JPH07278092A - 抗血栓剤 - Google Patents

抗血栓剤

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JPH07278092A
JPH07278092A JP7043916A JP4391695A JPH07278092A JP H07278092 A JPH07278092 A JP H07278092A JP 7043916 A JP7043916 A JP 7043916A JP 4391695 A JP4391695 A JP 4391695A JP H07278092 A JPH07278092 A JP H07278092A
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JP7043916A
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Kenneth D Kurz
ケネス・ディーン・クルツ
Robert B Rothenberger
ロバート・バーキー・ローゼンバーガー
Daniel J Sall
ダニエル・ジョン・サール
Robert T Shuman
ロバート・セオドア・シューマン
Gerald F Smith
ジェラルド・フロイド・スミス
Michael Robert Wiley
マイケル・ロバート・ウィリー
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Eli Lilly and Co
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規アルギニンアルデヒド誘導体を提供す
る。 【構成】 本発明は、式I: 【化1】 [式中、XおよびYは明細書中に定義された意義を有す
る]を有するL−アルギニンアルデヒド誘導体、ならび
にこれらの化合物を含有する薬用製剤ならびにトロンビ
ン阻害剤、凝固阻害剤、および血栓塞栓症処置剤として
のそれらの使用方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、哺乳動物の有用な抗凝
固剤であるトロンビン阻害剤に関するものである。詳細
には、本発明は、高い抗凝固活性、抗血栓活性、および
経口バイオアベイラビリティーを有するL−アルギニン
アルデヒド誘導体に関するものである。
【0002】血液凝固の過程、血栓形成は、トロンビン
の形成につながる複雑な蛋白分解的カスケードがきっか
けとなって誘発される。トロンビンは、血漿に可溶であ
るフィブリノーゲンのAα鎖およびBβ鎖から活性化ペ
プチドを除去し、不溶性のフィブリンの形成を開始させ
る。
【0003】抗凝固は現在ヘパリンおよびクマリンの投
与により達成される。凝固および血栓形成の非経口的薬
理学的制御は、ヘパリンの使用によるトロンビンの阻害
に基づいている。ヘパリンは、内因性抗トロンビンII
I(トロンビンの主要な生理的阻害物質)の阻害作用を
亢進することによって間接的にトロンビンに作用する。
抗トロンビンIIIのレベルは血漿中で異なり、また表
面結合しているトロンビンはこの間接的機作に対し耐性
のようであるので、ヘパリンは無効な処置となり得る。
凝固検定は有効性および安全性と関連していると信ぜら
れているため、ヘパリンレベルは凝固検定(とりわけ活
性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)検定)を
もって監視されねばならない。クマリンはプロトロンビ
ンおよびこの型の他の蛋白の合成における翻訳後γカル
ボキシ化を遮断することによりトロンビンの生成を妨げ
る。その作用機作の故にクマリンの効果は、徐々に、投
与の6−24時間後にしか現われない。さらに、これは
選択的抗凝固剤ではない。クマリンもまた凝固検定(と
りわけプロトロンビン時間(PT)検定)で監視する必
要がある。
【0004】近年、天然の基質と似た様式で蛋白分解酵
素により認識される小型の合成ペプチドへの関心が高ま
っている。D−Phe−Pro−Arg−H、Boc−
D−Phe−Pro−Arg−H、およびD−MePh
e−Pro−Arg−Hのようなトリペプチドアルデヒ
ド[バジュス等、J.Med.Chem.、33巻17
29−1735頁(1990)]は、強力なトロンビン
の直接阻害を表わす。多くの研究者、例えばシャマン
等、J.Med.Chem.、36巻314−319頁
(1993)、ならびに欧州特許公開公開番号4794
89および542525号、が薬剤開発の努力の下に類
似体を合成している。D−MePhe−Pro−Arg
−Hスルファートが人間における抗凝固剤であることを
立証する初期の臨床研究が報告されている。シムーンズ
等、Circulation、80巻I−231、要約
1241(1994)を参照されたい。
【0005】ヘパリンおよびクマリンは有効な抗凝固剤
であり、既知のトリペプチドアルデヒドからはまだ薬剤
として浮かび上がっているものはなく、そしてこのクラ
スの化合物に対する有望性が継続しているにも拘らず、
トロンビンに対して選択的に且つ抗トロンビンIIIに
対し独立して作用し、好ましくは経口的投与から短時間
で阻害作用を示し、そして止血の維持に必要な血餅の溶
解に干渉しない、抗凝固剤に対する必要性が存在する。
【0006】本発明は、下記に定義される本発明に係る
化合物が経口投与後の高いバイオアベイラビリティーを
有する強力なトロンビン阻害剤であるという発見に対す
るものである。したがって、抗凝固剤として有用な強力
なトロンビン阻害剤である新規なL−アルギニンアルデ
ヒド誘導体を提供することが、本発明の第一の目的であ
る。その他の目的、特徴および利点は、当業者にとって
以下の既述および請求項から明らかであろう。
【0007】本発明は、式I:
【化4】 [式中、Xは、ホモプロリニル、プロリニル、チアゾリ
ジノイル、イソチアゾリジノイル、チオモルホリノイ
ル、ピペラジノイル、モルホリノイル、オキサゾリジノ
イル、イソキサゾリジノイル、2−アザノルボルノイ
ル、および縮合二環式基:
【化5】 [式中、nは1−3であり、mは2または3である]か
ら選ばれる置換されていないまたは置換された基であ
り、硫黄を含む基においてこの硫黄は1または2個の酸
素原子で酸化されていてよく;Yは、
【化6】 である]を有するトロンビン阻害化合物またはその薬学
上許容し得る塩または薬学上許容し得る該化合物もしく
はその塩の溶媒和物を提供する。
【0008】式Iの化合物に加えて、本発明は、式Iの
化合物を薬学上許容し得る担体、希釈剤または賦形剤と
共に含有して成る薬用製剤を提供する。本発明はさら
に、処置を必要とする哺乳動物に式Iの化合物の凝固阻
害用量を投与することからなる、哺乳動物において凝固
を阻害する方法を提供する。本発明はさらに、処置を必
要とする哺乳動物に式Iの化合物のトロンビン阻害用量
を投与することからなる、トロンビンを阻害する方法を
提供する。さらに本発明は、処置を必要とする哺乳動物
に式Iの化合物の有効用量を投与することからなる、血
栓塞栓症の処置方法を提供する。
【0009】本発明は、トロンビンの新たな阻害剤、活
性成分として該化合物を含有する薬用組成物、ならび
に、静脈血栓症、肺塞栓、動脈血栓症、特に心筋虚血、
心筋梗塞および脳血栓症、ならびに例えば血管形成術お
よび冠動脈バイパス手術後のもの、および炎症過程に関
連するような全身的組織損傷といった全身的凝固亢進状
態および局所凝固亢進状態といったような血栓塞栓症の
予防および処置のための抗凝固剤としての該化合物の用
途に関するものである。
【0010】単独または他の置換基の一部としての「ア
ルキル」という語は、示されている数の炭素原子を有す
る直鎖または分枝鎖アルキル基、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブ
チル、イソブチルおよびsec−ブチルを意味する。
【0011】「アルコキシ」という語は、酸素原子によ
って親部分に結合した示されている数の炭素原子を有す
る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「ハロ」と
いう語はクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを意味
する。「ジ(C1−C4アルキル)アミノ」という語は、
各アルキル基が個別に、示されている数の炭素原子を有
する、基−N(C1−C4アルキル)2を意味する。
【0012】基:
【化7】 は本明細書において時にホモプロリニルを意味しhPr
oと略記する。
【0013】「アゼチジン」という語はアゼチジン−2
−カルボニル基を意味しAztと略記する。「チアゾリ
ジノイル、イソチアゾリジノイル、チオモルホリノイ
ル、ピペラジノイル、モルホリノイル、オキサゾリジノ
イル、およびイソキサゾリジノイル」という語は、安定
な構造を与えるようそれに結合したカルボニル官能基を
有する示された環状基を意味する。
【0014】「2−アザノルボルノイル」という語は、
基:
【化8】 を意味する。
【0015】Xが、縮合二環式基を包含する置換された
基である場合、ハロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、
1−C4アルコキシ、アミノ(−NH2)、モノ(C1
4アルキル)アミノ、ジ(C1−C4アルキル)アミ
ノ、メルカプト、C1−C4アルキルチオ(−S(O)p
(C1−C4アルキル))、−NHS(O)p(C1−C4
アルキル)、−NHC(O)C1−C4アルキル、−S
(O)pNH2、−S(O)pNH(C1−C4アルキ
ル)、−S(O)pN(C1−C4アルキル)2、置換また
は非置換フェノキシ、置換または非置換ナフチルオキ
シ、置換または非置換ピリジルオキシ、置換または非置
換フェニルチオから選ばれる安定構造を与える1ないし
3個の同じまたは異なる置換基があってよく;pは0、
1または2であり;そしてフェノキシ、ナフチルオキ
シ、ピリジルオキシおよびフェニルチオ基上の置換基
は、ハロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4
ルコキシ、アミノ(−NH2)、モノ(C1−C4アルキ
ル)アミノ、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、メルカプ
ト、C1−C4アルキルチオ(−S(O)p(C1−C4
ルキル))、−NHS(O)p(C1−C4アルキル)、
−NHC(O)C1−C4アルキル、−S(O)pNH2
−S(O)pNH(C1−C4アルキル)、−S(O)p
(C1−C4アルキル)2から選ばれる1または2個の同
じまたは異なる置換基であり、pは0、1または2であ
る。
【0016】式Iの表現において、基Xのカルボニル官
能基はY基のアミノ官能基と結合している。Yのカルボ
ニル官能基は式Iに描かれているアミノ基と結合してい
る。式Iおよび置換基Y中の星印は(L)であるキラル
中心を示す。
【0017】さらに、X置換基にはジアステレオマーが
存在し、そしてこのX置換基上の置換に応じてさらなる
ジアステレオマーが存在し得る。本発明に係る化合物
は、2またはそれ以上のジアステレオマーの混合物なら
びに各々個々の異性体を包含する。
【0018】以下の化合物は式Iの範囲内に意図される
化合物を例示するものである:D−ホモプロリニル−L
−プロリニル−L−アルギニン アルデヒド;D−プロ
リニル−L−プロリニル−L−アルギニン アルデヒ
ド;D−ホモプロリニル−L−アゼチジン−2−カルボ
ニル−L−アルギニン アルデヒド;D−プロリニル−
L−アゼチジン−2−カルボニル−L−アルギニン ア
ルデヒド;および、D−(4−フェノキシ)プロリニル
−L−プロリニル−L−アルギニン アルデヒド。
【0019】本発明に係る好ましい化合物は、Xが非置
換もしくは一置換ホモプロリニル、非置換もしくは一置
換プロリニル、非置換もしくは一置換ピペラジノイル、
または、
【化9】 [式中、nおよびmおよびYは式Iについて上に定義さ
れる通りである]から選ばれる非置換もしくは一置換縮
合二環である式Iの化合物、ならびに薬学上許容し得る
その塩および溶媒和物である。
【0020】特に好ましい本発明化合物は、Xがホモプ
ロリニル、プロリニル、4−フェノキシプロリニル、ピ
ペラジノイル、または、
【化10】 [式中、n、mおよびYは式Iについて上に定義される
通りである]から選ばれる縮合二環である、式Iの化合
物;および薬学上許容し得るその塩または溶媒和物であ
る。
【0021】上に述べたように、本発明は上の式Iによ
り定義される化合物の薬学上許容し得る塩を包含する。
本発明に係る特定の化合物は1またはそれ以上の充分塩
基性の官能基を有しており、従って多数の非毒性無機お
よび有機酸のいずれかと反応して薬学上許容し得る塩を
形成することができる。酸付加塩を形成させるために通
常用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、
硫酸、燐酸等のような無機酸、およびp−トルエンスル
ホン酸、メタンスルホン酸、蓚酸、p−ブロモフェニル
スルホン酸、炭酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸、酢酸
等のような有機酸である。したがってこのような薬学上
許容し得る塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、
亜硫酸塩、重亜硫酸塩、燐酸塩、一水素燐酸塩、二水素
燐酸塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩、塩化物、臭化物、ヨ
ウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリ
ル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン
酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、蓚酸塩、マロ
ン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマ
ル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキ
シン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸
塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキ
シ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スル
ホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フ
ェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、
乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石
酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナ
フタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホ
ン酸塩、マンデル酸塩等である。好ましい薬学上許容し
得る酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸および硫酸のような
