JP2567291B2 - 炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化処理方法

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JP2567291B2 JP2081824A JP8182490A JP2567291B2 JP 2567291 B2 JP2567291 B2 JP 2567291B2 JP 2081824 A JP2081824 A JP 2081824A JP 8182490 A JP8182490 A JP 8182490A JP 2567291 B2 JP2567291 B2 JP 2567291B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、炭化水素油の水素化処理方法に関し、詳し
くは炭化水素油を触媒を用いて複数段階で水素化処理す
るにあたり、第1段階の触媒としてシリカ及びゼオライ
トのいずれか一方又は双方を含むアルミナ担体に水素化
活性金属成分を担持させたものを用い、第2段階以降の
触媒としてアルミナ担体に水素化活性金属成分を担持さ
せたものを用いることにより、特に炭化水素油に含まれ
る硫黄を効率よく除去する方法に関する。
〔従来の技術〕
炭化水素油は一般に硫黄化合物を含み、これらの炭化
水素油を燃料として使用した場合には、該硫黄化合物中
の硫黄が硫黄酸化物に転化し、大気中に排出される。
従って、これらの炭化水素油を燃焼させた場合の硫黄
酸化物による大気汚染をできるだけ抑制するために、該
炭化水素油の硫黄含有量を予め減少させておく必要があ
る。
この硫黄含有量の減少方法として、従来は、一般に、
脱硫機能を有する単一又は複数の触媒を使用し、これら
の触媒により単一又は複数の固定床等の反応帯域を形成
し、高温高圧下において、これらの触媒と炭化水素油及
び水素とを接触させる水素化処理方法により、該炭化水
素油の硫黄含有量の低減を図っている。
そして、最近、環境問題と関連して、炭化水素油のよ
り一層の低硫黄化が要求されるようになり、上記の水素
化処理方法による脱硫効果の向上が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、これまで提案されている水素化処理方法の向
上技術は、複数の触媒を使用する場合の触媒の寿命の延
長に関連するものが多く、触媒の脱硫活性の向上に関連
するものは少ない。
そこで、本発明は、複数の触媒を使用した複数の反応
帯域で炭化水素油を水素化処理するに際して、触媒の脱
硫活性のより一層の向上を図ることにより、炭化水素油
の更なる低硫黄化を実現し得る水素化処理方法を提案す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記目的を達成するために、特に2種
類の触媒を用い、炭化水素油の脱硫活性について種々検
討を行った結果、第1段階としてシリカ及びゼオライト
のいずれか一方又は双方を含むアルミナ担体に水素化活
性金属を担持させた触媒を特定量で用い、第2段階とし
てアルミナ担体に水素化活性金属を担持させた触媒を特
定量で用いることにより、夫々の触媒を単独で用いた場
合より効率良く硫黄を除去できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
すなわち、本発明は、炭化水素油を複数の反応帯域で
水素化処理するにあたり、 第一反応帯域で使用する触媒を、 シリカ又はゼオライトを触媒基準で5〜40重量%含む
アルミナ担体、あるいはシリカ及びゼオライトを触媒基
準で夫々3〜20重量%含むアルミナ担体に、 水素化活性金属として周期表第VIB族金属又は第VIII
族金属のいずれか一方又は双方を担持したものとし、 第二反応帯域以降で使用する触媒を、 アルミナ担体に、 水素化活性金属として周期表第VIB族金属又は第VIII族
