JP2000313890A - 炭化水素供給原料のウルトラディープhdsを行うための方法 - Google Patents

炭化水素供給原料のウルトラディープhdsを行うための方法

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JP2000313890A JP2000101441A JP2000101441A JP2000313890A JP 2000313890 A JP2000313890 A JP 2000313890A JP 2000101441 A JP2000101441 A JP 2000101441A JP 2000101441 A JP2000101441 A JP 2000101441A JP 2000313890 A JP2000313890 A JP 2000313890A
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Frans Lodewijk Plantenga
ロデウィク プランテンガ フランス
Houtert Franciscus Wilhelmus Van
ウィルヘルムス ファン ホウテルト フランシスカス
Johannes Wilhelmus M Sonnemans
ウィルヘルムス マリア ソンネマンス ヨハネス
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】炭化水素供給原料の硫黄含量を、200ppm未満、
好ましくは50ppm未満の値まで減少する方法を提供す
る。 【解決手段】担体上に第VIB族金属成分、第VIII族金属
成分および有機添加剤を含む触媒を硫化段階に供するこ
と、95%が450℃以下の沸点を有しかつ500ppm以下の硫
黄含量を有する供給原料を、高められた温度および圧力
の条件下で、硫化された触媒と接触させて200 ppm未満
の硫黄含量を有する生成物を生じることを含む方法。有
機添加剤は好ましくは、少なくとも2個のヒドロキシル
基および2〜10個の炭素原子を含む化合物ならびにこれ
らの化合物の(ポリ)エーテルから成る群より選ばれる
少なくとも1種の化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素供給原料
(feedstock)のウルトラディープ(ultra-deep)HDSを
行うための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料の燃焼からSO2放出を調節し、か
つ反末触媒、特に排気処理触媒の性能を最適化するため
の努力において、燃料、特にディーゼル燃料の硫黄含量
に関しての規制は、だんだんと厳しくなってきている。
欧州では、ディーゼル供給原料は、2000年現在、硫黄含
量350ppm未満を有することが要求されるが、2005年に
は、硫黄含量は50ppm未満にしなければならず、もっと
減らすことさえ除外されてはいない。
【0003】したがって、95%が450℃以下の沸点を有
する炭化水素供給原料の硫黄含量を、全液体生成物に対
して元素硫黄として重量で計算して200ppmより下に、好
ましくは100ppmより下に、より好ましくは50ppmより下
にさえ減らすことができる触媒系への増加する要求があ
る。
【0004】本明細書においては、ウルトラディープ(u
ltra-deep)HDSという語は、炭化水素供給原料の硫黄
含量を、ASTM D-4294に従って測定したとき、全液体生
成物に対して元素硫黄として重量で計算して200ppmより
下に、好ましくは100ppmより下に、より好ましくは50pp
mより下の値にさえ減らすことを意味する。第VIB族およ
び第VIII族という表示は、ケミカル アブストラクト
サービシーズ(Chemical Abstract Services)(CASシス
テム)による元素の周期律表に対応する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このウルトラディープ
HDSを行うことに関する問題は、なお原料中に存在す
る硫黄化合物のみが、非常に除去が困難なものであるこ
とである。その供給源によって、石油画分は、種々のタ
イプの硫黄化合物を含むことができる。中間留出画分に
おいては、主な硫黄成分は、ベンゾチオフェンおよびジ
ベンゾチオフェンである。直留材料においては、有意量
