JP3676195B2 - ヒトパピローマウイルス18のタンパク質における血清反応性エピトープ - Google Patents

ヒトパピローマウイルス18のタンパク質における血清反応性エピトープ Download PDF

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Description

【0001】
本発明はヒトパピローマウイルス(HPV)18のタンパク質E1、E6及びE7における血清反応性領域に関する。
【0002】
本発明は上記ウイルスタンパク質の血清反応性領域のアミノ酸配列を有するペプチドを含有したワクチン及び上記ペプチドを含有した診断用キットにも関する。
【0003】
HPV18は最初にProc.Natl.Acad.Sci.USA,80,3813-3815(1983) で記載された特定タイプのヒトパピローマウイルスである。
【0004】
HPV18のウイルスゲノムのDNA配列及び構成はVirology,145,181-185(1985)で公表された。
【0005】
HPV18は肛門性器路の良性病変ばかりでなく子宮頸部、ペニス及び膣の悪性腫瘍をも誘導する。しかしながら、HPV18は臨床的症状のない個体からの生殖器切片でもみられる。現在まで、HPV18及び他のパピローマウイルスによる感染に対する免疫応答性に関してはほとんど知られていない。
【0006】
最初の実験では、STD患者、頸部腫瘍のある患者及び健康体からのヒト血清がウイルスタンパク質に対する抗体の存在に関して試験された。これらのウイルスタンパク質は様々な原核生物ペプチドにそれらのN末端を介して共有結合した融合タンパク質として発現された。そこでこのタイプの融合タンパク質がウェスターンブロット実験で抗原として用いられた。しかしながら、この試験は比較的時間浪費的かつ複雑であって、多大な費用でのみ行うことができ、そのため多量のヒト血清の定量分析には適さないようである。加えて、様々なパピローマウイルスタイプがそれらのタンパク質コアの面でも関連し合い、このため異なるパピローマウイルスタイプからのタンパク質又は融合タンパク質と抗体との交差反応が除外しえないことから、この試験はさほど特異的でない。
【0007】
したがって、本発明の目的はヒトにおけるHPV18起因性疾患の予防、診断及び治療における補助として適したHPV18のウイルス構造を確認することである。このような構造(タンパク質ドメイン)に関する知識は、多量のヒト血清が特定HPVの存在に関して検査されうる試験の確立上必須である。
【0008】
従って、本発明は下記アミノ酸配列:
【化3】
Figure 0003676195
を有するHPV18のE1タンパク質における血清反応性エピトープ、下記アミノ酸配列:
【化4】
Figure 0003676195
のうち1つを有するHPV18のE6タンパク質における血清反応性エピトープ、及び下記アミノ酸配列:
【化5】
Figure 0003676195
のうち1つを有するHPV18のE7タンパク質における血清反応性エピトープ、に関する。
【0009】
本発明は前記血清反応性エピトープの本発明によるアミノ酸配列のいずれか1種またはそれ以上を含んだペプチドにも関する。
【0010】
本発明はHPV18のタンパク質の前記血清反応性エピトープの1種またはそれ以上のアミノ酸配列を含んだペプチドに基づくワクチンにも関する。
【0011】
HPV18 E1、E6及びE7タンパク質に対する特異的抗体は本発明による診断用キットを用いて患者血清において検出することができる。このキットは本発明によるペプチドを含有している。
【0012】
更に、血清反応性領域を含んだ特定ウイルスタンパク質がこれらの領域に対するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いて適時に血清中で同定されることも予防目的から可能である。したがって、本発明はHPV18の血清反応性領域に特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体を含有した診断用キットにも関する。
【0013】
下記の相互に独立した方法は血清反応性エピトープを同定するために用いられた:
A.ショットガン発現バンクのスクリーニング:細菌プラスミドベクター
