JP3934829B2 - 4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエポキシ樹脂の硬化剤や、エポキシ樹脂の原料として有用な4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−143648には、ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、異性体含量の高いビスメトキシメチルビフェニルとフェノールの反応により製造されるものが知られている。
また、特公昭47−15111、特公昭47−13782、特開平6−100667等には、ビスクロロメチルベンゼンとフェノールの重縮合による樹脂の製造方法が記載されている。しかしながら、4、4’−ビスクロロメチルビフェニルとフェノールの重縮合条件や得られる樹脂の特性に関して具体的な記載がなく、ただその可能性が一般式として示されているに過ぎない。
4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、極めて酸化安定性が高く、ハロゲン系や、リン系の難燃剤を使用することなく、難燃性の硬化物を与えることできることが知られている。また、これから得られるエポキシ樹脂も難燃性組成物を得るために有効でありを、将来、環境問題の解決に寄与するものとして期待が高く、4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の工業的製法が望まれていた。
【0003】
4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を製造するにあたり、従来原料として知られているビスメトキシメチルビフェニルは、ビスクロロメチルビフェニルとナトリウムメトキシド等との反応で製造されるものであり、ビスクロロメチルビフェニルとフェノールを直接反応させビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を製造するよりも1工程多く、メトキシ化の工程は工業的には省略されることが望ましい。しかし、ビスクロロメチルビフェニルを用いる反応では、反応の触媒である塩酸が大量に発生する激しい反応をコントロールする必要があり好ましくないと判断されていた。また、特開平8−143648には、異性体を含有するビスメトキシメチルビフェニル原料として得られるビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、これをエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、その硬化物において可とう性等の良好な機械特性が期待できる旨の記載がある。しかし、こうして得られるフェノール樹脂は水酸基当量数が大きいために架橋密度が比較的低く期待される高ガラス転移点、高耐酸化性の硬化物が得られるには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明は、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとフェノールの重縮合反応を工業的に行うのに有利な反応条件を得ること及び耐酸化性、耐熱性、硬化性等の特性の優れた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
(1)4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)とその3〜5倍モルのフェノール(原料B)の混合物を55〜150℃で反応させることを特徴とする4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の製造方法、
(2)反応溶媒としてフェノールの10〜50重量%の低級アルコールを使用し、55〜95℃で反応させる上記(1)記載の方法、
(3)原料A中の4,4’−ビスクロロメチルビフェニル含量が95重量%以上、モノクロロメチルビフェニル含量が3重量%以下、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル以外のビスクロロメチルビフェニル異性体含量が2重量%以下である原料を使用する上記(1)又は(2)記載の方法、
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の製造方法により得られる4,4’−ビフェニルイイルジメチレン−フェノール樹脂、
(5)軟化点が100℃以上である上記(4)記載の樹脂、
(6)エポキシ樹脂及び上記(4)又は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物、
(7)上記(4)又は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させて得られたエポキシ樹脂、
(8)上記(7)記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性組成物、
(9)上記(7)記載のエポキシ樹脂及び上記(4)又は(5)記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物
を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)とフェノール(原料B)の特定量比の混合物を特定温度で反応させ得られ、下記式に示すように、正式には、α−ヒドロキシフェニル−ω−ヒドロポリ(4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−ヒドロキシフェニレン)と呼ぶべきものであるが、本明細書では慣用的上記名を使用する。
【0007】
【化1】
【0008】
(式中nは繰り返し数を表す。)
本発明において4,4’−ビスクロロメチルビフェニルとフェノールの重縮合を行うに当たっては、フェノールの使用量は3〜5倍モル、好ましくは3〜4倍モルである。フェノールの使用量が3モル未満では、高粘度の樹脂しか得られず、高いモル数では、2官能性成分が多くなり硬化剤やエポキシ樹脂として用いたとき、硬化性、耐熱性が低下する。
