【発明の詳細な説明】
オリザノールを得る方法
本発明は、粗米ぬか油のようなオリザノールを含む粗油から又はオリザノール
を含む粗油の精製工程で得られた廃棄物質からのオリザノールの回収のための方
法に関する。更に、本発明は、消費者が使用する製品に適用可能なオリザノール
濃縮物を得る方法に関する。
現在、粗油からのオリザノールの直接の回収のための経済的に実行可能な方法
は知られていない。欧州特許出願第503,650号には、γ−オリザノールを
加水分解することによるフェルラ酸の製造方法が記載されている。この開示の後
も、廃棄物質からのγ−オリザノールの直接の抽出は、高い製造コストのために
、経済的に実行可能ではない。
独国特許書類第1,301,002号には、水酸化アルカリ(0.5規定未満
)での抽出と、その後のそのようにして得られた抽出物の有機カルボン酸での中
和(pH6超)による、米ぬか脂肪酸蒸留残渣からのオリザノールの回収のため
の方法が記載されている。この方法で得られる収量は、存在するオリザノールの
総量の約22%以下である。
独国特許書類第1,196,321号には、有機溶剤中での水酸化アルカリの
使用と特定のアルコールの使用とが、存在するオリザノールの約36.5%の収
量をもたらすと記載されている。
食品の科学と技術誌(The Journa1 of Food Scien
ce and Technology)、23巻、9月/10月、1986年、
270−273貞で、G.S.SeetharamaiahとJ.V.Prab
hakarは、石鹸貯蔵(ストック)材料からオリザノールを得る方法を報告し
ている。この方法の主たる欠点は、溶剤の使用、(高価な)カラム・クロマトグ
ラフィの使用、濃縮物の最終オリザノール含有量の低さ、及び58%という比較
的低い収量が得られることである。
近年、オリザノールには、脂肪を基本とする食品製品及び化粧品での用途にお
けるその薬学的使用の可能性のために、かなりの関心がある。従って、純粋なオ
リザノール又はオリザノールが豊富な濃縮物を得るためのより経済的な方法に対
する、高い要望が存在する。
現在、米ぬか油のようなオリザノールを含む粗油から、非常に経済的な方法で
且つ高収量で、オリザノール濃縮物が得られることができ、加えて、得られるオ
リザノールを望まれない成分を実質的に含まないようにさせる方法が、見出され
ている。
本発明は、
A 方法工程A1及びA2の少なくとも一つ;
A1 存在するリン脂質の除去、及び
A2 好ましくはストリッピングの使用による、遊離脂肪酸の除去
B 得られた生成物のアルカリ中和;
C 得られた油相の分離及び除去
の工程により、好ましくは粗油であるオリザノール含有脂肪物質からオリザノー
ル濃縮物を得る方法に関する
工程Aは、工程Bの前に又は工程Cの後に行われ得る。工程Cは、工程Bの後
に行われることになっている。仮に工程A1とA2の両者が行われるならば、工
程A1は、遊離脂肪酸の除去(工程A2)の前又はその間に行われるのが好まし
い。
現在見出されている方法は、出発物質中に存在するオリザノールの60%超、
特には75%超で、90%超まで、及びそれよりも多くを含む濃縮物を得ること
を可能にする。
出発物質は、粗油、又は、粗油の精製の結果もたらされる酸油であることがで
きる。
出発物質は、好ましくは、米ぬか油、トウモロコシ麩油又はそれらの混合物の
ような、オリザノールを含む粗油である。本発明の方法は又、請求項に示された
すべての工程(但し、異なる場所で行われる)を包含する方法で、オリザノール
を得ることを含む。例えば、本発明の方法は、粗油の遊離脂肪酸の除去、任意の
、得られた中間体生成物の貯蔵及び輸送、及びその後の更なる工程の実施をも
包含する。
