JP3765805B2 - ハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置 - Google Patents

ハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置 Download PDF

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Description

本発明は,ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)のアクチュエータロッキング装置に関する。
HDDは,コンピュータの補助記憶装置の一つであり,磁気ヘッドによって,磁気ディスクにデータを格納し,この磁気ディスクに格納したデータを読み出す装置である。
図1は従来のHDDを概略的に示した平面図であり,図2は従来のHDDが備えるアクチュエータとボイスコイルモータとを示した分離斜視図である。
図1と図2に示すように,従来のHDDは,データの記録のための記録媒体である磁気ディスク(以下,「ハードディスク」又は単に「ディスク」という。)20と,ベースプレート10上に設けられてディスク20を回転させるスピンドルモータ30と,ディスク20にデータを記録し,ディスク20に記録されたデータを再生するための磁気ヘッド41を有するアクチュエータ40とを備えている。
HDDは,1または複数のディスク20を備えており,各ディスク20は,所定の間隔で重ね上げられた構造を成している。そして,各ディスク20は,スピンドルモータ30によって駆動され,回転する。ディスク20の内周側には,HDDの電源オフ時に,磁気ヘッド41を搭載するスライダ42が退避するパーキングゾーン21が設けられている。パーキングゾーン21の外側には磁気信号が記録されるデータゾーン22が設けられている。
アクチュエータ40は,ベースプレート10上に設けられた回動軸47を中心に回動できるように設けられる。アクチュエータ40は,回動軸47に回動可能に結合されるように,中間部位にピボットホ−ル48が設けられたアーム46を備える。アーム46の一側端部には,磁気ヘッド41が搭載されたスライダ42を,ディスクの表面側へ弾性バイアスされるように支持するサスペンション44が設けられている。また,アーム46の他側端部には,モールディング部55を介してボイスコイルモータ(VCM)50のコイル56が結合される。アクチュエータ40は,このVCM50によって回動する。
VCM50は,上記のように,アーム46に結合されるコイル56を備える。コイル56の下方には所定間隔を置き,下部ヨーク51がベースプレート10上に固設される。コイル56の上方には上部ヨーク52が設けられる。この上部ヨーク52は,ネジ59により下部ヨーク51と結合される。また,上部ヨーク52の底面にはマグネット53が付着されており。このマグネット53は,コイル56と所定間隔離れている。
こうした構成を有した従来のHDDにおいて,データの記録/再生作業が進行している間には,磁気ヘッド41が搭載されたスライダ42に対して,ディスク20の回転による揚力とサスペンション44による弾性力とが作用する。これにより,スライダ42は,ディスク20のデータゾーン22において,上記の揚力と弾性力とが平衡を成す高さで浮上した状態を維持する。こうして,スライダ42に搭載された磁気ヘッド41は,回転するディスク20と一定した間隔を維持する。この状態の磁気ヘッド41によって,ディスク20にデータが記録され,またディスク20からデータが読み出される。
HDDの電源がオフされてディスク20の回転が停止するとき,スライダ42を持ち上げていた揚力が弱まり,弾性力が支配的になるため,スライダ42が下降する。揚力が完全に消滅する前に,スライダ42がディスク20のデータゾーン22を外れるようにすることにより,スライダ42とデータゾーン22の接触によるデータゾーン22の損傷が防止される。具体的には,ディスク20の回転が完全に停止する前に,VCM50によってアクチュエータ40のアーム46を回動させてスライダ42をディスク20のパーキングゾーン21上に移動させる。
HDDの電源がオンされてディスク20が再び回転し出せば,再び揚力が発生し,これによりスライダ42は浮上する。スライダ42は浮上した状態で,VCM50に駆動されるアーム46の回動に伴い,ディスク20のデータゾーン22に移動する。ここでスライダ42に搭載された磁気ヘッド41は,前述したようにディスク20のデータゾーン22にデータを記録する作業,またはデータゾーン22に格納されているデータを再生する作業を遂行する。