pSP65でクローニングされたHPV18 DNAは超音波剪断しかる後DNアーゼ処理で平均サイズ100塩基対の断片に変換された。これら断片の末端はT4DNAポリメラーゼで補充され、ファージ発現ベクターfuse1に結合された。fuse1はバクテリオファージfdから誘導され、Science,228,1315- 1317(1985)で記載されている。そのファージは大腸菌K91と共にプレーティングされ、レプリカがニトロセルロースフィルターで作製され、フィルターが適切なポリクローナルウサギ血清と共にインキュベートされた。陽性クローンはいくつかの選抜ステップで単離され、免疫反応性ペプチド配列はDNA配列決定により確認された。
【0014】
B.ペプチド重複
HPV18 E6及びE7タンパク質の短いセグメントに相当する127の重複ペプチドは、Fmoc化学を用いてポリエチレンピン上で合成した〔Proc. Natl.Acad.Sci.82,178(1985)〕。E6及びE7タンパク質のタンパク質配列は次のペプチドと8アミノ酸で一致する10マー(mer)に分割された。そのペプチドは適切な抗血清中でELISAにより調べられた。
【0015】
【実施例】
例 1
線維状ファージfdの誘導体を用いて、HPV18 DNA断片に関する発現系を得た。このため、fuse1〔fd‐tet‐J6,Science,228,1315- 1317(1985);Gene,73,305-318(1988)〕を単一PvuII開裂部位で切断した。DNA修復後のDNアーゼI消化によるゲノムHPV18 DNA断片をT4DNAリガーゼで平滑末端結合させた。fuse1ベクターを形質転換するため、大腸菌K802株〔F- galK2 galT22 metB1 supE44 hsdr(2);Journal of Molecular Biology,16,118-133(1966) 〕をJournal of Molecular Biology,166,557-580(1988)におけるHanahan の方法で用いた。tet耐性コロニーは、それらのF- 表現型のために細菌に感染しないバクテリオファージを産生する。ファージを培養するため、大腸菌K91株〔F+ ,大腸菌K38の誘導体,Virology,49,45-60(1972)〕を用いた。
【0016】
例 2
前記ランダムバンクから約50,000の組換えファージを最少寒天プレート上で10mMMgSO含有0.5%アガロース3.5ml中指数的増殖大腸菌K91細胞0.2mlと共にプレーティングした。プレートのレプリカをニトロセルロースフィルターで作製し、しかる後シグナルを高めるため新鮮最少寒天上37℃で更に6時間インキュベートした。次いでフィルターをPBS中10%低脂肪ミルクで60分間ブロックし、1:100〜1:1000のHPV特異性抗血清希釈の5%ミルク/PBS中において一夜インキュベートした。特異的HPV抗血清の代わりにモノクローナル抗体を用いることも可能である。抗血清を音波処理K91細胞で前吸着させた。次いでフィルターを特にPBS/0.1%ツイーン20で5分間しかる後ヤギ抗ウサギ抗体と共に室温で3時間、で5回洗浄するか、又はモノクローナル抗体が用いられる場合には5%低脂肪ミルク中で抗マウスペルオキシダーゼ抗体(1:1000)と共にインキュベートした。フィルターを洗浄した後、それらをジアミノベンジジン30mg、30%強度H30μl及び1%強度NiSO1.5ml含有PBS50mlで染色した。次いでフィルターをHOで30分間洗浄し、しかる後濾紙上で乾燥させた。
最初に25のファージをHPV18 E7に対するポリクローナルウサギ血清を用いて単離し、そのうち18が次の精製ステップで陽性とわかった。次いでファージ粒子を培養増殖させ、一本鎖DNAを得た。
【0017】
例 3
例2の場合と同じ方法をでHPV18 E6タンパク質に関しても選択した。用いられたポリクローナルウサギ血清は非ウイルスエピトープと交差反応したため、ウェスターンブロット法以外ではすべての反応性組換え体の中からHPV18 E6部分のあるものを同定するために特定DNA断片がプローブとして用いられた。70,000の組換えファージから15を単離し、最後に配列決定した。エピトープHPV18 E6 No.1は、例えば調べられたファージバンクの中で合計10回みつけられた。
【0018】
例 4
fuse1組換え体からの一本鎖DNAの製造
このためにProc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463-5467(1977) の操作を用いた。LM50mlをfuse1プラスミドを有するtet耐性大腸菌K91細胞と共にインキュベートし、この混合物を37℃で16時間インキュベートした。次いで細菌を6000rpm で30分間かけてペレット化した。上澄に40%強度PEG6000の2ml及びpH6.5の5M酢酸ナトリウム2mlの添加後、ファージを0℃で60分間かけて沈降させ、沈降物を6000rpm で60分間遠心した。ペレットをTE0.3mlに再懸濁した。2回のフェノール抽出の後、DNA沈降させた。次いで約25%の調製物を配列決定に用いた。