金属のいずれか一方又は双方を担持したものとし、 前記第一反応帯域で使用する触媒量を全触媒量に対し
10〜80重量%とし、前記第二反応帯域以降で使用する触
媒量を全触媒量に対し20〜90重量%とすることを特徴と
する炭化水素油の水素化処理方法を要旨とする。
本発明の第一反応帯域で使用する触媒(以下、「第1
触媒」という)は、シリカ又はゼオライトのいずれか一
方又は双方を含むアルミナ担体に、水素化活性金属成分
を担持してなるものである。
ゼオライトは、天然のものでも合成されたものでもよ
く、その例としては、フォージャサイトX型ゼオライ
ト、フォージャサイトY型ゼオライト(以下、「Yゼオ
ライト」という)、チャパサイド型ゼオライト、モルデ
ナイト型ゼオライト、有機カチオンを含む所謂ZSM系ゼ
オライト(ZSM系ゼオライトとしては、ZSM-4,ZSM-5,ZSM
-8,ZSM-11,ZSM-12,ZSM-20,ZSM-21,ZSM-23,ZSM-34,ZSM-3
5,ZSM-38,ZSM-43等がある)等が挙げられ、特に、Yゼ
オライト、安定化YゼオライトあるいはZSM-5等が好ま
しい。
ゼオライト中のケイ素元素対アルミニウム元素の原子
数比Si/Alは、約1以上のものが好ましい。
ゼオライトのカチオンは、アンモニウムあるいは水素
型のもの、及びこれらをアルカリ土類金属イオン、希土
類金属イオン、第8族金属イオン等の多価金属イオン、
例えば、マグネシウム、ランタン、白金、ルテニウム、
鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム等の金属イオンで
イオン交換したものが好ましい。
ゼオライト中のナトリウムのようなアルカリ金属イオ
ンは、含有量が多いと触媒活性を低下させてしまうの
で、通常はゼオライトに対し約0.5重量%以下にするこ
とが好ましい。
上記のYゼオライトあるいは安定化Yゼオライトは、
公知のものを用いることができる。
Yゼオライトは、天然のフォージャサイトと基本的に
は同一の結晶構造を有し、酸化物として表わすと、下記
の組成式のように表現し得る。
0.7〜1.1R2/mO・Al2O3・3〜5SiO2・7〜9H2O (式中、RはNa,K,その他のアルカリ金属イオン又はア
ルカリ土類金属イオンであり、mはその原子価であ
る。) 安定化Yゼオライトは、例えば、米国特許第3,293,19
2号、同第3,402,996号に記載されているものが好ましく
使用される。
安定化Yゼオライトは、高温での水蒸気処理を数回行
うことにより、結晶度の劣化に対し著しい耐性を示す。
安定化Yゼオライトは、R2/mOの含量が約4重量%以
下、好ましくは約1重量%以下で、単位格子寸法が約2
4.5Åである。
安定化Yゼオライトは、Si/Alの原子比が約3〜7あ
るいはそれ以上であることを特徴とするYゼオライトの
ことを意味する。
これらYゼオライトあるいは安定化Yゼオライトは、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物が多い場合
は、イオン交換を行ってこれら望ましくないアルカリ金
属又はアルカリ土類金属の酸化物を除去して用いる。
ZSM-5は、米国特許第3,894,106号、同第3,894,107
号、同第3,928,483号、英国特許第1,402,981号、特公昭
55-67522号に記載された合成法により得られるものが好
ましくは使用される。
以上のシリカ又はゼオライトのいずれか一方又は双方
を含む担体としては、後述する第二反応帯域以降で使用
される触媒の担体であるアルミナと同様のアルミナが使
用される。
担体の具体的態様としては、好ましくはシリカ−アル
ミナ担体、ゼオライト−アルミナ担体及びシリカ−ゼオ
ライト−アルミナ担体がある。
シリカ−アルミナ担体の製造方法としては、アルミナ
及びシリカのゲルを各々予め製造しておき、これらを混
合する方法、シリカゲルをアルミニウム化合物の溶液に
