JPH07278093A - 抗血栓物質 - Google Patents

抗血栓物質

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JPH07278093A
JPH07278093A JP7043920A JP4392095A JPH07278093A JP H07278093 A JPH07278093 A JP H07278093A JP 7043920 A JP7043920 A JP 7043920A JP 4392095 A JP4392095 A JP 4392095A JP H07278093 A JPH07278093 A JP H07278093A
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JP
Japan
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formula
compound
thrombin
alkyl
acid
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Withdrawn
Application number
JP7043920A
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English (en)
Inventor
Robert T Shuman
ロバート・セオドア・シューマン
Gerald F Smith
ジェラルド・フロイド・スミス
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Eli Lilly and Co
Original Assignee
Eli Lilly and Co
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K5/00Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K5/04Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof containing only normal peptide links
    • C07K5/06Dipeptides
    • C07K5/06008Dipeptides with the first amino acid being neutral
    • C07K5/06078Dipeptides with the first amino acid being neutral and aromatic or cycloaliphatic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/02Antithrombotic agents; Anticoagulants; Platelet aggregation inhibitors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K5/00Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K5/04Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof containing only normal peptide links
    • C07K5/06Dipeptides
    • C07K5/06139Dipeptides with the first amino acid being heterocyclic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式I: 【化1】 [式中、R、XおよびYは明細書中と同義である]で示
される新規L−アルギニンアルデヒド誘導体およびその
製法ならびにこれらの化合物を含む医薬製剤が提供され
る。 【効果】 本発明の化合物はトロンビン阻害物質、凝固
阻害物質および血栓塞栓症用物質として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は哺乳類における有用な抗
凝固薬であるトロンビン阻害物質に関する。さらに具体
的には、高い抗血栓活性、抗凝固活性および経口の生体
利用性を持つL−アルギニンアルデヒド誘導体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血液凝固の過程である血栓症はトロンビ
ンの形成に至る複雑な蛋白質分解的過程が引き金とな
る。トロンビンは、血漿に可溶性であるフィブリノーゲ
ンのAα−鎖およびBβ−鎖から活性化ペプチドを蛋白
質分解的に除去して不溶性のフィブリン形成を開始させ
る。
【0003】抗凝固は現在ではヘパリン類とクマリン類
の投与により達成されている。
【0004】凝固と血栓症の非経口的薬理学的コントロ
ールはヘパリン類の使用によるトロンビンの阻害に基づ
いている。ヘパリンは内因性抗トロンビンIII(トロン
ビンの主要な生理学的阻害物質)の阻害作用を促進する
ことによって間接的にトロンビンに作用する。抗トロン
ビンIII濃度が血漿中で変化するためおよび表面−結合
トロンビンがこの間接的機構に対して抵抗性であると思
われるため、ヘパリン類が無効な処置になることもあ
る。凝固検定は有効性と安全性とに関連すると考えられ
るので、凝固検定(殊に、活性化部分トロンボプラスチ
ン時間(APTT)検定)でヘパリン濃度を監視しなけ
ればならない。クマリンは、プロトロンビンおよび他の
この型の蛋白質の合成における翻訳後のガンマカルボキ
シル化を阻害することによって、トロンビンの生成を妨
害する。その作用機構のために、クマリン類の効果は投
与の6〜24時間後に徐々にしか現れることができな
い。さらに、これらは選択的な抗凝固剤ではない。ま
た、クマリン類も凝固検定(殊にプロトロンビン時間
(PT)検定)で監視する必要がある。
【0005】最近、天然基質と類似の様式で蛋白質分解
酵素によって認識される小さな合成ペプチドに興味が持
たれている。Bajuszら[J.Med.Chem.,33,1729-1735
(1990年)]は、D−Phe−Pro−Arg−H、Boc−D−
Phe−Pro−Arg−HおよびD−MePhe−Pro−Arg
−Hのようなトリペプチドアルデヒドにおいて強力で直
接的なトロンビン阻害を証明した。多数の研究者、例え
ば、Shumanら[J.Med.Chem.,36,314-319 (1993年)]
ならびに欧州特許出願公開第479489号および第5
42525号が、医薬物質を開発する努力において類似
体を合成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ヘパリン類およびクマ
リン類は効果的な抗凝固薬であり、既知のトリペプチド
アルデヒドからの薬物は未だ現れておらず、この類の化
合物が継続して有望視されているにも関わらず、選択的
にトロンビンに作用し、抗トロンビンIIIに非依存的で
あり、好ましくは経口経路による投与の直後に阻害作用
を示し、さらに止血を維持するために必要な血餅の分解
を阻害しない抗凝固薬への需要が存在する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に定義し
た本発明の化合物が経口投与後の高い生体利用率をもち
得る強力なトロンビン阻害物質であることを発見したこ
とに関する。
【0008】従って、強力なトロンビン阻害物質であ
り、抗凝固薬として有用な新規L−アルギニンアルデヒ
ド誘導体を提供することが本発明の第一の目的である。
【0009】他の目的、特徴および利点は以下の記載と
特許請求の範囲から当業者にとっては明白になるであろ
う。
【0010】本発明は、式I:
【化4】 [式中、Xは式:
【化5】 で示される基であり;Qは−OH、C1〜C4アルコキ
シ、または−NH−Aであり;Aは水素、C1〜C4アル
キル、アセチル、CF3C(O)−、CF3CF2C(O)
−、R"SO2−、ベンジルオキシカルボニル、またはt
−ブチルオキシカルボニルであり;R'は水素、C1〜C
4アルキル、フェニル、またはベンジルであり;R"はC
1〜C4アルキル、−(CH2)d−COOH、または未置換
もしくは置換されたアリール(Ar)(ここに、アリール
はフェニル、ナフチル、硫黄、酸素および窒素から選択
される同一もしくは異なる1もしくは2個のヘテロ原子
をもつ5もしくは6員の未置換もしくは置換された芳香
族複素環、または硫黄、酸素および窒素から選択される
同一もしくは異なる1もしくは2個のヘテロ原子をもつ
9もしくは10員の未置換もしくは置換された縮合二環
式芳香族複素環である)であり;dは1、2、または3
であり;mは0、1、または2であり;nは0、1、ま
たは2であり;Yは式:
【化6】 で示される基であり;Rはメチルまたはエチルであり;
そしてZは水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキ
シ、ヒドロキシ、ハロ、またはRaSO2NH−(ここ
に、RaはC1〜C4アルキルである)である]で示され
るトロンビン阻害化合物またはその薬学的に許容し得る
塩、または該化合物もしくはその塩の薬学的に許容し得
る溶媒和物を提供する。
【0011】式Iで示される化合物に加え、本発明は式
Iで示される化合物を薬学的に許容しうる担体、希釈剤
または添加剤とともに含む医薬製剤を提供する。
【0012】また本発明は、式Iで示される化合物の抗
血栓用量を処置を要する哺乳類に投与することからな
る、哺乳類の血栓症を阻害する方法も提供する。
【0013】さらに本発明は、式Iで示される化合物の
トロンビン阻害用量を処置を必要とする哺乳類に投与す
ることからなる、トロンビンを阻害する方法を提供す
る。
【0014】本発明はトロンビンの新規阻害物質、この
化合物を活性成分として含む医薬組成物、ならびに静脈
血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、殊に心筋虚血、心筋梗
塞および脳血栓症のような血栓塞栓症、血管形成術およ
び冠状動脈バイパス手術後に現れるような全般的過凝固
状態および局所的過凝固状態、および炎症過程に関連す
る全般的組織損傷の予防および処置のための抗凝固薬と
してのこの化合物の使用に関する。
【0015】用語「アルキル」はそれ自体が、または他
の置換基の一部として、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル
およびsec−ブチルのような指定する数の炭素原子を持
つ直線状または分枝状鎖のアルキル基を意味する。
【0016】用語「アルコキシ」は酸素原子によって親
基に結合している指定する数の炭素原子を持つ直線状ま
たは分枝状鎖のアルキル基を意味する。用語「ハロ」は
クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを意味する。用
語「アセチル」はCH3−C(O)−を意味する。用語「t
−ブチルオキシカルボニル」は(CH3)3C−O−C(O)
