【発明の詳細な説明】
抗凝固剤
本発明は、動物における有用な抗凝固剤であるトロンビン阻害剤に関するもの
である。特に、高い抗凝固活性を有するオルソ−ヒドロキシベンズアミジンに関
する。従って、本発明は、新規なトロンビン阻害剤、活性成分としてその化合物
を含む医薬的組成物、並びに静脈血栓症,肺塞栓症,動脈血栓症,特に心筋の虚
血,心筋梗塞および脳血栓症,脈管形成および冠状動脈バイパス手術後のような
一般的な超凝固状態および局所的な超凝固状態、並びに炎症性の進行に関係する
如き一般的組織傷害等の血栓塞栓症の予防および処置のための抗凝固剤としてそ
の化合物の使用に関するものである。加うるに、この薬剤はインビトロでの適用
において抗凝固剤として有用である。
血液の凝固である血栓症の過程は、複雑な蛋白質加水分解のカスケードによっ
て誘起されてトロンビンの形成に至る。トロンビンは、血漿中で可溶性のフイブ
リノゲンのAα−鎖およびBβ−鎖から活性ペプチドを蛋白質加水分解的に取り
除き、不溶性のフイブリンの形成を開始する。
抗凝固は現在ヘパリンおよびクマリンの投与によって達成されている。凝固お
よび血栓症の非経口的な薬理学的制御は、ヘパリンの使用によるトロンビンの阻
害に基づく。ヘパリンは体内由来の抗トロンビンIII(トロンビンの主たる生理
学的な阻害剤)の阻害効果を加速させることによってトロンビンに間接的に作用
する。抗トロンビンIIIのレベルは血漿中で変化するので、そして表面に結合し
ているトロンビンはこの間接的なメカニズムに抵抗性であるようなので、ヘパリ
ンは利き目のない処置となり得る。凝固検定は効能におよび安全性と関連してい
ると信じられているために、ヘパリンのレベルは凝固検定(特に活性化部分トロ
ンボプラスミン時間検定(APTT))で監視しなければならない。クマリン類
は、プロトロンビンおよびこのタイプの他の蛋白質の合成において翻訳後のガン
マーカルボキシル化をブロックすることによってトロンビンの発生を妨げる。そ
れらの作用の機構の故に、クマリン類の効果は投与後6−24時間にゆっくりと
発現するのみである。更にそれらは選択的な抗凝固剤ではない。マクリンも凝固
検定(特にプロトロンビン時間(PT)検定)でもって監視する必要がある。
最近、トロンビンの、強力で直接的な阻害を示す小さな合成分子に関心が起き
て来ている。例えばRobert M.ScarboroughのAnnual Repots in Medicinal Chem
istry,(1955)第30巻71〜80頁を参照のこと。そこにはトロンビン
の活性部位Ser−195の水酸基と相互作用をなすための分極可能な機能を欠
く阻害剤は、活性部位阻害剤と称されている。炭素末端部分が未置換またはある
種の置換されたアミジノフェニル(ベンズアミジン)部分を含む活性部位阻害剤
がEP623596,WO94/29336,WO95/23609およびWO
95/35309に例示されている。アミジノフェニル部分は強塩基性であり、
その性質は良好な経口によるバイオアベリティを妨げる。例えばR.J.Misrd等
、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,(1994)第4巻2165
−2170頁を参照のこと。そこには塩基性が弱いアルガトロバンアナログが、
強められたCaco−2細胞の浸透性で示されるように、より良い分配特性を示
す一方で、有用なトロンビン阻害能を保持していることが示されている。下に論
じる如く、本明細書に開示する化合物は、それらの特別に置換したアミジノフェ
ニル部分の結果として改良された分配係数を示す一方で、有用なトロンビン阻害
能を保持する。本出願の優先日の後に、ある置換されたアミジノフェニル化合物
を開示する国際特許出願WO96/24609およびWO96/25426が公
開され、WO96/25426の実施例53にはD−シクロヘキシルグリシル−
N−[[4−(アミノイミノメチル)−3−ハイドロオキシフェニル]メチル−
L−プロリンアミドジヒドロクロライドを含む。
ヘパリンおよびクマリンは有効な抗凝固剤であるが、一般的に受容される商業
的な薬剤の小さい合成分子からの出現はいまだになく、並びにこの種の化合物に
対する望みは続いているのも拘らず、トロンビンに選択的に作用して、かつ抗ト
ロンビンIIIに関係なく、望ましくは経口により投与後直ちに阻害作用を及ぼし
て、止血を保つに必要とされる凝血の溶解を妨げない抗凝固剤に対する必要性が
いまだに存在している。
本発明は、以下に定義する本発明の化合物が、経口投与により高い生物利用性
を持ち得る強力なトロンビン阻害剤である発明を示すものである。
本発明によれば、化学式I
X−C(O)−Y−G−R I
[式中、
X−C(O)−は、D−プロリニル,D−ホモプロリニル,Rm−(CH2)g
−NH−CH2−C(O)−,
であり;
Raはカルボキシまたはメチルスルフォニルであり;
ReはNHRC,NHCORCまたはNHCOOReであり;
RCは(C1−C10)アルキル,(C3−C8)シクロアルキルまたは4−10個
の炭素の(C3−C8)シクロアルキル−(C1−C6)アルキルラジカルであり;
Tは(C3−C8)シクロアルキル,(C1−C8)アルキル,
であり;
aは0,1または2であり;
Qは−OH,(C1−C4)アルコキシ,または−NH−Aであり;
Aは水素,(C1−C4)アルキル,R”SO2−,R”OC(O)−,R”C(
O)−,R”C(O)−または−(CH2)g−Rmであり;
gは1,2,または3であり;
Bは水素または(C1−C4)アルキルであり;
R’は水素または(C1−C4)アルキルであり;
R”は(C1−C4)アルキル,1〜5個のフッ素を有する(C1−C4)フルオ
ロアルキル,−(CH2)a−Rmまたは未置換の若しくは置換されたアリールで
あって、アリールはフェニルか,ナフチルか、同一の若しくは異る、硫黄,酸素
および窒素から選択される1個または2個のヘテロ原子を有する5−若しくは6
−員環の未置換の若しくは置換された芳香族の複素環式の環であるか、または同
一若しくは異る、硫黄,酸素および窒素から選択する1個または2個のヘテロ原
子を有する9−若しくは10−員環の未置換若しくは置換縮合二環式芳香族の複
素環式の基であり;
Rmは−COORb,−SO2(C1−C4アルキル),−SO3H,−P(O)(
ORb)2またはテトラゾール−5−イルであり;
Rnは−COORbまたはテトラゾール−5−イルであり;
各Rbは独立して水素または(C1−C4)アルキルであり;
aは1,2または3であり;
mは0,1または2であり;
nは0,1または2であり;
Zは水素,(C1−C4)アルキル,(C1−C4)アルコキシ,ヒドロキシ,ハ
ロまたは(C1−C4)アルキルスルフォニルアミノであり;
−Y−Gは、
であり;
rは0,1または2であり;
Rgは(C1−C6)アルキル,(C3−C8)シクロアルキルまたは
−(CH2)p−L−(CH2)q−T’であり;
Rpは(C1−C6)アルキル,(C3−C8)シクロアルキルまたは
−(CH2)p−L−(CH2)q−T’であり;
pは0,1,2,3または4であり;Lは一つの結合,−O−,−S−,また
は−NH−であり;qは0,1,2または3であり;並びにT’は(C1−C4)
アルキル,(C3−C8)シクロアルキル,−COOH,−CONH2,またはA
rであってArは未置換または置換されたアリールであり、アリールは、フェニ
ル,ナフチルであるか同一の若しくは異った、硫黄,酸素および窒素から選択し
た一つまたは二つのヘテロ原子を有する5−若しくは6−員環の未置換の若しく
は置換された芳香族複素環式の環であるか、または同一か若しくは異った並びに
硫黄,酸素および窒素から選択した一つまたは二つの異種原子を有する9−若し
くは10−員環の未置換若しくは置換縮合二環式芳香族複素環式の基であり;
Ryは−CH2−,−O−,−S−または−NH−であり;並びに
Rzは結合であるか、またはRyおよび3個の隣接する炭素原子と一緒になる場
合は、その一つの原子か、−O−,−S−または−NH−となり得る5−8個の
原子からなる飽和の炭素環式の環を形成するものであり;
−G−Rは−C(O)−NH−(CH2)s−R,−CH2−NH−(CH2)s
−R,−CH2−NH−C(O)−Rまたは−(CH2)t−O−Rであり、ここ
でのsは1または2であり、およびtは1,2または3であり;並びに
Rは0,1,2または3個のフッ素置換基を有する4−アミジノ−3−ヒドロ
キシフェニル基である]
を有する化合物または医薬的に受容し得るそれらの塩を提供する。
化学式Iの化合物に加えて、本発明は、医薬的に受容し得る担体、希釈剤若し
くは賦形剤と共に化学式Iの化合物をまたは医薬的に受容し得るそれらの塩を含
む医薬的な組成物を提供する。
本発明は、さらに、処置を必要としている哺乳動物に化学式Iの化合物のトロ
ンビン阻害用量を投与することを含むトロンビンを阻害する方法を、提供する。
本発明はまた、処置を必要としている哺乳動物に化学式Iの化合物の抗血栓用
量を投与することを含む哺乳動物における血栓症の抑制方法を提供する。
本発明は、トロンビンの新規な阻害剤、活性成分としてその化合物を含む医薬
的な組成物、並びに静脈血栓症,肺塞栓病,動脈血栓症,特に心筋の虚血,心筋
梗塞および脳血栓症,脈管形成および冠状動脈バイパス手術後のような一般的な
超凝固状態および局所的な超凝固状態、並びに炎症の進行に関係する一般的な組
織傷害のような血栓塞栓症の予防および処置のための抗凝固剤として、この化合
物を用いることに関するものである。
本明細書において、特記しない限り、次の定義を用いる:ハロはフッ素,塩素
,臭素またはヨウ素である。アルキル,アルコキシ等は直鎖状の、および分岐の
基のいずれをも意味するものであるが;「プロピル」のような個々のラジカルに
言及する時は、直鎖状の鎖(「ノルマル」)のラジカルのみを含み、「イソプロ
ピル」のような分岐鎖の異性体は具体的に表示する。
用語「5−若しくは6−員環の芳香族複素環式の環」は、1個若しくは2個の
窒素原子;1個の硫黄原子;1個の酸素原子;1個の窒素原子および1個の硫黄
原子;または1個の窒素原子および1個の酸素原子を含む安定した構造を与える
如何なる5−若しくは6−員環をも意味する。その5−員環は2個の二重結合を
有し、また6−員環は3個の二重結合を有する。
用語「9−若しくは10−員環の縮合二環式芳香族の複素環式基」とは、上述
の5−若しくは6−員環のいずれかがベンゼン環に対して、または安定な構造を
得える上に定義した方法で、6−員環の複素環式芳香族の環に対して、オルソの
縮合しているいずれの二環式の基をも意味する。
上述の複素環の多くは互変体の形で存在し得ることが認められるであろう。そ
の形のすべては本発明の範囲に含まれる。
Ar若しくはR”の定義のために列挙した芳香族若しくは複素環式芳香族の基
の各々は、独立に未置換であるかまたは1個若しくは2個の置換基で置換される
ものであり、それらの置換基は、ハロ,ヒドロキシ,(C1−C4)アルキル,(
C1−C4)アルコキシ,アミノ,モノ(C1−C4アルキル)アミノ,ジ(C1−
C4アルキル)アミノ,−(CH2)jCOOH,メルカブト,−S(O)h(C1
−C4アルキル),−NHS(O)h(C1−C4アルキル),−NHC
(O)(C1−C4アルキル),−S(O)hNH2,−S(O)hNH(C1−C4
アルキル)若しくは−S(O)hN(C1−C4アルキル)2から独立に選択されて
安定した構造を与えるものであり、hは0,1若しくは2であり、jは0,1,
2,3若しくは4である。
化学式Iの表示にあたり、基X−(CO)−のカルボニル官能基は、−Y−基
のアミンの官能基に結合する。
ZおよびAが共に水素である基
は、本明細書で時にはフェニルグリシルと言い、またPhgと略す。Aが例えば
メチルである化合物は、Nα−メチル−フェニルグリシル基と言いまたMePh
gと略す。Zが水素以外のものである置換された化合物は、その置換基のタイプ