浸漬した後に塩基性物質を適当量添加するというアルミ
ナゲルをシリカゲルに沈着させる方法、あるいは水溶性
アルミニウム化合物を水溶性ケイ素化合物との均一混合
溶液に塩基性物質を添加して両者を共沈させる方法等を
採用することができる。
特に好ましい製造方法は、酸性アルミニウム化合物、
例えば硫酸アルミニウムの水溶液に塩基性アルミニウム
化合物(例えば、アルミン酸ナトリウム)及び塩基性ケ
イ素化合物(例えば、水ガラス)を添加し、混合した
後、水酸化アルカリを添加してpHを調整(8.8〜9)す
ることによりシリカアルミナヒドロゲルを生成させる方
法である。
ゼオライト−アルミナ担体やシリカ−ゼオライト−ア
ルミナ担体の製造方法は、特に限定するものではない
が、アルミナ又はアルミナ−シリカゲルを製造する時に
ゼオライトを混入する方法(湿式法)、アルミナ又はア
ルミナ−シリカゲル乾燥ゲルとゼオライト粉末を混練す
る方法(乾式法)、ゼオライトとアルミナ又はアルミナ
−シリカ化合物の溶液に浸漬した後に塩基性物質を適量
添加してアルミナゲル又はアルミナ−シリカゲルをゼオ
ライト上に沈着させる方法等を使用することができる。
第1触媒の担体に担持させる水素化活性金属成分は、
周期律表第6B族金属、好ましくはモリブデン又はタング
ステンの単独又は両者の組合せ、及び周期律表第8族金
属、好ましくはニッケル又はコバルトの単独又は両者の
組合せ金属の酸化物である。
第1触媒全体に占めるシリカあるいはゼオライトの割
合は、シリカ−アルミナ系及びゼオライト−アルミナ系
触媒においては、約5〜40重量%、好ましくは約7〜38
重量%、特に好ましくは約10〜35重量%である。シリカ
−ゼオライト−アルミナ系触媒においては、シリカ又は
ゼオライトが夫々約3〜20重量%、好ましくは約5〜15
重量%、特に好ましくは約7〜10重量%である。シリカ
又はゼオライトの量が少な過ぎると、触媒の固体酸性度
が小さくなり、前段触媒としての役目を果たさない。逆
に多過ぎると、水素化脱硫活性が低下し、しかも分解反
応が促進されるため、これに伴う水素消費量の増大又は
コークの生成といった好ましくない結果となる。
第1触媒の全触媒に占める使用割合は、約10〜80重量
%、好ましくは約15〜70重量%、特に好ましくは約20〜
60重量%である。少な過ぎると全触媒の固体酸性度が小
さくなり、逆に多過ぎると脱硫効果が低下する。
第二反応帯域以降で使用する触媒は、シリカやゼオラ
イトを含まず実質上アルミナからなる担体に、水素化活
性金属成分を担持してなる触媒(以下、「第2触媒」と
いう)である。
このアルミナとしては、γ−アルミナ、x−アルミ
ナ、又はηーアルミナのいずれか1種又はこれらの混合
体が好適である。
アルミナの製造方法は、公知の方法を使用することが
できる。
この製造方法に使用する原料としては、水溶性化合
物、例えば水溶性酸性アルミニウム化合物又は水溶性ア
ルカリ性アルミニウム化合物、具体的には、アルミニウ
ムの硫酸塩、塩化物、硝酸塩及びアルカリ金属アルミン
酸塩が使用できる。
具体的形態で示せば、酸性アルミニウム水溶液(濃度
約0.3〜2モル)及びアルミン酸アルカリ溶液に水酸化
アルカリ溶液を添加し、pH約6.0〜11.0、好ましくは約
8.0〜10.5の範囲でヒドロゲル又はヒドロゾルを生成さ
せるか、あるいはアンモニア水、硝酸又は酢酸等を適宜
添加し、pHを調整しながら、この懸濁液を約50〜90℃に
加熱して少なくとも2時間保持する。次いで、沈澱をフ
ィルターでロ別し、炭酸アンモニウム及び水で洗浄して
不純物イオンを除去する。その後、スプレードライヤー
等を用いて乾燥する。このようにして得られたゲルを押
し出し成型機により成型後、乾燥し、約400〜700℃で約
1〜5時間焼成し、アルミナ担体を得る。
上記のようなアルミナ担体に担持させる水素化活性金
属成分は、第1触媒と同様に、周期律表第6B族金属、好
ましくはモリブデン又はタングステンの単独又は両者の
