JP2008255367A - エポキシ樹脂組成物およびその成形硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】BPS型エポキシ樹脂がもつ耐熱性を活かしながら、相溶性を解決して、液状封止材、導電性成形材料、積層板、層間絶縁材料に好適なエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、フィルムを提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される
【化1】
(式中、Gはグリシジル又はメチルグリシジル基を示し、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15シクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基またはハロゲン原子である。)であるエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(A)以外エポキシ樹脂(B)と硬化剤(C)とを含有する室温で液状形態を有するエポキシ樹脂組成物、これを用いた液状封止材、電子回路基板材料。
【選択図】なし
【解決手段】 下記一般式(1)で表される
【化1】
(式中、Gはグリシジル又はメチルグリシジル基を示し、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15シクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基またはハロゲン原子である。)であるエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(A)以外エポキシ樹脂(B)と硬化剤(C)とを含有する室温で液状形態を有するエポキシ樹脂組成物、これを用いた液状封止材、電子回路基板材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、相溶性、耐熱性、耐湿性を有した、特に液状封止材、電子回路基板材料、繊維強化複合材料用途に好適な、室温で均一に相溶している液状形態を有するエポキシ樹脂組成物、これを用いた液状封止材、電子回路基板材料等の絶縁材料、成形硬化物、プリプレグ、又は層間絶縁材料用絶縁フィルムに関するものである。
ジヒドロキジフェニルスルホン(以下、BPSと記す。)から誘導されたエポキシ樹脂(以下、BPS型エポキシ樹脂と記す。)は、ビスフェノールAのエポキシ樹脂と比べ、高い耐熱性を有することが示されており、この高い耐熱性の発現はスルホン基による高い凝集力によるものであると述べられている(例えば、非特許文献1参照)。また、前記BPS誘導体の中でも、ビスキシレノールスルホンとエピハロヒドリンから誘導されるエポキシ樹脂(以下、TMBPS型エポキシ樹脂と記す。)は、TMBPS型エポキシ樹脂の線膨張係数が低いことに着目した硬化性エポキシ樹脂組成物が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、前記ジヒドロキジフェニルスルホンから誘導されたエポキシ樹
脂は、その他のエポキシ樹脂以外の樹脂との相溶性に乏しく、そのため、他のエ
ポキシ樹脂を混合して、種々の物性を改善する処方を採ることができなかった。
また、前記TMBPS型エポキシ樹脂についても、相溶性、溶剤溶解性に優れる
特徴を活かした使用法についての記載はない。
脂は、その他のエポキシ樹脂以外の樹脂との相溶性に乏しく、そのため、他のエ
ポキシ樹脂を混合して、種々の物性を改善する処方を採ることができなかった。
また、前記TMBPS型エポキシ樹脂についても、相溶性、溶剤溶解性に優れる
特徴を活かした使用法についての記載はない。
Journal of Applied Polymer Science vol.12 (1968) (p.871-888)
特開昭64−116号公報 (第1〜5頁)
従って、本発明の課題は、耐熱性、低線膨張係数等に優れるBPS型エポキシ樹脂特有の優れた性能を活かしながら、且つ他樹脂への相溶性、溶剤への溶解性を解決して、液状封止材用途、導電性エポキシ樹脂成形材料用途、積層板材料用途、層間絶縁材料用途に応用可能なエポキシ樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、次の知見を得た。1.非対称性の分子構造を有するBPS型エポキシ樹脂は、他のエポキシ樹脂等と互いに相溶することができる。2.前記BPS型エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂との混合物は、長期間保存しても分離しない。3.分離しない混合物を含有する組成物から得られる成形硬化物は、吸湿性が低い。4.前記のBPS型エポキシ樹脂(1.)は、ジヒドロキジフェニルスルホンから誘導されたエポキシ樹脂と同等以上の耐熱性を有する。
本発明は、このような知見に基づくものである。
即ち、本発明は、エポキシ樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有する室温で均一に相溶している液状形態を有するエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A1)
即ち、本発明は、エポキシ樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有する室温で均一に相溶している液状形態を有するエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A1)
本発明によれば、特定のBPS化合物から誘導されるエポキシ樹脂を他のエポキシ樹脂と特定の比率にて併用することで、従来のBPS型エポキシ樹脂と比較して、相溶性、溶剤溶解性が飛躍的に優れるため、最近の電子機器材料分野の厳しい要求を満足でき,高品位な半導体液状封止材や導電性材料(導電ペースト材)、或いは高密度実装型の回路基板材料、層間絶縁フィルム材料として極めて有用である。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(B)と硬化剤(C)とを含有する室温で均一に相溶している液状形態を有するエポキシ樹脂組成物である。なお、本発明で、「均一に相溶している」とは、前記エポキシ樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(B)と硬化剤(C)の混合物がクリアーな外観を有するものを意味する。
本発明に使用する前記エポキシ樹脂(A1)は、種々の方法で得ることができる。例えば、一般式(3)又は下記一般式(4)で表されるジヒドロキシジフェニルスルホン化合物
(式中、Gはグリシジル又はメチルグリシジル基を示し、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15シクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基またはハロゲン原子である。)
とエピクロルヒドリン,エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンとの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または滴下しながら20〜120℃で1〜10時間反応させることにより得ることが出来る。
