JP2000265175A - 軽油留分の水素化脱硫方法 - Google Patents

軽油留分の水素化脱硫方法

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JP2000265175A
JP2000265175A JP11074083A JP7408399A JP2000265175A JP 2000265175 A JP2000265175 A JP 2000265175A JP 11074083 A JP11074083 A JP 11074083A JP 7408399 A JP7408399 A JP 7408399A JP 2000265175 A JP2000265175 A JP 2000265175A
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gas oil
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zeolite
reaction zone
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Akira Iino
明 飯野
Mitsuru Yoshida
充 由田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱硫軽油の硫黄分濃度を200wtppm以
下となるような軽油留分の水素化脱硫方法の提供。 【解決手段】 第一反応帯域に金属担持ゼオライトを含
む担体に周期律表第6,8,9,10族金属を担持した
触媒を5〜95vol%、第二反応帯域に非晶質無機酸
化物担体に周期律表第6,8,9,10族金属を担持し
た触媒を95〜5vol%配置した水素化脱硫方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は軽油留分の水素化脱
硫処理方法に関する、詳しくは特定の触媒の組み合わせ
下で水素化脱硫処理を行い硫黄分を十分に低下させた軽
油を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油精製分野においては、環境規
制に対応するために軽油の硫黄分を500wtppmと
して製造している。アルミナ系無機酸化物担体に水素化
活性物質として周期律表第6族、8族、9族、10族の
金属を担持した従来型の脱硫触媒では、脱硫活性点を増
加させるために活性金属の担持における高い分散度を得
る高度な触媒調製技術が開発されてきた。たとえば、活
性金属塩溶液に有機物を添加する方法(特開平6−22
8572号公報)、アルミナゲルと金属塩溶液とをスラ
リー状で混合して比表面積を増大する方法(特開平5−
115781号公報)、金属含浸後に焼成工程を省き、
金属の凝集を防止する方法(特開平8−332385号
公報、特開平8−332386号公報)等が考案されて
いる。しかし、いずれの方法も生成軽油中の硫黄分は3
00〜500wtppm程度であり、このレベルの低硫
黄軽油は難脱硫性の硫黄化合物として知られているジメ
チルジベンゾチオフェン類を多く含んでいる。このよう
な低硫黄軽油をさらに脱硫処理するには上記のような脱
硫活性点の増加技術だけでは限界があった。
【0003】西暦2,000年以降においては、さらに
厳しい環境規制に対応するために軽油の硫黄分を200
wtppmとすることが検討されている。そのため、直
留軽油はもとより、重質軽油、また比較的穏和な条件で
精製されていた減圧軽油や分解軽油についても、将来の
環境規制に対応するための硫黄分、アロマ分の高度な精
製技術が要求されている。より低い脱硫レベルを達成す
るためには軽油留分等の炭化水素油中に含まれる難脱硫
成分であるジメチルジベンゾチオフェン類の効率的な脱
硫が不可欠であり、そのため、軽油留分等の炭化水素油
の高性能な水素化脱硫触媒として、従来のアルミナ系脱
硫触媒の改善と共にジメチルジベンゾチオフェンの異性
化、核水素化反応を狙った固体酸機能を最大限発揮させ
るゼオライト系触媒の開発がなされている。さらに窒素
規制、パティキュレート規制問題等が重要視されており
その解決がいそがれている。
【0004】そこで、ゼオライトを活性成分として用い
た高活性脱硫触媒が多数研究され、開示されている。た
とえば、特定の細孔径を有するゼオライトを均一に分散
したアルミナ触媒(特開昭56−20087号公報、特
開昭58−24352号公報)、Co、Niをイオン交
換したゼオライトを含有した触媒(特公平8−3230
8号公報、特開平3−284355号公報、特開平6−
262084号公報)、水素化金属を担持したゼオライ
ト及びアルミナの混合物であり、特定の細孔径を有する
触媒(特開平3−284354号公報)、特定の粒径を
有するY型ゼオライトを含有する触媒(特公平5−36
099号公報)、ゼオライト・ベータを用いた触媒(特
開昭61−111142号公報、特開昭61−1086
92号公報)、貴金属担持Y型ゼオライトを用いた触媒
(特開平6−134313号公報)、特定の格子定数を
有するゼオライト及びアルミナにリンを添加した触媒
(特開平6−121931号公報)などが知られてい
る。
【0005】これらの技術は、触媒中に高い脱硫活性を
示す水素化金属(Co−Mo等)を担持した非晶質無機
酸化物(アルミナ等)と炭化水素に対する分解活性の高
いゼオライトを含有しているために上記目的をある程度
達成できるものもあった。しかし、上記に開示されてい
るような従来のゼオライト製造技術による脱硫触媒や脱
硫方法では生成軽油の硫黄分はまだ十分には低下できな
かった。さらに、水素化脱硫反応とともに分解反応が進
行し、目的とする留分(脱硫軽油等)のみが効率よく得
られないという問題点があった。これは、ゼオライトは
疎水性であることと通常のアルミナ担体ほどOH−基が
多くないことから活性金属を高分散度で担持できないた
め、ゼオライト上の水素化活性点としての活性金属は十
分効力を発揮できていないためと考えられる。そこで、
イオン交換法を用いて活性金属を高分散で担持する方法
が考えられるが、含浸法のように強制的に所望の金属量
を担持できる方法と比較して、イオン交換法は金属担持
量が少なくなってしまう。さらに、ゼオライトを十分脱
アルミニウムして固体酸性質を改変させることも過分解
防止のために必要であり、ゼオライトの酸性質制御と金
属分散性を考慮した高度な触媒設計が十分にはなされて