組合せ、及び周期律表第8族金属、好ましくはニッケル
又はコバルトの単独又は両者の組合せ金属の酸化物であ
る。
第2触媒の全触媒に占める使用割合は、約20〜90重量
%、好ましくは約30〜85重量%、特に好ましくは約40〜
80重量%である。少な過ぎるとコーク生成等を引起し、
逆に多過ぎると触媒の固体酸性度が小さくなる。
これら水素化金属成分を担体に担持させる方法として
は、第1触媒,第2触媒とも、特に規定するもはのでは
なく、種々の方法が採用される。例えば、含浸方法にお
いても、水素化活性金属成分を溶解した溶液を担体粒子
に噴霧する噴霧含浸法、比較的大量の含浸溶液中に浸漬
する浸漬含浸方法、繰り返し接触させる多段含浸法が挙
げられる。
また、水素化活性金属成分を2種以上用いる場合、第
8族と第6B族の担持順位は、第1触媒,第2触媒とも、
どちらが先でもよいし、また同時でもよい。
上記第6B族及び第8族の水素化活性金属成分は、酸化
物あるいは硫化物として担持させるとよい。
この水素化活性金属成分の担持量は、第1触媒、第2
触媒とも、酸化物として触媒基準で、第6B族金属は約2
〜30重量%、好ましくは約5〜25重量%、より好ましく
は約10〜20重量%であり、第8族金属は約0.5〜20重量
%、好ましくは約1〜10重量%、より好ましくは約2〜
8重量%である。水素化活性金属成分量が少な過ぎると
充分な効果が得られず、また多過ぎると担体と結合しな
い遊離の水素化活性金属成分が増加する。
水素化活性金属成分を担持した担体は、溶液から分離
した後、水洗、乾燥及び焼成を行う。乾燥及び焼成条件
は、上記した担体の場合の条件と同一でよい。
第1触媒、第2触媒は、平均細孔径、細孔分布を特に
規定するものではなく、平均細孔径は約50〜200Å、比
表面積が約200〜400m2/g、全細孔容積約0.3〜0.9ml/g、
かさ密度約0.4〜1.0g/ml、側面破壊強度約0.7〜3.5Kg/m
mのものが好ましい。
水素化処理を行うにあたり、第1触媒及び第2触媒と
も、固定床、流動床又は移動床のいずれの形式でも使用
できるが、装置面又は操作上からは固定床反応塔を使用
することが好ましい。
複数段階の処理方法としては、反応槽の流れの順に従
って第1触媒,第2触媒に接触させるべく両触媒を層別
に充填して水素化処理する方法、あるいは流れの順に従
って両触媒を別個の反応槽に夫々充填して水素化処理す
る方法等があるが、第1触媒、第2触媒の反応順序を逆
にすると脱硫性能の向上が期待できない。
第1触媒,第2触媒は、使用に先立ち、予備硫化を行
うことが好ましい。予備硫化は、反応塔のその場におい
て行うことができる。すなわち、焼成した触媒を含硫炭
化水素油(例えば、含硫留出油)と、温度約150〜400
℃、圧力(全圧)約20〜150Kg/cm2、液空間速度約0.3〜
2.0V/H/Vで、約50〜1500l/lの水素含有ガスの存在下に
おいて接触させ、この処理の終了後、上記の含硫留出油
を原料油(含硫炭化水素油)に切替え、該原料油の脱硫
に適当な運転条件に設定して、運転を開始する。
第1触媒,第2触媒の硫化処理の方法としては、上記
のような方法の他に、硫化水素,その他の硫黄化合物を
直接第1,第2触媒と接触させるか、あるいはこれらの硫
黄化合物を適当な留出物に添加し、これを第1,第2触媒
と接触させる方法等も適用できる。
本発明の水素化処理条件としては、第一反応帯域,第
二反応帯域以降とも、温度約200〜450℃、水素分圧約10
〜200Kg/cm2、水素ガス量約100〜200Nm3/Kl、液空間速
度(LHSV)約0.1〜5.0Hr-1とすることが好ましい。
また、本発明を適用することのできる炭化水素油とし
ては、原油の蒸留留出油及び残渣、減圧蒸留留出油及び
残渣、ビスブレーキング油、タールサンド油、シェール
オイル等が挙げられる。
特に、以上詳述した第1,第2触媒は、灯油留分及び軽
油留分のような中質留出油、減圧蒸留の重質留出油、ア