と位置によって、例えば3’−クロロフェニルグリシルまたはPhg(3−Cl
)と言う。
ZおよびAが共に水素である基
は、本明細書で時にはフェニルアラニルと言い、Pheと略す。Aが例えばメチ
ルである化合物は、Nα−メチル−フェニルアラニル基と言いMePheと略す
。Zが水素以外のものである置換された化合物は置換基のタイプおよび位置によ
って、例えば3’−クロロフェニルアラニルまたはPhe(3−Cl)と言う。
R’が水素である化合物
は本明細書で時には、夫々1−および3−テトラヒドロ−イソキノリンカルボニ
ルと言い夫々1−Tiqおよび3−Tiqと略す。
R’が水素である場合、基、
は、本明細書で時には、夫々1−および3−パーヒドロ−イソキノリンカルボニ
ルと言い、夫々1−Piqおよび3−Piqと略す。曲線で示しているように、
これらの置換基の色々な環縮合異性体が存在する。本発明は個々の異性体および
それらの組合せのいずれをも意図する。
rが0,1若しくは2である基、
はアゼチジン−2−カルボニル,プロリニルまたはホモプロリニルと言い、夫々
Azt,ProまたはhProと略す。
基、
は、4,5;5,5;6,5;7,5または8,5のタイプの飽和二環式のシス
テムを示す。3aにおける立体化学はカルボニルに対してシスであり;他の橋頭
の結合は、4,5および5,5のシステムが橋頭でシスでなければならないこと
を除けば、シスであってもトランスであってもよい。RyおよびRzの定義は、示
されている3個の炭素原子を含む色々な環が4〜8個の原子の飽和の炭素環式の
システムであることを定める。環の原子はすべて炭素であるか、または環の原子
の一つは、−O−,−S−および−NH−から選択されるヘテロ原子であっても
よい。この定義は
によって表わされるオクタヒドロインドール−2−カルボン酸から誘導される部
分を含む。本発明は、この部分の色々なシスおよびトランスの形を意図する。
[2S−(2α,3aβ,7aβ)]−オクタヒドロインドール−2−カルボン
酸から誘導される好ましい異性体は「Ohi」と略し、
によって表わす。
ラジカルYにおける星印は、天然のアミノ酸中の(L)に相当するキラル中心
を表わす。ラジカルXにおける星印は、Dまたは(DL)であるキラル中心を表
わし;ラジカルXにおける#は(L)であるキラル中心を表わす。
化学式Iのある化合物は、光学活性のラセミ若しくはジアステレオマーの形と
同様に互変体の形またはシス−若しくはトランス−異性体を含む異性体の形で存
在し得ること,または単離し得ることが理解されるであろう。本発明は、化学式
の化合物を、いずれかの互変体の形でまたはそれらの混合体として含む。本発明
が、個々のジアステレオマーの形と同様にジアステレオマーの混合物として、化
学式Iの化合物を含むことを、並びに本発明が、個々の鏡像体の形と同様に鏡像
体の混合物として、化学式Iの化合物を含むことを理解すべきである。いずれの
混合物あるいはいずれの形もトロンビンに対し阻害する特性を有しており、個々
の形を如何に製造し、若しくは単離されるか、並びに以下に記述した検査を含む
標準的な検査で、トロンビンに対する阻害特性を如何に決定されるかは当業界で
よく知られている。
加うるに、化学式Iの化合物は多形性を示し得、あるいは水若しくは有機溶媒
で溶媒和物を形成し得る。本発明はまた、そのような多形の形体のいずれをも、
いずれの溶媒和物をもあるいはそれらのいかなる混合物をも含む。
ラジカル(それ単独であってもあるいは他のラジカルの部分としてであっても
),置換基,ならびにその範囲に対する特別な値を以下に列挙したが、それは単
に説明のためであり、それらの値は、他に定義した値若しくはそのラジカルおよ
び置換基について定義した範囲内の他の値を排除するものではない。
(C1−C4)アルキル基,(C1−C6)アルキル基,(C1−C8)アルキル基
若しくは(C1−C10)アルキルに対する特別な値はメチル,エチル,プロピル
,イソプロピル,ブチル,イソブチル若しくはt−ブチルである。(C1−C4)
アルコキシ基に対する特別の値は、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロ
ポキシまたはt−ブチロキシである。(C3−C8)シクロアルキル基に対する特
別な値は、シクロプロピル,シクロペンチルまたはシクロフェキシルである。(
C1−C4)フッ化アルキル基に対する特別の値は、トリフルオロメチルまたは2
,2,2−トリフルオロエチルである。アリールに対する特別の値は、フェニル
,ナフチル,フリル,チエニル,ピリジル,インドリル,キノリニルまたはイソ
キノリニルである。
上で定義した化学式Iの特別な化合物は、X−C(O)−が、D−ホモプロリ
ニル、[式中Tはシクロヘキシル若しくはフェニルであり;aは0若しくは1であり;
Aは、水素,(C1−C4)アルキル,(C1−C4アルキル)スルホニル,(C1
−C4アルキル)オキシ−カルボニル,(C1−C4アルキル)カルボニル若しく
はカルボキシメチルである]、
であり
−Y−Gが−NRg−CH2−G−,
[式中Rgは(C1−C6)アルキル,−(CH2)q−(C3−C8)−シクロアル
キル若しくは−(CH2)q−フェニルであり;qは0,1,2若しくは3であり
;およびrが0,1若しくは2である]
である化合物またはそれらの医薬的に受容し得る塩である。
上で定義した化学式Iの好ましい化合物は、
X−C(O)−が、
[式中、Tはシクロヘキシルであり;aは1であり;およびAが水素,エチルス
ルフォニル若しくはカルボキシメチル、特にはカルボキシメチルである]であり
、
−Y−Gが、
(rは、0若しくは1である)である化合物または医薬的に受容し得るそれらの
塩である。
上で定義した化学式Iの化合物のいずれに対しても、−G−Rの特別な値は−
−C(O)−NH−(CH2)s−Rであり;−G−Rの好ましい値は、sが1す
なわち−C(O)−NH−CH2−Rである−C(O)−NH−(CH2)s−R
である。
−G−Rが−C(O)−NH−CH2−Rであり、他の基が上で定義したもの
のいずれかを有する化学式Iの特別な化合物は、化学式Ia
によって表わすことが出来る。尚ここでfは0,1,2または3である。
化学式Iの上で定義した化合物のいずれに対しても、Rに対する特別な値は4
−アミジノ−3−ヒドロキシフェニルまたは4−アミジノ−3−ヒドロキシ−2
,5,6−トリフルオロフェニルであり;およびさらに特別な値は、4−アミジ
ノ−3−ヒドロキシフェニルである。
本発明の特別な化合物は、実施例1,2,3,4,5,9,10または11と
して、本明細書に記述したものの一つの化合物であり;好ましい化合物は、実施
例1,3または5で、特には実施例3として記述したものまたは医薬的に受容し
得るそれらの塩である。
化学式Iの化合物は、構造的に類似した化合物の製造について化学の当業者が
よく知っている製造方法を含む方法か、または本明細書に記述した新規な方法に
よって製造することが出来る。上で定義した化学式Iの化合物の、製造に関する
新規な製造方法および中間体は、本発明のさらなる特徴を提供し、次の方法によ
って説明される。該方法においては特記しない限り、一般的なラジカルの意味は
上にて定義したとうりである。一般に用いられる保護基によって官能基を保護し
て、次に保護基を除いて化学式Iの化合物を得ることが好ましく、または必要で
あると認められるであろう。
(A)−G−Rが−C(O)−NH−(CH2)s−Rである化学式の化合物の
場合、化学式II
X−C(O)−Y−C(O)−OH II
の酸またはそれらの活性化された誘導体と、化学式・
H2N−(CH2)s−R III
のアミンとのカップリング。このカップリングは従来の方法を用いて行なう。例
えば実施例1−Eに記述したように、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリ
ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートのような、または例えば実
施例5に記述した1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイ
ミドのようなカップリング剤を用いて行なう。
(B)化学式IV
X−C(O)−OH IV
の酸または活性化したそれらの誘導体と、化学式V
H−Y−G−R V
のアミンとのカップリング。
このカップリングは、(A)で上述した方法の一つを用いることなどにより、従
来の方法を用いて行なう。
(C)fが0,1,2または3である化学式VIの対応する化合物のN−O結合の水素化分解。便利には、水素化分解は、酸性の
アルコール水溶液中、雰囲気温度および雰囲気圧力または数バールの圧力の水素
下で炭素上のパラジウム触媒を用いて行ない;生成物をその酸付加塩として単離
する。
上の方法のいずれの場合にも、保護基でもって官能基を保護している時は、そ
の後保護基を除かねばならない。
上の方法のいずれの場合にも、化学式Iの化合物の医薬的に許容され得る塩を
必要とするときは、その後、生理学的に受容し得る対イオンを与える酸若しくは
塩基でもって、化学式Iのそのような化合物の酸若しくは塩基の形に反応させる
ことによって、または、例えば塩の対イオンを交換するような他の一般的ないず
れの方法によって該塩を得る。
1個またはそれ以上の官能基が保護されている化学式Iの化合物に相当する化
合物は、本発明の他の態様を与える。そのような化合物は、化学式Ip
(PX)X−C(O)−(PY)Y−G(PG)−R(PR) Ip
の化合物として表わされ、保護基PX,PY,PGおよびPRの1個若しくはそれ以
上を有するものであり、ここでPXはX−C(O)−の1個の官能基(複数の官
能基)に対する1個の任意の保護基(複数の保護基)であり;PYは−Y−の1
個の官能基(複数の官能基)に対する1個の任意の保護基(複数の保護基)であ
り;PGはG−Rが−(CH2)−NH−(CH2)s−Rなる時のGに対する任意
のアミノ保護基であり;PRはRの官能基に対する1個の任意の保護基(複数の
保護基)である。PXおよびPYに対する典型的な値は、保護される官能基がカル
ボキシである時は、t−ブチルエステル若しくはベンジルエステルを形成する基
を、保護される官能基ガアミノである時は、t−ブチルウレタン若しくはベンジ
ルウレタンを形成する基を、そして保護される官能基がヒドロキシである時は、
メチルエーテル,t−ブチルエーテル若しくはベンジルエーテルを形成する基を
含む。化学式Iのいくつかの化合物が、化学式Iの他の化合物の保護された同等
のものに役立つものであることは認識されるであろう。例えば、Aが−R”OC
(O)−であってR”がt−ブチルである化学式Iの化合物は、実施例1に記述
するようにAが水素である化学式Iの化合物の保護された同等のものである。同
様にRmが−COORbであって、Rbがt−ブチルである化学式Iの化合物は、
Rmが−COORbでありRbが水素である化学式Iの化合物の保護された同等も
のである。
上述したように、本発明は上の化学式Iによって定義したトロンビン阻害化合
物の医薬的に受容し得る塩を含む。本発明の特別のベンズアミジンは、多くの非
毒性の無機および有機の酸のいずれかと反応して医薬的に受容し得る塩を形成す
るに十分な1個またはそれ以上の塩基性官能基を有している。酸付加塩を形成す
るために通常用いられる酸は、塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,リン酸
などの無機酸、p−トルエンスルホン酸,メタンスルホン酸,蓚酸,p−臭化フ
ェニルスルフォン酸,炭酸,コハク酸,クエン酸,安息香酸,酢酸などの有機酸
である。従って医薬的に受容し得る塩の例は、硫酸酸,ピロ硫酸塩,重硫酸塩,
重亜硫酸塩,リン酸塩,リン酸一水素塩,リン酸二水素塩,メタリン酸塩,ピロ
リン酸塩,塩化物,臭化物,ヨウ化物,酢酸塩,プロピオン酸塩,デカン酸塩,
カプリル酸塩,アクリル酸塩,蟻酸塩,イソブチル酸塩,カプリル酸塩,ヘプタ
