JP3093136B2 - 炭化水素油の脱硫方法 - Google Patents

炭化水素油の脱硫方法

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JP3093136B2
JP3093136B2 JP07217751A JP21775195A JP3093136B2 JP 3093136 B2 JP3093136 B2 JP 3093136B2 JP 07217751 A JP07217751 A JP 07217751A JP 21775195 A JP21775195 A JP 21775195A JP 3093136 B2 JP3093136 B2 JP 3093136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭化水素油の脱硫方
法に関し、更に詳しくいうと、炭化水素油を高度に脱硫
することができ、また生成油の着色を防止することがで
きる炭化水素油の脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原油の常圧あるいは減圧蒸留工程から得
られる各種留分やその分解により得られる分解油には、
通常、数重量%におよぶ硫黄分が含まれている。この硫
黄分を水素化処理によって十分に除去するための技術は
環境保護の観点から極めて重要である。そうした技術開
発のほとんどは脱硫活性の高い触媒開発を目的とするも
のであり、一般に、水素化脱硫活性を有する金属成分
(特に、Ni−Mo、Co−Mo、Ni−W等)を担持
した耐火性酸化物(アルミナ等)が触媒として用いられ
ており、脱硫活性はその触媒調製法に大きく依存する。
これまでの研究では、単品の触媒でいかに脱硫の反応成
績を向上させるかに主力が注がれていた。
【0003】ゼオライトを活性成分として用いた高活性
脱硫触媒としては、特定の細孔径を有するゼオライトを
均一に分散したアルミナ触媒(特開昭56−20087
号公報、特開昭58−24352号公報)、CoやNi
をイオン交換したゼオライトを含有した触媒(特開平3
−284355号公報)、水素化金属を担持したゼオラ
イト及びアルミナの混合物であり、特定の細孔径を有す
る触媒(特開平3−284354号公報)、特定の粒径
を有するY型ゼオライトを含有する触媒(特公平5−3
6099号公報)、ゼオライト・ベータを用いた触媒
(特開昭61−111142号公報、特開昭61−10
8692号公報)、貴金属担持Y型ゼオライトを用いた
触媒(特開平6−134313号公報)、特定の格子定
数を有するゼオライト及びアルミナにリンを添加した触
媒(特開平6−121931号公報)が知られている。
これらの技術は、単一触媒中に高い脱硫活性を示す水素
化金属(Co−Mo等)を担持した無機酸化物(アルミ
ナ等)触媒に分解活性の高いゼオライト系触媒を混入さ
せているため、十分な水素化脱硫活性が得られない割に
分解が進行し、目的とする留分(脱硫軽油等)が得られ
ないという問題があった。
【0004】また、水素化金属担持無機酸化物触媒と接
触させた炭化水素油を続いてZSM−5ゼオライト触媒
と接触させることにより高い脱硫及び脱ロウ活性を得る
方法(特開昭60−195190号公報)が知られてい
る。この方法では、細孔径が約5オングストロームと小
さく、かつ水素化能が不十分なZSM−5ゼオライト触
媒を用いているため、脱ロウ活性は高いが脱硫活性に問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い水素化
脱硫性能を有するとともに生成油の着色を防止し、しか
も過剰分解による留分の損失を極力防止した炭化水素油
の脱硫方法、特に、灯軽油留分から硫黄分を大幅に低減
した脱硫灯軽油を製造するのに適した炭化水素油の脱硫
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の金属を含
有する無機酸化物触媒と特定の金属を特定の方法で担持