鉱酸により形成された塩である。
【0022】上に述べたように、本発明は式Iの化合物
および薬学上許容し得るその塩の溶媒和物を包含する。
本発明に係る特定の化合物または薬学上許容し得るその
塩は水または一般的有機溶媒により溶媒和物を形成する
ことができる。このような溶媒和物は本発明化合物の範
囲内に包含される。
【0023】式Iで示される化合物は、対応する式I
I:
【化11】 [式中、グアニジノ基上のPはアミノ保護基を表わし、
(P)Xは基X(これは、Xが塩基性NH基を含む式I
の化合物に対しては、個別に選択されたアミノ保護基P
を有していてよい)を表わす]で示される化合物の保護
基Pを同時にまたは順次除去し;その後式Iの化合物の
塩が必要である場合は薬学上許容し得る酸によって塩を
形成させることにより、製造する。例えば、アミノ保護
基がベンジルオキシカルボニルである式IIの化合物
は、希エタノール性塩酸中、炭素上パラジウム触媒によ
り、大気圧下に水素化することによって、式Iの対応化
合物のヒドロクロリドに変換することができる。
【0024】式Iの化合物はペプチドを結合する既知の
方法によって製造される。このような方法の一つによれ
ば、酸PX−COOH[式中、X−COOHは式Iのた
めに定義されたX基の酸等価物であり、そしてPはアミ
ノ保護基である]をカルボキシ保護プロリン(またはア
ゼチジン−2−カルボキシ エステル)と結合させてジ
ペプチドを形成させる。次にプロリン部分のカルボキシ
保護エステル基を除去(脱遮断または脱エステル化)
し、遊離酸型のジペプチドをアルギニンのラクタム型と
結合させる。上の反応経路は以下の反応式1:
【化12】 [式中、Pはアミノ保護基を表わす]により例示され
る。
【0025】結合させたArg(P)ラクタム生成物
(c)は、不活性溶媒または溶媒混合物中で水素化物還
元剤、好ましくは水素化リチウムアルミニウムまたはリ
チウムトリ−t−ブトキシアルミノヒドリドと反応して
ラクタム環が還元され、式:
【化13】 [式中、(P)はアミノ保護基を表わす]で示されるア
ルギニンアルデヒド型のトリペプチドを提供する。
【0026】保護基は金属触媒による水素化といった当
業者に知られる方法によって除去する。アルギニンのラ
クタム型はアミノ保護アルギニン[Arg−OH]の分
子内結合により得られる。例えば、式:
【化14】 [式中、Bocはt−ブチルオキシカルボニルでありC
bzはベンジルオキシカルボニルである]で示されるB
oc−Arg(Cbz)OHをまず、クロロ蟻酸エステ
ルによって活性な混合酸無水物のような活性エステル型
に、例えばクロロ蟻酸エチルによってクロロ蟻酸イソブ
チルに変換する。このエステル形成は、N−メチルモル
ホリンのような第三級アミンの存在下に実施する。さら
なるまたは別の第三級アミン塩基、例えばトリエチルア
ミンまたはジイソプロピルエチルアミンの添加は分子内
アシル化をもたらし、下に示されるジアミノ保護アルギ
ニンのラクタム型を供する:
【化15】 上の反応式に示されるようなPX(C=O)−Pro−
OHとの結合に使用する前に、Bocまたはその他のア
ミン保護基をトリフルオロ酢酸またはHClにより選択
的に除去し、必要な遊離アミノ基を得る。
【0027】Xが式Iについて上に定義される通りであ
る場合、PXCOOH化合物とプロリンエステルとの結
合は、まず該アミノ酸のアミノ基を保護することにより
実施する。アミノ基の一時的保護または遮断のために一
般的に使用される常套的アミノ保護基を使用する。
【0028】アミノ保護基とは、化合物上の他の官能基
を反応させつつアミノ官能基を遮断または保護するため
に一般的に使用されるアミノ基の置換基を意味する。こ
のようなアミノ保護基の例は、ホルミル基、トリチル
基、フタルイミド基、トリクロロアセチル基、クロロア
セチル、ブロモアセチルおよびヨードアセチル基、ウレ
タン型遮断基、例えばベンジルオキシカルボニル、t−
ブトキシカルボニル 4−フェニルベンジルオキシカル
ボニル、2−メチルベンジルオキシカルボニル、4−メ
トキシベンジルオキシカルボニル、4−フルオロベンジ
ルオキシカルボニル、4−クロロベンジルオキシカルボ
ニル、3−クロロベンジルオキシカルボニル、2−クロ
ロベンジルオキシカルボニル、2,4−ジクロロベンジ
ルオキシカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボ
ニル、3−ブロモベンジルオキシカルボニル、4−ニト
ロベンジルオキシカルボニル、4−シアノベンジルオキ
シカルボニル、2−(4−キセニル)イソプロポキシカ
ルボニル、1,1−ジフェニルエト−1−イルオキシカ
ルボニル、1,1−ジフェニルプロプ−1−イルオキシ
カルボニル、2−フェニルプロプ−2−イルオキシカル
ボニル、2−(p−トルイル)プロプ−2−イルオキシ
カルボニル、シクロペンタニルオキシカルボニル、1−
メチルシクロペンタニルオキシカルボニル、シクロヘキ
サニルオキシカルボニル、1−メチルシクロヘキサニル
オキシカルボニル、2−メチルシクロヘキサニルオキシ
カルボニル、2−(4−トルイルスルホニル)エトキシ
カルボニル、2−(メチルスルホニル)エトキシカルボ
ニル、2−(トリフェニルホスフィノ)エトキシカルボ
ニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(「FMO
C」)、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニ
ル、アリルオキシカルボニル、1−(トリメチルシリル
メチル)プロプ−1−エニルオキシカルボニル、5−ベ
ンズイソキサリルメトキシカルボニル、4−アセトキシ
ベンジルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエ
トキシカルボニル、2−エチニル−2−プロポキシカル
ボニル、シクロプロピルメトキシカルボニル、4−(デ
シルオキシ)ベンジルオキシカルボニル、イソボルニル
オキシカルボニル、1−ピペリジルオキシカルボニル
等;ベンゾイルメチルスルホニル基、2−(ニトロ)フ
ェニルスルフェニル基、ジフェニルホスフィン オキシ
ド基等のアミノ保護基を包含する。誘導されたアミノ基
が当該分子の他の場所でのその後の反応条件に対して安
定であり、且つ適当な時点で分子の他の部分を乱すこと
なく除去され得る限り、使用されるアミノ保護基の種類
は重要ではない。好ましいアミノ保護基は、ベンジルオ
キシカルボニル、アリルオキシカルボニル、t−ブトキ
シカルボニル、およびトリチル基である。セファロスポ
リン、ペニシリンおよびペプチド分野で使用される類似
のアミノ保護基もまた上の語に包含される。上の語が意
味する基のさらなる例は、J.W.バートン、「プロテ
クティヴ・グループス・イン・オーガニック・ケミスト
リー(Protective Groups in O
rganic Chemistry)」、J.G.W.
マコーミー編、プレナム・プレス、ニューヨーク、N.
Y.、1973、2章およびT.W.グリーン、「プロ
テクティヴ・グループス・イン・オーガニック・シンセ
シス(Protective Groups in O
rganic Synthesis)」、ジョン・ウィ
レイ・アンド・サンズ、ニューヨーク、N.Y.、19
81、7章に記載されている。関連する語「保護アミ
ノ」は、上に論じたアミノ保護基で置換されているアミ
ノ基を定義する。
【0029】結合反応の実施にあたり、プロリンのため
のエステル保護基を使用するが、これはアミノ保護基が
無傷で残る条件によって除去し得る。したがってアシル
化酸PXCOOHのアミノ保護基は、反応式Iにおける
(c)を形成するためのアルギニンラクタム化合物との
その後の結合中、アミノ基の保護のための適切な場所に
残っている。
【0030】本明細書で使用されるカルボキシ保護エス
テル基は、反応が化合物の他の官能基上で行なわれてい
る間、カルボン酸基を遮断または保護するために一般に
使用されるカルボン酸基のエステル誘導体の1つを意味
する。このようなカルボン酸保護基の例は、C1−C4
ルキル、ベンジル、4−ニトロベンジル、4−メトキシ
ベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメ
トキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、
2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジ
ル、3,4−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリ
ル、4,4'−ジメトキシベンズヒドリル、2,2',
4,4'−テトラメトキシベンズヒドリル、t−ブチ
ル、t−アミル、トリチル、4−メトキシトリチル、
4,4'−ジメトキシトリチル、4,4',4''−トリメ
トキシトリチル、2−フェニルプロプ−2−イル、トリ
メチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェナシ
ル、2,2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチル
シリル)エチル、2−(ジ(n−ブチル)メチルシリ
ル)エチル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニト
ロベンジルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1
−(トリメチルシリルメチル)−プロプ−1−エン−3
−イル、等の基を包含する。誘導されたカルボン酸が当
該分子の他の場所でのその後の反応条件に対して安定で
あり、且つ適当な時点で分子の他の部分を乱すことなく
除去され得る限り、使用されるカルボキシ保護基の種類
は重要ではない。特に、カルボキシ保護された分子は、
強い求核性塩基またはラネーニッケルのような極めて活
性化された金属触媒を使用する還元条件に付さないこと
が重要である。(このような苛酷な除去条件は、下に論
じるアミノ保護基の除去の際にも避けるべきである。)
好ましいカルボキシ保護基はC1−C3アルキルおよびベ
ンジルである。これらの基のさらなる例は、E.ハスラ
ム、「プロテクティヴ・グループス・イン・オーガニッ
ク・ケミストリー(Protective Group
s in Organic Chemistry)」、
J.G.W.マコーミー編、プレナム・プレス、ニュー
ヨーク、N.Y.、1973、5章およびT.W.グリ
ーン、「プロテクティヴ・グループス・イン・オーガニ
ック・シンセシス(Protective Group
s inOrganic Synthesis)」、ジ
ョン・ウィレイ・アンド・サンズ、ニューヨーク、N.
Y.、1981、5章に記載されている。
【0031】Yがアゼチジニル(c:プロリニル)であ
る式Iの化合物はペプチド結合の既知の方法によって同
じ様なやり方で製造される。このような方法の1つによ
れば、アルギニンの環状ラクタム型(e)を製造し、ア
ミノ保護されたアゼチジン−2−カルボン酸(d)と下
記のように結合させて、ジペプチド(f):
【化16】 [式中、Pは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)
基、t−ブトキシカルボニル(Boc)、p−トルエン
スルホニル、等のようなアミノ保護基を表わす]を得
る。好ましくは、用いられるアミノ保護基は水素化また
は緩和な酸(例えばトリフルオロ酢酸)もしくは強酸
(例えばHCl)による処理によって除去し得る。その
他の好適なアミノ保護基の例は、「プロテクティヴ・グ
ループス・イン・オーガニック・シンセシス(Prot
ective Groups in Organic
Synthesis)」、第2版、T.W.グリーンお
よびピーター・G.M.ワッツ、7章309−405頁
(1991)、ジョン・ウィレイ・アンド・サンズ・I
nc.、出版、に供されている。Bocまたはその他の
好適な保護基は、アゼチジン環の窒素から除去され、次
いでこれを所望のアミノ酸アシル基によりアシル化して
下に示されるトリペプチドを得る。
【化17】
【0032】Yがアゼチジニル−2−カルボニルである
本発明化合物について例示および説明してきたが、当業
者は、これらの方法を使用してYがプロリニルである本
発明化合物を得ることもできることが理解できるであろ
う。結合したArg(P)ラクタム生成物(g)は、不
活性溶媒または溶媒の混合物中、水素化物還元剤、好ま
しくは水素化リチウムアルミニウムまたはリチウムトリ
−t−ブトキシアルミノヒドリドにより還元してラクタ
ムを還元し、式: PX(C=O)−Azt−Arg(P)−H [式中、Pはアミノ保護基を表わす]で示されるアルギ
ニンアルデヒド型のトリペプチドを得る。保護基は金属
触媒による水素化のような当業者に知られる方法によっ
て除去する。
【0033】別法として本発明に係る化合物は、PXC
OOH酸をカルボキシ保護されたアゼチジン−2−カル
ボン酸と結合させることにより製造される。このカルボ
キシをジペプチドとして脱保護し、次いでこれを上記の
ように製造したラクタム型のアミノ保護アルギニンと結
合させる。次にこのトリペプチドを還元して、上記のよ
うなアミノ保護アルギニントリペプチドを得る。
【0034】PXCOOH化合物の結合は、まずこのア
ミノ酸のアミノ基を保護することによって実施する。ア
ミノ基の一時的な保護または遮断のために一般的に使用
される常套的アミノ保護基が使用される。このような保
護基の例は上に記載されている。
【0035】上記の結合反応は低温、好ましくは約−2
0℃および約15℃の間の温度で実施する。結合反応
は、不活性有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチ
レン、クロロホルム等の一般的溶媒または係る溶媒の混
合物中で実施する。一般には、結合反応においてアシル
化酸の活性エステルが使用される場合には、無水条件を
用いる。
【0036】本発明に係る化合物は酸付加塩の形で最も
良く単離される。上に述べたような酸により形成された
式Iの化合物の塩は、抗血栓剤の投与のため、およびこ
れら薬剤の製剤の製造のための薬学上許容し得る塩とし
て有用である。その他の酸付加塩を製造し該ペプチドの
単離および精製に使用することができる。例えば、メタ
ンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸およびナフタレンスルホン酸のようなスルホン
酸類によって形成される塩をそのように使用することが
できる。
【0037】式Iの化合物を精製し、同時に所望の安定
な塩型を製造するための好ましい方法は、米国特許第5
250660号に記載されている方法である。この方法
によれば、水性成分がpH2.5の硫酸または塩酸から
成りアセトニトリルが有機成分であるC18逆相クロマト
グラフィーによる調製的精製によって、安定な硫酸塩ま
たは塩酸塩が得られる。酸性溶出液のpHはヒドロキシ
型の陰イオン交換樹脂、例えばバイオ−ラドAG−1X
8によって約pH4および約6の間に調節する。pH調
節の後、トリペプチド硫酸塩または塩酸塩の溶液を凍結
乾燥して乾燥粉末型の純粋な塩を得る。この工程の1つ
の例においては、粗製のD−hPro−L−Azt−L
−Arg−H硫酸塩を水に溶解し、この溶液をヴィダッ
クC18RPHPLCの5cm X 50cmカラムにロ
ードする。Aに対する2−20%のBの勾配(A=0.
