JPH11107036A - 高強度ポリエステル繊維およびその製造法 - Google Patents
高強度ポリエステル繊維およびその製造法Info
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- JPH11107036A JPH11107036A JP26433797A JP26433797A JPH11107036A JP H11107036 A JPH11107036 A JP H11107036A JP 26433797 A JP26433797 A JP 26433797A JP 26433797 A JP26433797 A JP 26433797A JP H11107036 A JPH11107036 A JP H11107036A
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Abstract
ープ、漁網、縫糸等に応用できる、公知のポリトリメチ
レンテレフタレート繊維に比較して、高強度と同時に残
存伸度が高く、低弾性率、高弾性回復率を兼ね備えた高
強度ポリエステル繊維及びその製造法の提供。 【解決手段】 実質的にポリトリメチレンテレフタレー
トから構成され、強度5g/d以上、伸度20〜40
%、弾性率Q(g/d)と弾性回復率R(%)との関係
が式(1)を満足し、損失正接のピーク温度が97〜1
20℃である高強度ポリエステル繊維及びその製造法。 0.2≦Q/R≦0.45 ・・・(1)
Description
ル繊維に関する。更に詳しくは、発現される強度が高め
られた、ストッキング、タイツ、ジャージ、水着、ロー
プ、漁網、縫糸等に好適なポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維およびその製造法に関する。
ルに代表されるテレフタル酸の低級アルコールエステル
と、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオー
ル)を重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタ
レートは、優れた弾性回復性、低弾性率(ソフトな風合
い)、易染性といったポリアミドに類似した性質と、耐
光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率といったポリ
エチレンテレフタレートに類似した性能を併せ持つ画期
的なポリマーであり、その特徴を生かしてBCFカーペ
ット、ブラシ、テニスガット等に応用されている(特開
平9−3724号公報、特開平8−173244号公
報、特開平5−262862号公報)。
ト繊維を用いると、耐光性、熱セット性等の性能が低い
というポリアミド繊維の性質が改良されると同時に、優
れた弾性回復性、低弾性率(ソフトな風合い)、易染性
といったポリアミド類似の繊維を提供することが可能と
なるために、既存のポリアミド繊維を凌駕できる可能性
が高い。
レート繊維の強度は、高々4g/d程度であり(例え
ば、特開昭52−5320号公報)、5g/d以上の比
較的高強度を要求される用途、例えばストッキング、タ
イツ、ジャージ、水着、ロープ、漁網、縫糸などに用途
展開を図る際には、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維の強度を高めることが是非必要となってくるが、これ
までにそのような高強度ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維は知られていない。
度が発現しにくい理由については、明らかではない。し
かし、本発明者らの検討では、ポリエチレンテレフタレ
ート繊維と比較すると、ポリエチレンテレフタレート分
子は直線に近い形で配向するために、繊維中の単位断面
積当たりの分子数が多くなって強度は高くなるが、ポリ
トリメチレンテレフタレート分子はトリメチレン部分の
真ん中のメチレン部分で分子が大きく屈曲する形が熱力
学的に最も安定な構造を取るために、単位断面積当たり
の分子数が小さくなり強度が低くなることがわかった。
従って、ポリトリメチレンテレフタレート繊維の高強度
化には、特殊な分子構造を考慮した紡糸方法の設計が是
非必要となるが、このような検討はこれまでに報告され
ていない。
的に安定に生産できる、5g/d以上の強度を持ったポ
リトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造法を
提供しようとすることにある。
上させるためにはポリトリメチレンテレフタレートポリ
マーの性質、紡糸条件を極めて特定の狭い範囲に設定す
ることで、上記の課題を解決できる可能性を見出し、更
に検討の結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の
第一は、実質的にポリトリメチレンテレフタレートから
構成され、強度5g/d以上、伸度20〜40%、弾性
率Q(g/d)と弾性回復率R(%)との関係が式
(1)を満足し、損失正接のピーク温度が97〜120
℃であることを特徴とする強度ポリエステル繊維、であ
り、 0.2≦Q/R≦0.45 ・・・(1) 本発明の第二は、極限粘度が1以上の実質的にポリトリ
メチレンテレフタレートから構成されるポリマーを溶融
後紡口より押出し、溶融マルチフィラメントを紡口直下
に設けた80〜200℃の雰囲気温度に保持した長さ5
〜100cmの保温領域を通過させて急激な冷却を抑制
した後、この溶融マルチフィラメントを急冷して固体マ
ルチフィラメントに変え、300〜1500m/min
で引き取り、まず未延伸マルチフィラメントを得て、こ
の未延伸マルチフィラメントを一旦巻き取った後あるい
は巻き取ることなく延伸工程に供し、次いで緊張下で熱
処理することを特徴とする請求項1の高強度ポリエステ
ル繊維の製造法、である。
フタル酸と1、3−プロパンジオールを重縮合せしめて
得られるポリトリメチレンテレフタレートである。本発
明において実質的にとは、ポリトリメチレンテレフタレ
ートホモポリマーであっても以下に示すポリトリメチレ
ンテレフタレートコポリマーであってもよいことを示
す。すなわち、本発明の効果を損なわない範囲で、イソ
フタル酸、コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸テトラブチルポ
スホニウム塩等の酸成分や、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノー
ル等のグリコール成分、ε−カプロラクトン、4−ヒド
ロキシ安息香酸、ポリオキシエチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール等が10重量%(wt%)未
満共重合されていてもよい。
ば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍
光増白剤などを共重合、または混合してもよい。本発明
に用いるポリマーは、トリメチレンテレフタレートのオ
リゴマーの含有量が3wt%以下であることが好まし
く、これによって毛羽による強度低下を避けることが可
能になるほか、工業的に必要な紡糸安定性を確保でき
る。尚、トリメチレンテレフタレートオリゴマーとは、
通常トリメチレンテレフタレート単位が2〜4繋がった
オリゴマーであり、線状構造であっても、環状構造であ
ってもよい。3wt%を越える場合には、例えば、紡糸
する場合、オリゴマ−が紡口周りに析出し、糸切れ、毛
羽が起こってしまう。尚、ここで長時間紡糸を行うため
には、1.5wt%以下が好ましく、更に好ましくは1
wt%である。更に、得られた繊維の毛羽が少なくなる
という点では、0.5wt%以下、更に好ましくは0.
3wt%以下が好ましく、もちろん理想的は不含であ
る。
子量300以下の有機物の含有量が1wt%以下である
ことが好ましく、この範囲内で一層のワイピング周期の
延長と着色しないとか、耐光性に優れるといった性能を
確保できる。ここで言う分子量300以下の有機物と
は、ポリマーに共重合されていない有機物である。本発
明者らの検討によれば、分子量300以下の有機物とし
ては、アリルアルコール、アクロレイン、2−ブタノー
ル、ヘキサノール、ヘプタノール、グリシジルメチルエ
ーテル、オキシプロピルメチルエーテル等が存在し、こ
れらの化合物の総量が成形性、製品耐久性、耐候性に大
きな影響を与えることを見出した。分子量300以下の
有機物の含有量が1wt%を越える場合には、例えば、
紡糸する時に糸切れや毛羽が発生しやすくなったり、光
で着色しやすいものになってしまう。さらに好ましく
は、分子量300以下の有機物の含有量が5000pp
m以下であり、特に好ましくは、1000ppm以下で
ある。もちろん、理想的には不含である。