させた金属担持ゼオライト触媒とを組み合わせて用いて
炭化水素油を水素化処理することにより、生成油の着色
なしに炭化水素油を高度に脱硫できることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は炭化水素油に水素ガス
とともに触媒を接触させて炭化水素油の脱硫を行う炭化
水素油の脱硫方法において、触媒として(A)Mo、
W、Ni及びCoから選ばれる少なくとも1種以上の金
属を担持させた金属担持無機酸化物触媒及び(B)Si
2/Al23のモル比が3.5以上であり、かつNa2
O含量が8.0重量%以下のゼオライトに、pH1.5
以下のFe、Ni及びCoから選ばれる少なくとも1種
以上の金属の金属塩水溶液を接触させることにより調製
された金属担持ゼオライト触媒を組み合わせて使用する
ことを特徴とする炭化水素油の脱硫方法を提供するもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明により脱硫される炭化水素
油としては、含硫黄炭化水素分子を含有する炭化水素
類、具体的には、例えば、含硫黄炭化水素分子を含有す
る、ナフサ、灯油、軽油、常圧残渣油、減圧残渣油、減
圧軽油、原油、分解軽油、オイルシェール油、石炭液化
油等が使用可能である。これらの中でも、特に、沸点が
150〜350℃の灯油留分、軽油留分、分解軽油ある
いは灯軽油留分などが好適に使用される。
【0009】(A)成分のMo、W、Ni及びCoから
選ばれる少なくとも1種以上の金属を担持させた金属担
持無機酸化物触媒における無機酸化物担体としては、ア
ルミナ、シリカ、マグネシア、チタニア、ジルコニア等
の単独酸化物系担体や、シリカアルミナ、シリカマグネ
シア、シリカチタニア、アルミナチタニア、アルミナボ
リア、シリカアルミナマグネシア等の複合酸化物系担体
が用いられる。
【0010】無機酸化物担体の製造方法としては特に制
限はなく、如何なる方法であってもかまわない。例え
ば、無機酸化物担体の原料である無機酸化物のゲルを混
練、成形、空気中で50〜300℃で1〜24時間乾燥
後、空気中で300〜950℃で0.5〜12時間焼成
する方法が好適に用いられる。
【0011】無機酸化物担体には、水素化能を有するM
o、W、Ni及びCoから選ばれる少なくとも1種以上
の金属が担持されている。金属の担持方法としては特に
制限はなく、如何なる担持方法によるものであってもか
まわない。例えば、無機酸化物担体を上記金属の塩など
の金属化合物の水溶液で処理する含浸法が好適に用いら
れる。このようにして上記金属を担持した無機酸化物担
体を、通常、空気中で50〜200℃で0.5〜10時
間乾燥後、空気中で350〜850℃で0.5〜12時
間焼成し、金属担持無機酸化物触媒を得る。
【0012】無機酸化物担体に担持する金属としては、
Mo及び/又はWと、Ni及び/又はCoとの、少なく
とも2種の金属とすることが好ましい。
【0013】Mo及び/又はWの金属担持無機酸化物触
媒組成中の総含量は、各金属を安定な酸化物として(例
えばMoについてはMoO3、WについてはWO3)計算
して、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは8〜
18重量%とする。
【0014】また、Ni及び/又はCoの金属の金属担
持無機酸化物触媒組成中の総含量は、各金属の安定な酸
化物として(例えばCoについてはCoO、Niについ
てはNiO)計算して、好ましくは0.1〜20重量
%、更に好ましくは0.5〜12重量%とする。
【0015】金属の担持量が上記範囲外では水素化精製
能力が低下する。
【0016】(B)成分の金属担持ゼオライト触媒は、
SiO2/Al23のモル比が3.5以上であり、かつ
Na2O含量が8.0重量%以下のゼオライトに、F
e、Ni及びCoから選ばれる少なくとも1種以上の金
属を担持させたものである。
【0017】原料ゼオライトとしては、SiO2/Al2
3のモル比が3.5以上、好ましくは4.0〜40.
