JP2001017190A - ヒトパピローマウイルス18のタンパク質における血清反応性エピトープ - Google Patents

ヒトパピローマウイルス18のタンパク質における血清反応性エピトープ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトにおけるHPV18起因性疾患の予防、
診断及び治療における補助として適したHPV18のウ
イルス構造を確認する。 【解決手段】 ヒトパピローマウイルスHPV18のタ
ンパク質E1、E6およびE7における血清反応性エピ
トープ。血清反応性エピトープの配列と全部又は一部一
致するアミノ酸配列を有するペプチド及びこのようなペ
プチドを含有したワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はヒトパピローマウイルス(HP
V)18のタンパク質E1、E6及びE7における血清
反応性領域に関する。
【0002】本発明は上記ウイルスタンパク質の血清反
応性領域のアミノ酸配列を有するペプチドを含有したワ
クチン及び上記ペプチドを含有した診断用キットにも関
する。
【0003】HPV18は最初にProc.Natl.Acad.Sci.U
SA,80,3813-3815(1983) で記載された特定タイプのヒト
パピローマウイルスである。
【0004】HPV18のウイルスゲノムのDNA配列
及び構成はVirology,145,181-185(1985)で公表された。
【0005】HPV18は肛門性器路の良性病変ばかり
でなく子宮頸部、ペニス及び膣の悪性腫瘍をも誘導す
る。しかしながら、HPV18は臨床的症状のない個体
からの生殖器切片でもみられる。現在まで、HPV18
及び他のパピローマウイルスによる感染に対する免疫応
答性に関してはほとんど知られていない。
【0006】最初の実験では、STD患者、頸部腫瘍の
ある患者及び健康体からのヒト血清がウイルスタンパク
質に対する抗体の存在に関して試験された。これらのウ
イルスタンパク質は様々な原核生物ペプチドにそれらの
N末端を介して共有結合した融合タンパク質として発現
された。そこでこのタイプの融合タンパク質がウェスタ
ーンブロット実験で抗原として用いられた。しかしなが
ら、この試験は比較的時間浪費的かつ複雑であって、多
大な費用でのみ行うことができ、そのため多量のヒト血
清の定量分析には適さないようである。加えて、様々な
パピローマウイルスタイプがそれらのタンパク質コアの
面でも関連し合い、このため異なるパピローマウイルス
タイプからのタンパク質又は融合タンパク質と抗体との
交差反応が除外しえないことから、この試験はさほど特
異的でない。
【0007】したがって、本発明の目的はヒトにおける
HPV18起因性疾患の予防、診断及び治療における補
助として適したHPV18のウイルス構造を確認するこ
とである。このような構造(タンパク質ドメイン)に関
する知識は、多量のヒト血清が特定HPVの存在に関し
て検査されうる試験の確立上必須である。
【0008】従って、本発明は下記アミノ酸配列:
【化3】 を有するHPV18のE1タンパク質における血清反応
性エピトープ、下記アミノ酸配列:
【化4】 のうち1つを有するHPV18のE6タンパク質におけ
る血清反応性エピトープ、及び下記アミノ酸配列:
【化5】 のうち1つを有するHPV18のE7タンパク質におけ
る血清反応性エピトープ、に関する。
【0009】本発明は前記血清反応性エピトープの本発
明によるアミノ酸配列のいずれか1種またはそれ以上を
含んだペプチドにも関する。
【0010】本発明はHPV18のタンパク質の前記血
清反応性エピトープの1種またはそれ以上のアミノ酸配
列を含んだペプチドに基づくワクチンにも関する。
【0011】HPV18 E1、E6及びE7タンパク
質に対する特異的抗体は本発明による診断用キットを用
いて患者血清において検出することができる。このキッ
トは本発明によるペプチドを含有している。
【0012】更に、血清反応性領域を含んだ特定ウイル
スタンパク質がこれらの領域に対するポリクローナル抗
体又はモノクローナル抗体を用いて適時に血清中で同定
されることも予防目的から可能である。したがって、本
発明はHPV18の血清反応性領域に特異的なポリクロ
ーナル又はモノクローナル抗体を含有した診断用キット
にも関する。
【0013】下記の相互に独立した方法は血清反応性エ
ピトープを同定するために用いられた: A.ショットガン発現バンクのスクリーニング:細菌プ
ラスミドベクター pSP65でクローニングされたHPV18 DNAは
超音波剪断しかる後DNアーゼ処理で平均サイズ100
塩基対の断片に変換された。これら断片の末端はT4D
NAポリメラーゼで補充され、ファージ発現ベクターf
use1に結合された。fuse1はバクテリオファー
ジfdから誘導され、Science,228,1315-1317(1985)で