01%H2SO4;B=アセトニトリル)を10時間にわ
たり使用する。複数の画分を集め、分析用RPHPLC
により決定された生成物含有画分をプールする。プール
された画分のpHをヒドロキシド型のAG−1X8樹脂
(バイオ−ラド、3300ラガッタ・ブールヴァード、
リッチモンド、CA、94804)によりpH4.0−
4.5に調節する。この溶液を濾過し、濾液を凍結乾燥
して硫酸塩の形の純粋なD−、L−、L−トリペプチド
を得る。
【0038】X置換基のジアステレオマーの光学活性異
性体もまた本発明の一部と考える。このような光学活性
異性体は、上記の方法により、またはラセミ混合物の分
割により、それらの各々の光学活性前駆体から製造する
ことができる。この分割は、キラル試薬を用いた誘導体
形成とその後のクロマトグラフィーまたは反復結晶化に
よって実施することができる。標準的方法によるこのキ
ラル補助部分の除去は、実質上光学的に純粋な本発明化
合物またはその前駆体の異性体を与える。分割に関する
さらなる詳細は、ジャックス等、エナンチオマーズ、ラ
セメイツ、アンド・レゾルーションズ(Enantio
mers,Racemates,andResolut
ions)、ジョン・ウィレイ・アンド・サンズ、19
81で得られる。
【0039】本発明化合物の合成において最初の出発物
質として用いられる化合物は良く知られており、市販品
が入手できない範囲まで、当業者により一般に用いられ
る標準的方法により容易に合成される。
【0040】以下の実施例は本発明をさらに説明するた
めに供されるものであって、本発明を限定するものと解
してはならない。以下の実施例中、Rf値は、別途記載
の無い限り、以下の溶媒系中、キーセルゲル60F−2
54(メルク、ダルムシュタット)を用いるシリカゲル
薄層クロマトグラフィーにより測定された: (A)クロロホルム−メタノール−酢酸、135:1
5:1、v:v:v。 (B)酢酸エチル−酢酸−無水エタノール、90:1
0:10、v:v:v。 (C)クロロホルム−メタノール−酢酸、90:30:
5、v:v:v。
【0041】実施例中使用された分析用HPLC法は以
下の通りであった:方法1 0.46cm x 10cmのヴィダックC18
逆相カラムを使用するウォーターズ600E。クロマト
グラムは、A=0.1%(v:v)TFAを含有する
水、およびB=0.1%(v:v)TFAを含有するア
セトニトリルの勾配を用いてLDC上214nMで監視
した。
【0042】方法2 0.46cm x 10.0cm寸
法のヴィダックC18逆相カラムを用いるファルマシアF
PLC。監視は、A=0.1%(v:v)TFAを含有
する水、またはB=0.1%(v:v)TFAを含有す
るアセトニトリルのいずれかの勾配を用いてファルマシ
アUV−M上214nMで行なった。
【0043】方法3 0.46cm x 10cmのヴ
ィダックC18逆相カラムを用いるヒタチL−6200。
A(0.1%(v:v)水性TFA)およびB(アセト
ニトリル中0.1%TFA)から成る勾配を用いて試料
を溶出した。クロマトグラムはL−4000 UV検出
機を用いて214nmで監視した。
【0044】実施例中で用いられる略語は以下の意義を
有する。 アミノ酸:Arg=アルギニン、Pro=プロリン、h
Pro=ホモプロリン、Azt=アゼチジン−2−カル
ボン酸、Phe=フェニルアラニン、hPhe=ホモフ
ェニルアラニン。 Boc=t−ブチルオキシカルボニル(t−ブトキシカ
ルボニル)。 Bzl=ベンジル。 Cbz=ベンジルオキシカルボニル。 DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド。 DMF=ジメチルホルムアミド。 DMSO=ジメチルスルホキシド。 EtOAc=酢酸エチル。 Et2O=ジエチルエーテル。 EtOH=エタノール。 FAB−MS=高速原子衝撃質量分析。 FD−MS=電界脱離質量分析。 HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾールヒドラー
ト。 HPLC=高速液体クロマトグラフィー。 IR=赤外スペクトル。 LAH=水素化リチウムアルミニウム。 NMR=核磁気共鳴。 MOC=メトキシカルボニル。 RPHPLC=逆相高速液体クロマトグラフィー。 TFA=トリフルオロ酢酸。 THF=テトラヒドロフラン。 TLC=薄層クロマトグラフィー。 別途記載の無い限りpH調節および後処理は水性の酸ま
たは塩基溶液による。
【0045】
【実施例】実施例1 D−ホモプロリニル−L−プロリニル−L−
アルギニン アルデヒド ジヒドロクロリド(D−hP
ro−Pro−Arg−H・2HCl)の製造A)Cb
z−D−ホモプロリン D−ピペコリン酸(5.0g、38.7mmol)をテト
ラヒドロフラン(100mL)および水(30mL)に
溶解した。溶液のpHを2N NaOHで9.5に調節
し、クロロ蟻酸ベンジル(5.5mL、38.7mmo
l)を滴下し、2N NaOHでpHを9.5に維持し
た。反応を室温でさらに1時間攪拌した。有機溶媒を減
圧で蒸発させ、残留物にジエチルエーテル(100m
L)および水(50mL)を加えた。水層を分離し、こ
の溶液のpHを3N HClで2.8に調節し、酢酸エ
チル(150mL)を加えた。有機層を分離し乾燥(M
gSO4)し、濾液を減圧濃縮すると表記化合物が透明
な油状物として得られた(9.6g;収率95%): FD−MS 264(MH+); TLC Rf (A)0.37;1 HNMR(CDCl3)δ1.22−1.58(m,2
H)、1.60−1.80(m,2H)、2.20−2.35
(m,1H)、2.98−3.18(m,1H)、4.00
−4.20(m,1H)、4.85−5.05(m,1
H)、5.20(s,2H)、7.30−7.40(d,5
H); [α]D+39.0゜(C=0.5/MeOH)。
【0046】B)Cbz−D−ホモプロリニル−プロリ
ン Cbz−D−ホモプロリン(A)(9.5g、36mm
ol)をEtOAc(100mL)に溶解し、この溶液
を0℃に冷却した。この溶液に2,4,5トリクロロフ
ェノール(7.1g、36mmol)およびジシクロヘ
キシルカルボジイミド(7.4g、36mmol)を加
えた。反応を0℃で1時間、そして室温で1時間攪拌し
た。沈澱を濾過し、濾液を減圧濃縮して油状物を得た。
この油状物をピリジン(100mL)に溶解し、L−プ
ロリン(4.2g、36mmol)およびトリエチルア
ミン(5.0mL、36mmol)を加えた。反応を室
温で攪拌した(24時間)。反応溶媒を減圧で除去し油
状物を得た。残留物を水(100mL)に溶解し、ジエ
チルエーテル(50mL)を加え、pHを2N NaO
Hで9.5に調節した。水層をジエチルエーテルで2回
抽出した。水層を分離し、pHを3N HClで2.8
に調節し、EtOAc(150mL)を加えた。有機層
を分離し、乾燥(MgSO4)し、濾液を減圧で蒸発さ
せるとアモルファスの固体が得られた(11.4g;収
率88%); FD−MS 361(MH+); TLC Rf (A)0.78; [α]D=−2.7゜(c=0.5/トリフルオロエタノ
ール); 元素分析(C192425として): 理論値:C 63.32、H 6.71、N 7.77; 実測値:C 63.42、H 6.84、N 7.96。
【0047】C)Boc−Arg(Cbz)−OH Boc−Arg(HCL)−OH(82.1g、250
mmol)を三頸フラスコ中で5N NaOH(240
mL)に溶解した。反応混合物を−5℃に冷却し、クロ
ロ蟻酸ベンジル(143mL、1.0mol)を滴下し
つつ(55分間)5N NaOH(250mL)を用い
てpHを13.2−13.5に維持した。反応混合物を−
5℃でさらに1時間攪拌し、H2O(100mL)およ
びEt2O(500mL)で希釈した。水層を分離しE
20で抽出した(2 X 500mL)。水層を3N
2SO4(560mL)でpH3.0に酸性化し、Et
OAc(550mL)で抽出した。水層を分離しEtO
Acで1回抽出した。合したEtOAc層を水洗し乾燥
(MgSO4)した。有機層を減圧で濃縮乾固すると表
記化合物が得られた(66.1g;収率65%): TLC Rf (C)0.43; FD−MS 408(M+);1 HNMR(CDCl3)δ1.42(s,9H)、1.6
1−1.91(m,4H)、3.23−3.41(m,2
H)、4.17(d,1H)、5.21(s,2H)、5.6
2(d,1H)、7.30−7.42(m,6H)、8.3
7(m,1H)。
【0048】D)Boc−Arg(Cbz)−ラクタム Boc−Arg(Cbz)−OH(C)(66.0g、
0.162mol)をTHF(230mL)に溶解し、
−10℃に冷却した。この反応混合物にN−メチルモル
ホリン(18.7mL、0.17mol)、続いてクロロ
蟻酸イソブチル(22.5mL、0.17mol)を加え
た。反応混合物を−10℃で5分間攪拌し、トリエチル
アミン(23.5mL、0.17mol)を加えた。反応
混合物を−10℃で1時間、そして室温で1時間攪拌し
た。反応混合物を氷水1L中に注ぎ、得られた沈澱を濾
過し、冷水で洗浄し、減圧乾燥した。生成物をEtOA
cから結晶化すると表記化合物が得られた(38.05
g;収率60%): TLC Rf (A)0.77; FD−MS 391(MH+);1 HNMR(CDCl3)δ1.48(s,9H)、1.7
8−1.98(m,2H)、2.50(m,1H)、3.4
1(m,1H)、4.43(m,1H)、4.90(m,1
H)、5.16(s,2H)、5.27(m,1H)、7.2
8−7.45(m,6H)、9.41(m,1H)、9.6
8(m,1H)。
【0049】E)HCl・Arg(Cbz)−ラクタム EtOAc(7.2L)に飽和させたHCl(g)の溶
液を、CH2Cl2(3L)に溶解したBoc−Arg
(Cbz)−ラクタム(D)(641g、1.64mo
l)の溶液に−10℃で30分間かけて滴下した。−1
0℃で1時間攪拌して反応させ、3時間かけて徐々に室
温に温めた。ジエチルエーテル(12L)を加え、沈澱
を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、減圧で濃縮乾固すると表記化合物が得られた
(580g): TLC Rf (C)0.29; FD−MS 291(MH+);
【0050】F)Cbz−D−hPro−Pro−Ar
g(Cbz)−ラクタム フラスコ1中でCbz−hPro−Pro−OH(B)
(11.1g、30.8mmol)をDMF(75mL)
に溶解し、−15℃に冷却し、N−メチルモルホリン
(3.4mL、30.8mmol)、次いでクロロ蟻酸イ
ソブチル(4.0mL、30.8mmol)を加えた。反
応混合物を−15℃で2分間攪拌した。フラスコ2中で
HCl・Arg(Cbz)−ラクタム(E)(10.1
g、30.8mmol)をDMF(75mL)に溶解
し、0℃に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(1
0.7mL、61.6mmol)を加えた。反応混合物を
0℃で2分間攪拌した。フラスコ2の内容物を一度にフ
ラスコ2に加え、反応混合物を−15℃で4時間攪拌し
た。反応混合物を徐々に室温まで温めた(24時間)。
反応混合物に1N NaHCO3(5mL)を加え、反
応溶媒を減圧で除去した。この油状物にEtOAc(2
00mL)および水(100mL)を加え、有機層を分
離し、1N NaHCO3、水、1.5Nクエン酸、およ
び水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、濾液
を蒸発させると表記化合物のアモルファス固体が得られ
た(17.4g、収率89%)。 TLC Rf (A)0.66; FD−MS 633(MH+);
【0051】G)Cbz−D−hPro−Pro−Ar
g(Cbz)−H Cbz−D−hPro−Pro−Arg(Cbz)−ラ
クタム(F)(17.2g、27.1mmol)を無水T
HF(200mL)に溶解し、N2雰囲気下にフラスコ
に入れた。反応混合物を−65℃に冷却し、THF(2
7.1mL、27.1mmol)中の水素化リチウムアル
ミニウム1Mを5分間かけて滴下した。反応混合物を−
65℃で30分間攪拌した。THF5mLおよび0.5
N H2SO45mLの溶液を反応混合物に5分間かけて
滴下した。反応混合物をEtOAc(150mL)で希
釈し、水(50mL)および有機層を分離した。有機層
を水(2 X 100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO
4)した。濾液をアモルファス固体となるまで減圧で濃
縮乾固すると表記化合物が得られた(14.1g;収率
82%): TLC Rf (A)0.33; FAB−MS 635(MH+);
【0052】H)D−hPro−Pro−Arg−H・
2HCl・1.5H2O Cbz−D−hPro−Pro−Arg(Cbz)−H
(G)(14.0g、22.0mmol)をエタノール
(150mL)、水(50mL)、および1NHCl(5
5mL)に溶解した。この溶液に5%Pd/C(5.0
g)を加え、この反応を周囲温度および圧力下で3時間
水素化し、反応を窒素で5分間パージした。珪藻土板で
濾過することにより触媒を除去し、濾液を100mLま
で減圧濃縮した。さらに50mLのH2Oを反応に加
え、溶液のpHをバイオラドAG1−X8樹脂(ヒドロ
キシド型)で4.0に調節した。樹脂を濾過により除去
し、溶液を凍結乾燥して粗製の表記化合物8.29g
(86%)を得た。二部に分けた粗製物質を0.05%
HCl(pH2.5)20mLに溶解し、直列に連結し
た2本の5 X 25cmカラム(ヴィダックC18
脂)に適用した。(A)0.05%HClおよび(B)
CH3CNから成る勾配系を用いて純粋なペプチドを溶
離した。使用された勾配は、2%から10%の漸増する
濃度のCH3CNとした。画分を集め分析用RPHPL
Cプロフィルを基にプールした。合した画分をヒドロキ
シド型のAG1−X8樹脂(バイオラド分析用陰イオン
交換樹脂50−100メッシュ)を用いてpH4.0に
調節した。この溶液を濾過し、濾液を凍結乾燥すると純
粋な表記化合物が得られた(3.1g;収率61%): FAB−MS 367 (MH+); アミノ酸分析:hPro、1.00;Pro、0.98; [α]D=−88.4゜(C=0.5/0.1N HC
l); 元素分析(C173063・2HCl・1.5H2Oとし
て): 理論値:C 43.78、H 7.56、N 18.0
2; 実測値:C 43.48、H 7.25、N 18.0
0。
【0053】上記実施例1に記載の方法と実質上同等の
方法を用いて、または本明細書の他の箇所に記載のよう
にして、以下の化合物を合成した。
【0054】実施例2 D−プロリニル−L−プロリニ
ル−L−アルギニン アルデヒドジヒドロクロリド(D
−Pro−Pro−Arg−H・2HCl)の製造 元素分析(C163063Cl2として): 理論値:C 45.18、H 7.11、N 19.7
6; 実測値:C 44.96、H 6.90、N 19.5
6。
【0055】実施例3 D−ホモプロリニル−L−アゼ
チジニル−L−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロ
リド(D−hPro−Azt−Arg−H・2HCl)
の製造 元素分析(C163465Cl2として): 理論値:C 41.65、H 7.43、N 18.2
2; 実測値:C 42.05、H 7.35、N 18.3
7。
【0056】実施例4 D−チアゾリジニル−4−カル
ボニル−L−プロリニル−L−アルギニン アルデヒド
ジヒドロクロリドの製造 FAB−MS 371 (MH+); [α]D=−36.2゜(C−0.5/0.1N HC
l)。
【0057】実施例5 D−2−イソプロピル−5,5
−ジメチルチアゾリジニル−4−カルボニル−L−プロ
リニル−L−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロリ
ドの製造 A)D−2,2,5,5−テトラメチルチアゾリジン アセトン(1800mL)に入れたD−ペニシラミン
(29.8g、0.2mol)の溶液を12N HCl
(18.3mL)と50℃で4時間反応させた。反応混
合物を濾過し、濾液を減圧下に1500mLまで濃縮
し、4℃で24時間放置した。固体を濾過し乾燥すると
純粋な表記化合物が得られた(39.1g、収率86
%); mp188−191℃。
【0058】B)D−5,5−ジメチル−2−イソプロ
ピルチアゾリジン D−2,2,5,5−テトラメチルチアゾリジン(A)
(11.25g、0.050mol)の溶液をジオキサン
(150mL)に溶解し、イソブチルアルデヒド(14
mL、0.153mol)を加え、反応混合物を2時間
加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、24時間放
置した。沈澱を濾過し、エタノール(EtOH)(45
mL)/ジエチルエーテル(125mL)から再結晶し
て純粋な表記化合物を得た(9.0g、収率77%):
mp214−216℃。
【0059】C)D−2−イソプロピル−5,5−ジメ
チルチアゾリジニル−4−カルボニル−L−プロリニル
−L−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロリド 実施例1の工程BからHまでの方法に実質上従って、表
記化合物を製造した: FAB−MS 441 (MH+); [α]D=−88.4゜(C=0.5/0.01N HC
l); 元素分析(C204064Cl2Sとして): 理論値:C 45.20、H 7.57、N 15.8
1、S 6.03; 実測値:C 45.44、H 7.39、N 15.8
6、S 5.87。
【0060】実施例6 トランス−4−(2−ナフチル
オキシ)−D−プロリニル−L−プロリニル−L−アル
ギニン アルデヒド トリヒドロクロリド モノヒドラ
ートの製造 A)N−Cbz−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン
メチルエステル 2N NaOH水115mL中のシス−4−ヒドロキシ
−D−プロリン(30g;229mmol)の5℃の溶
液をクロロ蟻酸ベンジル36mL(252mmol)お
よび2N NaOH水115mLで同時に処理した。反
応のpHが安定した後、この混合物をEt2O(2 X
150mL)で洗浄し、5N HCl水でpH2に酸
性化した。反応をEtOAc(4 X 200mL)で
抽出し、合したEtOAc抽出物をNa2SO4で乾燥し
減圧で蒸発させると粗製のN−Cbz−保護酸64.1
gがゴム状物質として得られた。
【0061】DMF300mL中のK2CO333.0g
(239mmol)および粗製の酸の混合物をMeI
14.5mL(233mmol)を滴下することにより
処理した。室温で54時間攪拌した後、反応物をH2
300mL中に注ぎ、この混合物をEtOAc(5
X 200mL)で抽出した。合した有機抽出液をH2
O(3 X 200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥
し、減圧で蒸発させると油状物65.3gが得られた。
フラッシュクロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン中
25%EtOAc)による精製は、表記化合物47.3
g(169mmol;シス−4−ヒドロキシ−D−プロ
リンから74%)を粘稠な油状物として与えた。 FD−MS m/e 279(M+); 元素分析(C1417NO5として): 理論値:C 60.21、H 6.13、N 5.01; 実測値:C 59.95、H 6.11、N 4.92。
【0062】B)N−Cbz−トランス−4−(2−ナ
フチルオキシ)−D−プロリン メチルエステル THF300mLに入れたN−Cbz−シス−4−ヒド
ロキシ−D−プロリン メチルエステル15.0g(53.7mmol)、β−ナ
フトール11.3g(78.4mmol)、およびトリフ
ェニルホスフィン20.5g(78.2mmol)をジエ
チルアジドジカルボキシラート12.3mL(78.1m
mol)で0.5時間処理した。反応物を室温で18時
間攪拌し、飽和NaCl水100mLの添加により反応
を鎮めた。2つの層を分離し、有機溶液を乾燥(Na2
SO4)した。溶媒を蒸発させて油状物46.2gを得、
これをフラッシュクロマトグラフィー(SiO2;ヘキ
サン中25%ないし50%EtOAcの勾配)により精
製すると表記化合物15.2g(37.5mmol;70
%)が得られた。 FD−MS m/e 405(M+); IR(フィルム) 3014、1749、1705、1
630、1422、1357、1179、1121cm
-1。 元素分析(C2423NO5として): 理論値:C 71.10、H 5.72、N 3.46; 実測値:C 71.04、H 5.73、N 3.59。
【0063】C)トランス−4−(2−ナフチルオキ
シ)−D−プロリン−L−プロリン−L−アルギニン
アルデヒド トリヒドクロリド モノヒドラート 結合したアミノ保護Argラクタムの還元に水素化リチ
ウムアルミニウムではなくリチウムトリ−t−ブトキシ
アルミノヒドリドを使用する外は実施例1の方法に実質
上従って、N−Cbz−トランス−4−(2−ナフチル
オキシ)−D−プロリンメチルエステルを表記化合物に
変換し、これをトリヒドロクロリドモノヒドラートとし
て単離した。 FAB−MS 495 (MH+); [α]D=−5.11゜(C=0.01、MeOH); 元素分析(C2639Cl365として): 理論値:C 50.21、H 6.32、N 13.5
1; 実測値:C 50.11、H 6.07、N 13.7
2。
【0064】実施例7 (1,7−シス)−3−アザ−
ビシクロ[5.4.0]ウンデカニル−4−カルボニル−
L−プロリニル−L−アルギニン アルデヒド ジヒド
ロクロリドの製造
【化18】 A)2−メトキシカルボニル−2,3,4,5−テトラ
ヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3−カルボン酸エ
チルエステル i)α−テトラロン−2−カルボン酸エチルエステル
【化19】 I.ウギ等(J.Liebigs Ann.Chem.、6
41巻63頁(1961))による記載のようにして、
無水エタノール中のナトリウムエトキシドを用いてα−
テトラロンを蓚酸ジエチルでアシル化する。得られたエ
ステルを、C.−J.ルーおよびF.F.ブリッケ(Che
m.Abstr.、52巻11086e)の方法を用いて
熱により脱カルボニル化して、表記化合物を得た。
【0065】ii)1−オキソ−2,3,4,5−テト
ラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3−カルボン酸
エチルエステル
【化20】 M.ヴィンセント等(米国特許第5190823号(1
993);欧州特許出願、公開番号462884号(1
991))による記載のようにして、置換α−テトラロ
ンを、C.−J.リーおよびF.F.ブリッケ(Chem.
Abstr.、52巻11086e−f)の方法を用い
て、ナトリウムアジドおよびクロロホルム中の濃硫酸を
使用して表記のベンズアゼピンに変換する。
【0066】iii)1−チオオキソ−2,3,4,5
−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3−カル
ボン酸エチルエステル
【化21】 モリサワ等の方法(日本国公開特許公報JP61 57
599号[86 57559](1986);Che
m.Abstr.、105巻97354r)に従ってオキ
ソベンズアゼピンをチオオキソベンズアゼピンに変換す
る。即ち、無水テトラヒドロフラン(250mL)に溶
解した1−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1
H−2−ベンズアゼピン−3−カルボン酸エチルエステ
ル(20g)を五硫化リン(3.80g)で処理し、得
られた混合物を4時間加熱還流する。不溶性物質を濾過
した後、溶液を蒸発させ、残留物を1:2v/v酢酸エ
チル:ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィ
ーによって精製し、チオオキソ化合物を黄色針状物とし
て得た(mp78−81℃、収率71%が報告され
た)。
【0067】iv)2,3,4,5−テトラヒドロ−1
H−2−ベンズアゼピン−3−カルボン酸エチルエステ
【化22】 モリサワ等の方法に従い、チオオキソ基を環から還元す
る。即ち、1−チオオキソ−2,3,4,5−テトラヒ
ドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3−カルボン酸エチ
ルエステル(1.50g)を無水エタノール(200m
L)に溶解する。ラネーニッケル(30g)を加え、得
られた混合物を室温で30分間攪拌する。不溶性物質を
濾過した後、溶液を蒸発させ、残留物を1:2v/v酢
酸エチル:ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラ
フィーによって精製すると、ベンズアゼピンが淡茶色油
状物質として得られる(収率78%が報告された)。
【0068】v)2−メトキシカルボニル−2,3,
4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3
−カルボン酸エチルエステル
【化23】 実施例8−Aに記載の方法と同様の方法を用いてベンズ
アゼピンをクロロ蟻酸メチルでアシル化する。
【0069】B)2−メトキシカルボニル−2,3,
4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−3
−カルボン酸
【化24】 THF(100mL)および水(10mL)中のエステ
ル10gの溶液を当モル量の2N NaOHで処理し、
引続き室温で一夜攪拌することにより、エチルエステル
は簡便に加水分解される。反応混合物をジエチルエーテ
ル(200mL)および水(100mL)で希釈する。
相を分離した後、酢酸エチル(200mL)を水相に加
え、この溶液を3N HClでpH2.0に酸性化す
る。有機相を分離し、乾燥(MgSO4)し蒸発させて
表記の酸を得る。この酸は、キラル生成物の製造のため
の常法により分割することができる。
【0070】C)3−メトキシカルボニル−(1,7−
シス)−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン−4
−カルボン酸
【化25】 実施例8−Cに記載の方法と同様の方法を用いてテトラ
ヒドロベンズアゼピンを水素化してペルヒドロ化合物を
得る。
【0071】D)3−Cbz−(1,7−シス)−3−
アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン−4−カルボン酸
【化26】 実施例8−Dに記載の方法と同様の方法を用いてメトキ
シカルボニル基をCbzに置き換える。
【0072】E)3−Cbz−(1,7−シス)−3−
アザビシクロ[4.5.0]ウンデカニル−4−カルボニ
ル−Pro−O−t−ブチル
【化27】 実施例8−Eに記載の方法と同様の方法を用いて酸をL
−Pro−O−t−ブチルと結合させる。
【0073】F)3−Cbz−(1,7−シス)−3−
アザビシクロ[5.4.0]ウンデカニル−4−カルボニ
ル−Pro−OH
【化28】 実施例8−Fに記載の方法と同様の方法を用いてカルボ
キシ基を脱保護する。
【0074】G)3−Cbz−(1,7−シス)−3−
アザビシクロ[5.4.0]ウンデカニル−4−カルボニ
ル−Pro−Arg(Cbz)−ラクタム
【化29】 実施例8−Gに記載の方法と同様の方法を用いて酸をA
rg(Cbz)−ラクタムと結合させる。
【0075】H)3−Cbz−(1,7−シス)−3−
アザビシクロ[5.4.0]ウンデカニル−4−カルボニ
ル−Pro−Arg−(Cbz) アルデヒド
【化30】 実施例8−Hに記載の方法と同様の方法を用いてラクタ
ムを還元してアルデヒドを得る。
【0076】I)(1,7−シス)−3−アザビシクロ
[5.4.0]ウンデカニル−4−カルボニル−L−プロ
リニル−L−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロリ
ド実施例8−Iに記載の方法と同様の方法を用いてCb
z基を除去し、表記生成物を精製する。
【0077】実施例8 DL−シス−3−アザ−ビシク
ロ[5.4.0]ウンデカニル−2−カルボニル−L−プ
ロリニル−L−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロ
リドの製造
【化31】 A)N−メトキシカルボニル−3−フェニル−1−プロ
ピルアミン THF(50mL)および水(50mL)に入れた3−
フェニル−1−プロピルアミン(19.6g、145m
mol)の攪拌溶液を2N NaOHでpH9.0に調
節した。pHを2N NaOHで9.0に維持しながら
この反応物にクロロ蟻酸メチル(12.3mL、159
mmol)を滴下した。反応物を室温でさらに30分間
攪拌した後に酢酸エチル(250mL)を加えた。有機
層を分離し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、そして濾
液を減圧濃縮して純粋な表記化合物を透明な油状物とし
て得た(28g、収率100%): FAB−MS 193 (M+); TLC Rf (C)0.83。
【0078】B)Moc−DL−2−カルボキシ−3,
4−ベンゾホモピペリジン
【化32】 トリフルオロ酢酸(125mL)中のN−メトキシカル
ボニル−3−フェニル−1−プロピルアミン(A)(2
4.1g、125mmol)の溶液にグリオキシル酸
(11.1g、150mmol)を加え、還流温度に加
熱した。4時間還流した後、反応物を室温に冷却し、溶
媒を減圧で除去し、残留物にジエチルエーテル(200
mL)/水(50mL)を加えた。反応混合物のpHを
5N NaOHで9.3に上げ、水層を分離した。この
水層に酢酸エチル(250mL)を加え、溶液を3N
HClでpH2.5に酸性化した。有機層を分離し、乾
燥(MgSO4)し、濾過し、濾液を減圧濃縮すると純
粋な表記化合物が油状物として得られた(26.9g、
収率86%); FAB−MS 250 (MH+); 元素分析(C1315NO4として): 理論値:C 62.64、H 6.07、N 5.62; 実測値:C 62.72、H 6.02、N 5.87。
【0079】C)Moc−DL−シス−3−アザ−2−
カルボキシビシクロ−[5.4.0]ウンデカン
【化33】 EtOH(400mL)中のB(31.5g、126m
mol)の溶液を、160℃の高圧装置中、138バー
ル(2000psi)で5%Rh/Al23(16.0
g)により16時間水素と反応させた。反応混合物を珪
藻土板で濾過し、濾液を減圧濃縮して純粋な表記化合物
を得た(27.8g、収率87%)。 FAB−MS 256 (MH+)。
【0080】D)Cbz−DL−シス−3−アザ−2−
カルボキシビシクロ−[5.4.0]ウンデカン
【化34】 不活性雰囲気下、無水CH3CN(200mL)に入れ
たC(27.8g、109mmol)の攪拌溶液に、室
温で、CH3CN(20mL)中のヨードトリメチルシ
ラン(35.7mL、250mmol)の溶液を加え
た。反応物を45℃で30分間攪拌し、室温に冷却し
た。水(200mL)、引続きメタ重亜硫酸ナトリウム
(1g)で反応を鎮めた。反応物のpHを5N NaO
Hで9.5に上げ、2N NaOHでpHを9.5に維持
しながらクロロ蟻酸ベンジル(14.4mL、101m
mol)を滴下した。反応物を室温でさらに30分間攪
拌した後、有機溶媒を減圧で蒸発させ、酢酸エチル(2
00mL)を加え、この溶液を5N HClでpH2.
