【発明の詳細な説明】
抗血栓剤
本発明は、哺乳動物における有用な抗凝固剤であるトロンビン阻害剤に関する
。特に本発明は、高い抗血栓活性、抗凝固活性、および経口バイオアベイラビリ
ティーを有するペプチド誘導体に関する。
血液凝固の過程、血栓形成は、トロンビンの形成をもたらす複雑なタンパク分
解カスケードがきっかけとなる。トロンビンは、血漿に可溶であるフィブリノー
ゲンのAα鎖およびBβ鎖から活性化ペプチドをタンパク分解的に除去し、不溶
性のフィブリンの形成を開始させる。
抗凝固は、現在、ヘパリンおよびクマリンの投与により成されている。凝固お
よび血栓形成の非経口による薬理学的制御は、ヘパリンの使用によるトロンビン
の阻害に基づく。ヘパリンは、内因性抗トロンビンIII(トロンビンの主要な生理
学的阻害物質)の阻害作用を促進することにより、トロンビンに対して間接的に
作用する。抗トロンビンIIIのレベルは血漿中で異なり、また表面結合している
トロンビンはこの間接的機構に耐性であるようなので、ヘパリンは無効な処置と
なり得る。凝固アッセイは有効性および安全性と関連していると考えられるので
、ヘパリンレベルは凝固アッセイ(特に活性化部分トロンボプラスチン時間(AP
TT)アッセイ)でモニターしなければならない。クマリンは、プロトロンビンお
よびこの種の他のタンパクの合成における翻訳後のγ−カルボキシル化をブロッ
クすることにより、トロンビンの生成を妨げる。それらの作用機構から、クマリ
ンの効果は、投与後6−24時間、徐々にしか現われない。さらに、クマリンは
選択的な抗凝固剤ではない。クマリンもまた凝固アッセイ(特にプロトロンビン
時間(PT)アッセイ)でモニターする必要がある。
近年、天然の基質と似た方法でタンパク分解酵素により認識される小さな合成
ペプチドへの関心が高まっている。D−Phe−Pro−Arg−H、Boc−D−Phe
−Pro−Arg−H、およびD−MePhe−Pro−Arg−Hといったようなトリペ
プチドアルデヒド[Bajuszら,J.Med.Chem.,33,1729−1735(
1990)]は、トロンビンの強力な直接阻害を示す。多くの研究者が、薬剤を
開発しようと努力して、類似化合物を合成している[例えば、Shumanら,J.M ed.Chem.
,36,314−319(1993)、さらにはまた欧州特許出願公
開番号第479489号および同第530167号]。D−MePhe−Pro−Ar
g−H 硫酸塩が人類における抗凝固剤であることを実証する初期の臨床研究が報
告されている[Simoonsら,Circulation,90,I−231、要約1241(
1994)を参照]。
ヘパリンおよびクマリンは有効な抗凝固剤であり、薬物はまだ既知のトリペプ
チドアルデヒドから出現していないが、この化合物群に対する有望性が存続して
いるにもかかわらず、トロンビンに対して選択的に、また抗トロンビンIIIとは
無関係に作用し、投与後、好ましくは経口投与後すぐに阻害作用を発揮し、また
止血を持続するのに必要とされる血餅の溶解を妨げない抗凝固剤の必要性が存在
する。
本発明は、以下に定義する本発明の化合物が、経口投与後に高いバイオアベイ
ラビリティーを有し得る強力なトロンビン阻害剤であるという発見に関する。
従って、本発明の主要な目的は、抗凝固剤として有用な強力なトロンビン阻害
剤である新規ペプチド誘導体を提供することである。
他の目的、特徴および利点は、以下の説明および請求の範囲から当業者に明ら
かであろう。
本発明は、式I:
{式中、
Xはプロリニル、ホモプロリニル、
であり;
TはC3−C8シクロアルキル、C1−C8アルキル、
であり;
aは0または1であり;
Qは−OH、C1−C4アルコキシ、または−NH−Aであり;
AはC1−C4アルキル、R"SO2−、R"OC(O)−、R"C(O)−、HOOC
SO2−、HOOCC(O)−、または−(CH2)g−COOHであり;
gは1、2、または3であり;
Bは水素またはC1−C4アルキルであり;
R'は水素またはC1−C4アルキルであり;
R"はC1−C4アルキル、C1−C4ペルフルオロアルキル、−(CH2)d−CO
OH、または非置換もしくは置換アリール[ここで、アリールはフェニル、ナフ
チル、(硫黄、酸素および窒素から選択される、1個のヘテロ原子、あるいは同
じか、もしくは異なる2個のヘテロ原子を有する)5員もしくは6員の非置換も
しくは置換の芳香族複素環、または(硫黄、酸素および窒素から選択される、1
個のヘテロ原子、あるいは同じか、もしくは異なる2個のヘテロ原子を有する)
9員もしくは10員の非置換もしくは置換の縮合二環式の芳香族複素環式基であ
る]であり;
dは1、2、または3であり;
mは0、1、または2であり;
nは0、1、または2であり;
Yは
RはC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、または−(CH2)p−L−(
CH2)q−T'[ここで、pは0、1、2、3、または4であり、Lは単結合、−
O−、−S−、または−NH−であり、qは0、1、2、または3であり、およ
びT'は水素、C1−C4アルキル、C3−C8シクロアルキル、−COOH、−C
ONH2、またはAr(ここで、ArはR"に関して先に定義したような非置換もし
くは置換アリールである)である]であり;
Ryは−CH2−、−O−、−S−、または−NH−であり;
Rzは単結合、またはRyおよび3個の隣接する炭素原子と一緒になって、5−
8個の原子(このうち1個の原子は−O−、−S−、または−NH−であり得る)
からなる飽和炭素環を形成し;そして
Zは水素、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、また
はRaSO2NH−[ここで、RaはC1−C4アルキルである]である;
ただし、pおよびqが各々0であって、Lが単結合である場合、Tは水素では
ない}
を有するトロンビン阻害化合物もしくは薬学上許容され得るそれらの塩;または
薬学上許容され得る該化合物もしくはそれらの塩の溶媒和物を提供する。
式Iの化合物に加えて、本発明は、式Iの化合物を、薬学上許容され得る担体
、希釈剤または賦形剤と共に含んでなる医薬品製剤を提供する。
本発明はまた、哺乳動物における血栓形成を防止する方法であって、処置を必
要とする哺乳動物に式Iの化合物の抗血栓用量を投与することからなる方法も提
供する。
本発明はさらに、トロンビンを阻害する方法であって、処置を必要とする哺乳
動物に式Iの化合物のトロンビン阻害用量を投与することからなる方法を提供す
る。
本発明は、トロンビンの新規阻害剤、活性成分として該化合物を含む医薬組成
物、および静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、特に心筋虚血、心筋梗塞並びに
脳血栓症、例えば、血管形成術並びに冠動脈バイパス手術、また炎症過程に関す
る全身性組織傷害の後に起こるような全身凝固亢進状態並びに局所凝固亢進状態
といったような、血栓塞栓疾患の予防および治療のための抗凝固剤としての該化
合物の使用に関する。
「アルキル」という用語は、それ自体で、または他の置換基の一部として、指
定された数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、例えば、メ
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチ
ルおよびsec−ブチルを意味する。「ペルフルオロアルキル」という用語は、そ
れ自体で、または他の置換基の一部として、各々の水素原子がフッ素原子で置換
されている、指定された数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル
基、例えば、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロ−n−プ
ロピル、ペルフルオロイソプロピル、ペルフルオロ−n−ブチル、ペルフルオロ
−t−ブチル、ペルフルオロイソブチルおよびペルフルオロ−sec−ブチルを意味
する。
「C3−C8シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子からなる飽和
脂環、例えば、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロオクチル等を示
す。
「アルコキシ」という用語は、酸素原子により親部分に結合した、指定された
数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味する。「ハロ」
という用語は、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを意味する。「アセチル
」という用語は、CH3−C(O)−を意味する。「t−ブチルオキシカルボニル」
という用語は、(CH3)3C−O−C(O)−を意味し、また「Boc」と略記される
。「ベンジルオキシカルボニル」という用語は、C6H5CH2−O−C(O)−を
意味し、また「Cbz」と略記される。
「5員または6員の複素環」という用語は、1個もしくは2個の窒素原子;1
個の硫黄原子;1個の酸素原子;1個の窒素原子および1個の硫黄原子;または
1個の窒素原子および1個の酸素原子を含む、安定な構造を与えるであろう、全
ての5員または6員環を意味する。5員環は1つまたは2つの二重結合を有し、
また6員環は2つまたは3つの二重結合を有する。そのような複素環式系には、
フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、
チアゾリル、イソチアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニ
ル、オキサジニルおよびチアジニルが含まれる。
「9員または10員の複素環」という用語は、先の5員または6員環のいずれ
かがベンゼン環または先に定義した他の6員の複素環に縮合している、安定な構
造を与えるであろう、全ての二環式基を意味する。これらの複素環式系には、イ
ンドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオ
キサゾリル、ベンゾピラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾ
リルおよびベンゾチアゾリルが含まれる。
先の複素環の多くは互変異性体形で存在し得ることが分かるであろう。そのよ
うな形は全て、本発明の範囲内に含まれる。
R"またはArの定義に関して列挙したアリール基は全て独立して、置換されて
いないか、またはハロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、
アミノ(−NH2)、モノ(C1−C4アルキル)アミノ、−(CH2)kCOOH、メル
カプト、−S(O)h(C1−C4アルキル)、−NHS(O)h(C1−C4アルキル)、−
NHC(O)(C1−C4アルキル)、−S(O)hNH2、−S(O)hNH(C1−C4アル
キル)、または−S(O)hN(C1−C4アルキル)2[ここで、hは0、1、または
2であり、およびkは0、1、2、3、または4である]から独立して選択され
る、安定な構造を与えるであろう、1つもしくは2つの置換基で置換されている
。置換基 R"C(O)−に関して1つ特に好ましいものは、1−メチルインドール
−2−オイルである。
式Iの表現では、基 Xのカルボニル官能基がY基のアミン官能基に結合して
いる。次いで、Yのカルボニル官能基が式Iに描かれているアミノ基に結合して
いる。
基:
[ここで、ZおよびAは共に水素である]
は、本明細書中で時に、フェニルグリシルと呼ばれ、またPhgと略記される。A
が、例えば、メチルである化合物は、Nαメチル−フェニルグリシル基と呼ばれ
、またMePhgと略記される。Zが水素以外である置換化合物は、置換基の種類
および位置により、例えば、3'−クロロフェニルグリシルまたはPhg(3−Cl)
と呼ばれる。
基:
[ここで、ZおよびAは共に水素である]
は、本明細書中で時に、フェニルアラニルと呼ばれ、またPheと略記される。A
が、例えば、メチルである化合物は、Nαメチル−フェニルアラニル基と呼ばれ
、またMePheと略記される。Zが水素以外である置換化合物は、置換基の種類
および位置により、例えば、3'−クロロフェニルアラニルまたはPhe(3−Cl)
と呼ばれる。
基:
は、R'が水素である場合、本明細書中で時に、各々、1−および3−テトラヒ
ドロ−イソキノリンカルボニルと呼ばれ、また各々、1−Tiqおよび3−Tiqと
略記される。
基:
は、R'が水素である場合、本明細書中で時に、各々、1−および3−ペルヒド
ロ−イソキノリンカルボニルと呼ばれ、また各々、1−Piqおよび3−Piqと略
記される。曲線で示すように、これらの置換基の様々な環縮合異性体が存在する
。本発明は、全ての個々の異性体およびそれらの組み合わせを意図する。
基:
は、4,5;5,5;6,5;7,5;または8,5型の飽和二環式系を示す。3a
の位置での立体化学は、カルボニルに対してシスである。もう一方の橋頭結合は
、4,5および5,5系が橋頭の位置でシスでなければならないことを除き、シス
またはトランスのいずれかであり得る。RyおよびRzの定義は、示した3個の炭
素原子が含まれる可変環が4−8個の原子からなる飽和炭素環式系であることを
規定する。環原子が全て炭素であってもよいし、または環原子の1個が−O−、
−S−、および−NH−から選択されるヘテロ原子であってもよい。この定義に
は、
で示される、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸から誘導され、「Ohi」
と略記される好ましい部分が含まれる。この部分の様々なシスおよびトランス形
が、本発明により意図される。
基
は、プロリニルと呼ばれ、またProと略記される。
式Iおよび置換基 Yにおける星印は、(L)であるキラル中心を示す。置換
基 Xにおける星印は、(D)または(DL)であるキラル中心を示す。
さらに、アルキル置換基の分枝により、ジアステレオマーが存在し得る。本発
明の化合物には、2つまたはそれ以上のジアステレオマーの混合物、さらにはま
た各々個々の異性体が含まれる。
本発明の好ましい化合物には、Xが
、ホモプロリニル、1−もしくは3−Tiq、または1−もしくは3−Piqであり
、およびYが置換プロリニルまたはOhiである、式Iの化合物および薬学上許容
され得るそれらの塩並びに溶媒和物が含まれる。特に、QがNHAであって、A
がスルホンアミド(例えば、A=R"SO2−)であり、R'が水素であり、および
Bが水素である化合物は全て好ましい。また、RがC1−C6アルキルまたはAr
−O−である化合物も好ましい。
本発明の特に好ましい化合物には、XがN−エチルスルホニル−D−フェニル
グリシル、N−エチルスルホニル−D−フェニルアラニル、N−(カルボキシメ
チル)−D−フェニルアラニル、D−ホモプロリニル、またはD−シス[4aS,8
aS]−ペルヒドロイソキノリン−1−カルボニルである、式Iの化合物が含まれ
る。また特に好ましい化合物には、Yが(S)−シス−オクタヒドロインドール−
2−カルボニルである、式Iの化合物も含まれる。
本発明の好ましい化合物には、実施例1、2、7、15および17、さらには
また20、22、23および24として本明細書中に記載する化合物が含まれる
。
先に述べたように、本発明には、先の式Iにより定義した化合物の薬学上許容
され得る塩が含まれる。本発明の特定化合物は、1つまたはそれ以上の十分に塩
基性の官能基を有し得ることから、多くの無機および有機酸のいずれかと反応し
て、薬学上許容され得る塩を形成する。酸付加塩を形成するのに一般に使用され
る酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等といったような無機
酸、およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフ
ェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等といったよう
な有機酸である。従って、そのような薬学上許容され得る塩の例は、硫酸塩、ピ
ロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン
酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩
、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪
酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸
塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブ
チン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸
塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ
安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸
塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒド
ロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスル
ホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マ
ンデル酸塩等である。好ましい薬学上許容され得る酸付加塩は、塩酸、臭化水素
酸および硫酸といったような鉱酸を用いて形成される塩である。
本発明の化合物は、適当な溶媒と水和物および溶媒和物を形成することが知ら
れている。溶媒和物形の製造に好ましい溶媒には、水、アルコール、テトラヒド
ロフラン、DMF、およびDMSOが含まれる。好ましいアルコールは、メタノ
ールおよびエタノールである。他の適当な溶媒は、溶媒分子の大きさに基づいて
選択することができる。小さな溶媒分子が、対応する溶媒和物の形成を促進する
のに好ましい。溶媒和物または水和物は、一般に、再結晶化中または塩形成中に
形成される。溶媒和物に関する1つの有用な参考文献は、Sykes,Peter,A
Guidebook to Mechanism in Organic Chemistry,第6版(1986,John
Wiley & Sons,New York)である。本明細書で使用する「溶媒和物」とい
う用語には、一水和物および二水和物といったような水和物形が含まれる。
式Iの化合物は、対応する式II:
[式中、グアニジノ基上のPはアミノ保護基を示し、(P)Xおよび(P)Yは各々
、基 XまたはYを示すが、これらは、XまたはYに塩基性のNH部分が含まれ
る式Iの化合物に関しては、独立して選択されるアミノ保護基 Pを有していて
もよく、またXまたはYにカルボキシ残基が含まれる式Iの化合物に関しては、
独立して選択されるカルボキシ保護基 Pを有していてもよい]の化合物の保護
基Pを同時にまたは順次除去し;その後、式Iの化合物の塩を必要とする場合は
、薬学上許容され得る酸を用いて塩を形成することにより製造する。例えば、ア
ミノ保護基がベンジルオキシカルボニルであり、また酸保護基が(もし存在する
ならば)ベンジルである式IIの化合物は、希エタノール性塩酸中、炭素上パラジ
ウム触媒で大気圧下に水素化分解することにより、対応する式Iの化合物の塩酸
塩に転換することができる。
式Iの化合物は、既知のペプチド結合法により製造される。そのような方法の
1つによれば、酸P−X'−COOH[式中、−X'−C(O)−は式Iにおいて定
義した−X−と同じ意味を有し、またP(もし必要なら)はアミノ保護基である]
をカルボキシ保護置換プロリンと結合させて、ジペプチド(a)を形成する。X