記載されている。そのファージは大腸菌K91と共にプ
レーティングされ、レプリカがニトロセルロースフィル
ターで作製され、フィルターが適切なポリクローナルウ
サギ血清と共にインキュベートされた。陽性クローンは
いくつかの選抜ステップで単離され、免疫反応性ペプチ
ド配列はDNA配列決定により確認された。
【0014】B.ペプチド重複 HPV18 E6及びE7タンパク質の短いセグメント
に相当する127の重複ペプチドは、Fmoc化学を用
いてポリエチレンピン上で合成した〔Proc.Natl.Acad.S
ci.82,178(1985)〕。E6及びE7タンパク質のタンパ
ク質配列は次のペプチドと8アミノ酸で一致する10マ
ー(mer)に分割された。そのペプチドは適切な抗血清中
でELISAにより調べられた。
【0015】
【実施例】例 1 線維状ファージfdの誘導体を用いて、HPV18 D
NA断片に関する発現系を得た。このため、fuse1
〔fd‐tet‐J6,Science,228,1315-1317(1985);
Gene,73,305-318(1988)〕を単一PvuII開裂部位で切
断した。DNA修復後のDNアーゼI消化によるゲノム
HPV18 DNA断片をT4DNAリガーゼで平滑末
端結合させた。fuse1ベクターを形質転換するた
め、大腸菌K802株〔F- galK2 galT22 metB1 supE4
4 hsdr(2);Journal ofMolecular Biology,16,118-133(1
966) 〕をJournal of Molecular Biology,166,557-580
(1988)におけるHanahan の方法で用いた。tet耐性コ
ロニーは、それらのF- 表現型のために細菌に感染しな
いバクテリオファージを産生する。ファージを培養する
ため、大腸菌K91株〔F+ ,大腸菌K38の誘導体,V
irology,49,45-60(1972)〕を用いた。
【0016】例 2 前記ランダムバンクから約50,000の組換えファー
ジを最少寒天プレート上で10mMMgSO含有0.5
%アガロース3.5ml中指数的増殖大腸菌K91細胞
0.2mlと共にプレーティングした。プレートのレプリ
カをニトロセルロースフィルターで作製し、しかる後シ
グナルを高めるため新鮮最少寒天上37℃で更に6時間
インキュベートした。次いでフィルターをPBS中10
%低脂肪ミルクで60分間ブロックし、1:100〜
1:1000のHPV特異性抗血清希釈の5%ミルク/
PBS中において一夜インキュベートした。特異的HP
V抗血清の代わりにモノクローナル抗体を用いることも
可能である。抗血清を音波処理K91細胞で前吸着させ
た。次いでフィルターを特にPBS/0.1%ツイーン
20で5分間しかる後ヤギ抗ウサギ抗体と共に室温で3
時間、で5回洗浄するか、又はモノクローナル抗体が用
いられる場合には5%低脂肪ミルク中で抗マウスペルオ
キシダーゼ抗体(1:1000)と共にインキュベート
した。フィルターを洗浄した後、それらをジアミノベン
ジジン30mg、30%強度H30μl及び1%強
度NiSO1.5ml含有PBS50mlで染色した。次
いでフィルターをHOで30分間洗浄し、しかる後濾
紙上で乾燥させた。最初に25のファージをHPV18
E7に対するポリクローナルウサギ血清を用いて単離
し、そのうち18が次の精製ステップで陽性とわかっ
た。次いでファージ粒子を培養増殖させ、一本鎖DNA
を得た。
【0017】例 3 例2の場合と同じ方法をでHPV18 E6タンパク質
に関しても選択した。用いられたポリクローナルウサギ
血清は非ウイルスエピトープと交差反応したため、ウェ
スターンブロット法以外ではすべての反応性組換え体の
中からHPV18 E6部分のあるものを同定するため
に特定DNA断片がプローブとして用いられた。70,
000の組換えファージから15を単離し、最後に配列
決定した。エピトープHPV18 E6 No.1は、例え
ば調べられたファージバンクの中で合計10回みつけら
れた。
【0018】例 4 fuse1組換え体からの一本鎖DNAの製造 このためにProc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463-5467(197
7) の操作を用いた。LM50mlをfuse1プラスミ
ドを有するtet耐性大腸菌K91細胞と共にインキュ
ベートし、この混合物を37℃で16時間インキュベー
トした。次いで細菌を6000rpm で30分間かけてペ
レット化した。上澄に40%強度PEG6000の2ml
及びpH6.5の5M酢酸ナトリウム2mlの添加後、フ
ァージを0℃で60分間かけて沈降させ、沈降物を60
00rpm で60分間遠心した。ペレットをTE0.3ml
に再懸濁した。2回のフェノール抽出の後、DNA沈降
させた。次いで約25%の調製物を配列決定に用いた。
【0019】例 5 配列決定 標準USB〔ユナイテッド・ステーツ・バイオケミカル