この明細書では、オリザノールは、すべてのタイプのステリル桂皮酸誘導体を
示すために使用される。オリザノールは、米ぬか及びトウモロコシの麩のような
、植物材料から得られる幾つかの油中に存在する。
米ぬか油中に見出されるオリザノール又はγ−オリザノールは、少なくとも一
つ以上のフィトステロール類(4−デスメチルステロール類、4−モノメチルス
テロール及び4,4'−ジメチルステロール類、及びそれらのスタノール等価物
)の、フェルラ酸エステルの混合物を含むと報告されている。
本発明の方法を用いて得られるオリザノール又はステリル桂皮酸誘導体中の成
分は、例えば、カンペステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、
シクロアルタノール、シクロアルテノール、24−メチレンシクロアルタノール
及びシクロブラノールのようなフィトステロール類等のフエルラ酸エステルを含
む。それは、更に、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルエタノー
ル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、4−
ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、トランス−p−クマル酸、3,4,5−ト
リヒドロキシ安息香酸及び3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸のような
単一フェノール性化合物の、スタノール及びステロールエステル類を含む。
米ぬか油は、オリザノールが比較的に豊富であることが知られている油であり
、オリザノールの量は、出願人は、米ぬか油中における1.5%超の量でのオリ
ザノールの存在を支持するデータは見たことがないけれども、1〜2.9%であ
ると報告されている。トウモロコシ麩油は、約0.7%までのオリザノール(又
はステリル桂皮酸誘導体)量を有すると報告されている。
濃縮物は、様々な着色成分を含む。子想される最終用途によっては、例えば、
食品製品中における濃縮物のそのままの使用では、これらの成分の一種以上を除
去することか望まれ得る。仮に、茶色の着色剤の除去が子想されるならば、アル
カリ中和工程の前にリン脂質が除去されることが必要とされる。その場合、工程
Aは、従って、少なくとも存在するリン脂質の除去(工程A1)を包含するであ
ろう。今日までに、前記の茶色の着色剤の化学構造は、同定されたとは報告され
ていない。当該技術分野でそれ自体公知の漂白工程により、茶色の着色剤それ自
体が除去され得る。
従って、特定の態様は、
A1 存在するリン脂質の除去;
A2 任意に、好ましくはストリッピングの使用による、遊離脂肪酸の除去;
B 得られた生成物のアルカリ中和;
C 得られた油相の分離及び除去;
D 工程Bの前又は工程Cの後の得られた生成物の漂白
の工程により、好ましくは粗米ぬか油であるオリザノール含有脂肪物質から、オ
リザノール濃縮物を得るための方法に関係する。
漂白工程(D)は、アルカリ中和の前に、即ち工程Bの前に、あるいは得られ
た油相の除去の後に、即ち工程Cの後に、行われ得る。工程D、A1、及び仮に行
われるならば工程A2、を実施する順序に、必要条件はない。但し、仮に工程A
2が行われるならば、工程A1は、工程A2の前又はその間に行われることとな
っている。しかしながら、A1、B及びCの順序で本発明の方法の工程を行うの
が好ましい。仮に、工程A2も行われるならば、これは、好ましくは、工程Dの
後で且つ工程Bの前に、あるいは工程Cの後に、行われる。この工程A2に関し
、好ましいのは、それを工程Bの前に行うことである。
