JP2001040053A - 4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びその製造法 - Google Patents

4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びその製造法

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JP2001040053A JP11211202A JP21120299A JP2001040053A JP 2001040053 A JP2001040053 A JP 2001040053A JP 11211202 A JP11211202 A JP 11211202A JP 21120299 A JP21120299 A JP 21120299A JP 2001040053 A JP2001040053 A JP 2001040053A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとフェ
ノールの重縮合反応を工業的に行うのに有利な反応条件
を得ること及び耐酸化性、耐熱性、硬化性等の特性の優
れた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノー
ル樹脂を得ること。 【解決手段】4,4’−ビスクロロメチルビフェニル
(原料A)とその3〜5倍モルのフェノール(原料B)
の混合物を55〜150℃で反応させることを特徴とす
る4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール
樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエポキシ樹脂の硬化
剤や、エポキシ樹脂の原料として有用な4,4’−ビフ
ェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平8−143648には、ビフェニ
ルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、異性体含量の
高いビスメトキシメチルビフェニルとフェノールの反応
により製造されるものが知られている。また、特公昭4
7−15111、特公昭47−13782、特開平6−
100667等には、ビスクロロメチルベンゼンとフェ
ノールの重縮合による樹脂の製造方法が記載されてい
る。しかしながら、4、4’−ビスクロロメチルビフェ
ニルとフェノールの重縮合条件や得られる樹脂の特性に
関して具体的な記載がなく、ただその可能性が一般式と
して示されているに過ぎない。4,4’−ビフェニルジ
イルジメチレン−フェノール樹脂は、極めて酸化安定性
が高く、ハロゲン系や、リン系の難燃剤を使用すること
なく、難燃性の硬化物を与えることできることが知られ
ている。また、これから得られるエポキシ樹脂も難燃性
組成物を得るために有効でありを、将来、環境問題の解
決に寄与するものとして期待が高く、4,4’−ビフェ
ニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の工業的製法が
望まれていた。
【0003】4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−
フェノール樹脂を製造するにあたり、従来原料として知
られているビスメトキシメチルビフェニルは、ビスクロ
ロメチルビフェニルとナトリウムメトキシド等との反応
で製造されるものであり、ビスクロロメチルビフェニル
とフェノールを直接反応させビフェニルジイルジメチレ
ン−フェノール樹脂を製造するよりも1工程多く、メト
キシ化の工程は工業的には省略されることが望ましい。
しかし、ビスクロロメチルビフェニルを用いる反応で
は、反応の触媒である塩酸が大量に発生する激しい反応
をコントロールする必要があり好ましくないと判断され
ていた。また、特開平8−143648には、異性体を
含有するビスメトキシメチルビフェニル原料として得ら
れるビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、
これをエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、その硬
化物において可とう性等の良好な機械特性が期待できる
旨の記載がある。しかし、こうして得られるフェノール
樹脂は水酸基当量数が大きいために架橋密度が比較的低
く期待される高ガラス転移点、高耐酸化性の硬化物が得
られるには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、4,
4’−ビスクロロメチルビフェニルとフェノールの重縮
合反応を工業的に行うのに有利な反応条件を得ること及
び耐酸化性、耐熱性、硬化性等の特性の優れた4,4’
−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を得る
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、(1)
4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)とそ
の3〜5倍モルのフェノール(原料B)の混合物を55
