JPH0631333B2 - 炭化水素類の水素化分解方法 - Google Patents

炭化水素類の水素化分解方法

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JPH0631333B2
JPH0631333B2 JP24749684A JP24749684A JPH0631333B2 JP H0631333 B2 JPH0631333 B2 JP H0631333B2 JP 24749684 A JP24749684 A JP 24749684A JP 24749684 A JP24749684 A JP 24749684A JP H0631333 B2 JPH0631333 B2 JP H0631333B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、水素化処理を2段階で行なう炭化水素類の転
化方法特に水素化分解方法に関する。水素化分解は重質
油から有用性に富む軽質留分を得るための手段として重
要であり、この反応の際に重質油中に含まれる硫黄、窒
素、金属などの不純物が除去されるので、得られた軽質
留分を除去した後の重質油の品質も改善されるという効
果もある。エネルギー問題は産業上重要な課題であり、
需要の大きい軽沸点留分、中間留分を輸入原油中その割
合が増加しつゝある重質原油からいかにして必要な量取
得するかが一つの解決されるべき問題となつている。水
素化分解方法はこの解決の一つの手段を与えるものであ
り、またさらには頁岩油などの未利用資源の有用化の一
つのステツプともなりうるものである。
(従来の技術) 一般に炭化水素類の水素化分解触媒は炭素−炭素結合を
切断するための酸活性と、切断したオレフイン型分子へ
水素を供与するための水素化活性との二元機能をもつ触
媒であり、酸活性は触媒中の酸性点によつて発現され、
水素化活性は担持された担持金属によつて発現される。
結晶性アルミノけい酸塩ゼオライト(以下ゼオライトと
略称することがある。)は、けい素とアルミニウムとが
規則正しく整然と結合した結晶構造をしているため両元
素の接点で発現する酸性点の密度がシリカアルミナのよ
うな無機化合物に較べてはるかに高く、そのためゼオラ
イトはしばしばこの種の触媒の一成分として使用され
る。
しかしゼオライトは高温熱水に接した際結晶構造が破壊
され易く、触媒活性が低下してしまうという難点があ
る。そのため高温熱水に対してゼオライトの結晶構造を
安定化する種々の改良研究がなされている。例えばアメ
リカ特許第3536606号明細書、同第3567277号明細書、同
第4036739号明細書には、ゼオライトが含有するナトリ
ウムイオンを一部分アンモニウムイオンで交換し、温
度、処理時間および水蒸気分圧をコントロールした状態
で水蒸気雰囲気下にこのゼオライトを焼成し、さらにゼ
オライト中に残存するナトリウムイオンをアンモニウム
イオンで交換し焼成することにより安定で活性の高いゼ
オライトを得る方法が記載されている。またアメリカ特
許第3669873号明細書にはゼオライトをアルカリ土類金
属イオンあるいは希土類金属イオンでイオン交換するこ
とにより安定で高活性なゼオライトを得る方法が記載さ
れている。
しかしながらこれらアメリカ特許明細書に記載の方法で
はゼオライトの高温熱水に対する耐性は改良されるけれ
ども、周期律表第6族金属のようなある種の金属成分を
ゼオライトに担持するときその結晶構造が破壊されてし
まい、十分な触媒活性が発現できないという問題があ
る。上述したように水素化分解触媒はゼオライトのよう
な酸活性をもつ成分(分解作用を司る触媒成分である
が、本発明においては第6族金属、第8族金属、リン、
ホウ素を担持する担体としても作用するので以下アルミ
ナ等の担体と併せて担体と称する。)とそれに担持され
た水素化活性金属成分とから構成され、水素化活性金属
成分としては周期律表第6族および第8族の金属成分が
使用されるが、特に第6族金属成分を担持する際ゼオラ
イトの結晶構造が破壊される傾向がある。そのためゼオ
ライトの酸性点が著しく減少して高活性の水素化分解触
媒を得ることができない。金属成分の担持方法としては
金属成分を含む溶液に担体を浸漬する方法、担体成分を
金属成分を含む溶液と混練する方法、担体成分へ金属成
物をイオン交換する方法などがあるが、いずれの方法に
おいてもこの傾向がある。さらに上述のアメリカ特許明
細書に記載の方法は調整工程が多段にわたるため工業的
に不利であつたり、またアルカリ土類金属イオン等でイ
オン交換したものも依然として熱水安定性が十分ではな
いという難点もある。
アメリカ特許第3706693号明細書、カナダ特許第972308
号明細書、同第972340号明細書には、ゼオライトとアル
ミナ等無機酸化物とよりなる担体を、周期律表第6族金
属化合物、第8族金属化合物およびリンの酸とを含有
し、リン元素対酸化物として換算した第6族金属化合物
の重量比が0.05〜0.5であり初期pH値が3.0以下である水
溶液と接触させて炭化水素転化触媒を調製することが記
載されている。これらの特許では上記したように水素化
金属成分を担持する際強い酸性条件下リン酸を多量加え
ることにより、ゼオライトの結晶構造は破壊されてしま
うけれども水素化分解活性以外に脱窒素活性や中間留分
に対する選択性を向上させることができると記載されて
いる。しかしながらこれらの方法ではゼオライトの結晶
構造を破壊することによりゼオライトの持つ高い分解活
性を故意に低下させたものであり、水素化分解活性が十
