JP2001131199A - 植物ステロールの製法 - Google Patents

植物ステロールの製法

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JP2001131199A
JP2001131199A JP31362099A JP31362099A JP2001131199A JP 2001131199 A JP2001131199 A JP 2001131199A JP 31362099 A JP31362099 A JP 31362099A JP 31362099 A JP31362099 A JP 31362099A JP 2001131199 A JP2001131199 A JP 2001131199A
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acid ester
crude fatty
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Yasuyuki Hattori
泰幸 服部
Jun Kono
潤 河野
Masamitsu Horio
政光 堀尾
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物油脂由来の粗脂肪酸エステルから簡便な
処理で純度の高い植物ステロールを高収率で製造する方
法の提供。 【解決手段】 植物ステロールを含む植物油脂由来の粗
脂肪酸エステルと、有機溶媒と水の混合溶媒とを接触さ
せて植物ステロールを結晶化させ、植物ステロールを分
離する植物ステロールの製法、及び更に、粗脂肪酸エス
テルと低級アルコールとの混合物を1〜40℃に保持し、
脂肪酸エステルを含有する結晶を析出させる工程を含む
植物ステロールの製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物油脂由来の粗
脂肪酸エステルからの植物ステロールの製法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】植物ス
テロールは、血中コレステロール低減効果を期待した臨
床投与等に使用されるだけでなく、コレステロール代替
物として医薬品原料、又は乳化剤や乳化安定剤として化
粧品や食品に一般的に利用されている。
【0003】植物ステロールの製造法として、大豆油、
ナタネ油、米糠油、パーム油、パーム核油、椰子油等の
植物油中に含まれるステロールを脱臭濃縮物等から抽出
・精製する方法が実用化されている。その抽出法とし
て、油脂類の脱臭留出物に低級アルコールを加えて酸触
媒でエステル化処理した後に、水洗し触媒除去を行い、
新たに低級アルコールとアルカリ触媒を加えてエステル
交換反応を行い、反応終了液を、一夜静置し析出した結
晶を濾過により分離し、少量のヘキサンで洗浄し、更に
再結晶を行う方法が知られている(特公昭52−830
9号)。
【0004】この方法では、純度の高いステロールを得
るために再結晶を繰り返すことが必要であり、より簡便
に純度の高い植物ステロールを得ることが困難であっ
た。
【0005】本発明の課題は、植物油脂由来の粗脂肪酸
エステルから簡便な処理で純度の高い植物ステロールを
高収率で製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、植物ステロー
ルを含む植物油脂由来の粗脂肪酸エステルと、有機溶媒
と水の混合溶媒とを接触させて植物ステロールを結晶化
させ、植物ステロールを分離する(以下この工程をA工
程という)植物ステロールの製法、及び更に、粗脂肪酸
エステルと低級アルコールとの混合物を1〜40℃に保持
し、脂肪酸エステルを含有する結晶を析出させる工程
(以下B工程という)を含む植物ステロールの製法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において植物ステロールと
は植物油脂中に含まれるステロール類を指し、シトステ
ロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラ
シカステロール等がこれに該当し、総称してフィトステ
ロールと呼ばれているものである。
【0008】ここで用いられる植物油脂としては、大豆
油、ナタネ油、米糠油、パーム油、パーム核油、椰子油
等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0009】本発明における植物油脂由来の粗脂肪酸エ
ステルは、炭素数6〜28の脂肪酸と低級アルコールとの
エステル体を含んだ種々の化合物の混合物が好適に用い
られる。その組成は、原料である植物油脂の違いにより
変動があり特定できないが、モノグリセライド、ジグリ