℃以上であることが好ましい。ここで融点とは、220
〜250℃の範囲で融解と考えられるピークのピーク値
と定義する。融解ピークが複数存在する場合(ショルダ
ーピークも含む)は、低い温度のピークを融点とする。
融点が227℃未満では耐候性の低下が起こりやすくな
る。例えば、一度ポリトリメチレンテレフタレートを合
成し、そのポリマーを200℃程度で固相重合すると、
オリゴマー量は大きく低下させることができる。しかし
ながら、固相重合を行うと、原料ポリマーの融点は、大
きく低下し、225℃にも満たない状態となる。このよ
うなポリマーの中には、トリメチレングリコールが2量
化して生成するビス−3−ヒドロキシプロピルエーテル
が大量に共重合されたり、末端カルボキシル基量が増え
たりする結果、紡糸安定性や耐候性が低下しやすい。好
ましいポリマーの融点としては230℃以上であり、更
に好ましくは233℃以上である。
[η]が1以上であり、更に好ましくは1.2以上であ
る。この範囲で、強度、紡糸性に優れた繊維を得ること
ができる。極限粘度が1未満の場合は、ポリマーの分子
量が低すぎるため強度発現が困難となる。逆に極限粘度
が2.5を越える場合は、溶融粘度が高すぎるために紡
糸時にメルトフラクチャーや紡糸不良が生じるので好ま
しくはない。
ましい一例を挙げるならば、テレフタル酸、またはテレ
フタル酸ジメチルを原料とし、これにトリメチレングリ
コールを酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜
鉛、酢酸コバルト、酢酸マンガンといった金属酢酸塩1
種あるいは2種以上を0.03〜0.1wt%加え、常
圧下あるいは加圧下でエステル交換率90〜98%でビ
スヒドロキシプロピルテレフタレートを得る。このよう
に本発明の目的を達成させるためには、遷移金属以外の
金属酢酸塩を用いることが好ましい。
タンテトラブトキシド、三酸化アンチモンといった触媒
の1種あるいは2種以上を好ましくは0.03〜0.1
5wt%、さらに好ましくは0.03〜0.1wt%添
加し、250〜270℃で減圧下反応させる。重合の任
意の段階で、好ましくは重縮合反応の前に安定剤を入れ
ることが樹脂組成物の白度、ポリトリメチレンテレフタ
レートオリゴマーや分子量が300以下の有機物量を特
定量に制御できる観点で好ましい。この場合の安定剤と
しては、5価または/および3価のリン化合物やヒンダ
ードフェノール系化合物が好ましい。5価または/およ
び3価のリン化合物としては、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスファイ
ト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイ
ト、トリフェニルホスファイト等が挙げられ、特に、ト
リメチルホスファイトが好ましい。ヒンダードフェノー
ル系化合物とは、フェノール系水酸基の隣接位置に立体
障害を有する置換基を持つフェノール系誘導体であり、
分子内に1個以上のエステル結合を有する化合物であ
る。
ラキス[3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニ
ル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、ト
リエチルグリコール−ビス[3(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3
(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]を例示しうる。中でもペンタエリスリトール−テト
ラキス[3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]が好ましい。
的に次に示す性質がある。共重合されたビス−3−ヒド
ロキシプロピルエーテルの含有量は0.1wt%以下で
ある。また、色相をb値で示すと10以下、場合によっ
ては3以下である。また、末端カルボキシル基量は10
〜35mg当量/kgである。本発明の高強度ポリエス
テル繊維は、強度が5g/d以上である。使用するポリ
マーの極限粘度、不純物量、紡糸条件が最適なものは、
6〜7g/dも可能な繊維である。
一つは、強度を高めても伸度が20%未満にならないこ
とである。例えば、ポリエチレンテレフタレートは延伸
倍率を高め、強度を上げてゆくと伸度も大幅に低下し、