ところで,HDDには,スライダ42がディスク20のパーキングゾーン21に退避した後にアクチュエータ40が回動しないように,このアクチュエータ40をロック(保持)するアクチュエータロッキング装置60が設けられている。アクチュエータロッキング装置60は,HDDの電源オフ時に,外部衝撃等によりアクチュエータ40が回動して磁気ヘッド41がパーキングゾーン21から外れてデータゾーン22に移動することを防止する役割を果たす。
アクチュエータロッキング装置60は,アーム46の端部に設けられた金属片63と,上部ヨーク52に設けられ,所定幅のスロット67を有したベンディング部66と,下部ヨーク51に設けられ,ベンディング部66の底面が接触する接触部64とから構成されている。
以下では,従来のアクチュエータロッキング装置の構成とその問題点を図面を参照しながら説明する。
図3は従来のアクチュエータロッキング装置を説明するためのVCM部位の側面図であり,図4は従来のアクチュエータロッキング装置の斜視図であり,図5は従来のアクチュエータロッキング装置の問題点を説明するための図面である。なお,本明細書及び図1〜図5において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図3〜図5に示したように,VCM50の上部ヨーク52にはその縁から下側へ曲げられたベンディング部66が形成されている。一方,下部ヨーク51の縁にはベンディング部66の底面が接触する接触部64が横方向(水平方向)に突出形成されている。また,ベンディング部66にはアーム46の中心線Cに沿って所定幅を有したスロット67が形成されている。そして,アーム46の端部には結合突起61が突出形成されている。また,アーム46の端部には,結合突起61の周囲を囲むようにダンパ62が備えられており,ダンパ62の一側には金属片63が付着されている。
上部ヨーク52はその底面に付着されたマグネット53により磁化され,これにより上部ヨーク52のベンディング部66から下部ヨーク51の接触部64側へ磁力が流れる(磁界が発生する)。この際,スロット67の部位で磁力が漏れ,この漏れ磁力によりアーム46に設けられた金属片63がスロット67の周囲のベンディング部66に付着する。
なお,従来のHDDのアクチュエータロッキング装置としては,以下の文献に開示されているものがある。
韓国特許出願公開2002−0027525号明細書 韓国特許出願公開2000−0020323号明細書
しかし,従来のHDDのアクチュエータロッキング装置には,次のような問題があった。
従来のアクチュエータロッキング装置60において,下部ヨーク51の上面にはマグネットが設けられないので,アーム46と下部ヨーク51との間隔は非常に狭い。したがって,ベンディング部66のスロット67の下部は非常に低く(薄く)なっている。金属片63がスロット67の周囲のベンディング部66に正確に付着するためには,アーム46に設けられた金属片63の中心がスロット67の中心と一致している必要がある。つまり,スロット67の中心は,アーム46の中心線C上に位置しなければならない。このため,ベンディング部66のスロット67の下部を高く(厚く)するために,スロット66の位置を任意にアーム46の中心線Cより高く設定することはできない。
このような構造上の制限を有する従来のアクチュエータロッキング装置60によれば,下部ヨーク51と上部ヨーク52の組み立て工程において,図5に示すように,ベンディング部66の薄いスロット67の下部分を曲げてしまう可能性があった。しかも,ベンディング部66と接触部64との接触状態を良くするために,ベンディング部66を上部ヨーク52と下部ヨーク51との間隔より若干長く設計することが一般的である。特にこの場合には,ベンディング部66のスロット67の下部分を曲げてしまう可能性が高くなる。このようにベンディング部66のスロット67の下部分が曲がってしまうと,ベンディング部66と接触部64との接触面積が狭くなるために,ベンディング部66から接触部64へ流れる磁力が弱まり,これに伴いスロット67部位の漏れ磁力も弱まる。結果的に,金属片63とベンディング部66の付着状態も不完全になる。
さらに,従来のアクチュエータロッキング装置60において,接触部64は,図3,図4に示すように,ベンディング部66の側面に接触した金属片63に対して,間隔D1が確保される位置に形成されている。これにより,金属片63は,接触部64に干渉されることなくベンディング部66の側面に完全に接触することになるが,ベンディング部66の底面全体が接触部64の上面に接触しないため,その分ベンディング部66から接触部64へ流れる磁力が弱まる。
上記のような問題点は,結局,金属片63とベンディング部66の付着力を弱化させるため,比較的小さい外部衝撃を受けた場合でも金属片63がベンディング部66から離れてしまうおそれがある。特に,HDDの電源がオフ状態のときに金属片63がベンディング部66から離れると,アクチュエータ40のアーム46が回動してしまい,磁気ヘッド41とディスク20のデータゾーン22が接触する可能性もある。この場合,磁気ヘッド41とディスク20のデータゾーン22が共に損傷するおそれがある。また,金属片63とベンディング部66の付着力が許容基準に達していなければ,製造工程において,そのHDDは規格外品として選別される。つまり,上記の問題点は,HDDの歩留まり低下の原因の一つにもなっていた。
