JP2000337403A - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

油圧式動力伝達継手

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JP2000337403A
JP2000337403A JP14935299A JP14935299A JP2000337403A JP 2000337403 A JP2000337403 A JP 2000337403A JP 14935299 A JP14935299 A JP 14935299A JP 14935299 A JP14935299 A JP 14935299A JP 2000337403 A JP2000337403 A JP 2000337403A
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hole
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torque
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Tadahiko Kato
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Toshiharu Takasaki
俊治 高崎
Hirotaka Kusukawa
博隆 楠川
Shigeo Murata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルク特性の切換り時のトルク変化速度を小
さくする。 【解決手段】 ウェイトの揺動によりバルブ27の高圧
室の油圧をリリーフするリリーフ孔72を開放するチェ
ックボール73を収納する収納孔74をバルブ27に形
成し、チェックボール73の収納孔74の接触面を二段
テーパ75,76とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動力の配分に用
いられる油圧式動力伝達継手、特に遠心式トルク可変機
構を有し、特性切換わり時のトルク変加速度の低減を図
った油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の油圧式動力伝達継手としては、例
えば次のようなものがある。
【0003】この油圧式動力伝達継手は、相対回転可能
な入出力軸間に設けられ、一方の軸に連結され、内側面
にカム面を形成したハウジングと;他方の軸に連結され
るとともに、ハウジング内に回転自在に収納され、複数
のプランジャ室を軸方向に形成したロータと;複数のプ
ランジャ室のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を
受けて往復移動自在に収納されるとともに、両軸の相対
回転時にカム面によって駆動される複数のプランジャ
と;ロータに形成され、プランジャ室に通じる吐出孔
と;吐出孔に連通する高圧室を有するとともに、プラン
ジャの駆動による吐出油の流動により流動抵抗を発生す
る流動抵抗発生手段を有するバルブを備える。
【0004】バルブには遠心式トルク可変機構が設けら
れている。遠心式トルク可変機構は、ウェイトを有し、
車両の車速が所定の車速以上になると、遠心力によりウ
ェイトがウェイト支点を中心として作動し、リリーフ孔
が開いて高圧油をリリーフする。こうして、トルクをカ
ットする。
【0005】図12に示すように、バルブ101には高
圧室に連通するリリーフ孔102が形成され、車速Vが
所定の車速Vt以上になると(図14、参照)、遠心力
でウェイトが作動し、チェックボール103を収納した
部材104が矢印Eで示す方向に移動すると、チェック
ボール103はリリーフ孔102を開放する。このと
き、リリーフ孔102からは矢印Fで示すように、オイ
ルがリリーフされる。チェックボール103の開放時の
流路容積は変加速度が大きく、図14の矢印J1に示す
ようにトルク特性は、HからIへと切り換えられ、矢印
Kに示すようにトルク低下速度が大きい。また、車両の
車速Vが所定の車速Vt未満になり、ウェイトが作動し
なくなると(図14、参照)、図13に示すようにチェ
ックボール103を収納した部材104が矢印Gで示す
方向に移動し、チェックボール103がリリーフ孔10
2を閉止する。
【0006】この切換え時のトルク特性は、図14の矢
印J2に示すように、IからHに切り換えられ、トルク
上昇速度が大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の油圧式動力伝達継手にあっては、チェックボ
ール開閉時の流路容積は変化速度が大きく、トルク特性
が流量変化に影響されやすく、切換り時の特性が短時間
で変化し、車両の挙動に影響を及ぼすという問題があっ
た(図14、参照)。