ン酸塩,プロピオン酸塩,蓚酸塩,マロン酸塩,コハク酸塩,スベリン酸塩,ヤ
バチン酸塩,フマール酸塩,マレイン酸塩,ブチン−1,4−ジオエート,ヘキ
シン−1,6−ジオエート,安息香酸塩,クロロ安息香酸塩,メチル安息香酸塩
,ジニトロ安息香酸塩,ヒドロキシ安息香酸塩,メトキシ安息香酸塩,フタル酸
塩,スルホン酸塩,キシレンスルホン酸塩,フェニル酢酸塩,フェニルプロピオ
ン酸塩,フェニルブチレート,クエン酸塩,乳酸塩,γ−ヒドロキシ酪酸塩,グ
リコレート,酒石酸塩,メタンスルフォン酸塩,プロパンスルフォン酸塩,ナフ
タレン−1−スルホン酸塩,ナフタレン−2−スルフォン酸塩,マンデル酸塩お
よびその他である。好ましい医薬的に受容し得る酸付加塩は、塩酸,臭化水素酸
および硫酸のような鉱酸でつくられるものを含む。
XまたはYが、カルボキシ基のような酸性の部分を有する化学式Iの化合物の
場合、医薬的に受容し得る塩は、医薬的に受容し得るカチオンを与える塩基で製
造し得るが、その塩は、トリエチルアミン,モルホリン,ピペリジン並びにトリ
エタノールアミンのような生理学的に受容し得る有機の塩基から製造される塩と
同様に、アルカリ金属塩(特にナトリウムおよびカリウム),アルカリ土類金属
塩(特にカルシウムおよびマグネシウム),アルミニウム塩並びにアンモニウム
塩を含む。
もし商業的に入手出来ない場合、化学式Iの化合物の製造のために必要な出発
物質は、芳香族化合物および複素環式芳香族化合物の置換および変換を含む有機
化学の標準的な技術から、既知の構造的に似た化合物の合成特にペプチド合成に
類似した技術から、並びに上に記述した方法または実施例に記述した技術から選
んだ方法によって製造することが出来る。出発物質の製造のために種々の順序が
とれることは当業者らにとっては明らかである。新規な出発物質および方法は本
発明のさらなる態様を与えるものである。
化学式IIの出発物質である酸は、化学式IIp
(PX)X−C(O)−(PY)Y−C(O)−OH IIp
の酸として表わすことが出来る。式中、PXおよびPYは上で定義した任意の保護
基である。便利には、化学式IIpの酸を、任意に保護した化学式VII
(PX)X−C(O)−OH VII
の酸を、化学式VIII
H−(PY)Y−C(O)−OPC VIII
のアミノ酸誘導体とカップリングすることにより製造することが出来るが、PC
が残っている場合には続いて保護基PCを除去する。式中、PCは水素であるか、
または例えばメチル,エチル,t−ブチル若しくはベンジルのようなカルボキシ
保護基である。
化学式IIIのアミンまたは化学式Vのアミンを製造するための好都合な一般的
経路のあらましをスキームIに記述する。スキーム中のGaは、夫々基H2N−(
CH2)s−若しくは基H−Y−G−の潜在的または保護した形を表わし、fは0
,1,2若しくは3である。
スキームI
かくの如く、Shutske Kapplesの方法(J.Heterocyclic Chem.(1989年)
,第26巻,1293−1298頁)によれば、化学式Xのオルソ−フルオロベ
ンゾニトリルをアセトンオキシムのカリウムアニオンで処理して、化学式XIに
相当するオキシムを得る;オキシムの酸加水分解は、化学式XIIのアミンを与え
、そのアミンはその場で環化して化学式XIIIの置換した3−アミノ−1,2−
ベンズイソクサゾール誘導体を与える。化学式XIVのアミンを与えるために基Ga
をH2N−C(CH2)s−に変化させることも出来るし、あるいは化学式XVの
アミンを与えるためにH−Y−Gに変化させることも夫々可能であり;(C)で
上述したものと同様な方法を用いてベンズイソクサゾールの水素化分解すれば夫
々化学式IIIまたは化学式Vのアミンを与える。あるいは、基Gaを変換して化学
式IIIまたは化学式Vのアミンを与える前に、化学式XIIIベンズイソクサゾール
を化学式XVIの相当する化合物に、最初に水素化分解することが好ましいかも知
れない。実施例1−Dでおよび実施例2−Bで記述しているように、Ga(シア
ノとして)のH2N−CH2−への変換は、水素化分解と同時に行なうことが出来
て、このように化学式XIIIの化合物を化学式IIIのアミンと「ワンポット」によ
って変換することが出来る。
化学式VIの出発物質は、例えば化学式XIV若しくは化学式XVの化合物または
それらの保護された誘導体を用いて、上述のものと類似の経路で製造することが
出来る。
本発明の化合物は、酸付加塩の形で最も良く単離される。上述したものの一つ
のような酸で形成した化学式Iの化合物の塩は、抗トロンビン剤の投与に対して
、およびその薬剤の製剤の製造に対して医薬的に受容し得る塩として有用なもの
である。他の酸付加塩も、該化合物の単離および精製に調製され用いられ得る。
本発明の新規な中間体の一つは、化学式IIIの化合物または塩および/または
それらの保護された誘導体である。化学式IIIの特別な化合物は、sが1であり
、化学式IIIa
によって表わすことが出来るものである。ここでfは0,1,2または3である
。
本発明の更なる態様は、トロンビン阻害剤の合成に際して出発物質として、上
述の化学式III(若しくは化学式IIIa)の化合物若しくは塩またはそれらの保護
された誘導体を用いることにある。
本発明のもう一つの態様として、トロンビン阻害剤における、特にペプチドミ
メチックなトロンビン阻害剤における新規な構造エレメントとして、化学式
の新しい構造的な断片を提供する。式中のfは0,1,2または3(特にはfは
0または3)である。
本発明のもう一つの新規な中間体は、Gaがシアノであり、化学式XIIIa
によって表わすことが出来る化学式XIIIの化合物である。式中のfは0,1,
2または3であり;特別にはfは0または3である。
上述の如く、化学式Iの化合物の光学的に活性な異性体およびジアステレオマ
ーもまた本発明の部分であると考えられる。そのような光学的に活性な異性体は
、上述した方法によるそれらの夫々光学的に活性な前駆体から、またはラセミ混
合物の分割によって製造することが出来る。この分割は、キラル試薬を用いて誘
導体化して、クロマトグラフィにかけるかまたは、再結晶化することによって行
うことが出来る。標準的な方法によりキラル補助物を取除けば、本発明の化合ま
たはそれらの前駆体の実質的に光学的に純粋な異性体を得ることが出来る。分割
に関するさらなる詳細は、Jacques,らによるEnantioners,Racemates,and Resolu tions,
John Wiley & Sono,1981年の中で得ることが出来る。
本発明の化合物は、身体の自然の凝固溶解能に対して明らかな妨げもなく、血
液凝固に関与する他のプロティナーゼおよび酵素活性のないプロティンにって、
選択的なトロンビン阻害を行うものと信じられる(この化合物は線維素溶解現象
に対する抑制効果は低い)。本発明の化合物はまた、前段階のアミジノフェニル
化合物に対するトロンビン化合物について、一般的には高い選択性を示す。さら
にそのような選択性は、血栓崩壊および線維素溶解現象に対する実質的な妨げな
しに血栓崩壊剤と共に用いることが出来るものと信じられる。
本発明はその態様の一つで、化学式Iのある化合物の有効な(トロンビン阻害
の)用量を、処置を必要としている哺乳動物に投与することを含む呻乳動物にお
けるトロンビン阻害の方法を提供する。
別の態様において、本発明は、化学式Iのある化合物の有効な(血栓塞栓疾患
の治療および/あるいは予防の量)用量を、処置を必要とする哺乳動物へ投与す
ることを含む、血栓塞栓疾患を処置する方法を提供する。
本発明の別の態様に於て、本発明は、化学式Iのある化合物の有効な(凝固を
抑制する)用量を、処置が必要な哺乳動物に投与することを含む哺乳動物に於け
る凝固の抑制方法を提供する。
本発明によって意図されるトロンビン阻害、凝固抑制および血栓塞栓疾患は、
医学的な治療および/または予防処置の両方を含む。
さらなる態様によって、本発明はトロンビンの阻害が必要とされる状態の、人
または他の動物における処置に関するものである。本発明の化合物は、血液およ
び組織中における血栓症並びに過度凝固性の処置または予防において、人を含む
哺乳動物に有用であると期待されるものである。これらの化合物が有用可能性を
有する疾患は、血液並びに組織中の血栓症および過度凝固性の処置また予防にお
いてである。処置および/または予防においてこれらの化合物が有効可能性を有
する疾患は、静脈血栓症および肺塞栓症を、心筋の虚血,心筋梗塞,不規則な狭
心症,血栓症に起因する卒中および末梢動脈血栓症のような動脈血栓症を含む。
さらに、これらの化合物は冠状動脈疾患,脳動脈疾患および末梢動脈疾患のよう
なアテローム性動脈硬化症(疾患)の処置並びに予防に有望な有用性を持つ。さ
らにこれらの化合物は心筋梗塞における血栓崩壊剤と共に有用であると期待され
ている。さらにこれらの化合物は、血栓崩壊,経皮による横断内腔脈管形成(P
TCA)および冠状バイパス手術の後の再閉塞に対する予防に有望な有用性を有
する。さらに、これらの化合物は顕微外科手術後における再血栓症の防止に有望
な有用性を持つ。さらにこれらの化合物は人工器官および心臓弁に関する抗凝固
処理に於て有用なものであると期待されている。さらにこれらの化合物は、血液
透析およびまき散らされた脈管内の凝固における抗凝固処置に有望なる有用性を
持つ。さらに期待出来る有用性は、インビボで患者に用いられるカテーテルおよ
び機械装置の洗滌にあり、並びにインビトロでの血液,血漿および他の血液生成
物の保存のための抗凝固剤としてもある。なおさらには、これらの化合物は、血
液の凝固が基本的に関与するプロセスに、あるいは転移を含む癌,関節炎を含む
炎症性疾患および糖尿病のような二次病状の原因になり得る他の病気において有
望な有用性を持つ。抗凝固剤の化合物は、経口的に,非経口的にたとえば静脈注
射(iv)によって、筋肉内注射(im)によってまたは皮下注射(sc)によ
って投与する。
治療および/または予防の効果を求めて、この発明に従って投与する化合物の
具体的な用量は、もちろん例えば投与する化合物,投与の速度,投与経路および
処置する状態を含む患者を取り巻く特別な環境によって決定するものである。
上の各利用にあたっての典型的な用量は約0.01mg/kgと約1000m
g/kgの間にある。用量の管理は変えることが出来て、例えば予防的に用いる
場合は、毎日一回の用量で投与してもよく、または毎日3若しくは5回の複数回
の用量でも適する。危機的なケア状態では、本発明の化合物を静脈注射によって
約0.01mg/kg/h〜約20mg/kg/hの速度にて、そして好ましく
は約0.1mg/kg/hr〜約5mg/kg/hrの速度で投与する。
本発明の方法は、凝血溶解剤、例えば組織プラスミノゲンアクチベーター(t
−PA),変性t−PA,ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼといったもの
と共にも用いる。凝血が生じて動脈または静脈が部分的または全面的に閉鎖され
るような場合、通常凝血溶解剤を用いる。本発明の化合物を溶解剤に先立ってあ
るいはそれ共にあるいはその使用後に投与し、より好ましくは凝血の形成が再度
生じるのを防ぐためにアスピリンと共に投与する。
本発明の方法は、また血小板凝集を抑制する血小板グリコプロティン受容体(
IIb/IIIa)アンタゴニストと組合せても実施する。本発明の化合物は、凝血
形成の発生若しくは再発生を防ぐために、IIb/IIIaアンタゴニストに先立っ
て、または一緒に、またはその使用に続いて投与することが出来る。
本発明の方法はまた、アスピリンと共にも実施する。本発明の化合物は、凝血
形成の発生若しくは再発生を防ぐためにアスピリンに先立って、あるいは一緒に
、あるいは、その使用に続いて投与することも出来る。上述の如く本発明の化合
物は凝血溶解剤およびアスピリンと組合せて投与することが好ましい。
本発明はまた、上述の治療方法に於ける使用のための医薬組成物を与える。本