の他の成分、例えばチオフェン、メルカプタン、サルフ
ァイドおよびジサルファイドが存在する。これらのう
ち、サルファイドおよびジサルファイドが最も反応性で
あり、次いでチオフェン、ベンゾチオフェンおよびジベ
ンゾチオフェンである。ジベンゾチオフェン群の中で
は、いくつかの成分が他より反応性である。したがっ
て、硫黄濃度が、例えば約0.3重量%の値まで減らされ
る慣用のHDSにおいては、サルファイドおよびチオフェ
ンが除去される。例えば200〜500ppmの硫黄濃度にす
る、深(deep)HDSにおいては、ベンゾチオフェンが除
去される。そのとき残留する唯一の化合物が、限られた
数のアルキル化ベンゾチオフェンであり、4位または6
位にアルキルを有するアルキルベンゾチオフェンは特に
除去するのが難しい。
【0006】これらの非常に反応性の硫黄化合物が分解
する反応機構は、反応性がより少ない化合物が分解する
反応機構とは異なることがまたわかった。このことは、
例えば、HDSのために特に適当であると知られている
触媒がウルトラディープHDSにおいてあまりよく機能
しないらしいという事実によって明らかである。例え
ば、慣用的に、コバルト‐モリブデン触媒は、ニッケル
‐モリブデン触媒よりHDSにおいて活性である。しか
しながら、ウルトラディープHDSについては、ニッケ
ル‐モリブデン触媒が、コバルト‐モリブデン触媒より
よい結果を示すことがわかった。ティペット(Tippet)ら
により、1999年NPRAミーティングにて提出された「ウル
トラ ロー サルファー ディーゼル:キャタリスト
アンド プロセス オプションズ(Ultra low sulphur d
iesel: Catalyst and Process options)」という題の論
文が参照される。
【0007】反応機構におけるこの違いの結果は、より
低い硫黄含量を有する材料を製造しなければならないこ
とに直面する精製者が、より厳しい条件下で通常の水素
化脱硫触媒をまさに適用することができないことを暗示
する。それどころか、彼は、ウルトラディープHDSを
行うのに最も有効な水素化処理触媒を特別に選ばなけれ
ばならないであろう。ウルトラディープHDSを行うの
に必要な反応条件がむしろそれ自体で厳しいので、この
ことは、ますますそうであり、よりよい触媒の使用はあ
まり厳しくない反応条件を選ぶことを可能にし、エネル
ギーの節約およびより長い触媒寿命をもたらす。
【0008】
【課題を解決するための手段】硫化(sulfidation)前に
第VIB族金属成分、第VIII族金属成分および有機添加剤
を含む触媒は、炭化水素供給原料の硫黄含量を200ppm未
満の値に減らすことに非常に有効であることを我々は見
出した。さらに、この触媒は、改善された窒素除去、全
芳香族化合物除去および多核芳香族化合物の除去と組合
せてウルトラディープHDSを行うことを可能にする。
【0009】したがって、本発明は、炭化水素供給原料
の硫黄含量を200ppm未満の値に減らす方法であって、担
体上に第VIB族金属成分、第VIII族金属成分および有機
添加剤を含む触媒を硫化段階に供すること、ならびに、
95%が450℃以下の沸点を有しかつ500ppm以下の硫黄含
量を有する供給原料を、高められた温度および圧力の条
件下で、硫化した触媒と接触させて200ppm未満の硫黄含
量を有する生成物を生ずることを含む方法に関する。
【0010】触媒 硫化前に第VIB族金属成分、第VIII族金属成分および有
機添加剤を含む触媒は、当分野でそれ自体公知である。
【0011】例えば、欧州特許出願第0,601,722号は、
ガンマアルミナ担体を、第VIB族金属成分、第VIII族金
属成分および有機添加剤を含む含浸溶液で含浸させ、有
機添加剤は、少なくとも2個のヒドロキシ基および2〜
10個の炭素原子を含む化合物ならびにこれらの化合物の
(ポリ)エーテルからなる群より選択される少なくとも
1種の化合物である、触媒の製造方法を記載する。国際
特許出願公開第96/41848号は、上記した添加剤を出来上
った触媒組成物に組み込むことによって、添加剤含有触
媒が製造される方法を記載する。すなわち、水素化金属
成分を酸化物形(焼成によってその形にされた)で含む
触媒組成物を詳述された添加剤と接触させる。
【0012】特開平04-166,231号公報は、担体を、第VI
B族金属成分、第VIII族金属成分および任意的にリン成
分を含む含浸溶液で含浸させる、水素化処理触媒を製造
