JP3998163B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、ダイボンディングペースト用を始めとする各種接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂はその作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
しかし、近年電気・電子分野においてはその発展に伴い、高純度化をはじめフィラー高充填のための低粘度性、硬化物の耐熱性、耐湿性、密着性等の諸特性の一層の向上が求められている。また、構造材や接着剤としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途、土木・建築用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料や高接着性であることと同時に、作業性の向上のために低粘度であり、可能ならば有機溶剤を使用せずに作業ができる樹脂が求められている。これらの要求に応えるために、一般的にビスフェノールAやビスフェノールF等の液状エポキシ樹脂が用いられているが、より粘度が低く、且つ低温でも結晶化し難いエポキシ樹脂が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低粘度でありながら結晶性が低いエポキシ樹脂を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(1)式(1)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全体の25〜100%はアリル基である。iは2〜3の実数、jは3〜4の実数を示す)で表される化合物をグリシジル化してなるエポキシ樹脂、
(2)式(2)
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、nは平均値を示し、0〜20の実数であり、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。Xは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全体の25〜100%はアリル基である)で表される前記(1)記載のエポキシ樹脂、
(3)Rの40〜75%がアリル基である前記(1)または(2)記載のエポキシ樹脂、
(4)式(1)の化合物として互いに置換異性体である2種のジアリルハイドロキノンを混合して用いる前記(1)、(2)及び(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
(5)式(1)の化合物として互いに置換異性体である2種のジアリルレゾルシンを混合して用いる(1)、(2)及び(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂、
(6)常温で液状である前記(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂、
(7)前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(8)半導体封止用に調製されてなる前記(7)のエポキシ樹脂組成物、
(9)ダイボンディングペースト用に調製されてなる前記(7)のエポキシ樹脂組成物、
(10)前記(7)、(8)及び(9)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(1)で表される化合物とエピハロヒドリン類とを反応させて(グリシジル化反応)得ることができる。式(1)の化合物は、各種ポリヒドロキシベンゼン類にアリルハライドを反応させ、アリルエーテル化した後にアリル基をクライゼン転位させることにより得られ、原料のポリヒドロキシベンゼン類並びにモノアリルポリヒドロキシベンゼン類、ジアリルポリヒドロキシベンゼン類、トリアリルポリヒドロキシベンゼン類及びテトラアリルポリヒドロキシベンゼン類の単独または混合物であり、全R中のアリル基が平均値で25〜100%となるものである。前記のポリヒドロキシベンゼン類としては、例えばヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、メチルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、tert−アミルヒドロキノン、tert−ヘキシルヒドロキノン、tert−オクチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,3−ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2−イソプロピルヒドロキノン、2−エチル−5−メチルヒドロキノン、2−メチル−5−イソプロピルヒドロキノン、2,5−ジ−n−プロピルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−tert−アミルヒドロキノン、2,5−tert−ヘキシルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−オクチルヒドロキノン、2,5−ジノニルヒドロキノン、2−メチルレゾルシン、2−イソプロピルレゾルシン、2−tert−ブチルレゾルシン、2−tert−アミルレゾルシン、2−tert−ヘキシルレゾルシン、2−tert−オクチルレゾルシン、2−ノニルレゾルシン、2−シクロヘキシルレゾルシン、2−(2−フェニルイソプロピル)レゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、フロログリシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、ピロガロール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、ポリヒドロキシベンゼン類としてジアリルハイドロキノンまたはジアリルレゾルシンを用いる場合、それぞれ互いが置換異性体である2種の化合物を混合して用いるのが好ましい。
また、式(2)の化合物として、上記の様なポリヒドロキシベンゼン類を単独でアリル化した化合物だけでなく、2種以上を同一系内でアリル化した化合物を用いても良いし、単独でアリル化した化合物を2種以上混合して用いても良い。
【0010】
グリシジル化反応に使用されるエピハロヒドリン類の用いうる具体例としては、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等が挙げられるが、工業的に入手し易く安価なエピクロルヒドリンもしくはエピブロムヒドリンが好ましい。
【0011】
反応は、例えば式(1)の化合物とエピハロヒドリン類の混合物に触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃で0.5〜10時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ更に分液して水は除去しエピハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい(尚、固形アルカリ金属水酸化物を使用するときも減圧脱水してもよい)。また、全ハロゲン量の低いエポキシ樹脂を得る場合は、アルカリ金属水酸化物は徐々に添加し、反応系内の温度は20〜50℃に保つことが好ましい。反応系内の水分は、エピハロヒドリンに対して0.5〜10重量%に保つことが好ましい。0.5重量%以下だと反応が進み難くなり、10重量%以上だと全ハロゲン量が多くなる傾向がある。