最終的には数%まで下がる。これはポリトリメチレンテ
レフタレート分子がZ型の屈曲した結晶構造を示し、完
全伸びきり構造の76%程度しがc軸の長さがないこと
に由来する。このように強度を高めても伸度が残るため
にタフネスに優れた繊維となる。尚、伸度が40%を越
えるような延伸倍率では強度発現率が小さく、本発明の
目的を満足しない。好ましくは、20〜30%である。
は、弾性率Q(g/d)と20%伸長後1分間放置後の
弾性回復率R(%)とが式(1)を満足することが必要
である。 0.2≦Q/R≦0.45 ・・・(1) Q/R>0.45では弾性率が高すぎるために、ソフト
な風合いが得られないか、あるいは弾性回復性が不足
し、一度応力が加わって変形した繊維は元に戻らなくな
ってしまい、形態安定性の悪い布帛しか得ることができ
なかったりする。逆に、Q/R<0.2となる領域は実
質存在しないため、本発明においては、0.2をQ/R
の下限界としている。式(1)の範囲となりうる具体的
な弾性率は、通常25〜40g/d、弾性回復率は80
〜99%となる。
粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(以
下、Tmaxと略記する)が97〜120℃であること
が必要である。Tmaxは、非晶部分の分子密度に対応
するので、この値が大きくなるほど非晶部分の分子密度
が高くなる。高強度を達成させるためには、非晶部分の
配向、すなわち分子密度の増大が必要となってくる。T
maxが97℃未満では、非晶部分の分子密度が低すぎ
て、高強度を達成できない。また、Tmaxが120℃
よりも高いと、非晶部分の配向が高すぎて圧縮や屈曲に
対して繊維が弱くなり、毛羽が発生しやすくなる。好ま
しくは、108〜115℃である以下、本発明の高強度
ポリエステル繊維を紡糸する方法を示す。
リトリメチレンテレフタレートから構成されるポリマー
を溶融後紡口より押出し、溶融マルチフィラメントを紡
口直下に設けた80〜200℃の雰囲気温度に保持した
長さ5〜100cmの保温領域を通過させて急激な冷却
を抑制した後、この溶融マルチフィラメントを急冷して
固体マルチフィラメントに変え、300〜1500m/
minで引き取り、まず未延伸マルチフィラメントを得
て、この未延伸マルチフィラメントを一旦巻き取った後
あるいは巻き取ることなく延伸工程に供し、次いで緊張
下で熱処理を行うという高強度ポリエステル繊維の製造
法である。
った後にボビン等に巻き取り、この糸を別の装置を用い
て延伸する、いわゆる、通常延伸法を指し、また、紡口
より押し出されたポリマーが完全に冷却固化した後、一
定の速度で回転している第一ロールに数回以上巻き付け
られることにより、ロール前後での張力が全く伝わらな
いようにし、第一ロールと第一ロールの次に設置してあ
る第二ロール、更には同様に並んだ第三あるいはそれ以
上のロールとの間で、単一あるいは多段延伸を行うよう
な、紡糸と延撚工程とを直結した、いわゆる、直接延伸
法を指す。
は、ポリマーを溶融紡糸する際の紡糸温度が230〜3
20℃であることが好ましく、更に好ましくは235〜
300℃、特に好ましくは240〜280℃の範囲であ
る。紡糸温度が230℃未満では、温度が低過ぎて安定
した溶融状態になり難く、得られた繊維の斑が大きくな
り、また満足し得る強度、伸度を示さなくなる。また、
紡糸温度が320℃を越えると熱分解が激しくなり、得
られた糸は着色し、また満足し得る強度、伸度を示さな
くなる。
が、通常300〜1500m/minであり、好ましく
は300〜1000m/min、さらに好ましくは30
0〜500m/minで巻き取る。巻取速度が1500
m/minを越えると、巻き取る前に結晶化が進み過
ぎ、延伸行程で延伸倍率を上げることができないため
に、分子を配向させることができず、十分な糸強度を発
現できなくなる。
ために一概にいうことはできないが、通常は2〜6倍、
好ましくは3〜5倍が良い。延伸倍率が2倍以下では、
延伸により十分にポリマーを配向させることができず、
得られた糸の強度や弾性回復率は低いものとなってしま
う。また6倍以上では糸切れが激しく、安定して延伸を
行うことができない。
は、紡口から出た溶融マルチフィラメントを直ちに急冷
させず、紡口直下に設けた80〜200℃の雰囲気温度
に保持した長さ5〜100cmの保温領域を通過させて
急激な冷却を抑制した後、この溶融マルチフィラメント