本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,アクチュエータに設けられた金属片がヨークに設けられたベンディング部に確実に接触するように構成され,より一層安定的にアクチュエータをロックすることが可能な新規かつ改良されたハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明によれば,ハードディスクドライブのアクチュエータに装着された磁気ヘッドがディスクのパーキングゾーンにパーキングされた状態を維持するように,アクチュエータを挟んで互いに対向するように設けられるボイスコイルモータの第1ヨークと第2ヨークのうち,第1ヨークのアクチュエータに対向する第1表面に備えられたマグネットによる磁力を用いてアクチュエータをロックするハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置が提供される。そして,この装置は,アクチュエータのアームの端部に設けられた金属片と,アクチュエータに対向する第1接触面とアクチュエータとの間隔がアクチュエータに対向する第2ヨークの第2表面とアクチュエータとの間隔より広くなるように,第2ヨークの側面に形成された接触部と,第1ヨークの縁から接触部側へ延びて形成され,接触部の第1接触面に接触する第2接触面,および,金属片と相応する位置に所定幅で形成されたスロットを有するベンディング部とを備えることを特徴としている。
かかる構成によれば,ベンディング部において,スロット下の厚みを確保することができるため,スロット下の部分の剛性が向上する。この結果,スロット下の部分が曲がるようなことはなくなり,ベンディング部の第2接触面は接触部の第1接触面に確実に接触する。
接触部の第1接触面と第2ヨークの第2表面の間の高さの差は,第2ヨークの厚さの半分程度または半分以上であることが好ましい。
また,望ましくは,接触部は,その第1接触面にベンディング部の第2接触面の全体が接触するように形成される。
ここで,接触部の金属片側の側面と,ベンディング部の金属片側の側面との間に段差がないかあるいは,接触部の金属片側の側面が,ベンディング部の金属片側の側面より金属片側へ突出していることが望ましい。
本発明のアクチュエータロッキング装置は,第1ヨークがアクチュエータの上部に設けられる上部ヨークであり,第2ヨークがアクチュエータの下部に設けられる下部ヨークであり,マグネットが上部ヨークの底面に設けられたHDDに適用されうる。また,本発明のアクチュエータロッキング装置は,第1ヨークがアクチュエータの下部に設けられる下部ヨークであり,第2ヨークがアクチュエータの上部に設けられる上部ヨークであり,マグネットが下部ヨークの上面に設けられたHDDにも適用されうる。
以上詳述したように本発明によれば,ベンディング部のスロットの下部分がより高く(厚く)なってその強度が向上する。したがって,ベンディング部のスロットの下部分が曲がることはなく,ベンディング部と接触部の接触面積が広がる。また,アクチュエータに設けられた金属片がベンディング部により確実に接触し,それらの間の付着力が強化されるため,より安定的にアクチュエータをロックすることが可能となる。しかも,製造工程においてベンディング部のスロットの下部分が曲がってしまうことがないため,製造歩留まりが向上することになる。即ち,製品の安定した量産性が確保される。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図6は,本発明の実施の形態に係るアクチュエータロッキング装置160を含むアクチュエータ140とVCM150を示した分解斜視図である。
図6に示したアクチュエータ140とVCM150は,組み立てた状態で,図1,図2に示した従来のアクチュエータ40とVCM50と,HDDにおいて置き換えが可能である。すわなち,HDDにはデータの記録及び再生のための磁気ヘッド141をディスク上の所定位置に移動させるためのアクチュエータ140が備えられる。このアクチュエータ140は,HDDのベースプレート上に回動可能に設けられるアーム146を備える。このためにアーム146の中間部位にはピボットホ−ル148が形成される。アーム146は,金属材料,例えばアルミニウム板材をプレス加工やスタンピング加工することにより製造される。アーム146の一側端部には,磁気ヘッド141が搭載されたスライダ142を,ディスク表面側へ弾性バイアスされるように支持するサスペンション144が設けられる。