分でないという難点がみられる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは先に特定条件下に周期律表第6族金属成分
をゼオライト含有担体に担持させるとゼオライトの結晶
構造が破壊されないこと、およびこのようにして調製し
た特定組成の結晶性触媒組成物は炭化水素類の転化特に
水素化分解反応において高い活性を示すことを見い出
し、特許出願(特開昭59−216635)した。この
水素化処理触媒は以後“結晶性触媒組成物”と称する。
尚ここで言う“結晶性触媒組成物”という用語は以下の
説明から明らかなように触媒全体が結晶性であるという
ことではなく、触媒中のゼオライト成分の実質的部分が
ゼオライトの結晶構造を保持したまま存在しているとい
う意味で用いられている。
この結晶性触媒組成物は重質ナフサおよびガス油沸点留
分などの軽質油を水素化分解するばかりでなく、原油、
残渣油、減圧軽油などの重質油を軽質油へと水素化分解
する反応においても従前触媒に比べ高い活性を示すが、
このことは前述した炭素−炭素結合を切断するための酸
活性と、切断したオレフイン型分子へ水素を供与するた
めの水素化活性との二元機能において優れているのみな
らず、重質油中に含まれる上記の不純物に対しての抵抗
性において優れていることに起因するものと考えられ
る。しかしながら種々研究の結果、この結晶性触媒組成
物も長時間にわたる反応をおこなえば、原料油中の過剰
の不純物によつて徐々にその水素化分解活性を減ずる傾
向があることがわかつた。
種々の炭化水素類のうち、原油、残渣油などの重質油中
には炭化水素化合物のほかに窒素化合物、硫黄化合物、
金属化合物やこれらを多く含有するアスフアルテンなど
が多量に存在しており、また減圧留出油には硫黄化合物
や窒素化合物が多量存在しており、これらの不純物が触
媒の水素化分解活性を損うということは、A.Voorhies,6
thW.P.CII219(′63)やJournal of Catalysis I(3),P235
などの多数の文献に紹介されており、上記の結晶性触媒
組成物もその例外ではない。
(問題点を解決するための手段) かかる不純物により被毒を受けた触媒は燃焼等の通常の
再生方法によりその活性を再生することが可能である
が、その再生処理の間隔はできるだけ長いことが望まし
く、本発明者らは、効率的な水素化分解方法について種
々検討を加えた結果、上記重質油を軽質油へと水素化分
解する際に、予め、油を水素の存在下、通常のハイドロ
フアイニングの条件下、通常のハイドロフアイニング
(水素化精製)に用いられる水素化処理触媒と接触さ
せ、しかるのちに結晶性触媒組成物と接触させることに
より水素化分解反応をおこなえば長い期間にわたつて有
効な水準の触媒活性を維持することができ、水素化分解
反応の操作効率を高めうることを見い出した。
すなわち本発明の要旨は、炭化水素類を無機酸化物と周
期律表第6族金属成分および周期律表第8族金属成分と
からなる前処理触媒にて水素化精製し、しかるのち、結
晶性アルミノけい酸塩ゼオライトを5〜95重量%、無
機酸化物を5〜95重量%、周期律表第6族金属成分を
酸化物換算で1〜20重量%、周期律表第8族金属成分
を酸化物換算で0〜7重量%、およびリン成分および/
またはホウ素成分をリン元素および/またはホウ素元素
対酸化物として換算した上記第6族金属成分の重量比が
0.01〜0.08の割合でかつリン元素およびホウ素元素のお
のおのは0.045未満の割合となる比率で含む結晶性触媒
組成物にて水素化分解することを特徴とする、炭化水素
類の水素化分解方法に存する。
本発明方法において処理できる原料炭化水素類の例とし
ては、原油、残渣油、原油または残渣油を溶剤脱れき処
理した脱れき油、ガス油、ナフサ、減圧軽油などがあ
る。
前段工程で用いる水素化精製触媒を、後段工程で用いる
結晶性触媒組成物に対して以下では前処理触媒と称する
ことにするが、かかる前処理触媒は、通常の水素化精製
触媒であり、例えば水素化脱窒素触媒、水素化脱硫触
媒、水素化脱メタル触媒あるいは水素化脱アスフアルテ
ン触媒などがある。これらの触媒は従来公知であり、そ
の組成は通常無機酸化物担体例えばアルミナ、シリカ、
チタニア、ボリア、ジルコニア、マグネシア、あるい
は、鉄、リン、アンチモン、亜鉛、銅、マンガン、また
はスズの酸化物のいづれか1種あるいは2種以上の耐火
性無機酸化物と周期律表第6族金属成分例えばモリブデ
ン、クロム、またはタングステンと周期律表第8族金属
成分例えばコバルトまたはニツケルとから成り、さらに
上記の不純物除去効果を高めるために、Li,Na,K,C
a,Be,Ba,V,Nb,Ag,Au,Cd,Pb,As,Bi,La,C
e,Ge,ハロゲンなどの成分が添加されていてもよく、
通常第6族金属成分は酸化物として約5〜30重量%、
好ましくは8〜20重量%、第8族金属成分は酸化物と
して約2〜10重量%好ましくは3〜7重量%である。
これら前処理触媒は通常約50〜400m2/g、好まし
くは200〜300m2/gの表面積、約0.3〜1.0ml/
g、好ましくは0.4〜0.8ml/gの細孔容積、約30〜1
000Å、好ましくは50〜500Åの平均細孔直径を
有する。
また前処理反応条件は温度約340〜400℃、水素分
圧約50〜150kg/cm2、液空間速度約0.2〜5.0h
r-1、水素対炭化水素油の比約350〜3500Nl/
である。
前処理反応は触媒を充填した固定床あるいは流動床に炭
化水素油および水素を上向流として通じたり、固定床に
下向流として通じたり、または、触媒を充てんした固定
床あるいは流動床へ炭化水素油を下向流として水素を上
向流として通じるなど通常の方法によることができる。