0の天然又は合成ゼオライト(Y型、L型、ベータ、オ
メガ、モルデナイト等)であり、Na2O含量が8.0
重量%以下、好ましくは5.0重量%以下に脱アルカリ
したものが用いられる。
【0018】また、原料ゼオライトとしてはSiO2
Al23が3.5以上かつNa2O含量が8.0重量%
以下になるように脱アルミニウムしたゼオライトも使用
可能である。この脱アルミニウム処理法としては、スチ
ーミング、酸処理、キレート抽出、四塩化珪素処理、フ
ッ素化等があるが、いずれの方法で行ってもよい。
【0019】原料ゼオライトのSiO2/Al23のモ
ル比が3.5未満であったり、Na2O含量が8.0重
量%を超えるものを用いた場合には目的の性能を出すよ
うな高度に金属が分散して担持された金属担持ゼオライ
トを調製することができない。
【0020】金属担持ゼオライト触媒は上記条件を満足
する原料ゼオライトに、pH1.5以下、好ましくはp
H1.2以下の前記金属の金属塩水溶液を接触させるこ
とにより調製される。このとき、ゼオライトは脱アルミ
ニウムしながら金属を高分散で担持する。
【0021】
【0022】前記金属の金属塩としては塩化物、硫酸
塩、硝酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸塩類等が好
適に用いられる。特に好ましくは硝酸第二鉄、硝酸ニッ
ケル、硝酸コバルトである。金属塩水溶液の金属塩濃度
は通常、0.01〜3.0mol/l、好ましくは0.
5〜1.5mol/lとする。金属塩濃度が0.01m
ol/l未満では十分な量の金属が担持できなくなるこ
とがあり、3.0mol/lを超えると沈着物形成の恐
れがあり、やはり十分な量の金属を高分散で担持するこ
とが困難となる。
【0023】金属塩水溶液のpHは1.5以下とする。
pHがこれより高いとゼオライトの脱アルミニウムを十
分に進行させることができず、担持金属の分散が不十分
となる。
【0024】ゼオライトを金属塩水溶液と接触させる処
理温度は、通常、pH1.5以下の条件下で10〜10
0℃、好ましくは30〜90℃である。この範囲外で
は、製造が極めて困難になる。また、処理時間は、通
常、pH1.5以下の条件下で0.1〜12時間、好ま
しくは0.5〜10時間である。
【0025】ゼオライトと金属塩水溶液との接触は、ゼ
オライトを単に金属塩水溶液に浸漬させるだけでよい
が、撹拌等を行うと、より短時間で目的を達成できる。
通常は、ゼオライトに水を添加してスラリーとし、そこ
に金属塩水溶液を添加して撹拌する方法が好適である。
また、接触処理を複数回繰り返すと、金属含有量の高い
金属担持ゼオライト触媒を調製できる。
【0026】金属塩水溶液のpHを調整し、十分な脱ア
ルミニウムを促進する目的で、酸を添加することも有効
である。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ペル
オクソ二スルホン酸、二チオン酸、スルファミン酸、ニ
トロスルホン酸等の鉱酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリ
フルオロ酢酸等の有機酸が好適に用いられる。
【0027】酸の使用量は原料ゼオライト1kgに対し
て、通常、0.1〜20mol、好ましくは6〜16m
olである。0.1mol未満では満足な脱アルミニウ
ムが進行せず、20molを超えると結晶破壊が起こる
ことがある。
【0028】このようにしてpH1.5以下の金属塩水
溶液で処理したゼオライトを、必要に応じ、再び周期表
第8族、第9族及び第10族から選ばれる少なくとも1
種以上の金属を含む金属塩水溶液と接触させ、更に金属
塩水溶液のpHをアルカリ又は塩基性窒素化合物を用い
て上昇させることにより、ゼオライトヘ金属を高分散か
つ高濃度で担持することも有効である。
【0029】このとき、金属塩としては、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸塩類等が用
いられる。金属塩は通常、0.1〜3.0mol/l、