にカルボキシ基が含まれる式Iの化合物の場合には、Pはまた、アミノ保護基に
加えて存在し得るカルボキシ保護基も示す。次いで、プロリン部分のカルボキシ
保護エステル基を除去(脱ブロッキングまたは脱エステル化)して、遊離酸型のジ
ペプチド(b)をラクタム型のアルギニン(d)と結合させる。先の反応順序を
以下の反応式1で説明する:
[式中、Pはアミノ保護基を示し、alkは低級アルキルまたはある同様のカルボ
ン酸保護基であり、またSProは置換プロニルである(これは、アミノおよびカ
ルボキシ官能基を有するYと同じである、すなわち、−Y−は−N−SPro−C
(O)と同じである)]。
Yに塩基性のNH部分またはカルボキシ基が含まれる式Iの化合物に関しては、
−SPro−に対応するアミノまたはカルボキシ保護基が含まれていてもよい。
不活性溶媒または溶媒の混合物中、結合させたArg(P)ラクタム生成物(c)
を水素化物還元剤、好ましくは水素化アルミニウムリチウムまたはトリ−tert−
ブトキシアルミノ水素化リチウムと反応させて、ラクタム環を還元し、式 P−
X1−C(O)−N−SPro−Arg(P)−H[式中、(P)はアミノおよびカルボキ
シ保護基を示す]で示されるアルギニンアルデヒド型のトリペプチドを得る。
金属触媒での水素化のような当業者に知られている方法により、保護基を除去
する。保護基は、使用されている保護基により、X基から、Y基から、またアル
ギナール基から同時にまたは順次除去することができる。
ラクタム型のアルギニンは、アミノ保護アルギニンの分子内結合により得られ
る。例えば、式:
[ここで、Bocはt−ブチルオキシカルボニルであり、およびCbzはベンジルオ
キシカルボニルである]
で示されるBoc−Arg(Cbz)OHを、まず最初にクロロギ酸エステル、例えば、
クロロギ酸エチル〜クロロギ酸イソブチルで活性混合無水物のような活性エステ
ル型に転換する。エステル形成は、N−メチルモルホリンのような第三級アミン
の存在下に行う。トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミといったよ
うな、さらなる、または他の第三級アミン塩基の添加して、内部アシル化を起こ
し、以下に示すようなラクタム型のジアミノ保護アルギニンを得る:
先の反応式において示すようなP−X'(C=O)−NH−SPro−OHとの結合
で使用する前に、Bocまたは他のアミン保護基をトリフルオロ酢酸または無水H
Clで選択的に除去して、必要な遊離アミノ基を得る。
P−X'−COOH化合物の置換プロリンカルボン酸エステルとの結合は、も
し必要ならば、まず最初にアミノ酸のアミノ基を保護することにより行う。アミ
ノ基の一時的な保護またはブロッキングに一般に使用される従来のアミノ保護基
を使用する。
アミノ保護基とは、化合物上の他の官能基を反応させる間、アミノ官能基をブ
ロックまたは保護するために一般に使用されるアミノ基の置換基を示す。そのよ
うなアミノ保護基の例には、ホルミル基、トリチル基、フタルイミド基、トリク
ロロアセチル基、クロロアセチル、ブロモアセチルおよびヨードアセチル基、ウ
レタン型保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル
、4−フェニルベンジルオキシカルボニル、2−メチルベンジルオキシカルボニ
ル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−フルオロベンジルオキシカル
ボニル、4−クロロベンジルオキシカルボニル、3−クロロベンジルオキシカル
ボニル、2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4−ジクロロベンジルオキ
シカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボニル、3−ブロモベンジルオキ
シカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−シアノベンジルオキ
シカルボニル、2−(4−キセニル)イソプロポキシカルボニル、1,1−ジフェ
ニルエチ−1−イルオキシカルボニル、1,1−ジフェニルプロピ−1−イルオ
キシカルボニル、2−フェニルプロピ−2−イルオキシカルボニル、2−(p−ト
ルイル)プロピ−2−イルオキシカルボニル、シクロペンタニルオキシカルボニ
ル、1−メチルシクロペンタニルオキシカルボニル、シクロヘキサニルオキシカ
ルボニル、1−メチルシクロヘキサニルオキシカルボニル、2−メチルシクロヘ
キサニルオキシカルボニル、2−(4−トルイルスルホニル)エトキシカルボニル
、2−(メチルスルホニル)エトキシカルボニル、2−(トリフェニルホスフィノ)
エトキシカルボニル、9−フルオロエニルメトキシカルボニル(「FMOC」)、
2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1−(
トリメチルシリルメチル)プロペ−1−エニルオキシカルボニル、5−ベンゾイ
ソキサリルメトキシカルボニル、4−アセトキシベンジルオキシカルボニル、2
,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−エチニル−2−プロポキシカルボ
ニル、シクロプロピルメトキシカルボニル、4−(デシルオキシ)ベンジルオキシ
カルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、1−ピペリジルオキシカルボニル
等;ベンゾイルメチルスルホニル基、2−(ニトロ)フェニルスルフェニル基、ジ
フェニルホスフィン オキシド基等のアミノ保護基が含まれる。誘導体化された
アミノ基が、該分子の他の位置での後の反応条件に対して安定であり、また分子
の他の部分を分解することなく適当な時点で除去することができる限り、使用す
るアミ
ノ保護基の種類は重要ではない。好ましいアミノ保護基は、ベンジルオキシカル
ボニル、アリルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、およびトリチル基
である。セファロスポリン、ペニシリンおよびペプチドの業界で使用される同様
のアミノ保護基もまた、先の用語に包含される。先の用語により示される基のさ
らなる例は、J.W.Barton,「Protective Groups in Organic Chemistry
」,J.G.W.McOmie編,Plenum Press,New York,N.Y.,1973,
第2章、およびT.W.Greene,「Protective Groups in Organic Synthesi
s」,John Wiley and Sons,New York,N.Y.,1981,第7章に記載
されている。関連用語「保護アミノ」は、先に論じたアミノ保護基で置換されて
いるアミノ基を定義する。
結合反応を行う際、プロリンに対するエステル保護基を使用するが、これはア
ミノ保護基が無傷で残る条件により除去可能である。従って、アシル化酸 P−
X'−COOHのアミノ保護基は、もしあるならば、後にアルギニンラクタム化
合物と結合させて、(c)を形成する間、アミノ基の保護に適切な位置に残って
いる。
本明細書中で使用するカルボキシ保護エステル基は、反応が化合物の他の官能
基上で行なわれている間、カルボン酸基をブロックする、または保護するのに一
般に使用されるカルボン酸基のエステル誘導体の1つを示す。そのようなカルボ
ン酸保護基の例には、C1−C4アルキル、ベンジル、4−ニトロベンジル、4−
メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、
2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチ
ルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4'−ジ
メトキシベンズヒドリル、2,2',4,4'−テトラメトキシベンズヒドリル、t−
ブチル、t−アミル、トリチル、4−メトキシトリチル、4,4'−ジメトキシト
リチル、4,4',4"−トリメトキシトリチル、2−フェニルプロピ−2−イル、
トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェナシル、2,2,2−トリク
ロロエチル、β−(トリメチルシリル)エチル、β−(ジ(n−ブチル)メチルシリル
)エチル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニトロベンジルスルホニルエチル
、
アリル、シンナミル、1−(トリメチルシリルメチル)−プロペ−1−エン−3−
イル等の部分が含まれる。誘導体化されたカルボン酸が、該分子の他の位置での
後の反応条件に対して安定であり、また分子の他の部分を分解することなく適当
な時点で除去することができる限り、使用するカルボキシ保護基の種類は重要で
はない。特に、カルボキシ保護された分子を、強い求核塩基またはラネーニッケ
ルのような非常に活性化された金属触媒を使用する還元的条件に付さないことが
重要である(そのような厳しい除去条件は、以下に論じるアミノ保護基を除去す
る場合にもまた際にも避けるべきである)。これらの基のさらなる例は、E.Has
lam,「Protective Groups in Organic Chemistry」,J.G.W.McOmie編
,Plenum Press,New York,N.Y.,1973,第5章、およびT.W.Gre
ene,「Protective Groups in Organic Synthesis」,John Wiley and S
ons,New York,N.Y.,1981,第5章に見い出される。
式Iの化合物はまた、まず最初にSPro−Argジペプチド前駆体を合成した後
、保護されたX−反応物と反応させることにより合成することもできる。そのよ
うな方法の1つによれば、以下に示すように、環状ラクタム型のアルギニン(d
)を製造し、アミノ保護置換プロリン(g)と結合させて、ジペプチド(h)を
得る:
[ここで、Pはベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、t−ブトキシカルボニル(B
oc)、p−トルエンスルホニル等といったようなアミノ保護基を示す]。好ましく
は、使用するアミノ保護基は、水素化または弱い酸(例えば、トリフルオロ酢酸)
もしくは強酸(例えば、HCl)での処理により除去可能である。他の適当なアミ
ノ保護基の例は、「Protective Groups in Organic Synthesis」,第2版,
T.W.GreeneおよびPeter G.M.Wuts,第7章,309−405頁(199
1),John Wiley & Sons,Inc.出版に提供されている。Bocまたは他の適
当な保護基をプロリン環の窒素から除去した後、これを所望のアミノ酸アシル基
でアシル化して、以下に示すトリペプチドを得る。
先に記載したように、結合させたArg(P)ラクタム生成物(c)を還元して、保
護基を除去する。
P−X'−COOH化合物の結合は、もしあるならば、まず最初に該アミノ酸
のアミノ基を保護することにより行う。アミノ基の一時的な保護またはブロッキ
ングに一般に使用される従来のアミノ保護基を使用する。そのような保護基の例
は、先に記載されている。
上記結合反応は低温、好ましくは約−20℃〜約15℃の間の温度で行う。結
合反応は、不活性有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム等の一般溶媒またはそ
のような溶媒の混合物中で行う。通例、結合反応においてアシル化酸の活性エス
テルを使用する場合は、無水条件を使用する。
本発明の化合物は、酸付加塩の形で最も良く単離される。先に述べた酸を用い
て形成された式Iの化合物の塩は、抗血栓剤の投与のための、またこれらの薬剤
の製剤の製造のための薬学上許容され得る塩として有用である。他の酸付加塩を
製造して、該ペプチドの単離および精製に使用することができる。例えば、メタ
ンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびナフタレン
スルホン酸といったようなスルホン酸類を用いて形成される塩をそのように使用
することができる。
式Iの化合物を精製すると同時に、所望の安定な塩の形を製造するための好ま
しい方法は、米国特許番号第5,250,660号に記載されている方法である。
この方法によれば、水性成分がpH2.5で硫酸または塩酸から成り、またアセト
ニトリルが有機成分であるC18逆相クロマトグラフィーでの分取(preparative)
精製により、安定な硫酸塩または塩酸塩が得られる。酸性の溶離液のpHをヒド
ロキシル型の陰イオン交換樹脂、例えば、Bio−Rad AG−1X8で約pH4〜
約6の間に調節する。pHを調節した後、トリペプチド硫酸塩または塩酸塩の溶
液を凍結乾燥して、純粋な塩を乾燥粉末の形で得る。該工程の一例においては、
粗製のD−hPro−(4−シス−フェノキシ)Pro−Arg−H 硫酸塩を水に溶解し
て、その溶液をVydac C18RP−HPLCの5cm×50cmのカラムにロードす
る。4時間にわたる2−30%のBのグラジエント(A=0.01% H2SO4;
B=アセトニトリル)を使用する。複数の画分を集めて、分析用RPHPLCに
より決定された生成物含有画分をプールする。プールした画分のpHをヒドロキ
シド型のAG−1X8樹脂(Bio−Rad,3300 Ragatta Blvd.,Richmond
,CA 94804)でpH4.0−4.5に調節する。その溶液を濾過し、濾液を凍
結乾燥して、純粋なD−,L−,L−トリペプチドを硫酸塩の形で得る。
X部分のジアステレオマーの光学活性異性体もまた、本発明の一部と考えられ
る。そのような光学活性異性体は、上記手順により、それらの各々の光学活性前
駆体から、またはラセミ混合物を分割することにより、製造することができる。
この分割は、キラル試薬を用いて誘導体化した後、クロマトグラフィーにかける
か、または繰返し結晶化することにより行うことができる。標準的な方法による
キラル補助物の除去は、実質的には、本発明化合物またはそれらの前駆体の光学
的に純粋な異性体を与える。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesら,Enant iomers,Racemates,and Resolutions
,John Wiley & Sons,1981で
得ることができる。
本発明の化合物の合成における最初の出発物質として使用する化合物は周知で
あり、市販されていない範囲まで、当業者により一般に使用される標準的な方法
によって容易に合成される。
本発明の化合物を製造するために使用する4−置換プロリン誘導体(Y=−N
−SPro−CO−)は、カルボニル部分に対して、全てシス立体配置の4−置換
基である。この官能基を式Iの化合物に導入するための中間体は、標準的な技術
により製造される。
例えば、R基がプロリン環への結合位置にメチレン基を含む4−置換プロリン
誘導体は、以下の方法で製造することができる:
[ここで、R4=R3CH2=プロリン環への結合位置にメチレン基を含むR基]
。
まず最初に、4−ヒドロキシプロリン(シスおよびトランス形の両方が市販さ
れている)をアミノ保護基で保護する−この反応においては、Cbz基が特に有用
である。次いで、その結果得られた中間体をエステル化した(メチルまたは特に
エチルエステルが特に便利である)後、酸化して、対応するケトンを得る。この
酸化は、ジョーンズ(Jones)酸化またはクロロクロム酸ピリジニウムといったよ
うな、多くの酸化条件のいずれかの下に行う;この変換には、ジクロロメタンの
ような無水非反応性溶媒中でのクロロクロム酸ピリジニウムの使用が特に有用で
ある。8−16時間反応させると、この反応は、通例、完了する(室温で行った
場合)。次いで、この用途の広いケトン中間体を適当なウィッティヒ試薬と反応
させて、所望のオレフィンを得る。一般的には、適当なR−置換トリフェニルホ
スホニウム ハロゲン化物を、強塩基(例えば、カリウム t−ブトキシド)を含む
無水不活性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)に加える。ケトンを導入して、室
温で約3時間後、所望のオレフィン中間体を単離することができる。オレフィン
を良好な収率で得るには、ケトンに対して、0.4−0.6モル過剰のウィッティ
ヒ試薬を使用するのが好ましい。次いで、標準的な還元技術により、オレフィン
を所望のR−置換プロリンに還元する。この変換を実験室で行うには、接触水素
化が最も容易な方法である。大気圧では、エタノールのような不活性溶媒中での
触媒(例えば、5% 炭素上パラジウム)の存在下におけるオレフィンの水素化が
有効であろう。アミノ保護基がCbzである中間体の場合、水素化はまた、保護基
も除去して、P−X'−COOHへ結合させるために使用することができる化合
物を与える。当業者により理解されているであろう通り、この工程は、R基がヘ
テロ原子によってプロリン環に結合する化合物、または芳香環である化合物を製
造するのには有効ではないであろう。従って、先の反応式において、R4はアル
キル、アルアルキル(例えば、ベンジル)、(シクロアルキル)アルキル等であろう
。
これらの中間体を製造するための関連方法を以下の反応式に要約する。
上の反応式は、先に記載したウィッティヒ反応とは別の反応であり、またウィ
ッティヒ試薬を製造することができない化合物を製造するのに有用である。従っ
て、Raがアルキル、フェニル等である中間体を製造するためには、ピロリジノ
ン中間体を適当なグリニャール試薬と反応させる。一般的には、僅かにモル過剰
のグリニャール試薬を、通常、低温(例えば、−80〜−60℃)で、またテトラ
ヒドロフランのような低温で凍結する不活性溶媒を使用する。該試薬を加えた後
、その反応混合物を室温まで温めてよく、その後、その反応は、通常、数時間以
内に完了する。その結果得られた中間体を、例えば、トリフルオロ酢酸で処理す
ることにより脱水する(例えば、実施例 6Aを参照)。次いで、オレフィン中間
体の還元に関して先に記載した条件と同様の還元的条件を使用して、3,4−デ
ヒドロ中間体を所望のシス中間体に還元する。
ヘテロ「L」基が酸素であって、プロリン環に直接結合している中間体(すな
わち、p=0)は、ミツノブ(Mitsunobu)反応を利用して製造することができる
[Mitsunobu,Synthesis,1(1981)]。
この反応では、テトラヒドロフランのような溶媒中、トランスのヒドロキシピ
ロリジン カルボン酸エステルをAr−O−Hの存在下にトリフェニルホスフィン
で処理する。その混合物を約0℃まで冷却して、ジエチルアゾジカルボキシレー
トを加える。室温まで温めた後、その反応体を後処理して、所望のシスの中間体
を得る。先の反応式は、L=−O−、p=q=0、およびT'=Arである化合物
に関する反応を示しているが、この反応は、p=0およびLが−O−である他の
化合物を製造するのに有用である。
Lが硫黄であって、環に直接結合している中間体は、まず最初にヒドロキシ基
をトシラートまたは他の同様な脱離基に転換した後、チオレートアニオンで置換
することにより製造することができる[例えば、Krapchoら,J.Med.Chem.,31
,1148−1160(1988);Smithら,J.Med.Chem.,31,8
75−855(1988)を参照]。
Lが窒素であって、環に直接結合している中間体は、まず最初にヒドロキシ基
をトシラートまたは他の同様な脱離基に転換した後、アジドで置換することによ
り製造することができる。既知の方法を利用して、アジドを還元した後、アルキ
ル化して、所望の官能基を得ることができる[例えば、Smithら,J.Med.Che m.