いなかった。
【0006】また、水素化金属担持無機酸化物触媒とゼ
オライト触媒とを組み合わせた水素化技術としては、水
素化金属担持無機酸化物触媒と接触させた炭化水素油を
続いてZSM−5ゼオライト触媒と接触させることによ
り、脱硫活性及び脱ロウ活性を得る方法(特開昭60−
195190号公報)が知られている。この方法では、
細孔径が5Åと小さく且つ水素化能が不十分なZSM−
5ゼオライトを用いているため、脱ロウ活性は高いが脱
硫活性に問題があった。
【0007】さらに、炭化水素油をシリカまたはゼオラ
イト系触媒と接触させ、続いてアルミナ担体触媒と接触
させることにより脱硫性能を向上させる方法(登録特許
第2567291号)が知られている。しかし、開示さ
れている脱硫処理技術では生成軽油の硫黄分はそれぞれ
の触媒を単独で用いる場合よりも効果的ではあるが、軽
油の硫黄分は500wtppm以下とすることはでき
ず、当該技術に開示されている触媒やその組み合わせで
は難脱硫硫黄化合物の脱硫は難しいものと考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な観点からなされたもので、今後要求されるであろう軽
油の品質である硫黄分200wtppm以下、あるい
は、さらに低レベルの硫黄分を達成するために、意識的
にベンゾチオフェン類のような難脱硫硫黄化合物の脱硫
を目指した軽油の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究を
重ねた結果、特定の金属担持ゼオライトを含む触媒と非
晶質水素化脱硫触媒を特定の組み合わせとして、軽油留
分を水素化脱硫処理することにより硫黄分が200wt
ppm以下という低レベルの軽油の製造できることを見
い出し本発明を完成したものである。
【0010】すなわち、本発明の要旨は下記のとおりで
ある。 (1) 二つの反応帯域で軽油留分を水素化脱硫する方
法であって、第一反応帯域で使用する触媒を、金属担持
ゼオライトを触媒基準で5〜95wt%含む担体に周期
律表第6族、8族、9族および10族金属から選ばれる
少なくとも1種を担持した触媒とし、第二反応帯域で使
用する触媒を、非晶質無機酸化物担体に周期律表第6
族、8族、9族および10族金属から選ばれる少なくと
も1種を担持した触媒とし、第一反応帯域で使用する触
媒量を全触媒量に対し5〜95vol%とし、第二反応
帯域で使用する触媒量を全触媒量に対し95〜5vol
%とすることを特徴とする軽油留分の水素化脱硫方法。
【0011】(2) 第一反応帯域で使用する触媒の比
表面積が150m2 /g以上、平均細孔径が50〜15
0Åでかつ細孔容量が0.2〜1.0cc/gである
(1)記載の軽油留分の水素化脱硫方法。 (3) 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる金属担
持ゼオライトが周期律表第3族、4族、5族、6族、7
族、8族、9族、10族、11族、12族、13族およ
び14族金属から選ばれる少なくとも1種を担持した金
属担持ゼオライトであり、該金属の合計担持量が酸化物
換算で金属担持ゼオライトに対し0.5〜35wt%で
あり、ナトリウム含有量がNa2 Oに換算して3wt%
以下、SiO2 /Al2 3 モル比が10以上、格子定
数が24.15〜24.50Åである(1)または
(2)記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
【0012】(4) 第一反応帯域で使用する触媒に含
まれる金属担持ゼオライトがNi、Co、Cu、Fe、
Ga、Zn、Mo、W、Sn、Mn、Pt、Pd、O
s、Ir、RhおよびRuから選ばれる少なくとも1種
を担持した金属担持ゼオライトである(3)記載の軽油
留分の水素化脱硫方法。 (5) 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる金属担
持ゼオライトが、ナトリウム含有量がNa2 Oに換算し
て8wt%以下でかつSiO2 /Al2 3 モル比が
3.5以上のアンモニウムY型ゼオライトに脱アルミニ
ウム処理および金属担持処理をして得られる金属担持ゼ
オライトである(1)〜(4)のいずれかに記載の軽油
留分の水素化脱硫方法。
【0013】(6) 第一反応帯域で使用する触媒に含
まれる金属担持ゼオライトが、ナトリウム含有量がNa
2 Oに換算して3wt%以下、SiO2 /Al2 3
ル比が5以上でかつ格子定数が24.15〜24.50
ÅのスチーミングY型ゼオライトに金属担持処理をして
得られる金属担持ゼオライトである(1)〜(4)のい
ずれかに記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
【0014】(7) 第一反応帯域で使用する触媒がり
んおよび/またはほう素を含むものである(1)〜
(6)のいずれかに記載の軽油留分の水素化脱硫方法。 (8) 第一反応帯域および第二反応帯域で使用する触
媒担体に担持する周期律表第6族、8族、9族および1
0族金属がニッケル、コバルト、モリブデンおよびタン
グステンから選ばれる少なくとも1種である(1)〜
(7)のいずれかに記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
【0015】(9) 第二反応帯域で使用する触媒が、
ニッケルまたは/およびコバルトを酸化物換算で該触媒
に対し1〜10wt%並びにモリブデンまたは/および
タングステンを酸化物換算で該触媒に対し5〜30wt
%含有する(8)記載の軽油留分の水素化脱硫方法。 (10) 水素化脱硫される軽油留分が直留軽油、重質
軽油、減圧軽油、接触分解軽油、水素化分解軽油、熱分
解軽油、コーカーガスオイル、水素化処理軽油および脱
硫処理軽油から選ばれる少なくとも1種を主成分とする
軽油留分である(1)〜(9)のいずれかに記載の軽油
留分の水素化脱硫方法。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明の第一反応帯域およ
び第二反応帯域で使用する触媒の概略について説明す
る。本発明の第一反応帯域で使用する触媒においては、
その担体成分である金属担持ゼオライトが重要な役割を
果たす。金属担持ゼオライトは触媒重量を基準として5
〜95wt%、好ましくは20〜80wt%、さらに好
ましくは30〜70wt%含まれるように担体を調整せ