する方法を記載する。担体は、200℃より下の温度で乾
燥し、ポリオールと接触させ、次いで200℃より下の温
度で再び乾燥させる。
【0013】特開平04-166,233号公報は、ポリオールの
代わりにアルコキシカルボン酸を使用した以外は上記の
特許出願と実質的に同じ方法を記載する。
【0014】特開平06-339,635号公報は、担体を、有機
酸、第VIB族および第VIII族水素化金属成分ならびに、
好ましくはリン成分を含む含浸溶液で含浸させる方法を
記載する。含浸した担体は、200℃より下の温度で乾燥
される。乾燥した含浸した担体を、有機酸またはポリオ
ールと接触した後、かくして処理された担体を200℃よ
り下の温度で乾燥する。
【0015】特開平06-210,182号公報は、3〜15重量%
のボリア(boria)を含むボリア‐アルミナ担体を、第V
IB族金属成分、第VIII族金属成分およびポリオールを含
む含浸溶液で含浸させる触媒の製造方法を記載する。含
浸した担体は、110℃の温度で乾燥して、触媒を生じ
る。アクゾ ノーベル(Akzo Nobel)の名前で1999年、4
月8日に出願した前公開されていない欧州特許出願第9
9,201,051.2号は、Nおよびカルボニルを含む有機化合
物を含有する触媒を記載する。
【0016】原則として、担体上に第VIB族水素化金
属、第VIII族水素化金属および有機添加剤を含む上記の
参考文献の任意のものまたはそうでないものに従う任意
の方法により製造された任意の触媒が、本発明の方法に
おいて使用するのに適当である。第VIB族金属として
は、モリブデン、タングステンおよびクロムを挙げるこ
とができる。第VIII族金属としては、ニッケル、コバル
トおよび鉄を包含する。本発明のウルトラディープHD
Sプロセスにおいては、第VIB族金属成分としてモリブ
デンならびに、第VIII族金属成分としてニッケルおよび
/またはコバルトを含む触媒を使用するのが好ましい。
第VIII族金属成分としてニッケルを使用するのが特に好
ましい。
【0017】触媒は普通、添加剤を含まない触媒の乾燥
重量に対して0.1〜50重量%の範囲の金属含量を有す
る。第VIB族金属はしばしば、三酸化物として計算し
て、5〜30重量%、好ましくは15〜25重量%の量で存在
する。第VIII族金属はしばしば、一酸化物として計算し
て、それぞれ1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の
量で存在する。所望なら、触媒はまた、他の成分、例え
ばリン、ハロゲンおよびホウ素を含むことができる。特
に、P25として計算して1〜10重量%の量でのリンの
存在が好ましくあり得る。
【0018】触媒担体は、慣用の酸化物、例えばアルミ
ナ、シリカ、シリカ‐アルミナ、その中に分散させたシ
リカ‐アルミナを有するアルミナ、シリカでコーティン
グされたアルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリアお
よびチタニア、ならびにこれら酸化物の混合物を含むこ
とができる。概して、アルミナ、シリカ‐アルミナ、そ
の中に分散させたシリカ‐アルミナを有するアルミナま
たはシリカでコーティングされたアルミナを含む担体が
好ましい。アルミナまたは、20重量%まで、好ましくは
10重量%までのシリカを含むアルミナから本質的に成る
担体が特に好ましい。遷移アルミナ、例えばエータ、シ
ータまたはガンマ アルミナを含む担体が、この群の中
で好ましく、ガンマアルミナ担体が特に好ましい。
【0019】触媒の細孔容積(水銀の浸透により測定)
は、本発明の方法には重要ではなく、一般に0.25〜1ml
/gの範囲にある。比表面積もまた本発明の方法には重要
ではなく、一般に50〜400m2/g(BET法を用いて測定)の
範囲にある。好ましくは触媒は、水銀ポロシメトリー(p
orosimetry)で測定(接触角130°)したメジアン孔径7
〜15nmの範囲を有し、少なくとも60%の全細孔容積がメ
ジアン孔径から 2nmの範囲にある。このデータは、500
℃の温度で1時間焼成した後の触媒で測定される。触媒
は適当には球または押出物の形状である。適当なタイプ
の押出物の例は、文献に開示されている(とりわけ、米
国特許第4,028,227号明細書参照)。使用するのに非常
に適当なものは、円筒形粒子(中空またはそうでないこ
とができる)ならびに対称および非対称のポリローブ(p