【0009】
反応は無溶媒で行うこともできるが、低級アルコールを用いることが好ましい。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等があげられる。その使用量はフェノールに対して10〜50重量%使用するのが最も好ましい。 溶媒の主な使用目的は、反応系の流動性を保つこと、急激な発熱の場合には還流することによって反応熱を除去しマイルドな反応を行うことである。また、反応が激しいためか、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を溶媒として用いると、溶媒が反応して取り込まれた部分が見いだされる場合がある。
【0010】
反応の温度は、通常55〜150℃で行うが、溶媒存在下ではは55〜95℃が好ましい。
本発明では、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル、フェノール及び必要により溶媒を最初から同時に仕込んで反応させる。通常、反応物の一方は反応をさせながら徐々に仕込んで行くのが定法であるが、本発明では特定な範囲の量のフェノールを用いるために、反応原料を最初から仕込んで置く方が、分子量分布、軟化点、溶融粘度等において安定な品質の目的物を得るのに適している。また塩酸ガスが発生するため装置的にも最初から仕込んで置く方が操作が容易である。反応温度のコントロールは、加熱、冷却をタイミング良く行うこと、溶媒の還流により除熱する等の方法により行うことができる。
【0011】
反応時に発生する塩酸は、反応の触媒として作用するため、強制的に除去しない方が好ましく、予め反応系に添加してあってもよい。尚、酸化等の副反応の防止のために窒素ガス等の不活性ガスを流すことは特に問題ない。反応終了後は残存しているフェノールを、常圧下または減圧下で留去するのが望ましく、例えば水蒸気を吹き込んで、水蒸気蒸留で留去することが可能である。尚、フェノールを蒸留回収する前に、塩酸をガス吹き込み、中和等の方法により除去しておくのが望ましい。フェノールの蒸留回収の温度は100℃〜180℃であり、減圧度は数mm/Hg〜200mm/Hg程度とするのがよい。
【0012】
本発明では使用する4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)の純度は重要である。ビスクロロメチルビフェニルは、ビフェニルに塩酸とフォルムアルデヒドを作用させて製造するが、主成分である4,4’−体以外に、2,4’−体、2,2’−体等が副生する。また、モノクロロメチルビフェニル、トリクロロメチルビフェニルも生成する。これらの副生物の含量はできるだけ低いことが好ましい。
原料A中の4,4’−ビスクロロメチルビフェニル含量は95重量%以上、モノクロロメチルビフェニル含量は3重量%以下、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル以外のビスクロロメチルビフェニル異性体の合計含量は2重量%以下である原料を使用するのが好ましい。モノクロロメチル体がこれ以上多いと、目的の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として用いたときの硬化性が悪くなり、2,4’−、2,2’−体等の異性体が多くなると、硬化物のガラス転移温度が低下する。これは、得られた目的物をエピクロロヒドリンによりエポキシ樹脂にして、硬化剤を用いて硬化した場合にも同様の傾向が認められる。
【0013】
フェノールの使用量は4,4’−ビスクロロメチルビフェニルの通常3〜5倍モル、好ましくは3〜4倍モルとすることを上記したが、結果として生成する4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、GPC分析による上記構造式(化1)のnの分布がn=1の成分:33〜45面積%、n=2の成分:22〜28面積%、n=3以上の成分:32〜45面積%といった狭い範囲に収まる。通常このものの軟化点は70〜85℃であるが、ビスクロロメチルビフェニルの異性体の含量が2重量%以下の原料Aを使用したn=1の成分の含量が36面積%を越える本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂は、軟化点が100℃以上となり酸化安定性、吸湿等保存安定性が高くなるため好ましい。これは、分子の配向が異性体の存在により妨害されないことを示すものである。尚、モノクロロメチル体の軟化点への影響は大きくない。
【0014】
このようにして得られた本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として使用できる。この場合のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスフェノール型、ビフェニル型、ナフタレンノボラック型、ザイロック型、ビフェニルジイル−ジメチレン−フェノール樹脂型等のエポキシ樹脂があげられる。
【0015】
一方、本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂はアルカリ金属水酸化物の存在下、公知の方法に準じてエピクロロヒドリンと反応させることによりエポキシ樹脂とすることができる。こうして得られた本発明のエポキシ樹脂を用いて、好ましくはフェノール樹脂硬化剤とともに硬化性組成物としたときに4,4’−ビフェニルジイルジメチレン以外の異性体含有量の多いものより高いガラス転移点を有する硬化物が得られる。
この時のフェノール樹脂硬化剤としては、フェノールノボラック、トリスフェノールメタン、ザイロック、ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂等があげられる。
【0016】
また、本発明のエポキシ樹脂と本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の両者を組み合わせると更に耐熱性の高い硬化物を与えることができる。尚、本発明の硬化性組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