,31,875−855(1988)を参照]。
シス−Ohi官能基を含む本発明の化合物は、以下に要約する通り、(S)−イン
ドリン カルボン酸エチルエステルを対応する酸から製造し[Vincentら,Drug Design and Discovery
,第9巻,11−28頁(1992)を参照]、この
中間体を、エタノール中、5% Pd/Cで水素化することにより還元して(実施
例 7Bを参照)、一般にOhi−エステルと呼ばれるオクタヒドロインドール−2
−カルボン酸エステルを得ることにより製造する。
トランス−Ohi官能基を含む本発明の化合物は、Vincentら,Drug Design and Discovery
,第9巻,11−28頁(1992)の方法により製造する。こ
のことを以下に示す反応式に要約する。
(ヘテロ原子を有する、または有していない)二環式系を含む本発明の化合物は
、Teetzら,Tetrahedron Letters,25,4479(1984)の方法によ
り製造することができる。
[ここで、Pは保護基であり、およびRxはアルキルである]
本発明の最終化合物またはそれらに関する中間体の多くは、標準的な技術によ
り相互転換することができる。例えば、ニトロで置換されているアリール化合物
を、(エタノール、水、またはそれらの混合物といったような非反応性溶媒中、
水硫化ナトリウムの存在下に)還元することができる。水/エタノール混合物中
、ニトロ化合物を水硫化ナトリウムの存在下に還流温度で加熱する場合、還元は
、通常、数時間以内に完了する。その結果得られるアミンは、最終生成物中に存
在し得る;もしアミンが中間体において存在するならば、それをその最終的な所
望の形に転換する(例えば、アシル化して、アシル化アミンを得る)のが望ましく
、または後の化学反応中の副反応を避けるために保護することができる。もし遊
離アミンが所望の化合物であるならば、Cbz保護基がこのことに関して特に有用
である。この種の他の変換および相互転換は、有機化学者に明らかであろう。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供されるものであって、本
発明を限定しようとするものではない。
本明細書中で使用する略語は、以下の意味を有する。
アミノ酸残基:Arg=アルギニル、Pro=プロリニル、hPro=ホモプロリニ
ル、Phg=フェニルグリシニル、Phe=フェニルアラニル、Cha=β−シクロヘ
キシルアラニニル、Chg=シクロヘキシルグリシニル、Abo=2−アザビシクロ
[3.3.0]オクタン−3−カルボニル、1−Piq=ペルヒドロ−イソキノリン−
1−カルボニル、3−Piq=ペルヒドロ−イソキノリン−3−カルボニル。
Boc=t−ブチルオキシカルボニル。
Bn=ベンジル。
Cbz=ベンジルオキシカルボニル。
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド。
DMF=ジメチルホルムアミド。
DMSO=ジメチルスルホキシド。
EtOAc=酢酸エチル。
Et2O=ジエチルエーテル。
EtOH=エタノール。
FAB−MS=高速原子衝撃質量スペクトル。
FD−MS=電界脱離質量スペクトル。
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物。
Ph=フェニル。
RPHPLC=逆相高速液体クロマトグラフィー。
TFA=トリフルオロ酢酸。
THF=テトラヒドロフラン。
TLC=薄層クロマトグラフィー。
RPHPLCに関して、以下のパラメータを使用した:
溶媒 A:0.05% 塩酸水溶液(水3L中、濃塩酸1.5ml);
溶媒 B:アセトニトリル;
カラム:Vydac C18−5cm×25cm;
流量:10ml/分;
方法 A:98:2(A/B)、4時間かけて70:30(A/B)まで直線勾配;
方法 B:98:2(A/B)、4時間かけて90:10(A/B)まで直線勾配。
別途記載の無い限り、pH調節および後処理は、酸または塩基の水溶液を用い
る。
実施例1
D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−ArgH・2HCl
(D−ホモプロリル−L−シス−4−メチル−プロリル−L−アルギニナール
二塩酸塩)の合成
A)Cbz−Pro(4−トランス−OH)−OEtの製造
エタノール(500ml)中のCbz−Pro(4−トランス−OH)−OH(33g、
124mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸(1g)を加えて、その溶液を還流
温度まで加熱した(16時間)。室温まで冷却した後、溶媒を減圧下に除去した。
残留物を酢酸エチル(400ml)に溶解して、飽和NaHCO3水溶液で2回洗浄し
、また飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。その酢酸エチル溶液をMgS
O4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、無色の油状物質34.5g(95%)を
得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 293(M+)。
C15H19NO5に関する分析:
計算値 : C 61.42 ; H 6.53 ; N 4.77。
実測値 : C 61.20 ; H 6.65 ; N 4.73。
B)Cbz−Pro(4−オキソ)−OEtの製造
1Lの丸底フラスコ中、Cbz−Pro(4−トランス−OH)−OEt(32.7g
、
111mmol)を機械的に撹拌しながらジクロロメタン(500ml)に溶解した。こ
の溶液に、3Åのモレキュラーシーブ(100g)およびクロロクロム酸ピリジニ
ウム(60g、278mmol)を、有効な撹拌を維持するのに十分なように少しずつ
加えた。室温で12時間撹拌した後、ジエチルエーテル(200ml)を加え、黒色
のスラリーをタール状の残留物からデカントして、シリカゲル(200g)のカラ
ムに通して流した。残留物をジクロロメタン(200ml)で2回洗浄して、合わせ
た洗液をまたシリカプラグ(plug)に通した。濾液を、1:1の酢酸エチル/ヘキ
サン(4L)を用いてシリカゲルカラムに通して流して、500mlの画分を集めた
。TLCにより判定した、生成物を含む全ての画分を合わせ、減圧下に濃縮して
、無色の油状物質23.8g(74%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 291(M+)。
C15H17NO5に関する分析:
計算値 : C 61.85 ; H 5.88 ; N 4.81。
実測値 : C 61.57 ; H 5.82 ; N 4.71。
C)Cbz−Pro(4−メチレン)−OEtの製造
窒素入口、磁気撹拌棒、および滴下漏斗を備えた、オーブン乾燥した2頸の1
Lの丸底フラスコ中、カリウム t−ブトキシド(12.6g、112.5mmol)をテ
トラヒドロフラン(400ml)に懸濁させた。この懸濁液に、メチル トリフェニ
ルホスホニウム ブロミド(40.2g、112.5mmol)を数回に分けて加えた。
15分間撹拌した後、テトラヒドロフラン(150ml)中のCbz−Pro(4−オキ
ソ)−OEt(23.4g、80.3mmol)の溶液を滴下漏斗より1時間かけて滴加し
た。さらに2時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液(100ml)を加えた。この溶
液を酢酸エチル(750ml)で希釈して、相を分離した。有機相を1N クエン酸
で2回洗浄し、飽和NaHCO3水溶液で2回洗浄し、また飽和塩化ナトリウム水
溶液で2回洗浄した。その有機溶液をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、黄
色の油状物質を得た。この油状物質を、2:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離す
る、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含
む画分(TLCにより判定した)を合わせ、減圧下に濃縮して、無色の油状物質9
.8g(42%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 289(M+)。
C16H19NO4に関する分析:
計算値 : C 66.42 ; H 6.62 ; N 4.84。
実測値 : C 66.48 ; H 6.66 ; N 4.85。
D)Pro(4−シス−メチル)−OEt・HClの製造
エタノール(500ml)中のCbz−Pro(4−メチリデン)−OEt(9.6g、3
3.2mmol)の溶液に、5% Pd/C(2g)を加えた。この溶液に窒素ガスを5分
間通気した後、水素ガスを3時間通気した。その溶液をケイ藻土パッドで濾過除
去した。次いで、その溶液に塩化水素ガスを飽和となるまで通気した後、その溶
液を減圧下に濃縮して、白色の固形物質5.8g(91%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 158(MH+)。
C8H16NO2Clに関する分析:
計算値 : C 49.61 ; H 8.33 ; N 7.23。
実測値 : C 49.36 ; H 8.45 ; N 7.25。
E)Cbz−D−hPro−OHの製造
D−hPro−OH(5.0g、38.7mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)お
よび水(30ml)に溶解した。その溶液のpHを2N NaOHで9.5に調節して、
そのpHを2N NaOHで9.5に保ちながら、クロロギ酸ベンジル(5.5ml、3
8.7mmol)を滴加した。その反応体を室温でさらに1時間撹拌した。有機溶媒を
減圧下に蒸発させ、残留物にジエチルエーテル(100ml)および水(50ml)を加
えた。水相を分離し、その溶液のpHを3N HClで2.8に調節して、酢酸エチ
ル(150ml)を加えた。有機相を分離して、乾燥した(MgSO4)。濾液を減圧下
に濃縮して、透明な油状物質9.6g(95%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 264(MH+)。
F)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−OEtの製造
ジクロロメタン(300ml)中のCbz−D−hPro−OH(8.23g、31.2mm
ol)、Pro(4−シス−メチル)−OEt・HCl(5.5g、28.4mmol)、1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール(4.2g、31.2mmol)、およびN,N−ジイソプ
ロピルエチルアミン(12.4ml、71mmol)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノ
プロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(6.8g、35.5mmol)を加えた
。14時間撹拌した後、溶媒を回転蒸発により除去し、残留物を酢酸エチル(5
00ml)に溶解して、1N クエン酸(200ml)で2回洗浄し、飽和NaHCO3水
溶液で2回洗浄し、また飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。合わせた酢
酸エチル抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の油状物
質を得、これを、2:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離する、シリカゲルでのク
ロマトグラフィーにより精製した。TLCにより判定した、生成物を含む画分を
合わせ、減圧下に濃縮して、濁った油状物質11.08g(97%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 402(M+)。
C22H30N2O5に関する分析:
計算値 : C 65.65 ; H 7.51 ; N 6.96。
実測値 : C 65.40 ; H 7.52 ; N 7.19。
G)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−OHの製造
p−ジオキサン(200ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−O
Et(8.05g、20mmol)の溶液に、水(100ml)中のLiOH・H2O(3.4g
、80mmol)の溶液を激しく撹拌しながら加えた。3時間撹拌した後、その溶液
を
体積50mlまで濃縮し、水(100ml)で希釈して、ジエチルエーテル(200ml)
で2回抽出した。水相を5N HCl水溶液でpH 2まで調節して、酢酸エチル(
150ml)で3回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物をMgSO4で乾燥し、濾
過し、濃縮して、白色の固形物質7.8g(104%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 375(MH+)。
C20H26N2O5に関する分析:
計算値 : C 64.16 ; H 7.00 ; N 7.48。
実測値 : C 63.95 ; H 7.27 ; N 7.47。
H)Boc−Arg(Cbz)−OHの製造
3頸のフラスコ中、Boc−Arg−OH・HCl(82.1g、250mmol)を5N
NaOH(240ml)に溶解した。その反応混合物を−5℃まで冷却して、クロロ
ギ酸ベンジル(143ml、1.0mol)を滴加する間(55分)、pHを5N NaOH(
250ml)を用いて13.2−13.5に保った。その反応混合物を−5℃でさら
に1時間撹拌して、水(100ml)およびジエチルエーテル(500ml)で希釈した
。水相を分離して、ジエチルエーテル(500ml)で2回抽出した。次いで、その
水相を3N H2SO4(560ml)でpH 3.0まで酸性として、酢酸エチル(55
0ml)で抽出した。水相を分離して、酢酸エチルで1回抽出した。合わせた酢酸
エチル相を水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下に濃縮して、白色の固形物質
66.1g(65%)を得た。1
H NMR。
FD−MS 408(M+)。
I)Boc−Arg(Cbz)−ラクタムの製造
Boc−Arg(Cbz)−OH(66.0g、0.162mol)をテトラヒドロフラン(2
30ml)に溶解して、−10℃まで冷却した。この溶液に、N−メチルモルホリ
ン(18.7ml、0.17mol)を加えた後、クロロギ酸イソブチル(22.5ml、0.
17mol)を加えた。−10℃で5分撹拌した後、トリエチルアミン(23.5ml、
0.17mol)を加えた。−10℃でさらに1時間後、その混合物を室温まで温め
て、室温で1時間撹拌し続けた。次いで、その反応混合物を1Lの氷水に注ぎ入
れて、その結果得られた沈殿を濾過し、冷水で洗浄して、減圧下に乾燥した。生
成物を酢酸エチルから結晶化して、白色の固形物質38g(60%)を得た。1
H NMR。
FD−MS 391(MH+)。
J)Arg(Cbz)−ラクタム・2HClの製造
−10℃の、ジクロロメタン(3L)に溶解したBoc−Arg(Cbz)−ラクタム(
641g、1.64mol)の溶液に、HCl(g)飽和酢酸エチル溶液(7.2L)を3
0分かけて滴加した。−10℃で1時間後、冷浴を取り外して、その溶液を3時
間かけて室温まで温めた。ジエチルエーテル(12L)を加えて、その結果得られ
た沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧下に乾燥して、580g(9
7%)を得た。
FD−MS 291(MH+)。
K)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
フラスコ 1においては、Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−OH(
6g、16mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、−15℃まで冷却
して、N−メチルモルホリン(1.8ml、16mmol)を加えた後、クロロギ酸イソ
ブチル(2.1ml、16mmol)を加えた。その反応混合物を−15℃で2分間撹拌
した。
フラスコ 2においては、Arg(Cbz)−ラクタム・2HCl(7.3g、20mmol
)をジメチルホルムアミド(100ml)に溶解し、0℃まで冷却して、N,N−ジイ
ソプロピルエチルアミン(8.4ml、48mmol)を加えた。その反応混合物を0℃
で2分間撹拌した。
フラスコ 2の内容物をフラスコ 1に一度に加えて、その反応混合物を−15
℃で4時間撹拌した。次いで、冷浴を取り外して、その反応混合物を徐々に室温
まで温めた(24時間)。次いで、1N NaHCO3(5ml)を加えて、溶媒を減圧
下に除去した。残留物を酢酸エチル(300ml)と水(150ml)との間で分配した
。有機相を分離して、1N NaHCO3、水、1N クエン酸、および水で連続的
に洗浄した。その有機相を乾燥して(MgSO4)、濾液を減圧下に濃縮した。残留
物を、50% 酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチルまでの段階的グラジエント
で溶離する、シリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた。TLCにより決定し
た、生成物を含む画分を合わせ、濃縮して、白色の泡状物質5.9g(57%)を
得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 647(MH+)。
C34H42N6O7に関する分析:
計算値 : C 63.14 ; H 6.55 ; N 12.99。
実測値 : C 63.08 ; H 6.68 ; N 12.94。
L)D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−ArgH・2HClの製造
−23℃の、テトラヒドロフラン(100ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−
シス−メチル)−Arg(Cbz)ラクタム(4.5g、7mmol)の撹拌溶液に、テトラヒ
ドロフラン中の1N LiAl(O−t−Bu)3Hの溶液(8.7ml、8.7mmol)を徐々
に加えた。2.5時間後、その反応混合物を冷たい1N H2SO4(50ml)の撹拌
溶液に注ぎ入れた。次いで、その溶液を水(100ml)、ヘキサン(100ml)、お
よびテトラヒドロフラン(25ml)で希釈した。相を分離し、水相を固形NaClで
飽和して、酢酸エチル(200ml)で3回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を
飽和NaCl水溶液(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下に濃縮して、白
色の泡状物質4.4gを得た。
次いで、その泡状物質をエタノール(200ml)および水(80ml)に溶解して、
1N HCl(20ml)を加えた。次いで、この撹拌溶液に、5% 炭素上Pd(1.4
g)を加えた。次いで、その溶液に水素ガスを4時間通気した後、その反応体に
窒素を流して、ケイ藻土パッドで濾過した。エタノールを減圧下に30℃で除去
した後、残留物を水(50ml)に再び溶解した。その水溶液のpHをBio Rad イ
オン交換樹脂(塩基性形)で4に調節し、濾過し、凍結乾燥して、白色の固形物質
2.6g(83%)を得た。RPHPLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精
製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス−メチル)−ArgH・2HCl 1.56g
(78%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 381(MH+)。
C18H32N6O3・2HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 45.86 ; H 7.70 ; N 17.83。
実測値 : C 45.86 ; H 7.99 ; N 17.88。
実施例2
D−hPro−Pro(4−シス−メチル)−ArgH・2HCl
(D−ホモプロリル−L−シス−4−エチル−プロリル−L−アルギニナール
二塩酸塩)の合成
A)Cbz−Pro(4−メチル−メチリデン)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Cに記載した方法と同じ方法により、Cbz−Pro(4
−メチル−メチリデン)−OEt 10.3g(40%)をCbz−Pro(4−オキソ)−
OEtおよびエチル トリフェニルホスホニウム ブロミドから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 303(M+)。
C17H21NO4に関する分析:
計算値 : C 67.31 ; H 6.98 ; N 4.62。
実測値 : C 67.56 ; H 7.23 ; N 4.91。
B)Pro(4−シス−エチル)−OEt・HClの製造
実質的には、実施例 1−Dに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−エチル)−OEt・HCl 5.5g(80%)をCbz−Pro(4−メチル−メチリデ
ン)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 172(MH+)。
C9H18NO2Clに関する分析:
計算値 : C 52.05 ; H 8.73 ; N 6.74。
実測値 : C 51.93 ; H 8.82 ; N 6.66。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−エチル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−エチル)−OEt 10.4g(95%)をCbz−D−hPro−O
HおよびPro(4−シス−エチル)−OEt・HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 416(M+)。
C23H32N2O5に関する分析:
計算値 : C 66.32 ; H 7.74 ; N 6.73。
実測値 : C 66.07 ; H 7.75 ; N 7.00。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−エチル)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−エチル)−OH 6.9g(92%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 389(MH+)。
C21H28N2O5に関する分析:
計算値 : C 64.93 ; H 7.26 ; N 7.21。
実測値 : C 64.71 ; H 7.44 ; N 7.31。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−エチル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−エチル)−Arg(Cbz)ラクタム6.6g(70%)をCbz−D
−hPro−Pro(4−シス−エチル)−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClか
ら製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 661(M+)。
C35H44N6O7に関する分析:
計算値 : C 63.62 ; H 6.71 ; N 12.72。
実測値 : C 63.88 ; H 6.69 ; N 12.43。
F)D−hPro−Pro(4−シス−エチル)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−エチル)−ArgH・2HCl 3g(85%)をCbz−D−hPr
o−Pro(4−シス−エチル)−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。RPHPLC
法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス
−エチル)−ArgH・2HCl 1.7g(85%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 395(MH+)。
C19H34N6O3・2HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 47.01 ; H 7.89 ; N 17.31。
実測値 : C 47.29 ; H 8.05 ; N 17.53。
実施例3
A)Cbz−Pro(4−エチル−メチリデン)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Cに記載した方法と同じ方法により、Cbz−Pro(4
−エチル−メチリデン)−OEt 9.6g(35%)をCbz−Pro(4−オキソ)−O
Etおよびn−プロピル トリフェニルホスホニウム ブロミドから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 317(M+)。
C18H23NO4に関する分析:
計算値 : C 68.12 ; H 7.30 ; N 4.41。
実測値 : C 68.05 ; H 7.29 ; N 4.51。
B)Pro(4−シス−n−プロピル)−OEt・HClの製造
実質的には、実施例 1−Dに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−n−プロピル)−OEt・HCl 6.2g(94%)をCbz−Pro(4−エチル−メ
チリデン)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 185(M+)。
C10H20NO2Clに関する分析:
計算値 : C 54.17 ; H 9.09 ; N 6.32。
実測値 : C 54.10 ; H 9.05 ; N 6.36。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−n−プロピル)−OEt 10.3g(87%)をCbz−D−hPr
o−OHおよびPro(4−シス−n−プロピル)−OEt・HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 430(M+)。
C24H34N2O5に関する分析:
計算値 : C 66.95 ; H 7.96 ; N 6.51。
実測値 : C 66.73 ; H 8.05 ; N 6.55。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−n−プロピル)−OH 6.5g(81%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 403(MH+)。
C22H30N2O5に関する分析:
計算値 : C 65.65 ; H 7.51 ; N 6.96。
実測値 : C 65.02 ; H 7.49 ; N 6.81。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−n−プロピル)−Arg(Cbz)ラクタム7g(76%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2
HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 675(MH+)。
C36H46N6O7に関する分析:
計算値 : C 64.08 ; H 6.87 ; N 12.45。
実測値 : C 63.82 ; H 6.96 ; N 12.39。
F)D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−n−プロピル)−ArgH・2HCl 3.1g(87%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−n−プロピル)−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。
RPHPLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−hPro−
Pro(4−シス−n−プロピル)−ArgH・2HCl 1.9g(94%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 409(MH+)。
C20H36N6O3・3HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 44.82 ; H 7.71 ; N 15.68。
実測値 : C 44.86 ; H 7.72 ; N 15.67。
実施例4
D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HCl
(D−ホモプロリル−L−シス−4−イソアミル−プロリル−L−アルギニナー
ル 二塩酸塩)の合成
A)Cbz−Pro(4−イソブチル−メチリデン)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Cに記載した方法と同じ方法により、Cbz−Pro(4
−イソブチル−メチリデン)−OEt 12.8g(43%)をCbz−Pro(4−オキ