olylobed)粒子(2、3または4つの突出部)である。
【0020】硫化前に、本発明の方法において使用され
るべき触媒に存在する有機添加剤は、任意の有機添加剤
であることができる。好ましくは有機添加剤は、少なく
とも2個の酸素原子および2〜10個の炭素原子を含む化
合物ならびに、これらの化合物から構成される化合物か
らなる群より選択される。少なくとも2個の酸素含有
基、例えばカルボキシル、カルボニルまたはヒドロキシ
ル基および2〜10個の炭素原子を含む化合物ならびに、
これらの化合物から構成される化合物からなる群より選
択される有機化合物が好ましい。適当な化合物の例とし
ては、クエン酸、酒石酸、蓚酸、マロン酸、リンゴ酸、
ブタンジオール、ピルブアルデヒド、グリコールアルデ
ヒドおよびアセタルドールを包含する。この時点では、
1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基および2
〜10個の炭素原子を含む化合物ならびに、これらの化合
物の(ポリ)エーテルから成る群より選ばれる添加剤が
好ましい。この群の適当な化合物は、脂肪族アルコー
ル、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン等を含む。これらの化合物のエーテルは、ジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメ
チレングリコール、トリエチレングリコール、トリブチ
レングリコール、テトラエチレングリコール、テトラペ
ンチレングリコールを含む。この範囲は、ポリエチレン
グリコールのようなポリエーテルを含むことを推定す
る。この最後の化合物については、200〜600の分子量を
有するポリエチレングリコールが好ましい。本発明で使
用するのに適当な他のエーテルは、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールモノプロピルエーテルおよびジエ
チレングリコールモノブチルエーテルを含む。これらの
うちで、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよび
200〜600の分子量を有するポリエチレングリコールが好
ましい。
【0021】1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシ
ル基および2〜10個の炭素原子を含む化合物の別の群
は、糖類である。好ましい糖類としては、単糖類、例え
ばグルコースおよびフラクトースを含む。そのエーテル
としては、2糖類、例えばラクトース、マルトースおよ
びサッカロースを含む。これらの化合物のポリエーテル
としては多糖類を含む。
【0022】添加剤のさらなる群は、少なくとも1個の
共有結合した窒素原子および少なくとも1個のカルボニ
ル基を含む化合物である。例としては、アミノポリカル
ボン酸、例えばニトリロ‐三酢酸およびジエチレントリ
アミン‐五酢酸を含む。この場合、有機化合物は好まし
くは少なくとも2個の窒素原子および好ましくは少なく
とも2個のカルボニル基を含む。カルボキシル基に少な
くとも1個のカルボニル基が存在するのがさらに好まし
い。少なくとも1個の窒素原子が、少なくとも2個の炭
素原子に共有結合しているのがさらに好ましい。好まし
い有機化合物は、式(I)
【化1】 を満たす化合物であり、ここで、R1、R2、R1’およ
びR2’は独立して、10個までの炭素原子を有する、カ
ルボニル、カルボキシル、エステル、エーテル、アミノ
もしくはアミドから選択される1以上の基で任意的に置
換されている、アルキル、アルケニルおよびアリルから
選ばれる。R3は、−O−または−NR4−で中断される
ことができる、10個までの炭素原子を有するアルキレン
基である。R4は、R1について上記したのと同じ基から
選ばれる。R3アルキレン基は、カルボニル、カルボキ
シル、エステル、エーテル、アミノもしくはアミドから
選択される1以上の基で置換されていることができる。
先に述べてきたように、式(I)の有機化合物が少なくと
も1個のカルボニル基を含むことが必須である。
【0023】好ましくは、R1、R2、R1’およびR2’
のうち少なくとも2つが、式−R5−COOXを有し、
ここで、R5は1〜4個の炭素原子を有するアルキレン
基であり、Xは水素または他のカチオン、例えばアンモ
ニウム、ナトリウム、カリウム、および/またはリチウ