このように本発明の硬化性組成物は、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分を定法に従い、均一に混合して得ることができるが、この際フォスフィン類、イミダゾール類、アミン類等の触媒や無機充填材シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
こうして得られた本発明の硬化性組成物は、保存安定性、硬化性が良好で、ガラス転移点が高い利点がある。
【0017】
【実施例】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例中の水酸基当量及びエポキシ当量の単位はg/eqである。
【0018】
実施例1
1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フェノール334g(ビスクロロメチルビフェニルの3.5倍モル)を取り、50℃で攪拌しながら4,4’−ビスクロロメチルビフェニル264gを仕込んだ。ここに35%塩酸を2g仕込み、スラリー状態で徐々に昇温した。次いで70〜75℃で1時間、80〜85℃で1時間反応させ、更に還流条件下85〜95℃で2時間反応させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去した後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃で、残存するフェノールを回収した。4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)の純度と、得られた本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性を以下に示す。
原料Aの純度
本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるもの、異性体、モノクロロメチル体は液体クロマトグラフ面積百分率法によるものを示す。尚、この場合面積%はほぼ重量%を反映している。また、異性体とは、4,4’−ビスクロロビフェニル(本体)以外のビスクロロビフェニル異性体を示す(以下同様)。
本体 異性体 モノクロロメチル体 その他
95.0% 1.2% 2.5% 1.3%
得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の成分組成
GPC分析による面積%、n数は上記(化1)に基づくものである。
得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性
軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度
122℃ 1.3ポイズ
【0019】
実施例2
1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フェノール315g(ビスクロロメチルビフェニルの3.3倍モル)を取り、50℃で攪拌しながら4,4’−ビスクロロメチルビフェニル259gを仕込んだ。ここに35%塩酸を2g仕込み、スラリー状態で徐々に昇温した。次いで70〜75℃で1時間、80〜85℃で1時間反応させ、更に還流条件下85〜95℃で2時間反応させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去した後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃で、残存するフェノールを回収した。4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)の純度と、得られた本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性を以下に示す。
原料Aの純度
本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるもの、異性体、モノクロロメチル体は液体クロマトグラフ面積百分率法によるものを示す。
本体 異性体 モノクロロメチル体 その他
96.7% 0.5% 2.5% 0.7%
得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の成分組成
GPC分析による面積%、n数は上記(化1)に基づくものである。
得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性
軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度
73℃ 1.3ポイズ
【0020】
比較例1
1L容量のガラス製フラスコにメタノール134g、フェノール334g(ビスメトキシメチルビフェニルの3.5倍モル)、35%塩酸2gを取り、100℃で攪拌しながらビスメトキシメチルビフェニル252gを徐々に仕込んだ。その後反応温度を160℃にあげ1時間反応させた。ここで窒素ガスを吹き込み塩酸ガスを除去した後、5〜10mm/Hgの減圧下140〜150℃で、残存するフェノールを回収した。ビスメトキシメチルビフェニル(原料A)の純度と、得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性を以下に示す。原料Aの純度
本体純度は液体クロマトグラフ絶対検量線法によるもの、異性体、は液体クロマトグラフ面積百分率法によるものを示す。
本体 異性体 その他
91.3% 5.6% 2.9%
得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の成分組成
GPC分析による面積%、n数は上記(化1)に基づくものである。
得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の物性
軟化点(JIS法) 150℃におけるICI粘度
72℃ 1.5ポイズ
【0021】
実施例3