−を意味し、「Boc」と省略される。用語「ベンジルオ
キシカルボニル」はC65CH2−O−C(O)−を意味
し、「Cbz」と省略される。
【0017】用語「5員または6員の複素環」は窒素原
子1個または2個、硫黄原子1個、酸素原子1個、窒素
原子1個と硫黄原子1個、または窒素原子1個と酸素原
子1個を含む安定な構造を与える5員または6員環のど
れかを意味する。5員環は二重結合1個または2個を持
ち、6員環は二重結合2個または3個を持つ。このよう
な複素環系にはフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリ
ル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イ
ソチアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、
ピラジニル、オキサジニルおよびチアジニルが含まれ
る。
【0018】用語「9員または10員の複素環」は前記
5員または6員環のどれかがベンゼン環または安定な構
造を与える上記定義の他の6員複素環に縮合した二環式
基のどれかを意味する。これらの複素環系にはインドリ
ル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンズオキサゾリ
ル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、キノ
リニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリルおよびベ
ンゾチアゾリルが含まれる。
【0019】前記複素環の多くが互変異形態で存在しう
ることは認識されるであろう。これらの形態はすべて本
発明の範囲内に含まれる。
【0020】Arの定義のために挙げたアリール基はす
べて未置換であるか、またはハロ、ヒドロキシル、C1
〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、アミノ(−N
2)、置換アミノ(−NHR1)、−(CH2)kCOO
H、メルカプト、および置換チオ(−S(O)h1)[R
1はC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、(C1〜C4
アルキル)S(O)h−、アミノ、C1〜C4アルキルアミ
ノ、(C1〜C4アルキル)−C(O)−または(C1〜C4
ルキル)SO2NH−であり、hは0、1または2であ
り、そしてkは0、1、2、3、または4である]から
独立して選択される安定な構造を与える置換基1個また
は2個で置換されている。
【0021】式Iにおいて、X基のカルボニル官能基は
Y基のアミン官能基に結合している。次に、Yのカルボ
ニル官能基が、式Iに示したアミノ基に結合している。
【0022】式:
【化7】 [式中、ZおよびAは両方とも水素である]で示される
基は、本明細書中、フェニルグリシルと言及することも
あり、Phgと省略する。Aが、例えば、メチルである化
合物はN(α)メチル−フェニルグリシル基と言及し、M
ePhgと省略する。Zが水素以外である置換化合物は、
置換基の種類および位置によって言及する[例えば、
3'−クロロフェニルグリシルまたはPhg(3−Cl)]。
【0023】式:
【化8】 [式中、ZおよびAは両方とも水素である]で示される
基は、本明細書中、フェニルアラニルと言及することも
あり、Pheと省略する。Aが、例えば、メチルである化
合物はN(α)メチル−フェニルアラニル基と言及し、M
ePheと省略する。Zが水素以外である置換化合物は、
置換基の種類および位置によって言及する[例えば、
3'−クロロフェニルアラニルまたはPhe(3−Cl)]。
【0024】式:
【化9】 [式中、R'は水素である]で示される基は、本明細書
中、各々1−および3−テトラヒドロ−イソキノリンカ
ルボキシレートと言及することもあり、各々1−Tiqお
よび3−Tiqと省略する。
【0025】式:
【化10】 [式中、R'は水素である]で示される基は、本明細書
中、各々1−および3−ペルヒドロ−イソキノリンカル
ボニルと言及することもあり、各々1−Piqおよび3−
Piqと省略する。波線によって示すように、これら置換
基の種々の環縮合異性体が存在する。本発明はあらゆる
個々の異性体およびその組合せを意図している。
【0026】式:
【化11】 で示される基は、各々プロリニルおよびアゼチジン−2
−カルボキシルと言及し、各々ProおよびAztと省略す
る。
【0027】式IおよびY置換基中の星印は(L)である
キラル中心を示す。X置換基中の星印は(D)または(D
L)であるキラル中心を示す。
【0028】さらに、アルキル置換基の分枝に依存して
ジアステレオマーが存在し得る。本発明の化合物には、
2またはそれ以上のジアステレオマーの混合物ならびに
各々個々の異性体が含まれる。
【0029】以下の化合物は、式Iの範囲内に意図され
る化合物を例示するものである:D−フェニルアラニル
−L−プロリニル−L−(α−メチル)アルギニン アル
デヒド;D−フェニルグリシル−L−アゼチジン−2−
カルボニル−L−(α−メチル)アルギニン アルデヒ
ド;D−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル−
3−カルボニル−L−アゼチジン−2−カルボニル−L
−(α−エチル)アルギニン アルデヒド;D−2−ナフ
チルアラニン−L−アゼチジン−2−カルボニル−L−
(α−メチル)アルギニン アルデヒド;およびD−ペル
ヒドロイソキノリニル−1−カルボニル−L−プロリニ
ル−L−(α−メチル)アルギニン アルデヒド。
【0030】本発明の好ましい化合物は、Aが水素であ
り、XがMePhe、1−もしくは3−Tiq、または1−
もしくは3−Piqであり、かつYが式Iについて上記の
ように定義された基である、式Iの化合物ならびにその
薬学的に許容し得る塩および溶媒和物である。
【0031】前記の通り、本発明は前記式Iで定義され
る化合物の薬学的に許容しうる塩を包含する。本発明の
特定の化合物は十分に塩基性の官能基1個またはそれ以
上を持つことができ、従って任意の多数の無機および有
機酸と反応して薬学的に許容しうる塩を形成することが
できる。酸付加塩を形成させるために通常用いる酸は塩
酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、燐酸などの無機
酸およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、
シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハ
ク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。
即ち、薬学的に許容しうる塩の例は硫酸塩、ピロ硫酸
塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、燐酸塩、一水素
燐酸塩、二水素燐酸塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩、塩酸
塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ
酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロ
ピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、
スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸
塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸
塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸
塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メト
キシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレン
スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸
塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ−ヒ
ドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンス
ルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−
スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデ
ル酸塩などである。好適な薬学的に許容しうる酸付加塩
は塩酸、臭化水素酸および硫酸のような鉱酸で形成され
る塩である。
【0032】本発明の化合物は、適当な溶媒と水和物お
よび溶媒和物を形成することがわかっている。溶媒和物
型の調製に好ましい溶媒には、水、アルコール、テトラ
ヒドロフラン、DMF、およびDMSOが含まれる。好
ましいアルコールはメタノールおよびエタノールであ
る。他の適当な溶媒を、溶媒分子のサイズに基づいて選
択してもよい。小さい溶媒分子は対応する溶媒和物形成
を促進するのに好ましい。溶媒和物または水和物は、再
結晶または塩形成の過程において普通形成される。溶媒
和物に関する有用な文献の1つとして、Sykes、Peter
の「有機化学における機構の手引」第6版[1986、 John
Wiley & Sons, New York]が挙げられる。本明細書中
で用いる用語「溶媒和物」は、一水和物および二水和物
のような水和物型を包含する。
【0033】式Iで示される化合物は公知のペプチド結
合法によって製造される。この方法の一つに従えば、酸
P−X'−COOH[ここに、−X'−C(O)−は式Iの
ために定義した−X−と同義を持ち、Pはアミノ保護基
である]を、カルボキシ保護プロリン(またはアゼチジ
ン−2−カルボン酸)と結合させてジペプチド(a)を
形成させる。Xがカルボキシ基を含む式Iの化合物につ
いて、Pはまたカルボキシ保護基も示し、これをアミノ
保護基に追加してもよい。次にプロリンまたはアゼチジ
ン部分のカルボキシ保護エステル基を除去(脱ブロック
または脱エステル化)し、ジペプチドの遊離酸型(b)
を(αR)アルギニンのラクタム型(d)と結合させる。
上記反応順序を次の反応式1に示す:
【化12】 [反応式中、Pはアミノ保護基を示し;nは1または2
である]。
【0034】結合した(αR)Arg(P)ラクタム生成物
(c)を好ましくは水素化アルミニウムリチウムまたは
水素化トリ−t−ブトキシアルミニウムリチウムである
水素化物還元剤と不活性溶媒または溶媒混合物中で反応
させてラクタム環を還元して、式:
【化13】 P−X'−(C=O)−Pro(またはAzt)−
(αR)Arg(P)−H [式中、Pはアミノまたはカルボキシ保護基である]で
示されるアルギニンアルデヒド型のトリペプチドを得
る。
【0035】保護基を、金属触媒上の水素化のような当