ムカチオンである。Xが多価カチオンであるなら、1つ
のXは2個以上の−R5−COO基に付着することがで
きる。そのような化合物の典型的な例は、エチレンジア
ミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸
およびジエチレントリアミン五酢酸である。
【0024】添加剤として、単独の化合物または化合物
の組合せを使用することが可能である。
【0025】硫化前に触媒に存在する添加剤の量は、特
定の状況に依存する。添加剤の適当な量は一般に、触媒
に存在する水素化金属1モル当たり0.01〜2.5モルの添
加剤の範囲にあることがわかった。添加される添加剤の
量が少なすぎると、本発明の有利な効果が得られない。
他方では、例外的に多い量の添加剤の添加は、本発明の
効果を向上させない。当業者が、添加剤の溶解性および
粘度にまた依存して、それぞれの特定の状況で使用すべ
き添加剤の最適量を決める範囲内がよい。
【0026】添加剤を触媒組成物中に組み込むやり方
は、現在は本発明の方法には重要ではないと考えられ
る。添加剤は、水素化金属成分の組込みの前、後または
同時に、触媒組成物中に組み込むことができる。
【0027】例えば、担体に水素化金属成分を添加する
前に添加することによって、水素化金属成分より前に添
加剤を触媒組成物中に組み込むことができる。これは、
成形される前に、添加剤を担体物質と混合することによ
って、または成形した担体物質を添加剤で含浸すること
によって行うことができる。
【0028】添加剤を、水素化金属成分と同時に触媒組
成物中に組み込むことがまた可能である。これは、例え
ば、添加剤および水素化金属成分を、成形前の担体物質
と混合することによって行うことができる。しかしなが
ら、水素化金属成分と同時に添加剤を触媒組成物中に組
み込む好ましい方法は、担体を、水素化金属成分および
添加剤を含む含浸溶液で含浸し、次いで、少なくとも一
部の添加剤が触媒中に保持されるような条件下で乾燥す
ることによる。これは、欧州特許出願公開601,722号に
記載された方法である。
【0029】添加剤を、水素化金属成分の後に触媒組成
物中に組み込むことがまた可能である。これは、例え
ば、まず、水素化金属成分を、例えば担体物質と混合す
る、または担体をそれで含浸することによって、触媒組
成物中に組込み、任意的にその後、乾燥および/または
焼成し、次いで添加剤を、例えば含浸によって組み込む
ことによって行うことができる。この方法の好ましい実
施態様は、国際特許出願公開WO 96/41,848号に記載され
た実施態様であり、ここでは、まず、触媒組成物が、水
素化金属成分を、例えば担体の含浸により、触媒組成物
中に組み込むことによって製造され、その後、触媒は焼
成段階に供せられて、水素化金属成分をそれらの酸化物
に転化し、次いで、添加剤が含浸によって触媒組成物中
に組み込まれる。この実施態様においては、例えば、水
素化金属成分を添加剤と共に担体上に含む、慣用の水素
化処理触媒を合成することが可能である。この方法で使
用される慣用の水素化処理触媒は、新たに製造された水
素化処理触媒または再生された使用済の水素化処理触媒
であることができる。
【0030】現在では、欧州特許出願公開 0,601,722号
および国際特許出願公開WO 96/41,848号に記載された方
法により製造された触媒が好ましいと考えられる。
【0031】硫化段階 本発明の方法の最初の段階は、添加剤含有水素化処理触
媒を硫化段階に供することである。本明細書において
は、硫化する段階(sulphiding step)または硫化段階(su
lphidation step)という表示は、触媒中に存在する少な
くとも一部の水素化金属成分が、直接にまたは水素での
活性化処理後に、硫化物形に転化される任意のプロセス
段階を含むことを意味する。適当な硫化プロセスは、従
来公知である。イク サイツ(ex situ)での硫化プロセ
スは、触媒が、炭化水素原料の水素化処理において使用
されるべき反応器の外で行われる。そのようなプロセス
において、触媒は、硫黄化合物、例えばポリサルファイ
ドまたは元素硫黄と、反応器の外で接触され、必要なら
乾燥される。第2段階において、この物質は、反応器中
で、任意的に原料の存在中で、高められた温度で水素気
体で処理されて、触媒を活性化する。すなわち、硫化さ
れた状態にされる。