【0019】
例 5
配列決定
標準USB〔ユナイテッド・ステーツ・バイオケミカルズ(United StatesBiochemicals) 〕法(USB,1987) をDNA配列決定に用いた。ユニバーサルプライマーを20マーオリゴヌクレオチド(5´-TCCAGACGTTAGTAAATGAA-3´)に代えた。
【0020】
例 6
ペプチド合成
短いセグメントでORFのHPV18 E6及びE7を表す127の重複ペプチドをProc.Natl.Acad.Sci.USA,82,178(1985) 及びProc.Natl.Acad.Sci.81,3998(1985)で記載されたようにポリエチレンピン上でFmoc化学により合成した。β‐アラニンで誘導されたポリエチレンピンはCRBイングランド(CRB England) から得た。前記文献とは異なり、タンパク質配列は隣接ペプチドと8アミノ酸で重複したデカペプチドに分割した。合成はFmoc化学及びBOP〔カストロ(Castro)試薬〕によるin situ 活性化を利用して行った〔Tetrahedron Letters,14,1219(1975) 〕。Fmocアミノ酸誘導体(6μmol)、BOP及びN‐メチルモルホリン溶液を合成されるペプチド配列に応じてポリエチレンピン(CRB)に分配した。すべての他の反応はCRBプロトコールに従い行った。
【0021】
例 7
ポリエチレンピンをELISAアッセイ法で前記ポリクローナルウサギ血清と共にインキュベートし、結合抗体をプロテインAペルオキシダーゼを用いて検出した。非特異的結合で生じるバックグラウンドは第一抗体なしにプロテインAインキュベーションで定量した。反応性ペプチドは血清反応性エピトープとしてファージスクリーニングにより確認された領域に位置する。
すべてのアッセイはポリエチレンピンに共有結合されたペプチドで行われ、また、そのピン上にそれらが最初に合成されていた。マイクロタイタープレートのウェルに導入されうるような配置で固定された96ピンを有するラックを用いた。ELISAのためのインキュベーションを行い、一方でピンをウェルに浸漬した。ピンをメタノール及びPBSで洗浄し、次いでPBS中0.25%ゼラチン、0.1%ツイーン20により37℃で2時間かけてブロックし、しかる後0.125%ゼラチン及び0.05%ツイーン20で1:200〜1:4000希釈された血清と共に37℃で1時間インキュベートした。PBS/0.1%ツイーン20によるもう1回の洗浄ステップ後、ピンをプロテインA‐ペルオキシダーゼ1:4000と共に37℃で1時間インキュベートし、しかる後もう1回洗浄ステップ及びテトラメチルベンジジン(TMB)で15分間染色を行った。染色ステップは染色溶液からピンを引上げて0.2モルHSO溶液100μlを加えることにより停止させた。次いで吸着量を自動ELISA読取機で測定した。ELISA法の後に抗体‐酵素複合体を除去するため、ピンをPBS/1%SDS/0.1%β‐メルカプトエタノール中60℃で1時間超音波(水浴、30W、48KHz)下でインキュベートし、最後にメタノールで洗浄した。この操作の効率は一次血清を含むことなしにプロテインA/ペルオキシダーゼを用いてELISAにより試験した。同じペプチドは下記ELISAで40回以上調べた。
【0022】
【表1】
Figure 0003676195

Claims (3)

  1. 下記アミノ酸配列のうち1つで表されるヒトパピローマウイルス18のE7タンパク質における血清反応性エピトープである抗原決定部位からなるペプチド。
    Figure 0003676195
  2. ヒトパピローマウイルス18のタンパク質E7に対する特異的抗体を同定するための診断用組成物であって、請求項1に記載されたペプチドから選択されるペプチドの1種またはそれ以上を含むことを特徴とする組成物。
  3. 患者血清中のヒトパピローマウイルス18タンパク質を同定するための診断用組成物であって、請求項1に記載されたペプチドに特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体を含むことを特徴とする組成物。
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