また炭化水素油の処理に先立ち、触媒床へ硫化水素ガス
あるいは灯軽油など硫黄分含有油を通じて触媒組成物を
予備硫化して使用してもよい。このような前処理触媒は
通常脱窒素、脱硫、脱金属、脱アスフアルテンを同時に
起こすが、前処理過程において通常使用される温度およ
び圧力の水準において供給原料油中の有機窒素化合物は
普通、アンモニアに実質的に変換される。
また、有機硫黄化合物は普通、硫化水素に実質的に変換
される。金属化合物は前処理触媒中に吸着され、水素供
与を受けて分解され、その金属を前処理触媒中に沈積さ
せる。
アスフアルテンも同様に前処理触媒上に吸着され、水素
供与を受けて分解され減少し、炭素/水素比率を下げ、
またアスフアルテン中に含まれる窒素化合物、硫黄化合
物、金属化合物を上記反応により減少させる。
前処理過程において発生したアンモニアガスとそのまま
後段工程の結晶性触媒組成物に通じるとそれが塩基性で
あるが故に結晶性触媒組成物の酸活性点に吸着すること
が予想され、また同様に発生した硫化水素はJournal
of Catalysis第1巻,第3号,第235頁に記され
ているように触媒中のアルミナによつて吸着されAl-S結
合を生成し、そのため触媒の活性低下をもたらすと考え
られたが、本発明者らの研究によれば上記原料油の前処
理過程において発生したアンモニアや硫化水素を除去
し、生成油を新しい水素とともに結晶性触媒組成物へ通
じて水素化分解反応をおこなえば、有効な水準の触媒活
性を長期間にわたり維持できることは勿論であるが、前
処理過程において生成した生成油と発生したガスをその
まゝ結晶性触媒組成物へ通じて水素化分解反応をおこな
うことによつても、前処理反応をおこなわない場合に比
べて有効な水準の触媒活性をはるかに長期間にわたつて
維持できることを見い出した。これは、結晶性触媒組成
物が有機の窒素化合物や硫黄化合物に対してよりもアン
モニアや硫化水素に対してより大きい耐性をもつことを
示すものである。
従つて前処理触媒と後段工程の結晶性触媒組成物の組み
合せによる水素化分解反応においては、前処理過程で生
ずる生成ガスを除去してもしなくてもよい。
このように前処理した生成油を結晶性触媒組成物により
水素化分解する。前処理触媒と結晶性触媒組成物は1つ
の反応器中に層分けして充填してもよく、あるいは別個
の反応器に充填しても良い。
この結晶性触媒組成物(特開昭59−216635号に
記載)は、結晶性アルミノけい酸塩ゼオライトを5〜9
5重量%、多孔質の耐火性無機酸化物を5〜95重量
%、周期律表第6族金属成分を酸化物換算で1〜20重
量%、周期律表第8族金属成分を酸化物換算で0〜7重
量%、およびリン成分および/またはホウ素成分をリン
元素および/またはホウ素元素対酸化物として換算した
上記第6族金属成分の重量比が0.01〜0.08の割合でかつ
リン元素およびホウ素元素のおのおのは0.045未満の割
合となる比率で含むことを特徴とする炭化水素転化用結
晶性触媒組成物であり、この触媒は上記結晶性アルミノ
けい酸塩ゼオライトと上記無機酸化物とから成る担体に
第6族金属成分を担持する際第6族金属化合物とリンの
化合物および/またはホウ素の化合物とを含有し、リン
元素および/またはホウ素元素対酸化物として換算した
第6族金属化合物の重量比が0.01〜0.08の割合でかつリ
ン元素およびホウ素元素のおのおのは0.045未満の割合
であり、pH値が3.3〜6.0である溶液と上記担体とを接触
させて担体に第6族金属化合物とリンの化合物および/
またはホウ素の化合物とを担持することにより調製する
ことができる。以下この結晶性触媒組成物の詳細につい
て述べる。
結晶性触媒組成物は結晶性アルミノけい酸塩ゼオライト
と、マトリツクスあるいは母体としての無機酸化物とか
ら成る担体に周期律表第6族金属成分とリンおよび/ま
たはホウ素の化合物とを担持させたもの、あるいはこれ
らに加え周期律表第8族金属成分を担持させたものから
成る。
この触媒に配合する結晶性アルミノけい酸塩ゼオライト
(ゼオライトと略称することもある。)はイオン交換可
能なものであり、また天然のものでも合成されたもので
もよく、その例としてはフオージヤサイトX型ゼオライ
ト、フオージヤサイトY型ゼオライト、チヤバサイト型
ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、有機カチオン
を含むいわゆるZSM系ゼオライト(ZSM系ゼオライト
としてはZSM−4、ZSM−5、ZSM−8、ZSM−11、ZSM
−12、ZSM−20、ZSM−21、ZSM−23、ZSM−3
4、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−43などがあり、昭
和57年1月11日日本技術経済センター出版部発行
「最近のゼオライト技術と応用の進歩総合資料集」46
〜57頁、高橋 浩ほか編、昭和50年2月1日講談社
発行「ゼオライト」46〜47頁、特開昭57−70828
号明細書等に詳述されている。)などがある。含有する
けい素元素対アルミニウム元素の原子数比Si/Alが約1
以上、陽イオン交換容量が約0.3meq/g以上のものが好
ましい。またこれらゼオライトのカチオン種はNH
あるいはH型のもの、およびこれらをアルカリ土類金
属イオン例えばMg++、Ca++、Ba++、希土類
金属イオン例えばLa++、Ce++、周期律表第8族
金属イオン例えばCo++、Ni++、Pd++、Pt
++でイオン交換したものが好ましい。ゼオライト中N
のようなアルカリ金属イオンは含有量が多いと触媒
活性を低下させてしまうので通常ゼオライトに対し約0.