好ましくは0.5〜1.5mol/lの濃度の水溶液
で用いられる。
【0030】金属塩水溶液のpHは、通常、2.0〜1
2.0、好ましくは3.0〜10.0にアルカリ、アン
モニア水、種々のアミン等を用いて調整され、通常、p
H2.0〜12.0の条件下で10〜100℃、好まし
くは30〜90℃の処理温度で、0.5〜12時間、好
ましくは1〜5時間接触処理を行う。
【0031】この処理は、通常、上記のpH1.5以下
の金属塩水溶液処理後、濾過して得られるゼオライトス
ラリーに上記金属塩水溶液を添加して行われる。なお、
金属塩水溶液との接触にゼオライトスラリーを用いる場
合には、ゼオライトスラリー中の水分や、アルカリや塩
基性窒素化合物を水溶液の状態で添加するときにはその
水溶液中の水分も金属塩水溶液のpHに影響する。従っ
て、ゼオライトと金属塩水溶液との接触時の混合物のp
Hが2.0〜12.0の範囲になるようにpHを調整す
ることが好ましい。
【0032】金属塩水溶液処理したゼオライトはろ過、
水洗を行って余分の金属塩を除去する。
【0033】上記のようにして得られた金属担持ゼオラ
イトは粉体のままでも触媒として使用できるが、通常
は、種々のバインダーと混合した成形体として用いられ
る。
【0034】バインダー剤としては、アルミナ、シリカ
アルミナ、アルミナボリア、アルミナチタニア、シリカ
マグネシア、アルミナジルコニア等の無機酸化物、モン
モリロナイト等の粘土鉱物が挙げられる。
【0035】触媒中の金属担持ゼオライト及びバインダ
ー剤の組成は、金属担持ゼオライト10〜90重量%、
好ましくは15〜65重量%、バインダー剤10〜90
重量%、好ましくは35〜85重量%とすることが好ま
しい。
【0036】このようにして得られた必要に応じてバイ
ンダーを含有する金属担持ゼオライトはそのまま触媒と
して使用してもよいが、通常は300〜850℃、好ま
しくは400〜700℃で0.5〜24時間、好ましく
は0.5〜6時間焼成して、金属担持ゼオライト触媒を
得る。
【0037】触媒の水素化能を更に高める目的で、水素
化能を有する金属、すなわち、周期表第6族、第8族、
第9族及び第10族から選ばれる金属少なくとも1種を
更に担持してもよい。ここで担持させる金属としては、
周期表第6族から選ばれる金属少なくとも1種、好まし
くはMo及び/又はW、並びに、周期表第8族、第9族
及び第10族の金属から選ばれる少なくとも1種、好ま
しくはFe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種
とを併用することが好ましい。
【0038】このようにして得られる金属担持ゼオライ
ト触媒組成中に更に担持された第6族の金属の担持割合
は、各金属を安定な酸化物として計算して(例えばMo
についてはMoO3、WについてはWO3)合計で、好ま
しくは0.01〜30重量%、更に好ましくは8〜20
重量%、更に担持された第8族、第9族、第10族の金
属の担持割合は、各金属を安定な酸化物として(例えば
FeについてはFe23、NiについてはNiO、Co
についてはCoO)計算して、合計で、好ましくは0.
03〜15重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%
とすることが好ましい。
【0039】本発明の炭化水素油の脱硫方法において
は、触媒として(A)の金属担持無機酸化物触媒と
(B)の金属担持ゼオライト触媒を組み合わせて炭化水
素油に水素ガスとともに触媒を接触させて脱硫反応を行
う形式であれば、どのような反応形式であっても特に制
限されない。
【0040】好ましい反応形式としては、(A)の金属
担持無機酸化物触媒と(B)の金属担持ゼオライト触媒
とを均一に物理混合して使用する方法や、(A)、
(B)両触媒の固定床を多段に組み合わせ、(A)の金
属担持無機酸化物触媒を使用する脱硫処理と(B)の金
属担持ゼオライト触媒を使用する脱硫処理とを組み合わ
せて行う方法が挙げられる。
【0041】高い水素化精製能力のある金属担持無機酸