【0008】また、特性の切換りが車速に対して敏感と
なり、一定速走行でのトルク特性の切換りが頻繁に発生
し、この場合にも車両挙動に影響を及ぼしていた(図1
4、参照)。
【0009】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたのものであって、トルク特性切換り時のトル
ク変化速度を低減でき、一定速走行での頻繁な切換りの
繰り返しを防止し、車両の挙動への影響を小さくする油
圧式動力伝達継手を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は次のように構成する。
【0011】請求項1の発明は、相対回転可能な入出力
軸間に設けられ、前記一方の軸に連結され、内側面にカ
ム面を形成したハウジングと;前記他方の軸に連結され
るとともに、前記ハウジング内に回転自在に収納され、
複数のプランジャ室を軸方向に形成したロータと;前記
複数のプランジャ室のそれぞれに、リターンスプリング
の押圧を受けて往復移動自在に収納されるとともに、前
記両軸の相対回転時に前記カム面によって駆動される複
数のプランジャと;トルクカットを行うためのウェイト
を有するバルブを備え、前記両軸の回転速度差に応じた
トルクを伝達する油圧式動力伝達継手において、前記ウ
ェイトの揺動により前記バルブの高圧室の油圧をリリー
フするリリーフ孔を開放するチェックボールを収納する
収納孔を前記バルブに形成し、前記チェックボールの収
納孔の接触面を二段テーパとする。
【0012】請求項2の発明は、請求項1記載の油圧式
動力伝達継手において、前記チェックボールが前記リリ
ーフ孔を開放したとき、前記チェックボールの移動量に
関係なく、一定となるように前記収納孔の流路面積を絞
るようにした。
【0013】請求項3の発明は、請求項1,2記載の油
圧式動力伝達継手において、前記チェックボールの移動
量に対して前記収納孔の流路面積が一定となるように、
前記二段テーパの角度を設定するとともに、前記収納孔
の開口部直径を設定する。
【0014】このような構成を備えた本発明によれば、
ウェイトの揺動によりバルブの高圧室の油圧をリリーフ
するリリーフ孔を開放するチェックボールを収納する収
納孔をバルブに形成し、チェックボールの収納孔の接触
面を二段テーパとしたので、チェックボールの移動量に
対する流路容積変化が緩やかになり、流量変動に対する
トルク特性の変化が緩やかになる。その結果、従来のよ
うに、トルク特性の切換り時のトルク変化速度が小さく
なり、車両の挙動が安定する。
【0015】また、チェックボールがリリーフ孔を開放
したとき、チェックボールの移動量に関係なく、一定と
なるように収納孔の流路面積を絞るようにしたので、高
トルク特性から低トルク特性への切換りのポイントと低
トルク特性から高トルク特性への切換りのポイントにヒ
ステリシスを設けることができ、一定速走行での頻繁な
切換りの繰り返しを防止することができ、その結果、車
両の挙動への影響を小さくする。
【0016】また、チェックボールの移動量に対して収
納孔の流路面積が一定となるように、二段テーパの角度
を設定するとともに、収納孔の開口部直径を設定するの
で、前記のような効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態を示す
全体断面図である。
【0018】図1において、1はコンパニオンフランジ
であり、コンパニオンフランジ1は前輪駆動軸(一方の
軸)である図示しないプロペラシャフトに連結されてい
る。コンパニオンフランジ1にはカムハウジング軸部2
が挿入され、スプライン結合されている。カムハウジン
グ軸部2の外周にはフロントベアリング3が設けられ、
フロントベアリング3を介してカムハウジング軸部2は
デフケース4に支持されている。デフケース4とコンパ
ニオンフランジ1との間にはシール部材5およびカバー
6が設けられ、シール部材5およびカバー6によりごみ
などの異物の侵入およびデフオイルの流出を防止してい
る。カムハウジング軸部2には溶接部7でハウジング8
が固定され、内側面には2つ以上の山を有するカム面9
が形成されている。カムハウジング軸部2はこのカム面
9によりカムとしての機能を持つ。また、カムハウジン
グ軸部2にはオイルを継手内部に注入し、または排出す
るためのプラグ10,11が挿入されている。
【0019】12はハウジング8内に回転自在に収納さ
れたロータであり、ロータ12はメインシャフト(他方
の軸)13に係合され、メインシャフト13と一体で回
転する。メインシャフト13内にはドライブピニオンギ
ア14が挿入、固定され、メインシャフト13はドライ
ブピニオンギア14と一体で回転する。
【0020】ロータ12には、軸方向に複数個のプラン
ジャ室15が形成されプランジャ室15内は複数個のプ
ランジャ16がリターンスプリング17を介して摺動自
在に収納されている。
【0021】プランジャ16の頭部側には吸入路18が