5重量%以下にすることが好ましい。またゼオライトの
配合量(乾燥物基準。イオン交換している金属分を含
む。)は最終触媒組成物に対し約5〜95重量%、好ま
しくは約10〜80重量%が適当であり、配合量が少な
すぎると触媒としての分解能が低くなり、配合量が多す
ぎると他の成分の配合量が少なくなつてしまい水素化分
解触媒としては不適当である。
この結晶性触媒組成物にマトリツクスとして配合する耐
火性の無機酸化物としてはアルミナ、シリカーアルミ
ナ、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、シリ
カ−チタニア−アルミナが好ましい。マトリツクス中の
アルミナの含有量はマトツクスに対し約20重量%以上
が好ましい。またマトリツクスの表面積は少なくとも約
30m/g以上のものが適当である。マトリツクスは
触媒の強度を向上させ、かつ水素化分解反応の選択性を
向上させるのに有効であり、また触媒価格を下げる。マ
トリツクスの配合量は最終触媒組成物に対して約5〜9
5重量%、好ましくは約20〜90重量%であり、マト
リツクスを配合しなかつたり配合量が少なすぎると反応
の選択率が低下し望ましくない多量のガスやコークが生
成してしまうし、配合量が多すぎると他の成分の配合量
が少なくなり水素化分解触媒としては不適当である。
結晶性触媒組成物に配合する水素化金属成分としては周
期律表第6族金属例えばモリブデン、タングステン、ク
ロムがあり、第8族金属は鉄族に属するコバルト、ニツ
ケル等があり貴金属に属する白金、パラジウム等があ
る。第8族金属は必ずしも配合しなくてもよい。水素化
金属成分の適当な配合量は最終触媒組成物に対し第6属
金属成分は酸化物換算で約1〜20重量%、好ましくは
約1〜15重量%であり、第8族金属成分は酸化物換算
で約0〜7重量%であり、鉄族金属成分の好ましい配合
量は約1〜5重量%であり、貴金属成分の好ましい配合
量は約0.1〜2重量%である。これら水素化金属成分は
通常水溶性の化合物からそのままあるいは金属水酸化物
や金属酸化物の沈殿として担体上へ担持されるので、担
持された時点では水溶性化合物あるいは金属水酸化物の
形をしていてもその後焼成されるので大部分金属酸化物
の形(一部は金属単体となることもある。)となり、炭
化水素転化反応に使用する際あるいは使用中に硫化され
ることもあるのでその一部あるいは全部が金属硫化物と
なることもある。
結晶性触媒組成物にはさらにリン分またはホウ素分を含
有させる。両者を含有させてもよい。最終結晶性触媒組
成物中におけるリン分の含有量は触媒中のリン元素対酸
化物として換算した第6族金属成分の重量比が0.045未
満好ましくは約0.010〜0.043であり、ホウ素分の含有量
は触媒中のホウ素元素対酸化物として換算した第6族金
属成分の重量比が0.045未満、好ましくは約0.010〜0.04
3である。但しリンとホウ素とを併用する場合、この合
計の割合は0.01〜0.08である。リン化合物またはホウ素
化合物は後述するように担体に第6族金属成分を担持す
る工程で必須の成分として使用され、触媒中に入つてく
る。リン分およびホウ素分も水素化金属成分と同様担体
に担持された時点では水溶性化合物であつても、その後
の焼成で大部分が酸化物または単体元素(遊離状リンま
たはホウ素)になつていると考えられる。
結晶性触媒組成物を製造するには単に上記した成分をそ
の配合量で任意に配合すれば良いというものではなく、
その調製方法も特定条件下に行なう必要がある。すなわ
ちゼオライトと無機酸化物マトリツクスからなる担体に
周期律表第6族金属成分を担持する際、第6族金属化合
物とリンの化合物および/またはホウ素の化合物とを含
有しリン元素および/またはホウ素元素対酸化物として
換算した第6族金属化合物の重量比が0.01〜0.08の割合
でかつリン元素およびホウ素元素のおのおのの割合は0.
045未満、好ましくは約0.010〜0.043の割合であり、初
期pH値が約3.3〜6.0好ましくは約4.0〜5.5である溶液と
上記担体とを接触させて担持する。すなわちリンの化合
物とホウ素の化合物は一方だけを使用しても両者を使用
してもよい。第6族金属化合物に対するリンの化物の使
用割合、第6族金属化合物に対するホウ素の化合物の使
用割合は少なすぎても多すぎてもゼオライトの結晶構造
が破壊される。これらの割合は触媒に担持される割合と
ほとんど同じである。溶液のpH値が低すぎるとゼオライ
トの結晶構造が破壊され、またpH値が約6.0より高くな
ると金属化合物は沈殿を起こし担体に均一に担持できな
くなつてしまう。溶液のpH値は使用する金属化合物や、
リンやホウ素の化合物の種類によつても変るがそれら化
合物の濃度を変えたり酸を加えたりしてコントロールす
ることもできる。第6族金属とリンまたはホウ素の両者
を含有する化合物例えばリンモリブデン酸やタングスト
リン酸は第6族金属化合物及びリンまたはホウ素の化合
物両者として働く、第6族金属化合物は水溶性のものが
使用できその例としてはパラモリブデン酸アンモニウ
ム、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、リンモ
リブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、タングス
テン酸アンモニウム、タングステン酸、無水タングステ
ン酸、タングストリン酸、クロム酸アンモニウム、クロ
ム酸などがある。リンの化合物、ホウ素の化合物も水溶
性のものが使用でき、リンの化合物としてはリン酸、亜
リン酸、次亜リン酸、リンモリブデン酸、リンモリブデ
ン酸アンモニウム、リンタングステン酸、リンタングス
テン酸アンモニウムなどがあり、ホウ素化合物としては
ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、酸化ホウ素、塩化ホウ
素、フツ化ホウ素などがある。これら第6族金属化合物
およびリンまたはホウ素の化合物を担体に担持するため
これらの化合物を含有する溶液と担体との接触は常法に
より例えば溶液中に担体を浸漬する方法、担体と溶液と
を混練する方法、担体上へ溶液を滴下する方法、溶液中