化物触媒と、高い水素化能を有しながら異性化活性や脱
アルキル活性能力のある金属担持ゼオライト触媒を組み
合わせて使用することにより、難脱硫性化合物の異性化
/分解等の進行により、極めて高い程度に炭化水素油を
脱硫することができるとともに、軽油の深度脱硫時に問
題となる生成油の着色を大幅に抑制することができる。
【0042】また、例えば活性金属成分を担持したゼオ
ライトを水素化金属担持無機酸化物中に混練分散させ成
形して得られる従来の脱硫触媒を用いた場合と比較し
て、金属担持ゼオライト触媒と金属担持無機酸化物触媒
とを別個に調製したものを組み合わせて用いる本発明の
方法は、1)高い水素化活性を有する金属担持無機酸化
物触媒中に、水素化活性を低下させるゼオライトを混入
しないで調製するため、金属担持無機酸化物触媒の水素
化活性は高いレベルに維持される。また、2)金属担持
ゼオライト触媒側も、水素化脱硫活性を出させるため
に、中途半端に金属担持無機酸化物を混合させ、十分な
異性化活性や脱アルキル活性を発揮できない状態にせ
ず、本来のゼオライト触媒の性能(異性化活性等)をフ
ルに発揮することができ、難脱硫性化合物の異性化/分
解等の進行により、極めて高い程度に炭化水素油を脱硫
しながらも、過剰分解による留分の損失を極力防止でき
る。
【0043】上記(A)、(B)両触媒の使用割合は、
(B)の金属担持ゼオライト触媒の使用割合が(A)
(B)触媒の合計量に対して、通常0.1〜50重量
%、好ましくは1〜20重量%である。金属担持ゼオラ
イト触媒の使用割合が0.1重量%未満では脱硫効果が
発揮されず、50重量%を超えると過分解等の好ましく
ない副反応が起こる。
【0044】脱硫反応における反応温度は、通常、25
0〜450℃、好ましくは、300〜400℃の範囲に
選定するのが好適である。
【0045】反応圧力は、通常、1.0〜200.0k
g/cm2G、好ましくは、10.0〜150.0kg
/cm2Gの範囲に選定するのが好適である。
【0046】供給原料の空間速度は、使用する触媒の見
かけの体積と供給原料中の炭化水素類の液化されている
場合の体積から計算した液空間速度(LHSV)とし
て、通常、0.1〜15.0h-1、好ましくは、0.2
〜10.0h-1の範囲に選定するのが好適である。
【0047】なお、水素の添加割合は、10〜3000
Nm3/kl、好ましくは、100〜1500Nm3/k
lの範囲に選定するのが好適である。
【0048】以上のようにして炭化水素油中の硫黄分を
高度に脱硫することができる。特に軽油の脱硫に用いた
場合、軽油中の難脱硫性硫黄化合物の脱硫活性が高く、
しかも生成油の着色防止効果が極めて高い。
【0049】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例によっ
て本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0050】なお、以下の実施例及び比較例において、
触媒組成は蛍光X線分析を用いて測定した。また、脱硫
活性試験法は次のように行った。
【0051】触媒36gを固定床流通式反応装置の反応
管に充填し、前処理として、該触媒層に表1に示す性状
の原料油[中東系軽質軽油(LGO)]を250℃で2
4時間流通することにより該触媒を予備硫化した。
【0052】次に、予備硫化した触媒層に、反応温度3
30〜350℃(330及び350℃の各温度に順次段
階的に昇温)、圧力30kg/cm2G、水素ガス/原
料油比200Nm3/Kl、LHSV 4.0h-1の条
件で、表1に示す性状の原料油[中東系軽質軽油(LG
O)]を水素ガスと共に流通し、該原料油を水素化処理
(水素化脱硫)した。
【0053】実施例1 合成Na−Yゼオライト(Na2O含量13.3wt
%、SiO2/Al23=5.0)をNH + 4交換し、N
4−Yゼオライト(Na2O含量1.2wt%)を得
た。このNH + 4−Yゼオライトをスチーミング処理
(670±10℃、3時間)し、USYゼオライトを得
た。USYゼオライトのNa2O含量は1.2wt%、