ねばならない。残りの担体成分は、通常の炭化水素油の
脱硫触媒用等の非晶質無機酸化物担体として用いられる
ものが好適に用いられる。金属担持ゼオライトと非晶質
無機酸化物等とから成る担体に周期律表第6、8、9お
よび10族金属から選ばれる少なくとも1種を担持した
触媒を全反応帯域の触媒量に対して5〜95vol%好
ましくは10〜90vol%、さらに好ましくは15〜
85vol%とする。 なお、本発明の第一反応帯域で
使用する触媒は、比表面積が150m2 /g以上であ
り、平均細孔径が50〜150Åでありかつ細孔容量が
0.2〜1.0cc/gであることが望ましい。
【0017】第一反応帯域では脱硫とともにおもに4,
6−ジメチルジベンゾチオフェンのような難脱硫性硫黄
化合物の異性化反応および核水添反応を行わせている。
たとえば、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを比較
的立体障害が少なくその分脱硫反応性の高い3,7−ジ
メチルジベンゾチオフェンのような硫黄化合物に転換す
る反応を担っている。核水添反応の場合も同様に難脱硫
性硫黄化合物を易脱硫性硫黄化合物に転換するための反
応である。それ故、この帯域の触媒量が少ないと難脱硫
性硫黄化合物が易脱硫性硫黄化合物に転換することなく
そのまま次の脱硫反応主体の第二反応帯域に送られ、こ
こでも脱硫されないで脱硫反応が終わってしまう。そう
すると、硫黄分200wtppm以下というような低硫
黄分含有量の軽油は得られなくなってしまう。通常の軽
油留分を200wtppm以下の硫黄含有量の軽油とす
るためには第一反応帯域の触媒量は上記範囲が適当であ
る。
【0018】次いで、第二反応帯域で使用する触媒とし
て非晶質無機酸化物担体に周期律表第6、8、9および
10族金属から選ばれる少なくとも1種を担持したもの
を用いる。この触媒を全反応帯域の触媒量に対して5〜
95vol%、好ましくは10〜90vol%、さらに
好ましくは15〜85vol%とする。なお、各反応帯
域で使用される触媒は上記のものであるが、その機能を
損なわない範囲でそれぞれ別種の触媒を混合してもよ
い。また、他の機能の触媒が各反応帯域の前後や中間に
存在しても各反応帯域の触媒の機能が損なわれない範囲
なら差し支えない。(このような場合、本発明の各反応
帯域触媒量はこれらの別種の触媒や他の機能の触媒を含
まないものとして考える。) このように触媒を組合せた反応帯域の存在下で軽油留分
を水素化脱硫することにより、生成軽油の硫黄分を20
0wtppm以下、好ましくは100wtppm以下、
さらに好ましくは50wtppm以下とすることができ
る。
【0019】このようにすることで、難脱硫成分である
4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等の化合物の異性
化、核水素化を促進し、硫黄化合物の大幅な低減が可能
となり、且つ、分解を抑え生成油中の多環アロマ分も低
減でき、着色を抑えた高性能な脱硫方法が提供できる。
この方法は、高い水素化活性、固体酸特性を持ち、且つ
水素化活性を長期に亘って低下させない金属担持ゼオラ
イト含有触媒と、高い水素化活性を有する金属担持非晶
質無機酸化物触媒とを組み合わせることにより、高い脱
硫活性、脱アロマ活性を発揮させることができるものと
考えられる。
【0020】つぎに、それぞれの触媒につき具体的に説
明する。まず、本発明の第一反応帯域で使用する触媒の
担体成分である金属担持ゼオライトについて説明する。
本発明の金属担持ゼオライトは周期律表第3族、4族、
5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12
族、13族および14族金属から選ばれる少なくとも1
種を担持した金属担持ゼオライトであることが望まし
い。そのうちでも好ましい担持金属種としてNi、C
o、Cu、Fe、Ga、Zn、Mo、W、Sn、Mn、
Pt、Pd、Os、Ir、Rh、Ru特に好ましい担持
金属種としてはNi、Co、Fe、Pt、Pdが挙げら
れる。さらに好ましい担持金属種としてはNi、Co、
Feが挙げられる。さらに、上記金属担持ゼオライトは
該金属の合計担持量が酸化物換算で金属担持ゼオライト
に対し0.5〜35wt%、好ましくは1〜20wt%
であることが望ましい。また、金属担持ゼオライトのナ
トリウム含有量はNa2 Oに換算して3wt%以下、好
ましくは1wt%以下、SiO2 /Al2 3 モル比は
3.5以上、好ましくは10以上、かつ格子定数は2
4.15〜24.50Å、好ましくは24.25〜2
4.45Åであることが望ましい。
【0021】上記金属を担持する前のゼオライトはA型
ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、βゼオ
ライト、L型ゼオライト、モルデナイト等の合成ゼオラ
イト、ZSM−5等のペンタシル型合成ゼオライト、天
然フォージャサイト、クリノプチライト等の天然鉱物系
のゼオライト、その他MCM−22、MCM−41、S
APO、ALPO等のマイクロポーラスクリスタル、メ
ソポーラスクリスタル等を用いればよい。好ましくはY
型ゼオライト、βゼオライト、モルデナイト、ZSM−
5、MCM−41、特に好ましくはスチーミングY型ゼ
オライト、USY型ゼオライトを含むY型ゼオライトが
挙げられる。
【0022】上記金属担持前のゼオライトのナトリウム
含有量は、Na2 Oに換算して8wt%以下、好ましく
は3.0wt%以下のY型ゼオライトであり、NH
4 型、H型等の陽イオン交換型のものが望ましい。さら
に、SiO2 /Al2 3 モル比は3.5以上 好まし
くは5.0以上のY型ゼオライトが望ましい。これらの
原料ゼオライトを用いて、低pH溶液で脱アルミニウム
を行い、金属を担持すると本発明に使用する好適な金属
担持ゼオライトが得られる。たとえば、低pHの金属塩
溶液で脱アルミニウムと同時に金属を担持すると好都合
である。
【0023】また、上記金属担持前のゼオライトとして
Y型ゼオライトをスチーミングして得られるスチーミン
グY型ゼオライト、あるいはスチーミングY型ゼオライ
トをさらに鉱酸などで脱アルミニウム処理して得られる
USY型ゼオライトが適した原料となる。これらのゼオ
ライトの物性等は、ナトリウム含有量が、Na2 Oに換
算して8wt%以下、好ましくは3.0wt%以下Si
2 /Al2 3 モル比は3.5以上 好ましくは5.