を急冷して固体マルチフィラメントに変えて続く延伸工
程に供することが極めて重要である。この保温領域を通
過させることで、ポリマーを急冷による微細な結晶や極
度に配向した非晶部分の生成を抑制し、延伸工程で延伸
されやすい非晶構造を作ることができる。
ば、ポリエチレンテレフタレートといったポリエステル
に比較して遥かに速い結晶化速度を有しているので、こ
のような徐冷を行うことは、微細な結晶や極度に配向し
た非晶部分の生成を抑制する上で極めて有効な方法であ
る。80℃未満では若干急冷気味となり、延伸倍率を上
げにくくなる。また、200℃以上では糸切れが起こり
やすくなる。このような保温領域の温度は80〜200
℃であり、好ましくは100〜150℃である。また、
この保温領域の長さは5〜100cmであり、好ましく
は10〜50cmである。
法は、延伸の際に熱を付与することが好ましく、この熱
付与によって分子が動きやすくなり、毛羽が発生するこ
となく安定な延伸を行うことができる。このような温度
はロールによって付与できる。すなわち、延伸ゾーンで
は30〜80℃が好ましく、さらに好ましくは35〜7
0℃、特に好ましくは40℃〜65℃である。延伸ゾー
ンの温度が30℃未満では延伸の際に糸切れが多発し、
連続して繊維を得ることができない。また80℃を越え
ると延伸ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の滑り性が
悪化するため単糸切れが多発し、毛羽だらけの糸になっ
てしまう。また、ポリマー同士がすり抜けてしまうため
十分な配向がかからなくなり弾性回復率が低下する。
は、延伸を行った後で、更に延伸をしながら、あるいは
緊張下で熱処理を行うことが必要である。この熱処理は
90〜220℃が好ましく、さらに好ましくは100〜
190℃、特に好ましくは110〜190℃で行う。熱
処理温度が90℃未満では繊維の結晶化が十分に起こら
ず、弾性回復性が悪化する。また、220℃より高い温
度では繊維が熱処理ゾーンで切れてしまい延伸すること
ができない。また、熱処理温度が160〜200℃であ
っても弛緩状態では毛羽や糸切れが生じやすい。
り詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例な
どにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主
な測定値は以下の方法で測定した。 (1)極限粘度 この極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる
値である。
ロフェノールで溶解したポリエステルポリマーの希釈溶
液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自
体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されている
ものである。またCは、上記溶液100ml中のグラム
単位による溶質重量値である。 (2)損失正接 オリエンテック(株)製レオバイブロンを用い、乾燥空
気中、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分にて、
各温度における損失正接(tanδ)、および動的弾性
率を測定した。その結果から、損失正接−温度曲線を求
め、この曲線上で損失正接のピーク温度であるTmax
(℃)を求めた。昇温速度5℃/min、測定周波数1
10Hzで求めた。 (3)融点 セイコー電子(株)製DSCを用い、20℃/minの
昇温速度で100ml/minの窒素気流下中で測定し
た。ここでは、融解のピークのピーク値を融点とした。 (4)ポリトリメチレンテレフタレートオリゴマーの定
量 微細化したポリエステル樹脂組成物、ポリエステル繊維
を、ソックスレー抽出器を用いて、クロロホルムで50
時間抽出して、得られたオリゴマーを、用いた試料に対
する重量%で示した。 (5)分子量300以下の有機物の構造決定と定量 (2)で得たクロロホルム液からポリエステル樹脂組成
物、繊維に含まれる分子量300以下の有機物を求め
た。キャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフィ
ーを用いて分析を行った。用いたカラムはシリコン系と
ポリエチレングリコール系の2種を用いた。分離した各
成分について、構造決定にはマススペクトル(GC−M