SiO2/Al23モル比は5.0であった。
【0054】USYゼオライト 1kgを20リットル
の水でスラリー化し、30分間撹拌した。0.57mo
l/lの硝酸第二鉄水溶液(pH=0.8)4.3kg
をスラリーに約10分間かけて添加した後、室温で5分
間撹拌した。同スラリーを室温から75℃まで35分間
で昇温した。昇温途中でスラリー温度が60℃に到った
時点で10wt%硝酸4リットルを25分間で添加し
た。添加終了後、スラリーを30分間撹拌した。スラリ
ーをろ過、洗浄した後、120℃で4時間乾燥して表2
に示す鉄担持ゼオライトAを得た。
【0055】鉄担持ゼオライトA 390g(乾燥重
量)とアルミナベーマイトゲル210g(乾燥重量)を
混練、押出し成形し、乾燥空気で200℃、4時間乾燥
した後、焼成(550℃、3時間)することでペレット
状の鉄担持ゼオライト触媒を得た。触媒中の鉄担持ゼオ
ライト量は65wt%とした。
【0056】金属担持無機酸化物触媒は、アルミナベー
マイトゲル1kg(乾燥重量)を混練、押出し成形し、
乾燥(200℃、4時間)、焼成(550℃、3時間)
することでペレット状の触媒担体を得た後、触媒担体に
Co及びMoを含有した共含浸溶液を含浸させ、再び乾
燥(200℃、4時間)及び焼成(550℃、3時間)
することにより得た。得られた触媒はCoOを4.2w
t%、MoO3を16.6wt%含有していた。
【0057】得られた鉄担持ゼオライト触媒(3.6
g)及び金属担持無機酸化物触媒(32.4g)を均一
に混合したものを反応に供した。反応結果を表3に示
す。
【0058】実施例2 実施例1で得たUSYゼオライト 500gを純水5k
gでスラリー化した。スラリーを撹拌下で75℃にした
後、USYゼオライト 1kgあたり12mol量の硝
酸及び3kgの硝酸ニッケル水溶液(濃度0.5mol
/l、pH=1.1)を添加した。得られたスラリーを
撹拌しつつ75℃で30分間保持した後、ろ過した。次
に、ろ過後のゼオライトスラリーに濃度1.0mol/
lの硝酸ニッケル水溶液3kgを添加し、75℃に加熱
した後、撹拌しながら水溶液のpHが4.0になるよう
に5%のアンモニア水溶液を添加した。添加終了後、ス
ラリーを30分間撹拌した。スラリーをろ過、洗浄した
後、120℃で4時間乾燥して表2に示すニッケル担持
ゼオライトBを得た。
【0059】ニッケル担持ゼオライトB 390g(乾
燥重量)とアルミナベーマイトゲル210g(乾燥重
量)を混練、押出し成形し、乾燥(200℃、4時
間)、焼成(550℃、3時間)することでペレット状
のニッケル担持ゼオライト触媒を得た。触媒中のニッケ
ル担持ゼオライト量は65wt%とした。
【0060】得られたニッケル担持ゼオライト触媒
(1.5g)及び実施例1で得られた金属担持無機酸化
物触媒(34.5g)を均一に混合したものを反応に供
した。反応結果を表3に示す。
【0061】実施例3 実施例1で得たUSYゼオライト 500gを純水5k
gでスラリー化した。スラリーを撹拌下で75℃にした
後、USYゼオライト 1kgあたり10mol量の硝
酸及び3kgの硝酸コバルト水溶液(濃度1.5mol
/l、pH=1.1)を添加した。得られたスラリーを
撹拌しつつ75℃で30分間保持した後、ろ過した。次
に、ろ過後のゼオライトスラリーに濃度1.0mol/
lの硝酸コバルト水溶液3kgを添加し、75℃に加熱
した後、スラリーを撹拌しつつを30分間撹拌した。ス
ラリーをろ過、洗浄した後、120℃で4時間乾燥して
表2に示すコバルト担持ゼオライトCを得た。
【0062】コバルト担持ゼオライトC 390g(乾
燥重量)とアルミナベーマイトゲル210g(乾燥重
量)を混練、押出し成形し、乾燥(200℃、4時
間)、焼成(550℃、3時間)することでペレット状
のコバルト担持ゼオライト触媒を得た。触媒中のコバル
ト担持ゼオライト量は65wt%とした。
【0063】得られたコバルト担持ゼオライト触媒
(5.0g)を上層に、実施例1で得られた水素化金属
担持無機酸化物触媒(31.0g)を下層となるように