実施例1で得た4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂(水酸基当量:208)100g、エピクロロヒドリン223g、ジメチルスルホキシド50gを仕込み、45℃で攪拌しつつ、20gの固形カセイソーダを1.5時間かけて少量ずつ添加して反応させた。45℃で2時間、70℃で0.5時間追加反応させた後、250gのメチルイソブチルケトン、70℃の水200gを加えて攪拌し静置した。次いで分離した下層を除き、上層に30%カセイソーダ水溶液6gを加えて、70℃で1時間攪拌し、水200gを加えて静置した。下層を除き、上層に水200gを加えて更に70℃で0.5時間攪拌し静置した。上層よりメチルイソブチルケトンを減圧下で留去し、4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を原料とする本発明のエポキシ樹脂を得た。エポキシ当量は277であり、軟化点は56℃、150℃でのICI粘度は0.8ポイズであった。
【0022】
比較例2
比較例1で得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂(水酸基当量206)を実施例3と全く同様にエポキシ化し、エポキシ当量274、軟化点57℃、150℃でのICI粘度が1.2ポイズのエポキシ樹脂を得た。
【0023】
実施例4
実施例1で得られた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂44.0g、 実施例3で得られたエポキシ樹脂55.4g、トリフェニルフォスフィン0.6gを100℃にてロールミキシングを行い本発明の硬化性組成物を得た。これをタブレットに成型し、175℃でトランスファーモールドした。
得られた成型物は、線膨張率測定(TMA法)によるガラス転移点が133℃であった。成型物を粉砕し、100〜200メッシュの粉末を集めて、熱重量分析の試料とした。熱重量分析は、試料を空気中、室温より10℃/minで昇温して行い5%、10%の重量減少をする温度を求めた。熱重量分析の結果は、それぞれ381℃、415℃であった。
尚、上記エポキシ樹脂組成物25重量部に無機充填材としてシリカを75重量重量部含有させて得た成型物は、難燃性に関するUL規格のVOを達成できた。(同様に、比較のためにクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂と、フェノールノボラックを硬化剤として用いて得た硬化性組成物の熱重量分析の結果、5%、10%の減量温度は、それぞれ331℃、352℃であった。また、比較用の硬化性組成物25重量部と75重量部のシリカを含有する固形成型物は、UL規格のVOを達成できなかった。)
【0024】
比較例3
比較例1で得られたビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂、比較例2で得られたエポキシ樹脂を用い、実施例4と全く同様にして成型物を得た。
得られた成型物のTMA法のガラス転移点は127℃であり、熱重量分析による、5%、10%の減量温度はそれぞれ374℃、408℃であったが、75重量%シリカ含有硬化物のUL規格のVO達成は可能であった。
【0025】
【発明の効果】
本願発明によると、異性体の少ない、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルを用いた4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及びそのエポキシ樹脂は、ガラス転移点の高い硬化物、耐酸化安定性の高い樹脂を得ることができる。
従って、本発明の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂及び/又は本発明のエポキシ樹脂を含有する硬化性組成物は、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である。
Claims (9)
- 4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)とその3〜5倍モルのフェノール(原料B)の混合物を、反応時に発生する塩酸を強制的に除去しないで、55〜150℃で反応させることを特徴とする4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂の製造方法。
- 反応溶媒としてフェノールの10〜50重量%のメタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールを使用し、55〜95℃で反応させる請求項1記載の方法。
- 原料A中の4,4’−ビスクロロメチルビフェニル含量が95重量%以上、モノクロロメチルビフェニル含量が3重量%以下、4,4’−ビスクロロメチルビフェニル以外のビスクロロメチルビフェニル異性体含量が2重量%以下である原料を使用する請求項1又は2記載の方法。
- 4,4’−ビスクロロメチルビフェニル(原料A)とその3〜5倍モルのフェノール(原料B)の混合物を反応時に発生する塩酸を強制的に除去しないで、55〜150℃で反応させることにより得られる4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂。
- 軟化点が100℃以上である請求項4記載の樹脂。
- エポキシ樹脂及び請求項4又は5記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物。
- 請求項4又は5記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させて得られたエポキシ樹脂。
- 請求項7記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性組成物。
- 請求項7記載のエポキシ樹脂及び請求項4又は5記載の4,4’−ビフェニルジイルジメチレン−フェノール樹脂を含有する硬化性組成物。
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