スファルトを含有する残渣油、あるいはこれらの混合油
の水素化処理を実施するのに好適である。
〔作用〕
本発明において、シリカ又はゼオライトのいずれか一
方又は双方を含むアルミナ担体に水素化活性金属成分を
担持させた第1触媒は、アルミナ担体に水素化活性金属
成分を担持させた第2触媒より酸性質が強い。
この第1触媒を使用する本発明の第一反応帯域におい
て、炭化水素油と水素が該第1触媒と接触反応して、該
炭化水素油に含まれる硫黄含有化合物が該第1触媒の作
用により、脱硫し易い形態(例えば、多環式芳香族の水
添によるナフテン環の増大,開環等)に変化される。
そして、上記の第2触媒を使用する本発明の第二反応
帯域において、上記の脱硫し易い形態に変化している硫
黄化合物が水素と該第2触媒に接触反応し、脱硫が更に
進行される。
このように、本発明では、酸性質の強い第1触媒を第
一反応帯域で使用し、第1触媒より酸性質の弱い第2触
媒を第二反応帯域以降で使用することにより、これら酸
性質の異なる第1、第2触媒の作用を巧みに利用して脱
硫性能の向上効果を図るものであり、第1,第2触媒の反
応順序を逆にしても、このような脱硫性能の向上効果を
得ることはできない。
なお、本発明における「水素化処理」とは、上記した
ように、炭化水素油と水素との接触による処理を称し、
比較的反応条件の苛酷度の低い水素化精製、比較的苛酷
度の高い若干の分解反応を伴う水素化精製、水添異性
化、水素化脱アルキル化、その他の水素の存在下におけ
る炭化水素油の反応を包含するものである。
例えば、常圧蒸留又は減圧蒸留の留出液及び残渣油の
水素化脱硫,水素化脱窒素,水素化分解を含み、また灯
油留分,軽油留分,ワックス,潤滑油留分の水素化精製
等を包含する。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的
に説明する。
実施例及び比較例に用いた触媒の例を第1表に示し、
それらの製法を下記する。
なお、第1表に示す触媒は、原料である重質油を供給
する前に予備硫化を行い、試験に供した。
触媒Aの製法: アルミナ(Al2O3、以下同じ)換算で50重量%の硫酸
アルミニウム水溶液と、アルミナ換算で50重量%のアル
ミン酸ソーダとを混合し、その混合液に3号水ガラスを
シリカ(SiO2、以下同じ)換算で21.4重量%となるよう
に加えた。
その後、水酸化ナトリウム水溶液又は硝酸を滴下する
ことによりpHを約8.8〜9.0に調整し、70℃で3時間熟成
した。
生成したアルミナシリカヒドロゲルをロ過し、1.5%
炭酸アンモニウム溶液にて洗浄後、スプレードライヤー
を用いて乾燥した。
このゲルを押し出し成型機によりペレット状とし、乾
燥後、600℃で3時間焼成した。
得られた担体に、モリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6
Mo7O24・4H2O〕水溶液を、触媒に対し酸化物換算で12重
量%となるように含浸させ、モリブデン成分を担持させ
た。
これを空気中120℃で乾燥後、550℃で約5時間加熱し
た。
室温まで冷却した後、硝酸ニッケル〔Ni(NO3)3・6H
2O〕水溶液を、触媒に対し酸化物換算で4重量%となる
ように再び含浸させ、空気中120℃で乾燥後、450℃で約
5時間焼成した。
以上のようにして、水素化活性金属成分として、MoO3
として計算して12.0重量%のモリブデン成分、NiOとし
て計算して4.0重量%のニッケル成分、残部はγ−アル
ミナである組成を有する触媒を製造した。
触媒Bの製法: アルミナ換算で50重量%の硫酸アルミニウム水溶液
と、アルミナ換算で50重量%のアルミン酸ソーダとを混
合し、その混合液に安定化Yゼオライト(シリカ/アル
ミナ原子比=3.0)を、アルミナ−ゼオライト全量に対
し28.6重量%となるように加え、水酸化ナトリウム水溶
液又は硝酸を滴下することによりpHを約8.8〜9.0に調整