0以上、かつ格子定数は24.15〜24.50Å、好
ましくは24.25〜24.45Åであることが望まし
い。これらの原料ゼオライトを用いて、低pH溶液で脱
アルミニウムを行い、金属を担持すると本発明に使用す
る好適な金属担持ゼオライトが得られる。たとえば、低
pHの金属塩溶液で脱アルミニウムと同時に金属を担持
すると好都合である。
【0024】金属担持前のゼオライトの脱アルミニウム
処理について説明する。まず、スチーミングによるゼオ
ライトの脱アルミニウム処理につき説明する。ゼオライ
トのスチーミングは自己の持つ水分を利用して行っても
よい。また、水分を強制的にゼオライトに導入して実施
してもよい。雰囲気中のスチーム含有割合は2〜100
vol%、好ましくは10〜100vol%のスチーム
雰囲気でスチーミング温度は300〜900℃、好まし
くは450〜800℃が望ましい。上記スチーミング処
理によって原料ゼオライトの脱アルミニウム処理が行わ
れる。
【0025】さらに、酸処理(前記低pH溶液で脱アル
ミニウム処理を含む)、キレート抽出処理、四塩化硅素
処理、フッ素化等の方法で脱アルミニウム処理を行って
もよい。特に酸処理が好ましい。酸処理を行って、ゼオ
ライト骨格外のアルミニウムを除去するだけでも良い
し、骨格外だけでなく、骨格内のアルミニウムも同時に
脱アルミニウムを行っても良い。脱アルミニウム処理の
酸は硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ペルオクソ二スルホン
酸二チオン酸、スルファミン酸、ニトロスルホン酸等の
鉱酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有
機酸等が好適に用いられる。
【0026】酸の濃度は、0.1〜50wt%、好まし
くは5〜20wt%、高いとゼオライトの崩壊を招く。
低いと脱アルミニウムが進行しにくい。酸の量は、ゼオ
ライト1kgあたり、1〜20モル、好ましくは3〜1
6モル、処理温度は10〜100℃、好ましくは30〜
90℃処理時間は0.5〜12時間、好ましくは1〜5
時間とすることが好適である。
【0027】上記のようにして脱アルミニウム処理した
USY型ゼオライトスラリーを金属塩溶液で接触処理し
て金属担持ゼオライトを調製することができる。また、
NH 4 Y型ゼオライト、H型ゼオライトやスチーミング
ゼオライト、酸等で脱アルミニウム処理したUSY型ゼ
オライトスラリーに低pHの金属塩溶液を添加し、脱ア
ルミニウム処理を行いながら、金属担持ゼオライトを調
製することができる。すなわち、脱アルミニウム処理と
同時に金属担持してもよく、脱アルミニウム処理したゼ
オライトに金属担持処理を行ってもよい。
【0028】原料ゼオライトの種類によって適当な金属
担持処理方法を選ぶことができる。すなわち、ゼオライ
トに付着するアルミニウム化合物のようなゼオライト骨
格外のアルミニウムを極力除去して金属を担持すること
により、金属とアルミニウムの複合化を防止することが
できる。また、このことにより骨格の脱アルミニウムサ
イト或いはその近傍に金属を担持し、ゼオライト骨格と
強固に結合させ、ゼオライトとのインタラクションを強
め、金属を高分散に担持することが可能である。
【0029】また、脱アルミニウムすることにより、ゼ
オライトの固体酸性質の制御が可能であり、ゼオライト
のブレンステッド酸(B酸)の全酸量を低減することが
できる。このため、分解特性を抑えることができ、軽油
留分の過剰な分解により生成するナフサ、ガス成分の増
加を防止することができる。さらに、強酸点と弱酸点の
適度なバランスを取ることにより異性化、核水素化を進
めることができる。このようなゼオライトの最適な酸特
性と上述の高分散に担持された担持金属により水素化反
応、水素移行反応も促進し、異性化、核水素化活性がさ
らに増大するものと考えられる。
【0030】金属塩溶液または低pH金属塩溶液による
ゼオライトへの金属の担持について詳述する。ゼオライ
トへの金属の担持に使用する周期律表第3〜14族の各
種金属の塩は特に制限は無く、塩化物、硝酸塩、硫酸塩
等の鉱酸塩、酢酸塩等の有機酸塩、該金属のオクソ酸塩
(例えば、モリブデン酸アンモニウム等)等の各種塩類
が使用できる。1 種のみを用いてもよいし、2種以上を
同時にまたは順に用いてもよい。水溶液として塩にでき
れば該金属そのものを原料としても良い。金属塩の濃度
は0.01〜3.0モル/l、好ましくは0.5〜1.
