hの速度で30000km走行させるドラム試験を行った。
耐磨耗性の評価は、上記ドラム走行後の残溝量を求めることにより行い、比較例3にかかるタイヤにおける耐磨耗性を100とした指数で表す。当該指数は大きいほど耐磨耗性に優れている。
各タイヤの諸元及び評価結果を表4に示してある。
Figure 0006162922
表4に示すように、発明例1、比較例5にかかるタイヤは、比較例1、3にかかるタイヤより転がり抵抗値が低減されており、また、タイヤの耐久性、コーナリングパワー、耐磨耗性にも優れていることがわかる。
また、比較例5と比較例2との比較により、比SW/ODを好適化した比較例5は、転がり抵抗値が低減されており、また、タイヤの耐久性、コーナリングパワー、耐磨耗性にも同等以上に優れていることがわかる。
さらに、発明例と比較例4との比較により、比W1/W2を好適化した発明例は、比較例4より転がり抵抗値が低減されており、また、タイヤの耐久性、コーナリングパワー、耐磨耗性にも優れていることがわかる。
1 ビード部
2 カーカス
3 ベルト
3a 最狭幅ベルト層
4 トレッド
5 ベルト補強層
6 主溝
7 ベルト
7a 最狭幅ベルト層
8 ベルト補強層
TW トレッド幅
CL タイヤ赤道面
E 接地端

Claims (3)

  1. 一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスを有し、該カーカスのタイヤ径方向外側に、1層以上のベルト層からなるベルトと、タイヤ周方向に延びるコードのゴム引き層からなる1層以上のベルト補強層とを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
    前記タイヤの断面幅SWが135mm以上であり、且つ、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.24以下であり、
    前記ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅をW1とし、前記ベルト層のうち最もタイヤ幅方向の幅が狭いベルト層のタイヤ幅方向の幅をW2とするとき、比W1/W2は、
    0.8≦W1/W2≦1.05
    を満たし、
    タイヤのエアボリュームは、15000cm3 以上であり、
    タイヤ幅方向断面にて、タイヤ赤道面CLにおけるトレッド表面上の点をPとし、点Pを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm1とし、接地端Eを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm2とし、直線m1と直線m2とのタイヤ径方向の距離を落ち高L CR とするとき、トレッド幅TWに対する比L CR /TWが0.045以下であり、
    前記ベルト層は、タイヤ周方向に対して、45°以上の角度で傾斜して延びるベルトコードからなり、層間で前記ベルトコードが互いに交差する、複数の傾斜ベルト層であり、
    前記ベルト補強層のコードのヤング率は、15000MPa以上であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記W2は、タイヤのトレッド幅に対して0.85〜1.10倍であることを特徴とする、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 2層の前記ベルト層と、1層の前記ベルト補強層とを備えた、請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
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