5に酸性化した。有機層を分離し、乾燥(MgSO4
し、濾過し、濾液を減圧濃縮して粗製の油状物(31.
8g)を得た。この粗製油状物を段階的勾配溶離(CH
Cl3100%からCHCl3/EtOAc 1:1に至
る)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製
して油状物を得た(18.2g、収率50%)。THF
(100mL)および水(50mL)に入れたこの油状
物(18.2g)の攪拌冷溶液(0℃)に、2N Na
OH(25.3mL、50.6mmol)を加えた。反応
物を室温で24時間攪拌した。反応物をジエチルエーテ
ル(200mL)および水(100mL)で希釈した。
水層を分離し、EtOAc(200mL)を加え、溶液
を5N HClでpH2.0に酸性化した。有機層を分
離し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、濾液を減圧濃縮
すると純粋な表記化合物が油状物として得られた(6.
9g、収率40%)。 FAB−MS 332 (MH+); 元素分析(C1925NO4として): 理論値:C 68.86、H 7.60、N 4.23; 実測値:C 68.26、H 7.57、N 4.12。
【0081】E)Cbz−DL−シス−3−アザ−ビシ
クロ[5.4.0]ウンデカニル−2−カルボニル−Pr
o−O−t−ブチル。
【化35】 DMF(60mL)に入れたD(6.7g、20.2mm
ol)の攪拌冷溶液(0℃)に、L−Pro−O−t−
ブチル(3.46g、20.2mmol)、HOBT
(2.73g、20.2mmol)、およびDCC(4.
17g、20.2mmol)を加えた。反応混合物を0
℃で2時間攪拌し、室温に温め、攪拌した(24時
間)。反応混合物を減圧で濃縮乾固し残留物をEtOA
cに溶解した。この有機溶液を1N NaHCO3(1
00mL)、水、1.5Nクエン酸、および水で順次洗
浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧
で濃縮乾固して純粋な表記化合物を得た(9.2g、収
率94%): TLC Rf (A)0.74; FAB−MS 484 (M+)。
【0082】F)Cbz−DL−シス−3−アザ−ビシ
クロ[5.4.0]ウンデカニル−2−カルボニル−Pr
o−OH。
【化36】 CH2Cl2(20mL)に入れたE(9.2g、19m
mol)の攪拌冷溶液(0℃)にアニソール(2.5m
L)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌した。反応物
を加熱せずに減圧濃縮し、ジエチルエーテル(200m
L)および水(200mL)で希釈した。溶液のpHを
5N NaOHで9.8に調節した。水層を分離し、酢
酸エチル(250mL)を加え、この溶液を5N HC
lでpH2.8に酸性化した。有機層を分離し、乾燥
(MgSO4)し、濾過し、濾液を減圧濃縮して表記化
合物(7.7g、収率95%)を透明な油状物として得
た。 TLC Rf (A)0.75; FAB−MS 429 (MH+)。
【0083】G)Cbz−DL−シス−3−アザビシク
ロ[5.4.0]ウンデカニル−2−カルボニル−Pro
−Arg(Cbz)ラクタム。
【化37】 フラスコ1中で化合物F(7.4g、17.3mmol)
をDMF(50ml)に溶解し、−15℃に冷却し、N
−メチルモルホリン(1.9ml、17.3mmol)、
次いでクロロ蟻酸イソブチル(2.3mL、17.3mm
ol)を加えた。反応混合物を−15℃で2分間攪拌し
た。実施例1、工程DおよびEの記載と実質上同様にし
て製造されたHCl・Arg(Cbz)−ラクタム
(5.7g、17.3mmol)をフラスコ2中でDMF
(40ml)に溶解し、0℃に冷却し、この溶液にジイ
ソプロピルエチルアミン(7.5ml、43.2mmo
l)を加えた。反応混合物を0℃で2分間攪溝した。
【0084】フラスコ2の内容物をフラスコ1に加え、
反応混合物を2時間(−15℃)、次いで室温で24時
間攪拌した。反応溶媒を減圧で除去して油状物を得た。
この残留物をEtOAc(200mL)に溶解し、1N
NaHCO3(100ml)、水、1.5Nクエン酸、
および水で順次洗浄した。有機溶液を乾燥(MgS
4)し、濾過し、減圧で濃縮乾固して粗製の固体を得
た。この粗製の固体を段階的勾配溶離(ヘキサン100
%からヘキサン−EtOAc 20:80に至る)を用
いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると純
粋な表記化合物(2.1g、収率17%)が遅く流出す
る物質として得られた: FAB−MS 701 (MH+); 元素分析(C384867として): 理論値:C 65.12、H 6.90、N 11.9
9; 実測値:C 65.58、H 7.26、N 11.1
3。
【0085】H)Cbz−DL−シス−3−アザ−ビシ
クロ[5.4.0]ウンデカニル−2−カルボニル−Pr
o−Arg(Cbz)アルデヒド。
【化38】 2雰囲気下、無水THF(30mL)に入れたG(2.
1g、3.0mmol)の攪拌冷溶液(−70℃)に、
THF中の水素化リチウムアルミニウム1M(3.0m
l、3.0mmol)を加えた。反応物を−70℃で3
0分間攪拌した。THF5mLおよび0.5N H2SO
45mLの溶液をこの反応物に滴下した。反応物をEt
OAc(100mL)および水(50mL)で希釈し
た。有機層を分離し、乾燥(MgSO4)し、濾過し
た。有機溶媒を減圧で除去してアモルファス固体の表記
化合物(2.0g、95%)を得た: FAB−MS 703 (MH+)。 I)DL−シス−3−アザ−ビシクロ[5.4.0]ウン
デカニル−2−カルボニル−L−プロリニル−L−アル
ギニン アルデヒド ジヒドロクロリド。
【化39】
【0086】エタノール(120mL)、水(30m
L)、および1N HCl(7.0mL、7.0mmo
l)に溶解した化合物H(2.0g、2.8mmol)を
周囲温度および圧力下で5%Pd/C触媒(1.5g)
の存在下に水素化した。反応が完結した後、触媒を濾去
した。濾液を減圧で30mLまで濃縮し、水(50m
L)を加えた。溶液のpHをバイオラドAG1−X8樹
脂(ヒドロキシド型)で4.0に調節した。樹脂を濾過
により除き、溶液を凍結乾燥して表記化合物(1.27
g、89%)を得た: FAB−MS 435 (MH+); 元素分析(C223863・2HCl・3H2Oとし
て): 理論値:C 46.31、H 8.30、N 14.7
3; 実測値:C 46.10、H 7.94、N 14.4
3。
【0087】実施例9 D,L−ピペラジン−2−オイ
ル−L−プロリル−L−アルギニンアルデヒド ジヒド
ロクロリドの製造 結合したアミノ保護Argラクタムの還元に水素化リチ
ウムアルミニウムではなくリチウムトリ−t−ブトキシ
アルミノヒドリドを使用する外は実施例1の方法に実質
上従って、表記化合物をD,L−ピペラジン−2−カル
ボン酸 ジヒドロクロリドから製造した: FAB−MS m/e 368 (MH+); 元素分析(C1631Cl273として): 理論値:C 43.64、H 7.10、N 22.2
6; 実測値:C 43.17、H 7.78、N 15.2
1。
【0088】実施例10 D,L−チアゾリジニル−2
−カルボニル−L−プロリニル−L−アルギニン アル
デヒド ジヒドロクロリドの製造 A)Cbz−D,L−チアゾリジニル−2−カルボニル
−L−プロリニル−L−アルギニル ラクタム 実施例9に記載の方法に実質上従って、表記化合物を
D,L−チアゾリジニル−2−カルボン酸から製造し
た。 FD−MS:m/e 636 (M+) [α]D=−74.26゜(C=0.01、CH2Cl2) 元素分析(C313667Sとして): 理論値:C 58.48、H 5.70、N 13.2
0; 実測値:C 58.49、H 5.57、N 12.9
5。
【0089】B)Cbz−D,L−チアゾリジニル−2
−カルボニル−L−プロリン−Cbz−L−アルギニン
アルデヒド THF200mL中の−25℃のCbz−D,L−チア
ゾリジニル−2−カルボニル−L−プロリニル−L−ア
ルギニル ラクタム12.3g(19.0mmol)の溶
液を、反応温度が−20℃を超えないような速度で29
mL(THF中1M;29mmol)のLi(t−Bu
O)3AlH溶液で処理した。反応物を−25℃で3時
間攪拌し、HCl 100mL中に注いだ。この混合物
を1:1のTHF−ヘキサン(2 X 100mL)お
よびEtOAc(2 X 100mL)で抽出した。E
tOAc層をNa2SO4で乾燥し、減圧で蒸発させて粗
生成物6.96g(10.9mmol;収率58%)を白
色泡状物として得た。所望生成物の存在を質量分析[F
D−MS;m/e 638(M+)]により確認し、こ
の混合物をさらに精製することなく次の反応に使用し
た。
【0090】C)D,L−チアゾリジニル−2−カルボ
ニル−L−プロリニル−L−アルギニン アルデヒド
ジヒドロクロリド 保護アルデヒド(B)(6.72g;10.5mmol)
及びp−クレゾール(7.0mL)の混合物に、テフロ
ン/ケル−F装置中で液体HF35mLを加えた。混合
物を0℃で20分間攪拌し、次いでHFを減圧で除去し
た。残留物をEt2Oで摩砕して白色固体を得、これ
を、0.5%水性HCl中の2%CH3CNから0.5%
水性HCl中の40%CH3CNに至る勾配を使用して
5 x 25cmヴィダックC18RPHPLCカラムを
用いる逆相クロマトグラフィーによって精製した。純粋
な画分を合し、凍結乾燥すると表記化合物2.65g
(6.0mmol;60%)がジヒドロクロリドとして
得られた。 FAB−MS m/e 370 (M+) 元素分析(C1528Cl263Sとして): 理論値:C 40.63、H 6.37、N 18.9
5; 実測値:C 40.84、H 6.19、N 18.8
0。
【0091】実施例11 D,L−チオモルホリニル−
2−カルボニル−L−プロリン−L−アルギニン アル
デヒド ジヒドロクロリドの製造 D,L−チアゾリジニル−2−カルボニル−L−プロリ
ン−アルギニン アルデヒド ジヒドロクロリドの合成
(実施例10)に使用された方法に実質上従って、表記
化合物を製造した: FAB−MS m/e 385 (M+); [α]D=−58.43゜(C=0.01、MeOH); 元素分析(C1630Cl263Sとして): 理論値:C 42.01、H 6.61、N 18.3
7; 実測値:C 40.73、H 6.73、N 15.0
9。
【0092】実施例12 D−シス−(4−フェノキ
シ)プロリニル−L−プロリニル−L−アルギニン ア
ルデヒド トリヒドロクロリド モノヒドラートの製造 実施例6の方法に実質上従って表記化合物を製造した: FAB−MS 445 (MH+); 元素分析(C223264・3HCl・H2Oとし
て): 理論値:C 46.20、H 6.52、N 14.6
9; 実測値:C 46.04、H 6.73、N 14.4
4。
【0093】実施例13 4−(3−ピリジルオキシ)
−D−プロリニル−L−プロリニル−L−アルギニン
アルデヒド ヒドロクロリド ヒドラートの製造 A)N−Cbz−トランス−4−(3−ピリジルオキ
シ)−D−プロリン メチルエステル。 N−Cbz−トランス−4−(2−ナフチルオキシ)−
D−プロリン メチルエステルの製造に使用された実施
例6、工程AおよびBの方法に実質上従って、表記化合
物を3−ヒドロキシピリジンおよびN−Cbz−シス−
4−ヒドロキシ−D−プロリン メチルエステルから製
造した。 FD−MS 356 (M+); 元素分析(C192025として): 理論値:C 64.04、H 5.66、N 7.86; 実測値:C 64.22、H 5.81、N 7.76。
【0094】B)4−(3−ピリジルオキシ)−D−プ
ロリン−L−プロリン−アルギニンアルデヒド ヒドロ
クロリド ヒドラート 実施例9の方法に実質上従って、表記化合物をN−Cb
z−トランス−4−(3−ピリジルオキシ)−D−プロ
リン メチルエステルから製造した。 FAB−MS 368 (M+); 元素分析(C2134ClN75として): 理論値:C 50.45、H 6.38、N 19.6
1; 実測値:C 50.62、H 6.61、N 19.6
0。
【0095】実施例14 トランス−4−フェニルチオ
−D−プロリニル−L−プロリニル−L−アルギニン
アルデヒド トリヒドロクロリド トリヒドラートの製
造。 A)N−Cbz−シス−4−トシル−D−プロリン メ
チルエステル CHCl3200mLに入れたN−Cbz−シス−4−
ヒドロキシ−D−プロリン メチルエステル20g(7
1.6mmol)、トリエチルアミン15mL(107
mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.4g
(3.3mmol)の溶液を、p−トルエンスルホニル
クロリド15.1g(79.2mmol)で少しずつ処理
した。反応物を室温で18時間攪拌し、H2O 100
mL、1N水性クエン酸100mL、およびH2O 1