〜150℃で反応させることを特徴とする4,4’−ビ
フェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の製造方
法、(2)反応溶媒としてフェノールの10〜50重量
%の低級アルコールを使用し、55〜95℃で反応させ
る上記(1)記載の方法、(3)原料A中の4,4’−
ビスクロロメチルビフェニル含量が95重量%以上、モ
ノクロロメチルビフェニル含量が3重量%以下、4,
4’−ビスクロロメチルビフェニル以外のビスクロロメ
チルビフェニル異性体含量が2重量%以下である原料を
使用する上記(1)又は(2)記載の方法、(4)上記
(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法により
得られる4,4’−ビフェニルイイルジメチレン−フェ
ノール樹脂、(5)軟化点が100℃以上である上記
(4)記載の樹脂、(6)エポキシ樹脂及び上記(4)
又は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレ
ン−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物、(7)上
記(4)又は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイル
ジメチレン−フェノール樹脂とエピクロロヒドリンとを
反応させて得られたエポキシ樹脂、(8)上記(7)記
載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性組成物、
(9)上記(7)記載のエポキシ樹脂及び上記(4)又
は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン
−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノ
ール樹脂は、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル
(原料A)とフェノール(原料B)の特定量比の混合物
を特定温度で反応させ得られ、下記式に示すように、正
式には、α−ヒドロキシフェニル−ω−ヒドロポリ
(4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−ヒドロキシ
フェニレン)と呼ぶべきものであるが、本明細書では慣
用的上記名を使用する。
【0007】
【化1】
【0008】(式中nは繰り返し数を表す。) 本発明において4,4’−ビスクロロメチルビフェニル
とフェノールの重縮合を行うに当たっては、フェノール
の使用量は3〜5倍モル、好ましくは3〜4倍モルであ
る。フェノールの使用量が3モル未満では、高粘度の樹
脂しか得られず、高いモル数では、2官能性成分が多く
なり硬化剤やエポキシ樹脂として用いたとき、硬化性、
耐熱性が低下する。
【0009】反応は無溶媒で行うこともできるが、低級
アルコールを用いることが好ましい。低級アルコールと
しては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール等があげられる。その使用量はフェノールに対して
10〜50重量%使用するのが最も好ましい。 溶媒の
主な使用目的は、反応系の流動性を保つこと、急激な発
熱の場合には還流することによって反応熱を除去しマイ
ルドな反応を行うことである。また、反応が激しいため
か、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を溶媒として
用いると、溶媒が反応して取り込まれた部分が見いださ
れる場合がある。
【0010】反応の温度は、通常55〜150℃で行う
が、溶媒存在下ではは55〜95℃が好ましい。本発明
では、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル、フェノ
ール及び必要により溶媒を最初から同時に仕込んで反応
させる。通常、反応物の一方は反応をさせながら徐々に
仕込んで行くのが定法であるが、本発明では特定な範囲
の量のフェノールを用いるために、反応原料を最初から
仕込んで置く方が、分子量分布、軟化点、溶融粘度等に
おいて安定な品質の目的物を得るのに適している。また
塩酸ガスが発生するため装置的にも最初から仕込んで置
く方が操作が容易である。反応温度のコントロールは、
加熱、冷却をタイミング良く行うこと、溶媒の還流によ
り除熱する等の方法により行うことができる。
【0011】反応時に発生する塩酸は、反応の触媒とし
て作用するため、強制的に除去しない方が好ましく、予
め反応系に添加してあってもよい。尚、酸化等の副反応
の防止のために窒素ガス等の不活性ガスを流すことは特
に問題ない。反応終了後は残存しているフェノールを、
常圧下または減圧下で留去するのが望ましく、例えば水
蒸気を吹き込んで、水蒸気蒸留で留去することが可能で
ある。尚、フェノールを蒸留回収する前に、塩酸をガス
吹き込み、中和等の方法により除去しておくのが望まし
い。フェノールの蒸留回収の温度は100℃〜180℃
であり、減圧度は数mm/Hg〜200mm/Hg程度
とするのがよい。
【0012】本発明では使用する4,4’−ビスクロロ
メチルビフェニル(原料A)の純度は重要である。ビス
クロロメチルビフェニルは、ビフェニルに塩酸とフォル