発明の医薬組成物は、医薬的に受容し得る担体,賦形剤,または稀釈剤と共に化
学式Iの化合物の有効なトロンビン阻害量を含む。経口投与に対して、抗血栓症
の化合物は、結合剤,潤滑剤,崩壊剤などのような賦形剤を含むゼラチンカプセ
ルまたは錠剤の形に製剤する。非経口的な投与に対して、抗血栓症の化合物は、
医薬的に受容し得る希釈剤例えば、生理食塩水(0.9パーセント),5パーセ
ントのデキストロース,リンゲル溶液などに製剤する。
本発明の化合物は約0.1mgと約1000mgの間の投与量を含む単位用量
の製剤に製造することが出来る。この化合物は、例えば硫酸塩,酢酸塩または燐
酸塩のような医薬的に受容し得る塩の形体にあるのが好ましい。単位用量の製剤
の一つの例は、10mlの滅菌ガラスアンプル中で医薬的に受容し得る塩として
5mgの本発明の化合物を含む。単位用量の製剤の他の例は、滅菌アンプルに入
れられた20mlの等張性生理食塩水中で医薬的に受容し得る塩として本発明の
約10mgの化合物を含む。
これらの化合物は、経口の,経腸の,経皮の,皮下の,静脈内の,筋肉内のお
よび経鼻の手段を含む色々な経路で投与する。本発明の化合物は投与に先立って
好ましく製剤する。本発明の他の態様は、医薬的に受容し得る担体,稀釈剤若し
くは賦形剤と共に,化学式Iの化合物または医薬的に受容し得るそれらの塩また
は溶媒和物の有効量を含む医薬的な組成物である。
そのような製剤における活性成分は、製剤の0.1パーセントから99.9重
量パーセントを含む。「医薬的に受容し得る」とは、担体,稀釈剤または賦形剤
がその製剤の他の成分と相溶性でなければならず;その受容者にとって有害であ
ってはならないことを意味する。
この医薬組成物は、よく知られおよび容易に入手し得る成分を用いて既知なる
方法によって製造される。本発明の組成物は、当業者によく知られた方法を用い
て患者に投与した後に、活性成分をすばやく、持続的に、または徐々に放出して
いくように製剤することが出来る。本発明の組成物の製造において、活性成分は
、通常担体と混合するか、または担体で稀釈するかカプセル,サシエ,紙若しく
は他の入れ物の形にすることが出来る担体内に封入する。担体が稀釈剤の役を果
す場合、それは活性成分に対してビヒクル,賦形剤または媒体としても働く固体
,半固体または液状物質であり得る。かくの如く、これらの組成物は、錠剤,丸
薬,粉末,薬用ドロップ,サシエ,カシエ剤,エリキシル,懸濁液,乳濁液,溶
液,シロップ,エアゾール(固体としてまたは液状媒体中で),軟質および硬質
ゼラチンカプセル,座薬,滅菌した注射液,滅菌して包装された粉末並びにその
他の形体にすることが出来る。
次の製剤例は説明的なものにすぎないものであって、いずれにしても本発明の
範囲を限定するものではない。「活性成分」はもちろん、化学式Iに従う化合物
または医薬的に受容し得るそれらの塩または溶媒和を意味する。製剤例1:
硬質ゼラチンカプセルを次の成分を用いて製造する:
数量
(mg/カプセル)
活性成分 250
乾燥した澱粉 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合 計 460mg製剤例2:
錠剤を下の成分を用いて製造する:
数量
(mg/錠剤)
活性成分 250
微結晶性のセルロース 400
ヒュームド二酸化シリコン 10
ステアリン酸 5
合 計 665mg
成分を混合および圧縮して、各665mg重量の錠剤に成形する。製剤例3:
次の組成を含むエアゾール溶液を製造する:
重量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 70.00
合 計 100.00
活性成分をエタノールと混合し、およびその混合物を少量のプロペラント22
に加え、−30℃に冷却して、充填装置に移し換える。次に必要量をステンレス
スチールのコンテナーに入れて、残りのプロペラントで稀釈する。その後バルブ
ユニットをコンテナーに取りつける。製剤例4:
各々が60mgの活性成分を含む錠剤を次の如く製造する:
活性成分 60mg
澱粉 45mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(10%水溶液として) 4mg
ナトリウムカルボキシメチル澱粉 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1mg
合 計 150mg
活性成分,澱粉およびセルロースを45番メッシュのu.s.ふるいに通し、
十分混合する。ポリビニルピロリドンを含む水溶液を、得られた粉末と混合し、
およびその後その混合物を14番メッシュのu.s.ふるいに通す。そのように
して得た顆粒を50℃で乾燥して、18番メッシュのu.s.ふるいに通す。ナ
トリウムカルボキシメチル澱粉,ステアリン酸マグネシウムおよびタルクは、予
め60番メッシュのu.s.ふるいに通した後、顆粒に加え、混合した後に錠剤
機の上でプレスをして、各15mg重量の錠剤を得る。製剤例5:
夫々80mgの活性成分を有するカプセルを以下のように製造する:
活性成分 80mg
澱粉 59mg
微結晶性セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合 計 200mg
活性成分,セルロース,澱粉およびステアリン酸マグネシウムを混合し、45
番メッシュのu.s.ふるいに通して、200mgの重さの硬質カプセルにつめ
る。製剤例6:
各225mgの活性成分を含む坐薬を次のように製造する:
活性成分 225mg
飽和脂肪酸のグリセライド 2,000mg
合 計 2,225mg
活性成分を60番メッシュのu.s.ふるいに通して、必要最小限の熱を用い
て予め溶融した飽和脂肪酸グリセライド中に懸濁させる。その後混合物を公称2
g容量の坐薬鋳型に流し込み冷却する。製剤例7:
5ml用量につき各々50mgの活性成分を含む懸濁液を次のように
製造する:
活性成分 50mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 q.v.
色素 q.v.
合計に対しての純水 5ml
活性成分を45番メッシュのu.s.ふるいに通してナトリウムカルボキシメ
チルセルロースおよびシロップと混合し滑めらかなペーストをつくる。安息香酸
溶液,香料および色素を攪拌しながら少量の水で稀釈添加する。その後に十分な
水を加え必要量を製造する。製剤例8:
次のように静脈注射製剤を製造することが出来る:
活性成分 100mg
等張性生理食塩水 1,000ml
上の成分溶液は、一般的には1分間当り1mlの速度で患者に対して静脈投与
する。
効果的な、および経口的に活性なトロンビン阻害剤である本発明の化合物の能
力を、次の検定の一つまたはそれ以上のもので評価する。
この発明で与えられる化合物(化学式I)は、哺乳動物におけるトロンビンの
作用を選択的に阻害する。トロンビンの阻害は、トロンビンが色原性基質,N−
ベンゾイル−L−フェニルアラニル−L−バリル−L−アルジニル−p−ニトロ
アニリド,N−ベンゾイル−L−Phe−L−Val−L−Arg−p−ニトロ
アニリドを加水分解する試験で測定するように、インビトロでのトロンビンのア
ミダーゼ活性の阻害によって示される。
その試験は、50μlの緩衝剤(0.03Mトリス,0.15MNaCl,p
H7.4)に、25μlのヒトのトロンビン溶液(精製した人間のトロンビン,
Enzyme Research Laboratories,South Bend,インディアナ州,8NIH単位/
mlでの)および25μlの試験化合物の溶液(50%メタノール水溶液(v:
v))を混合することにより行う。その後150μlの色原性基質の水溶液(0
.25mg/lの)を加え、p−ニトロアニリンの放出に対する405nmにお
ける反応をモニターすることによって、その基質の加水分解速度を測定す
る。加水分解速度に対する遊離のトロンビン濃度をプロットすることにより標準
曲線を作成する。その後試験化合物について観察した加水分解速度を、標準曲線
を用いて夫々の検定における「遊離のトロンビン」の値に変換する。結合したト
ロンビン(試験化合物に結合)は、この試験に用いられた既知の初期トロンビン
量から各検定で観測した遊離のトロンビン量を差し引くことで算出する。各試験
における遊離トロンビンの量は、加えた阻害剤(試験化合物)のモル数から結合
トロンビンのモル数を差し引くことによって算出する。
Kass値は、トロンビンと試験化合物(I)の間の反応に対する仮定的な平
衡定数である。
Kassは試験化合物の濃度範囲に対して計算されるものであり、その平均値
はモル当りのリットルの単位で報告される。一般的には、本発明の化学式Iのト
ロンビン阻害化合物は、0.1×106L/モル、またはより大きいKassを
示す。例えば、上で列挙した本発明の特に好ましい例の各々は、少くとも100
×106L/モルのKassを有することが測定されている。実施例1,3およ
び5の化合物は、夫々770×106L/モル,1,200×106L/モルおよ
び100×106L/モルのKassを有することを見出した。
ヒトのトロンビンに関する上記の方法に実質的に従って、そして他のヒトの血
液凝固系統のセリーンプロテアーゼを用いておよび線維素溶解系統のセリーンプ
ロテアーゼを用い、以下に示す適切な色原性基質を用いることによって、凝固因
子セリーンプロテアーゼおよび線維素溶解性のセリーンプロテアーゼに関する本
発明の化合物の選択性は、ヒトの血漿凝血線維溶解現象の本質的な不干渉性と同
様に評価される。
ヒトのX,Xa,IXa,XIaおよびXIIa因子は、Enzyme Research Labo
ratories,South Bend,インディアナ州から購入し;ヒトのウロキナーゼは、Leo
Pharmaceuticals,デンマークから購入し;組み換え活性化プロテインC(aPC
)は、本質的には米国特許第4,981,952号に従ってEli L
illy and Co.で製造される。色原性基質:N−ベンゾイル−Ile−Glu−
Gly−Arg−p−ニトロアニリド(Xa因子に対して);N−Cbz−D−
Arg−G1y−Arg−p−ニトロアニリド(Xa因子基質としてIXa因子
検定に対して);ピログルタミル−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(XI
a因子およびaPCに対して);H−D−Pro−Arg−p−ニトロアニリド
(XIIa因子に対して);並びにピログルタミル−Gly−Arg−p−ニトロ
アニリド(ウロキナーゼに対して);はKabi Vitrum,ストックホルム,スエー
デンからまたはMidwest Biotech,Fishers,インディアナ州から購入する。ウシの
トリプシンは、Worthmgton Biochemicals,Freehold,ニュージャージィ州から、
ヒトの血漿カリクレインは、Kabi Vitrum,ストックホルム,スエーデンから購
入する。血漿カリクレインに対する色原性基質H−D−Pro−Phe−Arg
−p−ニトロアニリドは、Kabi Vitrum,ストックホルム,スエーデンから購入
する。ヒトのトロンビンおよびトリプシンに対する基質N−ベンゾイル−Phe
−Val−Arg−p−ニトロアニリドは、商業的に入手し得る反応物質からペ
プチドカップリングの既知なる方法を用いて、本発明の化合物に対する上述の方
法に従って合成するか、またはMidwest Biotech,Fishers,インディアナ州から
購入する。
ヒトのプラスミンはBoehringer Mannheim,インディアナポリス,インディアナ
州から購入する;nt−PAは、シングルチェイン活性レファレンスとしてAmeric
an Diagnostica,Greenwich,コネチカット州から購入する;変性−t−pA6(
mt−PA6)は、当業者に既知なる方法(参照,Burck,他,J .Biol.Chem.