前記エピハロヒドリンの添加量は、原料のジヒドロキシジフェニルスルホン化合物中の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲が用いられる。エピハロヒドリンが2.5当量よりも少ない場合、エポキシ基と未反応水酸基が反応しやすくなるため,エポキシ基と未反応水酸基が付加反応して生成する基(−CH2CR(OH)CH2−、R:水素原子又は有機炭素基)を含んだ高分子量物が得られる。
一方、2.5当量よりも多い場合、理論構造物の含有量が高くなる。所望の特性によってエピハロヒドリンの量を適宜調節すればよい。
一方、2.5当量よりも多い場合、理論構造物の含有量が高くなる。所望の特性によってエピハロヒドリンの量を適宜調節すればよい。
前記のエポキシ樹脂(A)を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。また、ジヒドロキシジフェニルスルホン化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる該多価フェノール化合物のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。溶媒を使用する場合のその使用量は、エピハロヒドリンの量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリン等を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより前記エポキシ樹脂(A)が得られる。
また、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A1)としては、R1〜R8が水素原子、又はメチル基で置換されたものが好ましく、中でも2,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホンが特に好ましい。
前記エポキシ樹脂(A1)のエポキシ当量は、相溶性が良好であることからは、190グラム/当量(以下、g/eqと記す。)以上が好ましく、また、得られる硬化物の耐熱性が向上する点からは、300g/eq以下が好ましく、とくに、195〜225であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(B)としては、エポキシ樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)が混合されたときに相溶していれば、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物を液状封止材用途に調製する場合のエポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等の中で室温で液状の形態を有するものが、相溶性が良好で本発明のエポキシ樹脂組成物が室温で均一に相溶する点から好ましい。
前記エポキシ樹脂(A1)とエポキシ樹脂(B)との配合比率は、特に限定されないが、硬化物のガラス転移温度を上げるには、エポキシ樹脂(A1)が多いほうが好ましいが、通常、〔エポキシ樹脂(A1)〕/〔エポキシ樹脂(B)〕=10/90〜90/10(重量比)の範囲で用いることが好ましい。この中でも、〔エポキシ樹脂(A1)〕/〔エポキシ樹脂(B)〕=20/80〜80/20(重量比)が特に好ましく、更に、〔エポキシ樹脂(A1)〕/〔エポキシ樹脂(B)〕=30/70〜70/30(重量比)が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤(C)としては、特に限定されず、種々のものが使用できるが、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド等のアミン系化合物;リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;酸無水物系化合物類、例えば、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチルオクタデカンニ酸)無水物、或いは、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族系酸無水物類、或いは、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の環状脂肪族基を有する酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂及びこれらの変性物等のフェノ−ル系化合物(多価フェノール樹脂類)等、或いはイミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。またこれらの硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
これらの中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物を液状封止材用途に調製する場合は、前記環状脂肪族基を有する酸無水物が好ましく、これらの中でも室温で液状であることから、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が特に好ましい。なお、前記環状脂肪族基としては、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基を表す。
前記硬化剤の使用量は、使用するエポキシ樹脂の全エポキシ基1当量に対して、硬化反応が円滑に進行し、良好な硬化物性が得られることから、硬化剤中の活性水素基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に、無機質充填材を用いることができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いるのが一般的である。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調製することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮すると高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂に対して65〜95重量%が特に好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物には、硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である.半導体封止材料用途としては、リン系ではトリフェニルフォスフィン、アミン系ではDBUなどが、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性などが優れるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を積層板用途として、使用する場合の硬化剤(C)としては、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性アミン系硬化剤、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類等の窒素原子を含有する硬化剤類、シクロホスファゼンオリゴマー等のリン原子及び窒素原子を含有する硬化剤類、フェノール類とトリアジン環を有する化合物、或いはフェノール類とトリアジン環とアルデヒド類の混合物または縮合物が挙げられる。また、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリアミド樹脂、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤等も挙げられる。これらの硬化剤は単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