ソ)−OEtおよびイソアミル トリフェニルホスホニウム ブロミドから製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 345(M+)。
C20H27NO4に関する分析:
計算値 : C 69.54 ; H 7.88 ; N 4.05。
実測値 : C 69.74 ; H 7.85 ; N 3.99。
B)Pro(4−シス−イソアミル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Dに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−イソアミル)−OEt 9.2g(84%)をCbz−Pro(4−イソブチル−メチリ
デン)−OEtから製造した。この場合、HCl沈殿が油状物質を生成したので、
該化合物を遊離塩基として単離した。1
H NMR。
FD−MS m/e 214(M+)。
C12H23NO2に関する分析:
計算値 : C 67.57 ; H 10.87 ; N 6.57。
実測値 : C 67.38 ; H 10.76 ; N 6.73。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−イソアミル)−OEt 11.3g(82%)をCbz−D−hPro
−OHおよびPro(4−シス−イソアミル)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 459(M+)。
C26H38N2O5に関する分析:
計算値 : C 68.10 ; H 8.35 ; N 6.11。
実測値 : C 68.09 ; H 8.11 ; N 6.37。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−イソアミル)−OH 7.9g(91%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 431(MH+)。
C24H34N2O5に関する分析:
計算値 : C 66.95 ; H 7.96 ; N 6.51。
実測値 : C 67.17 ; H 8.19 ; N 6.33。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−イソアミル)−Arg(Cbz)ラクタム4.8g(49%)をCbz
−D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・
2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 703(M+)。
C38H50N6O7に関する分析:
計算値 : C 64.94 ; H 7.17 ; N 11.96。
実測値 : C 64.83 ; H 7.41 ; N 11.67。
F)D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HCl 1.9g(85%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−イソアミル)−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。
RPHPLC法 Aを利用して、この物質1.0gを精製し、純粋なD−hPro−
Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HCl 0.22g(22%)を単離した
。1
H NMR。
FAB−MS m/e 437(MH+)。
C22H40N6O3・2HCl・1.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 49.25 ; H 8.45 ; N 15.66。
実測値 : C 49.09 ; H 8.17 ; N 15.62。
実施例5
A)Cbz−Pro(4−フェニル−メチリデン)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Cに記載した方法と同じ方法により、Cbz−Pro(4
−フェニル−メチリデン)−OEt 24.3g(77%)をCbz−Pro(4−オキソ)
−OEtおよびベンジリデン トリフェニルホスフィンから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 365(M+)。
C22H23NO4に関する分析:
計算値 : C 72.31 ; H 6.34 ; N 3.83。
実測値 : C 72.05 ; H 6.33 ; N 3.80。
B)Pro(4−シス−ベンジル)−OEtの製造
実質的には、実施例 4−Bに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−ベンジル)−OEt 10.9g(87%)をCbz−Pro(4−フェニル−メチリデ
ン)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 234(M+)。
C14H19NO2に関する分析:
計算値 : C 72.07 ; H 8.21 ; N 6.00。
実測値 : C 72.02 ; H 8.25 ; N 6.14。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−ベンジル)−OEt 12.6g(99%)をCbz−D−hPro−
OHおよびPro(4−シス−ベンジル)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 478(M+)。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−ベンジル)−OH 8.2g(87%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 451(M+)。
C26H30N2O5に関する分析:
計算値 : C 69.31 ; H 6.71 ; N 6,22。
実測値 : C 69.61 ; H 6.85 ; N 6.33。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−ベンジル)−Arg(Cbz)ラクタム6.6g(65%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−OHおよび2HCl・Arg(Cbz)ラクタ
ムから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 723(M+)。
C40H46N6O7に関する分析:
計算値 : C 66.47 ; H 6.41 ; N 11.63。
実測値 : C 66.28 ; H 6.54 ; N 11.43。
F)D−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−ベンジル)−ArgH・2HCl 2.9g(80%)をCbz−D
−hPro−Pro(4−シス−ベンジル)−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。RP
HPLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−hPro−Pro(
4−シス−イソアミル)−ArgH・2HCl 1.4g(71%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 457(MH+)。
C24H36N6O3・2HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 52.65 ; H 7.36 ; N 15.35。
実測値 : C 52.99 ; H 7.66 ; N 15.53。
実施例6
D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−ArgH・2HClの合成
A)Cbz−Pro(4−フェニル−3,4−デヒドロ)−OEtの製造
−78℃の、テトラヒドロフラン(150ml)中のCbz−Pro(4−オキソ)−O
Et(24.6g、84.4mmol)の溶液に、フェニル マグネシウム ブロミド溶液(
3
N、31ml、93mmol)を滴加した。その溶液を0℃まで温めて、さらに3時間
後、飽和NH4Cl水溶液(300ml)を加えた。その混合物を酢酸エチル(350m
l)で希釈して、相を分離した。有機相を飽和NH4Cl水溶液で2回洗浄し、ブラ
インで2回洗浄した後、乾燥し(MgSO4)、濾過して、減圧下に濃縮した。残留
物をジクロロメタン(100ml)に溶解して、トリフルオロ酢酸(100ml)を撹拌
しながら加えた。2時間後、溶媒を減圧下に除去して、その結果得られたシロッ
プ状物質を酢酸エチル(500ml)に溶解して、1N クエン酸で2回洗浄し、飽
和NaHCO3で2回洗浄し、またブラインで2回洗浄した。次いで、その有機溶
液をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色の油状物質を得た。この油状物
質を、ヘキサンから1:1の酢酸エチル/ヘキサンまでの段階的グラジエントで
溶離する、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。純粋
な生成物を含む画分(TLCにより判定した)を合わせ、減圧下に濃縮して、Cbz
−Pro(4−フェニル−3,4−デヒドロ)−OEt 16.2g(55%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 351(M+)。
B)Pro(4−シス−フェニル)−OEtの製造
実質的には、実施例 4−Bに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−フェニル)−OEt 6g(60%)をCbz−Pro(4−フェニル−3,4−デヒド
ロ)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 219(M+)。
C13H17NO2に関する分析:
計算値 : C 71.21 ; H 7.81 ; N 6.39。
実測値 : C 70.98 ; H 7.71 ; N 6.43。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェニル)−OEt 10.3g(88%)をCbz−D−hPro−
OHおよびPro(4−シス−フェニル)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 464(M+)。
C27H32N2O5に関する分析:
計算値 : C 69.81 ; H 6.94 ; N 6.03。
実測値 : C 69.51 ; H 7.12 ; N 5.88。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェニル)−OH 8.1g(86%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 437(MH+)。
C25H28N2O5に関する分析:
計算値 : C 68.79 ; H 6.47 ; N 6.42。
実測値 : C 68.58 ; H 6.45 ; N 6.43。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェニル)−Arg(Cbz)ラクタム6.7g(61%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2H
Clから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 709(M+)。
C39H44N6O7に関する分析:
計算値 : C 66.09 ; H 6.26 ; N 11.86。
実測値 : C 66.35 ; H 6.39 ; N 11.82。
F)D−hPro−Pro(4−シス−フェニル)−ArgH・2HClの製造
−78℃の、無水テトラヒドロフラン(200ml)中のD−hPro−Pro(4−シ
ス−フェニル)−Arg(Cbz)ラクタム(4g、5.6mmol)の撹拌溶液に、テトラヒ
ドロフラン中の1N 水素化アルミニウムリチウムの溶液(5.6ml、5.6mmol)
をシリンジより5分かけて加えた。30分後、その反応混合物を冷たい1N H2
SO4溶液(100ml)に注ぎ入れた。次いで、その溶液を水(100ml)で希釈し
て、ヘキサン(100ml)で洗浄した。次いで、水相を1:1のテトラヒドロフラ
ン/ヘキサン(200ml)で3回洗浄し、固形NaClで飽和して、酢酸エチル(1
50ml)で4回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を飽和NaCl水溶液(50ml
)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下に濃縮して、白色の泡状物質を得た。
次いで、その泡状物質をエタノール(200ml)および水(100ml)に溶解して
、1N HCl(20ml)を加えた。次いで、この撹拌溶液に、5% 炭素上Pd(2.
5g)を加えた。次いで、その溶液に水素ガスを4時間通気した後、その反応体
に窒素を流して、ケイ藻土パッドで濾過した。エタノールを減圧下に30℃で除
去した後、残留物を水(50ml)に再び溶解した。その水溶液のpHをBio Rad
イオン交換樹脂(塩基性形)で4に調節し、濾過し、凍結乾燥して、白色の粉末状
物質2.5g(87%)を得た。この化合物のRPHPLCによる精製は必要なか
った。1
H NMR。
FAB−MS m/e 443(MH+)。
C23H34N6O3・3HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 48.47 ; H 6.89 ; N 14.74。
実測値 : C 48.52 ; H 6.84 ; N 14.67。
実施例7
D−hPro−シス−Ohi−ArgH・2HCl
(N−[(1−D−ホモプロリル−シス−オクタヒドロ−1H−インドール−2
(S)−イル)カルボニル]−L−アルギニナール 二塩酸塩)の合成
A)(S)−シス−オクタヒドロインドール−2−カルボン酸
エチルエステル・HClの製造
エタノール(400ml)中の(S)−インドリン−2−カルボン酸(20g、11
0mmol)の撹拌懸濁液にHClガスを通気した。その酸が完全に溶解したら、その
溶液を還流温度とした。16時間後、その溶液を冷却して、溶媒を減圧下に除去
した。残留物をジエチルエーテルでトリチュレートし、その結果得られたオフホ
ワイト色の固形物質を濾過により集め、ヘキサンで洗浄して、真空オーブン中、
30℃で一晩乾燥した(25.5g、100%)。この固形物質、(S)−インドリ
ン−2−カルボン酸 エチルエステル 塩酸塩をエタノール(455ml)に溶解した
。これに、5% Pd/C(25.5g)を加えて、その結果得られた懸濁液をパー
ル(Parr)振盪機上で8時間水素化した(4.1バール、60psi)。その溶液を濾
過して、触媒を除去し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をジエチルエーテルで
トリチュレートし、その結果得られた固形物質を濾過により単離して、白色の粉
末状物質18.8g(73%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 197(M+)。
C11H19NO2・HClに関する分析:
計算値 : C 56.53 ; H 8.63 ; N 5.99。
実測値 : C 56.24 ; H 8.44 ; N 6.00。
B)Cbz−D−hPro−シス−Ohi−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−シス−Ohi−OEt 13.5g(93%)をCbz−D−hPro−OHおよびシス
−Ohi−OEt・HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 442(M+)。
C25H34N2O5に関する分析:
計算値 : C 67.85 ; H 7.74 ; N 6.33。
実測値 : C 67.59 ; H 7.72 ; N 6.48。
C)Cbz−D−hPro−シス−Ohi−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−シス−Ohi−OH 12.5g(102%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 414(M+)。
C23H30N2O5に関する分析:
計算値 : C 66.65 ; H 7.29 ; N 6.76。
実測値 : C 66.46 ; H 7.30 ; N 6.86。
D)Cbz−D−hPro−シス−Ohi−Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−シス−Ohi−Arg(Cbz)ラクタム5.9g(50%)をCbz−D−hPro−シス
−Ohi−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 687(M+)。
C37H46N6O7に関する分析:
計算値 : C 64.71 ; H 6.75 ; N 12.24。
実測値 : C 64.72 ; H 6.60 ; N 12.01。
E)D−hPro−シス−Ohi−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、D−hPro−シ
ス−Ohi−ArgH・2HCl 2.0g(62%)をCbz−D−hPro−シス−Ohi−
Arg(Cbz)ラクタムから製造した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 421(MH+)。
C21H36N6O3・2HCl・1.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 48.46 ; H 7.94 ; N 16.15。
実測値 : C 48.72 ; H 7.82 ; N 15.98。
実施例8
D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl
(D−ホモプロリル−L−シス−4−フェノキシ−L−プロリル−D−アルギニ
ナール 二塩酸塩)の合成
A)Cbz−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEtの製造
0℃の、テトラヒドロフラン(500ml)中のCbz−Pro(4−トランス−OH)
−OEt(58.8g、200mmol)、トリフェニルホスフィン(65.6g、250
mmol)、およびフェノール(23.5g、250mmol)の溶液に、テトラヒドロフラ
ン(50ml)中のジエチルアゾジカルボキシレート(40ml、250mmol)の溶液を
加えた(1時間かけて滴加)。次いで、冷浴を取り外して、その溶液を室温まで温
めた(16時間)。次いで、溶媒を減圧下に除去して、残りの琥珀色のシロップ状
物質をジエチルエーテルでトリチュレートした。白色の固形物質を濾過により除
去して、濾液を濃縮した。次いで、残留物を、ヘキサンから1:1の酢酸エチル
/ヘキサンまでの段階的グラジエントで溶離する、シリカゲル(1kg)でのクロマ
トグラフィーにかけた。純粋な生成物を含む画分(TLCにより判定した)を合わ
せ、減圧下に濃縮して、無色のシロップ状物質36.3g(50%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 369(M+)。
C21H23NO5に関する分析:
計算値 : C 68.28 ; H 6.28 ; N 3.79。
実測値 : C 68.38 ; H 6.30 ; N 3.89。
B)Pro(4−シス−フェノキシ)−OEt・HClの製造
実質的には、実施例 1−Dに記載した方法と同じ方法により、Pro(4−シス
−フェノキシ)−OEt・HCl 14.2g(77%)をCbz−Pro(4−フェノキシ
)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 235(M+)。
C13H18NO3Clに関する分析:
計算値 : C 57.46 ; H 6.68 ; N 5.15。
実測値 : C 57.68 ; H 6.78 ; N 5.18。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEt 19.4g(100%)をCbz−D−hP
ro−OHおよびPro(4−シス−フェノキシ)−OEt・HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 480(M+)。
C27H32N2O6に関する分析:
計算値 : C 67.48 ; H 6.71 ; N 5.83。
実測値 : C 67.71 ; H 6.79 ; N 5.89。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェノキシ)−OH 16g(100%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 452(M+)。
C25H28N2O6に関する分析:
計算値 : C 66.36 ; H 6.24 ; N 6.19。
実測値 : C 66.22 ; H 6.18 ; N 6.17。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム
の製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム6.7g(62%)をCbz
−D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・
2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 726(MH+)。
C39H44N6O8に関する分析:
計算値 : C 64.63 ; H 6.12 ; N 11.59。
実測値 : C 64.52 ; H 5.96 ; N 11.48。
F)D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 2.5g(77%)をCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。
RPHPLC法 Aを利用して、この物質1.0gを精製し、純粋なD−hPro−
Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 0.77g(77%)を単離した
。1
H NMR。
FAB−MS m/e 459(MH+)。
C23H34N6O4・2HClに関する分析:
計算値 : C 51.98 ; H 6.83 ; N 15.81。
実測値 : C 51.77 ; H 6.53 ; N 15.81。
実施例9
D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−ArgH・3HClの合
成
A)Pro(4−トランス−OH)−OEt・HClの製造
Pro(4−トランス−OH)−OH(100g、763mmol)を撹拌しながら無水
EtOH(1L)に懸濁させて、全ての固形物質が溶解するまで(15分)、その懸
濁液にHClガスを通気した。次いで、その溶液を還流温度とした。24時間後
、その溶液を室温まで冷却して、溶媒を減圧下に除去した。その結果得られた白
色の固形物質をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥して、白色の針状物質117g
(79%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 160(MH+)。
C7H13NO3・HClに関する分析:
計算値 : C 42.97 ; H 7.21 ; N 7.16。
実測値 : C 42.75 ; H 7.04 ; N 7.28。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−トランス−OH)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−トランス−OH)−OEt 37g(91%)をCbz−D−hPro−O
HおよびPro(4−トランス−OH)−OEt・HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 404(M+)。
C21H28N2O6に関する分析:
計算値 : C 62.36 ; H 6.98 ; N 6.93。
実測値 : C 62.60 ; H 6.86 ; N 7.10。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−OEtの製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−トランス−(3−ピリジルオキシ))−OEt 10g(50%)をCbz
−D−hPro−Pro(4−トランス−OH)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 481(M+)。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−OH 8.3g(92%)を製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 454(MH+)。
C24H27N3O6に関する分析:
計算値 : C 63.56 ; H 6.00 ; N 9.27。
実測値 : C 63.65 ; H 6.05 ; N 9.25。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−Arg(Cbz)ラクタム4.8g(83
%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−OHおよびA
rg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 726(M+)。
F)D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−ArgH・3HCl
の製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−ArgH・3HCl 2.4g(82%
)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−Arg(Cbz)ラク
タムから製造した。RPHPLC法 Bを利用して、この物質1.2gを精製し、
純粋なD−hPro−Pro(4−シス−(3−ピリジルオキシ))−ArgH・3HCl1
.1g(92%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 460(MH+)。
C22H33N7O4・3HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 43.07 ; H 6.66 ; N 16.21。
実測値 : C 43.02 ; H 6.63 ; N 16.51。
実施例10
D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−ArgH・2HC
lの合成
A)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−NO2−フェノキシ))−OEt
の製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−NO2−フェノキシ))−OEt 15.9g(63%)をC
bz−D−hPro−Pro(4−トランス−OH)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 525(M+)。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−フェノキシ))−OEt
の製造
エタノール(200ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−NO2−フ
ェノキシ))−OEt(15.7g、30mmol)の溶液に、水(100ml)を加えた後、
Na2S2O4(10.5g、60mmol)を加えて、その混合物を還流温度まで加熱し
た(30分)。次いで、その溶液を放冷して、溶媒を減圧下に除去した。残留物を
酢酸エチルと飽和NaHCO3水溶液との間で分配した。相を分離して、有機相を
飽和NaHCO3水溶液で1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過して、濃縮した。
その結果得られた黄色の泡状物質を、クロロホルムから9:1のクロロホルム/
メタノールまでの段階的グラジエントを用いるシリカゲル(500g)でのクロマ
トグラフィーにかけた。TLCにより判定した、生成物を含む画分を合わせ、減
圧下に濃縮して、黄褐色の泡状物質7.8g(52%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 496(M+)。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−OEt
の製造
ジクロロメタン(50ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−
フェノキシ))−OEt(3.5g、7.1mmol)およびN,N−ジイソプロピル エチ
ルアミン(2.5ml、14.1mmol)の撹拌溶液に、無水酢酸(0.73ml、7.8mmo
l)を加えた。16時間後、溶媒を減圧下に除去して、残留物を酢酸エチル(10
0ml)に溶解した。次いで、有機相を1N クエン酸(50ml)で2回洗浄し、飽和