,第265巻,5120−5177頁(1990年))によってEli Lilly and
Companyで製造される。プラスミンの色原性基質H−D−Val−Leu−Ly
s−p−ニトロアニリドおよび組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−pA
)の基質H−D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリドは、Kabi Vitru
m,ストックホルム,スエーデンから購入する。
上述の色原性基質における3文字の記号Ile,Glu,Gly,Pro,A
rg,Phe,Val,LeuおよびLysは、それに相当するアミノ酸基イソ
ロイシン,グルタミン酸,グリシン,プロリン,アルギニン,フェニルアラニン
,
バリン,ロイシンおよびリジンを夫々示すため使用している。
トロンビン阻害剤は、好ましくは、ウロキナーゼ,組織プラスミノーゲンアク
チベーター(t−PA)およびステプトキナーゼによって誘起される線維素溶解
現象に危害を加えてはならい。ことことは、ストレプトキナーゼ,t−PAまた
はウロキナーゼ血栓崩壊治療の補助としてのそのような薬剤の治療的使用にとっ
て、並びに体内由来の線維素溶解現象をなくす(t−PAおよびウロキナーゼに
関して)抗トロンビン剤としてのそのような薬剤の使用にとって重要なものとな
る。線維素溶解性のプロテアーゼのアミダーゼ活性を妨げないことに加えて、そ
のような線維素溶解システムに危害を加えないことは、ヒトの血漿凝血およびそ
れぞれの線維素溶解性プラスミノーゲンアクチベーターによるそれらの溶解を用
いて研究することが出来る。原料
イヌの血漿は、意識のある異種交配をした猟犬(両性ともにHazelton−LRE
,Kalamazoo,ミシガン州,アメリカ合衆国)の静脈穿刺から3.8パーセント
のクエン酸塩中への注入によって得る。フィブリノーゲンはイヌの新鮮な血漿か
ら調製し、ヒトのフィブリノゲンは先の方法および詳述に従って、画分I−2に
おけるイン・デート(In−date)のACDヒト血液から製造する。Smith
,Biochem .J.,第185巻1−11頁(1980年);およびSmith,他,Bio chemistry
,第11巻,2958−2967頁(1972年)。ヒトのフィブリノ
ゲン(98パーセント純度/プラスミンを含まない)はAmerican Diagnostica,G
reenwich,コネチカット州からのものである。フィブリノゲンI−2調製物の同
位元素による標識はすでに報告されたように行う。Smith,他,Biochemistry,
第11巻,2958−2967頁(1972年)。ウロキナーゼは、Leo Pharma
ceuticals,デンマークより2200プロー(Ploug)単位/バイアルで購入する
。ストレプトキナーゼはHoechst−Roussel Pharmaceuticals,Soneruille,ニュ
ージャージィ州から購入する。方法−t−PAによるヒトの血漿凝固溶解に対する影響
ヒトの血漿は、0.0229uCi 125−ヨウ素で標識したフィブリノゲ
ンを含む100μlのヒトの血漿に対して、50μlのトロンビン(73NIH
単位/ml)を加えることによってマイクロ試験管中で生成させる。凝血の溶解
は、50μlのウロキナーゼまたはストレプトキナーゼ(50,100若しくは
1000単位/ml)で凝血を覆って、室温で20時間インキュベートすること
によって調べる。インキュベーション後、その試験管をBeckman Microfugeの中
で遠心分離にかける。ガンマーカウントを行うために25μ1の上清を、1.0
ml容量の0.03Mトリス/0.15MNaCl緩衝剤中に加える。100パ
ーセント溶解のコントロールのカウントはトロンビンを省くことによって得られ
る。トロンビン阻害剤は、その化合物を、1,5,および10μg/mlの濃度
で覆った溶液中に含ませることにより、線維素溶解現象の妨害可能性を評価する
。IC50値の粗い概算は、データーが存在する点から線維素溶解剤のその特別な
濃度に対して50パーセントの溶解を表わす値まで直線的に外挿することで評価
する。抗凝固活性 原料
イヌの血漿およびラットの血漿は、意識のある異種交配した猟犬(両性ともに
、hazelton−LRE,Kalamazoo,ミシガン州,アメリカ合衆国)からまたは麻
酔をかけた雄のSprague−Dawleyラット(Harlan Sprague-Dawley,Inc.,インディ
アナポリス,インディアナリ州アメリカ合衆国)から3.8パーセントのクエン
酸塩中へ静脈穿刺によって得る。フィブリノゲンは、先の方法および詳述に従っ
て画分I−2としてイン・デートACD人血から製造する。Smith,Biochem .J .
,第185巻,1−11頁(1980年);およびSmith,他,Biochemistry,
第11巻,2958−2967頁(1972年)。ヒトのフィブリノゲンはまた
、純度98%/プラスミンを含まないものとしてAmerican Diagnostica,Greenwi
ch,コネチカット州から購入する。凝固剤ACTIN,トロンボプラスチンおよ
びヒトの血漿は、Baxter Healthcare Corp.,Dade Division,マイアミ,フロリ
ダ州から購入する。Parke−Davis(デトロイト,
ミシガン州)からのウシのトロンビンを血漿の凝固検定のために用いる。方法 抗凝固の測定
凝固検定の方法はすでに記述された通りである。Smith,他,Thrombosis Rese arch ,第50巻
163−174頁(1988年)。CoAScreener凝集装置(Ameri
can LABor,Inc.)をすべての凝集検定の測定に用いる。トロンビン時間(TT)
は、0.05mlの生理的食塩水および0.05mlのトロンビン(10NIH
単位/ml)を0.05mlの試験血漿に加えて測定する。活性化部分トロンボ
プラスチン時間(APTT)は、0.05mlの試験血漿を0.05mlのアク
チン試薬と共に120秒間インキュベートし、続いて0.05mlのCaCl2
(0.02M)を加えて測定する。プロトロンビン時間(PT)は、0.05m
lの生理的食塩水および0.05mlのトロンボプラスチン−C試薬を0.05
mlの試験血漿に添加することにより測定する。TT,APTTおよびPT検定
に対する延長効果を測定するために、化学式Iの化合物を、広範囲の濃度にわた
って人または動物の血漿に加える。直線外挿を行って、各検定に対する凝血時間
を倍にするに必要な濃度を評価する。上に列挙した本発明の特に好ましい例の各
々は、50ng/mLよりも少ないTT値を有することが測定された。例えば、
TTについての夫々の値(ng/mLでの)は、実施例1,3および5の化合物
に対して6,6および23であった。動物
雄のSprague Dawleyラット(350−425gm,Harlan Sprague Dawley In
c.,インデァナポリス,インディアナ州)にキシラジン(20mg/kg,S.
C.)およびケタミン(120mg/kg,S.C.)で麻酔をし暖めたぬれ毛
布(37℃)の上に保つ。注入をするために頚静脈にカニューレを挿入する。動脈−静脈のシヤントモデル
左頚静脈および右頚動脈に20cm長のポリエチレンPE60の管をもったカ
ニューレを挿入する。内腔に綿糸(5cm)を備えた中心断面が6cmのより大
きい管(PE190)を、動脈−静脈の短絡回路を完全につくるために、より長
い部分の間にぴったりと合わす。注意深く糸を取り除き重さを秤る前に、血液を
15分間シャント中に循環させる。濡れた糸の重量を糸と血柱の合計重量から差
し引く(参照J.R.Smita,Br J Pharmacd,第77巻:29頁,1982年)。動脈傷害のFeCl3モデル
頚動脈を正中線の腹側の頚部の切開によって分離する。熱電対を各動脈の下に
設置して、脈管温度を連続的にストリップチャート記録計の上に記録する。縦方
向にカットした管のカフ(0.058ID×0.077OD×4mm,Baxter M
ed.グレードはシリコン)を熱伝対の上の各頚動脈のまわりに直接に置く。Fe
Cl3の6水化物を水に溶解してその濃度(20%)をFeCl3のみの実重量に
よって表わす。動脈を傷つけ血栓病を惹き起すべく、熱伝対のプローブの上にあ
る動脈を浸すために2.85μlをカフスの中へピペットで移す。動脈閉塞は急
速な温度低下によって示される。閉塞までの時間は、分で報告され、FeCl3
の使用と脈管温度の急速な低下との間の経過時間を表わす(参照K.D.Kurz Tro
mb.Res.,第60巻,269頁1990年)。自発的血栓崩壊モデル
インビトロでのデーターによると、ペプチドのトロンビン阻害剤は、トロンビ
ンを阻害し、より高濃では、プラスミンおよび組織プラスミノゲンアクチベータ
ーのような他のセリンプロテアーゼも阻害し得ることを示している。それらの化
合物がインビボで線維素溶解現象を抑制するかどうかを評価するために、標識別
した全血の凝血を肺循環中に植え込んで自発的血栓崩壊速度を測定する。ラット
の血液(1ml)を、ウシトロンビン(4IU,Parke Dauis)および125Iで
識別した人のフィブロゲン(5μCi,ICN)と急速に混合し、直ちにシリコ
ン性チューブに入れ、37℃にて1時間インキュベートする。熟成した血栓を、
チューブより取り出し、1cmのセグメントに切断し、通常の生理的食塩水中で
3回洗滌して、各セグメントをガンマー計でカウントする。カウント数がわかっ
ているセグメントを、その後に頚静脈に植え込んだカテーテル中に導入する。そ
のカテーテルの先端を右心房の近くまで進めて、凝血を肺循環へ排出する。植え
込み後1時間で、心臓と肺を取り出して、別々にカウントする。血栓崩壊はパー
セントで表わす。植え込んだ凝血の線維素溶解現象の溶解は、時間依存で生じる(参照J.P.Cloz
el,Cardiovas.Pharmacol.,第12巻;520頁,1988年)。凝固パラメーター
血漿トロンビン時間(TT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(AP
TT)は、フィブロメーターで測定する。血液を頚部のカテーテルより試験採取
して、クエン酸ナトリウム(3.8パーセント,血液9部に対し1部)を含むシ
リンジの中に集める。TTを測定するために、ラットの血漿(0.1ml)を生
理的食塩水(0.1ml)およびウシトロンビン(0.1ml,30U/mlト
リス緩衝剤中;Parke Davis)と37℃で混合する。APTTを測定するために
、血漿(0.1ml)およびAPTT溶液(0.1ml,Organo Teknika)を5
分間(37℃)で培養して、CaCl2(0.1ml,0.025M)を出発凝
固物に加える。検査は二回り行い平均する。生物学的利用性の指標
生物学的活性の尺度,血漿トロンビン時間(TT)は、TTの増加は、元(P
orent)の化合物だけに起因するトロンビン阻害の結果であると言う仮説のもと
に、元の化合物の検定に代わるものとして役立つ。トロンビン阻害剤のTTに対
する効果の時間的推移は、麻酔をかけているラットへのi.v丸薬の投与後およ
び絶食して意識のあるラットに経口処置をした後に測定する。血液の容積および
、
処理時間から処置の応答が処置前の値に戻る時間の時間推移を測定するに必要な
ポイントの数に限りがあるために、2つの母集団のラットを用いる。各サンプル
母集団は交互に連続する時間の点を表わす。全時間の推移に対する平均のTTは
、曲線の下の面積(AUC)の計算に用いる。生物学的利用性の指標は下に示す
式で計算されてパーセントで相対的な活性値として表わす。
血漿TTの時間推移についての曲線の下の面積(AUC)を測定し投与量に対
して調整する。この生物学的利用性の指標を「%相対的活性」と称する。 化合物
化合物の溶液は、日々新に生理的食塩水中で調製し、ボーラスとして注射(in
ject)するか、注入(infuse)し、実験的摂動の15分前に開始し、その期間続
ける。その摂動は、動静脈シャントモデル中で15分間であり、動脈傷害のFe
Cl3モデル中および自発的な血栓崩壊モデル中で60分間である。ボーラス注
射容量はi.v.に対し1ml/kgであり、p.o.に対して5ml/kgで
あり、抽入(infnsion)容量は3ml/hrである。統計
結果は平均+/−SEMとして表示する。統計的に有意の差異の検出には、一
方向の分散分析を用い、それからどちらの平均値が異っているかを決定するため
にDunnetの検定を用いる。等しい平均の帰無仮説の棄却に対する有意な水準はp
<0.05である。動物
雄の犬(ビーグル犬;18ケ月−2歳;12−13kg、Marshall Farms、No
cth Rose、ニューヨーク州14516)を一晩絶食させて、投与後240分にPu
rina保証のPrescription Diet(Purina Mills.St.Louis.ミズリー州)を与える
。水は随意に利用出来る。室温は66−74°Fに保たれ;相対
湿度は45−50パーセントに保ち0600−1800時間照明する。薬物動態学的モデル
試験化合物を投与直前に、滅菌した0.9パーセントの生理的食塩水中に溶解
し、5mg/mlに調製し製剤する。経口強制飼養により、2mg/kgの試験
化合物の単一用量を犬に与える。血液試料(4.5ml)を頭部の静脈より投与
後0.25,0.5,0.75,1,2,3,4および6時聞で採取する。試料