業者に既知の操作により、同時にまたは順に除去する。
【0036】(αR)アルギニンのラクタム型はアミノ保
護αR−置換アルギニン[(αR)Arg−OH]の分子内
結合によって得られる。例えば、式:
【化14】 [式中、Bocはt−ブチルオキシカルボニルであり;C
bzはベンジルオキシカルボニルである]で示されるBoc
−(αR)Arg(Cbz)OHを初めに、たとえばクロロギ酸
エチルないしクロロギ酸イソブチルのようなクロロギ酸
エステルで活性混合無水物のような活性エステル型に変
換する。エステル形成はN−メチルモルホリンのような
三級アミンの存在下に実施する。追加のまたは別の三級
アミン塩基(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプ
ロピルエチルアミンなど)の添加により内部アシル化さ
せて、次式:
【化15】 に示すジ−アミノ保護アルギニンのラクタム型を得る。
上記反応式に示すP−X'−(C=O)−Pro(またはAz
t)−OHとの結合に使用する前に、Bocまたは他のアミ
ン保護基をトリフルオロ酢酸またはHClで選択的に除
去して、必要な遊離アミノ基を得る。
【0037】P−X'−COOH化合物とプロリンまた
はアゼチジン カルボキシエステルとの結合は初めにア
ミノ酸のアミノ基を保護することにより実施する。アミ
ノ基の一時的保護またはブロックに通常使用される通常
のアミノ保護基を用いる。
【0038】アミノ保護基とは、化合物の他の官能基が
反応する間、アミノ官能基をブロックまたは保護するた
めに通常採用されるアミノ基の置換基を指す。そのよう
なアミノ保護基の例はホルミル基、トリチル基、フタル
イミド基、トリクロロアセチル基、クロロアセチル、ブ
ロモアセチルおよびヨードアセチル基、ベンジルオキシ
カルボニル、t−ブトキシカルボニル、4−フェニルベ
ンジルオキシカルボニル、2−メチルベンジルオキシカ
ルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4
−フルオロベンジルオキシカルボニル、4−クロロベン
ジルオキシカルボニル、3−クロロベンジルオキシカル
ボニル、2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4
−ジクロロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベン
ジルオキシカルボニル、3−ブロモベンジルオキシカル
ボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−シ
アノベンジルオキシカルボニル、2−(4−キセニル)イ
ソプロポキシカルボニル、1,1−ジフェニルエタン−
1−イルオキシカルボニル、1,1−ジフェニルプロパ
ン−1−イルオキシカルボニル、2−フェニルプロパン
−2−イルオキシカルボニル、2−(p−トルイル)プロ
パン−2−イルオキシカルボニル、シクロペンタニルオ
キシカルボニル、1−メチルシクロペンタニルオキシカ
ルボニル、シクロヘキサニルオキシカルボニル、1−メ
チルシクロヘキサニルオキシカルボニル、2−メチルシ
クロヘキサニルオキシカルボニル、2−(4−トルイル
スルホニル)エトキシカルボニル、2−(メチルスルホニ
ル)エトキシカルボニル、2−トリフェニルホスフィノ)
エトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボ
ニル(「FMOC」)、2−(トリメチルシリル)エトキ
シカルボニル、アリルオキシカルボニル、1−(トリメ
チルシリルメチル)−1−プロペニルオキシカルボニ
ル、5−ベンズイソオキサリルメトキシカルボニル、4
−アセトキシベンジルオキシカルボニル、2,2,2−
トリクロロエトキシカルボニル、2−エチニル−2−プ
ロポキシカルボニル、シクロプロピルメトキシカルボニ
ル、4−(デシルオキシ)ベンジルオキシカルボニル、イ
ソボルニルオキシカルボニル、1−ピペリジルオキシカ
ルボニルなどのウレタン型ブロック基、ベンゾイルメチ
ルスルホニル基、2−(ニトロ)フェニルスルフェニル
基、ジフェニルホスフィンオキシド基などのアミノ保護
基を含む。採用するアミノ保護基の種類は誘導化された
アミノ基が分子上の他の位置における後続反応の条件に
安定であって、適当な時点で分子の残部を損なうことな
しに除去できる限り、限定的でない。好適なアミノ保護
基はベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニ
ル、t−ブトキシカルボニルおよびトリチル基である。
セファロスポリン、ペニシリンおよびペプチド分野で使
用される同様なアミノ保護基も前記用語に包含される。
前記用語により示される基の他の例はJ.W.Barton、
「有機化学における保護基(Protective Groups in Org
anic Chemistry)」、J.G.W.McOmie編、Plenum
Press、ニューヨーク、N.Y.、1973年、第2章お
よびT.W.Greene、「有機合成における保護基(Prote
ctive Groups in Organic Synthesis)」、John Wile
y and Sons、ニューヨーク、N.Y.、1981年、第
7章に記載されている。関連する用語「保護(された)ア
ミノ」は前記アミノ保護基で置換されたアミノ基を指
す。
【0039】結合反応を実施するに当り、アミノ保護基
が無傷のままである条件下に除去できる、プロリンのた
めのエステル保護基を採用する。即ち、アシル化する酸
P−X'−COOHのアミノ保護基は、後続するアルギ
ニンラクタム化合物との(c)型にいたる結合反応の
間、アミノ基を保護する位置に残る。
【0040】本明細書に使用するカルボキシ保護エステ
ル基は、化合物の他の官能基で反応が実施されている
間、カルボン酸基をブロックまたは保護するために通常
採用されるカルボン酸基のエステル誘導体の一つを指
す。このようなカルボン酸保護基の例はC1〜C3アルキ
ル、ベンジル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベン
ジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシ
ベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6
−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4
−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4'
−ジメトキシベンズヒドリル、2,2',4,4'−テトラ
メトキシベンズヒドリル、t−ブチル、t−アミル、トリ
チル、4−メトキシトリチル、4,4'−ジメトキシトリ
チル、4,4',4"−トリメトキシトリチル、2−フェニ
ルプロパン−2−イル、トリメチルシリル、t−ブチル
ジメチルシリル、フェナシル、2,2,2−トリクロロエ
チル、β−(トリメチルシリル)エチル、β−(ジ(n−ブ
チル)メチルシリル)エチル、p−トルエンスルホニルエ
チル、4−ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、
シンナミル、1−(トリメチルシリルメチル)−1−プロ
ペン−3−イルなどの基を含む。採用するカルボキシ保
護基の種類は、誘導化されたカルボキシ基が後続する分
子内の他の位置における反応の条件に安定であってかつ
適当な時点で分子の残部を損なうことなしに除去できる
限り、限定的でない。殊に、カルボキシ保護分子を強い
求核塩基またはラネイニッケルのような高度に活性化さ
れた金属触媒を採用する還元条件に暴露しないことが重
要である(このような過激な除去条件は、以下に説明す
るアミノ保護基の除去時にも避けるべきである)。これ
らの基の他の例はE.Haslam、「有機化学における保護
基(Protective Groups in Organic Chemistry)」、
J.G.W.McOmie編、Plenum Press、ニューヨー
ク、N.Y.、1973年、第5章およびT.W.Green
e、「有機合成における保護基(Protective Groups in
Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons、ニ
ューヨーク、N.Y.、1981年、第5章に記載されて
いる。
【0041】また、式Iの化合物は、最初にPro−(ま
たはAzt)−(αR)Argジペプチド前駆体の合成、次い
で保護X−置換基との反応によっても製造し得る。その
方法の一つに従えば、(αR)アルギニン(d)の環状ラ
クタム型を製造し、アミノ保護プロリンまたはアゼチジ
ン−2−カルボン酸(g)と次に示すように結合させて
ジペプチド(h)を得る:
【化16】 [ここに、Pはベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、
t−ブトキシカルボニル(Boc)、p−トルエンスルホニ
ルなどのアミノ保護基を示す]。好ましくは、使用する
アミノ保護基は水素化または緩和な酸(たとえば、トリ
フルオロ酢酸)または強酸(たとえば、HCl)での処
理により除去できるものである。適当な他のアミノ保護
基の例は「有機合成における保護基(Protective Group
s in Organic Synthesis)」、第2版、T.W.Greene
およびPeter G.M.Wuts、第7章、第309〜405
頁、(1991年)、John Wiley and Sons Inc.出
版に記載されている。Bocまたは他の適当な保護基をア
ゼチジン環窒素から除去し、次に所望のアミノ酸アシル
基でアシル化して次に示すようにトリペプチドを得る:
【化17】 結合した(αR)Arg(P)ラクタム生成物(c)を還元
し、保護基を先の記載のように除去する。
【0042】P−X'−COOH化合物の結合は、初め
にアミノ酸のアミノ基を保護して実施する。アミノ基の
一時的な保護またはブロックのために通常用いられる通
常のアミノ保護基を採用できる。この保護基の例は前に
記載した。
【0043】前記結合反応は冷却して、好ましくは約−
20℃〜約15℃の温度で、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレ
ン、クロロホルムなどの通常の溶媒またはこのような溶
媒の混合物のような不活性有機溶媒中で実施する。アシ
ル化する酸の活性エステルを結合反応において用いる時
には一般に無水条件が使用される。
【0044】ラクタム中間体(d)および(f)は、以
下の反応式に要約されるような有機化学の常法によって
製造する:
【化18】
【0045】上記の順に従って、ベンゾフェノンイミン
を用いてアラニン(R=メチル)または2−アミノ酪酸
(R=エチル)を保護し、保護されたアミノ酸(h)を
得ることができる。(h)をα−ハロプロピオニトリル
でアルキル化することによって、アルギニン基の前駆体
を誘導し、(i)を得る。アミンを脱ブロックし、Boc
基のような次の反応により適した保護基で再ブロックし
た後[例えば、中間体(j)]、最初にアミノ酸を脱エ