この態様の好ましい方法においては、遊離脂肪酸は除去される。アルカリ中和
工程の前に、漂白し且つ遊離脂肪酸を除去するのは、これが、得られる最終生成
物をより高い純度にさせるので、好ましい。
本発明の他の態様では、
A1 任意に、存在するリン脂質の除去;
A2 好ましくはストリッピングの使用による、遊離脂肪酸の除去;
B 得られた生成物のアルカリ中和;
C 得られた油相の分離及び除去;
D 任意に、工程Bの前又は工程Cの後の得られた生成物の漂白
の工程により、好ましくは粗米ぬか油であるオリザノール含有脂肪物質から、オ
リザノール濃縮物を得るための方法が行われる。
本発明のこの特定の態様では、リン脂質の除去工程も行われるのが好ましい。
非常に純粋で白いオリザノール結晶が、35ppm未満の量までのリン脂質の除
去、漂白及び遊離脂肪酸の除去によって得られ得る。これらの工程を行う順序は
、殆ど関係が無く、この発明の他の態様のために示された条件も、これに適用す
る。仮に上記の順序(それにより、工程Dは、好ましくは、工程A1とA2との
間、又は工程A2の後に行われる)で行われるならば、最もよい結果及び最も高
い純度が得られることが、見出された。
その最も好ましい態様では、非常に純粋で高度に濃縮されたオリザノールが、
非常に高い収量で得られる方法が、適用される。これは、ここに挙げられた順序
での、
A1 好ましくは超脱ガム(スーパー・デガミング)方法を用いることによ
る、存在するリン脂質の除去、それに続く;
D 得られた生成物の漂白及び
A2 好ましくはストリッピングによる、遊離脂肪酸の除去;
B 水酸化アルカリを用いる得られた生成物のアルカリ中和、及びその後の
C 得られた油相の分離及び除去
による、粗油の処理によって得られ得る。これは、二つ以上の工程を同時に行う
ことを包含する。
脂肪物質として米ぬか油を用いることが、非常に好ましい。この方法により、
粗米ぬか油中に存在するオリザノールの90%超が、回収され得る。
これまでに見出された方法は、出発物質としてのオリザノールを含む粗米ぬか
油の使用に、特に適合する。しかしながら、特定の状況の下では、例えば、ある
生成物が、最も入手し易い又は最も経済的な生成物であるといったケースにおい
ては、主クレームの方法では中間体生成物である生成物を用いて始めることが、
望ましいかもしれない。これらの生成物もまた、本発明に包含される。
本発明の方法の流れ(ストリーム)から除去される油相は、必要に応じて処理
され得、且つ、考えられる適合性に従って使用され得る。消費者による脱酸(又
は精製)油としての使用を含む、多くの用途が可能である。
アルカリ中和工程は、それ自体酸性の性質のものである、オリザノールの中和
を包含する。そのような中和に相応しい媒体は、NaOH、KOH、LiOH、
Na2CO3、K2CO3、NaHCO3等の群から選択され得、好ましいのは、N
aOHとKOHである。
好ましくは高温で、水酸化アルカリ又はアンモニアのような、それに相応しい
媒体で生成物を中和することにより、脱酸(又は精製)油生成物と、第二の流れ
としての、オリザノールの実質的な部分を含むアルカリ性の水相(pH9超)が
得られる。水酸化ナトリウムが、0.4〜6規定の範囲内、好ましくは1〜6規
定の範囲内、更に好ましくは3〜5規定の範囲内の濃度で、水酸化アルカリとし
て使用するのに、特に望ましい。
リン脂質の除去は、その技術分野で公知のそれに相応しい方法により、行われ
得る。特に、酸脱ガム処理は、周知の適切な方法である。好ましくは、例えば米
国特許第4,049,686号に記載されているような超脱ガム方法が、適用さ
れる。好ましい一態様においては、粗油は、これらの方法のいずれかにより、結
果として得られる生成物のリン(P)含有量が、35ppm(百万あたりの部)
