JP2001035115A - 磁気ディスク用センタコア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピンドルに当接して位置決めを行う基準面
部と、マグネットに近接して吸引される吸引面部との間
の段状成形部の加工精度を高めて基準面部と鍔部間の平
行度及び寸法精度を確保し、記録メディアの安定した高
速回転を得る。 【解決手段】 中心部の基準位置決めを行う基準面部５
と、基準面部５に段部６を介して異なる高さでマグネッ
ト１３に対峙する吸引面部７と、外周部に磁気記録メデ
ィア２と固着される鍔部９とを備え、基準面部５と吸引
面部７との間の段部６を多段絞り形状として、成形精度
を高めてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクカー
トリッジ等に内蔵される円盤状の特に大容量の可撓性磁
気記録メディアの中心部分に固着する磁気ディスク用セ
ンタコアに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、フレキシブルなポリエステル
シート等からなる円盤状の支持体の両面に磁性体層が形
成された可撓性磁気記録メディアの中心部分に金属製の
センタコアを固着した磁気ディスク（いわゆるフロッピ
ー・ディスク）を回転駆動し、磁気ヘッドにより上記磁
性体層に磁気記録を行う磁気ディスクカートリッジが提
供され、その取扱いの容易性、低コストといった利点か
ら、主としてコンピュータ用の記録媒体として用いられ
ている。

【０００３】上記センタコアは、磁気記録メディアを支
持してその回転中心を規定すると共に、ドライブ側回転
駆動手段の回転スピンドルの先端に設けられたチャック
部に保持されて回転駆動力が伝達されるものである。通
常上記センタコアは、中心部に円板状に形成され前記ス
ピンドルの先端面と当接して基準位置決めを行う基準面
部と、外周部に前記基準面部と平行にフランジ状に形成
され円盤状の磁気記録メディアの中心部と固着される鍔
部とを有する。

【０００４】そして、前記基準面部の中心孔にスピンド
ルの中心ピンを挿入すると共に、上記中心孔より外側に
開口した駆動ピン孔にスピンドルの駆動ピンを係合して
回転駆動するように設けられている。さらに、補助的に
スピンドルの先端に配設されたマグネットによる吸引力
によってセンタコアを吸引してチャック状態を保持する
ように設けられている。

【０００５】ところで、上記のような磁気ディスクの磁
気記録メディアにあっては、記録容量の増大化に伴い、
その転送レートを確保するためにこの磁気ディスクを高
速回転する必要があり、また、この高速回転する磁気記
録メディアと記録再生を行う磁気ヘッドの高さとは、本
来適切な位置関係に厳密に維持されることで所期の記録
再生性能が確保できるものである。

【０００６】上記のように磁気ディスクを安定して高速
回転させるために、前記スピンドルのマグネットによる
センタコアの吸引力を増大させることが提案されている
が、マグネットの表面を所定の高さに精度良く形成する
ことがその加工性の点で困難であり、接触した吸着状態
とすると基準面の高さ精度が不安定となることから、所
定の間隙をもってセンタコアの底面をマグネットに近接
させて吸引することが考えられている。

【０００７】しかし、従来の記録容量が下位の磁気ディ
スクに対しても磁気吸引力を強くすると、チャッキング
不良が生起する恐れがあることで、記録容量の大きい磁
気ディスクのセンタコアについては、スピンドルのマグ
ネットに対峙する部分の底面を、中心側の基準面部より
低く形成してマグネットの表面に近接させることが提案
されている。

【０００８】つまり、このようなセンタコアにおいて
は、スピンドルの先端面と当接して基準位置決めを行う
中心側の基準面部と、この基準面部の外周に段部を介し
て基準面部と平行で異なる高さにスピンドルのマグネッ
トと対峙する吸引面部と、さらに外周部に前記基準面部
と平行に磁気記録メディアと固着される鍔部とを備えた
構造となる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかして、前述のよう
なセンタコアでは、基準面部と鍔部との間に高さの異な
る吸引面部を形成することに伴い、複数の絞り工程で加
工する必要があり、基準面部と鍔部との高さ位置精度、
平行度等の加工精度が確保しにくい構造となって、高速
回転する磁気記録メディアと磁気ヘッドとの位置精度の
確保が困難となる問題を有する。