また,HDDにはアクチュエータ140を回動させるためのVCM150が設けられる。VCM150は,アーム146の他側端部に結合されるコイル156と,コイル156の下部に設けられる下部ヨーク151と,コイル156の上部に設けられる上部ヨーク152と,上部ヨーク152の底面に付着されるマグネット153とを備える。コイル156は,モールディング部155を介してアーム146に結合される。モールディング部155は,コイル156とアーム146との間にプラスチックレジンを射出モールディングすることにより形成される。下部ヨーク151は,コイル156と所定間隔を置き,HDDのベースプレート上に固設される。上部ヨーク152は,ネジ159により下部ヨーク151と結合される。上部ヨーク152の底面にはマグネット153が付着されており,このマグネット153はコイル156と所定間隔離れている。マグネット153としては主に永久磁石が使用される。
VCM150は,サーボ制御システムにより制御され,コイル156に入力される電流とマグネット153により形成された磁場の相互作用により,フレミングの左手法則に即した方向にアクチュエータ140を回動させる。具体的には,HDDの電源がオンされてディスク20が回転を開始した後,VCM150は,アーム146を回動させて磁気ヘッド141をディスクのパーキングゾーンからデータゾーンに移動させる。その後,ディスクの回転が停止する際には,VCM150はアーム146を回動させて磁気ヘッド141をディスクのデータゾーンからパーキングゾーンに移動・退避させる。
ところで,従来のHDDについては,データの格納容量を増加させるために,多数のディスクが組み込まれるケースが多かった。しかし,近年,ディスクの面記録密度が急激に増加したことにより,一つ又は二つのディスクだけで充分な容量のデータを格納できるようになった。特に,最近では一つのディスクを使用してその一側面にデータを記録する方式のHDDが開発されている。このようなHDDの場合,一つの磁気ヘッドと一つのアームだけでデータ書き込み/読み出し機構が構成可能となる。この結果,HDDの薄型化が実現する。また,従来のHDDには,マグネットがコイルの上部側と下部側に各々設けられたVCMが主に使用されていた。しかし,上述のように,ディスクを一つだけ備えたHDDの場合,そのHDDには,図6に示したような一つのアーム46のみを有したアクチュエータ140が備えられる。このアクチュエータ140に対しては,マグネット153がコイル156の上部側又は下部側にのみ設けられた一のマグネット方式のボイスコイルモータ150が採用される。こうしたVCM150は,その全体の高さ寸法が小さく抑えられるため,HDDのスリム化が容易となる。
HDDに備えられる本実施の形態にかかるアクチュエータロッキング装置160は,HDDの電源がオフされた状態では,アクチュエータ140に装着された磁気ヘッド141がディスクのパーキングゾーンに退避した状態を維持するように,アクチュエータ140をロック(保持)する役割を果たす。即ち,アクチュエータロッキング装置160は,HDDの電源オフ時に,外部衝撃等によりアクチュエータ140が回動し,磁気ヘッド141がパーキングゾーンから外れてデータゾーンに移動することを防止する。もし,HDDの電源がオフされた状態で磁気ヘッド141がデータゾーンに移動すれば,磁気ヘッド141がデータゾーンに直接接触し,これによりデータゾーンと磁気ヘッド141が損傷するおそれがある。
アクチュエータロッキング装置160は,VCM150の上部ヨーク152の底面(第1表面)に設けられたマグネット153による磁力を用いて,アクチュエータ140をロックする。このため,アクチュエータロッキング装置160は,アーム146の端部に設けられた金属片163と,上部ヨーク152に設けられ,所定幅のスロット(切り込み部)167を有したベンディング部166と,下部ヨーク151に設けられ,ベンディング部166の底面(第2接触面)が接触する接触部164とを備えている。そして,接触部164は,その上面(第1接触面)が下部ヨーク151の上面(第2表面)より低くなるように形成されている。
以下,本実施の形態に係るアクチュエータロッキング装置160の構成と作用について,図面を参照しながらより詳細に説明する。
図7は,アクチュエータロッキング装置160を説明するためのVCM150の側面図であり,図8は,アクチュエータロッキング装置160の斜視図である。
図7と図8に示すように,アクチュエータロッキング装置160は,アーム146の端部に設けられた金属片163を備える。アーム146の端部には結合突起161が突出形成されている。この結合突起161には,その周囲を囲むようにダンパ162が備えられており,金属片163は,このダンパ162の一側に設けられる。ダンパ162は,緩衝性(弾性)を有する材料,例えばゴムより成る。一方の金属片163は,例えばステンレス鋼より成り,ダンパ162の一側面,即ちベンディング部166の側面166aと相対する側面に備えられる。しかも,金属片163は,その中心がアーム146の中心線Cと一致するようにダンパ162に付着される。