NaHCO3水溶液で2回洗浄し、またブラインで2回洗浄した。合わせた酢酸エ
チル抽出物をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、淡桃色の泡状物質
2.6g(70%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 537(M+)。
C29H35N3O7に関する分析:
計算値 : C 64.79 ; H 6.56 ; N 7.82。
実測値 : C 65.00 ; H 6.54 ; N 7.58。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−OH
の製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−OH 2.2g(93%)を製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 509(M+)。
C27H31N3O7に関する分析:
計算値 : C 63.64 ; H 6.13 ; N 8.25。
実測値 : C 63.15 ; H 6.16 ; N 7.64。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム2.2g
(70%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−O
HおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 781(M+)。
C41H47N7O9に関する分析:
計算値 : C 62.98 ; H 6.06 ; N 12.54。
実測値 : C 61.76 ; H 5.94 ; N 11.35。
F)D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−
ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−ArgH・2HCl 0.66g
(47%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−A
rg(Cbz)ラクタムから製造した。RPHPLC法 Bを利用して、この物質0.5
gを精製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス−(4−AcNH−フェノキシ))−
ArgH・2HCl 0.1g(20%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 516(MH+)。
C25H37N6O5・2.5HClに関する分析:
計算値 : C 49.49 ; H 6.56 ; N 16.16。
実測値 : C 49.82 ; H 6.34 ; N 16.13。
実施例11
D−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−フェノキシ))−ArgH・3HCl
の合成
A)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−
OEtの製造
ジクロロメタン(50ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−
フェノキシ))−OEt(3.5g、7.1mmol)の撹拌溶液に、N,N−ジイソプロピ
ルエチルアミン(2.5ml、14.1mmol)を加えた後、クロロギ酸ベンジル(1.1
7ml、7.8mmol)を加えた。16時間撹拌した後、溶媒を減圧下に除去し、残留
物を酢酸エチル(100ml)に溶解して、1N クエン酸(50ml)で2回洗浄し、
飽和NaHCO3水溶液で2回洗浄し、またブラインで2回洗浄した。次いで、有
機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、褐色のシロップ状物質を
得、これを、ヘキサンから60% 酢酸エチル/ヘキサンまでの段階的グラジエ
ントで溶離する、シリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた。TLCにより判
定した、生成物を含む画分を合わせ、減圧下に濃縮して、無色の泡状物質3g(
67%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 629(M+)。
C35H39N3O8に関する分析:
計算値 : C 66.76 ; H 6.24 ; N 6.67。
実測値 : C 66.79 ; H 6.29 ; N 6.66。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−
OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−OH 2.4g(88%)を製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 601(M+)。
C33H35N3O8に関する分析:
計算値 : C 65.88 ; H 5.86 ; N 6.98。
実測値 : C 65.45 ; H 6.30 ; N 6.36。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム2.3
g(79%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))
−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 875(MH+)。
C47H51N7O10に関する分析:
計算値 : C 64.59 ; H 5.88 ; N 11.22。
実測値 : C 62.43 ; H 5.69 ; N 10.86。
D)D−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−フェノキシ))−
ArgH・3HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−(4−NH2−フェノキシ))−ArgH・3HCl 1.06g(
85%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CbzNH−フェノキシ))−A
rg(Cbz)ラクタムから製造した。RPHPLC法 Bを利用して、この物質0.8
gを精製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス−(4−NH2−フェノキシ))−A
rgH・3HCl 0.6g(75%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 474(MH+)。
C23H35N7O4・3HCl・2H2Oに関する分析:
計算値 : C 44.63 ; H 6.84 ; N 15.83。
実測値 : C 44.82 ; H 6.85 ; N 15.91。
実施例12
D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−ArgH・2HC
lの合成
A)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−NO2−フェノキシ))−OEt
の製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−NO2−フェノキシ))−OEt 63g(97%)をCbz
−D−hPro−Pro(4−トランス−OH)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 525(M+)。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−トランス−(3−NH2−フェノキシ))−
OEtの製造
実質的には、実施例 10−Bに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−h
Pro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−OEt 31.4g(56%)を
Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−NO2−フェノキシ))−OEtから製造
した。1
H NMR。
FD−MS m/e 495(M+)。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−
OEtの製造
実質的には、実施例 10−Cに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−h
Pro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−OEt 7g(65%)をCb
z−D−hPro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−OEtから製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 538(MH+)。
C29H35N3O7に関する分析:
計算値 : C 64.79 ; H 6.56 ; N 7.82。
実測値 : C 65.05 ; H 6.57 ; N 8.08。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−OH
の製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−OH 5.9g(97%)を製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 511(MH+)。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム2.8g
(44%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−O
HおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 782(M+)。
C41H47N7O9に関する分析:
計算値 : C 62.98 ; H 6.06 ; N 12.54。
実測値 : C 62.84 ; H 6.19 ; N 12.82。
F)D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−
ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−ArgH・2HCl 0.62g
(33%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−A
rg(Cbz)ラクタムから製造した。RPHPLC法 Bを利用して、この物質0.5
gを精製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス−(3−AcNH−フェノキシ))−
ArgH・2HCl 0.15g(30%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 516(MH+)。
C25H37N7O5・2HCl・1.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 48.78 ; H 6.88 ; N 15.93。
実測値 : C 48.75 ; H 6.76 ; N 15.58。
実施例13
A)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−
OEtの製造
実質的には、実施例 11−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−h
Pro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−OEt 9.7g(76%)
をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−OEtから製
造した。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−
OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−OH 7.2g(84%)を製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 602(MH+)。
C33H35N3O8に関する分析:
計算値 : C 65.88 ; H 5.86 ; N 6.98。
実測値 : C 65.58 ; H 5.84 ; N 6.99。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム4.8
g(68%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))
−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 874(M+)。
C47H51N7O10に関する分析:
計算値 : C 64.59 ; H 5.88 ; N 11.22。
実測値 : C 64.77 ; H 5.90 ; N 11.16。
D)D−hPro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−
ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のD−hP
ro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−ArgH・2HCl 1.7g(8
9%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−CbzNH−フェノキシ))−Arg
(Cbz)ラクタムから製造した。RPHPLC法 Bを利用して、この物質1.1g
を精製し、純粋なD−hPro−Pro(4−シス−(3−NH2−フェノキシ))−Arg
H・2HCl 0.49g(45%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 474(MH+)。
C23H35N7O4・2.5HCl・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 48.15 ; H 6.76 ; N 17.09。
実測値 : C 48.30 ; H 6.38 ; N 17.08。
実施例14
A)D,L−1−シス−Piq−OHの製造
高圧装置中、EtOH(150ml)中の1−イソキノリンカルボン酸(50g、0
.288mol)の溶液および5N HCl 60mlを750psi(52バール)の水素下
に5% Rh/Al2O3(14g)と50℃で17時間反応させた。その反応混合物
をケイ藻土パッドに通して濾過して、濾液を減圧下に濃縮した。その固形物質を
水でトリチュレートし、濾過し、乾燥して、DL−ペルヒドロ−1−イソキノリ
ンカルボン酸(DL−1−Piq−OH)(30g、48%)を得た。
FD−MS 184(MH+)。
B)Cbz−D,L−1−シス−Piq−OHの製造
DL−1−Piq−OH(30.2g、137mmol)をテトラヒドロフラン(150
ml)および水(150ml)に溶解した。その溶液のpHを5N NaOHで9.8に調
節し、クロロギ酸ベンジル(21.6ml、151mmol)を滴加して、そのpHを2N
NaOHで9.5に保った。その反応体を室温でさらに2時間撹拌した。有機溶
媒を減圧下に蒸発させて、その残留物に、ジエチルエーテル(150ml)および水
(50ml)を加えた。水相を分離し、その溶液のpHを5N HClで2.5に調節し
て、酢酸エチル(200ml)を加えた。有機相を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾液
を減圧下に濃縮して、透明な油状物質を得た。その油状物質をジエチルエーテル
(150ml)に溶解して、その溶液を室温で放置した(24時間)。沈殿を濾過し、
乾燥して、Cbz−DL−ペルヒドロ−1−イソキノリンカルボン酸(Cbz−DL
−1−Piq−OH)(32g、75%)を得た。
FD−MS 318(MH+)。
C)Cbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−ヒドロキシ)−OMeの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D,L−
1−シス−Piq−Pro(4−シス−ヒドロキシ)−OMeをCbz−D,L−1−シス
−Piq−OHおよびPro(4−トランス−ヒドロキシ)−OMe・HClから製造し
た。ジアステレオマー分離は、クロロホルムから10% メタノール/クロロホ
ルムまでのグラジエントを用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより達成され
た。主要なジアステレオマーを含む画分(Rf=0.35;10% メタノール/ク
ロロホルム)を合わせ、減圧下に濃縮して、白色の泡状物質4.7g(39%)を得
た。1
H NMR。
FD−MS m/e 444(M+)。
C24H32N2O6に関する分析:
計算値 : C 64.85 ; H 7.26 ; N 6.30。
実測値 : C 64.69 ; H 7.13 ; N 6.32。
D)Cbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OMeの製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−L−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OMe 2.8g(43%)をCbz−
L−1−シス−Piq−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OMeから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 520(M+)。
E)Cbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−L−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OH 2.4g(95%)を製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 507(M+)。
F)Cbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−L−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム1.9g(58
%)をCbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHおよびAr
g(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 779(M+)。
G)L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl
の製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、L−1−シス
−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 1.24g(78%)を
Cbz−L−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム
から製造した。HPLCによる精製は必要なかった。1
H NMR。
FAB−MS m/e 513(MH+)。
C27H40N6O4・3HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 50.67 ; H 7.09 ; N 13.13。
実測値 : C 50.35 ; H 6.91 ; N 12.85。
実施例15
A)Cbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−ヒドロキシ)−OMeの製造
実施例 14−Cのクロマトグラフィーに続けて、追跡する(trailing)ジアス
テレオマーを含む画分(Rf=0.25;10% メタノール/クロロホルム)を合
わせ、減圧下に濃縮して、白色の泡状物質2.4g(20%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 444(M+)。
C24H32N2O6に関する分析:
計算値 : C 64.85 ; H 7.26 ; N 6.30。
実測値 : C 65.11 ; H 7.27 ; N 6.25。
B)Cbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OMeの製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OMe 3.55g(91%)をCbz
−D−1−シス−Piq−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OMeから製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 520(M+)。
C)Cbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OH 2.1g(70%)を製造した
。1
H NMR。
FD−MS m/e 507(M+)。
D)Cbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−1
−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム3.8g(72
%)をCbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHおよびAr
g(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 779(M+)。
E)D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl
の製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のCbz−
D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 1.1g(
86%)をCbz−D−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz
)ラクタムから製造した。RPHPLC法 Aを利用して、1gを精製して、純粋
なD−1−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 0.3
g(30%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 513(MH+)。
C27H40N6O4・2HCl・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 54.54 ; H 7.29 ; N 14.13。
実測値 : C 54.94 ; H 7.00 ; N 14.12。
実施例16
EtSO2−L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・HClの合成
A)Boc−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Boc−D,L−
Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEt 6.6g(80%)をBoc−D−Phg
−OHおよびPro(4−シス−フェノキシ)−OEt・HClから製造した。TLC
および1H NMRにより判定される通り、この工程ではN−末端残基の有意なラ
セミ化が起こった。1
H NMR。
FD−MS m/e 468(M+)。
C26H32N2O6に関する分析:
計算値 : C 66.65 ; H 6.88 ; N 5.98。
実測値 : C 66.43 ; H 6.67 ; N 5.97。
B)D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEt・HClの製造
実質的には、実施例 1−Jに記載した方法と同じ方法により、D,L−Phg−
Pro(4−シス−フェノキシ)−OEt・HCl 4.2g(97%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 368(MH+)。
C21H24N2O4・HClに関する分析:
計算値 : C 62.30 ; H 6.22 ; N 6.92。
実測値 : C 62.58 ; H 6.24 ; N 7.09。
C)EtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OEtの製造
−78℃の、THF(60ml)中のD,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)
−OEt・HCl(4g、10mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(3.9ml、
23mmol)の溶液に、THF(10ml)中の塩化エタンスルホニル(1.4g、11m
mol)の溶液を滴下漏斗より滴加した。次いで、冷浴を撤去して、その溶液を徐々
に室温まで温めた。約18時間後、その溶液を減圧下に濃縮した。残留物を酢酸
エチル(150ml)に溶解して、1N クエン酸(100ml)、飽和NaHCO3水溶
液(100ml)およびブライン(100ml)で各々2回ずつ洗浄した。次いで、有機
相をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の泡状物質4.5g(9
0%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 460(M+)。
C23H28N2O6Sに関する分析:
計算値 : C 59.98 ; H 6.13 ; N 6.08。
実測値 : C 59.76 ; H 6.18 ; N 5.81。
D)EtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、EtSO2−D,
L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OH 3.4g(94%)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 432(M+)。
C21H24N2O6Sに関する分析:
計算値 : C 58.32 ; H 5.59 ; N 6.48。
実測値 : C 58.07 ; H 5.62 ; N 6.27。
E)EtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、EtSO2−D,
L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム3.8g(72%)
をEtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−OHおよびArg(Cbz
)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 706(MH+)。
C35H40N6O8Sに関する分析:
計算値 : C 59.65 ; H 5.72 ; N 11.92。
実測値 : C 59.56 ; H 5.78 ; N 11.91。
F)EtSO2−L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・HCl
の製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のEtSO2
−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・HCl 1.9g(62%
)をEtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−Arg(Cbz)ラクタム
から製造した。ジアステレオマー分離は、RPHPLC法 Aを用いるRPHP
LC精製により達成された。EtSO2−D,L−Phg−Pro(4−シス−フェノキ
シ)−ArgH・HCl 1gをロードして、EtSO2−L−Phg−Pro(4−シス−
フェノキシ)−ArgH・HCl 0.1g(10%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 573(MH+)。
C27H36N6O6S・1.5HCl・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 50.96 ; H 6.10 ; N 13.21。
実測値 : C 50.90 ; H 6.15 ; N 12.81。
実施例17
EtSO2−D−Phg−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・HClの合成
実施例 16−Gに記載したHPLC分離から、EtSO2−D−Phg−Pro(4
−シス−フェノキシ)−ArgH・HCl 0.06g(6%)を単離した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 573(MH+)。
C27H36N6O6S・HClに関する分析:
計算値 : C 53.24 ; H 6.12 ; N 13.80。
実測値 : C 53.14 ; H 5.88 ; N 13.60。
実施例18