未満であるような方法で処理される。
遊離脂肪酸の除去は、その分野で公知のいずれかの方法によって行われ得る。
適切な方法の例は、ストリッピング又は脱臭、ソーダ灰中和、及びアンモニア中
和又はオリザノールよりも遊離脂肪酸を選択的に中和する他のいずれかの塩基に
よる中和である。普通は、これらは、弱塩基である。遊離脂肪酸を、油のストリ
ッピングによって除去するのが好ましい。この方法は、生成物中に存在する遊離
脂肪酸の実質的にすべてを除去するのに、特に適切である。仮に、生成物が蒸気
処理され、遊離脂肪酸の量か0.1%未満まで低減されると、オリザノールの獲
得のための最もよい結果か見出され得る。特定の態様においては、特に、重質成
分が除去されることになっている場合には、充填カラム・ストリッピングが有利
であることが見出された。
実質的にリン脂質を含まない油の漂白は、好ましくは、炭素及び/又は漂白用
土の使用によって行われ、その適切な量は、0.1〜3重量%の範囲内であり、
漂白用土については、1〜1.5重量%が好ましい。その重量は、漂白される生
成物に基づく。漂白方法は、80〜100℃Cの範囲内の温度で、適切に行われ
る。
好ましい態様においては、上記の態様のいずれかから得られるオリザノール濃
縮生成物は、その後、
F pH5未満、好ましくはpH2未満までの、酸の添加による水相と油相へ
の分離と、その後の、水及び使用した酸の塩のような非脂肪物質の油相か
らの除去
の工程により、処理される。
この酸性化により、オリザノールは油相に溶解される。水相の除去は、オリザ
ノールのより高い濃度と望ましくない成分の除去とをもたらし、特に、実質的に
グリセリド類、遊離脂肪酸及びオリザノールからなる純粋な濃縮物をもたらす。
替わりの且つ適切な方法では、油相及び水相は、適切な酸を、pH5末満まで
、好ましくはpH3未満まで、より好ましくはpH2未満まで添加した後、油相
を70〜150℃の温度に、好ましくは115〜130℃まで、更に好ましくは
約120℃に加熱することにより、分離される。酸性化のために、それに適切な
酸は、好ましくは、一塩基酸については4未満のpH又はそれと等価のpKaを
有する。適切な酸の例は、クエン酸、硫酸、リン酸、塩酸、又は他の酸、又はこ
れらの酸のいずれかの混台物である。酸性化の際に、時に、オリザノールと油を
含む白色の乳化物が形成される。この場合、前記乳化物は、油を添加することに
より、あるいは適切な酸を、pH5未満まで、好ましくはpH2未満まで添加し
た後、乳化物を100℃超まで、好ましくは115〜130℃まで、更に好まし
くは約120℃に加熱することにより、壊され得る。その後、水相は、分離され
得且つ除去され得、その結果、オリザノールと油を含む相が得られる。分離は、
上記のように、例えば、油の添加により、あるいは生成物の加熱により、行われ
得る。水、水酸化アルカリ及び酸又はその生成物を含む油ではない相は、その方
法流れから除去される。残りのオリザノール及び油相は、その後、純粋なオリザ
ノールを得るために更に処理され得るか、あるいは、そのまま使用され得る。
結果として得られる生成物は、オリザノール濃縮物であり、そのオリザノール
濃度は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、さらに好ましくは少
なくとも20%である。更に好ましい態様では、少なくとも33%、更に好まし
くは少なくとも40%もの濃度を有する濃縮物が得られる。
工程Fの後に得られたオリザノールの濃縮物は、それから純粋なオリザノール
を結晶化するために使用され得る。仮に、結晶化することが子想されるならば、
工程Aは、少なくとも遊離脂肪酸の除去(工程A2)を含むことが必要とされる