接触部164は,VCM150の下部ヨーク151の側面から下方へ突出するように形成される。これによって,接触部164の上面を下部ヨーク151の上面より低くすることが可能となる。
ベンディング部166は,VCM150の上部ヨーク152の縁から突出した部分を下側へ曲げ(ベンディング)加工されることによって形成される。また,ベンディング部166は,その底面が接触部164の上面に接触するように形成される。そして,ベンディング部166は,金属片163と相応する位置,即ちアーム146の中心線Cと一致する高さに所定幅のスロット167を有する。
上述のように,アクチュエータロッキング装置160において,接触部164は,その上面が下部ヨーク151の上面より低くなるように形成されている。したがって,下部ヨーク151の上面にマグネットが設けられていなくても,スロット167と接触部164との間には充分な間隔が確保される。これにより,接触部164の上面に接触するベンディング部166のスロット167の下部分を,従来に比べて厚くすることができるため,その下部分の剛性が高まる。この結果,下部ヨーク151と上部ヨーク152の組み立て工程において,ベンディング部166のスロット167の下部分が曲がってしまうことが防止される。
接触部164の上面と下部ヨーク151の上面の高さの差H(図7参照)は,下部ヨーク151の厚さの半分,またはそれ以上であることが望ましい。高さの差Hが小さい場合,ベンディング部166に形成されたスロット167の下部分の高さ(厚み)を充分に確保できなくなる。
そして,アクチュエータロッキング装置160において,金属片163に対向する接触部164の一側面164aと,ベンディング部166の一側面166aは,一致するように(段差が生じないように)形成される。したがって,ベンディング部166の底面全体が接触部164の上面に接触するため,それらの間に充分な接触面積を確保できる。
このような構造は,上記のように接触部164の上面が下部ヨーク151の上面より低く形成されることにより実現可能となる。接触部164の上面が下部ヨーク151の上面より低く形成されれば,接触部164の位置は,金属片163の下側端部より低くなり,金属片163と接触部164の干渉が発生しない。したがって,下部ヨーク151と上部ヨーク152の組み立て精度に余裕を持たせても,金属片163が接触部164に干渉することなく,金属片163はベンディング部166の側面166aに完全に接触する。
上部ヨーク152は,その底面に付着されたマグネット153により磁化される。そして,上部ヨーク152のベンディング部166から下部ヨーク151の接触部164側へ磁力が流れる(磁界が発生する)。この際,スロット167の部位で磁力が漏れ,この漏れ磁力によりアーム146に設けられた金属片163が,ベンディング部166の側面166aのうち,スロット167の周囲に付着する。
このように動作するアクチュエータロッキング装置160によれば,ベンディング部166のスロット167の下部分が曲がらないため,ベンディング166の底面と接触部164の上面が完全に接触し,それらの間に充分な接触面積が確保される。また,金属片163もベンディング部166に完全に付着する。したがって,ベンディング部166から接触部164へ流れる磁力が強まり,スロット167の部位の漏れ磁力も強まるため,金属片163は,ベンディング部166に,より強力に,かつ安定的に付着する。
結果的に,アクチュエータロッキング装置160によれば,金属片163とベンディング部166との間の付着力が安定して維持されるため,HDDの電源がオフされた状態において,アクチュエータ140は,ディスクのパーキングゾーンに安定的にロックされる。
また,アクチュエータロッキング装置160によれば,ベンディング部166において,スロット167の下部分の剛性が向上し,この部分が曲がることはなくなる。したがって,金属片163とベンディング部166の付着力不足を原因とするHDDの歩留まり低下が抑えられる。これによって,HDDの量産性が安定確保される。
図9は,図8の接触部164の変形例としての接触部164’を示している。
図9に示したように,接触部164’は,その左側面164a’がベンディング部166の左側面166aより金属片163側へD突出している。したがって,下部ヨーク151と上部ヨーク152の組み立て時に多少の位置ずれが発生しても,ずれがD以内であればベンディング部166の底面が接触部164’の上面を外れない。このような形状を有する接触部164’によれば,その上面にベンディング部166の底面全体をより確実に接触させることが可能となる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,マグネットが上部ヨークの底面に付着された場合に即して本発明の実施の形態を説明したが,本発明はマグネットが下部ヨークの上面に付着された場合にも適用されうる。後者の場合,接触部は上部ヨークに形成され,ベンディング部は下部ヨークに形成される。