ステル化し(k)、還元してオルニチン中間体(l)を
得る。塩基中O−メチルイソ尿素での処理によってアル
ギニン誘導体(m)を得る。第一級アミンを、例えば、
Cbz官能基でブロックして(e)を得、次いでこれを上
記のように環化して(f)を得る。Boc保護基を除去す
ることによって第一級アミン(d')を得、次いでこれ
を用いてモノ−またはジ−ペプチドに結合させる。当業
者なら認識しているであろうが、次いで行なう化学反応
の間、官能基を保護する目的を果たし、また、次に行な
う変換が可能なように適当な順序でかつ適当な条件下で
除去し得る限り、他の保護基を選択してもよい。
【0046】本発明の化合物は酸付加塩の型で単離する
のが最善である。前記のような酸とで形成させた式Iで
示される化合物の塩は、この抗血栓物質の投与のための
薬学的に許容しうる塩として、またこれらの物質の製剤
の製造のために有用である。他の酸付加塩を製造し、こ
のペプチドの単離および精製において使用しうる。例え
ば、メタンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、p−トル
エンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸のようなス
ルホン酸とで形成させた塩をそのように使用しうる。
【0047】式Iで示される化合物の精製のため、およ
び同時に所望の安定な塩型を製造するための好適な方法
は、米国特許第5250660号に記載されている。こ
の方法に従えば、水性成分がpH2.5の硫酸または塩
酸からなり、アセトニトリルが有機成分であるC18逆相
クロマトグラフィーによる分取精製により安定な硫酸塩
または塩酸塩が得られる。酸性溶出液のpHをヒドロキ
シル型のアニオン交換樹脂(たとえば、Bio−Rad A
G−1X8)、で約pH4〜6に調整する。pHの調整
後、トリペプチド硫酸塩または塩酸塩の溶液を凍結乾燥
して純粋な塩を乾燥粉末の形で得る。この工程の一例に
おいて、粗製のD−MePhe−Pro−Arg(αMe)−H
スルフェートを水に溶かし、この溶液をVydac C18
P−HPLCカラム(5cm×50cm)に入れる。2〜1
0%B(A=0.01%H2SO4、B=アセトニトリ
ル)の勾配を10時間かけて用いる。多数の分画を取
り、分析用PR−HPLCで測定して生成物を含む分画
を集める。集めた分画のpHをヒドロキシド型AG−1
X8樹脂(Bio−Rad、3300 Ragatta Blvd.,R
ichmond,CA 94804)で4.0〜4.5に調整す
る。この溶液を濾過し、濾液を凍結乾燥して純粋なD
−,L−,L−トリペプチドを硫酸塩の形で得る。
【0048】X置換基のジアステレオマーの光学活性異
性体も本発明の一部である。この光学活性異性体は対応
する光学活性前駆体から前記方法またはラセミ混合物の
分割により製造しうる。この分割はキラル試薬での誘導
体化およびその後のクロマトグラフィーまたは反復結晶
化によって実施することができる。常法によるキラル助
剤の除去により、本発明の化合物またはその前駆体の実
質的に光学的に純粋な異性体が得られる。分割に関する
さらなる詳細は、Jacquesなどの「エナンチオマー、ラ
セメートおよび分割(Enantiomers, Racemates, and Re
solutions)」、John Wiley and Sons Inc.(19
81年)に見られる。
【0049】本発明の化合物の合成における最初の出発
物質として採用される化合物は良く知られており、商業
的に入手できないものは当業者により通常採用される常
法により容易に合成される。
【0050】
【実施例】以下の実施例は本発明をさらに説明するため
に提供するが、本発明を限定するものと解釈すべきでは
ない。
【0051】以下の実施例におけるRf値は、特段の記
載がない限り、キーゼルゲル60F−254(メルク
社、ダルムシュタット)を用いる次の溶媒系によるシリ
カゲル薄層クロマトグラフィーにより測定した:(A)
クロロホルム−メタノール−酢酸、135:15:1、
(B)酢酸エチル−酢酸−無水アルコール、90:10:
10、(C)クロロホルム−メタノール−酢酸、90:
30:5。
【0052】実施例中で用いる略号は次の意味を持つ。 アミノ酸:Arg=アルギニン、Pro=プロリン、Phe=
フェニルアラニル、1−Tiq=1−テトラヒドロイソキ
ノリンカルボキシレート Boc=t−ブチルオキシカルボニル Cbz=ベンジルオキシカルボニル DMF=ジメチルホルムアミド EtOAc=酢酸エチル Et2O=ジエチルエーテル FAB−MS=高速原子衝撃質量スペクトル THF=テトラヒドロフラン TLC=薄層クロマトグラフィー
【0053】特段の記載がない限り、pH調整および後
処理は水性の酸または塩基溶液で行った。
【0054】実施例1 D−N−メチルフェニルアラニ
ル−L−プロリニル−L−α−メチルアルギニン アル
デヒド[D−MePhe−Pro−Arg(αMe)−H]
【化19】 A)エチル N(α)ジフェニルメチレン−L−アラニネ
ートの製造 ベンゾフェノンイミン(53.4g、286mmol)を塩化
メチレン(400ml)に溶解し、室温で撹拌した。この
溶液にL−アラニンエチルエーテル(43.9g、286
mmol)を加え、反応液を室温で48時間撹拌した。この
反応液を水(200ml)で3回洗浄した。有機層を分離
し、乾燥させ(MgSO4)、濾液を真空下で濃縮して透
明なオイルを得た。このオイルをペンタンから結晶化さ
せ、標記化合物(72.1g、90%)を得た。 FAB−MS 282(MH+) C1819NO2としての元素分析 計算値:C 76.84;H 6.81;N 4.98 実測値:C 76.73;H 6.68;N 5.22
【0055】B)エチルN(α)ジフェニルメチレン−D
L−(α−プロピオニトリル)アラニネートの製造 無水THF(300ml)中のエチルN(α)ジフェニルメ
チレン−L−アラニネート(20g、71.2mmol)溶液
を18−クラウン−6(18.8g、71.2mmol)、水
素化カリウム(17.8g、106.8mmol)、およびT
HF(100ml)に加え、不活性雰囲気下で撹拌した。
反応液を0℃に冷却し、THF(20ml)に溶解したブ
ロモプロピオニトリル(8.9ml、106.8mmol)を滴
下した。この反応液を室温まで温め、撹拌した(2時
間)。この反応液に氷酢酸(6.5ml)、水(25m
l)、およびTHF(20ml)を含有する溶液を滴下し
た。この反応液を酢酸エチルおよび水で希釈した。有機
層を分離し、水で3回洗浄し、乾燥させた(MgS
4)。濾液を真空下で濃縮してオイルを得た。この粗
製のオイルを塩化メチレン/シクロヘキサンに溶解し、
シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。(A)ヘキサ
ンおよび(B)EtOAcから成る段階勾配系を用いて、
純粋化合物を溶離した。用いた勾配はEtOAcの濃度を
0%から25%まで増加させた。TLCプロフィールに
基づいて、分画を集めてプールした。一緒にした分画を
真空下で濃縮して、標記化合物(15.5g、65%)の
透明なオイルを得た。 FAB−MS 335(MH+
【0056】C)エチルDL−(α−プロピオニトリル)
アラニネートの製造 ジエチルエーテル(90ml)中のエチルN(α)ジフェニ
ルメチレン−DL−(α−プロピオニトリル)−アラニネ
ート(15.2g、45.4mmol)溶液を0℃に冷却し
た。反応液に1N HCl(54ml)を滴下した。この反
応液を室温まで温めて撹拌した(24時間)。水層を分
離し、ジエチルエーテルで3回抽出した。水層を分離
し、真空下で濃縮して標記化合物(9.7g、100%)
の透明なオイルを得た。 FAB−MS 171(MH+
【0057】D)エチルN(α)t−ブチルオキシカルボ
ニル−DL−(α−プロピオニトリル)アラニネートの製
造 THF(50ml)中のエチルDL−(α−プロピオニト
リル)アラニネート(7.8g、37.8mmol)溶液にジイ
ソプロピルエチルアミン(6.6ml、37.8mmol)を加
え、室温で撹拌した。ジ−tert−ジ炭酸ブチル(9.6m
l、41.6mmol)を加えて、反応液を撹拌した(24時
間)。この反応液をEtOAc/水で希釈し、有機層を分
離した。この有機溶液を0.1N HClで2回洗浄し、
乾燥させ(MgSO4)、濾液を真空下で濃縮してオイル
を得た。このオイルをペンタンから結晶化させて標記化
合物(7.45g、73%)を得た。 FAB−MS 271(MH+) C132224としての元素分析 計算値:C 57.76;H 8.00;N 10.36 実測値:C 57.76;H 8.30;N 10.45
【0058】E)N(α)t−ブチルオキシカルボニル−
DL−(α−プロピオニトリル)アラニンの製造 THF(100ml)および水(58ml)中のエチルN
(α)t−ブチルオキシカルボニル−DL−(α−プロピオ
ニトリル)−アラニネート(12.6g、46.4mmol)溶
液を撹拌し、冷却した(0℃)。反応液に1N NaOH
(47ml、47mmol)を加え、この溶液を0℃で30分
間、そして室温で(4時間)撹拌した。有機溶媒を真空
下で蒸発させ、EtOAc(100ml)および水(100
ml)を残渣に加えた。水層を分離し、溶液を3N HCl
でpH2.8に調節し、酢酸エチル(150ml)を加え
た。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾液を真
空下で濃縮して透明なオイルを得た。このオイルをEt
OAc/ペンタンから結晶化させて、標記化合物(9.7
g、86%)を得た。 FAB−MS 243(MH+
【0059】F)N(α)t−ブチルオキシカルボニル−
DL−(αMe)オルニチンの製造 エチルアルコール(135ml)中のN(α)t−ブチルオ
キシカルボニル−DL−(α−プロピオニトリル)アラニ
ン(10.8g、44.4mmol)溶液を、60℃で24時
間、Parr振盪器において4.1バール(60psi)の酸
化白金(3g)上の水素と反応させた。反応混合物を珪
藻土パッドで濾過し、濾液を真空下で濃縮した。固体を
THF、ジエチルエーテル、およびペンタンの混合物で
トリチュレートした。この固体を濾過し、乾燥させて純
粋な標記化合物(8.2g、75%)を得た。
【0060】G)N(α)t−ブチルオキシカルボニル−
DL−(αMe)アルギニンの製造 水(80ml)中のN(α)t−ブチルオキシカルボニル−
DL−(αMe)オルニチン(7.6g、30.9mmol)溶液
を、2N NaOHでpH10.5に調節し、硫酸水素O−
メチルイソ尿素(10.6g、61.7mmol)を加えた。
反応液を室温で48時間撹拌した。この反応液を0℃に
冷却し、固体を濾過し、真空下で乾燥させて、純粋な標
記化合物(5.8g、61%)を得た。 FAB−MS 289(MH+
【0061】H)Boc−DL−Arg(αMe)(Cbz)−O
Hの製造 水(50ml)中のN(α)t−ブチルオキシカルボニル−
DL−(αMe)アルギニン(5.7g、18.4mmol)溶液
を、5N NaOHでpH13.4に調節した。反応液を−
5℃まで冷却し、クロロギ酸ベンジル(11ml、73.