A)Cbz−D−hPro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OHの製造
実質的には、実施例 1−Gに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OH 54.5g(67%)をCbz−D−h
Pro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OEtから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 377(MH+)。
C19H24N2O6に関する分析:
計算値 : C 60.63 ; H 6.43 ; N 7.44。
実測値 : C 60.65 ; H 6.48 ; N 7.44。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OCHPh2の製造
THF(1L)中のCbz−D−hPro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OH(
50g、133mmol)の溶液に、ジフェニル ジアゾメタン(40g、200mmol)
を加えた。その混合物を16時間撹拌して、溶媒を減圧下に除去した。残留物を
酢酸エチルと飽和NaHCO3水溶液との間で分配した。相を分離して、有機相を
飽和NaHCO3水溶液で1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過して、濃縮した。
そ
の結果得られた黄色の残留物を、1:1の酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチル
までの段階的グラジエントを用いるシリカゲル(1kg)でのクロマトグラフィーに
かけた。TLCにより判定した、生成物を含む画分を合わせ、減圧下に濃縮して
、泡状物質70g(97%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 543(M+)。
C32H34N2O6に関する分析:
計算値 : C 70.83 ; H 6.32 ; N 5.16。
実測値 : C 70.99 ; H 6.43 ; N 5.22。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))−
OCHPh2の製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))−OCHPh228.5g(9
5%)をCbz−D−hPro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OCHPh2から製
造した。生成物には、シリカゲルクロマトグラフィーの間に該生成物と共に溶出
した1,2−カルボエトキシヒドラジンが混入していた。1
H NMR。
FD−MS m/e 754(MH+)。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))−
OHの製造
ジクロロメタン(150ml)中のCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−CO
OBn−フェノキシ))−OCHPh2(28g、37mmol)の溶液に、アニソール(1
5ml)およびトリフルオロ酢酸(150ml)を加えた。その混合物を室温で数時間
撹拌した。溶媒を減圧下に除去して、その結果得られた油状物質を飽和NaHC
O3水溶液とジエチルエーテルとの間で分配した。相を分離して、有機相を飽和
NaHCO3水溶液で1回抽出した。合わせた水相を5N HCl水溶液でpH 2に
調節して、酢酸エチル(600ml)で3回抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を
MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、無色の油状物質(21g、97%)を得た
。1
H NMR。
FD−MS m/e 587(M+)。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム4.2
g(20%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキシ))
−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 858(M+)。
F)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOH−フェノキシ))−
ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOH−フェノキシ))−ArgH・2HCl1
.6g(79%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキ
シ))−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 503(MH+)。
C24H36N6O6・2HCl・H2Oに関する分析:
計算値 : C 48.57 ; H 6.45 ; N 14.16。
実測値 : C 48.21 ; H 6.13 ; N 14.07。
実施例19
D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOH−フェノキシ))−ArgH・2H
Clの合成
A)3−ヒドロキシ安息香酸ベンジルの製造
DMF(500ml)中の3−ヒドロキシ安息香酸(27.6g、200mmol)の溶
液に、KHCO3(20g、200mmol)を加えた。滴下漏斗に臭化ベンジル(21
.7ml、200mmol)を充填した。これを10分間かけて滴加して、その混合物を
室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をEtOAc(750ml)
と水(500ml)との間で分配して、相を分離した。有機相を1N クエン酸(50
0ml)で1回洗浄し、飽和NaHCO3水溶液(500ml)で2回洗浄し、またブラ
イン(500ml)で2回洗浄した。その有機溶液を乾燥し(MgSO4)、濾過し、減
圧下に濃縮して、淡黄色のシロップ状物質42g(93%)を得、これを放置する
と、結晶化した。1
H NMR。
FD−MS m/e 228(M+)。
B)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−
OCHPh2の製造
実質的には、実施例 8−Aに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−OCHPh229.1g(9
7%)をCbz−D−hPro−Pro(4−トランス−ヒドロキシ)−OCHPh2から製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 754(MH+)。
C)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−
OHの製造
実質的には、実施例 16−Dに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−h
Pro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−OH 22.4g(97%
)を製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 587(M+)。
D)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−hP
ro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))−Arg(Cbz)ラクタム8.8
g(41%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOBn−フェノキシ))
−OHおよびArg(Cbz)ラクタム・2HClから製造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 858(M+)。
C47H50N6O10に関する分析:
計算値 : C 65.72 ; H 5.87 ; N 9.78。
実測値 : C 65.43 ; H 5.86 ; N 9.73。
E)Cbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOH−フェノキシ))−
ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 6−Fに記載した方法と同じ方法により、粗製のCbz−
D−hPro−Pro(4−シス−(3−COOH−フェノキシ))−ArgH・2HCl1
.6g(80%)をCbz−D−hPro−Pro(4−シス−(4−COOBn−フェノキ
シ))−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。1
H NMR。
FAB−MS m/e 503(MH+)。
C24H36N6O6・2HCl・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 49.32 ; H 6.38 ; N 14.38。
実測値 : C 49.14 ; H 6.30 ; N 14.56。
実施例20
D−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの合成
A)Cbz−D−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Fに記載した方法と同じ方法により、Cbz−D−1
−シス−Piq−シス−Ohi−OEtとCbz−L−1−シス−Piq−シス−Ohi−
OEtとの混合物をCbz−D−1−シス−Piq−OHおよび(S)−シス−オクタ
ヒドロインドール−2−カルボン酸 エチルエステル・HClから製造した。これ
らのジアステレオマーを、酢酸エチル/ヘキサンのグラジエントを用いるシリカ
ゲルクロマトグラフィーにより分離した。主要なジアステレオマーを含む画分(
Rf=0.35;30% 酢酸エチル/ヘキサン)を合わせ、濃縮して、白色の泡状
物質4.2g(27%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 496(M+)。
C29H40N2O5に関する分析:
計算値 : C 70.13 ; H 8.12 ; N 5.64。
実測値 : C 69.96 ; H 8.23 ; N 5.73。
B)D−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−G、1−K、および1−Lに記載した方法と同じ方
法により、粗製のD−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HCl 2.8g(
85%)をCbz−D−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEtから製造した。RPH
PLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−1−シス−Piq
−シス−Ohi−ArgH・2HCl 1.0g(50%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 475(MH+)。
C25H42N6O3・2HClに関する分析:
計算値 : C 54.84 ; H 8.10 ; N 15.35。
実測値 : C 54.62 ; H 8.03 ; N 15.31。
実施例21
L−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの合成
A)Cbz−L−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEtの製造
実施例 20−Aのクロマトグラフィーに続けて、追跡するジアステレオマー
を含む画分(Rf=0.25;30% 酢酸エチル/ヘキサン)を合わせ、減圧下に
濃縮して、Cbz−L−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEt 4.6g(29%)を
白色の泡状物質として得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 496(M+)。
C29H40N2O5に関する分析:
計算値 : C 70.13 ; H 8.12 ; N 5.64。
実測値 : C 69.22 ; H 7.98 ; N 6.10。
B)L−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−G、1−K、および1−Lに記載した方法と同じ方
法により、粗製のL−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HCl 3.5g(
90%)をCbz−L−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEtから製造した。RPH
PLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−1−シス−Piq
−シス−Ohi−ArgH・2HCl 1.0g(50%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 475(MH+)。
C25H42N6O3・2HClに関する分析:
計算値 : C 54.84 ; H 8.10 ; N 15.35。
実測値 : C 54.69 ; H 8.06 ; N 15.30。
実施例22
EtSO2−D−Phg−シス−Ohi−ArgH・HClの合成
A)Boc−D−Phg−シス−Ohi−OEtの製造
実質的には、実施例 1−Dに記載した方法と同じ方法により、Boc−D−Ph
g−シス−Ohi−OEt 14.9g(58%)をBoc−D−Phg−OHおよび(S)−
シス−オクタヒドロインドール−2−カルボン酸 エチルエステル・HClから製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 430(M+)。
C24H34N2O5に関する分析:
計算値 : C 66.95 ; H 7.96 ; N 6.51。
実測値 : C 66.69 ; H 8.02 ; N 6.40。
B)D−Phg−シス−Ohi−OEt・HClの製造
冷たい(0℃)、酢酸エチル中のBoc−D−Phg−シス−Ohi−OEtの撹拌溶
液に、HClガスを10分間通気した。室温まで温めながら2時間撹拌した後、
溶媒を減圧下に除去した。その結果得られた固形物質をジエチルエーテルに懸濁
させた後、濾過により単離して、D−Phg−シス−Ohi−OEt・HCl 10.7
g(97%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 331(M+)。
C19H27N2O3Clに関する分析:
計算値 : C 62.20 ; H 7.41 ; N 7.64。
実測値 : C 62.42 ; H 7.36 ; N 7.85。
C)EtSO2−D−Phg−シス−Ohi−OEtの製造
−78℃の、THF(200ml)中のD−Phg−シス−Ohi−OEt・HCl(1
0g、27mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(10.7ml、61mmol)の溶
液に、THF(20ml)中の塩化エタンスルホニル(3.9g、30mmol)の溶液を
滴下漏斗より滴加した。次いで、冷浴を撤去して、その溶液を徐々に室温まで温
めた。約18時間後、その溶液を減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(20
0ml)に溶解して、1N クエン酸(200ml)、飽和NaHCO3水溶液(200ml)
およびブライン(200ml)で各々2回ずつ洗浄した。次いで、有機相をMgSO4
で乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の泡状物質11.2g(97%)を得
た。1
H NMR。
FD−MS m/e 422(M+)。
C21H30N2O5Sに関する分析:
計算値 : C 59.69 ; H 7.16 ; N 6.63。
実測値 : C 59.94 ; H 7.08 ; N 6.78。
D)EtSO2−D−Phg−シス−Ohi−ArgH・HClの製造
実質的には、実施例 1−G、1−K、および1−Lに記載した方法と同じ方
法により、粗製のL−1−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HCl 3.5g(
9
0%)をCbz−L−1−シス−Piq−シス−Ohi−OEtから製造した。RPHP
LC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なEtSO2−D−Phg−
シス−Ohi−ArgH・HCl 0.35g(18%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 535(MH+)。
C25H38N6O5S・HClに関する分析:
計算値 : C 52.58 ; H 6.88 ; N 14.71。
実測値 : C 52.30 ; H 6.72 ; N 14.45。
実施例23
A)EtSO2−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・HClの製造
実質的には、実施例 22に記載した方法と同じ方法により、粗製のEtSO2
−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・HCl 2.35gをBoc−D−Phg−OHの
代わりにBoc−D−Phe−OHから製造した。RPHPLC法 Aを利用して、
この物質2.0gを精製し、純粋なEtSO2−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・
HCl 0.92g(46%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 549.5(MH+)。
C26H40N6O5S・HClに関する分析:
計算値 : C 53.37 ; H 7.06 ; N 14.36。
実測値 : C 53.61 ; H 6.90 ; N 14.28。
実施例24
HOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・HClの合成
A)t−BuOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−OEtの製造
アセトニトリル(400ml)中のD−Phe−シス−Ohi−OEt・HCl(30g
、79mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(41ml、236mmol)およ
びt−ブチル ブロモアセテート(14ml、87mmol)を加えた。この溶液を還流温
度として、そのまま3時間保った。室温まで冷却した後、その溶液を減圧下に濃
縮した。残留物を酢酸エチル(300ml)に溶解して、この溶液を飽和塩化アモン
ニウム水溶液(200ml)で2回洗浄し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)
で2回洗浄し、またブライン(200ml)で2回洗浄した。有機相を乾燥し(MgS
O4)、濾過し、減圧下に濃縮して、橙色の油状物質を得、これを、ヘキサンから
1:1のヘキサン/酢酸エチルまでのグラジエントで溶離するシリカゲルクロマ
トグラフィーにより精製した。生成物を含む画分(TLCにより判定した)を合わ
せ、濃縮して、無色の油状物質33.2g(92%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 458(M+)。
C26H38N2O5に関する分析:
計算値 : C 68.10 ; H 8.35 ; N 6.11。
実測値 : C 68.37 ; H 8.47 ; N 5.90。
B)Boc−t−BuOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−OHの製造
THF(200ml)中のt-BuOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−OEt(30
g、65mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(17ml、98mmol)およ
びジ−t−ブチル ジカーボネート(15.7g、72mmol)を加えた。この溶液を
穏やかに還流し16時間保った。加熱を中断して、一旦冷却し、その溶液を減圧
下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(400ml)に溶解して、1.0M クエン酸(
200ml)で2回洗浄し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200ml)で2回洗浄し
、またブライン(200ml)で2回洗浄した。その有機溶液を乾燥し(MgSO4)、
濾過し、減圧下に濃縮して、黄色の油状物質を得た。この油状物質の一部(24.
8g、44mmol)をジオキサン300mlに溶解した。これに、水150ml中、Li
OH・H2O 2.05g(49mmol)からなる溶液を加えた。この混合物を室温で
5時間撹拌し、その時点で飽和塩化アモンニウム水溶液100mlを加えた。溶媒
を減圧下に除去して、残留物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液とジエチルエーテル
との間で分配した。相を分離して、水相をクエン酸でpH 3まで酸性とした。そ
の酸性水溶液をジエチルエーテル(200ml)で3回抽出して、これらを合わせ、
乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して、Boc−t−BuOOCCH2−D−Phe−
シス−Ohi−OH 24.3gを白色の泡状物質として得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 530(M+)。
C29H42N2O7に関する分析:
計算値 : C 65.64 ; H 7.98 ; N 5.28。
実測値 : C 65.39 ; H 8.04 ; N 5.39。
C)Boc−t−BuOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−
Arg(Cbz)ラクタムの製造
実質的には、実施例 1−Kに記載した方法と同じ方法により、Boc−t−Bu
OOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−Arg(Cbz)ラクタム4.7g(39%)を製
造した。1
H NMR。
FD−MS m/e 802(M+)。
C43H58N6O9に関する分析:
計算値 : C 64.32 ; H 7.28 ; N 10.47。
実測値 : C 64.34 ; H 7.53 ; N 10.24。
D)HOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・HClの製造
実質的には、実施例 1−Lに記載した方法と同じ方法により、粗製のBoc−t
−BuOOCCH2−D−Phe−シス−Ohi−ArgH・HClをBoc−t−BuOO
CCH2−D−Phe−シス−Ohi−Arg(Cbz)ラクタムから製造した。残留物を
5% アニソール/トリフルオロ酢酸に0℃で再び溶解した。これを冷たいまま
1時間撹拌し、その時点で溶媒を減圧下に除去した。残留物を0.1N HClに
取って、ジエチルエーテルで2回洗浄した。水相を体積30mlまで濃縮した後、
生成物をRPHPLC法 Aにより精製して、純粋なHOOCCH2−D−Phe−
シス−Ohi−ArgH・HCl 1.2g(44%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 515.6(MH+)。
C26H38N6O5・1.3HClに関する分析:
計算値 : C 55.56 ; H 7.05 ; N 14.95。
実測値 : C 55.83 ; H 6.67 ; N 14.78。
実施例25
D−3−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの合成
A)Cbz−D−3−シス−Piq−OHの製造
D−フェニルアラニン(50g、302mmol)を37% ホルムアルデヒド溶液(
120ml)および濃HCl(380ml)と還流温度で反応させた。30分後、さらに
ホルムアルデヒド50mlを加えて、反応を3時間続けた。その反応体を−10℃
まで冷却して、沈殿を濾過した。その固形物質を減圧下に乾燥して、D−1,2,
3,4−テトラヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸(24.2g、45%)を得た
。
FD−MS 178(MH+)。
高圧装置中、水(200ml)中のD−1,2,3,4−テトラヒドロ−3−イソキ
ノリンカルボン酸(17g、96mmol)の溶液および5N HCl 20mlを、5%
Rh/Al2O3(8.5g)の存在下、2000psi(138バール)、120℃で、水
素と16時間反応させた。その反応混合物をケイ藻土パッドに通して濾過し、濾
液を凍結乾燥して、D−ペルヒドロ−3−イソキノリンカルボン酸(D−3−Pi
q−OH)(21g、100%)を得た。
FD−MS 184(MH+)。
D−3−Piq−OH(21.0g、95.8mmol)をテトラヒドロフラン(75ml)
および水(50ml)に溶解した。その溶液のpHを5N NaOHで10.0に調節し
、クロロギ酸ベンジル(16.4ml、115mmol)を滴加して、そのpHを2N Na
OHで9.5に保った。その反応体を室温でさらに1時間撹拌した。有機溶媒を
減
圧下に蒸発させて、残留物に、ジエチルエーテル(100ml)および水(50ml)を
加えた。水相を分離し、その溶液のpHを3N HClで3.0に調節して、酢酸エ
チル(250ml)を加えた。有機相を分離して、乾燥した(MgSO4)。濾液を減圧
下に濃縮して、透明な油状物質のCbz−D−ペルヒドロ−3−イソキノリンカル
ボン酸(Cbz−D−3−Piq−OH)(25.8g、85%)を得た。1
H NMR。
FD−MS m/e 318(MH+)。
B)D−3−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−F、1−G、1−K、および1−Lに記載した方法
と同じ方法により、粗製のD−3−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HCl
3.5gをCbz−D−3−シス−Piq−OHおよびシス−Ohi−OEt・HClか
ら製造した。RPHPLC法 Aを利用して、この物質2.0gを精製し、純粋な
D−3−シス−Piq−シス−Ohi−ArgH・2HCl 0.87g(44%)を得た
。1
H NMR。
FAB−MS m/e 475.6(MH+)。
C25H42N6O3・2HClに関する分析:
計算値 : C 54.84 ; H 8.10 ; N 15.35。
実測値 : C 55.24 ; H 8.34 ; N 14.96。
実施例26
D−3−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HClの合成
A)D−3−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−ArgH・2HCl
の製造
実質的には、実施例 1−F、1−G、1−K、および1−Lに記載した方法
と同じ方法により、粗製のD−3−シス−Piq−Pro(4−シス−フェノキシ)−
ArgH・2HCl 3.36gをCbz−D−3−シス−Piq−OHおよびPro(4−
シス−フェノキシ)−OMe・HClから出発して製造した。RPHPLC法 Aを
利用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−3−シス−Piq−Pro(4−シ
ス−フェノキシ)−ArgH・2HCl 1.2g(60%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 513.6(MH+)。
C27H40N6O4・2HCl・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 54.54 ; H 7.29 ; N 14.13。
実測値 : C 54.51 ; H 7.22 ; N 14.03。
実施例27
D−3−シス−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HClの合成
A)D−3−シス−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HCl
の製造
実質的には、実施例 1−F、1−G、1−K、および1−Lに記載した方法
と同じ方法により、粗製のD−3−シス−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−
ArgH・2HCl 2.9gをCbz−D−3−シス−Piq−OHおよびPro(4−シ
ス−イソアミル)−OEt・HClから出発して製造した。RPHPLC法 Aを利
用して、この物質2.0gを精製し、純粋なD−3−シス−Piq−Pro(4−シス
−イソアミル)−ArgH・2HCl 1.0g(50%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 491.4(MH+)。
C26H46N6O3・2HClに関する分析:
