JP2000328360A - ポリエステル繊維 - Google Patents
ポリエステル繊維Info
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Abstract
を低下させることなく、延伸時の断糸やラップの発生が
少なく安定して製糸することができ、生産性の高いポリ
エステル繊維を提供すること。 【解決手段】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し構造単位とするポリエステルであって、テレフタル酸
成分を基準として、テレフタル酸以外のジカルボン酸成
分および/またはエチレングリコール以外のグリコール
成分が、0.1〜5.0モル%共重合されており、かつ
酸化チタンを含まないポリエステル100重量部に対
し、硫酸のアルカリ土類金属塩および/または炭酸のア
ルカリ土類金属塩0.001〜0.2重量部を添加した
ポリエステル組成物を溶融紡糸して得られるポリエステ
ル繊維。
Description
低減させることができ、その結果、生産性を向上できる
酸化チタン(艶消剤)を含まないポリエステル繊維に関
する。
め、耐候性、寸法安定性など優れた特性を有しており、
衣料用途や産業資材用途などの様々な用途で広く使用さ
れている。このようなポリエステル繊維を製造するうえ
で、紡糸または延伸時に発生する糸切れは、生産性を著
しく低下させ、製糸コストをあげる大きな要因となって
いる。また、ポリエステル繊維は、主に衣料用として用
いられるが、ポリエステル繊維は基本的に艶があるため
に、0.05〜5重量%程度の艶消剤(ダル剤)を添加
するのが一般的である。艶消剤としては、一般的に酸化
チタンが用いられており、現在、世界中で製造されるポ
リエステル繊維のほとんどは酸化チタンを添加したもの
である。一方で、ポリエステル本来の艶を生かした布帛
に対する用途に対しては、当然のことながら艶消剤であ
る酸化チタンを添加しないポリエステル繊維を用いるこ
とになる。しかしながら、酸化チタンは、艶消効果のみ
ならず、ポリエステルの延伸性向上にも寄与しており、
酸化チタンを添加しないポリエステルを溶融紡糸する
と、その延伸性が低下するため、延伸時の糸切れ・ラッ
プが多発する。したがって、従来、艶消剤(酸化チタ
ン)を含まないポリエステル繊維の製糸を実施する際に
は、延伸速度を下げる、または延伸倍率を下げるなどの
対策を実施することが必要である。しかしながら、これ
らの対策は、すべて生産性の低下につながるため、艶消
剤を添加せず、生産性を悪化させないポリエステル繊維
が求められている。
問題を解消し、酸化チタンを含まないポリエステルであ
っても、延伸速度や延伸倍率を低下させることなく、延
伸時の断糸やラップの発生が少なく安定して製糸するこ
とができ、生産性の高いポリエステル繊維を提供するこ
とにある。
フタレートを主たる繰り返し構造単位とするポリエステ
ルであって、テレフタル酸成分を基準として、テレフタ
ル酸以外のジカルボン酸成分および/またはエチレング
リコール以外のグリコール成分が0.1〜5.0モル%
共重合されており、かつ酸化チタンを含まないポリエス
テル100重量部に対し、硫酸のアルカリ土類金属塩お
よび/または炭酸のアルカリ土類金属塩(以下、単に
「アルカリ土類金属塩」ともいう)0.001〜0.2
重量部を添加したポリエステル組成物を溶融紡糸して得
られるポリエステル繊維に関する。
を含まないポリエチレンテレフタレートに、炭酸や硫酸
のアルカリ土類金属塩を添加することにより、延伸性を
向上させることができる。また、上記ポリエチレンテレ
フタレートに少量のテレフタル酸以外のジカルボン酸成
分もしくはエチレングリコール以外のグリコール成分を
共重合させることにより、この効果がさらに増大する。
タル酸成分を基準として、0.1〜5.0モル%の範囲
内で、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分および/ま
たはエチレングリコール以外のグリコール成分が共重合
されていることが必要である。好ましく用いられるテレ
フタル酸以外のジカルボン酸成分として、例えば、アジ
ピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族の二官能性ジ
カルボン酸などが挙げられる。さらに好ましくはイソフ
タル酸である。好ましく用いられるエチレングリコール
以外のグリコール成分として、例えば、C3 以上のアル
キレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビス
フェノールSなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジオール
化合物およびポリオキシアルキレングリコールなどが挙
げられる。さらに好ましくは、ジエチレングリコール、
テトラメチレングリコールである。
として、0.1〜5.0モル%の範囲内で共重合される
必要があり、1.0〜3.0モル%の範囲内で共重合さ
れていることが好ましい。共重合量が0.1モル%未満
では、本発明の延伸時の断糸やラップを抑制する効果は
不十分である。一方、5.0モル%を超えると、延伸性
は向上するものの、糸の強度などの物性が低下するため
に好ましくない。
は、硫酸のアルカリ土類金属塩および/または炭酸のア
ルカリ土類金属塩が、上記ポリエステル100重量部に
対して0.001〜0.2重量部、好ましくは0.01
〜0.1重量部の範囲で含有されていることが必要であ
る。添加量が0.001重量部未満では、延伸時の断糸
やラップ抑制効果が不十分である。一方、0.2重量部
を超えると、これらのアルカリ土類金属塩が逆に異物に
なって断糸やラップを増加させてしまうため好ましくな
い。ここで、上記アルカリ土類金属塩としては、特に限
定されないが、例えば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシ
ウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウムなどの硫酸の