し、70℃で3時間熟成した。
生成したアルミナ・ゼオライト混合ヒドロゲルをロ過
し、1.5%炭酸アンモニウム溶液にて洗浄後、スプレー
ドライヤーを用いて乾燥した。
このゲルを押し出し成型機によりペレット状とし、乾
燥後、600℃で3時間焼成した。
得られた担体に、上記の触媒Aと同様の方法で水素化
活性金属成分を担持させた。
触媒Cの製法: アルミナ換算で50重量%の硫酸アルミニウム水溶液
と、アルミナ換算で50重量%のアルミン酸ソーダとを混
合し、その混合液に安定化Yゼオライト(シリカ/アル
ミナ原子比=3.0)及び3号水ガラスを、アルミナ−シ
リカ−ゼオライト全量に対し、安定化Yゼオライト換
算、シリカ換算で各々17.9重量%となるように加え、水
酸化ナトリウム水溶液又は硝酸を滴下することによりpH
を約8.8〜9.0に調整し、70℃で3時間熟成した。
この後、上記の触媒A,Bの場合と同様にして担体を
得、この担体に、上記の触媒Aと同様の方法で水素化活
性金属成分を担持させた。
触媒Dの製法: 3号水ガラスを添加しない以外は、全て触媒Aと同様
の方法で触媒を調製した。
触媒Eの製法: 3号水ガラスをアルミナ・シリカ全量に対しシリカ換
算で10.7重量%になるように加えた以外は、全て触媒A
と同様の方法で触媒を調整した。
触媒Fの製法: 3号水ガラスをアルミナ・シリカ全量に対しシリカ換
算で42.9重量%になるように加えた以外は、全て触媒A
と同様の方法で触媒を調整した。
実施例1〜7,比較例1〜5 軽油に対する水素化脱硫反応の相対活性を2段の固定
床流通式小型反応管(内径10mm)を用い、10日目(反応
初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数とともに活性
が安定し、定常活性が得られるため、10日目とした)の
反応生成物の残留硫黄分(重量%)で評価した。
使用した触媒、原料油の性状、反応条件を下記し、結
果を第2表に示す。
原料油(LGO)の性状 比重(15/4℃) 0.855 硫黄分(重量%) 1.35 窒素分(重量%) 0.02 残炭(重量%) 0.00 反応条件 反応温度(℃) 360 反応圧力(Kg/cm2) 35 液空間速度(Hr-1) 3.5 水素/油比(Nl/l) 320 第2表から明らかなように、第一反応帯域でシリカ又
はゼオライト含む担体による触媒を使用し、第二反応帯
域でアルミナ担体による触媒を使用した実施例1〜7で
は、いずれも夫々の触媒を単独で使用した比例例1,2,4,
5、あるいは第一,第二反応帯域で実施例1〜7とは逆
の順序で触媒を使用した比較例3に比べ、著しい脱硫活
性を示すことが判る。
実施例8,比較例6〜7 減圧軽油に対する水素化脱硫反応の相対活性を2段の
固定床流通式小型反応管(内径10mm)を用い、20日目
(反応初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数ととも
に活性が安定し、定常活性が得られるため、20日とし
た)の反応生成物の残留硫黄分(重量%)を基にした初
期相対脱硫活性値で評価した。
使用した触媒、原料油の性状、反応条件を下記し、結
果を第3表に示す。
原料油(減圧軽油(VGO)の性状 比重(15/4℃) 0.925 硫黄分(重量%) 2.67 窒素分(重量%) 0.08 残炭(重量%) 0.5 反応条件 反応温度(℃) 380 反応圧力(Kg/cm2) 50 液空間速度(Hr-1) 1.0 水素/油比(Nl/l) 600 第3表から明らかなように、本発明の水素化処理方法
によれば、減圧軽油を使用した場合においても、優れた
脱硫活性を示すことが判る。
実施例9,比較例8〜9 常圧蒸留残渣油に対する水素化脱硫反応の相対活性を
2段の固定床流通式小型反応管(内径10mm)を用い、25
日目(反応初期には生成物の硫黄分は少ないが、日数と
ともに活性が安定し、定常活性が得られるため、25日と