形成され、吸入路18は低圧室19に連通している。吸
入路18とプランジャ室15は連通孔20により連通
し、連通孔20はボールよりなる吸入用のワンウェイバ
ルブ21により開閉される。
【0022】プランジャ室15の内部には弁座22が形
成され、弁座22にはワンウェイバルブ21が着座す
る。弁座22の段部にはチェックプラグ23が設けら
れ、チェックプラグ23とワンウェイバルブ21との間
にはワンウェイバルブ21を押圧し、位置決めるための
チェックスプリング(図示しない)が介装されている。
【0023】チェックプラグ23とロータ12の底部と
の間には前記のリターンスプリング17が介装されてい
る。ロータ12には吐出孔24が形成され、吐出孔24
はプランジャ室15に連通している。吐出孔24にはボ
ールよりなる吐出用のワンウェイバルブ25が設けられ
ている。すなわち、吐出孔24には弁座26が形成さ
れ、弁座26にはワンウェイバルブ25が着座する。
【0024】27はバルブであり、バルブ27にはロー
タ12の吐出孔24に連通する高圧室28が形成されて
いる。高圧室28に規制部材29が突出してバルブ27
に設けられ、規制部材29はワンウェイバルブ25を所
定の位置に位置決めする。
【0025】バルブ27にはオリフィス30が設けられ
たオリフィス部材31が設けられ、高圧室28はオリフ
ィス30に連通している。バルブ27とロータ12はピ
ン32により位置決めされ、ボルト33で固定されてい
る。
【0026】プランジャ16が吸入工程にあるときは、
プランジャ16の頭部に設けた吸入用のワンウェイバル
ブ21が開き、低圧室19、吸入路18、連通孔20を
通じて、プランジャ室15にオイルを吸入する。このと
き、ロータ12の吐出孔24に設けた吐出用のワンウェ
イバルブ25は閉じて、高圧室28からのオイルの逆流
を阻止する。また、プランジャ16が吐出工程にあると
きは、吐出側のワンウェイバルブ25が開き、プランジ
ャ室15のオイルは、吐出孔24、高圧室28からオリ
フィス30に供給される。このとき、吸入用のワンウェ
イバルブ21は閉じて連通孔20、吸入路18から低圧
室19にオイルがリークするのを防止する。
【0027】34はベアリングリテーナであり、ベアリ
ングリテーナ34はハウジング8に圧入、固定され、ス
ナップリング35により位置決めされている。
【0028】ベアリングリテーナ34はハウジング8と
一体で回転する。ベアリングリテーナ34は通孔36が
形成され、通孔36は低圧室19に連通している。ま
た、ベアリングリテーナ34とバルブ27およびベアリ
ングリテーナ34とメインシャフト13との間にはニー
ドルベアリング37,38がそれぞれ介装され、また、
ベアリングリテーナ34とメインシャフト13との間に
はオイルシール39が設けられ、オイルシール39によ
りオイルの流出を防止している。
【0029】ベアリングリテーナ34の外側にはオイル
の熱膨張、収縮を吸収するためのアキュムレータピスト
ン40が摺動自在に設けられ、アキュムレータピストン
40によりアキュムレータ室41が画成されている。ア
キュムレータ室41はベアリングリテーナ34の通孔3
6を介して低圧室19に連通している。
【0030】アキュムレータピストン40とハウジング
8との間およびアキュムレータピストン40とベアリン
グリテーナ34との間にはオイルのもれを防止するOリ
ング42,43がそれぞれ介装されている。44はアキ
ュームリテーナであり、アキュームリテーナ44の外周
端部はハウジング8に固定されている。アキュームリテ
ーナ44とアキュムレータピストン40の底部との間に
はリターンスプリング45,46が介装されている。
【0031】ベアリングリテーナ34の延在部の外周に
はリアベアリング47が設けられ、リアベアリング47
を介してベアリングリテーナ34はデフケース4に支持
されている。なお、48はメインシャフト13の開口部
に設けられた潤滑用油溝、49はシール部材である。
【0032】図2はバルブ27の斜視図である。
【0033】図2において、27はバルブであり、バル
ブ27はロータ12に連結され、ロータ12と一体で回
転する。バルブ27には一対の遠心式トルク可変機構5
0,51がそれぞれ設けられている。バルブ27の外周
には収納部52,53が形成され、収納部52,53は
ウェイト54,55が揺動自在に収納されている。ウェ
イト54,55は、車速が所定の車速以上になると、遠
心力によりウェイト支点56,57を中心として作動す
る。
【0034】ウェイト54,55のウェイト支点56,
57の反対側にはバルブ27との間にスプリング58,
59が介装されている。すなわち、図3に示すように、
ウェイト54,55にはスプリング58,59を収納す
る3つのスプリング収納孔60,61がそれぞれ形成さ
れ、スプリング収納孔60,61には3本のスプリング
58,59の各一端がそれぞれ収納され、各他端はバル