。それからオリザノールを結晶化するためには、濃縮物は、2%超のオリサノー
ルを含むことが必要とされる。勿論、仮に、濃度がより高いならば、例えば、少
なくとも10%、少なくとも20%ならば(少なくとも33%の濃度が、更によ
り好ましい)、結晶化のためのより経済的な方法が得られる。濃縮物は、好まし
くは、少なくとも40%のオリザノール量を有している。
予想される最終用途に応じ、工程Fの後に得られた濃縮物をそのまま使用する
こと、あるいは、その濃縮物をいずれかの油又は他のタイプの希釈剤で更に希釈
することが、望まれ得る。濃縮物は、それから純粋なオリザノール結晶を結晶化
するためにも使用され得る。
濃縮物そのままの用途は、例えば、食品製品中、化粧品中、あるいは化学工業
中にあり得る。
そのように得られた濃縮物のいずれかの更なる処理は、予想される用途に応じ
て行われ得る。オリザノール含有量が高い、実質的に無色の濃縮物を得るために
、得られた脂肪性オリザノールを含む濃縮物は、もう一度漂白され得る。即ち、
一回は、中和工程の前であり、且つ、一回は、油相の分離及び除去の後である。
好ましくは、第二の漂白工程は、濃縮物の酸性化の後に、即ち工程Fの後に、行
われる。
また、非常に好ましくは脱臭方法である、第二の遊離脂肪酸の除去処理が、行
われ得る。
行われた方法の態様に応じて、遊離脂肪酸、リン脂質及び/又は着色剤も存在
し得る。しかしながら、その最も好ましい態様においては、これらの成分は、非
常に少量で存在するか、あるいはまったく存在しない。これは、特に、上に工程
A1、D、A2、B、C及びFとして示された工程による粗米ぬか油の処理によ
り、得られることができる。この態様では、得られるオリザノールの収量は、非
常に高く、90%超、好ましくは95%超であることができ、且つ、純度と濃度
は、それぞれ、25%を超える又は33%ものレベルと、99%のレベルである
ことができる。
任意に、得られた濃縮物は、所望のオリザノール量を得るために、ある種の粗
又は脱酸(又は精製)油と混合される。これは、工程Cの下に示したように、油
相を除去した後に行われるべきである。好ましくは、油が、この除去工程の後で
且つ第二の漂白及び/又は脱臭処理(仮にこれらの処理が行われるならば)の前
に、添加される。これは、化粧品及び食品製品(例えば、スプレッドのような脂
肪を基本とする食品製品のような)のような、消費者用の製品中での使用に、特
に適切である。所望により、油が、いずれかの量で添加され得る。適切な量は、
1:1〜1:20の範囲内、好ましくは20:1〜1:20も範囲内であろう。
濃縮物からのオリザノールの結晶化は、濃縮物をそのまま又は溶剤に溶解され
た濃縮物を、冷却することによって得られ得る。濃縮物の成分に応じて、他の方
法も適用可能であるかもしれない。黄色がかった又は白色のオリザノール結晶が
、除去され得且つ使用され得る。そして、2%末満のオリザノール濃度を有する
オリザノール濃縮物が残される。この方法の結果として得られるオリザノール結
晶が、非常に高い純度のものであり得ることが見出された。さらには、高価で且
つ長い加工を行うことなく、99%超の純度レベルが見られた。
得られた生成物は、好ましくは更に処理され、好ましくは、その処理は、それ
ぞれ粗油及び漂白された油の漂白及び脱臭処理において使用された条件と類似の
条件下に漂白剤を用いて行われたストリッピングのような、漂白及び脱臭処理で
ある。
従って、そのまま使用され得る、あるいは、それからオリザノールが結晶化さ
れ得る、オリザノール濃縮物が得られる。
従って、純粋なオリザノールを高収量で得るための非常に好ましい方法では、
粗米ぬか油が、米国特許第4,049,686号に記載されたような、周知の超