ムアルデヒドを作用させて製造するが、主成分である
4,4’−体以外に、2,4’−体、2,2’−体等が
副生する。また、モノクロロメチルビフェニル、トリク
ロロメチルビフェニルも生成する。これらの副生物の含
量はできるだけ低いことが好ましい。原料A中の4,
4’−ビスクロロメチルビフェニル含量は95重量%以
上、モノクロロメチルビフェニル含量は3重量%以下、
4,4’−ビスクロロメチルビフェニル以外のビスクロ
ロメチルビフェニル異性体の合計含量は2重量%以下で
ある原料を使用するのが好ましい。モノクロロメチル体
がこれ以上多いと、目的の4,4’−ビフェニルジイル
ジメチレン−フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤と
して用いたときの硬化性が悪くなり、2,4’−、2,
2’−体等の異性体が多くなると、硬化物のガラス転移
温度が低下する。これは、得られた目的物をエピクロロ
ヒドリンによりエポキシ樹脂にして、硬化剤を用いて硬
化した場合にも同様の傾向が認められる。
【0013】フェノールの使用量は4,4’−ビスクロ
ロメチルビフェニルの通常3〜5倍モル、好ましくは3
〜4倍モルとすることを上記したが、結果として生成す
る4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール
樹脂は、GPC分析による上記構造式(化1)のnの分
布がn=1の成分:33〜45面積%、n=2の成分:
22〜28面積%、n=3以上の成分:32〜45面積
%といった狭い範囲に収まる。通常このものの軟化点は
70〜85℃であるが、ビスクロロメチルビフェニルの
異性体の含量が2重量%以下の原料Aを使用したn=1
の成分の含量が36面積%を越える本発明の4,4’−
ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、軟化
点が100℃以上となり酸化安定性、吸湿等保存安定性
が高くなるため好ましい。これは、分子の配向が異性体
の存在により妨害されないことを示すものである。尚、
モノクロロメチル体の軟化点への影響は大きくない。
【0014】このようにして得られた本発明の4,4’
−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂はエポ
キシ樹脂の硬化剤として使用できる。この場合のエポキ
シ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾール
ノボラック型、トリスフェノール型、ビフェニル型、ナ
フタレンノボラック型、ザイロック型、ビフェニルジイ
ル−ジメチレン−フェノール樹脂型等のエポキシ樹脂が
あげられる。
【0015】一方、本発明の4,4’−ビフェニルジイ
ルジメチレン−フェノール樹脂はアルカリ金属水酸化物
の存在下、公知の方法に準じてエピクロロヒドリンと反
応させることによりエポキシ樹脂とすることができる。
こうして得られた本発明のエポキシ樹脂を用いて、好ま
しくはフェノール樹脂硬化剤とともに硬化性組成物とし
たときに4,4’−ビフェニルジイルジメチレン以外の
異性体含有量の多いものより高いガラス転移点を有する
硬化物が得られる。この時のフェノール樹脂硬化剤とし
ては、フェノールノボラック、トリスフェノールメタ
ン、ザイロック、ビフェニルジイルジメチレン−フェノ
ール樹脂等があげられる。
【0016】また、本発明のエポキシ樹脂と本発明の
4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹
脂の両者を組み合わせると更に耐熱性の高い硬化物を与
えることができる。尚、本発明の硬化性組成物において
硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に
対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当
量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.
2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好
な硬化物性が得られない恐れがある。このように本発明
の硬化性組成物は、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分を定
法に従い、均一に混合して得ることができるが、この際
フォスフィン類、イミダゾール類、アミン類等の触媒や
無機充填材シランカップリング剤、ステアリン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム
等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することがで
きる。こうして得られた本発明の硬化性組成物は、保存
安定性、硬化性が良好で、ガラス転移点が高い利点があ
る。
【0017】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。尚、実施例中の水酸基当量及びエポキシ当量の単位
はg/eqである。
【0018】実施例1 1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フ
ェノール334g(ビスクロロメチルビフェニルの3.