アルカリ土類金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウムなどの炭酸のア
ルカリ土類金属塩などが例示でき、特に硫酸カルシウ
ム、炭酸カルシウムが好ましい。
は、通常行われている任意の方法で行われる。例えば、
テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化
反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタ
ル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとを
エステル交換反応させるか、またはテレフタル酸とエチ
レンオキサイドとを反応させるかして、テレフタル酸の
グリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成
させる。次いで、この反応生成物を重合触媒の存在下で
減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させる
ことによって製造される。
レンテレフタレートを主たる繰り返し構造単位とするポ
リエステルであって、テレフタル酸成分およびエチレン
グリコール成分に、上記テレフタル酸以外のジカルボン
酸成分もしくはエチレングリコール以外のグリコール成
分を共重合して得られる。この共重合成分の導入は、任
意の段階で実施することができるが、例えばポリエステ
ル製造工程の、エステル化もしくはエステル交換反応開
始前の段階、またはエステル化もしくはエステル交換反
応終了前の段階、あるいは紡糸段階で添加することがで
きる。
のポリエステルへの添加は、任意の段階で実施すること
ができるが、例えばポリエステル製造工程の、エステル
化もしくはエステル交換反応開始前の段階、またはエス
テル化もしくはエステル交換反応終了前の段階、あるい
は紡糸段階で添加することができる。紡糸段階で添加す
る方法としては、例えば、アルカリ土類金属塩をポリエ
ステルチップに粉体のまま添加するか、これらを添加し
たポリエステルマスターチップを作っておきこれをポリ
エステルチップと混合して溶融押出機に投入することが
できる。
て繊維を製造する場合には、任意の製糸条件を何等の支
障なく採用することができる。例えば、500〜2,5
00m/分の速度で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方
法、1,500〜5,000m/分の速度で溶融紡糸
し、延伸と仮撚加工とを同時にまたは続いて行なう方
法、5,000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途に
よっては延伸を省略する方法などの任意の製糸条件を採
用することができる。5,000m/分以上紡糸速度で
は、延伸工程そのものは存在しないが、紡糸時の糸切れ
に対して効果が見られる。以上の方法により得られる糸
は、艶消剤である酸化チタンを含有せずポリエステル本
来の艶を有するため、各種衣料用途をはじめ産業資材用
途としても好適に用いることができる。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中、部および%は特に断らない限り重
量基準であり、各物性値および測定値は次のようにして
測定した。固有粘度 引き取られた糸を、オルトクロロフェノールを溶媒と
し、オストワルド粘度計を用いて35℃で測定した。単
位はdl/gである。糸の強度および伸度 (株)島津製作所製引張試験機「オートグラフAG−1
00E」を使用し、25℃、試長25cm、引張速度2
0cm/分で測定した。
率とラップ発生率 285℃、巻取速度1,400mで得られる225デニ
ール/36フィラメントの未延伸糸を85℃に加熱した
のち、180℃で熱固定する延伸工程において、糸が破
断する延伸倍率を求め、最大延伸倍率とした。また3日
間連続して紡糸および延伸を行い、延伸断糸発生率およ
びラップの発生率を測定した。
24部、イソフタル酸ジメチル3.9部、炭酸カルシウ
ム0.016部および酢酸マンガン4水塩0.06部を
精留塔付き反応槽に入れ、常法に従ってエステル交換反
応を行い、理論量のメタノールを留出させた。次いで、
反応生成物を精留塔付き重縮合用フラスコに入れ、安定
剤としてトリメチルホスフェート0.04部、重縮合触
媒として3酸化アンチモン0.079部を加え、温度2
85℃、常圧で30分、さらに30mmHgの減圧下で
15分反応を進行させたのち、系内を徐々に減圧し、攪
拌下110分間反応させた。最終温度は285℃、最終
内圧は0.37mmHgであった。得られたエチレンテ
レフタレート系コポリエステルを、常法に従ってチップ
に成形した。上記のチップを285℃で溶融し、285
℃に保持された紡糸パック中に導入し、紡糸口金から吐
出し、該吐出糸条を、1,400m/分の紡糸速度で引
き取って、225デニール/36フィラメントの未延伸
糸を得た。この未延伸糸を85℃の加熱ローラーに43
0m/分で供給し、加熱後、3倍に延伸し、180℃の
ヒーター上で熱固定し、75デニール/36フィラメン
トの延伸糸を得た。得られた糸の固有粘度、強度、伸
度、延伸時の最大延伸倍率、断糸発生率、およびラップ
発生率を表1に示す。
属塩の種類およびその添加量を表1のように変更した以
外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物を製造
し、製糸を行った。得られた結果を表1に示す。
ソフタル酸3.3部、炭酸カルシウム0.013部を、
常法に従いエステル交換反応した。次いで、反応生成物
を精留塔付き重縮合用フラスコに入れ、安定剤としてト
リメチルホスフェート0.04部、重縮合触媒として3
酸化アンチモン0.068部を加え、温度285℃、常
圧で30分、さらに30mmHgの減圧下で15分反応
を進行させたのち、系内を徐々に減圧し、攪拌下110
分間反応させた。最終温度は285℃、最終内圧は0.