【0012】
上記の反応においてエピハロヒドリン類の使用量は式(1)の化合物の水酸基通常1.0〜20モル、好ましくは2.0〜15モル、より好ましくは3.0〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(1)の化合物の水酸基1当量に対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。
【0013】
また、式(1)の化合物は、水酸基のオルト位にアリル基が置換されているものが特に好ましい。この場合、水酸基とエピハロヒドリンの反応性が、通常のフェノール類やクレゾール類の水酸基に比較すると悪い。従って、反応は非プロトン性極性溶媒、アルコール類等の触媒能のある溶媒を使用して行うのが好ましい。用いうる非プロトン性極性溶媒の具体例としては、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリン類の重量に対し通常5〜200重量%、好ましくは10〜150重量%である。用いうるアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。アルコール類の使用量はエピハロヒドリン類の重量に対し通常5〜100重量%、好ましくは5〜50重量%である。アルコール類を使用することによって反応は進み易くなり、全ハロゲン量も非プロトン性極性溶媒を使用した場合よりは多いが、これら溶媒を使用しないときよりは少なくなる。
【0014】
また、反応に際してテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用することもできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用量は式(1)の化合物の水酸基1当量に対して通常0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。これらは、上記の溶媒と併用してもよい。
【0015】
通常、これらの反応生成物は水洗後、または水洗無しに加熱減圧下過剰のエピハロヒドリン類や、その他使用した溶媒等を除去した後、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行うことにより全ハロゲン量の低いエポキシ樹脂を得ることが出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量は式(1)の化合物の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.15モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。反応終了後副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、さらに加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶媒を留去することにより本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0016】
次に本発明のエポキシ樹脂組成物につき説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と任意の割合で併用して使用することが出来る。尚、本発明のエポキシ樹脂は極めて低粘度のものも出来るので、反応性希釈剤としても使用することも可能であるため、他のエポキシ樹脂との使用割合の範囲は特に限定されるものではない。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい実施態様においては、硬化剤を含有する。硬化剤としてはアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが使用できる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、もしくはビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、ビフェノール類及びこれらの変性物、式(1)の化合物や前記フェノール類のアリル化物等の多価フェノール類化合物、イミダゾ−ル、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体、マレイミド基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物などが挙げられる。特に電子・電気分野用に使用する場合、フェノール系や酸無水物系硬化剤が好ましい。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して通常0.5〜1.5当量、好ましくは0.6〜1.2当量である。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0019】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなどの有機金属化合物などが挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、タルク、銀粉末等の充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体封止用またはダイボンディングペースト用として用いるのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と好ましくは硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、充填材、及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を、(溶融)注型法あるいはトランスファ−成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成形し、必要により80〜200℃で、0.001〜20時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。また、硬化剤や硬化促進剤の活性が高ければ室温硬化も可能である。
【0021】
また本発明のエポキシ樹脂組成物を必要によりトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して本発明の硬化物を得ることもできる。
【0022】
【実施例】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
・エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定した値
・粘度
E型回転粘度計(25℃)
【0023】
実施例1
〈アリル化ポリヒドロキシベンゼン類の合成〉
ヒドロキノン55重量部、イソプロパノール330重量部、を反応容器に仕込み、撹拌、溶解後、水酸化ナトリウム41重量部を添加して撹拌を継続した。次いで、系内を40℃に保持しながら、塩化アリル100gを1時間かけて滴下した後、40℃で1時間、70℃で5時間反応を行った。反応終了後、副生した塩化ナトリウムを濾過によって取り除き、反応溶液から加熱減圧下においてイソプロパノールを留去し、残留物に200重量部のメチルイソブチルケトン(MIBK、以下同様)を添加し溶解した。このMIBKの溶液を数回水洗の後、加熱減圧下においてMIBKを留去することにより粗製アリルエーテル化ヒドロキノンを得、更に分子蒸留によって、常温で結晶の精製アリルエーテル化ヒドロキノン61重量部を得た。