に担体を浸漬してイオン交換する方法などによることが
できる。上記溶液と接触させる担体は成型したもので
も、成型しないものでもよい。
結晶性触媒組成物の調製は上記した第6族金属化合物お
よびリンまたはホウ素の化合物の担体への担持以外は常
法によることができる。第8族金属成分の担体への担持
も常法により行うことができ、例えば担体を第8族金属
化合物を含有する溶液と接触させる。すなわち担体を第
8族金属化合物を含有する溶液中に浸漬したり、担体と
溶液とを混練したり、担体上へ溶液を適下したり、溶液
中に担体を浸漬してイオン交換する方法などによること
ができる。第8族金属成分の担体への担持は第6族金属
成分の担持と同時に行なつても、第6族金属成分の担持
前または担持後に行なつてもよい。第8族金属化合物の
溶液を担体と接触させて第8族金属成分を担体へ担持す
る場合、使用できる第8族金属化合物の例としては水溶
性の化合物、例えばコバルトあるいはニツケルの硫酸
塩、硫酸塩、フツ化物、塩化物、臭化物、酢酸塩、炭酸
塩、リン酸塩、塩化パラジウム、塩化白金酸などがあ
る。第8族金属成分は必ずしも配合しなくてもよい。ゼ
オライトとマトリツクスとよりなる担体は例えばゼオラ
イトとマトリツクス成分のヒドロゲルとを十分に混合
し、水分を除去し、適当な大きさに成型することにより
調製できる。また担体と水素化金属成分等を含有する溶
液との混練は、例えばゼオライトとマトリツクス成分の
ヒドロゲルと水素化金属成分等を含有する溶液とを混合
し、十分に攪拌し、水分を除去し、成型することにより
調製できる。こうして調製した成型物は通常乾燥し、焼
成し、さらに水素化金属成分等を担持するときはそれら
成分を担持した後乾燥し、焼成する。水素化金属成分を
2回以上にわたつて担持するときは通常水素化金属成分
を担持する度に担持後乾燥し焼成するのが好ましい。乾
燥は通常常温ないし約150℃特に約100〜120℃
で約5時間以上特に約12〜24時間保持するのが好まし
く、焼成は通常約350〜600℃特に約400〜55
0℃で約3時間以上、特に約12〜24時間保持するの
が好ましい。
このようにして調製した結晶性触媒組成物中のゼオライ
トの結晶構造はX線回折分析によりそのゼオライトに特
有な回折角(2θ。例えばフオージヤサイトY型ゼオラ
イトでは6.2゜および15.7゜。)の結晶ピークの強度に
よつて確認できるが、より簡便には窒素吸着法による表
面積を測定することによつて確認できる。すなわちゼオ
ライトはマトリツクスや金属成分に較べて著しく大きい
表面積をもつているため、触媒中のゼオライト結晶構造
が安定に保たれているならば触媒は大きい表面積をも
ち、結晶構造が破壊されているならばその表面積は著し
く減少するからである。
後段の水素化分解工程の反応条件は温度約350〜45
0℃、水素分圧約50〜200kg/cm2、液空間速度約
0.1〜5hr-1、水素対炭化水素油の比約500〜350
0Nl/が好ましい。炭化水素油の処理に先立ち触媒床
へ硫化水素ガスあるいは灯軽油など硫黄分含油を通じて
触媒組成物を予備硫化して使用してもよい。また反応は
触媒を充填した固定床に炭化水素油および水素を下向流
として通じたり、触媒を含む流動床へ炭化水素油を下向
流とし水素を上向流として通じるなど通常の方法による
ことができる。結晶性触媒組成物は水素化分解触媒とし
て働く。
(発明の効果) 本発明により炭化水素類を先ず特定の前処理触媒により
水素化精製し、その後特定の結晶性触媒組成物を用いて
水素化分解することにより、長期間にわたり極めて高い
水素化分解活性を維持して炭化水素類を水素化分解する
ことができる。この長期間にわたる高い水素化分解活性
は後段工程の水素化分解触媒としてゼオライトの結晶構
造を保持したまま触媒中に配合した結晶性触媒組成物を
用い、かつこれを前処理触媒と併用することによりもた
らされる。すなわち後段工程で用いる結晶性触媒組成物
は、それに配合されているゼオライトの結晶構造がほと
んど破壊されずに保たれているためゼオライトの酸活性
が十分に発現されており、かつ担持金属成分が高度に分
散性よくゼオライトの酸性点近傍に担持されて水素化活
性が発現されるために、前処理触媒と併用して用いるこ
とにより、炭化水素類の転化反応特に水素化分解反応に
長期間にわたつて極めて高い活性を示す。また本発明方
法では高い水素化分解活性が長期間にわたつて維持さ
れ、従来触媒を用いる場合に較べて触媒活性が極めて高
く、従来触媒を用いたのでは処理の困難な重質油も処理
可能で、アスフアルテン分や金属分、硫黄分、窒素分な
どを含有する残渣油すら処理可能である。また本発明方
法では脱硫率、脱窒素率、脱金属率等も長期間比較的高
水準に保たれる。
(実施例) 以下実施例により本発明をさらに説明する。
触媒製造例1 次の2種類の含浸担持液A,Bを調合した。含浸液A:
蒸留水1中にパラモリブテン酸アンモニウム264g
を溶解し、ついでリン酸28.5gをこれに加えて攪拌
し均一に溶解した。生成溶液のpHは4.6であり、リン
元素対酸化物として換算したモリブテン含有化合物(以
下P/MoOと略す。)の重量比は0.04であっ
た。含浸液B:蒸留水750ml中に硝酸ニッケル27
2gを加え溶解した。
これと別にH型のフォージヤサイトY型ゼオライト4
50gとアルミナヒドロゲル10.5kg(アルミナ含有
量1050g)を十分に混練混合し、水分を除去した
後、直径約1.6mm(1/16インチ)、長さ3mmの円
筒形状に押出し成型する。この成型品を120℃で24
時間乾燥し、ついで550℃で12時間焼成することに
よりゼオライト−アルミナ系の触媒担体を製造した。窒
素吸着法を用いてこの担体の表面積を測定したところ3
40m/gであった。この担体上に上記含浸担持液A
を徐々に滴下し、触媒粒子全体に含浸させた。全含浸液
を滴下終了後1時間放置し、120℃で24時間乾燥
し、ついで500℃で12時間焼成を行なった。つづい
てこの触媒担体に含浸液Bを同様にして滴下して含浸さ
せ、120℃で24時間乾燥し、ついで450℃で12
時間焼成を行なった。このようにして調製した触媒F−
1の化学組成は次の通りであった。(金属成分は金属酸