セライド、トリグリセライド、グリセリン等を含む場合
もある。即ち、脂肪酸エステル及び植物ステロールを含
む限り特に限定されない。例えば、上記のような植物油
脂の脱臭留出物をエステル化し、その後必要とあればメ
タノール等の低級アルコールでエステル交換反応を行っ
て得られる粗脂肪酸エステル、あるいは更にその脂肪酸
エステルを特開平8−500598号公報に記載の技術
に従って蒸留し、エステル交換反応でできた脂肪酸エス
テルの一部を留出させ、植物ステロール濃度を高めた原
料も使用することができる。
【0010】あるいは、上記のような植物油脂をエステ
ル化し、引き続いてメタノール等の低級アルコールでエ
ステル交換反応を行い、得られた脂肪酸エステルを蒸留
し、低留分を除去することで植物ステロール濃度を高め
ることが可能であり、このように濃縮された原料も使用
し得る。この濃縮物中には植物ステロール及び脂肪酸エ
ステル以外に先のエステル交換反応では反応しなかった
未反応のモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリ
セライドが含まれるが、これらを更にエステル交換反応
した粗脂肪酸エステルも使用可能である。
【0011】一般に、これらの原料中には炭素数6〜28
の脂肪酸と低級アルコールとのエステルが20重量%以上
含まれる場合が多く、本発明でも、その様な濃度の脂肪
酸エステルを用いることが好ましい。
【0012】ここで低級アルコールとしては、炭素数1
〜4のアルコール、具体的にはメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−プロパノール、直鎖又は分
岐鎖のブタノール等が挙げられ、これらの1種又は2種
以上の混合物を用いることができる。これらの中でメタ
ノール、エタノールあるいはそれらの混合物が好まし
く、メタノールを含有するものが特に好ましい。
【0013】また、本発明で用いられる粗脂肪酸エステ
ル中の植物ステロールの含有量は特に限定されないが、
1重量%以上が好ましく(メタノール等の低級アルコー
ルを除いた混合物に対して)、本発明の効果を奏するに
は、3〜40重量%がより好ましい。
【0014】本発明のA工程においては、上記のような
粗脂肪酸エステルに対し、有機溶媒と水の混合溶媒を接
触させて植物ステロールを結晶化させる。有機溶媒とし
ては、25℃における比誘電率(εr)が17以上の溶媒を
1種以上用いることが好ましい。入手の容易さから、メ
タノール、エタノール、アセトンの1種又は2種以上の
混合物がより好ましく、特にメタノールを含有している
ものが好ましい。
【0015】本発明の有機溶媒の比誘電率は、丸善
(株)発行の「化学便覧基礎編」改訂第4版あるいは講
談社(株)発行の「溶剤ハンドブック」に表示されてい
る値を用いた。
【0016】A工程で用いられる混合溶媒中の有機溶媒
の量は特に限定されないが、粗脂肪酸エステルに対し20
〜300重量%が好ましい。また有機溶媒と水の混合溶媒
中の水の量は、多い方が植物ステロールの回収率が向上
し好ましいが、あまり多いと結晶と液との分離時間が長
くなり経済的でない。従って、有機溶媒に対して1重量
%以上が好ましく、更に5〜150重量%が好ましい。
【0017】A工程における結晶化は、粗脂肪酸エステ
ルと有機溶媒の混合物に水を添加することにより行うの
が好ましい。また結晶化の温度は、高い場合は結晶析出
量が十分でなく植物ステロールの回収率が低下するの
で、0〜40℃が好ましく、1〜20℃が更に好ましい。析
出した結晶は、濾過、遠心分離、デカンテーション等の
公知の手法で系中から分離する。
【0018】また、この結晶化及びその分離方法とし
て、水を添加後、分相させて下相である水/有機溶媒相
を分離させ、下相を抜き出し除去した後、上相を0〜40
℃の温度範囲に保持して結晶を分離しても、あるいは液
を0〜40℃の温度範囲に保持した後に分相させ、下相を
抜き出した後に上相から結晶を分離しても良い。いずれ
にしても、析出させるべき結晶は油相に存在しており、
そのまま結晶分離操作を行っても、分相し下相を除去し
た後に結晶分離操作を行ってもかまわない。分相する温
度は特に制限がないが、0〜100℃が好ましく、0〜64
℃がより好ましい。これらの操作により植物ステロール
の回収率を大幅に改善できる。
【0019】本発明においては、A工程終了後、続い
て、必要とあれば、結晶析出物に対して、既知の溶剤精
製法即ち再結晶法が適用される。この時の溶剤はメタノ
ール等の有機溶媒が主として用いられるが、有機溶媒と
水の混合溶剤を用いても良い。また、このような既知の
再結晶工程は、A工程の前に行っても良い。即ち、A工
程と既知の再結晶工程とを組み合わせて行う場合の順序
は特に制限されない。