5モル/lが望ましい。金属塩の濃度が低すぎると十分
金属が担持されない。金属塩の濃度が高すぎると沈着物
が形成され高分散に担持できない。
【0031】低pH金属塩溶液は、上記の金属塩溶液
に、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ペルオクソ二スルホン
酸、二チオン酸、スルファミン酸、ニトロスルホン酸等
の鉱酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の
有機酸等を添加して、pHを3.0以下にしたものが好
ましい。pHが3.0より高いと脱アルミニウムが不十
分となり、担持金属を高分散に担持することも十分でな
くなる。
【0032】低pH金属塩溶液を用いる場合は、溶液中
の酸の濃度は、0.1〜50wt%、好ましくは5〜2
0wt%が望ましい。溶液中の酸の濃度が高すぎるとゼ
オライトの崩壊を招き易い。溶液中の酸の濃度は低すぎ
るとゼオライトの脱アルミニウムが進行しにくい。酸の
量は、ゼオライト1kgあたり、1〜20モル、好まし
くは3〜16モルが望ましい。酸の量が多すぎるとゼオ
ライトの崩壊を招き易い。酸の濃度は少なすぎるとゼオ
ライトの脱アルミニウムが進行しにくい。 処理温度は
10〜100℃、好ましくは30〜90℃、処理時間は
0.5〜12時間、好ましくは1〜5時間が望ましい。
【0033】一般に、加水分解の起りやすい金属塩(水
溶液中でアコ錯イオンになるもの)、例えばFe,C
r,Ti,Alのような金属の塩は水溶液中でゼオライ
トと接触して金属が多く担持し易いが、その他の金属塩
は水溶液中でも担持できる金属量が多くない。そこで、
上述の低pH金属塩溶液で処理しそのままこれに塩基等
を添加して、pHを上昇させることにより金属担持量を
増大させることができる。pHを上昇させる塩基として
はアンモニアや各種アミン類等の塩基性窒素化合物等が
好適に用いられる。塩基等を添加した処理液のpHは2
〜12、好ましくは3〜10とすることが望ましい。最
適なpHはゼオライトの種類、金属の種類により適宜調
整する。塩基等を添加した処理液でのゼオライトの処理
温度は10〜100℃、好ましくは30〜90℃、処理
時間は0.5〜12時間、好ましくは1〜5時間とする
ことが望ましい。通常、pHを上昇させる処理により、
pH0.1〜1.5の被処理液はpHが2.0〜12の
処理液となる。pHを上昇させる操作として低pH金属
塩処理液にアンモニア水を添加する前に、金属塩溶液を
追加しても良い。金属担持ゼオライトにアンモニア水を
添加した後、金属塩溶液や低pH金属塩溶液を添加し、
その後また、アンモニア水を添加しても良い。
【0034】このようにして得られた溶液中のゼオライ
トスラリーをろ過して得られた金属担持ゼオライトはろ
別、洗浄し、余分に付いている金属塩を除去することが
望ましい。その後、洗浄スラリーをそのままアルミナゲ
ル等の無機酸化物と混合して担体としてもよく、また適
宜乾燥、焼成等の後処理をした後、担体としてもよい。
アルミナ等の無機酸化物と混合して担体とした後、周期
律表第6族、8族、9族および10族金属から選ばれる
少なくとも1種の金属を担持し、必要に応じ成形体とし
たものが本発明の第一反応帯域で使用される触媒であ
る。
【0035】金属担持ゼオライトと混合するものとして
は非晶質無機酸化物が好適であり、非晶質無機酸化物と
しては上述のアルミナのほかにもシリカ、マグネシア、
チタニア、ジルコニア、アルミナ−シリカ、アルミナ−
ボリア、アルミナ−チタニア、チタニア−シリカ、アル
ミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、アルミナ−ジ
ルコニアなどを単独または複数で用いることができる。
これらの非晶質無機酸化物はゲル状物質、固体微粉末に
水を加えたもの、ゾル状物質、共沈法(コゲル法)によ
り得られるものなどが好適である。
【0036】つぎに、金属担持ゼオライトと非晶質無機
酸化物等との混合方法および成形方法について説明す
る。上記非晶質無機酸化物等と金属担持ゼオライトは通
常スラリー状で混合捏和し、加熱等で水分調整した後、
成形する。その応用としてたとえば、金属担持ゼオライ
トスラリーを含む1種または複数の無機酸化物原料の金
属塩水溶液あるいはゾル等に対し塩基等を添加して、非
晶質無機酸化物を金属担持ゼオライトスラリー上に沈殿
させ混合スラリーを形成させた後に加熱等により水分調
製し成形機により成形する方法が便利である。
【0037】上記成形体は乾燥、焼成工程を経て本発明
の第一反応帯域で使用される触媒用の担体とする。乾燥
条件は、乾燥温度: 30〜200℃、乾燥時間:
0.1〜24時間が適している。焼成条件は、焼成温
度: 300〜750℃、好ましくは450〜700℃
が適している。焼成温度が300℃より低いと焼成効果
(不純物の除去)が十分でなく、750℃を越えるとゼ
オライトの結晶性の低下、無機酸化物等の変質が起こり
易くなる。焼成時間: 1〜10時間、好ましくは2〜
7時間が適している。
【0038】上記操作により得られた本発明の第一反応
帯域で使用される触媒用の担体に金属を担持する工程に
つき説明する。上記操作により得られた金属担持ゼオラ
イトと非晶質無機酸化物等とから成る担体に周期律表第
6、8、9および10族金属から選ばれる少なくとも1
種を担持すれば、本発明の第一反応帯域で使用される触
媒が得られる。担持する金属は水素化活性金属であり、
2種以上組み合わせて用いてもよい。担持金属はNi、
Co、Mo、Wの中から選ばれた少なくとも1種以上の
金属であることが好ましい。さらに、担持金属がNiお
よび/またはCoが酸化物換算で1〜10wt%、好ま
しくは2〜8wt%、Moおよび/またはWが酸化物換
算で5〜35wt%、好ましくは8〜30wt%である
ことが望ましい。
【0039】担体への金属担持法は常圧含浸法、真空含
浸法、混練法、共沈法など通常の方法を用いればよい。
担持されたものは乾燥、焼成工程を経て本発明の第一反