【0032】イン サイツ(in situ)での硫化プロセス
は、触媒が、炭化水素原料の水素化処理において使用さ
れるべき反応器中で行われる。ここで、触媒は、反応器
中で高められた温度で、硫化剤、例えば硫化水素また
は、普及された条件下で硫化水素へ分解可能な化合物と
混合された水素気体流と接触される。普及された条件下
で硫化水素へ分解可能な硫黄化合物を含む炭化水素原料
と合せた水素気体流を使用することがまた可能である。
後者の場合、添加された硫化剤を含む炭化水素原料(い
わゆる、スパイクされた原料(spiked feed))を使用す
ることが可能であるが、いかなる硫化剤も添加しない硫
黄含有炭化水素原料を使用することがまた可能である。
というのは、原料中に存在する硫黄成分は、触媒の存在
中で硫化水素に転化されるからである。炭化水素原料
は、本発明の方法においてウルトラディープHDSに供
せられるべき原料であることができるが、またウルトラ
ディープHDSに供せられるべき原料で後に置き換えら
れる、別の原料であることができる。種々の硫化の技術
の組み合わせをまた適用できる。本発明においては、触
媒を、任意的にスパイクされた炭化水素原料と接触する
ことによって硫化することが、現在は好ましい。
【0033】原料 本発明の方法において使用するのに適当な供給原料は、
95%が、ASTM D-2887に従って測定した沸点450℃以下、
好ましくは420℃以下、より好ましくは400℃以下を有す
る。すなわち、供給原料の95体積%が、450℃以下、好
ましくは420℃以下、より好ましくは400℃以下の温度で
沸騰する。一般に、供給原料の最初の沸点は100℃より
上、好ましくは180℃より上である。原料は、500ppm未
満の硫黄、好ましくは150〜500ppmの硫黄を含む。
【0034】本発明の方法において使用されるべき供給
原料は、0.1重量%以上の硫黄、好ましくは0.2〜3.5重
量%の硫黄、より好ましくは0.5〜2.0重量%の硫黄を含
む出発炭化水素供給原料の水素化脱硫によって製造する
ことができる。出発供給原料は一般に、95%が、ASTM D
-2887に従って測定した沸点450℃以下、好ましくは420
℃以下、より好ましくは400℃以下を有する。一般に、
供給原料の最初の沸点は100℃より上、好ましくは180℃
より上である。供給原料は一般に、20〜1200ppm、好ま
しくは30〜800ppm、より好ましくは70〜600ppmの窒素を
含む。供給原料の金属含量は、好ましくは5ppm未満、よ
り好ましくは1ppm未満(Ni+V)である。適当な出発供給
原料の例は、1以上の直留軽油、軽い、触媒的にクラッ
キングされた軽油および軽い熱的にクラッキングされた
軽油を含む供給原料である。
【0035】上記した出発炭化水素供給原料は水素化脱
硫されて、その硫黄含量を500ppmより下の値に減らされ
る。この水素化脱硫プロセスは、アルミナを含む担体上
に第VIB族金属成分、第VIII族金属成分および任意的に
リンを含む慣用の水素化脱硫触媒を使用して行うことが
できる。適当な水素化脱硫触媒は、市販されていて入手
可能であり、例えば、アクゾ ノーベル(Akzo Nobel)の
KF 756およびKF 901を包含する。より多い硫黄を含む出
発供給原料から、2段階法、例えば欧州特許出願公開第
0,464,931号、第0,523,679号または第870,807号に記載
された方法によって、本発明の方法のための供給原料を
得ることがまた可能である。
【0036】さらに、上記した出発供給原料から、添加
剤に基づく触媒を使用することによって、本発明の方法
のための供給原料を得ることがまた可能である。本発明
はまた、このように、0.1重量%より上の硫黄含量を有
する出発供給原料を、200ppm以下の硫黄含量を有する生
成物へと転化するための2段階方法に関し、この方法
は、担体上に第VIB族金属成分、第VIII族金属成分およ
び有機添加剤を含む第1および第2の触媒の硫化、95%
が450℃以下の沸点を有しかつ0.1重量%以上の硫黄含量
を有する供給原料を高められた温度および圧力の条件下
で第1の硫化された触媒と接触させて500ppm未満の硫黄
含量を有する生成物を生じること、ならびに、第1の触
媒からの流出物を、任意的に分画または中間の相分離
後、任意的に、形成されたH2SおよびNH3の除去を含
んで、高められた温度および圧力の条件下で第2の硫化
された触媒と接触させて200 ppm未満の硫黄含量を有す