二段の触媒システムとして反応に供した。反応結果を表
3に示す。
【0064】比較例1 一般的な脱硫触媒である金属担持無機酸化物触媒として
アルミナベーマイトゲル1kg(乾燥重量)を混練、押
出し成形し、乾燥(200℃、4時間)、焼成(550
℃、3時間)することでペレット状の触媒担体を得た
後、触媒担体Co及びMoを含有した共含浸溶液を含浸
させ、再び乾燥及び焼成することにより得た。得られた
触媒はCoOを4.2wt%、MoO3を16.6wt
%含有していた。得られた金属担持無機酸化物触媒(3
6.0g)を反応に供した。反応結果を表3に示す。
【0065】比較例2 実施例2で得られたニッケル担持ゼオライトB 390
g(乾燥重量)とアルミナベーマイトゲル210g(乾
燥重量)を混練、押出し成形し、乾燥空気で200℃、
4時間乾燥した後焼成(550℃、3時間)することで
ペレット状のニッケル担持ゼオライト触媒担体を得た。
触媒担体中のニッケル担持ゼオライト量は65wt%と
した。触媒は、触媒担体Co及びMoを含有した共含浸
溶液を含浸させ、再び乾燥(200℃、4時間)及び焼
成(550℃、3時間)することにより得た。得られた
触媒はCoOを4.2wt%、MoO3を16.6wt
%含有していた。得られた触媒(36.0g)を反応に
供した。反応結果を表3に示す。
【0066】比較例3 実施例1で得られた鉄担持ゼオライトA 60g(乾燥
重量)とアルミナベーマイトゲル540g(乾燥重量)
を混練、押出し成型し、乾燥空気で200℃、4時間乾
燥した後、焼成(550℃、3時間)することでペレッ
ト状の鉄担持ゼオライト/アルミナ触媒担体を得た。触
媒担体中の鉄担持ゼオライト触媒量は10wt%とし
た。触媒は、触媒担体100gにCo及びMoを含有し
た共含浸溶液を含浸させ、再び乾燥(200℃、4時
間)及び焼成(550℃、3時間)することにより得
た。得られた触媒はCoOを4.2wt%、MoO3
16.6wt%含有していた。得られた触媒(36.0
g)を反応に供した。反応結果を表3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】 実施例に示されるように、金属高分散担持ゼオライト触
媒と水素化金属含有無機酸化物触媒とを組合せた高度脱
硫システムは脱硫活性が高いと共に、特に高温領域での
脱硫生成油の色相が良好(生成油の着色防止効果大)で
あることがわかる。
【0070】
【発明の効果】本発明の炭化水素油の脱硫方法は炭化水
素油を高度に脱硫することができるとともに、生成油の
着色を防止することができる。
【0071】特に、灯軽油分から硫黄分を大幅に低減し
た脱硫灯軽油を製造するのに好適に利用することができ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素油に水素ガスとともに触媒を接
    触させて炭化水素油の脱硫を行う炭化水素油の脱硫方法
    において、触媒として(A)Mo、W、Ni及びCoか
    ら選ばれる少なくとも1種以上の金属を担持させた金属
    担持無機酸化物触媒及び(B)SiO2/Al23のモ
    ル比が3.5以上であり、かつNa2O含量が8.0重
    量%以下のゼオライトに、pH1.5以下のFe、Ni
    及びCoから選ばれる少なくとも1種以上の金属の金属
    塩水溶液を接触させることにより調製された金属担持ゼ
    オライト触媒を組み合わせて使用することを特徴とする
    炭化水素油の脱硫方法。
  2. 【請求項2】 触媒として(A)の金属担持無機酸化物
    触媒と(B)の金属担持ゼオライト触媒とを物理混合し
    た触媒を使用する請求項1記載の炭化水素油の脱硫方
    法。
  3. 【請求項3】(A)の金属担持無機酸化物触媒を使用す
    る脱硫処理と(B)の金属担持ゼオライト触媒を使用す
    る脱硫処理とを組み合わせて行う請求項1記載の炭化水
    素油の脱硫方法。
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