5mmol)を滴下しながら、5N NaOHを用いてpH1
3.2〜13.5に維持した。この反応液を−5℃でさら
に1時間撹拌し、H2O(100ml)およびEt2O(1
00ml)で希釈した。水層を分離し、Et2O(100m
l)で抽出した。この水層を4NHClでpH3.0に酸性
化し、EtOAc(200ml)で抽出した。この水層をE
tOAcで2回抽出した。一緒にしたEtOAc層を水で洗
浄し、乾燥させた(MgSO4)。有機溶液を真空下で濃
縮乾固させて、標記化合物(3.9g、50%)を得た。 FAB−MS 423(MH+) C203046としての元素分析 計算値:C 56.86;H 7.16;N 13.26 実測値:C 56.79;H 7.18;N 13.13
【0062】I)Boc−DL−Arg(αMe)(Cbz)−ラ
クタムの製造 THF(80ml)中のBoc−DL−Arg(αMe)(Cbz)
−OH(3.76g、8.9mmol)溶液を−10℃に冷却し
た。反応混合物にトリエチルアミン(1.3ml、9.3mm
ol)、次いでクロロギ酸イソブチル(1.22ml、9.3
mmol)を加えた。反応液を−10℃で5分間撹拌し、さ
らにトリエチルアミン(1.3ml、9.3mmol)を加え
た。この反応液を−10℃で1時間および室温で24時
間撹拌した。反応液を氷水(200ml)中に注ぎ、得ら
れた沈殿物を濾過し、冷水で洗浄して、固体を真空下で
乾燥させた。この固体をジエチルエーテルから結晶化さ
せて、純粋な標記化合物(3.4g、95%)を得た。 FAB−MS 405(MH+) C202845としての元素分析 計算値:C 59.39;H 6.98;N 13.85 実測値:C 59.65;H 7.16;N 13.16
【0063】J)DL−Arg(αMe)(Cbz)−ラクタム・
HClの製造 HClガスで飽和させたEtOAc(20ml)溶液を、室
温でCH2Cl2(10ml)に溶解したBoc−DL−Arg
(αMe)(Cbz)−ラクタム(3.03g、7.5mmol)溶液
に加えた。反応液を室温で30分間撹拌した。得られた
沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空下で
乾燥させて、純粋な標記化合物(2.58g、100%)
を得た。 FAB−MS 305(MH+
【0064】K)Cbz−D−MePhe−Pro−Arg(αM
e)(Cbz)−ラクタムの製造 DMF(40ml)中のCbz−D−MePhe−Pro−OH
(1.64g、3.2mmol)溶液を0℃に冷却した。この
溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.44
g、3.2mmol)、ジシクロヘキシル−カルボジイミド
(0.67g、3.2mmol)、DL−Arg(αMe)(Cbz)−
ラクタム・HCl(1.1g、3.2mmol)、およびジイソ
プロピル−エチルアミン(0.84ml、4.8mmol)を加
えた。反応液を0℃で1時間および室温で48時間撹拌
した。反応沈殿物を濾過し、濾液を真空下で濃縮してオ
イルを得た。このオイルをEtOAc(200ml)および
水(100ml)に溶解した。有機層を分離し、順に1N
NaHCO3、水、1.5N クエン酸、および水で洗浄
した。この有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾液を蒸発
させて非結晶固体にした。この粗製の固体をクロロホル
ムに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。
(A)クロロホルムおよび(B)アセトニトリルから成
る段階勾配系を用いて、適正なジアステレオマーのペプ
チドを溶離した。用いた勾配はCH3CNの濃度を0%
から50%まで増加させた。TLCプロフィールに基づ
いて、分画を集めてプールした。一緒にした分画を真空
下で濃縮して、標記化合物(0.71g、32%)の透明
なオイルを得た。 FAB−MS 697(MH+
【0065】L)Cbz−D−MePhe−Pro−Arg(αM
e)(Cbz)−Hの製造 Cbz−D−MePhe−Pro−Arg(αMe)(Cbz)−ラクタ
ム(0.67g、0.962mmol)を無水THF(35m
l)に溶解し、不活性雰囲気下でフラスコ中に入れた。
反応液を−65℃に冷却し、THF(1.0ml、1.0mm
ol)中の1M 水素化アルミニウムリチウムを滴下し
た。この反応液を−65℃で35分間撹拌した。THF
(5ml)および0.5N H2SO4(0.8ml)の溶液を
滴下し、反応液をEtOAc(100ml)および水(50
ml)で希釈した。有機層を分離し、水で1回洗浄し、乾
燥させた(MgSO4)。濾液を真空下で濃縮乾燥させて
非結晶固体にして、標記化合物(0.74g、115%)
を得た。 TLC Rf(A) 0.45
【0066】M)D−MePhe−Pro−Arg(αMe)−H
の製造 Cbz−D−MePhe−Pro−Arg(αMe)(Cbz)−H
(0.74g、1.05mmol)をエタノール(75ml)、
水(25ml)、および1N HCl(1.9ml、1.9mmo
l)に溶解し、周囲温度および気圧で5%Pd/C触媒
(0.45g)の存在下に水素化した。反応の完了後、触
媒を珪藻土のパッドによる濾過によって除去した。濾液
を真空下で20mlに濃縮し、水(50ml)を加えた。こ
の溶液を、BioRad AG1−X8樹脂(水酸化物型)
でpH4.0に調節した。樹脂を濾過によって除去し、溶
液を凍結乾燥させて、純粋な標記化合物(0.436g、
90%)を二塩酸・一水和物として得た。 FAB−MS 431(MH+); [α]D=−102.9°(C=0.5/0.01N HC
l) C223463・2HCl・1H2Oとしての元素分析 計算値:C 50.67;H 7.34;N 16.12 実測値:C 51.07;H 6.90;N 15.88
【0067】実施例2 D−1−(1,2,3,4−テトラ
ヒドロイソキノリニルカルボニル)−L−プロリニル−
L−α−メチルアルギニン アルデヒド[D−1−Tiq
−Pro−Arg(αMe)−H]
【化20】 上記の実施例1に記載の方法に従って、標記化合物を二
塩酸塩として製造した。 FAB−MS 429(MH+); [α]D=−36.1°(C=0.5/0.01N HCl) C223263・2HClとしての元素分析 計算値:C 52.69;H 6.83;N 16.76 実測値:C 52.40;H 6.61;N 16.57
【0068】本発明の化合物は自然の体内血栓分解能力
を有意に妨害することなしに(本化合物は繊維素溶解に
は低い阻害効果を持つ)、血液凝固に関する他のプロテ
イナーゼおよび非酵素蛋白質と比べてトロンビンを選択
的に阻害するするものと考えられる。さらに、この選択
性は血栓溶解および繊維素溶解の実質的な妨害なしに血
栓溶解物質の使用を可能にするものと考えられる。
【0069】本発明の1つの態様においては、処置を必
要とする哺乳類に有効(トロンビン阻害)用量の式Iで
示される化合物を投与することからなる、哺乳類のトロ
ンビンを阻害する方法を提供する。
【0070】本発明の方法が意図するトロンビン阻害は
医学的な治療および/または予防的な処置の双方を適切
なものとして包含する。
【0071】別の態様では、本発明はヒトまたは動物に
おいて、トロンビンの阻害を必要とする状態の処置に関
する。本発明の化合物はヒトを含む動物において血液お
よび組織内の血栓症および過凝固の処置または予防にお
いて有用であることが期待される。本化合物が潜在的な
有用性を持つ疾患は血液および組織における血栓症およ
び過凝固の処置または予防にある。本化合物が処置およ
び/または予防において潜在的な有用性を持つ疾患は、
静脈血栓症および肺塞栓症、心筋虚血症のような動脈血
栓症、心筋梗塞症、不安定狭心症、血栓症由来の発作お
よび末梢動脈血栓症を含む。さらに、本化合物には冠動
脈疾患、脳動脈疾患および末梢動脈疾患のような動脈硬
化症の予防に有用性が期待される。さらに、本化合物に
は心筋梗塞における血栓溶解にも有用性が期待されてい
る。さらに、本化合物には血栓溶解、経皮管腔間血管形
成術(PTCA)および冠バイパス手術後の再閉塞への
処置または予防における有用性が期待されている。さら
にマイクロ外科手術後の再血栓症の予防に有用性が期待
される。さらに、本化合物には人工の臓器および心臓弁
に関する抗凝固処置に有用性が期待される。さらに、本
化合物には血液透析および播種性静脈内凝固における抗
凝固処置に有用性が期待される。さらに別の期待される
有用性はカテーテルおよび患者の生体内で使用される機
械装置の洗浄において、および血液、血漿および他の血
液製剤に対する生体外抗凝固薬として有用性が期待され
る。さらに、本化合物は転移を含む癌ならびに関節炎お
よび糖尿病を含む炎症性疾患のような血液凝固が基本的
な寄与過程であるか、第二次病理の原因であろう他の疾
病および疾患において有用性が期待される。本抗凝固化
合物は経口的にまたは非経口的、たとえば静脈内注入
(iv)、筋肉内注射(im)または皮下に(sc)に、投与
される。
【0072】治療的および/または予防的な効果を得る
ために本発明により投与される化合物の具体的用量は勿
論、例えば、投与される化合物、投与速度、および処置
される症状を含む、症例をめぐる個々の状況により決定
される。
【0073】前記有用性の各々のための典型的な日用量
は約0.01mg/kgと約1000mg/kgとの間である。投
与処法は変化してよく、たとえば予防的な使用では1日
1回で投与してよく、1日3〜5回の複数回投与が適当
であることもある。特殊な状況では、本発明の化合物は
約0.01mg/kg/時と約20mg/kg/時との間の速度、好
ましくは約0.1mg/kg/時と約5mg/kg/時との間の速度
のiv注入で投与される。
【0074】また、本発明の方法は血栓溶解薬と組合わ
せて、たとえば組織プラスミノーゲンアクティベータ
(t−PA)、修飾t−PA、ストレプトキナーゼまた
はウロキナーゼとともに実用される。血塊の形成が起
き、動脈または静脈が部分的または完全に閉鎖された時
には通常血栓溶解薬を用いる。本発明の化合物はこの溶
解薬の使用前または同時に、またはその使用後に単独で
投与され、好ましくは、さらに血栓形成の再発を予防す
るためにアスピリンと共に投与される。
【0075】また、本発明の方法は血小板凝集を阻止す
る血小板グリコプロテイン受容体(IIb/IIIa)拮抗薬
とともに実用される。本発明の化合物はIIb/IIIa拮抗
薬の使用前または同時に、またはその使用後に血塊の発
生もしくは再発を予防するために投与することができ
る。
【0076】本発明の方法はアスピリンとともに実用さ