る生成物を生じることを含む。
【0037】この方法において、硫化前に有機添加剤を
含む第1および第2の触媒は、同じまたは異なることが
できる。この時点で、第1の触媒が第VIB族金属成分と
してモリブデンを、第VIII族金属成分としてコバルトお
よび/またはニッケルを含み、第2の触媒が、第VIB族
金属成分としてモリブデンを、第VIII族金属成分として
ニッケルを含むのが好ましいと考えられる。2段階法
は、所望されるように、1つの反応器または2つの反応
器で行うことができる。
【0038】プロセス条件 本発明の方法は、高められた温度および圧力で行われ
る。温度は一般に200〜450℃、好ましくは280〜430℃で
ある。反応器入口の水素分圧は一般に5〜200バール、好
ましくは10〜100バール、より好ましくは10〜50バール
である。液時空間速度は好ましくは0.1〜10体積/体積
・時間、より好ましくは0.5〜4体積/体積・時間であ
る。H2/オイル比は一般に50〜2000Nl/lの範囲、好ま
しくは80〜1000 Nl/lの範囲である。
【0039】プロセス条件は、全液体流出物の硫黄含量
が200ppm未満、好ましくは100ppm未満、より好ましくは
50ppm未満であるように選ばれる。正確なプロセス条件
は、とりわけ、供給原料の性質、水素化脱硫の所望の程
度および触媒の性質に依存する。一般に、より高い温
度、より高い水素分圧およびより低い空間速度が、最終
生成物の硫黄含量を減少させる。生成物中の所望の硫黄
含量を得るための適当なプロセス条件の選択は、水素化
加工の分野の当業者の範囲内がよい。
【0040】
【実施例】実施例1:ウルトラディープHDSにおける
ニッケル‐モリブデン触媒
【0041】添加剤含有触媒の製造 ガンマアルミナ担体の押出物を、モリブデン化合物、ニ
ッケル化合物、リン酸およびジエチレングリコールを含
む含浸溶液で、細孔体積飽和になるまで含浸した後、含
浸した担体を140℃の温度で16時間乾燥した。最終触媒
は、三酸化物として計算して20重量%のモリブデン、酸
化物として計算して5重量%のニッケルおよびP25
して計算して5重量%のリンを含んでいた。すべて重量
パーセントは、添加剤を含まない乾燥触媒ベースに対し
て計算している。DEGと、NiおよびMoの合計とのモル比
は0.4である。
【0042】比較の触媒の製造 DEG不在で含浸を行い、かつ含浸した触媒を420℃で1時
間の焼成段階に供した以外は上記したやり方で触媒を製
造した。触媒は、DEGが不在なこと以外は上記した触媒
と同じ組成を有していた。2つの触媒を、逆流管状反応
器中で一方ずつ試験した。各反応器管は、70mlのカーボ
ランダム粒子と均質に混合した75mlの触媒を含んでい
た。ジメチルジサルファイドを全S含量2.5重量%まで
溶解してあるSRLGOを用いて、触媒を硫化した。適用し
た原料は、以下の特性を有するディーゼル供給原料であ
った。
【0043】
【表1】
【0044】5つの試験条件下で触媒を試験した。条件
1および3は同じである。条件4および5は、適用した
圧力に関して条件1と異なる。条件2は、原料を、1重
量%のS(ジメチルジサルファイドとして加えた)およ
び100ppmのN(t-ブチルアミンとして加えた)でスパイ
クしたことにおいて、最初の試験条件と異なる。これ
は、市販のユニットより下の中途の条件をシミュレート
するために行い、市販のユニットでは、触媒と接触して
いる原料は、ユニットの最初の部分で生じたアンモニア
および硫化水素を含む。反応を、323℃、H2/オイル比
300Nl/lおよびLHSV 2.0時間-1で行った。反応時間およ
び圧力を以下の表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】異なるランからの生成物を分析した。その
結果を以下に与える。
【0047】
【表3】
【0048】本発明の触媒は、かなり改善された硫黄除
去率を示すと思われる。
【0049】
【表4】
【0050】本発明の触媒は、改善された窒素除去率を
示すと思われる。
【0051】
【表5】
【0052】本発明の触媒は、すべての条件下で改善さ
れた芳香族化合物除去率を示すと思われる。
【0053】
【表6】
【0054】本発明の触媒は、改善された多核芳香族化
合物除去率を示すと思われる。
【0055】実施例2:ウルトラディープHDSにおけ
るコバルト‐モリブデン触媒 触媒がニッケルの代わりにコバルトを含むこと以外は実