5倍モル)を取り、50℃で攪拌しながら4,4’−ビ
スクロロメチルビフェニル264gを仕込んだ。ここに
35%塩酸を2g仕込み、スラリー状態で徐々に昇温し
た。次いで70〜75℃で1時間、80〜85℃で1時
間反応させ、更に還流条件下85〜95℃で2時間反応
させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去した
後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃で、
残存するフェノールを回収した。4,4’−ビスクロロ
メチルビフェニル(原料A)の純度と、得られた本発明
の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール
樹脂の物性を以下に示す。 原料Aの純度 本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるも
の、異性体、モノクロロメチル体は液体クロマトグラフ
面積百分率法によるものを示す。尚、この場合面積%は
ほぼ重量%を反映している。また、異性体とは、4,
4’−ビスクロロビフェニル(本体)以外のビスクロロ
ビフェニル異性体を示す(以下同様)。 本体 異性体 モノクロロメチル体 その他 95.0% 1.2% 2.5% 1.3% 得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂の成分組成GPC分析による面積%、n数は
上記(化1)に基づくものである。 モノヒドロキシ体 n=1 n=2 n=3以上 1.3% 37.3% 24.8% 36.2% 得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂の物性 軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度 122℃ 1.3ポイズ
【0019】実施例2 1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フ
ェノール315g(ビスクロロメチルビフェニルの3.
3倍モル)を取り、50℃で攪拌しながら4,4’−ビ
スクロロメチルビフェニル259gを仕込んだ。ここに
35%塩酸を2g仕込み、スラリー状態で徐々に昇温し
た。次いで70〜75℃で1時間、80〜85℃で1時
間反応させ、更に還流条件下85〜95℃で2時間反応
させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去した
後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃で、
残存するフェノールを回収した。4,4’−ビスクロロ
メチルビフェニル(原料A)の純度と、得られた本発明
の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール
樹脂の物性を以下に示す。 原料Aの純度 本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるも
の、異性体、モノクロロメチル体は液体クロマトグラフ
面積百分率法によるものを示す。 本体 異性体 モノクロロメチル体 その他 96.7% 0.5% 2.5% 0.7% 得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂の成分組成GPC分析による面積%、n数は
上記(化1)に基づくものである。 モノヒドロキシ体 n=1 n=2 n=3以上 1.5% 34.3% 25.2% 38.8% 得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂の物性 軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度 73℃ 1.3ポイズ
【0020】比較例1 1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フ
ェノール334g(ビスメトキシメチルビフェニルの
3.5倍モル)、35%塩酸2gを取り、100℃で攪
拌しながらビスメトキシメチルビフェニル252gを徐
々に仕込んだ。その後反応温度を160℃にあげ1時間
反応させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去
した後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃
で、残存するフェノールを回収した。ビスメトキシメチ
ルビフェニル(原料A)の純度と、得られたビフェニル
ジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性を以下に示
す。 原料Aの純度 本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるも
の、異性体、は液体クロマトグラフ面積百分率法による
ものを示す。 本体 異性体 その他 91.3% 5.6% 2.9% 得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂
の成分組成GPC分析による面積%、n数は上記(化
1)に基づくものである。 モノヒドロキシ体 n=1 n=2 n=3以上 0.7% 37.5% 25.4% 36.3% 得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂
の物性 軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度 72℃ 1.5ポイズ
【0021】実施例3 実施例1で得た4,4’−ビフェニルジイルジメチレン
−フェノール樹脂(水酸基当量:208)100g、エ
ピクロロヒドリン223g、ジメチルスルホキシド50
gを仕込み、45℃で攪拌しつつ、20gの固形カセイ
ソーダを1.5時間かけて少量ずつ添加して反応させ
た。45℃で2時間、70℃で0.5時間追加反応させ