れる。本発明の化合物はアスピリンの投与前または同時
に、またはその使用後に血栓再発を予防するために投与
することができる。前記のように、好ましくは本発明の
化合物は血栓溶解薬およびアスピリンとともに投与され
る。
【0077】本発明は前記治療方法において使用するた
めの医薬製剤も提供する。本発明の医薬製剤は、式Iで
示される化合物のトロンビン阻害有効量を薬学的に許容
しうる担体、添加剤または希釈剤とともに含む。経口投
与のためには抗血栓化合物はゼラチンカプセル剤または
錠剤(結合剤、滑沢剤などのような添加剤を含んでいて
よい)に製剤化される。非経口的投与のためには抗血栓
薬は、たとえば生理学的食塩水(0.9%)、5%デキ
ストロース、リンゲル液などのような医薬的に許容しう
る希釈剤中に製剤化される。
【0078】本発明の化合物は約0.1mgと約1000m
gとの間の用量を含む単位用量製剤として製剤化するこ
とができる。本化合物は、例えば硫酸塩、酢酸塩または
燐酸塩のような、医薬的に許容しうる塩の型であるのが
好ましい。単位用量製剤の一例は5mgの本発明の化合物
を医薬的に許容しうる塩として10mlの無菌ガラスアン
プル内に含む。単位用量製剤の他の例は、無菌アンプル
内の等張食塩水20ml中に、医薬的に許容しうる塩とし
ての本発明の化合物約10mgを含む。
【0079】本発明の化合物は経口、経直腸、経皮、皮
下、静脈内、筋肉内および鼻内を含む種々の経路で投与
することができる。本発明の化合物は投与前に製剤化す
るのが好ましい。従って、本発明の別の態様は、式Iで
示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩または
溶媒和物の有効量を医薬的に許容しうる担体、希釈剤ま
たは添加剤と共に含む医薬製剤である。
【0080】そのような製剤における活性成分は、その
製剤の0.1重量%から99.9重量%を占める。「薬学
的(医薬的)に許容しうる」とは、担体、希釈剤または添
加剤がその製剤の他の成分に適合し、その処方に対して
有害ではないことを意味する。本発明の医薬製剤は、周
知の容易に入手しうる添加剤を用いて公知の操作により
製造する。本発明の組成物を調製するに当り、活性成分
は通常、担体と混合するか、担体で希釈するか、または
カプセル、分包包装、紙または他の容器の形でありうる
担体内に封入されよう。担体が希釈剤の役目をする時、
これは固体、半−固体または液体物質でありうるが、こ
れは活性成分のための基剤、添加剤または媒体として作
用する。そこで、本組成物は錠剤、丸剤、粉末剤、ロゼ
ンジ剤、オブラート剤、分包包装剤、エリキシール剤、
懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体
としてまたは液体媒体中)、軟および硬ゼラチンカプセ
ル剤、坐剤、無菌注射液剤、無菌包装粉末などのような
形であることができる。本発明の組成物は、患者に対し
て投与後に活性成分の迅速的、持続的または遅延的な放
出をもたらすように当業界で周知の操作を採用して製剤
化しうる。
【0081】
【製剤例】以下の製剤例は説明のためのものであって、
如何なる意味でも本発明の範囲を限定することを意図す
るものではない。「活性成分」は、もちろん、式Iで示
される化合物またはその医薬的に許容しうる塩または溶
媒和物を意味する。製剤例1 下記成分を用いて硬ゼラチンカプセルを製造
する:
【0082】製剤例2 下記成分を用いて錠剤を製造す
る: 各成分を混合、打錠して665mg重の錠剤を造る。
【0083】製剤例3 下記成分を含むエアロゾル液剤
を製造する: 活性化合物をエタノールと混合し、混合物をプロペラン
ト22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填器に移
す。次に所要量をステンレス鋼容器に充填し、残りのプ
ロペラントで希釈する。次にバルブ部品を容器に取付け
る。
【0084】製剤例4 活性成分60mgを含む錠剤を以
下のようにして製造する: 活性成分 60 mg 澱粉 45 mg 微結晶セルロース 35 mg ポリビニルピロリドン 4 mg (10%水溶液として) ナトリウムカルボキシメチル澱粉 4.5 mg ステアリン酸マグネシウム 0.5 mg タルク 1 mg 合計 150 mg 活性成分、澱粉およびセルロースを米局方45番篩で篩
過し、よく混合する。ポリビニルピロリドン含有水溶液
を得られた粉末と混合し、次に混合物を米局方14番篩
で篩過する。得られる顆粒を50℃で乾燥し、米局方1
8番篩で篩過する。次にあらかじめ米局方60番篩で篩
過しておいたナトリウムカルボキシメチル澱粉、ステア
リン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に加え、混合
後、打錠機で打錠して各150mg重の錠剤を得る。
【0085】製剤例5 活性成分80mgを含むカプセル
剤を以下のようにして製造する: 活性成分 80 mg 澱粉 59 mg 微結晶セルロース 59 mg ステアリン酸マグネシウム 2 mg 合計 200 mg 活性成分、セルロース、澱粉およびステアリン酸マグネ
シウムを混合し、米局方45番篩を通し、200mg量を
硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0086】製剤例6 活性成分225mgを含む坐剤を
以下のようにして製造する: 活性成分 225 mg 飽和脂肪酸グリセリド 2000 mg 合計 2225 mg 活性成分を米局方60番篩で篩過し、予め必要最小限の
熱量を用いて融解しておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸
濁する。次に混合物を2g容の坐剤金型に注入し、放冷
する。
【0087】製剤例7 5ml用量当り活性成分50mgを
含む懸濁剤を次のようにして製造する: 活性成分 50mg ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg シロップ 1.25ml 安息香酸液 0.10ml 矯味剤 適量 着色剤 適量 精製水を加えて合計 5 ml 活性成分を米局方45番篩で篩過し、ナトリウムカルボ
キシメチルセルロースおよびシロップと混合して軟らか
いペーストとする。安息香酸液、矯味剤および着色剤を
水の一部で希釈し、撹拌しながら添加する。次に十分量
の水を加え、所定容量とする。
【0088】製剤例8 静脈内製剤を以下のようにして
製造しうる: 活性成分 100 mg 等張食塩水 1000 ml 前記成分の溶液を一般的に毎分1mlの速度で対象の静脈
内に投与する。
【0089】本発明によって提供される化合物(式I)
は経口的に活性であり、哺乳類におけるトロンビンの作
用を選択的に阻害する。
【0090】本発明の化合物が有効で、経口的に活性な
トロンビン阻害物質であることは、次の検定1種または
それ以上で評価される。
【0091】トロンビンの阻害は発色原基質であるN−
ベンゾイルーL−フェニルアラニル−L−バリル−L−
アルギニル−p−ニトロアニリドをトロンビンに加水分
解させて検定法で測定されるトロンビンのアミダーゼ活
性の試験管内阻害により証明される。
【0092】この検定は次のように実施する:50μl
の緩衝液(0.03M トリス、0.15M NaCl、pH
7.4)と、25μlのウシのトロンビンまたはヒトのト
ロンビン液[0.21mg/ml 血栓状態のウシトロンビン
(Parke-Davis)、または精製ヒトトロンビン(Enzyme
Research Laboratories、South Bend、Indiana)、約8
NIH単位/ml(同じ緩衝液中)]および25μLの被
検化合物溶液(50%メタノール中、v/v)を混合す
る。150μlの発色原基質の水溶液(0.25mg/ml)
を添加し、基質の加水分解速度をp−ニトロアニリンの
放出による405nmの反応を監視して測定する。標準曲
線を遊離トロンビン濃度を加水分解速度に対してプロッ
トすることにより作成する。次に各検定でテスト化合物
について観測された加水分解速度を標準曲線を用いて
「遊離トロンビン」値に変換する。結合トロンビン(テ
スト化合物に結合したもの)は各検定で観測された遊離
トロンビンの量を各検定で用いたトロンビンの初期値か
ら差引くことによって算出する。各検定における遊離の
阻害物質の量は、結合トロンビンのモル数を、添加した
阻害物質(テスト化合物)のモル数から差引くことによ
って算出する。
【0093】Kass値はトロンビンとテスト化合物
(I)との間の反応のための仮の平衡定数である。
【数1】トロンビン + I ⇔ トロンビン−I Kass=[トロンビン−I]/[(トロンビン)×
(I)] Kass値をテスト化合物の全濃度範囲について算出し、
平均値をモル当りリットルの単位で報告する。
【0094】ヒトのトロンビンについて前記した操作に
実質的に従い、ヒトの他の血液凝固系セリンプロテアー
ゼを用い、フィブリン溶解系プロテアーゼを用いて、下
記の適当な発色原基質について、本発明の化合物の凝固
因子セリンプロテアーゼおよびフィブリン溶解性セリン
プロテアーゼに関する選択性ならびにそれらがフィブリ
ン溶解系セリンプロテアーゼ阻害が実質的に存在しない
ことを評価する。トロンビン阻害物質は好ましくはウロ
キナーゼ、組織プラスミノーゲンアクティベータ(t−
PA)およびストレプトキナーゼにより誘発されるフィ
ブリノシスを温存すべきである。これはストレプトキナ
ーゼ、t−PAまたはウロキナーゼ血栓溶解療法に対す
る補佐薬としてのこれらの薬物の治療的使用に対して、
および内因性フィブリン溶解性−温存(t−PAおよび
ウロキナーゼに関して)抗血栓薬としてのこれらの薬物
の使用に対して重要であろう。フィブリン溶解性プロテ
アーゼのアミダーゼ活性に関する阻害の欠如に加え、こ
のようなフィブリン溶解系の温存は、各フィブリン分解
性プラスミノーゲンアクティベータによるヒトの血漿血
塊およびそれらの分解を使用して研究することができ
る。
【0095】ヒトのX、Xa、IXa、XIaおよびXIIa因
子はEnzyme Research Laboratories、サウスベン
ド、インディアナから、ヒトのウロキナーゼはLeo Ph
armaceuticals、デンマークから購入し、組換え活性化
プロテインC(aPC)はイーライ・リリー社で実質的
に米国特許第4981952号に従って製造する。発色
原基質:N−ベンゾイル−Ile−Glu−Gly−Arg−p
−ニトロアニリド(Xa因子用)、N−Cbz−D−Arg
−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(Xa因子の基質とし