00mLで順次洗浄した。有機画分をNa2SO4で乾燥
し、減圧で蒸発させて油状物31.4gを得、これをフ
ラッシュクロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン中5
0%EtOAc)により精製すると表記化合物18.2
g(42mmol;59%)が白色固体として得られ
た。 FD−MS m/e 433 (M+); 元素分析(C2123NO7Sとして): 理論値:C 58.19、H 5.35、N 3.23; 実測値:C 58.43、H 5.33、N 3.16。
【0096】B)N−Cbz−トランス−4−フェニル
チオ−D−プロリン エチルエステル EtOH40mL中のナトリウムエトキシド35.6m
molの溶液(EtOH40mLにNa820mgを加
えることにより製造する)にチオフェノール(3.3m
L;32.2mmol)を加えた。混合物を15分間攪
拌し、N−Cbz−シス−4−トシル−D−プロリン
メチルエステルの固体6.0g(15mmol)で処理
した。反応物を40℃で19時間攪拌し、この時点で冷
却しH2O100mLで希釈した。EtOHを減圧で蒸
発させ、水層をEtOAc(3x 100mL)で抽出
した。合した有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、減圧で
蒸発させて油状物7.40gを得、これをフラッシュク
ロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン中5%EtOA
c)により精製すると表記化合物4.60g(12mm
ol;79%)が透明な油状物として得られた。 FD−MS m/e 385 (M+); 元素分析(C1417NO5として): 理論値:C 65.43、H 6.01、N 3.63; 実測値:C 65.39、H 6.01、N 3.85。
【0097】C)トランス−4−フェニルチオ−D−プ
ロリン−L−プロリン−アルギニンアルデヒド トリヒ
ドロクロリド トリヒドラート D,L−チアゾリジニル−2−カルボニル−L−プロリ
ン−L−アルギニンアルデヒド ジヒドロクロリドの合
成に使用された実施例10の方法に実質上従って、表記
化合物をN−Cbz−トランス−4−フェニルチオ−D
−プロリンエチルエステルから製造した。 FAB−MS m/e 461 (M+); 高分解能質量分析(HRMS)(MH+)、C22336
3S。理論値:461.2341、実測値:461.2
318。 元素分析(C2235Cl363S・3H2Oとして): 理論値:C 42.35、H 6.62、N 13.4
7; 実測値:C 42.46、H 5.73、N 13.5
3。
【0098】本発明に係る化合物は、生体の天然の血餅
溶解能に対し認め得る干渉をすることなく(この化合物
はフィブリン溶解に対する阻害作用が低い)、血液凝固
に関わる他のプロテイナーゼおよび非酵素蛋白に優る選
択的なトロンビンの阻害を行なうと信ぜられる。さらに
このような選択性は、血栓溶解およびフィブリン溶解へ
の実質的な干渉無しに血栓溶解剤と共に使用することを
可能にすると信ぜられる。
【0099】本発明はその態様の1つにおいて、処置を
必要とする哺乳動物に式Iの化合物の有効(トロンビン
阻害)用量を投与することからなる、哺乳動物において
トロンビンを阻害する方法を提供する。
【0100】別の態様において、本発明は、処置を必要
とする哺乳動物に式Iの化合物の有効(血栓塞栓症治療
および/または予防量)用量を投与することからなる、
血栓塞栓症を処置する方法を提供する。
【0101】別の態様において本発明は、処置を必要と
する哺乳動物に式Iの化合物の有効(凝固阻害)用量を
投与することからなる、哺乳動物において凝固を阻害す
る方法を提供する。
【0102】本方法により意図されるトロンビン阻害、
凝固阻害および血栓塞栓症処置は、医学的治療および/
または予防処置の両者を適宜包含する。
【0103】さらなる態様において本発明は、人間また
は動物においてトロンビンの阻害が必要とされる状態の
処置に関連する。本発明に係る化合物は、人間を包含す
る動物において、血栓症ならびに血液および組織におけ
る凝固能亢進の処置または予防に有用であると期待され
る。この化合物が有用である可能性のある疾患は、血栓
症ならびに血液および組織の凝固能亢進の処置または予
防である。この化合物が処置および/または予防に有用
である可能性のある疾患は、静脈血栓症および肺塞栓、
動脈血栓症、例えば心筋虚血、心筋梗塞、不安定狭心
症、血栓に基づく卒中および末梢動脈血栓症の際のもの
を包含する。さらに本化合物は、アテローム性動脈硬化
症(疾患)、例えば冠動脈疾患、脳動脈疾患および末梢
動脈疾患の処置または予防に有用性が予想される。さら
に本化合物は心筋梗塞における血栓溶解剤との併用に役
立つと予想される。さらに本化合物は、血栓溶解、経皮
貫腔血管形成術(PTCA)および冠動脈バイパス手術
後の再閉塞の予防に有用性が予想される。さらに本化合
物は、顕微手術後の再血栓形成の防止に有用性が予想さ
れる。さらに本化合物は人工臓器および心臓弁に関連す
る抗凝固処置に有用性が予想される。さらに本化合物
は、血液透析および播種性血管内凝固における抗凝固処
置に有用性が予想される。さらに予想される有用性は、
患者にインビボで使用されるカテーテルおよび機械装置
のすすぎに、そして血液、血漿およびその他の血液製品
のインビトロでの保存のための抗凝固剤としてである。
またさらに、本化合物は、血液凝固が基本的寄与工程ま
たは二次的病態の原因となり得るその他の疾患、例えば
転移を包含する癌腫、関節炎を包含する炎症性疾患、な
らびに糖尿病に有用性が予想される。この抗凝固化合物
は、経口的、非経口的、例えば静脈内注入(iv)、筋
肉内注射(im)または皮下(sc)により投与され
る。
【0104】治療的および/または予防的効果を得るた
めに本発明に従って投与される化合物の個々の用量は、
無論、例えば投与される化合物、投与速度、投与経路、
および処置される状態を包含する、その症例を取り巻く
個別的状況によって決定されるであろう。
【0105】上記用途の各々に対する典型的な日用量は
約0.01mg/kgおよび約1000mg/kgの間
である。用量計画は変えることができ、例えば予防的使
用のためには1日に1回の用量を投与することができ、
または1日に3または5回といった複数回投与が適当で
あるかも知れない。重篤な処置状況の場合、本発明化合
物はiv注入により、約0.01mg/kg/時および
約20mg/kg/時の間、好ましくは約0.1mg/
kg/時および約5mg/kg/時の間の速度で投与さ
れる。
【0106】さらに本発明に係る方法は、血餅溶解剤、
例えば組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、
修飾t−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼ
と組み合わせて実施される。血餅の形成が起こり動脈ま
たは静脈が部分的にまたは完全に遮断された場合には、
通常血餅溶解剤が使用される。本発明化合物はこの溶解
剤の前またはこれと共にまたはその使用後に投与するこ
とができ、そして好ましくは血餅形成の再発を防ぐため
にさらにアスピリンと共に投与する。
【0107】本発明に係る方法はさらに、血小板凝集を
阻害する血小板糖蛋白レセプター(IIb/IIIa)
アンタゴニストと組み合わせて実施される。本発明化合
物は、血餅形成またはその再発を防ぐために、IIb/
IIIaアンタゴニストの前またはこれと共にまたはそ
の使用後に投与することができる。
【0108】本発明に係る方法はさらにアスピリンと組
み合わせて実施される。本発明化合物は、血餅形成また
はその再発を防ぐために、アスピリンの前またはこれと
共にまたはその使用後に投与することができる。上に述
べたように、好ましくは本発明化合物は血餅溶解剤およ
びアスピリンと組み合わせて投与する。
【0109】さらに本発明は、上記の治療法における使
用のための薬用製剤を提供する。本発明に係る薬用製剤
は、式Iの化合物の有効なトロンビン阻害量を、薬学上
許容し得る担体、賦形剤または希釈剤と共に含有する。
経口投与のためには、この抗血栓化合物はゼラチンカプ
セルまたは錠剤に製剤化し、これらは結合剤、潤滑剤、
崩壊剤等のような賦形剤を含有させることができる。非
経口投与のためにはこの抗血栓化合物は、薬学上許容し
得る希釈剤、例えば生理食塩水(0.9%)、5%デキ
ストロース、リンゲル溶液等で製剤化される。
【0110】本発明に係る化合物は約0.1mgおよび
約1000mgの間の用量を含む単位投与剤型に製剤化
することができる。好ましくは本化合物は、例えば硫酸
塩、酢酸塩または燐酸塩のような薬学上許容し得る塩の
形である。単位投与剤型の例は、10mLの滅菌ガラス
アンプル中に薬学上許容し得る塩としての本発明化合物
5mgを含む。単位投与剤型の別の例は、滅菌アンプル
に入れた等張食塩水20mL中に薬学上許容し得る塩と
しての本発明化合物約10mgを含む。
【0111】この化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、
静脈内、筋肉内、および経鼻を包含する種々の経路によ
り投与することができる。本発明化合物は好ましくは投
与前に調合する。本発明の別の態様は、式Iの化合物ま
たは薬学上許容し得るその塩もしくは溶媒和物の有効量
を、そのための薬学上許容し得る担体、希釈剤または賦
形剤と共に含む薬用製剤である。
【0112】このような製剤中の活性成分は当該製剤の
0.1%ないし99.9%(重量)を構成する。「薬学上
許容し得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤がその製
剤の他の成分と共存可能でなければならず、且つその受
容者にとって有害であってはならないことを意味する。
【0113】この薬用製剤は既知のそして容易に入手し
得る成分を用いる既知の方法によって製造される。本発
明に係る組成物は、当分野で良く知られる方法を用いる
ことにより、患者への投与後迅速な、持続性の、または
遅延された活性成分の放出を提供するよう調合すること
ができる。本発明に係る組成物の製造において、通常、
活性成分は担体と混合され、または担体により希釈さ
れ、またはカプセル、サシェー、紙もしくはその他の容
器の形であってよい担体内に封入される。担体が希釈剤
の役割を有する場合、これは該活性成分のための媒質、
賦形剤または媒体として挙動する固体、半固体もしくは
液体物質であってよい。したがってこの組成物は、錠
剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェー剤、カシェー
剤、エリキシル、懸濁剤、乳剤、溶液、シロップ、エア
ゾール、(固体としてまたは液体媒体中の)、軟および
硬ゼラチンカプセル剤、座剤、無菌注射用溶液、無菌包
装散剤等の形とすることができる。
【0114】以下の製剤例は単なる例示であって、いか
なる方法によっても本発明の範囲を限定する意図はな
い。「活性成分」は、無論式Iで示される化合物または
薬学上許容し得るその塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0115】製剤例1 以下の成分を用いて硬ゼラチンカプセル剤を製造する: 量(mg/カプセル) 活性成分 250 乾燥澱粉 200 ステアリン酸マグネシウム 10 計 460mg
【0116】製剤例2 下記の成分を用いて錠剤を製造する: 量(mg/カプセル) 活性成分 250 微結晶性セルロース 400 二酸化珪素、フュームド 10 ステアリン酸 5 計 665mg 成分を混和し圧縮して各々665mg重量の錠剤を形成
する。
【0117】製剤例3 以下の成分を含有するエアゾール溶液を製造する: 重量 活性成分 0.25 エタノール 25.75 プロペラント22(クロロジフルオロメタン) 70.00 計 100.00 活性化合物をエタノールと混合し、この混合物をプロペ
ラント22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填装置
に移す。次に必要量をステンレススチール容器に供給
し、プロペラントの残量で希釈する。次いでバルブユニ
ットをこの容器に取り付ける。
【0118】製剤例4 活性成分60mgを各々含有する錠剤を以下のように製
造する: 活性成分 60mg 澱粉 45mg 微結晶性セルロース 35mg ポリビニルピロリドン(10%水溶液として) 4mg カルボキシメチル澱粉ナトリウム 4.5mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 1mg 計 150mg 活性成分、澱粉およびセルロースをNo.45メッシュ
U.S.篩で篩過し良く混合する。得られた粉末にポリビ
ニルピロリドンを含有する水溶液を混合し、次にこの混
合物をNo.14メッシュU.S.篩で篩過する。このよ
うに生成された顆粒を50℃で乾燥し、No.18メッ
シュU.S.篩で篩過する。予めNo.60メッシュU.