をクエン酸化Vacutainer管に集めて、遠心分離によって血漿にするまで氷の上に
保つ。血漿試料をHPLC−MSによって分析する。試験化合物の血漿濃度を記
録して薬物動態パラメーター:除去速度常数,Ke;総クリアランス,Clt;
分配の容量,VD;最高血漿試験化合物濃度の時間,Tmax;Tmaxの試験
化合物の最高濃度,Cmax;血漿ハーフライフ,t0.5;および曲線の下の領
域,A.U.C.;吸収された試験化合物の割合Fの算出に用いる。冠動脈血栓症の犬のモデル
犬の外科的準備および器具は、Jackson,他,Circulation,第82巻,930
−940頁(1990年)に記述されているようなものである。異種交配した犬
(生後6−7ケ月、両性とも、Hazelton−LRE,Kalamazoo、ミシガン州、ア
メリカ合衆国)をナトリウムペントバルビタール(30mg/kg静脈注射での
、i.v.)で麻酔をかけ、管を挿入して、部屋の空気を送り込むようにする。
1回呼吸量並びに呼吸速度は、血液のPO2,PCO2およびpHが正常なる範囲
内にあるよう調整する。皮下用の針状電極を、リードIIECGを記録するために
挿入する。
左頚静脈および共幹の頚動脈を左の中間より外側の首を切開して分離する。動
脈の血圧(ABP)を頚動脈に挿入した予め校正を行ったMillar変換器(モデル
(MPC−500,Millar Instruments,Houston,テキサス州,アメリカ合衆
国)で連続的に測定する。頚静脈に実験中血液の試料採取をするためにカヌーレ
を挿入する。加えるに、両後足の大腿部静脈に試験化合物を投与するためにカヌ
ーレを挿入する。
第5肋間の空間を開胸して、心臓を心臓周囲のクレードルに吊る。左のわん曲
した冠状動脈(LCX)の1から2cmのセグメントを第1主部心室ブランチの
近位で分離する。3−4mmの長さの2b−ゲージの針を先端につけたワイヤー
の陰極(テフロン皮膜つき、30ゲージの銀メッキの銅線)をLCX中に挿入し
て、動脈の脈管内膜表面に接触して置く(実験の終了時に確認した)。皮下(S
.C.)部位に陽極を置いて刺激回路を完成させる。調整が可能なプラスチック
の遮閉器を電極部分の上のLCXのまわりに置く。予め校正した電磁的な流動探
針(Carolina Medical Electronics、King、ノースカロリナ州、アメリカ合衆国
)を、冠状動脈の血液流(CBF)を測定するために、陰極に近いLCXのまわ
りに置く。LCXの10秒の機械的な閉塞の後に観察される充血の血流応答を4
0−50パーセント抑制するように遮閉器を調整する。データー取得システム(
モデルM3000、Modular Instruments、Malverm、ペンシルヴァニア州、アメ
リカ合衆国)によってすべての血行力学およびECG測定を記録し並びに解析す
る。血栓の形成および化合物の投与レジメ
LCXの内膜の電気分解傷害が陰極に対して100μA直流を流すことによっ
て生じる。電流を60分間流した後、管が閉じようと閉じなかろうと電流を遮断
する。LCXが全面的に閉じるまでは(ゼロCBFおよびS−+セグメントの増
加として測定される)血栓の形成が自然に進行する。化合物の投与は、閉塞する
血栓が1時間経過した後に始める。0.5および1mg/kg/時間の投与で本
発明の化合物を2時注入することを血栓崩壊剤(例えば組織プラスミノゲン活性
体,ストレプトキナーゼ,APSAC)の注入と同時に始める。再潅注は試験化
合物の投与3時間後に行なう。血栓崩壊が成功した後冠状動脈の再閉塞はゼロC
BFと定義され、30分以上続くものとする。血液学およびテンプレート出血時間の決定
全血液細胞数,ヘモグロビンおよびヘマトクリット値は、クエン酸を加えた血
液40μlの試料(1部のクエン酸:9部の血液)についてhematology
analyzer(Cell−Dyn900,Sequoia−Iurner.Mount View,カリホルニア州,
アメリカ合衆国)で測定する。ジンジバルテンプレート出血時間は、SimplateII
出血時間装置(Organon Teknica,Durham,N.C.米国)で測定するその装置は
犬の上または下の左あごの歯肉に2つの水平の切り口をつくるために用いる。夫
々の切り口は3mm巾×2mm深さである。切り口が作られて、ストップウォッ
チによりどのくらい長く出血が起きるかを測る。切り口からにじみ出る血液を吸
い取るために綿棒を用いる。テンプレート出血時間は切り込みから止血までの時
間である。出血時間は、試験化合物の投与の直前(0分)、抽入して60分、試
験化合物の投与終時および実験の終了時に測定する。
すべてのデーターは有意水準を定めるために、一方向の分散分析(ANOVA
)その後のStudent−Neuman−KuelsのPosthocのt検定によって解析する。実験
中のタイムポイント間の有意差を決めるためには、繰り返し測定ANOVAを用
いる。値は、少くともp<0.05の水準の統計的な差として決定する。全ての
データーは平均±SEMである。すべての研究はAmerican Physiclogical Scoci
etyの指導原理に従って行なう。方法についてのより詳細はJackaon,他、J ,Car diovasc.Pharmacol
.,第21巻,587−599頁,(1993年)に記述さ
れている。
相当するアミジノ−フェニル化合物を比較して、本発明の化合物は、ヒドロキ
シ基がアミジノ基にオルソに並んでおり、経口吸収の場合にずっとより好ましい
生理学的化学的特性を有している。pH7.4におけるlogD(D=オクタノ
ール/水分布係数)[logD(7.4)]は、実施例5の化合物に対して[l
ogD(7.4)=1.91]と観測されて、対照化合物の値[logD(7.
4)=3.89]よりもはるかに好ましい値を示しており、その差[ΔlogD
(7.4)]は対数で5.80である。実施例3の化合物[logD(7.4)
=0.55]に関しては、相当するアミジノフェニル化合物と比較して、対数で
ΔlogD(7.4)=1.13を測定した。
次の例は、本発明をさらに記述するために与えるものであり、本発明を限定す
るものとして解釈されるべきものではない。
アミノ酸:Azt=アゼチジン−2−カルボン酸、Phe=フェニルアラミン
、
hPro=ホモ−プロリン、Pro=プロリン、Cha=β=シクロヘキシルア
ラニン、Ohi=[2S−(2α,3aβ,7aβ)]−オクタヒドロ−インド
ール−2−カルボン酸、(1R,4aR,8aR)−1−Pig=(1R,4a
R,8aR)−1−パーヒドロ−イソキノリンカルボキシレート、Sar=サル
コシン(N−メチルグリシン)。
Anal=元素分析
Boc=t−ブチルオキシカルボニル
Bn=ベンジル
BOP−Cl=ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィニック塩
化物
t−Bu=t−ブチル
h−BuLi=ブチルリチウム
Cbz=ベンジルオキシカルボニル
18−Crown−6=1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロ
オクタデカン
DIBAL=ジイソブチルアルミニウムハイドライド
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルフォキシド
Et=エチル
EtOAc=酢酸エチル
Et2O=ジエチルエーテル
EtOH=エタノール
FAB−MS=高速原子衝撃質量分析法
FD−MS=フィールドディソープション質量分析法
HPLC=高性能液体クロマトグラフィー
HRMS=高分解能質量スペクトル
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
i−PrOH=イソプロパノール
IR=赤外スペクトル
Me=メチル
MeOH=メタノール
NMR=核磁気共鳴
RPHPLC=逆相高性能液体クロマトグラフィー
SO2=シリカゲル
TEA=トリエチルアミン
TFA=三フッ化酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
Ts=トシル(p−トルエンスルホニル)
調製RPHLCに対して次のパラメーターを用いた:溶媒A:0.05%の塩
酸水溶液(3Lの水の中に1.5mLの濃塩酸);溶媒B:アセトニトリル;グ
ラジエント:各実施例にて定義した通り;カラム:Vydac C18−5cm×2
5cm;流速:10mL/分。
特記しない限り、pHの調整および仕上げは酸または塩基の水溶液で行った。1
H−NMRは記述した化合物に対して満足なNMRスペクトルを得たことを示
している。IRは記述した化合物に対して満足な赤外スペクトルを得たことを示
している。
実施例1
D−シクロヘキシルアラニル−N−[[4−(アミノイミノメチル)−3−ヒド
ロキシフェニル]メチル]−L−プロリンアミド2塩酸塩
D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(NH)NH2・2
HCl
A)Boc−D−Cha−Pro−OHの製造
ジクロロメタン(360mL)中のBoc−D−Cha−OH(50.4g,
185mmol)の溶液を0℃に冷却して、N−ヒドロキシサクシンイミド(2
2.3g,194mmol)を加えた。その後、1,3−ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(39.0g,189mmol)をジクロロメタン(90mL)中の
溶液として2部に加える。0℃で3時間攪拌の後に、L−Pro−OH(27.
6g,240mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(30.9
g,239mmol)を加えた。0℃から10℃の間でさらに3時間攪拌した後
、混合物を珪藻土の上で濾過した。濾過沈殿物をジクロロメタン(100mL)
で洗滌して;その後一緒にした濾過液を真空で濃縮した。残渣の油状のものをエ
チルアセテート(100mL)と0.625MのNaHCO3水溶液(320m
L)の間で分配した。層を分離して、有機相を0.625MのNaHCO3水溶
液(80mL)で洗滌した。それから一緒にした重炭酸塩抽出物を酢酸エチル(
100mL)で洗滌した。その後水相を酢酸エチル(300mL)と共に攪拌し
て12N HCl(ほぼ37mL)で酸性にした。その層を分離して、酸性の水
の相を酢酸エチル(100mL)で抽出した。一緒にした酢酸エチル抽出物を真
空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルの最少量でスラリー化し、再度酢酸エチルで
洗滌して、乾燥し50.1g(73%)の白色粉末を得た。1
H NMR
FAB−MS,m/e 369(M+)
C19H32N2O2に対する分析:
訃算値:C,61.93;H,8.75;N,7.60;
測定値:C,60.01;H,8.96;N,7.75.
B)2−フルオロテレフタロニトリルの製造
4−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(20g,100mol),シアン
化亜鉛(7g,60mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(4.6g,4mmol)のDMF(100mL)溶液を80℃で4時
間加熱した。トルエン(300mL)および飽和したアンモニウム水溶液(30
0mL)を加えて、層を分離した、有機層を飽和した塩化アンモニウムの水溶液
で一度洗滌して、ブラインで2回洗滌した。有機相を乾燥し(MgSO4)、濾
過して濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、ヘキサンか
ら30%EtOAc/ヘキサンのグラジエントで抽出した(11g,75%)。
IR1
H NMR
FD−MS,m/e 146(M+)
C8H3FN2に対する分析:
計算値: C,65.76;H,2.07;N,19.17;
実測値: C,65.69;H,2.33;N,19.05.
C)3−アミノ−1,2−ベンズイソキサゾール−5−カルボニトリルの製造例
攪拌しながらカリウムt−ブトキシド(8.4g,75mmol)のTHF(
100mL)溶液にアセトンオキシム(5.5g,75mmol)を加えた。3
0分間撹拌した後に、2−フルオロテレフタロニトリル(10g,68mmol
)のTHF(50mL)溶液を加えて;さらに2時間撹拌を続けた。塩化アンモ
ニウムの飽和水溶液を加えて、溶媒を真空中で除いた。残渣をEtOAcとブラ
インに分配した。層を分離して有機の相をブラインで一回洗滌し、乾燥(MgS
O4)し、濾過して濃縮した。この粗製の固体をEtOH,濃HCl(150m
L)および水(100mL)の溶液中に懸濁させた。混合物を2時間還流した。
室温へ冷却後真空中で溶媒を除去した。残渣を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(
200mL)で処理して、生成物をEtOAcで3回水層を洗滌して抽出した。
有機溶液をブラインで一度洗滌し、乾燥(MgSO4)し、濃縮によりピンク色
の固体を得た(9.4g,86%)。
IR1
H NMR
FD−MS,m/e 159(M+)
C8H5N3Oに対する分析:
計算値: C,60.38;H,3.17;N,26.40;
実測値: C,60.96;H,3.44;N,25.58.