脱ガム方法によって処理され、その後、0.5〜2%の漂白用土を用いる漂白方
法で処理され、その生成物を、当業者自身に周知の方法で脱臭し/ストリッピン
グし、得られた油を、反応器中で高温(好ましくは60〜100℃(生成物温度
)の範囲内、その方法のためには、特に約90℃か望ましい温度である)で脱酸
性化する。4規定NaOH溶液を用い、且つ、反応器中において30〜90分
間(他の時間も適用され得る)攪拌することによる脱酸性化方法は、良好な結果
を提供する。この好ましい方法では、得られる生成物は、精製された米ぬか油(
その洗浄及び乾燥の後には、オリザノールを殆ど含まない)と、粗出発物質油に
含まれていたオリザノールの80%超、そして最適な方法条件を選択することに
より90%を超えて含有することができる水相とに分割される。米ぬか油は、そ
のまま販売され得、あるいは、更なる加工のために使用され得る。例えば、米ぬ
か油は、食品の調製において使用され得る。
水とアルカリ液との混合物は、その後、クエン酸及び/又はリン酸のような酸
で処理され、且つ、任意に、ある種の油が添加され得もする。最終用途に応じ、
いずれの油も使用され得る。例えば、食品中での使用のためには、時には、ヒマ
ワリ油あるいは脱酸(精製)又は粗米ぬか油を使用することが望まれる。好まし
くは60〜90℃の範囲内で選択された温度における分割及び分離は、オリザノ
ールを含む油相からの、水相の流れの除去を可能にする。好ましくは、濃縮物は
、脱ガム処理されたヒマワリ油と混合され、且つ、漂白及び脱臭される。その結
果、油と0.5〜40%のオリザノールを含む、スプレッドでの使用のためのオ
リザノールが豊富な油ブレンドが得られる。任意に、オリザノール濃縮物は、結
晶化及び分離の後に純粋なオリザノールを得るために、そのまま使用される。
本発明は、次の実施例により、更に説明される。
実施例I
粗米ぬか油が、それからオリザノールを得るために使用される。使用された米
ぬか油は、1.6%のオリザノール、3.0%の遊離脂肪酸(FFA)、250
ppmのリン、及びモノ−、ジ−及びトリアシルグリセリドからなっていた。
米国特許第4,049,686号に記載されたようにして、超脱ガム処理によ
り、リン脂質が除去される。次に、1.5%の漂白用土を用い、油が漂白される
。その後、0.1%のレベルとなるまで遊離脂肪酸を除去するために、その油が
ストリップ処理される。三工程すべては、当業者に周知の方法によって行われる
。
得られた生成物は、1.6%のオリザノール、0.1%の遊離脂肪酸、2pp
m未満のリン光体、及び残部のグリセリド類からなっている。その後、この
生成物1000gが、螺旋状攪拌機を有する密閉容器中で90℃まで加熱され、
迅速に攪拌された。その後、19.6mlの水が添加され、やはり迅速に5分間
攪拌された。その後、19.6mlの4.0規定NaOH溶液が添加され、30
分間攪拌された。NaOHの過剰分は、モル基準で200%であった。10%の
水が添加され、5分間のゆっくりとした攪拌の後、30分間静置された。水相と
脂肪相の分離が生じた。脂肪相は、10%の水で2回洗浄され、その洗液は、初
めの水相と一緒にされた。
オリザノール又はオリザノール塩を含むそのように得られた水相は、タービン
攪拌機を有するじゃま板付き反応器中で、90℃まで加熱された。その後、27
mlの7.2mol/lのリン酸溶液が、その混合物を酸性にするために使用さ
れ、その結果、水相中で2未満のpHが得られる。10分間の迅速な攪拌の後、
その混合物は、1時間を超えて放置された。水相と脂肪相の分離が生じた。36
.5gの脂肪相が得られ、それは、分析したところ、40%のオリザノール、グ
リセリド類、及びいくらかの遊離脂肪酸からなっていた。オリザノールの91.