ブ27に設けるリテーナ62,63によりそれぞれ保持
されている。ウェイト54,55にはピン挿入孔64,
65が形成され、ピン挿入孔64,65にはピン66,
67が挿入される(図4、参照)。
【0035】図4は遠心式トルク可変機構50の拡大図
である。
【0036】図4において、バルブ27の外周には収納
部52が形成され、収納部52にはウェイト支点56を
中心としてウェイト54が揺動自在に収納されている。
ウェイト支点56の反対側のウェイト54の端部側には
スプリング収納孔60が形成され、スプリング収納孔6
0にはリターンスプリング58の一端が収納されてい
る。リターンスプリング58の他端はバルブ27に設け
たリテーナ62に保持され、ウェイト54を図中略左方
向に付勢する。
【0037】ウェイト54の内側にはピン挿入孔64が
形成され、ピン挿入孔64にはピン66が圧入されてい
る。ピン66はウェイト54に形成した凹部68に突出
するように圧入、固定されている。ピン挿入孔64には
ウェイト54の外部に開口する通孔69が形成されてい
る。バルブ27には高圧室71が形成され、高圧室71
に連通するリリーフ孔72がバルブ27に形成されてい
る。また、リリーフ孔72に連通してチェックバルブ7
3を収納する収納孔74が形成されている。リリーフ孔
72はリターンスプリング58により付勢されたウェイ
ト54に圧入したピン66により押圧されて、リリーフ
孔72を閉止している。
【0038】車速が所定の車速以上になると、遠心力に
よりウェイト54がウェイト支点56を中心としてリタ
ーンスプリング58からなる付勢力に抗して作動し、ピ
ン66がチェックボール73から離れる。このため、チ
ェックボール73を押圧する力がなくなり、チェックボ
ール73は高圧室71からの油圧でリリーフ孔72を開
き、高圧室71の油圧は凹部68に入って低圧側にリリ
ーフされる。こうして、トルクカットが行われ、継手が
高温になるのを防止するようにしている。
【0039】図5および図6は遠心式トルク可変機構5
0,51のリリーフ部を示す図である。図5はリリーフ
オープンを示す図、図6はリリーフクローズを示す図で
ある。
【0040】図5および図6において、27はバルブで
あり、バルブ27には高圧室71に連通するリリーフ孔
72が形成されている。また、バルブ27にはリリーフ
孔72に連通する収納孔74が形成され、収納孔74に
はチェックボール73が収納される。チェックボール7
3はリターンスプリング58により付勢されたウェイト
54に圧入されたピン66により押圧されてリリーフ孔
72を閉止している。
【0041】収納孔74の接触面にはリリーフ孔72に
連続して第1段目テーパ部75が形成され、第1段目テ
ーパ部75に連続して第2段目テーパ部76が形成さ
れ、第2段目テーパ部76に連続して平面開口部77が
それぞれ形成されている。第1段目テーパ部75の角度
は所定角度bに、第2段目テーパ部76の角度は所定角
度aに、それぞれ設定される。また、平面開口部77の
直径は、所定値cに設定される。ここで、図5におい
て、xはチェックボール73の移動量を示し、Aは開放
時の流路面積を、それぞれ示す。図7に示すように、チ
ェックボール73の移動量xに対して、流路面積Aが一
定値Lとなるように、第1段目テーパ部75の角度b、
第2段目テーパ部76の角度a、および平面開口部77
の直径cがそれぞれ決められる。
【0042】一方、図6において、ΔPは油圧を示し、
eは油圧ΔPがチェックボール73に作用する接触面積
を示す。Fはリターンスプリング58によりチェックボ
ール73を押圧する押圧力である。すなわち、図6にて
示されている押圧力Fは、ウェイト54をレバーとし、
ウェイト支点56と、リターンスプリング58の力点、
ピン66の作用点からなる「てこの原理」より求められ
る荷重である。
【0043】押圧力Fは、支点56からピン66までの
距離を分母とし、支点56からリターンスプリング58
までの距離を分子とした一定のレバー比からなる増幅比
により増幅され、ウェイト54とピン66とを介しチェ
ックバルブ73に付加されるリターンスプリング58の
荷重である。
【0044】したがって、F>ΔP・eのとき、チェッ
クボール73はリリーフ孔72を閉止しており、車速が
所定速度以上になって遠心力によりウェイト54が作動
し、ΔP・e+遠心力>Fとなると、チェックボール7
3はリリーフ孔72を開放する。
【0045】図5に示すように、チェックボール73が
リリーフ孔72を開放するとき、収納孔74のチェック
ボール73へ接触面を2段の第1,第2段目テーパ部7
5,76としたことでチェックボール73の移動量xに
対する流路容量の変化が緩やかになり、流量変動に対す
るトルク特性の変化が緩やかになる。従来に比較し、ト
ルク変化速度が小さくなる。
【0046】従来においては、図8に示すように、チェ
ックボール73がリリーフ孔72を開放したときの流路