D)4−アミノメチル−2−ヒドロキシベンズアミジン二塩酸塩の製造
3−アミノ−1,2−ベンズイソキサゾール−5−カルボニトリル(5g,3
1mmol)をEtOH(130mL)中に溶解した。5%Pd/C(2.5g
)および5NHCl(15mL)を加えて、混合物を4時間振盪機上で、4.1
バールで水素化した。触媒を濾過し、濾液を濃縮して黄褐色の固体を得る。これ
をジエチルエーテルでトリチュレートして、濾過により集めた(3.2g,43
%)。
IR1
H NMR
FD−MS,m/e 165(M+)
C8H11N3O・2HClに対する分析:
計算値:C,40.35;H,5.50;N,17.65;Cl,29.78
実測値:C,40.75;H,6.13;N,15.91;Cl,28.26
.
E)D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(NH)NH2・
2HClの製造例
Boc−D−Cha−Pro−OH(1.1g,2.9mmol),4−アミ
ノメチル−2−ヒドロキシベンズアミジン二塩酸塩(0.71g,3mmol)
およびジイソプロピルエチルアミン(1.7mL,10mmol)のDMF(6
0mL)溶液に、攪拌しながらベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリ
ジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.6g,3.1mmol)を
加えた。一晩攪拌した後、溶媒を真空で除去した。得られた残渣をEtOAと塩
化アンモニウムの飽和水溶液とに分配した。層を分離して有機の相を塩化アンモ
ニウムの飽和水溶液で一回およびブラインで2回洗滌し、乾燥(MgSO4)し
、濾過して、濃縮し残渣を得た。これにアニソール(2.5mL)およびTFA
(50mL)を加えた。その溶液を室温で30分間攪拌し、真空でTFAを除去
した。残渣を1N HCl(50mL)中に溶解してEtOAcで2回洗滌した
。
粗製の生成物を真空中で濃縮して、HPLC方法1により98/2 A/Bより
50/50 A/Bのグラジエントを用い2.5時間にわたって精製した。望ま
しい生成物のみを含む画分(分析のHPLCによって判断する)のみを集め、濃
縮して、凍結乾燥をして白色の粉末を得た(486mg,35%)。1
H NMR
FAB−MS,m/e 416.3(MH+)
C22H33N5O3・2HClに対する分析:
計算値: C,54.10;H,7.22;N,14.34;
実測値: C,53.89;H,7.28;N,14.07;
実施例2
D−シクロヘキシルアラニル−N−[[4−(アミノイミノメチル)−3−ヒド
ロキシ−2,5,6−トリフルオロフェニル]メチル]−L−プロリンアミド二
塩酸塩の製造
D−Cha−Pro−NHCH2C6F3−3−OH−4−C(NH)NH2・
2HCl
A)3−アミノ−4,6,7−トリフルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−
5−カーボンニトリルの製造
攪拌しながらN,N−ジイソプロピルエチルアミン(19.2g,110mm
ol)のCH3CN(100ml)溶液にアセトンオキシム(8g,110mm
ol)を加えた。30分間攪拌した後に、テトラフルオロテレフタロニトリル(
20g,100mmol)のCH3CN(50mL)溶液を加えて;その混合物
を一晩攪拌した。塩化アンモニウムの飽和水溶液(100mL)を加えてその溶
媒を真空で除去した。残渣をEtOAcとブラインの間に分配した。層を分離
して有機相をブラインで一回洗滌し、乾燥(MgSO4)し、濾過および濃縮し
た。この粗製生成物をEtOH(150mL)中で懸濁させ並びに濃HCl(5
0mL)および水(100mL)を加えた。これを3時間還流した。室温に冷却
した後、溶媒を真空で除去した。残渣を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(200
mL)で処理して、EtOAcで3回水溶液の層を洗滌することによって抽出し
た。この有機の溶液をブラインで一度洗滌し、乾燥(MgSO4)し、濾過して
濃縮し黄色の固体を得た。粗生成物をヘキサンから40%EtOAc/ヘキサン
のグラディエント溶出によりシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(9.2
g,43%)。
IR1
H NMR
C8H2F3N3Oに対する分析:
計算値:C,45.09;H,0.95;N,19.72;F,26.74;
実測値:C,45.47;H,1.12;N,19.39;F,27.68.
B)4−アミノメチル−2−ヒドロキシ−3,5,6−トリフルオロベンズアミ
ジンニ塩酸塩の製造
3−アミノ−4,6,7−トリフルオロ−1,2−ベンズイソキサゾール−5
−カーボンニトリル(5g,31mmol)をEtOH(130mL)中に溶解
した。5%Pd/C(2.5g)および5N HCl(15mL)を加えて、そ
の混合物を4時間シエカーの上で4.1バールにて水素化した。触媒を濾過して
濾液を濃縮し、白色の泡状のものを得た(7.4g,100%)。
IR1
H NMR
FD−MS,m/e 219(M+)
C8H8F3N3O・2HClに対する分析:
計算値:C,32.90;H,3.45;N,14.38;Cl,24.28;
実測値:C,32.80;H,4.00;N,12.75;Cl,22.22.
C)D−Cha−Pro−NHCH2C6F3−3−OH−4−C(NH)NH2・
2HClの製造
実施例1−Eに記述したものと本質的には同等な方法によって、0.04gの
D−Cha−Pro−NHCH2C6F3−3−OH−4−C(NH)NH2・2H
Clを4−アミノメチル−2−ヒドロキシ−3,5,6−トリフルオロベンズア
ミジン二塩酸塩から製造した。1
H NMR
FD−MS,m/e 470(MH+)
C22H30F3N5O3・2HClに対する分析:
計算値: C,48.71;H,5.95;N,12.91;
実測値: C,48.90;H,6.03;N,12.86;.
実施例3
N−カルボキシメチル−D−シクロヘキシルアラニル−N−{[4−(アミノイ
ミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]−L−プロリンアミド塩酸塩の製造
HO2CCH2−D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C
(NH)NH2・HCl
A)N−(t−BuO2CCH2)−N−Boc−D−Cha−Pro−OHの製
造
D−Phe−Pro−OBn−HCl(20g,51mmol)のDMF溶液
(100mL)に対してt−ブチル臭化アセテート(9.9g,56mmol)
を一度に加えて、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(17.4mL,101
mmol)を30分にわたって滴加した。この混合物を8時間攪拌した。それか
らジ−t−ブチルジカーボネート二炭酸塩およびN,N−ジイソプロピルエチル
アミン(13.2mL,76mmol)を一度に加えて、さらに24時間反応を
攪拌した。溶媒を真空で除いて、残渣をEtOAc(1L)と1Mのクエン酸水
溶液(500mL)の間に分配した。層を分けて、有機の相を1Mのクエン酸水
溶液で一度洗滌し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で2回およびブライン(各々
500mL)で一回洗滌した。有機の相を乾燥(Na2SO4)し、濾過して真空
で濃縮した。コハク色のオイルをEtOAc/ヘキサングラディエント(ヘキサ
ンから30%EtOAc/ヘキサンへ)で抽出するシリカゲルクロマトグラフィ
ーで精製した。生成物を含む画分をあわせて濃縮し、無色のオイル状のものとし
てN−(t−BuOOCCH2)−N−Boc−D−Pha−Pro−OBrを
19.0g(66%)得たが、それは放置するとゆっくりと結晶化した。1
H NMR
FD−MS,m/e 566(M+)
C32H42N2O7に対する分析:
計算値: C,67.82;H,7.47;N,4.94;
実測値: C,68.06;H,7.33;N,5.17.
H−(t−BuOOCCH2)−N−Boc−D−Phe−Pro−OBn
(18.5g,33mmol)のEtOAc溶液(250mL)に5%Pd/C
触媒(5g)を加えた。この溶液を真空で数回脱気して、攪拌しながら水素雰囲
気下に2時間置いた。気泡を除き、珪藻土を加えて、スラリーを珪藻土のバット
上で濾過した。濾液を真空で濃縮し、13.2g(84%)のN−(t−BuO2
CCH2)−N−Boc−D−Phe−Pro−OHを白色の泡状のものとして
得た。1
H NMR
FD−MS,m/e 476(M+)
C25H36N2O7に対する分析:
計算値: C,63.01;H,7.61;N,5.88;
実測値: C,63.23;H,7.73;N,5.59.
N−(t−BuO2CCH2)−N−Boc−D−Phe−OH(13g,27
mmol)をエタノール(750mL)中に溶解してPtO2(13g)を加え
た。その懸濁物を40℃の水素雰囲気下(4.1バール)で16時間振盪した。
その後触媒を濾過して、濾液を真空で濃縮し、11.7g(90%)のN−(t
−BuO2CCH2)−N−Boc−D−Cha−Pro−OHを白色の泡として
得た。
IR1
H NMR
FD−MS,m/e 483(M+)
C25H42N2O7に対する分析:
計算値: C,62.22;H,8.77;N,5.80;
実測値: C,62.99;H,8.96;N,5.48.
B)HO2CCH2−D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C
(NH)NH2・HClの製造
実質的に、実施例1−Eに記述した方法と同等の方法によって、0.22gの
HO2CCH2−D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(N
H)NH2・HClを製造した。1
H NMR
FD−MS,m/e 474.3(MH+)
C24H35N2O5・1.5HClに対する分析:
計算値: C,54.57;H,6.96;N,13.26;
実測値: C,54.52;H,6.95;N,13.09.
実施例4
N−[[4−(アミノイミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]−メチル]−
1−[(1R,4aR,8aR)−パーヒドロイソキノリン−1−イルカルボニ
ル]−L−プロリンアミド二塩酸塩の製造
(1R,4aR,8aR)−1−Piq−Pro−NHCH2C6H3−3−O
H−4−C(NH)NH2・2HCl
1−[(1R,4aR,8aR)−2−Cbz−パーヒドロイソキノリン−1−
イルカルボニル]−L−プロリン([α]D=−34.2°(C=0.5MeO
H))を、米国特許第5,430,023号の実施例25,23欄,23行から
24欄,46行に通して記載されているように得た。この化合物はやはりCbz
−D−Cis[4aR,8aR]−1−Piq−Pro−OHとして既知である
。
Cbz−(1R,4aR,8aR)−1−Piq−Pro−OH(1.1g,
2.5mmol),4−アミノメチル−2−ヒドロキシベンズアミジン二塩酸塩
(0.66g,2.75mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.5
mL,8.8mmol)の攪拌しているDMF溶液(60mL)に、ベンゾトリ
アゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート(1,4g,2.75mmol)を加えた。一晩攪拌した後、溶媒を真空で
除去した。生成した残渣を、EtOAcと塩化アンモニウムの飽和水溶液との間
で分配した。層を分離して、有機相を塩化アンモニウムの飽和水溶液で1回およ
びブラインで2回洗滌し、乾燥(MgSO4)し、濾過して、濃縮して残渣を得
た。この残渣をEtOH(100mL)および水(50mL)に溶解した。1N
HCl(5mL)および5%Pd/C(0.5g)を加えた。スラリーを脱気し
て混合物を一晩水素雰囲中に置く。珪藻土を加えてスラリーを珪藻土のパッドの
上で濾過し、真空中で濃縮した。粗製生成物を98/2A/Bから30/70A
/Bのグラジエントを用い2.5時間かけて、HPLC方法1により精製した。
純粋な生成物を含む画分(分析用HPLCによって判断)を集め、濃縮して、凍
結乾燥を行って白色粉末を得た(0.22g,18%)。1
H NMR
FAB−MS,m/e 428.3(MH+)
C23H33N5O3・2HClに対する分析:
計算値:C,55.20;H,7.05;N,13.99;
実測値:C,54.93;H,7.31;N,14.00.