てIXa因子検定用)、ピログルタミル−Pro−Arg−p
−ニトロアニリド(XIa因子用およびaPC用)、H−
D−Pro−Phe−Arg−p−ニトロアニリド(XIIa因子
用)およびピログルタミル−Gly−Arg−p−ニトロア
ニリド(ウロキナーゼ用)はKabi Vitrum、ストック
ホルム、スゥエーデンまたはMidwest Biotech,Fish
ers、インディアナから購入する。牛トリプシンはWort
hington Biochemicals、フリーホルド、ニュージャー
ジーから、ヒトの血漿カリクレインはKabi Vitrum、
ストックホルム、スゥエーデンから購入する。血漿カリ
クレイン用の発色原基質H−D−Pro−Phe−Arg−p
−ニトロアニリドはKabi Vitrum、ストックホルム、
スゥエーデンから購入する。ヒトのトロンビン用および
トリプシン用の基質N−ベンゾイル−Phe−Val−Arg
−p−ニトロアニリドは本発明の化合物のために前記し
た操作に従って既知のペプチド結合法を用いて商業的に
入手可能な反応物質から合成したか、またはMidwest
Biotech,Fishers、インディアナから購入する。
【0096】ヒトのプラスミンはBoehringer Mannhei
m、インディアナポリス、インディアナから購入し、nt
−PAは単鎖活性対照物としてAmerican Diagnostic
a、グリニッチ、コネチカットから購入し、修飾−t−P
A6(mt−PA6)はイ−ライ・リリー社で公知方法
[Burckら、J.Biol.Chem., 265, 5120-5177 (1990年)]
の操作により製造する。プラスミンの発色原基質H−D
−Val−Leu−Lys−p−ニトロアニリドおよび組織プ
ラスミノーゲン活性化因子(t−PA)基質H−D−Il
e−Pro−Arg−p−ニトロアニリドはKabi Vitrum、
ストックホルム、スゥエーデンから購入する。
【0097】前記の発色原基質で、3字の略号、Ile、
Glu、Gly、Pro、Arg、Phe、Val、LeuおよびLys
は対応するアミノ酸基イソロイシン、グルタミン酸、グ
リシン、プロリン、アルギニン、フェニルアラニン、バ
リン、ロイシンおよびリジンのそれぞれを示すために用
いる。
【0098】次の表1は式Iで示される表示化合物で得
られたKass値を挙げるものである。
【表1】 阻害性 Kass x 106(L/mol)実施例 ウシトロンビン トリプシン プラスミン Xa t−PA 1 1.1 0.004 0.0005 0.0003 0 2 0.22 0.014 0.0008 0.001 0
【0099】材料 犬の血漿は無麻酔雑種犬(両性、Hazelton−LRE、
カラマズー、ミシガン、米国)から静脈穿刺により採取
し、3.8%クエン酸塩に入れる。フィブリノーゲンは
新鮮犬血漿から調製し、ヒトのフィブリノーゲンは期日
内ACDヒト血液の画分I−2から公知操作および指示
書に従って調製する。Smith、Biochem.J.、185
巻、1〜11頁(1980年)およびSmithなど、Bio
chemistry、11巻、2958〜2967頁(1972
年)。ヒトのフィブリノーゲン(98%純/プラスミン
不含)はAmerican Diagnostica、グリニッチ、コネチ
カットからのものである。フィブリノーゲンI−2製品
の放射能標識は以前に報告されたようにして行う。Smi
thなど、Biochemistry、11巻、2958〜2967
頁(1972年)。ウロキナーゼはLeo Pharmaceutic
als、デンマークから2200プラウ単位/バイアルと
して購入する。ストレプトキナーゼはHoechst−Rouss
el Pharmaceuticals、ソマービル、ニュージャージー
から購入する。
【0100】方法:t−PAによるヒト血漿血塊の分解に対する効果 ヒトの血漿血塊はマイクロ試験管内で50μlトロンビ
ン(73NIH単位/ml)を0.0229uCi−125ヨ
ード標識フィブリノーゲンを含むヒトの血漿(100μ
l)に加えて形成する。血塊分解は血塊に50μlのウロ
キナーゼまたはストレプトキナーゼ(50、100また
は1000単位/ml)で重積し、室温で20時間インキ
ュベートすることによって研究する。インキュベーショ
ン後、試験管をBeckman Microfuge内で遠心分離す
る。25μlの上清液を1.0ml容の0.03M トリス/
0.15M NaCl緩衝液に添加し、ガンマ計数を行う。
計数対照である100%分解はトロンビン(および置換
すべき緩衝液)を除外することによって得る。トロンビ
ン阻害物質である化合物を1、5および10mg/μlの濃
度で重積溶液中に入れて予想されるフィブリン分解の阻
害について評価する。概略のIC50値の近似値はフィブ
リン分解物質の指定濃度で50%分解を表すであろう値
のデータ値から直線的外挿により予測する。
【0101】抗凝固活性 物質 犬血漿およびラット血漿は無麻酔雑種犬(両性、Hazel
ton−LRE、カラマゾー、ミシガン、米国)または麻
酔したSprague−Dawleyラット(Harlan Sprague−
Dawley社、インディアナポリス、インディアナ、米
国)から静脈穿刺により採取し、3.8%クエン酸塩に
入れる。フィブリノーゲンは期日内ACDヒト血液の画
分I−2から公知操作および指示書に従って調製する。
Smith、Biochem.J.、185巻、1〜11頁(198
0年)およびSmithなど、Biochemistry、11巻、2
958〜2967頁(1972年)。ヒトのフィブリノ
ーゲンは(98%純/プラスミン不含品として)はAme
rican Diagnostica、グリニッチ、コネチカットから購
入する。凝固試薬であるACTIN、トロンボプラスチ
ンおよびヒトの血漿はBaxter Healthcare社、Dade
Division、マイアミ、フロリダからのものである。Pa
rke−Davis(Ann Detroit, ミシガン)からの牛トロ
ンビンを血漿中の凝固検定法のために用いる。
【0102】方法 抗凝固測定 凝固検定操作は前記の通りである。Smithなど、Throm
bosis Research、50巻、163〜174頁(198
8年)。全ての凝固検定測定にはCoAScreene
r凝固装置(American LABor社)を用い
る。プロトロンビン時間(PT)は0.05mlの食塩水
と0.05mlのトロンボプラスチン−C試薬とを被検血
漿0.05mlに添加して測定する。活性化した部分トロ
ンボプラスチン時間(APTT)は0.05mlの被検血
漿を0.05mlのアクチン試薬と120秒間インキュベ
ートし、続いて0.05mlのCaCl2(0.02M)を添
加することのよって測定する。トロンビン時間(TT)
は0.05mlの食塩水と0.05mlのトロンビン(10N
IH単位/ml)とを0.05mlの被検血漿に添加すること
によって測定する。式Iで示される化合物を広範囲の濃
度にわたってヒトまたは動物の血漿に添加してAPT
T、PTおよびTT検定について延長効果を測定する。
直線的外挿を行って各検定で凝固時間を倍加するに必要
な濃度を予測する。
【0103】動物 雄性のSprague−Dawleyラット(350〜425g、
Harlan Sprague−Dawley社、インディアナポリス、
IN)をキシラジン(20mg/kg、皮下)とケタミン
(120mg/kg、皮下)とで麻酔し、温水ブランケット
(37℃)に固定した。頚動脈血管にカニューレを点滴
用に挿入した。
【0104】動静脈シャントモデル 左頚静脈および右頚動脈に20cm長のポリエチレンPR
60チュービングのカニューレを挿入した。内腔内に綿
糸(5cm)を持つ大きい管(PE190)の6cm中央断
面を長断面間に摩擦固定して動静脈シャント回路を完成
した。血液をシャント内に15分間にわたって循環した
後に、糸を注意深く取出して秤量した。濡れた糸の重量
を糸と血栓の合計重量から差引いた(J.R.Smith、
r.J.Pharmacol.、77巻:29頁、1982年参
照)。
【0105】動脈損傷のFeCl3モデル 頚動脈を中心線腹側頚管切開により隔離する。各動脈の
下に熱電対を置き、血管温度を帯チャート記録紙上に連
続的に記録する。チューブのカフ(0.058ID×0.
077OD×4mm、Baxter医術級シリコン)を長軸方
向に切断し、頚動脈の周りの熱電対の直上に置く。Fe
Cl36水和物を水に溶かし、濃度(20%)をFeCl3
のみの実際の重量で表示する。動脈を損傷して血栓症を
誘発するために、カフに2.85μlをピペットで入れ
て、熱電対プローブ上の動脈を潜らせる。動脈閉塞は迅
速な温度低下で示される。閉塞までの時間を分単位で示
し、FeCl3の添加と血管温度の迅速な温度低下との間
の経過時間を表す(K.D.Kurz、Thromb.Res.、60
巻:269頁、1990年参照)。
【0106】自発的血栓分解モデル 試験管内データはペプチドトロンビン阻害物質がトロン
ビンならびにプラスミンおよび組織プラスミノーゲンア
クティベータのような他のセリンプロテアーゼを阻害す
ることを示唆した。これらの化合物が生体内でフィブリ
ノリシスも阻害するかどうかを評価するため、自発的ト
ロンボリシスの速度を肺循環に標識全血血塊を移植する
ことにより、測定する。ラット血液(1ml)をウシトロ
ンビン(4IU、Parke Davis)および125I−ヒトフ
ィブリノーゲン(5μCi、ICN)と迅速に混合し、
直ちにシリコン処理管に取り、37℃で1時間インキュ
ベートする。熟成した血栓を管から取出し、切断して1
cm断片とし、ノルマル食塩水で3回洗浄し、各断片をガ
ンマ計数管でカウントする。カウント数の判った断片を
カテーテル内に吸引し、これを続いて頚静脈に移植す
る。カテーテルのチップを右心房の近くまで進め、血塊
を浮かせて肺循環内に入れる。移植1時間後、心臓およ
び肺臓を取出し、別々にカウントする。血栓溶解を次の
百分率で表示する:
【数2】%トロンボリシス=[(注入cpm−肺臓cpm)]
/(注入cpm)×100 移植した血塊のフィブリノリシス溶解は時間依存的に発
生する(J.P.Clozel、Cardiovas.Pharmacol.、1
2巻2管:520頁、1988年参照)。
【0107】凝固パラメータ 血漿トロンビン時間(TT)および活性化部分トロンボ
プラスチン時間(APTT)をフィブロメータで測定す
る。血液を頚静脈カテーテルから採取し、クエン酸ナト
リウム(3.8%、血液9部に対して1部)を含む注射
筒に集める。TTを測定するために、ラット血漿(0.
1ml)を食塩水(0.1ml)およびウシのトロンビン
(0.1ml、30U/ml トリス緩衝液、Parke Davis)
と37℃で混合する。APTTについては、血漿(0.