応帯域で使用される触媒となる。乾燥、焼成条件は通常
の脱硫触媒の乾燥、焼成条件を適用すればよい。具体的
には、乾燥温度:30〜200℃、乾燥時間:0.1〜
24時間、焼成温度:200〜750℃、好ましくは3
00〜700℃、焼成時間:1〜10時間、好ましくは
2〜7時間が好適である。焼成温度が200℃より低い
と焼成効果(不純物の除去)が不十分となり、750℃
を越えるとゼオライト結晶性の低下、非晶質無機酸化物
の変質、担持金属のシンタリングによる変質などが起こ
り易い。
【0040】なお、上記触媒はりんおよび/またはほう
素を含有するものが好適に使用できる。りんの含有量は
酸化物として1〜25wt%、さらには2〜20wtが
好ましい。また、ほう素の含有量は2〜30wt%、さ
らには3〜25wtが好ましい。これらの含有量が多す
ぎると担持金属のモリブデンの凝集を起こさせることが
あり、少なすぎると効果が薄い。りん、ほう素の添加方
法は無機酸化物として担体中に混合してもよいし、担持
金属と同時に担体に担持してもよい。なお、本発明にお
いて第一反応帯域で使用される触媒としては、Ni−M
o−PまたはNi−Mo−Bを含有する触媒が特に好適
に使用できる。以上で、本発明の第一反応帯域で使用さ
れる触媒についての説明を終了する。
【0041】つぎに、本発明の第二反応帯域で使用され
る触媒について説明する。本発明の第二反応帯域で使用
される触媒は、非晶質無機酸化物担体に周期律表第6、
8、9および10族金属から選ばれる少なくとも1種を
担持した触媒であればよい。通常用いられる炭化水素油
の脱硫触媒のうち上記条件に適合するものであれば使用
することができる。担体となる非晶質無機酸化物として
はアルミナ、シリカ、マグネシア チタニア、ジルコニ
ア、アルミナ−シリカ、アルミナ−ボリア、アルミナ−
チタニア、チタニア−シリカ、アルミナ−マグネシア、
シリカ−マグネシア、アルミナ−ジルコニアなどを単独
または複数で用いることができる。これらの非晶質無機
酸化物はゲル状物質、固体微粉末に水を加えたもの、ゾ
ル状物質、共沈法(コゲル法)により得られるものなど
が好適である。
【0042】上記担体は乾燥、焼成工程につき説明す
る。乾燥条件は、乾燥温度: 30〜200℃、乾燥時
間: 0.1〜24時間が適している。焼成条件は、焼
成温度: 300〜750℃、好ましくは450〜70
0℃が適している。焼成温度が300℃より低いと焼成
効果(不純物の除去)が十分でなく、750℃を越える
とゼオライトの結晶性の低下、無機酸化物等の変質が起
こり易くなる。焼成時間: 1〜10時間、好ましくは
2〜7時間が適している。
【0043】上記操作により得られた担体に金属を担持
する工程につき説明する。上記操作により得られた金属
担持非晶質無機酸化物担体に周期律表第6、8、9およ
び10族金属から選ばれる少なくとも1種を担持すれ
ば、本発明の第二反応帯域で使用される触媒が得られ
る。担持する金属は水素化活性金属であり、2種以上組
み合わせて用いてもよい。担持金属はNi、Co、M
o、Wの中から選ばれた少なくとも1種以上の金属であ
ることが好ましい。さらに、担持金属がNiおよび/ま
たはCoが酸化物換算で1〜10wt%、好ましくは2
〜8wt%、並びにMoおよび/またはWが酸化物換金
で5〜35wt%、好ましくは8〜30wt%であるこ
とが望ましい。
【0044】担体への金属担持法は常圧含浸法、真空含
浸法、混練法、共沈法など通常の方法を用いればよい。
担持されたものは乾燥、焼成工程を経て本発明の第二反
応帯域で使用される触媒となる。乾燥、焼成条件は通常
の脱硫触媒の乾燥、焼成条件を適用すればよい。具体的
には、乾燥温度:30〜200℃、乾燥時間:0.1〜
24時間、焼成温度:200〜750℃、好ましくは3
00〜700℃、焼成時間:1〜10時間、好ましくは
2〜7時間が好適である。焼成温度が200℃より低い
と焼成効果(不純物の除去)が不十分となり、750℃
を越えるとゼオライト結晶性の低下、非晶質無機酸化物
の変質、担持金属のシンタリングによる変質などが起こ
り易い。以上で、本発明の第二反応帯域で使用される触
媒についての説明を終了する。
【0045】つぎに、上記触媒の存在下での軽油留分の
水素化脱硫処理反応について説明する。反応形式は特に
限定されないが、通常は固定床流通式反応装置を用いて
軽油留分を水素化脱硫する。反応塔の上部から通油する
ダウンフロー型の反応、反応塔の下部から通油するアッ
プフロー型の反応のどちらも選択できるがどちらの場合
も触媒の配置は通油の方向を基準として上述の方法で行
えばよい。本発明で使用される軽油留分とは、直留軽
油、水素化分解軽油、接触分解軽油、熱分解軽油、水素
化処理軽油、水素化脱硫軽油など軽油の基材としてその
まま用いられるものあるいはそれらの混合物だけでな
く、水素化脱硫その他水素化処理した灯軽油留分、重質
軽油、減圧軽油、コーカーガスオイルのような重質化し
た留分、あるいはこれらのまたはこれらと前記軽油の基
材と混合物や一部に灯油や重油、ナフサ等を含むもので
もよい。
【0046】水素化処理条件としては、反応温度:25
0〜450℃、好ましくは300〜400℃、さらに好
ましくは320〜380℃、水素分圧:1.0〜200
kg/cm2 、好ましくは10〜150kg/cm2
さらに好ましくは30〜80kg/cm2 が望ましい。
さらに、水素/油(比):10〜3,000Nm3 /キロリ
ットル 、好ましくは30〜2,000Nm3 /キロリットル 、液
空間速度(LHSV):0.1〜15h-1、好ましくは
0.2〜10h-1が望ましい。
【0047】上記のような方法によれば、高い水素化脱
硫活性が発揮でき、各種軽油留分の脱硫を効率良く行
い、且つ生成油の着色を防止し、しかも過分解による軽
油留分の損失を極力防止した炭化水素油の脱硫方法、特
に軽油留分からの硫黄分を大幅に低減し、多環アロマの
低減も併せて行うことができる炭化水素油の脱硫方法を
提供することができる。
【0048】また、本発明は金属担持ゼオライトの異性