37mmHgであった。得られたエチレンテレフタレー
ト系コポリエステルを、常法に従ってチップに成形し
た。さらに、上記のチップを実施例1と同様の方法によ
り溶融紡糸した。得られた結果を表1に示す。
24部、イソフタル酸ジメチル39部、炭酸カルシウム
0.16部および酢酸マンガン4水塩0.06部を精留
塔付き反応槽に入れ、常法に従ってエステル交換反応を
行い、理論量のメタノールを留出させた。次いで、反応
生成物を精留塔付き重縮合用フラスコに入れ、安定剤と
してトリメチルホスフェート0.04部、重縮合触媒と
して三酸化アンチモン0.079部を加え、温度285
℃、常圧で30分、さらに30mmHgの減圧下で15
分反応を進行させた後、系内を徐々に減圧し、攪拌下1
10分間反応させた。最終温度は285℃、最終内圧は
0.37mmHgであった。得られたエチレンテレフタ
レート系コポリエステルは、常法に従ってマスターチッ
プに成形した。得られたこのマスターチップ用のポリエ
ステルの固有粘度は、0.660であった。これを炭酸
カルシウムのマスターチップとする。上記のマスターチ
ップ10部と、固有粘度が0.640のポリエチレンテ
レフタレートのチップ90部とを混合し、実施例1と同
様の方法により溶融紡糸した。得られた結果を表1に示
す。
ン(艶消剤)を含まないポリエステル組成物を溶融紡糸
する際、延伸時の糸切れやラップが低減されるため、安
定して製糸することができ、生産性を著しく向上するこ
とができる。また、本発明により得られるポリエステル
延伸糸は、ポリエステル繊維本来の艶を有するため、タ
イツ、水着、靴下などのストレッチ素材、インナー、ス
ポーツウエアー、裏地、スラックス、ブルゾンなどの衣
料用途、ブラシ、キャンパス、リボン、テープ、ベルト
などの資材用途に好適に用いることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し構造単位とするポリエステルであって、テレフタル酸
成分を基準として、テレフタル酸以外のジカルボン酸成
分および/またはエチレングリコール以外のグリコール
成分が0.1〜5.0モル%共重合されており、かつ酸
化チタンを含まないポリエステル100重量部に対し、
硫酸のアルカリ土類金属塩および/または炭酸のアルカ
リ土類金属塩0.001〜0.2重量部を添加したポリ
エステル組成物を溶融紡糸して得られるポリエステル繊
維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13283899A JP4108873B2 (ja) | 1999-05-13 | 1999-05-13 | ポリエステル繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13283899A JP4108873B2 (ja) | 1999-05-13 | 1999-05-13 | ポリエステル繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000328360A true JP2000328360A (ja) | 2000-11-28 |
JP4108873B2 JP4108873B2 (ja) | 2008-06-25 |
Family
ID=15090712
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13283899A Expired - Fee Related JP4108873B2 (ja) | 1999-05-13 | 1999-05-13 | ポリエステル繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4108873B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101046007B (zh) * | 2007-03-16 | 2010-05-19 | 东华大学 | 一种pdt共聚酯纤维的制备方法 |
-
1999
- 1999-05-13 JP JP13283899A patent/JP4108873B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101046007B (zh) * | 2007-03-16 | 2010-05-19 | 东华大学 | 一种pdt共聚酯纤维的制备方法 |
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