【0020】また本発明においては、A工程、更にはこ
れと既知の再結晶工程を組み合わせた工程の前もしくは
後に、B工程を組み合わせることができる。このB工程
を組み合わせることで純度の高い植物ステロールを高収
率で抽出することができる。
【0021】このB工程では粗脂肪酸エステルに対し、
低級アルコール量が好ましくは2重量%以上、更に好ま
しくは20〜300重量%となるように、粗脂肪酸エステル
と低級アルコールの混合物を調整する。その場合、低級
アルコールを新たに添加しても良いし、あるいは、エス
テル化工程又はエステル交換工程で残存する低級アルコ
ールが、粗脂肪酸エステルに対し、所望量反応系中に既
に残存していれば、低級アルコールを更に追加する必要
はない。要は、低級アルコールが存在することが求めら
れ、その手段は問わない。ここで用いられる低級アルコ
ールとしては、上記のような炭素数1〜4のアルコール
が挙げられ、メタノール、エタノールあるいはそれらの
混合物が好ましく、メタノールを含有するものが特に好
ましい。
【0022】次に上記のように調整された粗脂肪酸エス
テルと低級アルコールの混合物を1〜40℃に保持し結晶
を析出させる。ここで析出する結晶は、炭素数6〜28の
脂肪酸と低級アルコールとのエステルを主成分とするも
ので、この結晶物の中には植物ステロールはほとんど含
まれない。つまり、植物ステロールは液成分として存在
しているのである。
【0023】このB工程において、保持する結晶化温度
は非常に重要である。50℃以下で炭素数6〜28の脂肪酸
と低級アルコールとのエステルは結晶析出を始めるが、
結晶析出温度が高い場合は析出量が十分でなく、植物ス
テロールの純度向上の寄与が小さくなり、結晶を分離し
た液に対し、次に行われるA工程あるいは再結晶工程後
の植物ステロールの純度が低くなる。一方、あまり冷却
温度を下げすぎると析出した結晶中に植物ステロールが
混入し植物ステロールの回収率が低下する。従って、結
晶化温度は1〜40℃、好ましくは3〜20℃に制御され
る。また1〜40℃に保持する時間は0.1〜2時間が好ま
しい。
【0024】本発明のA工程は、使用する粗脂肪酸エス
テル中の脂肪酸エステルが極力除去された後に行うこと
により、より高純度の植物ステロールを得ることができ
る。従って、B工程を行った後の濾液に対して、A工程
を行うことが最も好ましい。
【0025】
【実施例】例中の%は、特記しない限り重量%である。
【0026】実施例1 パーム核油由来の脂肪酸メチルエステル5,000gを蒸留
し、留出分4,900g及び残分100gを得た。この残分に、
メタノール(25℃における比誘電率(εr)32.6)を100
g、水酸化カリウムを1.0g加え、メタノール還流下で
2時間エステル交換反応を行った。得られた粗脂肪酸メ
チルエステルは炭素数6〜28の脂肪酸のメチルエステル
を68%、植物ステロールを5.7%(いずれもメタノール
を除いた油分に対しての割合)含んでいた。また、未反
応のメタノールは、油分である粗脂肪酸メチルエステル
に対し90%残存していた。
【0027】この反応終了液に、残存するメタノールに
対し水を5.5%添加し、液の温度を5℃に保持し、結晶
化操作を行った。析出した結晶を5℃の温度で減圧濾過
器を用いて回収し、更にその結晶にメタノール100gを
追加して、60℃で再溶解した。続いて、液の温度を5℃
に保持し、再結晶操作を行い、5℃での減圧濾過で得ら
れた結晶を110℃、12時間空気中で乾燥した。得られた
植物ステロールの回収率、純度を表1に示した。
【0028】実施例2 水の添加量を残存するメタノールに対し55%とする以外
は実施例1に従って抽出を行った。得られた植物ステロ
ールの回収率、純度を表1に示した。
【0029】実施例3 水の添加量を残存するメタノールに対し110%とする以
外は実施例1に従って抽出を行った。得られた植物ステ
ロールの回収率、純度を表1に示した。
【0030】比較例1 水の添加を行わない以外は実施例1に従って抽出を行っ
た。得られた植物ステロールの回収率、純度を表1に示
した。
【0031】実施例4 実施例1と同じ反応終了液を10℃で0.5時間保持し結晶
を析出させ、結晶を濾過(濾過温度10℃)により分離除
去した。この時除去した結晶の量は、110℃、12時間乾
燥後で3.0gであり、その中に炭素数6〜28の脂肪酸の
メチルエステルが95%含まれており、植物ステロールは
ほとんど含まれていなかった。
【0032】濾過で得られた濾液に、残存するメタノー
ルに対し55%となる量の水を添加し、液の温度を5℃に
保持し、結晶化操作を行った。析出した結晶を5℃の温
度で減圧濾過器を用いて回収し、更にその結晶にメタノ
ール100gを追加して、60℃で再溶解した。続いて、液