た後、250gのメチルイソブチルケトン、70℃の水
200gを加えて攪拌し静置した。次いで分離した下層
を除き、上層に30%カセイソーダ水溶液6gを加え
て、70℃で1時間攪拌し、水200gを加えて静置し
た。下層を除き、上層に水200gを加えて更に70℃
で0.5時間攪拌し静置した。上層よりメチルイソブチ
ルケトンを減圧下で留去し、4,4’−ビフェニルジイ
ルジメチレン−フェノール樹脂を原料とする本発明のエ
ポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は277であり、軟化
点は56℃、150℃でのICI粘度は0.8ポイズで
あった。
【0022】比較例2 比較例1で得られたビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂(水酸基当量206)を実施例3と全く同様
にエポキシ化し、エポキシ当量274、軟化点57℃、
150℃でのICI粘度が1.2ポイズのエポキシ樹脂
を得た。
【0023】実施例4 実施例1で得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチ
レン−フェノール樹脂44.0g、 実施例3で得られ
たエポキシ樹脂55.4g、トリフェニルフォスフィン
0.6gを100℃にてロールミキシングを行い本発明
の硬化性組成物を得た。これをタブレットに成型し、1
75℃でトランスファーモールドした。得られた成型物
は、線膨張率測定(TMA法)によるガラス転移点が1
33℃であった。成型物を粉砕し、100〜200メッ
シュの粉末を集めて、熱重量分析の試料とした。熱重量
分析は、試料を空気中、室温より10℃/minで昇温
して行い5%、10%の重量減少をする温度を求めた。
熱重量分析の結果は、それぞれ381℃、415℃であ
った。尚、上記エポキシ樹脂組成物25重量部に無機充
填材としてシリカを75重量重量部含有させて得た成型
物は、難燃性に関するUL規格のVOを達成できた。
(同様に、比較のためにクレゾールノボラック型のエポ
キシ樹脂と、フェノールノボラックを硬化剤として用い
て得た硬化性組成物の熱重量分析の結果、5%、10%
の減量温度は、それぞれ331℃、352℃であった。
また、比較用の硬化性組成物25重量部と75重量部の
シリカを含有する固形成型物は、UL規格のVOを達成
できなかった。)
【0024】比較例3 比較例1で得られたビフェニルジイルジメチレン−フェ
ノール樹脂、比較例2で得られたエポキシ樹脂を用い、
実施例4と全く同様にして成型物を得た。得られた成型
物のTMA法のガラス転移点は127℃であり、熱重量
分析による、5%、10%の減量温度はそれぞれ374
℃、408℃であったが、75重量%シリカ含有硬化物
のUL規格のVO達成は可能であった。
【0025】
【発明の効果】本願発明によると、異性体の少ない、
4,4’−ビスクロロメチルビフェニルを用いた4,
4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及
びそのエポキシ樹脂は、ガラス転移点の高い硬化物、耐
酸化安定性の高い樹脂を得ることができる。従って、本
発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノ
ール樹脂及び/又は本発明のエポキシ樹脂を含有する硬
化性組成物は、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、
接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用で
ある。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4,4’−ビスクロロメチルビフェニル
    (原料A)とその3〜5倍モルのフェノール(原料B)
    の混合物を55〜150℃で反応させることを特徴とす
    る4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール
    樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】反応溶媒としてフェノールの10〜50重
    量%の低級アルコールを使用し、55〜95℃で反応さ
    せる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】原料A中の4,4’−ビスクロロメチルビ
    フェニル含量が95重量%以上、モノクロロメチルビフ
    ェニル含量が3重量%以下、4,4’−ビスクロロメチ
    ルビフェニル以外のビスクロロメチルビフェニル異性体
    含量が2重量%以下である原料を使用する請求項1又は
    2記載の方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造
    方法により得られる4,4’−ビフェニルジイルジメチ
    レン−フェノール樹脂。
  5. 【請求項5】軟化点が100℃以上である請求項4記載
    の樹脂。
  6. 【請求項6】エポキシ樹脂及び請求項4又は5記載の
    4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹
    脂を含有する硬化性組成物。
  7. 【請求項7】請求項4又は5記載の4,4’−ビフェニ
    ルジイルジメチレン−フェノール樹脂とエピクロロヒド
    リンとを反応させて得られたエポキシ樹脂。
  8. 【請求項8】請求項7記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を
    含有する硬化性組成物。
  9. 【請求項9】請求項7記載のエポキシ樹脂及び請求項4
    又は5記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−
    フェノール樹脂を含有する硬化性組成物。
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