【００１０】特に、前記吸引面と基準面との段差が板厚
程度の場合には、その絞り加工における加工精度が得に
くい傾向があり、前記磁気ディスクの回転に伴って磁気
記録メディアに上下動が発生する恐れがあり、より高い
平行度が要求される。

【００１１】そこで本発明は上記事情に鑑み、基準面部
と吸引面部との間に複数回に分けて行う絞り加工による
段状成形部を設け加工精度を得て基準面部と鍔部間の平
行度及び寸法精度を確保して磁気記録メディアの安定し
た高速回転が得られるようにした磁気ディスク用センタ
コアを提供せんとするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明による磁気ディスク用センタコアは、スピンドルの先
端に配設されたマグネットによる吸引力によって保持さ
れ該スピンドルの回転駆動力が伝達される磁気ディスク
用センタコアであって、前記センタコアは、中心部に円
板状に形成され前記スピンドルの先端面と当接して基準
位置決めを行う基準面部と、該基準面部の外周に段部を
介して基準面部と平行で異なる高さに円環状に形成され
前記スピンドルのマグネットに対峙する吸引面部と、さ
らに外周部に前記基準面部と平行にフランジ状に形成さ
れ円盤状の磁気記録メディアの中心部と固着される鍔部
とを備えてなり、前記基準面部と前記吸引面部との間の
段部を多段絞り形状としたことを特徴とするものであ
る。

【００１３】前記基準面部と前記吸引面部との間の段部
における各絞り段の高さを、板厚の１／２以下とするの
が望ましい。

【００１４】

【発明の効果】上記のような本発明のセンタコアによれ
ば、スピンドルの先端面と当接して基準位置決めを行う
基準面部とスピンドルのマグネットに対峙する吸引面部
との間の段部を多段絞り形状としたことにより、両者間
の加工精度が向上するのに伴って、上記基準面部と外周
部の磁気記録メディアが固着される鍔部との平行度及び
寸法精度が確保でき、磁気記録メディアの安定した高速
回転を得て高記録密度における磁気記録再生特性の信頼
性を高めることができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基
づいて本発明を詳細に説明する。図１は本実施形態の磁
気ディスク用センタコアをスピンドルに装着した状態の
断面正面図、図２はセンタコアの半分における断面拡大
端面図である。なお、図面は、実際の寸法とは必ずしも
一致していない。

【００１６】磁気ディスク１は、円盤状の可撓性磁気記
録メディア２と、この磁気記録メディア２の中心部に固
着される回転駆動用のセンタコア３とからなる。このセ
ンタコア３は、スピンドル１０の先端に配設されたマグ
ネット１３による吸引力によって保持され該スピンドル
の回転駆動力が伝達される。

【００１７】上記スピンドル１０は、先端部の中心に中
心ピン１１が突設され、この中心ピン１１の外周部には
同心円状に環状突起１２が設けられ、さらに外周部には
円環状のマグネット１３が設置されている。

【００１８】前記磁気記録メディア２は、ポリエチレン
テレフタレート（ＰＥＴ）等からなる可撓性支持体の両
面に磁性体層が形成され、中心孔が開口された円盤状に
設けられている。

【００１９】そして、前記センタコア３は磁性ステンレ
ス等の強磁性体による板状金属素材が所定形状に打ち抜
かれるとともにプレス成形（絞り加工）されてなる。こ
のセンタコア３は、中心部に円板状に基準面部５が形成
され、この基準面部５の回転中心位置に中心孔４が開口
されている。前記基準面部５の外周には、段部６を介し
て該基準面部５と平行にかつ低い位置に吸引面部７が円
環状に形成されている。さらに、外周部には前記基準面
部５と平行にかつ高い位置にフランジ状の鍔部９が外方
に延びて形成され、この鍔部９の内周縁と前記吸引面部
７の外周縁とが筒壁状に立ち上がった連結部８で連結さ
れている。

【００２０】前記鍔部９の下面に、円盤状の可撓性磁気
記録メディア２の中心部が接着剤等により固着される。
また、前記基準面部５から吸引面部７に掛けて駆動ピン
孔（図示せず）が開口されている。