S)を用い、その秤量は検量線を作成し、用いた試料に
対する濃度をppmで求めた。 (6)弾性回復率 弾性回復性は、下記の方法で得られる弾性回復率として
求めた。
機に取り付け、伸長率20%まで引張速度20cm/m
inで伸長し1分間放置する。この後、再び同じ速度で
元の長さ(L)までもどし、この時応力がかかっている
状態でのチャックの移動距離(残留伸び:L’)を読み
とり、以下の式に従って求めた。 弾性回復率=(L−L’)×100/L
ジオールを1:2のモル比で仕込み、理論ポリマー量の
0.1wt%に相当する酢酸カルシウムと酢酸コバルト
の混合物(9:1)を加え、徐々に昇温し240℃でエ
ステル交換反応を完結させた。得られたエステル交換物
にチタンテトラブトキシドを理論ポリマー量の0.1w
t%添加し、270℃で2時間反応させた。得られたポ
リマーの極限粘度は1.6であった。オリゴマー量は
0.1wt%であり、分子量300以下の有機物量は、
330ppm、融点は234℃であった。
36個の丸断面の孔を持つ紡口を用い、270℃で溶融
させたポリマーを長さ30cmの、120℃の保温筒を
通過させ、紡糸速度300m/minで紡糸して未延伸
糸を作成した。次いで、得られた未延伸糸をホットロー
ル53℃、ホットプレート140℃、延伸倍率4倍、延
伸速度600m/minで延撚を行い、50d/36f
の延伸糸を得た。
14℃、強度6.0g/d、伸度22%、弾性率23g
/d、弾性回復率83%であった。また、Q/Rは0.
28となり、式(1)を満足することができた。 Q/R=0.28<0.45
キシド0.1wt%を用いた以外は実施例1と同様の反
応を繰り返した。得られたポリマーのオリゴマー量は
3.5wt%であり、分子量300以下の有機物量は、
1700ppm、融点は233℃であった。このポリマ
ーを用いて紡糸を行ったが、紡口面に白い有機物が析出
した。得られた繊維の強度は4.1g/dであった。
で紡糸を行ったところ、強度は4.0g/d、伸度23
%であった。
来公知のポリトリメチレンテレフタレート繊維に比較し
て、強度が極めて高い繊維である。本発明の製造法は、
従来のポリトリメチレンテレフタレート繊維に比べ、高
強度と同時に残存伸度が高く、低弾性率、高弾性回復率
を兼ね備えた高強度ポリエステル繊維を製造できるため
に、得られた高強度ポリエステル繊維をストッキング、
タイツ、ジャージ、水着、ロープ、漁網、縫糸等に応用
することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 実質的にポリトリメチレンテレフタレー
トから構成され、強度5g/d以上、伸度20〜40
%、弾性率Q(g/d)と弾性回復率R(%)との関係
が式(1)を満足し、損失正接のピーク温度が97〜1
20℃であることを特徴とする高強度ポリエステル繊
維。 0.2≦Q/R≦0.45 ・・・(1) - 【請求項2】 極限粘度が1以上の実質的にポリトリメ
チレンテレフタレートから構成されるポリマーを溶融後
紡口より押出し、溶融マルチフィラメントを紡口直下に
設けた80〜200℃の雰囲気温度に保持した長さ5〜
100cmの保温領域を通過させて急激な冷却を抑制し
た後、この溶融マルチフィラメントを急冷して固体マル
チフィラメントに変え、300〜1500m/minで
引き取り、まず未延伸マルチフィラメントを得て、この
未延伸マルチフィラメントを一旦巻き取った後あるいは
巻き取ることなく延伸工程に供し、次いで緊張下で熱処
理することを特徴とする請求項1の高強度ポリエステル
繊維の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26433797A JP3789030B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 高強度ポリエステル繊維およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26433797A JP3789030B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 高強度ポリエステル繊維およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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