本発明は,HDDにおいてディスクの回転が停止した時に,磁気ヘッドがディスクのパーキングゾーンから外れないようにアクチュエータをロックする機構に適用可能である。
従来のHDDを概略的に示した平面図である。 従来のアクチュエータとVCMとを示した分離斜視図である。 従来のアクチュエータロッキング装置を説明するためのVCM部位の側面図である。 従来のアクチュエータロッキング装置の斜視図である。 従来のアクチュエータロッキング装置の問題点を説明するための図面である。 本発明の実施の形態に係るアクチュエータロッキング装置を含むアクチュエータとVCMとを示した分解斜視図である。 同実施の形態に係るアクチュエータロッキング装置を説明するためのVCM部位の側面図である。 同実施の形態に係るアクチュエータロッキング装置の斜視図である。 図8に示した接触部の変形例を示した斜視図である。
符号の説明
146 アーム
150 VCM
151 下部ヨーク
152 上部ヨーク
153 マグネット
160 アクチュエータロッキング装置
161 結合突起
162 ダンパ
163 金属片
164 接触部
166 ベンディング部
166a ベンディング部の側面
167 スロット

Claims (7)

  1. ハードディスクドライブのアクチュエータに装着された磁気ヘッドがディスクのパーキングゾーンにパーキングされた状態を維持するように,前記アクチュエータを挟んで互いに対向するように設けられるボイスコイルモータの第1ヨークと第2ヨークのうち,前記第1ヨークの前記アクチュエータに対向する第1表面に備えられたマグネットによる磁力を用いて前記アクチュエータをロックするハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置において,
    前記アクチュエータのアームの端部に設けられた金属片と,
    前記アクチュエータに対向する第1接触面と前記アクチュエータとの間隔が,前記アクチュエータに対向する前記第2ヨークの第2表面と前記アクチュエータとの間隔より広くなるように,前記第2ヨークの側面に形成された接触部と,
    前記第1ヨークの縁から前記接触部側へ延びて形成され,前記接触部の前記第1接触面に接触する第2接触面,および,前記金属片と相応する位置に所定幅で形成されたスロットを有するベンディング部と,
    を備えることを特徴とする,ハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  2. 前記接触部の前記第1接触面と前記第2ヨークの前記第2表面との高さの差は,前記第2ヨークの厚さの半分以上であることを特徴とする,請求項1に記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  3. 前記接触部は,その第1接触面に前記ベンディング部の前記第2接触面の全体が接触するように形成されたことを特徴とする,請求項1または2に記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  4. 前記接触部の前記金属片側の側面と,前記ベンディング部の前記金属片側の側面との間に段差がないことを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  5. 前記接触部の前記金属片側の側面は,前記ベンディング部の前記金属片側の側面より前記金属片側へ突出していることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  6. 前記第1ヨークは,前記アクチュエータの上部に設けられる上部ヨークであり,
    前記第2ヨークは,前記アクチュエータの下部に設けられる下部ヨークであり,
    前記マグネットは,前記上部ヨークの底面に設けられることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
  7. 前記第1ヨークは,前記アクチュエータの下部に設けられる下部ヨークであり,
    前記第2ヨークは,前記アクチュエータの上部に設けられる上部ヨークであり,
    前記マグネットは,前記下部ヨークの上面に設けられることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載のハードディスクドライブのアクチュエータロッキング装置。
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