化能、核水素化能を利用した炭化水素油の脱硫方法を提
供し、炭化水素油中の難脱硫性硫黄化合物の高度な脱硫
により環境問題に対応した燃料油を製造する方法であ
る。なお、触媒組成は蛍光X線分析法を用い、格子定数
はX線回折装置を用いて測定する。生成油中の硫黄分測
定は電量滴定法(JIS K2541)を用いる。色相
はJIS K2580で測定する。
【0049】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限される
ものではない。なお、最初に実施例、比較例で使用する
触媒の製造につき説明し、その触媒を用いた実施例を説
明する。 「触媒の製造」 (触媒製造例1) (1) ニッケル担持ゼオライト(ゼオライトA)の調
製 SiO2 /Al2 3 5.2,Na2 O 0.4wt%
のNH4 Yゼオライトを670℃で加熱スチーミング処
理してスチーミングゼオライトを得た。このスチーミン
グゼオライト100gを用い、純水1000ccに懸濁
させた後に75℃で30分間攪拌した。次いでこのスラ
リーに硝酸0.8モル/ゼオライト100gの割合で3
0分間で滴下した。処理スラリーは75℃で維持した
(スラリーのpHは1.9であった)。このスラリーを
ろ過、温水洗後、純水を加え、再スラリー化し、硝酸ニ
ッケル0.5モル/l水溶液300ccを添加し、75
℃で60分間の攪拌処理を行った(スラリーのpHは
2.7であった)。ろ過、温水洗した後、ニッケル担持
ゼオライト(ゼオライトA)を得た。ゼオライトAの物
性を表1に示す。
【0050】(2) ニッケル担持ゼオライト触媒(触
媒A)の調製 ゼオライトAを40g(乾燥重量)、アルミナベーマイ
トゲル60g(乾燥重量)を混練捏和、円柱状に押出し
成形し、乾燥(120℃、3時間)、焼成(550℃、
3時間)することで成形担体を得た。この成形担体に新
たにNiO 5.4wt%、MoO3 22.4wt%、
2 5 6.4wt%の量を担持するようにNi、M
o、Pの含浸溶液を用いて含浸担持し、乾燥(120
℃、3時間)、焼成(550℃、3時間)することでニ
ッケル担持ゼオライト触媒(触媒A)を得た。
【0051】(触媒製造例2) (1) ニッケル担持ゼオライト(ゼオライトB)の調
製 触媒製造例1において硝酸ニッケル0.5モル/l水溶
液300ccを添加するまで同様の方法で処理した後、
PH5.0になるまで5%アンモニア水溶液を添加し7
5℃で60分間の攪拌処理を行った。ろ過、温水洗した
後、ニッケル担持ゼオライト(ゼオライトB)を得た。
ゼオライトBの物性を表1に示す。
【0052】(2)ニッケル担持ゼオライト触媒(触媒
B)の調製 触媒製造例1と同様の触媒の調製を行い、新たにNiO
5.4wt%、MoO3 22.4wt%、P2
5 6.4wt%の量を担持するようにNi、Mo、Pの
含浸溶液を用いて含浸担持し、乾燥(120℃、3時
間)、焼成(550℃、3時間)することでニッケル担
持ゼオライト触媒(触媒B)を得た。
【0053】(触媒製造例3) (1)コバルト担持ゼオライト(ゼオライトC)の調製 触媒製造例1と同様のスチーミングゼオライト100g
を用い、純水1000ccに懸濁させた後に75℃,3
0分間攪拌した。次いでこのスラリーに硝酸0.8モル
/ゼオライト100gの割合で30分間で滴下した。処
理スラリーは75℃で維持した(スラリーのpHは1.
9であった)。このスラリーをろ過、温水洗後、純水を
加え、再スラリー化し、硝酸コバルト0.5モル/l水
溶液300ccを添加し、75℃、60分間の攪拌処理
を行った(スラリーのpHは2.4であった)。ろ過、
温水洗した後、コバルト担持ゼオライト(ゼオライト
C)を得た。ゼオライトCの物性を表1に示す。
【0054】(2)コバルト担持ゼオライト触媒(触媒
C)の調製 触媒製造例1と同様の触媒の調製を行い、新たにNiO
5.4wt%,MoO3 22.4wt%、P2
5 6.4wt%の量を担持するようにNi、Mo、Pの
含浸溶液を用いて含浸担持し、乾燥(120℃、3時
間)、焼成(550℃、3時間)することでコバルト担
持ゼオライト触媒(触媒C)を得た。
【0055】(触媒製造例4) (1)金属担持無機酸化物触媒(触媒D)の調製 アルミナベーマイトゲル100g(乾燥重量)を捏和
後、円柱状に押出し成形し、乾燥(120℃、3時
間)、焼成(550℃、3時間)することで成形担体を
得た。この成形担体にNiO 5.4wt%、MoO3
22.4wt%,P25 6.4wt%の量を担持する
ようにNi、Mo、Pの含浸溶液を用いて含浸担持し、
乾燥(120℃、3時間)、焼成(550℃、3時間)
することで金属担持無機酸化物触媒(触媒D)を得た。
【0056】「軽油留分の水素化脱硫処理」 (実施例1)固定床流通式反応装置の反応管に全触媒量
を100ccとし、下段から触媒A(ニッケル担持ゼオ
ライト触媒)を25vol%、触媒D(金属担持無機酸
化物触媒)を75vol%を充填した。原料油は水素ガ
スと共に反応管の下段から導入するアップフロー形式で
流通させて反応性を評価した。前処理として表2に示す
性状の原料油[中東系直留軽油(LGO)]を水素ガス
と共に250℃24時間流通することにより該触媒を予
備硫化した。予備硫化を行った後、表2に示す性状の原
料油[中東系直留軽油(LGO)]を水素ガスと共に流
通して水素化脱硫処理を行った。反応温度340〜36
0℃、水素分圧50kg/cm2 、水素ガス/原料油比
250Nm3 /kl、LHSV 2.0hr-1の条件で
実施した。生成油の硫黄分、色相の評価結果を表3に示
す。
【0057】(実施例2)全触媒量を100ccとし、
下段から触媒B(ニッケル担持ゼオライト触媒)を25
vol%、触媒Dを75vol%を充填し、実施例1と
同様に評価した。評価結果を表3に示す。 (実施例3)全触媒量を100ccとし、下段から触媒
C(コバルト担持ゼオライト触媒)を25vol%、触
媒Dを75vol%を充填し、実施例1と同様に評価し
た。評価結果を表3に示す。