1ml)およびAPTT溶液(0.1ml、Organon Tekni
ka)を5分間(37℃)でインキュベートし、CaCl2
(0.1ml、0.025M)を加えて凝固を開始させる。
検定を2回行い、平均する。
【0108】生物学的利用能指数 TTの増加が親化合物によるトロンビン阻害のみに由来
するとの仮定に基づき、生物学的活性の一つである血漿
トロンビン時間(TT)を親化合物の測定の代わりに用
いる。該トロンビン阻害物質のTTに対する効果の時間
的経過を麻酔ラットへのi.v.迅速投与後および絶食無麻
酔ラットへの経口投与後に測定する。血液量および処置
時間から前処置反応値に戻るまでの時間経過を測定する
のに要する測定点の制限のため、2集団のラットを用い
る。各標本集団は交代に順番で各時点を表す。時間経過
の平均TTを用いて曲線下面積(AUC)を算出する。
生物学的利用能指数は次式により算出し、相対的活性百
分率として表示する。
【0109】血漿TT時間経過の曲線下面積(AUC)
を測定し、用量について補正する。この生物学的利用能
を「%相対的活性」と命名し、次のようにして算出する
【数3】%相対的活性=(AUCpo÷AUCiv)×(用
量iv÷用量po)×100
【0110】化合物 化合物溶液は毎日新しくノルマル食塩水中に調製し、単
回注射するか、または実験の15分前から始め、実験中
に継続的に点滴する。実験は動静脈シャントモデルでは
15分間、動脈損傷のFeCl3モデルおよび突発性血栓
溶解モデルでは60分間である。単回注射用量はi.v.で
は1ml/kgおよび経口投与では5ml/kgであり、点滴容量
は3ml/時間である。
【0111】統計学 結果を平均値±SEMで表す。偏差の統計的有意差を検
出するために一元解析法を用い、次にDunnett検定を応
用してどの平均値に差があるか検出する。等平均値の帰
無仮説を否定する有意差水準はP<0.05である。
【0112】動物 雄性犬(ビーグル、18月齢〜2年、12〜13kg、M
arshall Farms、ノースローズ、ニューヨーク1451
6)を一夜絶食し、ピュリナ保証処方食餌(Purina M
ills、セントルイス、ミズーリ)を薬物投与240分前
に給餌する。水は自由摂取させる。部屋は温度66〜7
4°F、相対湿度45〜50%に維持、0600〜18
00時まで照明する。
【0113】薬動力学的モデル 被検化合物を投与直前に無菌0.9%食塩水に溶解して
5mg/ml剤とする。犬に被検化合物2mg/kg用量を経口投
与により単回投与する。投与から0.25、0.5、0.
75、1、2、3、4および6時間後に血液標本(4.
5ml)を頭静脈から採取する。標本はクエン酸処理した
減圧式注射器内に入れ、氷上に保存し、遠心分離して血
漿を得る。血漿標本をジニトロフェニルヒドラジン誘導
体とし、HPLC(Zorbax SB−C8カラム)によ
り、燐酸でpH7に調整したメタノール/500mM 酢
酸ナトリウム(60:40、v/v)で溶出する。被検化合
物の血漿内濃度を記録し、薬動力学的パラメータである
離脱速度定数Ke、全クリアランスClt、分配容積
D、血漿被検化合物最大濃度到達時間Tmax、血漿被検
化合物最大濃度時間Tmaxにおける濃度Cmax、血漿中半
減期t0.5、曲線下面積AUCおよび被検化合物吸収
率Fを算出するために用いる。
【0114】イヌ冠状動脈血栓症モデル イヌの外科手術および装置はJacksonなど、Circulati
on、82巻、930〜940頁(1990年)に記載の
通り。雑種イヌ(6〜7月齢、両性、Hazelton
−LRE、カラマズー、MI、米国)をペントバルビタ
ールナトリウム(30mg/kg、静脈内、i.v.)で麻
酔し、挿管し、室の空気は循環する。呼吸容積と呼吸数
を調整して血液PO2、PCO2およびpHを正常限界内
に維持する。第II誘導ECGを記録するために皮下針状
電極を挿入する。
【0115】左頚静脈および頚動脈を左中外側頚切開に
より隔離する。動脈血圧(ABP)を頚動脈に挿入した
補正済みMillarトランスデューサ(MPC−500
型、Millar Instruments、ヒューストン、Tx、米
国)で連続的に測定する。頚静脈にカニューレして実験
中に血液標本を採取する。さらに、両後肢の大腿静脈に
もカニューレして被検化合物を投与する。
【0116】第5肋間腔で左開胸術を行い、心臓を心臓
周囲クラドルに懸垂する。左旋回枝冠動脈(LCX)を
第一主斜行心室間分枝近くで1〜2cm断片を隔離する。
26ゲージ針装着電線陽電極(TeflonR被覆、30ゲー
ジ銀メッキ銅線)3〜4cm長をLCXに挿入し、動脈内
膜表面に接触させて(実験の終りに確認する)設置す
る。陰極を皮下(s.c.)部位に設置して刺激回路を完成
する。可変プラスチック閉塞器をLCX周囲で電極の部
分上に設置する。補正済み電磁流プローブ(Carolina
Medical Electronics、King、NC、米国)を冠血流
(CBF)の測定のために陽極の近くでLCXの辺に設
置する。閉塞器をLCXの機械的閉塞10秒後に観測さ
れる充血性血流反応の40〜50%阻害を実現するよう
に調整する。すべての血流力学およびECG測定を記録
しデータ処理系(M3000型、Modular Instrument
s、マルバーン、PA、米国)で解析する。
【0117】血栓形成および化合物投与法 100μAの直流(DC)を陽極に流してLCXの最内
部に電気分解的損傷を作製する。電流を60分間維持し
た後に止めて、管が閉塞しているかどうか観察する。血
栓形成はLCXが完全に閉塞する(CBFゼロおよびS
−T部分の増加として検出する)まで自然に進行させ
る。閉塞血栓形成1時間後に化合物投与を開始する。本
発明の化合物0.5および1mg/kg/時の2時間点滴を血
栓薬(たとえば、組織プラスミノーゲンアクティベー
タ、ストレプトキナーゼ、APSAC)の点滴と同時に
開始する。被検化合物の投与3時間後に再潅流を行う。
血栓溶解成功後に30分間以上持続するCBFゼロを冠
状動脈の再閉塞と定義する。
【0118】血液学およびテンプレート出血時間の測定 全血細胞数、ヘモグロビンおよびヘマトクリット値はク
エン酸塩化(3.8%)血液(クエン酸塩1部、血液9
部)標本40μLを血液分析器(Cell−Dyn 900、
Sequoia-Turner、モントビュー、CA、米国)を用い
て測定する。歯肉テンプレート出血時間をSimplate II
bleding time 装置(Organon Teknikaダーラム、N
C、米国)を用いて測定する。この装置を用いてイヌの
左顎の上または下顎どちらかに歯肉に水平な2個の切開
をする。各切開は3mm幅×2mm深さである。切開し、ス
トップウオッチを用いて出血する長さを測定した。切開
部から血液が泌出したら綿の塊を用いて吸取る。テンプ
レート出血時間は切開から出血停止までの時間である。
出血時間は被検化合物投与直前(0分)、点滴60分、
被検化合物投与終了(120分)および実験終了時に測
定する。
【0119】全データは一元的偏差分析(ANOVA)
により分析し、続いてスチューデント−ノイマン−クエ
ルスのポスト・ホック・t−検定により有意性を測定す
る。反復測定ANOVAを用いて実験内時点間有意差を
測定する。最低p<0.05の水準にある値を統計的な
差があるとする。全測定値は平均値±SEMである。全
実験は米国生理学会の指導要領に従って行う。さらに詳
細な操作の記載は、Jacksonなど、J.Cardiovasc.Ph
armacol.、21巻、587〜599頁(1993年)に
見出される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェラルド・フロイド・スミス アメリカ合衆国46217インディアナ州イン ディアナポリス、クウィーンズウッド・コ ート825番

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 [式中、Xは式: 【化2】 で示される基であり;Qは−OH、C1〜C4アルコキ
    シ、または−NH−Aであり;Aは水素、C1〜C4アル
    キル、アセチル、CF3C(O)−、CF3CF2C(O)
    −、R"SO2−、ベンジルオキシカルボニル、またはt
    −ブチルオキシカルボニルであり;R'は水素、C1〜C
    4アルキル、フェニル、またはベンジルであり;R"はC
    1〜C4アルキル、−(CH2)d−COOH、または未置換
    もしくは置換されたアリール(Ar)(ここに、アリール
    はフェニル、ナフチル、硫黄、酸素および窒素から選択
    される同一もしくは異なる1もしくは2個のヘテロ原子
    をもつ5もしくは6員の未置換もしくは置換された芳香
    族複素環、または硫黄、酸素および窒素から選択される
    同一もしくは異なる1もしくは2個のヘテロ原子をもつ
    9もしくは10員の未置換もしくは置換された縮合二環
    式芳香族複素環である)であり;dは1、2、または3
    であり;mは0、1、または2であり;nは0、1、ま
    たは2であり;Yは式: 【化3】 で示される基であり;Rはメチルまたはエチルであり;
    そしてZは水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキ
    シ、ヒドロキシ、ハロ、またはRaSO2NH−(ここ
    に、RaはC1〜C4アルキルである)である]で示され
    る化合物またはその薬学的に許容し得る塩、または該化
    合物もしくはその塩の薬学的に許容し得る溶媒和物。
  2. 【請求項2】 化合物がD−N−メチルフェニルアラニ
    ル−L−プロリニル−L−α−メチルアルギニン アル
    デヒドおよびD−1−(1,2,3,4−テトラヒドロイソ
    キノリニルカルボニル)−L−プロリニル−α−メチル
    アルギニンアルデヒドから選択される、請求項1に記載
    の化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
  3. 【請求項3】 薬学的に許容し得る担体、希釈剤または
    賦形剤と共に、請求項1または2のいずれかに記載の式
    Iの化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶
    媒和物を含有する医薬製剤。
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