計算値 : C 55.41 ; H 8.58 ; N 14.91。
実測値 : C 55.32 ; H 8.35 ; N 14.94。
実施例28
1−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HClの合成
A)1−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2HClの製造
実質的には、実施例 1−F、1−G、1−K、および1−Lに記載した方法
と同じ方法により、粗製の1−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−ArgH・2
HCl 2.9gをCbz−D,L−1−シス−Piq−OHおよびPro(4−シス−イ
ソアミル)−OEt・HClから出発して製造した。RPHPLC法 Aを利用して
、この物質2.0gを精製し、純粋な1−Piq−Pro(4−シス−イソアミル)−
ArgH・2HCl 1.0g(50%)を得た。1
H NMR。
FAB−MS m/e 491.4(MH+)。
C26H46N6O3・2HCl ・0.5H2Oに関する分析:
計算値 : C 54.54 ; H 8.62 ; N 14.68。
実測値 : C 54.77 ; H 8.61 ; N 14.29。
先に記載した方法と同じ方法で、以下の化合物を製造することができる:
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Abo-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Phe-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Abo-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Phg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Ohi-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Abo-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Cha-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Ohi-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Abo-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
EtSO2-D-Chg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Ohi-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Abo-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phe-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Abo-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Phg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Ohi-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Abo-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Cha-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Ohi-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Abo-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2SO2-D-Chg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Abo-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phe-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Abo-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Phg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Ohi-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Abo-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Cha-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Ohi-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-イソアミル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Abo-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
HO2CCH2-D-Chg-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-n-プロピル)-ArgH、
1-Piq-Abo-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
1-Piq-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-メチル)-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-エチル)-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-n−プロピル)-ArgH、
3-Piq-Abo-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-(4-COOH)PhO)-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-(3-COOH)PhO)-ArgH、
3-Piq-Pro(4-シス-CH2COOH)-ArgH。
本発明の化合物は、身体の天然の血餅溶解能に対し認め得るほどの干渉をする
ことなく(該化合物は、フィブリン溶解に対する阻害作用が低い)、血液凝固に関
与する他のフィブリン溶解プロテイナーゼおよび非酵素タンパク以上に、選択的
にトロンビンを阻害すると考えられる。さらにそのような選択性は、血栓崩壊お
よびフィブリン溶解に対し実質的な干渉をすることなく、血栓崩壊剤と共に使用
することを可能にすると考えられる。さらに本発明の化合物は、経口で活性であ
ると考えられる。該化合物はまた、それらが凝固カスケードにおける他の酵素、
例えば、IX、X、またはXI因子を阻害する能力により、抗血栓活性も改良するこ
とができる。
本発明は、その態様の1つにおいて、哺乳動物においてトロンビンを阻害する
方法であって、処置を必要とする哺乳動物に、式Iの化合物の有効(トロンビン
阻害)用量を投与することからなる方法を提供する。
本発明の方法により意図されるトロンビン阻害には、医学的治療および/また
は予防的処置の両方が適宜含まれる。
さらなる一態様において、本発明は、ヒトまたは動物における、トロンビンの
阻害が必要とされる状態の処置に関する。本発明の化合物は、人間を含む動物に
おける、血栓症および血液並びに組織での凝固能亢進の処置または予防に有用で
あろうと思われる。該化合物が可能な有用性を有する疾患状態は、血栓症および
血液並びに組織での凝固能亢進の処置または予防における疾患状態である。該化
合物が処置および/または予防において可能な有用性を有する疾患状態には、静
脈血栓症並びに肺塞栓症、動脈血栓症、例えば、心筋虚血、心筋梗塞、不安定な
アンギナ、血栓形成に基づく発作および末梢動脈血栓症におけるものが含まれる
。さらに該化合物は、冠動脈疾患、脳動脈疾患および末梢動脈疾患といったよう
なアテローム性動脈硬化疾患の予防における有用性が期待されている。さらに該
化合物は、心筋梗塞における血栓崩壊剤との併用に有用であろうと思われる。さ
らに該化合物は、血栓崩壊、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)および冠動脈バイ
パス手術後の再閉塞に対する処置または予防における有用性が期待されている。
さらに該化合物は、顕微手術後の再血栓形成の防止における有用性が期待されて
い
る。さらに該化合物は、人工器官および心臓弁に関連する抗凝固処置に有用であ
ろうと思われる。さらに該化合物は、血液透析および散在性血管内凝固での抗凝
固処置における有用性が期待されている。さらなる期待される有用性は、患者に
インビボにおいて使用されたカテーテルおよび機械装置の濯ぎにおける有用性、
および血液、血漿並びに他の血液製品のインビトロにおける保存のための抗凝固
剤としての有用性である。またさらに該化合物は、転移を含む癌、並びに関節炎
を含む炎症性疾患、および糖尿病といったような、血液凝固が基本的寄与工程ま
たは二次的病状の原因となり得る他の疾患における有用性が期待されている。該
抗凝固化合物は、経口で、非経口で、例えば、静脈内注入(iv)、筋肉内注射(im)
または皮下(sc)により投与される。
治療的および/または予防的効果を得るために本発明により投与する化合物の
具体的な用量は、勿論、例えば、投与する化合物、投与速度、および処置する状
態を含む、その症例を取り巻く個々の状況により決定されるであろう。
先の各々の有用性に対する典型的な1日用量は、約0.01mg/kg〜約100
0mg/kgの間である。用量レジメは変えることができ、例えば、予防的使用には
、1日1回の用量を投与することができ、または1日3もしくは5回といったよ
うな複数回用量が適当であり得る。重篤な治療状況では、本発明の化合物をiv注
入により、約0.01mg/kg/時間〜約20mg/kg/時間の間、また好ましくは
約0.1mg/kg/時間〜約5mg/kg/時間の間の速度で投与する。
本発明の方法はまた、血餅溶解剤、例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子
(t−PA)、修飾されたt−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキナーゼと共に
も行われる。血餅形成が起こって、動脈または静脈が部分的に、もしくは完全に
ブロックされた場合には、通常、血餅溶解剤を使用する。本発明の化合物は、該
溶解剤の前、もしくは該溶解剤と共に、または該溶解剤の使用後に単独で投与す
ることができ、また血餅形成の再発を防ぐために、アスピリンと共に投与するの
がさらに好ましい。
本発明の方法はまた、血小板凝集を阻害する血小板糖タンパクレセプター(IIb
/IIIa)アンタゴニストと共にも行われる。本発明の化合物は、血餅形成の再発
を防ぐために、該IIb/IIIaアンタゴニストの前、もしくは該IIb/IIIaアンタゴ
ニストと共に、または該IIb/IIIaアンタゴニストの使用後に投与することがで
きる。
本発明の方法はまた、アスピリンと共にも行われる。本発明の化合物は、血餅
形成の再発を防ぐために、アスピリンの前、もしくはアスピリンと共に、または
アスピリンの使用後に投与することができる。上述のように、好ましくは本発明
の化合物を血餅溶解剤およびアスピリンと共に投与する。
本発明はまた、上記治療法において使用するための医薬品製剤も提供する。本
発明の医薬品製剤は、薬学上許容され得る担体、賦形剤または希釈剤と共に、有
効なトロンビン阻害量の式Iの化合物を含んでなる。経口投与には、該抗血栓化
合物を、結合剤、潤滑剤、崩壊剤等といったような賦形剤を含み得るゼラチンカ
プセル剤または錠剤に製剤化する。非経口投与には、該抗血栓化合物を、薬学上
許容され得る希釈剤、例えば、生理食塩水(0.9%)、5%デキストロース、リ
ンゲル溶液等に製剤化する。
本発明の化合物は、約0.1mg〜約1000mgの間の用量を含んでなる単位投
与製剤に製剤化することができる。好ましくは該化合物は、例えば、硫酸塩、酢
酸塩またはリン酸塩といったような、薬学上許容され得る塩の形である。単位投
与製剤の一例は、10mlの無菌ガラス製アンプル中に本発明の化合物5mgを薬学
上許容され得る塩として含んでなる。単位投与製剤の別の例は、無菌アンプルに
入れた等張食塩水20ml中に本発明の化合物約10mgを薬学上許容され得る塩と
して含んでなる。
該化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内を含む
種々の経路により投与することができる。本発明の化合物は、投与前に製剤化す
るのが好ましい。従って、本発明の別の態様は、薬学上許容され得る担体、希釈
剤もしくは賦形剤と共に、有効量の式Iの化合物またはその薬学上許容され得る
塩もしくは溶媒和物を含んでなる医薬品製剤である。
そのような製剤中の活性成分は、該製剤の0.1重量%〜99.9重量%を構成
する。「薬学上許容され得る」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤の他の成
分と共存可能でなければならず、またそのレシピエントに対して有害であっては
ならないことを意味する。本発明の医薬品製剤は、周知かつ容易に入手可能な成
分を用いる既知の方法により製造される。本発明の組成物を製造する際は、通常
、活性成分を担体と混合するか、または担体で希釈するか、またはカプセル、サ
シェ、紙もしくは他の容器の形態であり得る担体内に充填する。担体が希釈剤と
して働く場合、担体は、該活性成分に対してビヒクル、賦形剤もしくは媒体とし
て作用する、固体、半固体または液体の物質であってよい。従って、該組成物は
、錠剤、丸剤、粉末剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁
剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体として、または液体媒体中
の)、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射用溶液剤、無菌包装粉末
剤等の形にすることができる。本発明の組成物は、当業界において周知の方法を
利用することにより、患者に投与した後、活性成分を迅速に、持続的に、または
遅延して放出するよう、製剤化することができる。
以下の製剤例は単に説明するだけのものであって、本発明の範囲を何ら制限し
ようと意図するものではない。「活性成分」は、勿論、式Iで示される化合物ま
たはその薬学上許容され得る塩もしくは溶媒和物を意味する。
製剤例1
以下の成分を用いて、硬ゼラチンカプセル剤を製造する。
量(mg/カプセル剤)
活性成分 250
デンプン,乾燥 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合 計 460mg
製剤例2
以下の成分を用いて、錠剤を製造する。
量(mg/錠剤)
活性成分 250
セルロース,微晶質 400
二酸化ケイ素,フュームド 10
ステアリン酸 5
合 計 665mg
各成分を混合し、圧縮して、各々の重量が665mgである錠剤を成形する。
製剤例3
以下の成分を含むエアゾール溶液剤を製造する。
量
活性成分 0.25
エタノール 25.75
プロペラント 22(クロロジフルオロメタン) 70.00
合 計 100.00
活性成分をエタノールと混合して、その混合物をプロペラント22の一部に加え
、−30℃まで冷却して、充填装置へ移す。次いで、必要量をステンレススチー
ル製の容器に入れ、残りのプロペラントで希釈する。次いで、バルブ装置を容器
に取り付ける。
製剤例4
活性成分を各々60mg含む錠剤を以下のようにして製造する。
活性成分 60mg
デンプン 45mg
微晶質セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン(10%水溶液として) 4mg
カルボキシメチルデンプンナトリウム 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
タルク 1mg
合 計 150mg
活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.45メッシュU.S.篩に通して、完
全に混合する。ポリビニルピロリドンを含む溶液をその結果得られた粉末と混合
した後、その混合物をNo.14メッシュU.S.篩に通す。このようにして製造し
た顆粒を50℃で乾燥し、No.18メッシュU.S.篩に通す。次いで、その顆
粒に、あらかじめNo.60メッシュU.S.篩に通しておいたカルボキシメチルデ
ンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを加え、混合した後
、これを打錠機で圧縮して、各々の重量が150mgの錠剤を得る。
製剤例5
活性成分を各々80mg含むカプセル剤を以下のようにして製造する。
活性成分 80mg
デンプン 59mg
微晶質セルロース 59mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合 計 200mg
活性成分、セルロース、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを混合し、N
o.45メッシュU.S.篩に通して、硬ゼラチンカプセルに200mg量を充填する
。
製剤例6
活性成分を各々225mg含む坐薬を以下のようにして製造する。
活性成分 225mg
飽和脂肪酸グリセリド 2,000mg
合 計 2,225mg
活性成分をNo.60メッシュU.S.篩に通して、あらかじめ必要最小限の熱を用
いて溶融しておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸濁させる。次いで、その混合物を
容量2gの坐薬型に注ぎ入れて、放冷した。
製剤例7
5ml用量につき活性成分を各々50mg含む懸濁剤を以下のようにして製造する
。
活性成分 50mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 50mg
シロップ 1.25ml
安息香酸溶液 0.10ml
香料 適量
着色料 適量
精製水を加えて全量5mlとする
活性成分をNo.45メッシュU.S.篩に通し、カルボキシメチルセルロースナト
リウムおよびシロップと混合して、滑らかなペーストとする。安息香酸溶液、香
料、および着色料を少量の水で希釈して、撹拌しながら加える。次いで、十分水
を加え、所望の容量とする。
製剤例8
静脈内注射用製剤は、以下のようにして製造することができる。
活性成分 100mg
等張食塩水 1,000ml
先の成分の溶液を1分間につき1mlの割合で被験者に静脈内投与する。
本発明により提供する化合物(式1)は、経口で活性であり、また哺乳動物にお
いてトロンビンの作用を選択的に阻害する。
本発明の化合物が有効かつ経口で活性なトロンビン阻害剤である能力を以下の
1つまたはそれ以上のアッセイで評価する。
トロンビンの阻害は、トロンビンが色原体基質であるN−ベンゾイル−フェニ
ルアラニル−L−バリル−L−アルギニル−p−ニトロアニリドを加水分解する
アッセイで測定する、トロンビンのアミダーゼ活性のインビトロにおける阻害に
より実証される。
該アッセイは、緩衝液(0.03M トリス、0.15M NaCl、pH7.4)50
μlをウシトロンビンまたはヒトトロンビン溶液(0.21mg/mlのトロンボスタ
ットウシトロンビン、Parke−Davis、または精製ヒトトロンビン、Enzyme R
esearch Laboratories、South Bend、Indiana、約8NIH単位/ml、同一
緩衝液中)25μlおよび溶媒(50% 水性メタノール中、v:v)中の被験化合
物25μlと混合することにより行う。色原体基質の水溶液(0.25mg/ml)15
0μlを加えて、反応をp−ニトロアニリンの放出に関して405nmでモニターす
ることにより、該基質の加水分解速度を測定する。加水分解速度に対して遊離ト
ロンビン濃度をプロットすることにより、標準曲線を作成する。次いで、その標
準曲線を用いることにより、試験化合物で観察された加水分解速度を各々のアッ
セイでの「遊離トロンビン」値に変換する。アッセイで使用したトロンビンの既
知の初期量から各々のアッセイで観察された遊離トロンビンの量を減ずることに
より、結合した(試験化合物に結合した)トロンビンを算出する。加えた阻害剤(
試験化合物)のモル数から結合したトロンビンのモル数を減ずることにより、各
々のアッセイでの遊離阻害剤の量を算出する。
Kass値は、トロンビンと試験化合物(I)との間の反応に関する仮定平衡定
数である。
Kassを試験化合物の濃度範囲に関して算出し、その平均値を1モル当たりの
リットル単位で報告する。
実質的には、ヒトトロンビンに関して先に記載した方法に従い、また他のヒト
血液凝固系セリンプロテアーゼおよびフィブリン溶解系プロテアーゼを以下に指
定する適当な色原体基質と共に使用することにより、凝固因子セリンプロテアー
ゼに関する、またフィブリン溶解系セリンプロテアーゼに関する本発明の化合物
の選択性を、さらにはまたフィブリン溶解系セリンプロテアーゼに対する実質的
な干渉の欠如を評価する。トロンビン阻害剤は、好ましくは、ウロキナーゼ、組
織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)およびストレプトキナーゼにより誘発
されるフィブリン溶解を温存すべきである。このことは、ストレプトキナーゼ、
t−PAまたはウロキナーゼの血栓崩壊療法に対する補助物としての薬剤の治療
的使用に、また内因性フィブリン溶解温存性(t−PAおよびウロキナーゼに関す
る)抗血栓剤としての薬剤の使用に重要であろう。フィブリン溶解プロテアーゼ
のアミダーゼ活性に対する干渉の欠如に加えて、そのようなフィブリン溶解系温
存を、ヒト血漿血餅および各々のフィブリン溶解プラスミノーゲン活性化因子に
よるヒト血漿血餅の溶解によって研究することができる。
ヒトのX、Xa、IXa、XIa、およびXIIa因子をEnzyme Research Laboratori
es、South Bend、Indianaから購入し;ヒトウロキナーゼをLeo Pharmaceut
icals、Denmarkから購入し;また組換え活性化プロテインC(aPC)は、実質的
には、米国特許第4,981,952号により、Eli Lilly and Co.で製造する
。色原体基質:N−ベンゾイル−Ile−Glu−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(
Xa因子用);N−Cbz−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(Xa因子基
質としてIXa因子アッセイ用);ピログルタミル−Pro−Arg−p−ニトロアニリ
ド(XIa因子用およびaPC用);H−D−Pro−Phe−Arg−p−ニトロアニリド(
XIIa因子用);およびピログルタミル−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(ウロキ
ナーゼ用);をKabi Vitrum、Stockholm、Swedenから、またはMidwest Bio
tech、Fishers、Indianaから購入する。ウシトリプシンをWorthington Bioc
hemicals、Freehold、New Jerseyから、またヒト血漿カリクレインをKabi
Vitrum、Stockholm、Swedenから購入する。血漿カリクレインに対する色原体
基質であるH−D−Pro−Phe−Arg−p−ニトロアニリドをKabi Vitrum、S
tockholm、Swedenから購入する。ヒトトロンビンに対する、またトリプシンに
対する基質であるN−ベンゾイル−Phe−Val−Arg−p−ニトロアニリドは、
本発明の化合物に関して先に記載した方法により、市販されている反応体から既
知のペプチド結合法を用いて合成するか、またはMidwest Biotech、Fishers
、Indianaから購入する。
ヒトプラスミンをBoehringer Mannheim、Indianapolis、Indianaから購入
し;nt−PAを一本鎖活性対照標準としてAmerican Diagnostica、Greenwich
、Connecticutから購入し;修飾t−PA6(mt−PA6)は、当業界で既知の方
法により、Eli Lilly and Companyで製造する[Burckら、J.Biol.Chem.
、265、5120−5177(1990)を参照]。プラスミン色原体基質で
あるH−D−Val−Leu−Lys−p−ニトロアニリドおよび組織プラスミノーゲ
ン活性化因子(t−PA)基質であるH−D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリ
ドをKabi Vitrum、Stockholm、Swedenから購入する。
上記色原体基質では、三文字記号であるIle、Glu、Gly、Pro、Arg、Phe
、Val、LeuおよびLysを使用して、各々、対応するアミノ酸基であるイソロイ
シン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、アルギニン、フェニルアラニン、バ
リン、ロイシンおよびリジンを示す。
以下の第1表は、式Iで表わされる、指示された化合物に関して得られたKas
s値を列挙している。
材料
イヌ血漿を、意識のある雑種の猟犬(どちらか一方の性別、Hazelton−LRE
、Kalamazoo、Michigan、U.S.A.)から静脈穿刺により3.8% クエン酸塩
中に採取する。フィブリノーゲンは、新鮮なイヌの血漿から調製し、またヒトフ
ィブリノーゲンは、先の方法および仕様書により、イン−デート(in−date)のA
CDヒト血液から画分I−2として調製する[Smith、Biochem.J.、185、
1−11(1980);およびSmithら、Biochemistry、11、2958−2
967(1972)]。ヒトフィブリノーゲン(純度 98%/プラスミンを含ま
ない)をAmerican Diagnostica、Greenwich、Connecticutから得る。フィブ
リノーゲンI−2調製物の放射能標識を先に報告したように行う[Smithら、B iochemistry
、11、2958−2967(1972)]。ウロキナーゼを22
00プローグ(Ploug)単位/バイアルとしてLeo Pharmaceuticals、Denmark
から購入する。ストレプトキナーゼをHoechst−Roussel Pharmaceuticals、
Somerville、New Jerseyから購入する。
方法−ヒト血漿血餅の溶解に対するt−PAの効果
0.0229μCiの125−ヨウ素で標識したフィブリノーゲンを含むヒト血
漿100μlに、トロンビン50μl(73NIH単位/ml)を加えることにより、
ヒト血漿血餅を微小試験管内で形成させる。その血餅に50μlのウロキナーゼ
またはストレプトキナーゼ(50、100、または1000単位/ml)を積層して
、室温で20時間インキュベートすることにより、血餅溶解を調べる。インキュ
ベーション後、その管をBeckman Microfugeで遠心分離する。γ計数するため
に、上清25μlを1.0ml体積の0.03Mトリス/0.15M NaCl緩衝液中
に加える。トロンビンを省く(また緩衝液を代用する)ことにより、計数対照の1
00%溶解を得る。その積層溶液中にトロンビン阻害剤を1、5、および10ug
/mlの濃度で含ませることにより、フィブリン溶解に対して起こり得る干渉に関
して該トロンビン阻害剤を評価する。データポイントからその特定濃度のフィブ
リン溶解物質に関して50%溶解を示す値までの直線外挿により、概算のIC50
値を見
積る。
抗凝固活性
材料
イヌ血漿およびラット血漿を、意識のある雑種の猟犬(どちらか一方の性別、
Hazelton−LRE、Kalamazoo、Michigan、U.S.A.)、または麻酔した雄の
Sprague−Dawleyラット(Harlan Sprague−Dawley,Inc.、Indiana、U.S
.A.)から、静脈穿刺により3.8% クエン酸塩中に採取する。フィブリノーゲ
ンは、先の方法および仕様書により、イン−デートのACDヒト血液から画分I
−2として調製する[Smith、Biochem.J.、185、1−11(1980);
およびSmithら、Biochemistry、11、2958−2967(1972)]。
ヒトフィブリノーゲンをまたAmerican Diagnostica、Greenwich、Connectic
utから純度 98%/プラスミンを含まないものとして購入する。凝固試薬であ
るACTIN、トロンボプラスチン、およびヒト血漿をBaxter Healthcare C
orp.、Dade Division、Miami、Floridaから得る。Parke−Davisから得る
ウシトロンビンを血漿中での凝固アッセイに使用する。
方法
抗凝固測定
凝固アッセイ方法は、先に記載した通りである[Smithら、Thrombosis Res earch
、50、163−174(1988)]。CoAScreener凝固装置(Ameri
can LABor,Inc.)を全ての凝固アッセイ測定に使用する。試験血漿0.05ml
に、食塩水0.05mlおよびトロンボプラスチン−C試薬0.05mlを加えること
により、プロトロンビン時間(PT)を測定する。試験血漿0.05mlをアクチン
試薬0.05mlと共に120秒間インキュベートした後、CaCl2(0.02M)0.