ズ(United StatesBiochemicals) 〕法(USB,1987) をD
NA配列決定に用いた。ユニバーサルプライマーを20
マーオリゴヌクレオチド(5´-TCCAGACGTTAGTAAATGAA-3
´)に代えた。
【0020】例 6 ペプチド合成 短いセグメントでORFのHPV18 E6及びE7を
表す127の重複ペプチドをProc.Natl.Acad.Sci.USA,8
2,178(1985) 及びProc.Natl.Acad.Sci.81,3998(1985)で
記載されたようにポリエチレンピン上でFmoc化学に
より合成した。β‐アラニンで誘導されたポリエチレン
ピンはCRBイングランド(CRB England) から得た。前
記文献とは異なり、タンパク質配列は隣接ペプチドと8
アミノ酸で重複したデカペプチドに分割した。合成はF
moc化学及びBOP〔カストロ(Castro)試薬〕による
in situ 活性化を利用して行った〔Tetrahedron Letter
s,14,1219(1975) 〕。Fmocアミノ酸誘導体(6μmo
l)、BOP及びN‐メチルモルホリン溶液を合成される
ペプチド配列に応じてポリエチレンピン(CRB)に分
配した。すべての他の反応はCRBプロトコールに従い
行った。
【0021】例 7 ポリエチレンピンをELISAアッセイ法で前記ポリク
ローナルウサギ血清と共にインキュベートし、結合抗体
をプロテインAペルオキシダーゼを用いて検出した。非
特異的結合で生じるバックグラウンドは第一抗体なしに
プロテインAインキュベーションで定量した。反応性ペ
プチドは血清反応性エピトープとしてファージスクリー
ニングにより確認された領域に位置する。すべてのアッ
セイはポリエチレンピンに共有結合されたペプチドで行
われ、また、そのピン上にそれらが最初に合成されてい
た。マイクロタイタープレートのウェルに導入されうる
ような配置で固定された96ピンを有するラックを用い
た。ELISAのためのインキュベーションを行い、一
方でピンをウェルに浸漬した。ピンをメタノール及びP
BSで洗浄し、次いでPBS中0.25%ゼラチン、
0.1%ツイーン20により37℃で2時間かけてブロ
ックし、しかる後0.125%ゼラチン及び0.05%
ツイーン20で1:200〜1:4000希釈された血
清と共に37℃で1時間インキュベートした。PBS/
0.1%ツイーン20によるもう1回の洗浄ステップ
後、ピンをプロテインA‐ペルオキシダーゼ1:400
0と共に37℃で1時間インキュベートし、しかる後も
う1回洗浄ステップ及びテトラメチルベンジジン(TM
B)で15分間染色を行った。染色ステップは染色溶液
からピンを引上げて0.2モルHSO溶液100μ
lを加えることにより停止させた。次いで吸着量を自動
ELISA読取機で測定した。ELISA法の後に抗体
‐酵素複合体を除去するため、ピンをPBS/1%SD
S/0.1%β‐メルカプトエタノール中60℃で1時
間超音波(水浴、30W、48KHz)下でインキュベート
し、最後にメタノールで洗浄した。この操作の効率は一
次血清を含むことなしにプロテインA/ペルオキシダー
ゼを用いてELISAにより試験した。同じペプチドは
下記ELISAで40回以上調べた。
【0022】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12P 21/08 C12P 21/08 (72)発明者 ルッツ、ギースマン ドイツ連邦共和国ウィースロッホ、イム、 ピロルウェーク、1 (72)発明者 マーチン、ミュラー ドイツ連邦共和国ハイデルベルク、フザー レンシュトラーセ、14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記アミノ酸配列のうち1つで表されるヒ
    トパピローマウイルス18のE7タンパク質における血
    清反応性エピトープである抗原決定部位からなるペプチ
    ド。 【化1】
  2. 【請求項2】下記のアミノ酸配列で表される2種の血清
    反応性エピトープIおよびIIからなるペプチド。 【化2】
  3. 【請求項3】ヒトパピローマウイルス18のタンパク質
    E1、E6又はE7に対する特異的抗体を同定するため
    の診断用組成物であって、請求項1および2に記載され
    たペプチドから選択されるペプチドの1種またはそれ以
    上を含むことを特徴とする組成物。
  4. 【請求項4】患者血清中のヒトパピローマウイルス18
    タンパク質を同定するための診断用組成物であって、請
    求項1に記載されたペプチドに特異的な及び/又は請求
    項2に記載されたペプチドに特異的なポリクローナル又
    はモノクローナル抗体を含むことを特徴とする組成物。
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