このアリルエーテル化ヒドロキノンを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下に於いて190℃、10時間転移反応を行うことによりアリル化ヒドロキノンを得た。このアリル化ヒドロキノンは常温で結晶性固体であり、2,3−ジアリルヒドロキノンと、2,5−ジアリルヒドロキノンが主成分であった。
〈エポキシ樹脂の合成〉
前記のアリル化ヒドロキノン57重量部、エピクロルヒドリン(ECH、以下同様)555重量部、ジメチルスルホキシド(DMSO、以下同様)280重量部を反応容器に仕込、加熱、撹拌、溶解後、45℃を保持しながら、反応系内を45Torrに保って、40%水酸化ナトリウム水溶液63重量部を4時間かけて連続的に滴下した。この際共沸により留出してくるECHと水を冷却、分液した後、有機層であるECHだけを反応系内に戻しながら反応を行った。水酸化ナトリウム水溶液滴下完了後、引続き減圧下で45℃で2時間、70℃で60分更に反応を行った。ついで水洗を繰り返し、生成塩とDMSOを除去した後、油層から加熱減圧下において過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に200重量部のMIBKを添加し溶解した。
更に、このMIBKの溶液を70℃に加熱し、30%水酸化ナトリウム水溶液6重量部を添加し、2時間反応させた後、溶液の洗浄液が中性となるまで水洗を繰り返した。ついで油層から加熱減圧下においてMIBKを留去し、残留物を加熱減圧下において分子蒸留する事により、本発明のエポキシ樹脂(E1)54重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E1)のエポキシ当量は153、粘度は75センチポイズであった。
【0024】
実施例2
〈アリル化ポリヒドロキシベンゼン類の合成〉
実施例1において、ヒドロキノンをレゾルシン55重量部に、水酸化ナトリウムを50重量部に代えた以外は同様の操作を行ったところ、常温で液体の精製アリルエーテル化レゾルシンが得られた。
このアリルエーテル化レゾルシンを反応容器に仕込み、窒素雰囲気下に於いて190℃、4時間転移反応を行うことによりアリル化レゾルシンを得た。このアリル化ヒドロキノンは常温で液体であり、2,4−ジアリルレゾルシンと、4,6−ジアリルレゾルシンが主成分であった。
〈エポキシ樹脂の合成〉
実施例1においてアリル化ヒドロキノンを前記のアリル化レゾルシン57重量部に代えた以外は同様の操作を行ったところ、本発明のエポキシ樹脂(E2)52重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(E2)のエポキシ当量は155、粘度は85センチポイズであった。
【0025】
比較例1
実施例1の〈エポキシ樹脂の合成〉において、アリル化ヒドロキノンをヒドロキノン33重量部に加えた以外は同様の操作を行いエポキシ樹脂(R1)63重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(R1)のエポキシ当量は123、融点103℃の結晶性固であった。
【0026】
比較例2
比較例1において、ヒドロキノンをレゾルシン33重量部に変えた以外は同様の操作を行いエポキシ樹脂(R2)64重量部を得た。得られたエポキシ樹脂(R2)のエポキシ当量は120、粘度は500センチポイズであった。
【0027】
比較例3
エピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)(R3)の物性を測定したところ、エポキシ当量は185、粘度は12000センチポイズであった。
【0028】
実施例3〜4、比較例4〜6
実施例1〜2で得られたエポキシ樹脂(E1)〜(E2)及び比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(R1)〜(R3)を使用し、これらエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸を0.9モル配合し、更に硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)をエポキシ樹脂100重量部当り1重量部をホットプレート状で手早く溶融混合し、これを金型に流し込んでオーブン中で80℃で2時間、120℃で2時間、180℃で4時間で硬化させた。
【0029】
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように本発明のエポキシ樹脂は、類似の構造でアリル化していないエポキシ樹脂の硬化物性を損なうことがない。
【0032】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂は低粘度でありながら、低温での結晶性が極めて低いため、エポキシ樹脂組成物に於いてのベース樹脂として使用できることはもとより、反応性希釈剤としても活用できる。そのため、このエポキシ樹脂を使用することにより、エポキシ樹脂組成物の低溶剤化、無溶剤化、低粘度化、フィラー高充填が可能となり、作業性も向上する。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は電気・電子部品用を始め、塗料、接着剤、土木・建築用途など様々な対象に有用であるが、特に電気・電子部品関連用途において極めて有用である。
Claims (8)
- 式(1)
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアリル基を示す。i=2、j=4である。)
で表されるポリヒドロキシベンゼン類並びにモノアリルポリヒドロキシベンゼン類、ジアリルポリヒドロキシベンゼン類、トリアリルポリヒドロキシベンゼン類及びテトラアリルポリヒドロキシベンゼン類の単独または混合物であって、全Rの25〜100%はアリル基である化合物をエピハロヒドリン類と反応させて得られる式(2)
(式中、nは平均値を示し、0〜20の実数である。Xは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。複数存在するRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアリル基を示し、全Rの25〜100%はアリル基である)で表されるエポキシ樹脂。 - 式(1)の化合物として互いに置換異性体である2種のジアリルハイドロキノンを混合して用いる請求項1記載のエポキシ樹脂。
- 式(1)の化合物として互いに置換異性体である2種のジアリルレゾルシンを混合して用いる請求項1記載のエポキシ樹脂。
- 常温で液状である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 半導体封止用に調製されてなる請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- ダイボンディングペースト用に調製されてなる請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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