した)の反応生成物の残留硫黄分(重量%)を基にした
初期相対脱硫活性値で評価した。
使用した触媒、原料油の性状、反応条件を下記し、結
果を第4表に示す。
原料油(常圧蒸留残渣油(AR)の性状 比重(15/4℃) 0.952 硫黄分(重量%) 3.27 窒素分(重量%) 0.13 残炭(重量%) 8.55 反応条件 反応温度(℃) 400 反応圧力(Kg/cm2) 110 液空間速度(Hr-1) 0.5 水素/油比(Nl/l) 950 第4表から明らかなように、本発明の水素化処理方法
によれば、常圧蒸留残渣油を使用した場合においても、
優れた脱硫活性を示すことが判る。
以上の実施例1〜9及び比較例1,2,4,6〜9の結果を
まとめて第5表に示す。
〔発明の効果〕 以上詳述したように、本発明方法によれば、酸性質の
強い第1触媒を使用した第一反応帯域で炭化水素油中の
硫黄含有化合物を脱硫し易い形態に変化させた後、酸性
質の弱い第2触媒を使用した第二反応帯域以降で該脱硫
し易い形態の硫黄化合物の脱硫を行うため、高い脱硫効
果を得ることができる。
このように、本発明方法では、酸性質の強弱のある2
種類の触媒を反応順序に沿って巧みに組み合わせて使用
することにより、これら2種類の触媒を夫々単独で使用
する場合の脱硫活性を上回る活性を得ることができる。
また、前述の従来の水素化処理技術のなかで、脱硫活
性の異なる2種類の触媒を2段階に用いた技術がある
が、この技術の脱硫活性は、使用する2種類の触媒夫々
の脱硫活性の中間の性能を示すのが通例であり、本発明
方法のように第1,第2触媒夫々の脱硫活性を上回る脱硫
活性を得ることができるものはなく、本発明方法は、従
来法に比べて極めて優れた脱硫効果を得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 45/12 9547−4H C10G 45/12 A

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素油を複数の反応帯域で水素化処理
    するにあたり、 第一反応帯域で使用する触媒を、 シリカ又はゼオライトを触媒基準で5〜40重量%含むア
    ルミナ担体、あるいはシリカ及びゼオライトを触媒基準
    で夫々3〜20重量%含むアルミナ担体に、 水素化活性金属として周期表第VIB族金属又は第VIII族
    金属のいずれか一方又は双方を担持したものとし、 第二反応帯域以降で使用する触媒を、 アルミナ担体に、 水素化活性金属として周期表第VIB族金属又は第VIII族
    金属のいずれか一方又は双方を担持したものとし、 前記第一反応帯域で使用する触媒量を全触媒量に対し10
    〜80重量%とし、前記第二反応帯域以降で使用する触媒
    量を全触媒量に対し20〜90重量%とすることを特徴とす
    る炭化水素油の水素化処理方法。
  2. 【請求項2】第一反応帯域及び第二反応帯域以降で使用
    する触媒の水素化活性金属の担持量が、 酸化物として触媒基準で、周期表第VIB族金属は2〜30
    重量%、第VIII族金属は0.5〜20重量%であることを特
    徴とする(1)記載の炭化水素油の水素化処理方法。
  3. 【請求項3】第一反応帯域及び第二反応帯域以降で使用
    する触媒の水素化活性金属が、Mo及びNiであることを特
    徴とする(1)〜(2)に記載の炭化水素油の水素化処
    理方法。
  4. 【請求項4】第一反応帯域及び第二反応帯域以降で使用
    する触媒が、 Moを酸化物として触媒基準で10〜20重量%、Niを酸化物
    として触媒基準で2〜8重量%含み、 平均細孔径が60〜90Å、 比表面積が230〜360m2/g であることを特徴とする(3)に記載の炭化水素油の水
    素化処理方法。
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