2%が回収された。
実施例II
29.4kgの粗米ぬか油を用い、実施例Iが繰り返された。このとき、44
.8%のオリザノールを含むオリザノール濃縮物826.4gが得られた。
実施例IIA
400.0gのこの濃縮物が、5.5kgの脱ガム処理されたヒマワリ油と混
合され、オリザノールが3%の油ブレンドが得られた。このブレンドが、攪拌機
付きの密閉容器中で、90℃にて、10%の水で2回洗浄された。その後、この
油ブレンドが、引き続き、1.0%の漂白土を用いて漂白され且つ230℃にて
脱臭された。このブレンドは、製品中にオリザノールを2%含むマーガリンを調
製するために使用された。
実施例IIB
400.0gのこの濃縮物が、密閉容器中で120℃まで加熱され、10%の
水で2回洗浄された。その後、その濃縮物が、セイツ(Seitz)−K100
濾紙を用いて濾過された。その後、油が、100ミリバールの減圧下に乾燥され
た。そのようにして得られた、洗浄され且つ乾燥されたオリザノール濃縮物が、
ゆっくりとした攪拌下に、一分間あたり1℃の速度で、70℃まで冷却された。
生成物が、セイツ(Seitz)−K100濾紙を用いて濾過された。そのよう
にして得られた濾過ケーキは、79.6%の純度を有する、黄色がかった白色の
オリザノール結晶からなっていた。
実施例III
IIIA−処理
物理的に精製された米ぬか油(RBO)が、90℃まで加熱された。その米ぬ
か油(RBO)は、1.65%のオリザノールを含んでいた。そのRBOは、五
つの部分に分けられた。その量は、表中に示されている。これらは、実施例Iに
示されたものと類似の方法で処理された。その量及び加工条件は、表III中に
挙げられたとおりであった。
これらから得られた生成物は、分析され、且つ分析生成物A1、B1、C1、
D1及びE1として挙げられている。これらの生成物(生成物A1を除く)は、
次の表に挙げられた方法及び条件で、更に処理された。
実施例IV
粗米ぬか油が、それからオリザノールを得るために使用される。使用された米
ぬか油は、1.7%のオリザノール、1.7%の遊離脂肪酸(FFA)、315
ppmのリン、及びモノ−、ジ−及びトリアシルグリセリドからなっていた。
米国特許第4,049,686号に記載されたようにして、超脱ガム処理によ
り、リン脂質が除去される。次に、遊離脂肪酸及びオリザノール含有量に基づい
て計算して150%過剰量の7規定Na2CO3溶液を用いて、油の遊離脂肪酸が
、ソーダ灰中和により除去される。両工程は、当業者に周知の方法によって行わ
れる。
得られた生成物は、1.6%のオリザノール、0.2%の遊離脂肪酸、2pp
m未満のリン光体、及び残部のグリセリド類からなっている。その後、この生成
物1000gが、実施例Iに記載されたものと類似の方法で、それからオリザノ
ールを回収するために使用された。このとき、35.0%のオリザノールを含む
オリザノール濃縮物25.9gが得られた。
実施例V
ソーダ灰で中和され、漂白され且つ脱臭された米ぬか油が、それからオリザノ
ールを得るために使用される。その米ぬか油は、1.2%のオリザノール、0.
1%未満の遊離脂肪酸、及びグリセリド類からなっている。その後、191.7
kgのこの生成物が、実施例Iに記載されたものと類似の方法で、それからオリ
ザノールを回収するために使用された。このとき、34.0%のオリザノールを
含むオリザノール濃縮物3.9kgが得られた。
実施例に示されたオリザノールの濃度及び重量は、その分野で周知のUV分光
分析法によるオリザノールの分析に基づく。
【手続補正書】
【提出日】1999年6月2日(1999.6.2)
【補正内容】
1. 明細書第9頁9行「1:1〜1:20の範囲内、好ましくは20:1〜1
:20も範囲内であろう。」を、「20:1〜1:20の範囲内、好ましくは1
:1〜1:20の範囲内であろう。」に訂正する。
2. 同第10頁最下行及び第14頁下から11行「リン光体」を、「リン」に
訂正する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),UA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ホフマン、コルネリス
オランダ国、3133・エイティー・ヴラーデ
ィンゲン、オリヴィエ・ヴァン・ノートラ
ーン 120、ユニリーバー・リサーチ・ヴ
ラーディンゲン・ラボラトリー(番地な
し)
(72)発明者 ツヴァネンバーグ、アレンド
オランダ国、3133・エイティー・ヴラーデ
ィンゲン、オリヴィエ・ヴァン・ノートラ
ーン 120、ユニリーバー・リサーチ・ヴ
ラーディンゲン・ラボラトリー(番地な
し)