この場合、エポキシ樹脂と硬化剤の配合量は、特に限定されるものではないが、使用するエポキシ樹脂の全エポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性水素0.2〜1.2当量となる範囲で調整して配合することが好ましい。
前記エポキシ樹脂組成物には、更に有機溶剤(D)を併用できる。前記有機溶剤(D)を併用した場合、特に、積層板用途に有用である。併用する有機溶剤(D)としては、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
有機溶剤(D)を併用する場合の、エポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから誘導されるLow−Br型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂類が挙げられる。なお、これらは、液状でも固形の形態を採っていてもよい。
また、硬化促進剤も適宜使用することもでき、この場合も、前記硬化促進剤が使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には導電性充填材を加えて、導電性エポキシ樹脂組成物して、導電ペーストなどの用途に使用することができる。前記導電性充填材としては、金粉、銀粉や銅粉あるいはカーボン(黒鉛)等が挙げられる。前記導電性充填材の配合量は、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、並びに硬化剤(C)の合計100重量部当たり、導電性充填材を300〜2000重量部配合することが好ましく、特に450〜1000重量部であることが好ましい。
また必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
また、必要に応じて難燃付与剤を添加できる。難燃付与剤としては公知のものが全て使用できるが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化合物、赤リンや各種燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミン或いはその誘導体などの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。前記エポキシ樹脂、前記硬化剤、更に必要により、有機溶剤、硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。
例えば、半導体封止材用に調製されたエポキシ樹脂組成物を作製するためには、エポキシ樹脂と硬化剤、充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して溶融混合型のエポキシ樹脂組成物を得ればよい。その際、充填剤としては、通常シリカが用いられるが、その充填率は30〜95重量%の範囲が用いられ、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、好ましくは70重量%以上、それらの効果を格段に上げるためには80重量%以上が特に好ましい。
また、回路基板材料用に調製されたエポキシ樹脂組成物を作製するためには、前記エポキシ樹脂(A1)、エポキシ樹脂(B)並びに硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物を前記有機溶剤(D)に溶解させてワニス状組成物として用いることができる。この際の有機溶剤(D)の配合量は、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)並びに有機溶剤(D)の合計重量の10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%、特に好ましくは20〜60重量%であることが好ましい。
前記ワニス状組成物をガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの繊維基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを得ることができる。次いで、熱プレス成形して積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて得ることができ、成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムなどの形態をもつ。例えば、溶融混合型の組成物の場合は、該組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができ、半導体パッケージ成形はこれに該当する。またワニス状組成物の場合は、それをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを熱プレス成形して得ることができ、回路基板用の積層材料はこれに該当する。
本発明のエポキシ樹脂組成物を層間絶縁材料用に調製する場合は、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)と硬化剤(C)、必要に応じて有機溶剤(D)を含有した前記エポキシ樹脂組成物を用いる。
また、本発明の絶縁フィルムは、前記層間絶縁材料用に調製されたエポキシ樹脂組成物を成膜して得ることができる。
また、本発明の絶縁フィルムは、前記層間絶縁材料用に調製されたエポキシ樹脂組成物を成膜して得ることができる。
前記絶縁フィルムは、支持ベースフィルムを支持体として前記エポキシ樹脂組成物を塗布後、加熱及び/又は熱風吹き付け処理を行って作成する。前記絶縁フィルムは、そのまま又は樹脂組成物の他の面に離型フィルムをさらに積層し、ロール状に巻きとって貯蔵する。
また、前記絶縁フィルムの厚さは、10〜120μmの範囲であることが好ましい。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部、%は特に断わりのない限り重量基準である。
合成例1
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌機を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(小西化学工業(株)製24BS)125g、エピクロルヒドリン370部(4.0モル)、ジメチルスルホキシド53部を仕込み溶解させた。65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液82部(1.0モル)を5時間かけて滴下した、次いでこの条件下で0.5時間攪拌を続けた。この間,共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後,未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550部を加え溶解し、水100部を用いて5回水洗を繰り返してジメチルスルホキシドを除去した。次いでそれにn−ブタノール55部を加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水100部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し,精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(A)2,4'−ジヒドロキシジグリシジルオキシスルホン170gを得た。得られたエポキシ樹脂は、常温で固形状(軟化点53℃)であり、そのエポキシ当量は201g/eqであった。