【００２１】上記の構造において、前記基準面部５と前
記吸引面部７との間の段部６が、多段絞り形状（図示の
場合は２段絞り形状）に形成されている。つまり、上記
段部６においては、基準面部５と吸引面部７との間に中
間段６ａが形成され、この中間段６ａの両側で絞り成形
が行われる。例えば、センタコア３の板厚が０．３mmの
場合に、前記基準面部５と吸引面部７との高さの差ｈ
（図２参照）、すなわち段部６の高さは０．２５mmであ
り、前記中間段６ａの両側でそれぞれｈ／２すなわち
０．１２５mmずつの絞り段が形成されている。

【００２２】なお、上記基準面部５と前記吸引面部７と
の間の段部６における多段絞り形状の各絞り段の高さ
は、好ましくは板厚の１／２以下となるように、段部６
の全体高さｈに対して多段に設定するものである。

【００２３】上記のようなセンタコア３を図１のように
スピンドル１０の先端にチャッキングした状態では、セ
ンタコア３の基準面部５の中心孔４にスピンドル１０の
中心ピン１１が挿入されて回転中心を精度よく位置決め
し、基準面部５の底面がスピンドル１０の環状突起１２
の先端面に当接してその高さ位置を精度よく位置決めす
る。また、スピンドル１０のマグネット１３の上端面は
低く設けられて、センタコア３の吸引面部７の底面には
接触しないで、所定の間隙をもって対峙するものであ
り、大きな吸引力を確保して回転駆動中にセンタコア３
が浮き上がらないように、かつ、回転方向にずれないよ
うに吸引保持している。

【００２４】なお、前記スピンドル１０の先端にはセン
タコア３の駆動ピン孔に挿入される駆動ピン（図示せ
ず）が配設されている。この駆動ピンは、主に従前の記
録容量が下位の磁気ディスクについても駆動可能なよう
に設置されているが、本実施の形態の高記録容量の磁気
ディスク１を専用に駆動するものでは、上記駆動ピンは
形成しなくてもよく、また、センタコア３には駆動ピン
孔を形成せず、マグネット１３の吸引力のみによって回
転駆動力を伝達するようにしてもよい。

【００２５】本実施形態によれば、吸引面部７に対する
磁気吸引力を高めるために、該吸引面部７がスピンドル
１０のマグネット１３に近接するように、前記基準面部
５より低くなるように段部６を介して形成する際に、こ
の段部６を２段の絞り形状としたことにより、各絞り段
の絞り寸法が板厚の１／２より小さい寸法となって安定
した成形が行える。これにより、前記基準面部５と吸引
面部７との平行度及び寸法精度が高まるのに応じて、基
準面部５と前記鍔部９との平行度及び寸法精度が高ま
り、磁気記録メディア２が基準位置に対して所定の高さ
で平坦な平面状態で上下動することなく安定した回転が
行われ、磁気ヘッドに対する位置精度が良好となって、
磁気記録再生精度が確保でき、信頼性が向上する。

【００２６】なお、前記磁気ディスク１は、例えば、合
成樹脂から形成された上シェルと下シェルの接合で扁平
に構成されたケース内に回転自在に収容され、ケースに
は磁気ヘッド挿入口が開口され、下シェルの中心部分に
はセンタコア３の基準面部５及び吸引面部７が臨む大き
さに円形状のハブ孔が開口され、前記スピンドル１０が
挿入される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一つの実施の形態による磁気ディスク
のセンタコアをスピンドルに装着した状態の断面正面図

【図２】センタコアの半分における拡大した断面端面図

【符号の説明】

１ 磁気ディスク ２ 磁気記録メディア ３ センタコア ４ 中心孔 ５ 基準面部 ６ 段部 6a 中間段 ７ 吸引面部 ９ 鍔部 10 スピンドル 11 中心ピン 12 環状突起 13 マグネット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スピンドルの先端に配設されたマグネッ
   トによる吸引力によって保持され該スピンドルの回転駆
   動力が伝達される磁気ディスク用センタコアであって、 前記センタコアは、中心部に円板状に形成され前記スピ
   ンドルの先端面と当接して基準位置決めを行う基準面部
   と、該基準面部の外周に段部を介して基準面部と平行で
   異なる高さに円環状に形成され前記スピンドルのマグネ
   ットに対峙する吸引面部と、さらに外周部に前記基準面
   部と平行にフランジ状に形成され円盤状の磁気記録メデ
   ィアの中心部と固着される鍔部とを備えてなり、 前記基準面部と前記吸引面部との間の段部を多段絞り形
   状としたことを特徴とする磁気ディスク用センタコア。