S.篩で篩過したカルボキシメチル澱粉、ステアリン酸
マグネシウムおよびタルクを次いでこの顆粒に加え、混
合後に打錠機で圧縮して各々150mg重量の錠剤を製
造する。
【0119】製剤例5 活性成分各々80mgを含有するカプセル剤を以下のよ
うに製造する: 活性成分 80mg 澱粉 59mg 微結晶性セルロース 59mg ステアリン酸マグネシウム 2mg 計 200mg 活性成分、セルロース、澱粉、およびステアリン酸マグ
ネシウムを混和し、No.45メッシュU.S.篩で篩過
し、200mgの量で硬ゼラチンカプセル中に充填す
る。
【0120】製剤例6 活性成分225mgを各々含有する座剤を以下のように
製造する: 活性成分 225mg 飽和脂肪酸グリセリド 2000mg 計 2225mg 活性成分をNo.60メッシュU.S.篩で篩過し、予め
必要最低限の熱を用いて融解させた飽和脂肪酸グリセリ
ド中に懸濁する。次にこの混合物を公称2g容量の座剤
鋳型中に注ぎ、放冷する。
【0121】製剤例7 5ml用量につき活性成分50mgを各々含有する懸濁
剤を以下のように製造する: 活性成分 50mg カルボキシメチルセルロースナトリウム 50mg シロップ 1.25mL 安息香酸溶液 0.10mL 香料 所望量 着色料 所望量 精製水を加えて5mLとする活性成分をNo.45メッ
シュU.S.篩で篩過し、カルボキシメチルセルロースナ
トリウムおよびシロップと混合して滑らかなペーストを
形成させる。安息香酸溶液、香料および着色料を水の一
部で希釈して攪拌しながら加える。次いで、必要な容量
とするに充分な水を加える。
【0122】製剤例8 静脈内投与用製剤を以下のように製造することができ
る: 活性成分 100mg 等張食塩水 1000mL 上の成分の溶液は一般に1分間に1mLの速度で対象に
静脈内投与される。本発明に係る化合物が有効且つ経口
で活性なトロンビン阻害剤であるための能力は、以下の
検定の1またはそれ以上において評価される。
【0123】本発明により提供される化合物(式1)は
哺乳動物においてトロンビンの作用を選択的に阻害す
る。トロンビンの阻害は、トロンビンが色素生成基質N
−ベンゾイル−L−フェニルアラニル−L−バリル−L
−アルギニル−p−ニトロアニリド、N−ベンゾイル−
L−Phe−L−Val−L−Arg−p−ニトロアニ
リドを加水分解する検定において測定されるトロンビン
のアミダーゼ活性のインビトロ阻害によって立証され
る。
【0124】この検定は、緩衝液(0.03Mトリス、
0.15M NaCl、pH7.4)50μLをヒトトロ
ンビン溶液(精製ヒトトロンビン、エンザイム・リサー
チ・ラボラトリーズ、サウスベンド、インディアナ、8
NIH単位/ml)25μlおよび溶媒(50%水性メ
タノール(v:v))中の被験化合物25μlと混合す
ることにより実施する。次に色素生成基質の水溶液
(0.25mg/ml)150μlを加え、基質の加水
分解速度をp−ニトロアニリンの放出について反応を4
05nmで監視することによって測定する。加水分解速
度に対する遊離トロンビン濃度をプロットすることによ
り標準曲線を作成する。次いで、被験化合物で観察され
た加水分解速度をこの標準曲線を用いることによりそれ
ぞれの検定における「遊離トロンビン」値に変換する。
結合した(被験化合物に結合した)トロンビンを、検定
に使用されたトロンビンのわかっている最初の量から各
検定で観察された遊離トロンビンの量を差し引くことに
よって算出する。各検定における遊離阻害剤の量を、添
加された阻害剤(被験化合物)のモル数から結合したト
ロンビンのモル数を差し引くことによって算出する。
【0125】Kass値は、トロンビンおよび被験化合
物(I)の間の反応に対する仮説的平衡定数である。
【数1】 Kassを被験化合物の濃度範囲について算出し、平均
値をリットル毎モルの単位で報告する。
【0126】ヒトトロンビンについての上記方法に実質
上従うことにより、そして下に指定する適当な色素生成
基質と共に他のヒト血液凝固系セリンプロテアーゼを使
用しそしてフィブリン溶解系セリンプロテアーゼを使用
して、凝固因子セリンプロテアーゼおよびフィブリン溶
解セリンプロテアーゼに関する本発明化合物の選択性
を、ヒト血漿血餅フィブリン溶解への干渉の実質的欠如
と共に評価する。
【0127】ヒト因子X、Xa、IXa、XIa、およ
びXIIaはエンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ、
サウスベンド、インディアナから、ヒトウロキナーゼは
レオ・ファーマシューティカルズ、デンマークから購入
し、そして組み替え活性プロテインC(aPC)はイー
ライ・リリー・アンド・Co.において米国特許第49
81952号に実質上従って製造する。色素生成基質:
N−ベンゾイル−Ile−Glu−Gly−Arg−p
−ニトロアニリド(因子Xa用);N−Cbz−D−A
rg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(因子Xa
基質として因子IXa検定用);ピログルタミル−Pr
o−Arg−p−ニトロアニリド(因子XIaおよびa
PC用);H−D−Pro−Phe−Arg−p−ニト
ロアニリド(因子XIIa用);およびピログルタミル
−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(ウロキナーゼ
用);は、カビヴィトラム、ストックホルム、スウェー
デンから、またはミッドウェスト・バイオテク、フィッ
シャーズ、インディアナから購入する。牛トリプシンは
ワーシングトン・バイオケミカルズ、フリーホールド、
ニュージャージーから、そしてヒト血漿カリクレインは
カビヴィトラム、ストックホルム、スウェーデンから購
入する。血漿カリクレイン用の色素生成基質H−D−P
ro−Phe−Arg−p−ニトロアニリドはカビヴィ
トラム、ストックホルム、スウェーデンから購入する。
ヒトトロンビンに対する、そしてトリプシンに対する基
質であるN−ベンゾイル−Phe−Val−Arg−p
−ニトロアニリドは、入手し得る市販の反応体から既知
のペプチド結合法を用いて本発明化合物のための上記方
法に従って合成するか、またはミッドウェスト・バイオ
テク、フィッシャーズ、インディアナから購入する。
【0128】ヒトプラスミンはベーリンガー・マンハイ
ム、インディアナポリス、インディアナから購入し;n
t−PAは一本鎖活性対照としてアメリカン・ダイアグ
ノスティカ、グリーンウィッチ、コネティカットから購
入し;修飾t−PA6(mt−PA6)はイーライ・リ
リー・アンド・カンパニーにおいて当分野で知られる方
法により製造する(バーク等、J.Biol.Che
m.、265巻5120−5177頁(1990)を参
照されたい)。プラスミン色素生成基質H−D−Val
−Leu−Lys−p−ニトロアニリドおよび組織プラ
スミノーゲン活性化因子(t−PA)基質H−D−Il
e−Pro−Arg−p−ニトロアニリドはカビ・ヴィ
トラム、ストックホルム、スウェーデンから購入する。
【0129】上記の色素生成基質において、三文字記号
Ile、Glu、Gly、Pro、Arg、Phe、V
al、LeuおよびLysを使用して対応するアミノ酸
基イソロイシン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、
アルギニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシンおよ
びリジンをそれぞれ示す。
【0130】以下の第1表は、式Iにより表わされる示
されている化合物について得られたKass値を列挙し
ている。
【0131】
【表1】ヒトトロンビン阻害レベル 実施例 Kass X 106(1/mole) 1 46 2 12 3 45 4 5 5 4 6 21 8 595 9 121 10 27 11 12 25 13 14 37
【0132】トロンビン阻害剤は好ましくは、ウロキナ
ーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)お
よびストレプトキナーゼにより誘発されるフィブリン溶
解を温存すべきである。この事は、ストレプトキナー
ゼ、t−PAまたはウロキナーゼの血栓溶解療法に対す
る補助としての係る薬物の治療用途にとって、そして、
内因性フィブリン溶解温存性(t−PAおよびウロキナ
ーゼに関して)抗血栓剤としての係る薬物の用途にとっ
て重要であろう。フィブリン溶解プロテアーゼのアミダ
ーゼ活性への干渉の欠如に加えて、このようなフィブリ
ン溶解系温存を、ヒト血漿血餅およびそれぞれのフィブ
リン溶解プラスミノーゲン活性化因子による血餅の溶解
によって研究することができる。
【0133】材料 犬の血漿は、静脈穿刺により意識のある雑種犬(いずれ
かの性、ヘーゼルトン−LRE、カラマズー、ミシガ
ン、米国)から3.8%クエン酸塩中に採取する。フィ
ブリノーゲンは新鮮な犬の血漿から調製し、ヒトフィブ
リノーゲンは前記の方法および明細書に従ってACDヒ
ト血液の画分I−2から調製する。スミス、Bioch
em.J.、185巻1−11頁(1980);およびス
ミス等、Biochemistry、11巻2958−
2967頁(1972)。ヒトフィブリノーゲン(98
%純度/無プラスミン)はアメリカン・ダイアグノステ
ィカ、グリーンウィッチ、コネティカットより得る。フ
ィブリノーゲンI−2調製物の放射標識をかつて報告さ
れたように実施する。スミス等、Biochemist
ry、11巻2958−2967頁(1972)。ウロ
キナーゼは2200プローグ単位/バイアルとしてレオ
・ファーマシューティカルズ、デンマークから購入す
る。ストレプトキナーゼはヘキスト−ラッセル・ファー
マシティカルズ、ソマーヴィル、ニュージャージーから
購入する。
【0134】方法 − ヒト血漿血餅の溶解に及ぼすt
−PAの効果 0.0229uCiの125−ヨウ素で標識されたフィ
ブリノーゲンを含有するヒト血漿100ulにトロンビ
ン50ul(73NIH単位/ml)を加えることによ
り、微小試験管内でヒト血漿血餅を形成させる。血餅に
50ulのウロキナーゼまたはストレプトキナーゼ(5
0、100、または1000単位/ml)を積層し室温
で20時間インキュベートすることにより血餅の溶解を
調べる。インキュベーション後、管をベックマン遠心機
で遠心する。ガンマ計数のため、上清25ulを1.0
ml容の0.03Mトリス/0.15M NaCl緩衝液
中に加える。100%溶解の計数対照はトロンビンを除
く(そして緩衝液に置き換える)ことにより得られる。
トロンビン阻害剤を1、5、および10ug/ml濃度
で積層溶液に含有させることにより、フィブリン溶解に
対する干渉の可能性について該化合物を評価する。デー
タの点からフィブリン溶解物質の特定の濃度についての
50%溶解を表わす値に直線的外挿を行なうことによ
り、概算のIC50値を見積る。
【0135】抗凝固活性 材料 静脈穿刺により、意識のある雑種犬(いずれかの性、ヘ
ーゼルトン−LRE、カラマズー、ミシガン、米国)か
ら犬の血漿を、または麻酔した雄のスプラーグ−ドーレ
イラット(ハーラン・スプラーグ−ドーレイ・In
c.、インディアナポリス、インディアナ、米国)から
ラットの血漿を、3.8%クエン酸塩中に採取する。フ
ィブリノーゲンは前記の方法および明細書に従ってAC
Dヒト血液から画分I−2として調製する。スミス、B
iochem.J.、185巻1−11頁(1980);
およびスミス等、Biochemistry、11巻2
958−2967頁(1972)。さらにヒトフィブリ
ノーゲンは98%純度/無プラスミンとしてアメリカン
・ダイアグノスティカ、グリーンウィッチ、コネティカ
ットより購入する。凝固試薬ACTIN、トロンボプラ
スチン、およびヒト血漿はバクスター・ヘルスケア・C
orp.、デイド・ディヴィジョン、マイアミ、フロリ
ダから得る。パーク−デイヴィス(デトロイト、ミシガ
ン)からの牛トロンビンを血漿中の凝固検定に使用す
る。
【0136】方法 抗凝固測定 凝固検定法は前に記載された通りである。スミス等、T
hrombosisResearch、50巻163−
174頁(1988)。CoAスクリーナー凝固装置
(アメリカン・レイバー・Inc.)を全ての凝固検定
の測定に使用する。被験血漿0.05mlに食塩水0.0
5mlおよびトロンボプラスチン−C試薬0.05ml
を加えることによりプロトロンビン時間(PT)を測定
する。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
は、被験血漿0.05mlをアクチン試薬0.05mlと
共に120秒間インキュベートした後にCaCl2(0.
02M)を加えることによって測定する。トロンビン時
間(TT)は、被験血漿0.05mlに食塩水0.05m
lおよびトロンビン0.05ml(10NIH単位/m
l)を加えることにより測定する。式Iの化合物を広い
範囲の濃度にわたりヒトまたは動物の血漿に加え、AP
TT、PT、およびTT検定に及ぼす延長効果を測定す
る。直線的外挿を行ない、各検定において凝固時間を二
倍とするのに要する濃度を見積る。
【0137】動物 雄のスプラーグ−ドーレイラット(350−425g、
ハーラン・スプラーグ・ドーレイ・Inc.、インディ
アナポリス、IN)をキシラジン(20mg/kg、
s.c.)およびケタミン(120mg/kg、s.c.)