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌機を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(小西化学工業(株)製24BS)125g、エピクロルヒドリン370部(4.0モル)、ジメチルスルホキシド53部を仕込み溶解させた。65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液82部(1.0モル)を5時間かけて滴下した、次いでこの条件下で0.5時間攪拌を続けた。この間,共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後,未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550部を加え溶解し、水100部を用いて5回水洗を繰り返してジメチルスルホキシドを除去した。次いでそれにn−ブタノール55部を加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水100部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し,精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(A)2,4'−ジヒドロキシジグリシジルオキシスルホン170gを得た。得られたエポキシ樹脂は、常温で固形状(軟化点53℃)であり、そのエポキシ当量は201g/eqであった。
実施例1と比較例1〜2
上記の合成例のエポキシ樹脂(A)に加え、併用するエポキシ樹脂としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(EPICLON 840-S:大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量184g/eq)を用いた。硬化剤としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(EPICLON B-570:大日本インキ化学工業(株)製、酸無水当量166g/eq.)、硬化促進剤としては,ベンジルジメチルアミン(BDMA)を用いた。硬化促進剤を除く各成分を80℃で表1に示される配合量で、配合し、その後、硬化促進剤を添加し攪拌混練することで目的のエポキシ樹脂組成物を得た。また比較用エポキシ樹脂としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン型エポキシ樹脂(EPICLON EXA−1514:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量300g/eq.)を用いて、上記同様な操作で比較用エポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物を25℃に保存し、その状態(相溶性と保存安定性)を経時的に目視にて観察した。また、組成物を110℃で3時間、その後165℃で2時間さらに硬化せしめ、試験片を作成した。得られた試験片のガラス転移温度(動的粘弾性法)と吸湿率(試験片を85℃/85%RHの環境下300時間放置し、放置前後の重量変化から算出した。)の試験結果を第1表に示す。
上記の合成例のエポキシ樹脂(A)に加え、併用するエポキシ樹脂としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(EPICLON 840-S:大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量184g/eq)を用いた。硬化剤としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(EPICLON B-570:大日本インキ化学工業(株)製、酸無水当量166g/eq.)、硬化促進剤としては,ベンジルジメチルアミン(BDMA)を用いた。硬化促進剤を除く各成分を80℃で表1に示される配合量で、配合し、その後、硬化促進剤を添加し攪拌混練することで目的のエポキシ樹脂組成物を得た。また比較用エポキシ樹脂としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン型エポキシ樹脂(EPICLON EXA−1514:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量300g/eq.)を用いて、上記同様な操作で比較用エポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物を25℃に保存し、その状態(相溶性と保存安定性)を経時的に目視にて観察した。また、組成物を110℃で3時間、その後165℃で2時間さらに硬化せしめ、試験片を作成した。得られた試験片のガラス転移温度(動的粘弾性法)と吸湿率(試験片を85℃/85%RHの環境下300時間放置し、放置前後の重量変化から算出した。)の試験結果を第1表に示す。
相溶性の評価基準
○:系内が均一相溶(クリア)
×:系内が非相溶
○:系内が均一相溶(クリア)
×:系内が非相溶
Claims (11)
- 前記エポキシ樹脂(B)が常温で液状である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤(C)が、環状脂肪族基を有する酸無水物である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 液状封止材用に調製してなる請求項3記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に、導電性充填材を含有する請求項4記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかひとつに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる成形硬化物。
- 更に有機溶剤(D)を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 積層板用に調製してなる請求項7記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項8記載のエポキシ樹脂組成物を繊維状基材に含浸し乾燥して得られる積層板用プリプレグ。
- 層間絶縁材料用に調製してなる請求項2または7記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項10記載のエポキシ樹脂組成物を成膜して得られる層間絶縁材料用絶縁フィルム。
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