面積Aは∞であった。なお、図8中Sはチェックボール
73の投影面積を示す。これに対して、本実施形態にお
いては、図9に示すように、リリーフ解放後の流路面積
Aを、チェックボール73の移動量xに関係なく、一定
値Lに保持するように、絞っている。
【0047】したがって、従来例においては、チェック
ボール73が受ける抗力は小さかったが、本実施形態に
おいては、流路面積Aを絞ることにより、大きくするこ
とができる。チェックボール73が受ける抗力Dは、以
下の式で表わすことができる。
【0048】
【数1】 S:投影面積(図8、参照) V:流速 ρ:流体の密度 CD:抵抗係数 投影面積Sは、
【0049】
【数2】 で示される。
【0050】dは図10に示すように、チェックボール
73の直径である。図10中Vは流速を示し、流速V
は、V=Q/Aで示される。
【0051】Q:流量 A:流路面積 また、抵抗係数CDは、例えば0.34とする。
【0052】このように、リリーフ解放後の流路面積A
を絞ることにより、チェックボール73が受ける抗力D
を大きくすることができるため、トルク特性の切換り
時、すなわち高トルク特性から低トルク特性への切換り
のポイントおよび低トルク特性から高トルク特性への切
換りのポイントにヒステリシスを設けることができる。
その結果、一定走行での頻繁な切換りの繰り返しを防止
することができる。
【0053】次に、作用を説明する。
【0054】車速Vが所定の車速V2(図11、参照)
に達していないときは、遠心力が押圧力Fに勝てないた
め、ウェイト54は作動しない。したがって、図6に示
すように、チェックボール73はリリーフ孔72を閉止
している(F>ΔP・e)。このときのトルク特性は、
図11のMに示すように、高トルク特性となる。
【0055】車速Vが所定の車速V2を超えると、遠心
力によりウェイト54が作動する。ウェイト54が作動
すると、図5に示すように、ピン66が図5中右方向に
移動して、チェックボール73がリリーフ孔72を開放
する。このときは、図11の矢印Oで示すように、高ト
ルク特性からNで示す低トルク特性に切り換えられ、ト
ルクカットが行われる。この高トルク特性から低トルク
特性への切換りのポイントは、F=ΔP・e+遠心力で
示される。この場合、チェックボール73を収納する収
納孔74の接触面を2段の第1、第2段目テーパ部7
5,76としたため、チェックボール73の移動量xに
対する流路容積変化が緩やかになり、流量変動に対する
トルク特性の変化は緩やかになる。従来のように、トル
ク特性切換り時のトルク変化速度が小さくなり、車両の
挙動への影響を小さくする。
【0056】車速Vが車速V2から車速V1になると、
遠心力が作用しなくなり、ウェイト54が作動しなくな
る。
【0057】図6に示すように、チェックボール73は
ピン66により押圧されて、リリーフ孔72を閉じる。
したがって、図11のNで示す低いトルク特性からMで
示す高いトルク特性に緩やかに切換わる。この低いトル
ク特性から高トルク特性への切換りのポイントは、F=
ΔP・e+D+遠心力で示される。
【0058】すなわち、リリーフ解放後の流路面積Aを
チェックボール73の移動量xに関係なく、一定値Lと
なるように、絞ることによりチェックボール73が受け
る抗力Dを大きくすることができるため、図11のRに
示すように、高トルク特性から低トルク特性への切換り
のポイントと低トルク特性から高トルク特性への切換り
のポイントにヒステリシスを設けることができ、一定速
走行での頻繁な切換りの繰り返しを防止することができ
る。その結果、車両の挙動への影響を小さくできる。
【0059】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、ウェイトの揺動によりバルブの高圧室の油圧をリリ
ーフするリリーフ孔を開放するチェックボールを収納す
る収納孔をバルブに形成し、チェックボールの収納孔の
接触面を二段テーパとしたため、チェックボールの移動
量に対する流路容積変化が緩やかになり、流量変動に対
するトルク特性の変化が緩やかになる。その結果、従来
に比較し、トルク変化速度が小さくなり、車両挙動への
影響を小さくできる。
【0060】また、チェックボールがリリーフ孔を開放
したとき、チェックボールの移動量に関係なく、一定と
なるように収納孔の流路面積を絞るようにしたため、高
トルク特性から低トルク特性への切換りのポイントと低
トルク特性から高トルク特性への切換りのポイントにヒ
ステリシスを設けることができ、一定速走行での頻繁な
切換りの繰り返しを防止することができ、その結果、車
両の挙動への影響を小さくできる。
【0061】また、チェックボールの移動量に対して収
納孔の流路面積が一定となるように、二段テーパの角度
を設定するとともに、収納孔の開口部直径を設定するた
め、前記のような効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体断面図