化物として換算した量で表わし、リン分やホウ素分は元
素として換算した量で表わし、イオン交換している金属
成分は元素として表わした。以下同じ。) MoO 11.9重量部 NiO 3.9 〃 P 0.5 〃 ゼオライト 27.1 〃 アルミナ 56.6 〃 またP/MoOの重量比は0.042、表面積は31
6m/gであった。X線回折分析の結果ゼオライト結
晶構造を確認できた。
触媒製造例2 含浸担持液Cを調合した。
含浸担持液C:蒸留水1中にパラモリブデン酸アンモ
ニウム264gを溶解し、ついでホウ酸45gをこれに
加えて均一に攪拌し溶解した。溶液のpHは5.0、B/
MoO重量比は0.043であった。
含浸担持液Aの代りに含浸担持液Cを用いた以外は触媒
製造例1と同じ方法で触媒を調製した。この触媒F−2
の組成は次の通りであった。
MoO 12.3重量部 NiO 4.0 〃 B 0.53〃 ゼオライト 25.0 〃 アルミナ 58.2 〃 触媒F−2のB/MoO重量比は0.043、表面積
は284m/gであった。
触媒製造例3 含浸担持液Dを調合した。
含浸担持液D:蒸留水1.2にリンモリブデン酸22
7gを溶解し、ついでホウ酸45gを溶解した。溶液の
pHは3.5、P/MoO重量比は0.018、B/M
oO重量比は0.042であった。
含浸担持液Aの代りに含浸担持液Dを用いる以外は触媒
製造例1と同じ方法で触媒を調製した。この触媒F−3
の組成は次の通りであった。
MoO 11.9重量部 NiO 4.0 〃 P 0.21〃 B 0.50重量部 ゼオライト 25.0 〃 アルミナ 58.5 〃 この触媒F−3の表面積は320m2/g、P/MoO
重量比は0.018、B/MoO重量比は0.042
であった。
触媒製造例4 触媒製造例1で用いたと同じH型のフォージヤサイト
Y型ゼオライトを塩化ランタン水溶液を用いてカチオン
交換し、LaフオージヤサイトY型ゼオライトを製造し
た。このゼオライトを水ガラスと硫酸アルミニウムより
得たシリカーアルミナゾルと十分混合し、触媒製造例1
と同様にして直径約1.6mm(1/16インチ)、長さ
3mmの円筒形状に押出し成形し、乾燥焼成を行ない、L
aフォージヤサイトY型ゼオライト−シリカアルミナ系
の触媒担体を製造した。この担体の表面積は360m2
gであった。
また含浸担持液Eを調合した。
含浸担持液E:蒸留水750ml中に硝酸コバルト27
2gを加えて溶解した。
フォージヤサイトY型ゼオライト−アルミナ系触媒担体
の代りに上記のLaフォージヤサイトY型ゼオライト−
シリカアルミナ系触媒担体を用いかつ含浸担持液Bの代
りに含浸担持液Eを用いた以外は触媒製造例1と同じ方
法で触媒を調製した。この触媒F−4の組成(ゼオライ
トはランタンを含まないものとして表わす。)は次の通
りであった。
AoO 10.6重量部 CoO 3.5 〃 P 0.45 〃 La 3.0 〃 ゼオライト 24.7 〃 シリカ 43.3 〃 アルミナ 14.4 〃 触媒F−4の表面積は315m2/g、P/MoO重量
比は0.042であった。
触媒製造例5 触媒製造例1で用いたH型のフォージヤサイトY型ゼ
オライトをパラジウムアンモニア錯体Pd(NH
Cl溶液を用いてカチオン交換を行なった。カチオン
交換後のゼオライト中のパラジウム濃度を測定すると
0.56重量%であった。別に硫酸チタン溶液(TiO
としての含有量525g)にアンモニア水を少しずつ
滴下してpH7.0とし、生じた沈澱物を蒸留水にて十分
に洗浄し、チタンヒドロゲルを得た。また硫酸アルミニ
ウム溶液(Alとしての含有量525g)をアン
モニア水で同様に中和し、十分に水洗してアルミナヒド
ロゲルを得た。これら両ヒドロゲルと上記のHを一部
Pd++で置換したPd++-H+型のフォージヤサイトY型ゼオ
ライトとを十分に混練し、水分を除去し、直径約1.6
mm(1/16インチ)、長さ3mmの円筒形状に押出し成
形した。この成形品を120℃で24時間乾燥し、つい
で550℃で12時間焼成することによりPd++-H+型フ
ォージヤサイトY型ゼオライト−アルミナチタニア系の
触媒担体を製造した。この担体の表面積は285m
gであった。
この触媒担体に対し触媒製造例1と同様の方法で触媒製
造例1で用いたと同じ含浸担持液Aを含浸担持し、乾
燥、焼成し、ついで触媒製造例4で用いたと同じ含浸担
持液Eを含浸担持し、乾燥、焼成して触媒を調製した。
この触媒F−5の組成(ゼオライトはパラジウムを含ま
ないものとして表わす。)は次の通りであった。
MoO 14.7 重量部 CoO 3.8 〃 Pd 0.14 〃 P 0.62 〃 ゼオライト 24.2 〃 チタニア 28.5 〃 アルミナ 28.0 〃 この触媒F−5の表面積は254m2/g、P/MoO
重量比は0.042であった。
触媒製造例6 含浸担持液Fを調製した。
含浸担持液F:蒸留水1にパラタングステン酸アンモ
ニウム(NH101241・5HO48.5
gを溶解し、ついでリン酸5.7gを溶解した。この溶
液のpHは4.5、P/WO重量比は0.042であっ
た。
触媒製造例1と同様の方法でH型フォージヤサイトY
型ゼオライト−アルミナ系触媒担体を製造し上記含浸担
持液Fを含浸担持した。すなわち触媒担体に上記含浸担
持液Fを滴下して担持し、120℃で3時間乾燥し、さ
らに同様に含浸担持液Fを調製し、再び含浸担持し乾燥
する。このように計5回の含浸担持をくり返し、最後に
120℃で24時間乾燥し、ついで500℃で12時間
焼成を行なった。次にこの触媒基体に触媒製造例1と同
様にし含浸担持液Bを含浸担持し、乾燥、焼成して触媒
を調製した。この触媒F−6の組成は次の通りであっ
た。
WO 11.3 重量部 NiO 4.0 〃 P 0.48 〃 ゼオライト 25.3 〃 アルミナ 58.9 〃 触媒F−6の表面積は298m2/g、P/WO重量比
は0.042であった。
比較例1 触媒製造例1で調製した触媒F−1を用いて常圧残渣油
の水素化分解反応を行なった。反応に用いた常圧残渣油
の性状は次の通りであった。