施例1の触媒に匹敵する1組の比較触媒を製造し、試験
した。本発明の触媒についてと比較の触媒について両方
の、実施例1のニッケル含有触媒の結果が、この実施例
の匹敵するコバルト含有触媒の結果より良かったにもか
かわらず、この比較においてもまた、硫化前に添加剤を
含んでいた本発明の触媒は、比較触媒より良い結果を示
した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フランシスカス ウィルヘルムス ファン ホウテルト オランダ国,1022 エービー アムステル ダム, ニューウェンダンメルカデ 1− 3 (72)発明者 ヨハネス ウィルヘルムス マリア ソン ネマンス オランダ国,3818 エルイー アメルスフ ールト,スタションスプレイン 4

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素供給原料の硫黄含量を200ppm未
    満の値に減らす方法であって、担体上に第VIB族金属成
    分、第VIII族金属成分および有機添加剤を含む触媒を硫
    化段階に供すること、ならびに、450℃以下の95%沸点
    を有しかつ500ppm以下の硫黄含量を有する供給原料を、
    高められた温度および圧力の条件下で、上記硫化した触
    媒と接触させて200ppm未満の硫黄含量を有する生成物を
    生ずることを含む方法。
  2. 【請求項2】 生成物の硫黄含量が、50 ppm未満である
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 有機添加剤が、少なくとも2個のヒドロ
    キシル基および2〜10個の炭素原子を含む化合物ならび
    にこれらの化合物の(ポリ)エーテルから成る群より選
    ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1または2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 添加剤が、エチレングリコール、ジエチ
    レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
    レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
    グリコールおよび、200〜600の分子量を有するポリエチ
    レングリコールから選ばれる少なくとも1種の化合物で
    ある請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 添加剤が糖類または多糖類である請求項
    3記載の方法。
  6. 【請求項6】 硫化段階がイン サイツで行われ、硫化
    した触媒を用いたウルトラディープHDSに供されるべ
    き供給原料を用いてもよい請求項1〜5のいずれか1項
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 0.1重量%より上の硫黄含量を有する出
    発供給原料を200ppm以下の硫黄含量を有する生成物へ転
    化するための2段階方法であって、担体上に第VIB族金
    属成分、第VIII族金属成分および有機添加剤を含む第1
    および第2の触媒の硫化、450℃以下の95%沸点を有し
    かつ0.1重量%以上の硫黄含量を有する供給原料を高め
    られた温度および圧力の条件下で第1の硫化された触媒
    と接触させて500ppm未満の硫黄含量を有する生成物を生
    じること、ならびに、第1の触媒からの流出物を、分画
    または中間相分離を行った後または行わなわずに、高め
    られた温度および圧力の条件下で第2の硫化された触媒
    と接触させて200 ppm未満の硫黄含量を有する生成物を
    生じることを含む方法。
  8. 【請求項8】 第1の触媒が第VIB族金属成分としてモ
    リブデンを、第VIII族金属成分としてコバルトおよび/
    またはニッケルを含み、第2の触媒が、第VIB族金属成
    分としてモリブデンを、第VIII族金属成分としてニッケ
    ルを含む請求項7記載の方法。
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