【図2】バルブの斜視図
【図3】バルブの分解図
【図4】遠心式トルク可変機構の拡大図
【図5】リリーフオープンを示す図
【図6】リリーフクローズを示す図
【図7】チェックボールの移動量と流路面積の関係を示
すグラフ
【図8】従来の要部説明図
【図9】本実施形態の要部説明図
【図10】チェックボールに作用する流速を示す図
【図11】トルク特性を示すグラフ
【図12】従来のリリーフオープンを示す図
【図13】従来のリリーフクローズを示す図
【図14】従来のトルク特性を示すグラフ
【符号の説明】
1:コンパニオンフランジ 2:カムハウジング軸部 3:フロントベアリング 4:デフケース 5,49:シール部材 6:カバー 7:溶接部 8:ハウジング 9:カム面 10,11:フラグ 12:ロータ 13:メインシャフト 14:ドライブピニオンギア 15:プランジャ室 16:プランジャ 17:リターンスプリング 18:吸入路 19:低圧室 20:連通孔 21:吸入用のワンウェイバルブ 22,26:弁座 23:チェックプラグ 24:吐出孔 25:吐出用のワンウェイバルブ 27:バルブ 28:高圧室 29:規制部材 30:オリフィス 31:オリフィス部材 32:ピン 33:ボルト 34:ベアリングリテーナ 35:スナップリング 36:通孔 37,38:ニードルベアリング 39:オイルシール 40:アキュムレータピストン 41:アキュムレータ室 42,43:Oリング 44:アキュームリテーナ 45,46:リターンスプリング 47:リアベアリング 48:潤滑用油溝 50,51:遠心式トルク可変機構 52,53:収納部 54,55:ウェイト 56,57:ウェイト支点 58,59:リターンスプリング 60,61:スプリング収納孔 62,63:リテーナ 64,65:ピン挿入孔 66,67:ピン 68:凹部 69:通孔 71:高圧室 72:リリーフ孔 73:チェックボール 74:収納孔 75:第1段目テーパ部 76:第2段目テーパ部 77:平面開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 忠彦 静岡県湖西市鷲津2418番地 株式会社フジ ユニバンス内 (72)発明者 田嶋 芳明 静岡県湖西市鷲津2418番地 株式会社フジ ユニバンス内 (72)発明者 高崎 俊治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 楠川 博隆 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 村田 茂雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3H059 AA08 BB06 CC01 CD05 DD02 EE01 FF03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前
    記一方の軸に連結され、内側面にカム面を形成したハウ
    ジングと;前記他方の軸に連結されるとともに、前記ハ
    ウジング内に回転自在に収納され、複数のプランジャ室
    を軸方向に形成したロータと;前記複数のプランジャ室
    のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往復
    移動自在に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時
    に前記カム面によって駆動される複数のプランジャと;
    トルクカットを行うためのウェイトを有するバルブを備
    え、 前記両軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式
    動力伝達継手において、 前記ウェイトの揺動により前記バルブの高圧室の油圧を
    リリーフするリリーフ孔を開放するチェックボールを収
    納する収納孔を前記バルブに形成し、前記チェックボー
    ルの収納孔の接触面を二段テーパとすることを特徴とす
    る油圧式動力伝達継手。
  2. 【請求項2】請求項1記載の油圧式動力伝達継手におい
    て、 前記チェックボールが前記リリーフ孔を開放したとき、
    前記チェックボールの移動量に関係なく、一定となるよ
    うに前記収納孔の流路面積を絞るようにしたことを特徴
    とする油圧式動力伝達継手。
  3. 【請求項3】請求項1,2記載の油圧式動力伝達継手に
    おいて、 前記チェックボールの移動量に対して前記収納孔の流路
    面積が一定となるように、前記二段テーパの角度を設定
    するとともに、前記収納孔の開口部直径を設定すること
    を特徴とする油圧式動力伝達継手。
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