比重,15/4℃ 0.9492 流動点,℃ 10.0 粘度,cSt(50℃) 138.6 残炭,wt% 7.88 硫黄分,〃 2.97 窒素分,〃 0.12 アスフアルテン分,wt% 1.89 Ni含有量,wt ppm 7 V 〃 〃 27 減圧分留性状(常圧換算値) 初留点,℃ 182 50vol%点,℃ 470 反応は流通式反応装置を用いて次の反応条件で行った。
触媒量 15ml 原料油液空間速度 0.3hr−1 反応圧力(水素圧) 105kg/cm2 反応温度 400℃ 水素/油 比 2670Nl/ 本比較例においては反応日数を15日にとどまらず、1
50日以上の長期のにわたり、反応を継続した。
反応開始後15日目および150日目の分解率(分解率
は約343℃(650゜F)以上の留分の約343℃
(650゜F)以下の留分への転化率とした。以下同
じ。)は次の通りであった。
15日目 29.5% 150日目 9.0% 実施例1 触媒製造例1で調製した触媒F−1を前処理触媒Aと組
み合わせることにより常圧残渣油の水素化分解反応を行
った。
用いた前処理触媒Aの性状は以下のとおりである。
化学組成 NiO 5.0重量% MoO 20.5 〃 Al 残 量 物理性状 比表面積 131m2/g 細孔容積 0.367cc/g 平均細孔径 87Å 比較例1で用いたと同じ常圧残渣油を水素とともに前処
理触媒Aに通じ、しかるのち全生成物を触媒F−1へ通
じた。
前処理触媒Aによる反応は以下の条件で行った。
触媒量 15ml 原料油液空間速度 0.6hr−1 反応圧力(水素圧) 105kg/cm2 反応温度 400℃ 水素/油 比 2670Nl/ 触媒F−1による反応は以下の条件で行なった。
触媒量 15ml 原料油液空間速度 0.6hr−1 反応圧力(水素圧) 105kg/cm2 反応温度 400℃ 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の前処理反応およ
び分解反応を含めた合計の分解率、脱硫率、脱窒素率は
以下のとおりであった。
なお、この実施例の液空間速度は前処置触媒と触媒F−
1との合計量に対しては0.3hr−1である。
実施例2 触媒製造例1で調製したF−1を前処理触媒Bと組み合
わせることにより常圧残渣油の水素化分解反応を行っ
た。
用いた前処理触媒Bの性状は以下のとおりであった。
化学組成 CoO 4.0重量% MoO 12.5 〃 SiO 0.5 〃 Al 残 量 物理性状 比表面積 130m2/g 細孔容積 0.69cc/g 平均細孔径 171Å 反応には比較例1で用いたと同じ流通式反応器を用い反
応器の上層部へ前処理触媒Bを5ml、下層部へ触媒F
−1を15ml充てんし、比較例1で用いたと同じ常圧
残渣油を水素とともに下向流にて反応器へ通じることに
より、以下の条件にて反応を行った。
反応温度 400℃ 原料油液空間速度 0.3hr−1 (対全触媒量) 反応圧力(水素圧) 105kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の分解率は以下の
とおりであった。
15日目 24.0% 150日目 16.0% 比較例2 触媒製造例1で調製した触媒F−1を用いて減圧留出油
の水素化分解反応を行った。
反応原料の減圧留出油の性状は以下のとおりであった。
減圧留出油性状 比重 15/4℃ 0.9223 流動点 ℃ +35.0 粘度 50℃ cSt 36.53 硫黄分 % 2.45 窒素分 〃 0.084 Ni 〃 <0.0001 V 〃 <0.0001 残留炭素 〃 0.41 灰分 〃 <0.001 減圧分留性状(常圧換算値) 初留点,℃ 351 50Vol%点,℃ 452 97Vol%点,℃ 572 反応は比較例1で用いたと同じ流通式反応器を用い以下
の反応条件にて行った。
触媒量 15ml 反応温度 400℃ 原料油液空間速度 1.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の分解率はそれぞ
れ35.0%、12.0%であった。
実施例3 比較例2で用いたと同じ減圧留出油を水素とともに、実
施例1で用いたと同じ前処理触媒Aを充てんした流通式
反応器へ通じることにより、水素化精製反応を行った。
反応は以下の条件にて約15日間にわたって行った。
触媒量 500ml 反応温度 390℃ 原料油液空間速度 2.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 約15日間にわたる反応の集中生成油中の硫黄分および
窒素分および反応によって行った分解率は以下のとおり
であった。
前処理反応生成油中の硫黄分、窒素分 硫黄分 % 0.29 窒素分 〃 0.019 前処理反応における分解率 5% 次にこの生成油を原料油とし水素とともに触媒製造例1
で調製したF−1を充てんした流通式反応器へ通じるこ
とにより水素化分解反応を行った。
反応は以下の条件にて行った。
触媒量 15ml 反応温度 400℃ 原料油液空間速度 2.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の前処理反応およ
び分解反応を含めた合計の(対減圧留出油換算)分解率
は以下のとおりであった。
15日目 33.5% 150日目 30.5% 実施例4 触媒製造例1で調製した触媒F−1を前処理触媒Aと組
み合わせて比較例2の反応に用いたと同じ減圧留出油の
水素化分解反応を行った。
10mlの触媒Aを充てんした比較例1で用いたと同様
の流通式反応器と、同じく10mlの触媒F−1を充て
んした比較例1で用いたと同じ流通式反応器を直列に連
結した。
ついでこの連結した二連の反応器に上記減圧留出油をい
づれの反応器に対しても下向流となるよう水素とともに
通じて反応を行った。前段工程の全生成物を後段工程へ
通した。
反応は以下の条件にて行った。
前処理触媒Aによる前処理反応 触媒量 10ml 反応温度 390℃ 原料油液空間速度 2.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 触媒F−1による水素化分解反応 触媒量 10ml 反応温度 400℃ 原料油液空間速度 2.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の合計の分解率は