【0058】(比較例1)全触媒量を100ccとし、
下段から触媒Dを100vol%充填し、実施例1と同
様に評価した。評価結果を表3に示す。 (比較例2)全触媒量を100ccとし、触媒Bを10
0vol%充填し、実施例1と同様に評価した。評価結
果を表3に示す。 〔物性評価方法〕 格子定数[ U.D.] の測定 ゼオライトとシリコン内部標準粉末をよく混合、粉砕し
X線粉末回折用サンプルホルダーに充填した。これをC
u管球、印加電圧40KV、印加電流40mVにてステ
ップスキャンで測定し、選られたピーク角度より金属含
有ゼオライトの格子定数[ U.D.] を算出した。結果
を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明の触媒の組み合わせによれば、軽
油留分は十分に脱硫され硫黄分200wtppm以下の
軽油の製造が可能となる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの反応帯域で軽油留分を水素化脱硫
    する方法であって、 第一反応帯域で使用する触媒を、金属担持ゼオライトを
    触媒基準で5〜95wt%含む担体に周期律表第6族、
    8族、9族および10族金属から選ばれる少なくとも1
    種を担持した触媒とし、 第二反応帯域で使用する触媒を、非晶質無機酸化物担体
    に周期律表第6族、8族、9族および10族金属から選
    ばれる少なくとも1種を担持した触媒とし、 第一反応帯域で使用する触媒量を全触媒量に対し5〜9
    5vol%とし、第二反応帯域で使用する触媒量を全触
    媒量に対し95〜5vol%とすることを特徴とする軽
    油留分の水素化脱硫方法。
  2. 【請求項2】 第一反応帯域で使用する触媒の比表面積
    が150m2 /g以上、平均細孔径が50〜150Åで
    かつ細孔容量が0.2〜1.0cc/gである請求項1
    記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
  3. 【請求項3】 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる
    金属担持ゼオライトが周期律表第3族、4族、5族、6
    族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13
    族および14族金属から選ばれる少なくとも1種を担持
    した金属担持ゼオライトであり、 該金属の合計担持量が酸化物換算で金属担持ゼオライト
    に対し0.5〜35wt%であり、 ナトリウム含有量がNa2 Oに換算して3wt%以下、
    SiO2 /Al2 3 モル比が10以上、 格子定数が24.15〜24.50Åである請求項1ま
    たは2記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
  4. 【請求項4】 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる
    金属担持ゼオライトがNi、Co、Cu、Fe、Ga、
    Zn、Mo、W、Sn、Mn、Pt、Pd、Os、I
    r、RhおよびRuから選ばれる少なくとも1種を担持
    した金属担持ゼオライトである請求項3記載の軽油留分
    の水素化脱硫方法。
  5. 【請求項5】 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる
    金属担持ゼオライトが、ナトリウム含有量がNa2 Oに
    換算して8wt%以下でかつSiO2 /Al2 3 モル
    比が3.5以上のアンモニウムY型ゼオライトに脱アル
    ミニウム処理および金属担持処理をして得られる金属担
    持ゼオライトである請求項1〜4のいずれかに記載の軽
    油留分の水素化脱硫方法。
  6. 【請求項6】 第一反応帯域で使用する触媒に含まれる
    金属担持ゼオライトが、ナトリウム含有量がNa2 Oに
    換算して3wt%以下、SiO2 /Al2 3 モル比が
    5以上でかつ格子定数が24.15〜24.50Åのス
    チーミングY型ゼオライトに金属担持処理をして得られ
    る金属担持ゼオライトである請求項1〜4のいずれかに
    記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
  7. 【請求項7】 第一反応帯域で使用する触媒がりんおよ
    び/またはほう素を含むものである請求項1〜6のいず
    れかに記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
  8. 【請求項8】 第一反応帯域および第二反応帯域で使用
    する触媒担体に担持する周期律表第6族、8族、9族お
    よび10族金属がニッケル、コバルト、モリブデンおよ
    びタングステンから選ばれる少なくとも1種である請求
    項1〜7のいずれかに記載の軽油留分の水素化脱硫方
    法。
  9. 【請求項9】 第二反応帯域で使用する触媒が、ニッケ
    ルまたは/およびコバルトを酸化物換算で該触媒に対し
    1〜10wt%並びにモリブデンまたは/およびタング
    ステンを酸化物換算で該触媒に対し5〜30wt%含有
    する請求項8記載の軽油留分の水素化脱硫方法。
  10. 【請求項10】 水素化脱硫される軽油留分が直留軽
    油、重質軽油、減圧軽油、接触分解軽油、水素化分解軽
    油、熱分解軽油、コーカーガスオイル、水素化処理軽油
    および脱硫処理軽油から選ばれる少なくとも1種を主成
    分とする軽油留分である請求項1〜9のいずれかに記載
    の軽油留分の水素化脱硫方法。
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