の温度を5℃に保持し、再結晶操作を行い、5℃での減
圧濾過で得られた結晶を110℃、12時間空気中で乾燥し
た。得られた植物ステロールの回収率、純度を表1に示
した。
【0033】
【表1】
【0034】実施例5 パーム核油由来の脂肪酸メチルエステル5,000gを蒸留
し、留出分4,900g及び残分100gを得た。この残分に、
エタノール(25℃における比誘電率(εr)24.55)を10
0g、水酸化カリウムを1.0g加え、エタノール還流下で
2時間エステル交換反応を行った。得られた粗脂肪酸エ
ステルは炭素数6〜28の脂肪酸のエチルエステルを69
%、植物ステロールを3.0%(いずれもエタノールを除
いた油分に対しての割合)含んでいた。また、未反応の
エタノールは、油分である粗脂肪酸エステルに対し90%
残存していた。
【0035】この反応終了液に、残存するエタノールに
対し水を55%添加し、液の温度を5℃に保持し、結晶化
操作を行った。析出した結晶を5℃の温度で減圧濾過器
を用いて回収し、得られた結晶を110℃、12時間空気中
で乾燥した。得られた植物ステロールの回収率、純度を
表2に示した。
【0036】比較例2 水の添加を行わない以外は実施例5に従って抽出を行っ
た。得られた植物ステロールの回収率、純度を表2に示
した。
【0037】
【表2】
【0038】実施例6 大豆油脱臭留分を硫酸触媒を用いてエステル化を行い。
中和・水洗した油分100gに対し、メタノール100g、水
酸化カリウム1.0gを加え、メタノール還流下で2時間
エステル交換反応を行った。得られた粗脂肪酸メチルエ
ステルは炭素数6〜28の脂肪酸のメチルエステルを61
%、植物ステロールを7.0%(いずれもメタノールを除
いた油分に対しての割合)含んでいた。また、未反応の
メタノールは、油分である粗脂肪酸メチルエステルに対
し95%残存していた。
【0039】この反応終了液に、残存するメタノールに
対し水を55%添加し、液の温度を5℃に保持し、結晶化
操作を行った。析出した結晶を110℃、12時間空気中で
乾燥した。得られた植物ステロールの回収率、純度を表
3に示した。
【0040】比較例3 水の添加を行わない以外は実施例6に従って抽出を行っ
た。得られた植物ステロールの回収率、純度を表3に示
した。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によれば、粗脂肪酸エステ
ルから高純度の植物ステロールを簡便に収率良く製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀尾 政光 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内 Fターム(参考) 4C091 AA01 BB02 BB06 CC01 DD01 EE04 FF02 FF06 GG01 HH01 JJ03 KK01 LL01 MM03 NN01 PA02 PA05 PB05 QQ01 RR13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物ステロールを含む植物油脂由来の粗
    脂肪酸エステルと、有機溶媒と水の混合溶媒とを接触さ
    せて植物ステロールを結晶化させ、植物ステロールを分
    離する植物ステロールの製法。
  2. 【請求項2】 混合溶媒中の水の含量が有機溶媒に対し
    1重量%以上である請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 粗脂肪酸エステルが炭素数6〜28の脂肪
    酸と低級アルコールとのエステルを20重量%以上含む請
    求項1又は2記載の製法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒が、25℃における比誘電率(ε
    r)が17以上のものである請求項1〜3の何れか一項に
    記載の製法。
  5. 【請求項5】 更に、粗脂肪酸エステルと低級アルコー
    ルとの混合物を1〜40℃に保持し、脂肪酸エステルを含
    有する結晶を析出させる工程を含む請求項1〜4の何れ
    か一項に記載の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100619115B1 (ko) 2004-04-19 2006-08-31 (주)타렉스 대두유 탈취 증류분으로부터 대두취가 없는 스테롤을분리하는 방법
CN111187329A (zh) * 2020-03-04 2020-05-22 南京诺齐生物科技有限公司 一种高吸收率植物甾醇的制备技术

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