実施例5
N−エチルスルホニル−D−シクロヘキシルアラニル−N−[[4−(アミノイ
ミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−L−プロリンアミド塩酸塩
の製造 EtSO2−D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(
NH)NH2・HCl
A)EtSO2−D−Phe−OHの製造
D−フェニルアラニン(50g,300mmol)の攪拌しているTHF(4
00mL)にN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(92g,450
mmol)を加えた。12時間攪拌後にその溶液を−78℃に冷却して、N,N
−ジイソプロピルエチルアミン(58mL,330mmol)を加えた。この溶
液にゆっくりとエタンスルホニル塩化物(31mL,330mmol)を加えて
、冷却浴を取り去る。20時間攪拌の後、その溶媒を真空中で除き、残渣をNa
HCO3の飽和水溶液と酢酸エチルとに分配した。水の相をジエチルエーテルで
水洗し、固体のクエン酸で酸性にして、酢酸エチルで2回抽出した。混合してい
る酢酸エチル抽出物をブラインで洗滌し、MgSO4で乾燥し、濾過して、真空
中で濃縮して61gの濃厚な無色の油状のものを得た(79%)。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 257(M+)
B)EtSO2−D−Phe−Pro−OBnの製造
THF(1L)中にEtSO2−D−Phe−OH(25.7g,100mm
ol),Pro−OBn・HCl(26.6g,110mmol),HOBT(
13.5g,100mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4
3.5mL,250mL)を含む攪拌している懸濁液に0℃にて1−(3−ジメ
チルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(23g,120mL
)を加えた。20時間攪拌した後、真空で溶媒を除去して、残渣を酢酸エチルと
1Nクエン酸とに分配した。有機の相を1NKHCO3で2回、ブラインで2回
洗滌し、MgSO4で乾燥し、濾過して真空で濃縮した。残渣をシリカゲル上で
クロマトグラフィーにかけ、ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサンの段階的
なグラジェントで抽出した。画分を含む生成物を混ぜて真空で濃縮し、29g(
65%)の透明な濃厚なオイル状のものを得た。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 444(M+)
C)EtSO2−D−Phe−Pro−OHの製造
EtSO2−D−Phe−Pro−OBn(28.5g,64mmol)の酢
酸エチル溶液(500mL)に10%Pd/C(5g)を加えた。容器を水素雰
囲気中に移して置く。16時間攪拌した後に、溶液を珪藻土上で濾過して、その
後フィルターのパッドをメタノールで2回洗滌して濾過した。一緒にした濾液を
真空中で濃縮して22g(97%)の灰色がかった白色固体を得た。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 355(MH+)
C16H22N2O5Sに対する分析:
計算値: C,54.22;H,6.26;N,7.90;
実測値: C,53.98;H,6.12;N,7.63.
D)EtSO2−D−Chd−Pro−OHの製造
EtSO2−D−Phe−Pro−OH(10g,28mmol)のエタノー
ル(300mL)溶液にPtO2(5g)を加えた。混合物を4.1バールおよ
び20℃で高圧装置を用いて20時間水素化した。その後その溶液を珪藻土を通
して濾過して、濃縮し、8.1g(80%)の濃厚な油状のものを得た。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 361(MH+)
E)EtSO2−D−Cha−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(N
H)NH2・2HClの製造
EtSO2−D−Cha−Pro−OH(0.87g,2.4mmol),4
−アミノメチル−2−ヒドロキシエチルアミジン二塩酸塩(0.63g,2.6
4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.5mL,8.8mmol
)のDMF(60mL)の攪拌している溶液に、ベンゾトリアゾール−1−イロ
キシトリピロリジノホスフオニウムヘキサフルオロホスフェート(1.4g.2
.75mmol)を加えた。一晩攪拌した後、溶媒を真空中で除去した。残渣を
1NHClとEt2Oとに分配した。層を分離して、水相をEt2Oで3回洗滌し
て真空で濃縮した。粗生成物を2.5時間にわたり90/10A/Bから40/
60A/Bのグラジエントを用いてHPLC方法1によって精製した。純粋の生
成物を含む画分(分析用のHPLCにより判定して)を集め、濃縮して凍結乾燥
をして白色粉末を得た(0.30g,21%)。1
H NHR
FD−MS,m/e 508(MH+)
C24H37N5O5S・3HClに対する分析:
計算値: C,46.72;H,6.53;N,11.35;
実測値: C,46.36;H,6.16;N,11.22.実施例6
N−エチルスルフォニル−D−シクロヘキシルアラニル−N−[[4−(アミノ
イミノメチル)−3−ヒドロキシ-2,5,6−トリフルオロフェニル]メチル
]−L−プロリンアミド塩酸塩の製造 EtSO2−D−Cha−Pro−NHCH2C6F3−3−OH−4−C(NH
)NH2・HCl
実施例5に記述したものと実質的に同等な方法によって、0.54gのEtS
O2−D−Cha−Pro−NHCH2C6F3−OH−4−(NH)NH2・HC
lをEtSO2−D−Cha−Pro−OHおよび4−アミノメチル-2−ヒドロ
キシ−3.5.6−トリフルオロベンズアミジン二塩酸塩から出発して製造した
。1
H NHR
FAB−MS,m/e 562.2(MH+)
C23H34F3N5O5S・2HClに対する分析:
計算値: C,45.43;H,5.72;N,11.04;
実測値: C,45.54;H,5.61;N,11.03.
実施例7
1−[N−エチルスルフォニル−D−フェニルアラニル]−N−[[4−(アミ
ノイミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−[2S(2α,3aβ
,7aβ)]−オクタヒドロインドール−2−カルボキシアミド塩酸塩の製造
EtSO2−D−Phe−Ohi−NHCH2C6F3−3−OH−4−C(N
H)NH2・HCl
A)[2S−(2α,3aβ,7aβ)]−オクタヒドロインドール−2−カル
ボン酸エチルエステル・HCl(Ohi−OEt−HCl)の製造
HClガスを、(S)−インドリン−2−カルボン酸(20g,110mmo
l)の攪拌しているエタノール(400mL)懸濁液に通して泡立たせた。酸が
完全に溶解してから、その溶液を還流した。16時間後にその溶液を冷却して溶
媒を真空中で除いた。残渣をジエチルエーテルと共に粉にして、生成した灰色の
白色固体を濾過して集めヘキサンで洗滌して、一晩30℃の真空乾燥器で乾燥し
た(25.5g,100%)。この固体(S)−インドリン−2−カルボン酸エ
チルエステル塩酸塩をエタノール(455mL)中に溶かした。これに対して5
%Pd/C(25.5g)を加えて、得られた懸濁液を8時間振盪機の上で4.
1バールにて水素化した。この溶液を濾過して触媒を除き、濾液を固体を濾液を
真空中で濃縮した。その残渣をジエチルエーテルと共に粉にし、その結果得られ
た固体を濾過により分離して、18.8g(73%)の白粉粉末を得た。1
H NHR
FD−MS,m/e 197(M+)
C11H19NO2・HClに対する分析:
計算値: C,56.53;H,8.63;N,5.99;
実測値: C,56.24;H,8.44;N,6.00.
B)EtSO2−D−Phe−Ohi−OEt
実施例5に記述した方法と実質的には同等な方法によって、EtSO2−D−
Phe−Ohi−OEtをEtSO2−D−Phe−OHおよびHCl・Ohi
−OEtから製造した(57%)。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 436.1(M+)
C22H32O5Sに対する分析:
計算値: C,60.53;H,7.39;N,6.42;
実測値: C,60.62;H,7.31;N,6.22.
C)EtSO2−D−Phe−Ohi−OH
EtSO2−D−Phe−Ohi−OEt(12g,27.5mmol)のp
−ジオキサン(300mL)の攪拌溶液に、LiOH−H2O(2.3g,55
mmol)の水溶液(150mL)を加えた。16時間攪拌した後、溶媒を真空
中で除去し、残渣を水に再溶解して、ジエチルエーテルで2回洗滌した。水相を
5NHClで酸性にして、沈殿を濾過し、水で洗滌して、真空中で乾燥し、10
.1g(90%)の明るい黄色の固体を得た。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 409.1(M+)
C20H28N2O5Sに対する分析:
計算値: C,58.80;H,6.91;N,6.86;
実測値: C,58.70;H,7.00;N,6.63.
D)EtSO2−D−Phe−Ohi−NHCH2C6H3−3−OH−4−C
(NH)NH2・HClの製造
実施例5に記述した方法と実質的には同等な方法によって、400mgのEt
SO2−D−Phe−Ohi−NHCH2C6H3−3−OH−4−(NH)NH2
・HClを得た。HPLC方法1(2.5時間で)80/20A/Bから3
0/70A/Bのグラジエントを用いた。1
H NHR
FD−MS,m/e 556.1(MH+)
C28H37N5O5S・2HCl・1.3H2Oに対する分析:
計算値: C,51.58;H,6.43;N,10.74;
実測値: C,51.51;H,6.22;N,10.71.
実施例8
1−[N−エチルスルフォニル−D−シクロヘキシルアラニル]−N−[[4−
(アミノイミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−[2S−(2α
,3aβ,7aβ)]−オクタヒドロインドール−2−カルボキシアミド塩酸塩
の製造
EtSO2−D−Cha−Ohi−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(N
H)NH2・HCl
A)EtSO2−D−Cha−Ohi−OHの製造
実施例5−Dに記述した方法と実質的には同等なる方法によって、EtSO2
−D−Cha−Ohi−OHをEtSO2−D−Phe−Ohi−OHから製造
した(95%)。
IR1
H NHR
FD−MS,m/e 415.3(MH+)
B)EtSO2−D−Cha−Ohi−NHCH2C6H3−3−OH−4−C
(NH)NH2・HClの製造
実施例5−Eに記述した方法を実質的には同等な方法によって、744mgを
得た。1
H NHR
FD−MS,m/e 562.1(MH+)
C28H43N5O5S・2HCl・2H2Oに対する分析:
計算値: C,50.15;H,7.36;N,10.44;
実測値: C,50.31;H,6.97;N,10.49.
実施例9
1−[N−エチルスルフォニル−D−フェニルアラニル]−N−[[4−(アミ
ノイミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−S−アゼチジン−2−
カルボキシアミド塩酸塩の製造
EtSO2−D−Phe−Azt−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(N
H)NH2・HCl
実施例5に記述した方法と実質的には同等な方法によって350mgを得た。1
H NHR
FD−MS,m/e 488.0(MH+)
C23H29N5O5S・3HClに対する分析:
計算値: C,46.28;H,5.40;N,11.73;
実測値: C,46.22;H,5.10;N,11.49.実施例10
1−[N−エチルスルフォニル−D−シクロヘキシルアラニル]−N−[[4−
(アミノイミノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−S−アゼチジイ
ン−2−カルボキシアミド塩酸塩の製造
EtSO2−D−Cha−Azt−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(N
H)NH2・HCl
実施例5に記述した方法と実質的には同等なる方法により、284mgを得た
。1
H NHR
FD−MS,m/e 494.0(MH+)
C23H35N5O5S・2.5HCl・0.9H2Oに対する分析:
計算値: C,45.97;H,6.59;N,11.65;
実測値: C,46.25;H,6.27;N,11.31.
実施例11
N−エチルスルフォニル−D−フェニルアラニル−N−[[4−(アミノイミノ
メチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]−L−プロリンアミド塩酸塩の製
造
EtSO2−D−Phe−Pro−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(
NH)NH2・HCl
実施例5に記述した方法と実質的に同等な方法によって、151mgを得た
。
1H NHR
FD−MS,m/e 502.1(MH+)
C24H31N5O5S・3HCl・1.5H2Oに対する分析:
計算値: C,45.18;H,5.85;N,10.97;
実測値: C,45.12;H,5.45;N,10.85.
実施例12
N−エチルスルフォニル−D−フェニルアラニル−N−[[4−(アミノイミ
ノメチル)−3−ヒドロキシフェニル]メチル]サルコシンアミド塩酸塩の製造
EtSO2−D−Phe−Sar−NHCH2C6H3−3−OH−4−C(
NH)NH2・HCl
実施例5に記述した方法と実質的には同等な方法によって、151mgを得
た。
1H NHR
FD−MS,m/e 476.1(MH+)
C22H29N5O5S・2.5HCl・0.5H2Oに対する分析:
計算値: C,45.90;H,5.69;N,12.16;
実測値: C,45.72;H,5.36;N,12.03.
─────────────────────────────────────────────────────
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