で麻酔し、加温したウォーターブランケット(37℃)
上に維持する。注入を可能にするため頸静脈にカニュー
レを挿入する。
【0138】動静脈吻合モデル 左頸静脈および右頸動脈を20cmの長さのポリエチレ
ンPE60管によりカニューレ挿入する。管腔に綿糸
(5cm)を入れた、より大きな管(PE190)でで
きた6cmの中央部分を、長い部分の間に摩擦によって
装着し、動静脈吻合回路を完成する。血液をこの吻合部
に15分間循環させ、その後、糸を注意深く除去して重
量を測定する。濡らした糸の重量をこの糸および血栓の
合計重量から差し引く(J.R.スミス、Br.J.Pha
rmacol.、77巻29頁、1982を参照された
い)。
【0139】動脈損傷のFeCl3モデル 正中腹側頸部切開により頸動脈を分離する。熱電対を各
々の動脈下に位置させ、血管の温度を連続的に連続記録
紙記録計に記録する。縦に切った管の帯(0.058I
D x 0.077OD x 4mm、バクスター・M
ed.グレイド・シリコン)を各頸動脈の周囲に直接熱
電対の上に巻き付ける。FeCl3ヘキサヒドラートを
水に溶解し、濃度(20%)を実際のFeCl3の重量
のみによって表現する。動脈を損傷し血栓症を誘発する
ために、2.85ulをピペットで帯に入れて、熱電対
プローブの上の動脈を濡らす。動脈の閉塞は温度の急速
な下降によって示される。閉塞に対する時間を分で報告
し、FeCl3の適用と血管温度の急速な下降との間の
所要実時間を表わす(K.D.クルツ、Thromb.R
es.、60巻269、1990)。
【0140】自然血栓溶解モデル インビトロのデータは、ペプチドトロンビン阻害剤はト
ロンビンを阻害し、より高濃度ではプラスミンおよび組
織プラスミノーゲン活性化因子のような他のセリンプロ
テアーゼを阻害し得ることを示唆している。この化合物
がインビボでフィブリン溶解を阻害するか否かを評価す
るために、標識された全血血餅を肺循環中に注入するこ
とにより、自然血栓溶解の速度を測定する。ラットの血
液(1ml)を牛トロンビン(4IU、パーク・デイヴ
ィス)および125Iヒトフィブロゲン(5μCi、IC
N)と迅速に混合し、直ちにシラスティック管中に吸引
し37℃で1時間インキュベートする。経時した血栓を
管から追い出し、1cmの断片に切り取り、正常食塩水
で3回洗浄し、各断片をガンマカウンターで計数する。
計数値のわかった断片をカテーテル中に吸引し、その後
これを頸静脈中に挿入する。カテーテルの先端を右心房
の近傍に進め、血餅を追い出して肺循環中に浮遊させ
る。挿入の1時間後、心臓および肺を収穫し別々に計数
する。血栓溶解は、
【数2】 の%として表現される。
【0141】注入された血餅のフィブリン溶解性の分解
は時間に依存して起こる(J.P.クローツェル、Car
diovas.Pharmacol.、12巻520頁、
1988を参照されたい)。
【0142】凝固パラメータ 血漿トロンビン時間(TT)および活性化部分トロンボ
プラスチン時間(APTT)をフィブロメーターで測定
する。頸静脈カテーテルから血液を採取し、クエン酸ナ
トリウム(3.8%、血液9部に対して1部)を入れた
注射筒に集める。TTを測定するために、ラットの血漿
(0.1ml)を37℃で食塩水(0.1ml)および牛
トロンビン(0.1ml、トリス緩衝液中30U/m
l;パーク・デイヴィス)と混合する。APTTのため
には、血漿(0.1ml)およびAPTT溶液(0.1m
l、オルガノン・テクニカ)を5分間(37℃)インキ
ュベートし、CaCl2(0.1ml、0.025M)を
加えて凝固を開始させる。検定は二重に行ない平均す
る。
【0143】バイオアベイラビリティー指数 生物活性の尺度、血漿トロンビン時間(TT)は、TT
の増加は親化合物によるトロンビン阻害のみからもたら
されるという仮定の下に、親化合物の検定の代替として
の役割を有する。TTに及ぼすトロンビン阻害剤の効果
の時間的経過を、麻酔したラットへのi.v.ボーラス投
与後、そして意識のある飢餓ラットに対する経口処置後
に測定する。血液容量が限定されている事、そして処置
時間から反応が処置前の値に戻る時間までの時間的経過
を測定するために必要な点の数の故に、2つのラット集
団を使用する。各試料集団は連続する時点を交互に代表
する。この時間経過全体における平均のTTを用いて曲
線下面積(AUC)を算出する。バイオアベイラビリテ
ィー指数は下に示される式によって計算し、相対的活性
%として表現する。
【0144】血漿TT時間経過の曲線下面積(AUC)
を決定し、用量について調節する。このバイオアベイラ
ビリティー指数は「相対活性%」と呼ばれ、
【数3】 として算出される。
【0145】化合物 化合物溶液は正常食塩水中で毎日新たに作成し、ボーラ
スとして、または実験による侵襲の15分前に開始しそ
の間じゅう、即ち動静脈吻合モデルでは15分間、動脈
損傷のFeCl3モデルおよび自然血栓溶解モデルでは
60分間継続して注入する。ボーラス注射容量はi.v.
で1ml/kg、p.o.で5ml/kg、そして注入容
量は3ml/時である。
【0146】統計学 結果を平均+/−SEMとして表わす。分散の一元分析
を用いて統計学的に有意な差を検出し、次いでどの平均
が異なっているのかを決定するためにダネット試験を適
用する。等しい平均値の帰無仮説の棄却のための有意性
レベルはP<0.05である。
【0147】
【表2】バイオアベイラビリティー指数 実施例 相対活性パーセント 1 38% 2 36% 3 32% 4 16% 5 6 8 43% 9 19% 10 5% 11 12 16% 13 14
【0148】動物 雄の犬(ビーグル;18ヶ月齢−2歳;12−13k
g、マーシャル・ファームズ、ノースローズ、ニューヨ
ーク14516)を一夜絶食させ、投与の240分後に
ピューリナ保証処方飼料(ピューリナ・ミルズ、セント
ルイス、ミズーリ)を与える。水は自由に摂取させる。
部屋の温度は66−74゜F;相対湿度45−50%に
維持し;0600−1800時間点灯する。
【0149】薬動力学的モデル 被験化合物を投与の直前に、5mg/mlの調合となる
よう0.9%滅菌食塩水に溶解することにより調製す
る。犬に被験化合物2mg/kg用量を1回、経口胃管
栄養法により与える。投与の0.25、0.5、0.7
5、1、2、3、4および6時間後に血液試料(4.5
ml)を頭部静脈から採取する。試料はクエン酸入りバ
キュテナー管に集め、氷上に保持した後遠心により血漿
に変形する。血漿試料をジニトロフェニルヒドラジンで
誘導体とし、メタノール/燐酸でpH7に調節した50
0mM酢酸ナトリウム(60:40、v/v)で溶出す
るHPLC(ゾルバックスSB−C8カラム)により分
析する。被験化合物の血漿濃度を記録し、薬動力学的パ
ラメータ:排泄速度定数、Ke;総クリアランス、Cl
t:分布容量、VD;血漿中最大被験化合物濃度の時
間、Tmax;Tmaxでの被験化合物の最大濃度、C
max;血漿半減期、t0.5;および曲線下面積、A.
U.C.;吸収された被験化合物の画分、F、の算出に使
用する。
【0150】
【表3】 薬動力学的パラメータ Ke Clt/F VD/F Tmax Cmax t0.5 A.U.C. 実施例 (min-1) (L/hr.kg) (L/kg) (hr) (ng/ml) (min) (ng.hr/ml) o-無限大 1 0.0104 0.437 0.729 1-2 1676 67 4651 ±0.0009 ±0.032 ±0.120 ±202 範囲= ±319 57-86
【0151】犬の冠動脈血栓症のモデル 犬の外科的準備および器具はジャクソン等、Circu
lation、82巻930−940頁(1990)に
記載の通りである。雑種の犬(6−7ヶ月齢、いずれか
の性、ヘーゼルトン−LRE、カラマズー、MI、米
国)をペントバルビタールナトリウム(30mg/kg
静脈内、i.v.)で麻酔し、挿管し、室内の空気で換気
する。1回換気容量および呼吸速度を血液のPO2、P
CO2およびpHが正常限界内に維持されるように調節
する。皮下注射針電極を、第II誘導のECGを記録す
るために挿入する。
【0152】左頸静脈および総頸動脈を左の中外側頸部
切開によって分離する。動脈血圧(ABP)を、頸動脈
に挿入した、前もって検定したミラー変換器(モデル
(MPC−500、ミラー・インストゥルメンツ、ヒュ
ーストン、TX、米国)により連続して測定する。実験
中血液試料を採取するため、この頸静脈にカニューレを
挿入する。さらに、被験化合物の投与のため、両後足の
大腿静脈にカニューレを挿入する。
【0153】左の第五肋間で開胸し、心臓を心膜揺籃に
懸架する。左回旋冠動脈(LCX)を、第一主対角心室
枝に隣接した1ないし2cmの部分を分離する。3−4
mmの長さの26ゲージの針を先端とする針金の負電極
(テフロン被覆、30ゲージの銀メッキされた銅線)を
このLCXに挿入し、動脈の内膜表面に接触するよう位
置させる(実験終了時に確認する)。正極を皮下(s.
c.)部位に位置させることにより刺激回路を完成させ
る。調節可能なプラスチック閉塞器をLCXの電極の領
域に巻き付ける。前もって検定した電磁気流プローブ
(カロリナ・メディカル・エレクトロニクス、キング、
NC、米国)を、冠血流(CBF)の測定のため、負極
と隣接してLCXのまわりに位置させる。LCXの機械
的閉塞の10秒後に観察される充血血流反応の40−5
0%阻害をもたらすよう、閉塞器を調節する。血行動態
およびECGの測定値を全て記録し、データ獲得系(モ
デルM3000、モデュラー・インストゥルメンツ、マ
ルヴァーン、PA、米国)によって分析する。
【0154】血栓の形成および化合物の投与計画 負極に100μAの直流(DC)を流すことにより、L
CXの内膜に電気分解的損傷を作り出す。この電流を6
0分間維持し、その後血管が閉塞されているか否かに拘
らず停止する。血栓の形成はLCXが完全に閉塞するま
で自然に進行する(CBFが0であることおよびS−T
部分の上昇として判断される)。閉塞している血栓を1
時間経時させた後に化合物の投与を開始する。0.5お
よび1mg/kg/時の用量の本発明化合物の2時間の
注入を、血栓溶解剤(例えば組織プラスミノーゲン活性
化因子、ストレプトキナーゼ、APSAC)の注入と同
時に開始する。被験化合物の投与後3時間の間、再灌流
を追跡する。成功した血栓溶解の後の冠動脈の再閉塞
は、≧30分間持続した0のCBFとして定義する。
【0155】血液学およびテンプレート出血時間の測定 全血球数、ヘモグロビン、およびヘマトクリット値を4
0μlのクエン酸(3.8%)添加血液(クエン酸1
部:血液9部)試料について血液分析機(セル−ダイン
900、セコイア−ターナー、マウントビュー、CA、
米国)により測定する。歯肉テンプレート出血時間をシ
ンプレートII出血時間装置(オルガノン・テクニカ、
ダーラム、N.C.、米国)によって測定する。この装置
を用いて犬の左の下顎または上顎いずれかの歯肉を2箇
所水平に切開する。切開は各々幅3mm x 深さ2m
mである。この切開を行ない、ストップウォッチを使用
してどれだけの時間出血が起こるかを測定する。綿棒を
用いて切開部からにじみ出る血液を吸い取る。テンプレ
ート出血時間は、切開から出血の停止までの時間であ
る。出血時間は、被験化合物の投与直前(0分)、注入
に入って60分、被験化合物の投与終了時(120
分)、そして実験の終点において測定する。
【0156】全てのデータは、一元配置分散分析(AN
OVA)、およびその後のステューデント−ノイマン−
クエルズ・ポスト・hoc・t検定により分析して有意
性のレベルを決定する。反復測定ANOVAを用いて、
実験中の時点間の有意性の相違を決定する。値は、少な
くともp<0.05のレベルで統計学的に異なると判断
する。全ての値は平均±SEMである。研究は全て米国
生理学界の指針に従って実施する。方法に関するさらな
る詳細は、ジャクソン等、J.Cardiovasc.P
harmacol.、21巻587−599頁(199
3)に記載されている。
【0157】
【表4】 犬の冠動脈血栓症のモデル 実施例 用量(mg/kg・hr) 閉塞時間(分) 1 0.25 60 0.50 150 1.00 >225
【0158】実施例1の化合物をさらに、0.25、0.
50および1.0mg/kg.hrでのテンプレート出血
時間検定で評価した。240分間にわたって実施例1の
化合物はテンプレート出血時間に有意な作用を示さなか
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート・バーキー・ローゼンバーガー アメリカ合衆国46112インディアナ州ブラ ウンズバーグ、イースト・カレッジ・アベ ニュー525番 (72)発明者 ダニエル・ジョン・サール アメリカ合衆国46142インディアナ州グリ ーンウッド、レジャー・レイン376番 (72)発明者 ロバート・セオドア・シューマン アメリカ合衆国46143インディアナ州グリ ーンウッド、ウィロー・ストリート2596番 (72)発明者 ジェラルド・フロイド・スミス アメリカ合衆国46217インディアナ州イン ディアナポリス、クウィーンズウッド・コ ート825番 (72)発明者 マイケル・ロバート・ウィリー アメリカ合衆国46268インディアナ州イン ディアナポリス、ラングウッド・ドライブ 7725番

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 [式中、 Xは、ホモプロリニル、プロリニル、チアゾリジノイ
    ル、イソチアゾリジノイル、チオモルホリノイル、ピペ
    ラジノイル、モルホリノイル、オキサゾリジノイル、イ
    ソキサゾリジノイル、2−アザノルボルノイル、および
    縮合二環式基: 【化2】 [式中、nは1−3であり、mは2または3である]か
    ら選ばれる置換されていないまたは置換された基であ
    り、硫黄を含む基においてこの硫黄は1または2個の酸
    素原子で酸化されていてよく;Yは、 【化3】 である]を有する化合物またはその薬学上許容し得る塩
    または薬学上許容し得る該化合物もしくはその塩の溶媒
    和物[ここで、 さらに、Xが、縮合二環式基を包含する置換された基で
    ある場合、ハロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1
    −C4アルコキシ、アミノ(−NH2)、モノ(C1−C4
    アルキル)アミノ、ジ(C1−C4アルキル)アミノ、メ
    ルカプト、C1−C4アルキルチオ(−S(O)p(C1
    4アルキル))、−NHS(O)p(C1−C4アルキ
    ル)、−NHC(O)C1−C4アルキル、−S(O)p
    NH2、−S(O)pNH(C1−C4アルキル)、−S
    (O)pN(C1−C4アルキル)2、置換または非置換フ
    ェノキシ、置換または非置換ナフチルオキシ、置換また
    は非置換ピリジルオキシ、置換または非置換フェニルチ
    オから選ばれる安定構造を与える1ないし3個の同じま
    たは異なる置換基があってよく;pは0、1または2で
    あり;そしてフェノキシ、ナフチルオキシ、ピリジルオ
    キシおよびフェニルチオ基上の置換基は、ハロ、ヒドロ
    キシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、アミノ
    (−NH2)、モノ(C1−C4アルキル)アミノ、ジ
    (C1−C4アルキル)アミノ、メルカプト、C1−C4
    ルキルチオ(−S(O)p(C1−C4アルキル))、−
    NHS(O)p(C1−C4アルキル)、−NHC(O)
    1−C4アルキル、−S(O)pNH2、−S(O)p
    H(C1−C4アルキル)、−S(O)pN(C1−C4
    ルキル)2から選ばれる1または2個の同じまたは異な
    る置換基であり、pは0、1または2である]。
  2. 【請求項2】 化合物が、 D−ホモプロリニル−L−プロリニル−L−アルギニン
    アルデヒド;D−プロリニル−L−プロリニル−L−
    アルギニン アルデヒド;D−ホモプロリニル−L−ア
    ゼチジン−2−カルボニル−L−アルギニン アルデヒ
    ド;D−プロリニル−L−アゼチジン−2−カルボニル
    −L−アルギニン アルデヒド;および、 D−(4−フェノキシ)プロリニル−L−プロリニル−
    L−アルギニン アルデヒドから選ばれる請求項1に記
    載の化合物またはその塩または溶媒和物。
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