05mlを加えることにより、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測
定する。試験血漿0.05mlに、食塩水0.05mlおよびトロンビン(10NIH
単位/ml)0.05mlを加えることにより、トロンビン時間(TT)を測定する。式
Iの化合物を広範囲の濃度にわたりヒトまたは動物の血漿に加えて、APTT、
PT、およびTTアッセイに対する延長効果を測定する。直線外挿を行って、各
々のアッセイに関して凝固時間を二倍とするのに必要な濃度を見積る。
動物
雄のSprague−Dawleyラット(350−425gm、Harlan Sprague−Dawle
y,Inc.、Indianapolis、IN)をキシラジン(20mg/kg、s.c.)およびケタミ
ン(120mg/kg、s.c.)で麻酔して、温めたウォーターブランケット(37℃)上
で保持する。頸静脈にカニューレ挿入して、注入を可能とする。
動脈−静脈シャントモデル
左頸静脈および右頸動脈に長さ20cmのポリエチレン PE60管をカニュー
レ挿入する。管腔内に綿糸(5cm)を有する、より大きな管(PE190)の中央部
分6cmを、より長い部分の間に摩擦装着して、動脈−静脈シャント回路を完成す
る。そのシャントに血液を15分間循環させた後、糸を注意深く取り除いて、重
量を測定する。糸および血栓の合計重量から湿った糸の重量を減ずる[J.R.S
mith、Br.J.Pharmacol.、77、29(1982)を参照]。
動脈損傷のFeCl3モデル
頸動脈を正中腹側頸部切開により単離する。熱電対を各々の動脈下に配置して
、血管温度をストリップチャートで連続的に記録する。管のカフ(0.058ID
× 0.077OD × 4mm、Baxter・Med.Grade Silicone)を縦に切断し
、熱電対上の各々の頸動脈の周囲に直接巻き付ける。FeCl3六水和物を水に溶
解して、濃度(20%)を実際のFeCl3のみの重量に換算して示す。動脈を損傷
して、血栓症を誘発するために、2.85μlをカフ中にピペットで分注して、熱
電対プローブ上の動脈を濡らす。動脈閉塞は、温度の急速な下降により示される
。閉塞までの時間を分単位で報告して、FeCl3の適用と血管温度の急速な下降
との間の経過時間を示す[K.D.Kurz、Thromb.Res.、60、269(199
0)
]。
自発的血栓崩壊モデル
インビトロにおけるデータは、ペプチドトロンビン阻害剤がトロンビン、およ
びプラスミン並びに組織プラスミノーゲン活性化因子といったような他のセリン
プロテアーゼを阻害することを示唆した。該化合物がインビボにおいてフィブリ
ン溶解を阻害したかどうかを評価するために、標識した全血血餅を肺循環中に移
入することにより、自発的血栓崩壊の速度を測定する。ラット血液(1ml)をウシ
トロンビン(4IU、Parke Davis)および125I ヒトフィブロゲン(5μCi、
ICN)と迅速に混合し、直ちにシラスティック管中に吸引して、37℃で1時
間インキュベートする。経時した血栓を管から取り出し、1cmのセグメントに切
り分け、標準食塩水中で3回洗浄して、各々のセグメントをγカウンターで計数
する。既知の計数を有するセグメントをカテーテル中に吸引した後、これを頸静
脈中に移入する。そのカテーテルの先端を右心房付近まで進め、血餅を取り出し
て、肺循環中に浮遊させる。移入してから1時間後、心臓および肺を摘出して、
別々に計数する。血栓崩壊は、
の%として示される。移入した血餅のフィブリン崩壊性溶解は、時間に依存して
起こる[J.P.Clozel、Cardiovas.Pharmacol.、12、520(1988)
を参照]。
凝固パラメータ
血漿トロンビン時間(TT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APT
T)をフィブロメーターで測定する。血液を頸静脈カテーテルから採取して、ク
エン酸ナトリウム(3.8%、血液9部に対して1部)の入ったシリンジ中に集め
る。TTを測定するために、ラット血漿(0.1ml)を食塩水(0.1ml)およびウシ
トロンビン(0.1ml、トリス緩衝液中、30U/ml;Parke Davis)と37℃で
混合する。APTTの場合には、血漿(0.1ml)およびAPTT溶液(0.1ml、
Organon Teknika)を5分間(37℃)インキュベートし、CaCl2(0.01ml、
0.025M)を加えて、凝固を開始させる。アッセイを二回行って、平均する。
バイオアベイラビリティー指数
生物活性の尺度、血漿トロンビン時間(TT)は、TTの増加が親化合物による
トロンビン阻害のみから起こるという仮定の下に、親化合物のアッセイに代わる
物として役立つ。TTに対するトロンビン阻害剤の効果の時間経過を、麻酔した
ラットへのi.v.ボーラス投与後、また断食した意識のあるラットの経口処置後に
測定する。血液量の制限、および処置時間から反応が処置前の値に戻った時間ま
での時間経過を測定するために必要なポイントの数の制限のため、2つのラット
集団を使用する。各々の試料集団が交互連続的時間ポイントを示した。その時間
経過全体にわたる平均のTTを用いて、曲線下面積(AUC)を算出する。バイオ
アベイラビリティー指数を以下に示す式により算出して、相対活性(%)として示
す。
血漿TT時間経過の曲線下面積(AUC)を測定して、用量を調節する。このバ
イオアベイラビリティー指数は、「相対活性(%)」と呼ばれて、
として算出される。
化合物
化合物溶液を標準食塩水中で毎日新たに調製して、ボーラスとして注射するか
、または実験摂動15分前に開始して、動静脈シャントモデルでは15分間、ま
た動脈損傷のFeCl3モデルおよび自発的血栓症モデルでは60分である実験摂
動中ずっと続けて注入する。ボーラス注射量は、i.v.の場合には1ml/kg、また
p.o.の場合には5ml/kgであって、注入量は3ml/時間である。
統計
結果を平均 +/− SEMとして示す。分散の一元分析を用いて、統計的に有
意な差を見つけ出した後、ダンネット(Dunnet)試験を適用して、どの平均が異
なっているかを決定する。等しい平均値の帰無仮説の棄却に対する有意レベルは
、P<0.05である。
動物
雄のイヌ(ビーグル;18ヶ月−2年;12−13kg、Marshall Farms、No
rth Rose、New York 14516)を一晩断食させて、投薬してから240分
後にピューリナ(Purina)保証処方飼料(Purina Mills、St.Louis、Missour
i)を与える。水は自由に摂取させる。室温を66−74°F;相対湿度を45−
50%に保ち;また0600−1800時間点灯する。
薬物動態学モデル
0.9% 無菌食塩水に溶解して、5mg/mlの調製物とすることにより、試験化
合物を投与する直前に製剤化する。イヌに1回2mg/kg用量の試験化合物を経口
栄養により与える。投薬してから0.25、0.5、0.75、1、2、3、4お
よび6時間後に血液試料(4.5ml)を頭部静脈から採取する。試料をクエン酸入
りバキュテイナー(citrated Vacutainer)管中に集めて、氷上に置いた後、遠心
分離により血漿にする。血漿試料をジニトロフェニルヒドラジンで誘導体化して
、メタノール/リン酸でpH7に調節した500mM 酢酸ナトリウム(60:40
、
v/v)で溶出するHPLC(Zorbax SB−C8カラム)により分析する。試験
化合物の血漿濃度を記録して、薬物動態学パラメーター:排泄速度定数、Ke;
総クリアランス、Clt:分布容量、VD;最大血漿試験化合物濃度の時間、Tmax
;Tmaxでの試験化合物の最大濃度、Cmax;血漿半減期、t0.5;曲線下面積、A
.U.C.;および吸収された試験化合物の割合、Fを算出するのに使用する。
イヌの冠動脈血栓症モデル
イヌの外科手術上の準備および器具使用は、Jacksonら、Circulation、82
、930−940(1990)に記載されている通りである。雑種の猟犬(6−
7ヶ月齢、どちらか一方の性別、Hazelton−LRE、Kalamazoo、MI、U.S
.A.)をペントバルビタールナトリウム(静脈内に30mg/kg、i.v.)で麻酔し、
挿管して、室内の空気で換気する。換気量および呼吸速度を調節して、血液のP
O2、PCO2およびpHを正常限度内に保つ。皮下針電極を、リード(lead)II E
CGを記録するために挿入する。
左頸静脈および総頸動脈を左の中外側頸部切開によって単離する。動脈血圧(
ABP)を、頸動脈に挿入した、あらかじめ検定しておいたミラー(Millar)変換
器(モデル MPC−500、Millar Instruments、Houston、TX、U.S.A
.)で連続的に測定する。実験中に血液を採取するために、この頸静脈にカニュー
レ挿入する。さらに、試験化合物を投与するために、両後足の大腿静脈にカニュ
ーレ挿入する。
左胸部フィステル形成術を第五肋間隙で行って、心臓を心膜離被架に懸架する
。左回旋冠動脈(LCX)の1〜2cmのセグメントを、第一主要対角線の心室枝付
近で単離する。長さ3−4mmの26ゲージ針を先端とする針金の陽極電極(テフ
ロン(商標)で被覆された、30ゲージの銀メッキされた銅線)をLCXに挿入し
て、動脈の内膜表面に接触するよう配置する(実験が終了した時点で確認した)。
陰極を皮下(s.c.)部位に配置することにより、刺激回路を完成する。調節可能な
プラスチック製オクルダーを電極領域上のLCXの周囲に配置する。冠血流(C
BF)を測定するために、あらかじめ検定しておいた電磁流プローブ(Carolina
Medi
cal Electronics、King、NC、U.S.A.)を、陽極と隣接したLCXの周囲
に配置する。オクルダーを調節して、LCXの10秒の機械的閉塞後に観察され
る充血血流反応の40−50%の阻害を引き起こす。血流力学の、およびECG
の測定値を全て記録して、データ取得システム(モデル M3000、Modular
Instruments、Malvern、PA、U.S.A.)で分析する。
血栓の形成および化合物の投与レジメ
陽極に100μAの直流(DC)を流すことにより、LCXの内膜に電解損傷を
引き起こす。その電流を60分間保った後、血管が閉塞しているか否かに拘らず
停止する。血栓形成は、LCXが完全に閉塞されるまで自発的に進行する(0の
CBF、およびS−Tセグメントの増加により判断した)。閉塞している血栓を
1時間経時させた後、化合物の投与を開始する。本発明の化合物の0.5および
1mg/kg/時間の用量での2時間の注入を、血栓崩壊剤(例えば、組織プラスミ
ノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、APSAC)の注入と同時に開始す
る。試験化合物の投与後3時間、再灌流が続いて起こる。血栓崩壊が成功した後
の冠動脈の再閉塞は、≧30分間持続した0のCBFとして定義する。
血液学およびテンプレート出血時間の測定
全血球数、ヘモグロビン、およびヘマトクリット値を、クエン酸入り(3.8%
)血液(クエン酸塩1部:血液9部)試料40μlに関して血液学アナライザー(Ce
ll−Dyn 900、Sequoia−Turner、Mount View、CA、U.S.A.)で測定
する。歯肉テンプレート出血時間をシンプレート(Simplate)II出血時間装置(O
rganon Teknika Durham、N.C.、U.S.A.)で測定する。その装置を使用し
て、イヌの左の下顎または上顎どちらかの歯肉を2ケ所水平に切開する。切開は
各々、幅3mm × 深さ2mmである。切開を行なって、ストップウォッチを使用し
て、どれだけの時間出血が起こるかを測定する。綿棒を使用して、切開部から滲
み出る血液を吸い取る。テンプレート出血時間とは、切開から出血停止までの時
間である。出血時間は、被験化合物を投与する直前(0分)、注入に入って60分
、試験
化合物の投与が終了した時点(120分)、および実験が終点した時点で測定する
。
データは全て、分散の一元分析(ANOVA)により分析した後、Student−N
euman−Kuels post hoc t検定により分析して、有意レベルを測定する。反復
測定 ANOVAを使用して、実験中の時間ポイント間の有意差を測定する。値
は、少なくともp<0.05のレベルで統計上異なると判断する。値は全て、平
均 ± SEMである。研究は全て、米国生理学会の指針に従って行う。その方法
に関するさらなる詳細は、Jacksonら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、21、5
87−599(1993)に記載されている。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年7月10日
【補正内容】
請求の範囲
1.式I:
{式中、
Xはプロリニル、ホモプロリニル、
であり;
TはC3−C8シクロアルキル、C1−C8アルキル、
であり;
aは0または1であり;
Qは−OH、C1−C4アルコキシ、または−NH−Aであり;
AはC1−C4アルキル、R"SO2−、R"OC(O)−、R"C(O)−、HOOC
SO2−、HOOCC(O)−、または−(CH2)g−COOHであり;
gは1、2、または3であり;
Bは水素またはC1−C4アルキルであり;
R'は水素またはC1−C4アルキルであり;
R"はC1−C4アルキル、C1−C4ペルフルオロアルキル、−(CH2)d−CO
OH、または非置換もしくは置換アリール[ここで、アリールはフェニル、ナフ
チル、(硫黄、酸素および窒素から選択される、1個のヘテロ原子、あるいは同
じか、もしくは異なる2個のヘテロ原子を有する)5員もしくは6員の非置換も
しくは置換の芳香族複素環、または(硫黄、酸素および窒素から選択される、1
個のヘテロ原子、あるいは同じか、もしくは異なる2個のヘテロ原子を有する)
9員もしくは10員の非置換もしくは置換の縮合二環式の芳香族複素環式基であ
る]であり;
dは1、2、または3であり;
mは0、1、または2であり;
nは0、1、または2であり;
Yは
RはC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、または−(CH2)p−L−(
CH2)q−T'[ここで、pは0、1、2、3、または4であり、Lは単結合、−
O−、−S−、または−NH−であり、qは0、1、2、または3であり、およ
びT'は水素、C1−C4アルキル、C3−C8シクロアルキル、−COOH、−C
ONH2、またはAr(ここで、ArはR"に関して先に定義したような非置換もし
くは置換アリールである)である]であり;
Ryは−CH2−、−O−、−S−、または−NH−であり;
Rzは単結合、またはRyおよび3個の隣接する炭素原子と一緒になって、5−
8個の原子(このうち1個の原子は−O−、−S−、または−NH−であり得る)
からなる飽和炭素環を形成し;そして
Zは水素、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、また
はRaSO2NH−[ここで、RaはC1−C4アルキルである]である;
ただし、pおよびqが各々0であって、Lが単結合である場合、T'は水素で
はない}
を有する化合物もしくは薬学上許容され得るそれらの塩;または薬学上許容され
得る該化合物もしくはそれらの塩の溶媒和物。
2. アルキルが、それ自体で、または他の置換基の一部として、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルまたはs
ec−ブチルであり;
ペルフルオロアルキルが、それ自体で、または他の置換基の一部として、トリ
フルオロメチル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロ−n−プロピル、ペルフル
オロイソプロピル、ペルフルオロ−n−ブチル、ペルフルオロ−t−ブチル、ペル
フルオロイソブチルまたはペルフルオロ−sec−ブチルであり;
C3−C8シクロアルキルが、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルまたはシ
クロオクチルであり;
ハロが、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードであり;
5員または6員の複素環が、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、オキ
サゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラニル、ピリジ
ニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニルまたはチアジニルであり;
9員または10員の複素環が、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、
ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、キノリニル
、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリルまたはベンゾチアゾリルであり;
またさらに、R"またはArの定義に関して列挙したアリール基が全て独立して
、置換されていないか、またはハロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、C1−C4
ア
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年8月24日
【補正内容】
8個の原子(このうち1個の原子は−O−、−S−、または−NH−であり得る)
からなる飽和炭素環を形成し;そして
Zは水素、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、また
はRaSO2NH−[ここで、RaはC1−C4アルキルである]である;
ただし、pおよびqが各々0であって、Lが単結合である場合、T'は水素で
はない}
を有するトロンビン阻害化合物もしくは薬学上許容され得るそれらの塩;または
薬学上許容され得る該化合物もしくはそれらの塩の溶媒和物を提供する。
式Iの化合物に加えて、本発明は、式Iの化合物を、薬学上許容され得る担体
、希釈剤または賦形剤と共に含んでなる医薬品製剤を提供する。
本発明はまた、哺乳動物における血栓形成を防止する方法であって、処置を必
要とする哺乳動物に式Iの化合物の抗血栓用量を投与することからなる方法も提
供する。
本発明はさらに、トロンビンを阻害する方法であって、処置を必要とする哺乳
動物に式Iの化合物のトロンビン阻害用量を投与することからなる方法を提供す
る。
本発明は、トロンビンの新規阻害剤、活性成分として該化合物を含む医薬組成
物、および静脈血栓症、肺塞栓症、動脈血栓症、特に心筋虚血、心筋梗塞並びに
脳血栓症、例えば、血管形成術並びに冠動脈バイパス手術、また炎症過程に関す
る全身性組織傷害の後に起こるような全身凝固亢進状態並びに局所凝固亢進状態
といったような、血栓塞栓疾患の予防および治療のための抗凝固剤としての該化
合物の使用に関する。
「アルキル」という用語は、それ自体で、または他の置換基の一部として、指
定された数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、例えば、メ
チル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t−ブチル、イソブチル
およびsec−ブチルを意味する。「ペルフルオロアルキル」という用語は、それ
自体で、または他の置換基の一部として、各々の水素原子がフッ素原子で置換さ
れている、指定された数の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 209/42 9159−4C C07D 401/06 207
401/06 207 9159−4C 209
209 9159−4C 401/14 207
401/14 207 9271−4C 487/04
487/04 9271−4C 491/044
491/044 9356−4H C07K 5/097
C07K 5/097 9051−4C A61K 37/02 ACB
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA,
UZ,VN
(72)発明者 スミス,ジェラルド・フロイド
アメリカ合衆国46217インディアナ州 イ
ンディアナポリス、クィーンズウッド・コ
ート 825番
(72)発明者 ワイリー,マイケル・ロバート
アメリカ合衆国46268インディアナ州 イ
ンディアナポリス、ラングウッド・ドライ
ブ 7725番