以下のとおりであった。
15日目 32.5% 150日目 29.5% 比較例3 触媒製造例2で調製した触媒F−2を用いて、比較例2
の反応に用いたと同じ減圧留出油の水素化分解反応を以
下の条件にて行った。
触媒量 15ml 反応温度 400℃ 原料油液空間速度 1.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の分解率は以下の
とおりであった。
15日目 36.0% 150日目 12.0% 実施例5 触媒製造例2で調製した触媒F−2を前処理触媒Cと組
み合わせて比較例2の反応に用いたと同じ減圧留出油の
水素化分解反応を行った。
前処理触媒Cの性状は以下のとおりである。
化学組成 CoO 3.8重量% MoO 23.4 〃 Al 残 分 物理性状 比表面積 210m2/g 細孔容積 0.380cc/g 平均細孔径 80Å 5mlの触媒Cを充てんした比較例1で用いたと同様の
流通式反応器と、同じく15mlの触媒F−2を充てん
した比較例1で用いたと同じ流通式反応器を直列に連結
した。
ついでこの連結した二連の反応器に上記減圧留出油をい
づれの反応器に対しても下向流となるよう水素とともに
通じて、反応を行った。前段工程の全生成物を後段工程
へ通した。
反応は以下の条件にて行った。
前処理触媒Cによる前処理反応 触媒量 5ml 反応温度 390℃ 原料油液空間速度 4.0hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 触媒F−2による水素化分解反応 触媒量 5ml 反応温度 400℃ 原料油液空間速度 1.3hr−1 反応圧力(水素圧) 80kg/cm2 水素/油 比 2670Nl/ 反応開始後15日目および150日目の合計の分解率、
脱硫率、脱窒素率は以下のとおりであった。
実施例6 実施例4において、触媒F−1の代りに、触媒製造例3
で調製した触媒F−3を用いて実施例4と全く同じ反応
を行った。反応開始後15日目および150日目の分解
率は以下のとおりであった。
15日目 31.3% 150日目 28.8% 実施例7 実施例4において、触媒F−1の代りに触媒製造例4で
調製した触媒F−4を用いて、実施例4と全く同じ反応
を行った。反応開始後15日目および150日目の分解
率は以下のとおりであった。
15日目 30.4% 150日目 26.5% 実施例8 実施例4において、触媒F−1の代りに、触媒製造例5
で調製した触媒F−5を用いて、実施例4と全く同じ反
応を行った。反応開始後15日目および150日目の分
解率は以下のとおりであった。
15日目 34.0% 150日目 26.7% 実施例9 実施例4において、触媒F−1の代りに、触媒製造例6
で調製した触媒F−6を用いて実施例4と全く同じ反応
を行った。反応開始後15日目および150日目の分解
率、脱硫率、脱窒素率は以下のとおりであった。
比較例4 比較例2において、触媒F−1の代りに公知触媒Dを用
いて比較例2と全く同じ反応を行った。公知触媒Dの性
状は以下のとおりである。
化学組成 NiO 6.5重量% WO 19.4 〃 SiO 23.6 〃 Al 残 分 物理性状 比表面積 259m2/g 細孔容積 0.462cc/g 平均細孔径 54Å 反応開始後15日目および150日目の分解率は以下の
とおりであった。
15日目 30.0% 150日目 10.0% 比較例5 実施例4において、触媒F−1の代りに比較例4で用い
た公知触媒Dを用いて実施例4と全く同じ反応を行っ
た。
反応開始後15日目および150日目の分解率は以下の
とおりであった。
15日目 28.0% 150日目 15.0% 上述の実施例1〜9および比較例1〜5の分解率の結果
をまとめると第1表の通りである。
以上の実施例1〜9および比較例1〜5にみられるとお
り、常圧残渣油あるいは減圧留出油のいづれの反応にお
いても本発明で用いる結晶性触媒組成物単独で反応を行
なう場合に比べその結晶性触媒組成物を前処理触媒と組
み合せて反応を行なう場合の方が、反応開始後15日目
のような比較的所期においては原料油のその結晶性触媒
組成物に対する液空間速度が大きいため、やや分解率が
小さいものの150日以上の長期の反応においては逆に
高い分解率が得られている。
このことは前処理触媒と分解触媒の充てん比率の大小に
よらず、また前処理触媒通過時に発生したアンモニアや
硫化水素などのガスの抜き出しを行なうか否かにかゝわ
らず、同様にいえることがわかる。
このように本発明で用いる結晶性触媒組成物で種々の炭
化水素類を水素化分解する場合、前処理触媒と組み合わ
せて用いるならば、より効率的な活性水準を期待でき
る。これに対し、触媒として結晶性触媒でなく通常の水
素化分解触媒を用いると比較例4,5に示すように前処
理触媒と組合せて用いても水素化分解活性は急激に低下
することがわかる。また本発明方法においては水素化分
解活性が高いのみならず、脱硫率、脱窒素率も高い水準
を示し、しかもその高い活性が長期間持続されることが
わかる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素類を無機酸化物と周期律表第6族
    金属成分および周期律表第8族金属成分とからなる前処
    理触媒にて水素化精製し、しかるのち結晶性アルミノけ
    い酸塩ゼオライトを5〜95重量%、無機酸化物を5〜
    95重量%、周期律表第6族金属成分を酸化物換算で1
    〜20重量%、周期律表第8族金属成分を酸化物換算で
    0〜7重量%、およびリン成分および/またはホウ素成
    分をリン元素および/またはホウ素元素対酸化物として
    換算した上記第6族金属成分の重量比が0.01〜0.
    08の割合でかつリン元素およびホウ素元素のおのおの
    は0.045未満の割合となる比率で含む結晶性触媒組
    成物にて水素化分解することを特徴とする炭化水素類の
    水素化分解方法。
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