JP2000309871A - 放電プラズマ処理方法 - Google Patents

放電プラズマ処理方法

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JP2000309871A
JP2000309871A JP11118181A JP11818199A JP2000309871A JP 2000309871 A JP2000309871 A JP 2000309871A JP 11118181 A JP11118181 A JP 11118181A JP 11818199 A JP11818199 A JP 11818199A JP 2000309871 A JP2000309871 A JP 2000309871A
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gas
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JP11118181A
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Hitoshi Nakao
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基材表面に透明性の高い薄膜を効率良く成膜で
きるようにする。 【解決手段】大気圧近傍の圧力下に配置した対向電極1
1、12間に電界を印加することによって放電プラズマ
を発生させ、その放電プラズマを用いて基材Fの表面に
薄膜を形成する方法において、放電プラズマ処理前段部
に基材加熱乾燥装置(例えば加熱ロール4)を設けると
ともに、その基材乾燥装置から放電プラズマ処理部まで
を容器5で覆い、この容器5の内部を乾燥ガス及び/ま
たは加熱ガスで満たすことによって、放電プラズマ処理
を施す基材Fを処理前に、基材Fを乾燥し、さらに放電
プラズマ処理区間までの基材搬送区間において基材Fの
再吸湿を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下で発生させた放電プラズマを利用して基材を処理す
る、いわゆる常圧放電プラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、低圧条件下でのグロー放電に
より生じるプラズマを利用した薄膜形成方法が実用化さ
れている。しかし、この低圧条件下における薄膜形成
は、真空容器や真空装置等が必要であり、バッチ的に処
理を行うごとに真空容器の真空を破壊して、新たに真空
引きを行う必要があるなど、イニシャルコスト、ランニ
ングコストとも高価になって工業的には不利であるた
め、電子部品、光学部品等の高価な物品の処理に対して
しか適用されていなかった。
【0003】このような問題を解決するため、従来、大
気圧近傍の圧力下での放電プラズマを利用する方法が提
案されている。例えば特開平2−48626号公報に
は、大気圧近傍の圧力のヘリウムとケトンの混合雰囲気
下で発生させたプラズマを用いて処理を行う方法が開示
されており、また、特開平4−74525号公報には、
アルゴン並びにアセトン及び/またはヘリウムからなる
大気圧近傍の雰囲気下で発生させたプラズマにより処理
を行う方法が開示されている。
【0004】しかしながら、上記方法は、いずれもヘリ
ウムまたはケトンを含有するガス雰囲気でプラズマを発
生させる方法であって、ガス雰囲気が限定されるのみな
らず、ヘリウム自身が高価で工業的に不利であり、無機
質の薄膜を形成する等の処理は実質的に不可能である。
【0005】そこで、本出願人は、大気圧近傍の圧力下
で、金属化合物を含む雰囲気中で対向電極間に電界を印
加することにより、放電プラズマを発生させ、TiO2
薄膜等の金属含有薄膜を形成する薄膜形成方法を既に提
案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、加水分解性
の高い材料、例えばテトライソプロキシチタネートを用
いて放電プラズマによりTiO2 薄膜を成膜する場合、
放電プラズマ処理基材の含水率が低すぎると成膜速度が
遅くなる。また、含水率が高すぎると過剰に反応が進
み、成膜表面にTiO2 の凝集体が析出して、膜が白化
し透明性が悪くなるという問題がある。
【0007】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、吸湿性を有する基材に薄膜を形成する場合であ
っても、TiO2 等の透明金属酸化物薄膜を均一な膜厚
で、かつ効率的に形成することが可能な放電プラズマ処
理方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の放電プラズマ処
理方法は、大気圧近傍の圧力下に対向電極を配置し、こ
の対向電極間に基材を配した状態で、対向電極間に電界
を印加することによって放電プラズマを発生させ、その
放電プラズマを用いて基材の表面に薄膜を形成する方法
において、放電プラズマ処理前段部に基材乾燥装置を設
けるとともに、その基材乾燥装置から放電プラズマ処理
部までを基材搬送口及びガス流入口を有する容器で覆
い、この容器の内部を乾燥ガス及び/または加熱ガスで
満たすことによって特徴づけられる。
【0009】このように、放電プラズマ処理を施す基材
を処理前に、基材を乾燥し、さらに放電プラズマ処理区
間までの基材搬送区間において基材の再吸湿を防止する
ことで含水率を所定の割合にすることにより、基材表面
に透明性の高い薄膜を効率的に形成することができる。
【0010】なお、本発明において、大気圧近傍の圧力
とは、100〜800Torrの圧力を言い、中でも、
圧力調整が容易で装置構成が簡単となる700〜780
Torrの圧力範囲とすることが好ましい。
【0011】本発明において、基材の乾燥に用いる乾燥
装置としては、加熱ロール、熱風ドライヤ、赤外線ヒー
タ、マイクロ波加熱装置等が挙げられる。
【0012】また、基材の再吸湿を防止する方法として
は、基材搬送区間(乾燥装置〜放電プラズマ処理領域
間)の環境を、所定の温度になるよう加熱(加熱方
式)、もしくは湿度以下になるように乾燥(乾燥方式)
する方法が挙げられる。
【0013】ここで、基材の含水率は、使用する基材の
種類、原料となる物質によって設定すべき値が異なる
が、例えばトリアセチルセルロースフィルム(TAC)
上にテトライソプロキシチタンを用いてTiO2 薄膜を
成膜する場合、通常の環境で1.5〜2.5重量%であ
る基材含水率を0.3〜1.0重量%になるように乾燥
する必要がある。
【0014】この場合、乾燥手段としては加熱ロールを
使用した場合が最も効率が高く、その温度は50℃以上
100℃未満が好適で、再吸湿を防止するには、基材搬
送区間の環境温度を露点−15℃以下にする方法が好適
である。乾燥ロール温度が50℃未満であると乾燥効率
が悪く、100℃を超えると、含水率が低すぎて成膜速
度が落ちるのに加え、基材がプラスチックの場合、熱膨
張が大きくなり、基材のゆがみ等につながる。
【0015】基材の再吸収を防止するのに使用するガス
は、加熱方式、乾燥方式のいずれの場合も基材に何ら影
響を与えないもので、かつ、化学反応等により基材上に
付着しないものであれば何でもよく、空気、窒素、アル
ゴン、酸素、ヘリウム、ネオンなどを挙げることができ
る。
【0016】再吸収防止で加熱方式を採用したとき、環
境温度が35℃未満であるとその効果が少なくなり、1
00℃を超えると、基材がプラスチックである場合、基
材のゆがみを引き起こしてしまう。また、同様に乾燥方
式を採用した場合、露点が−15℃未満であると、その
効果は少ない。
【0017】ただし、加熱ロールを使用して乾燥する場
合、その温度が50℃以上、100℃未満であっても、
加熱ロール上で基材の熱膨張による皺が入ることがあ
る。皺が一度入ると、その癖がついてしまい、例えばロ
ール電極を使用する場合、電極上でも同様の皺が入りや
すくなる。ロール電極上で皺が入ると、基材幅方向に原
料ガスを均一に供給できなくなり、薄膜の膜厚が不均一
になってしまう。
【0018】この場合、ロール電極の直前で、熱風ドラ
イヤ、赤外線ヒータ、マイクロ波加熱装置等を用いて基
材を予備加熱し、あらかじめ基材を適当な範囲で熱膨張
させて、電極上での熱膨張を防止する必要がある。この
際の予備加熱温度は基材によって異なるが、例えばTA
Cフィルム(フィルム厚み80μm)の場合は、熱風ド
ライヤが好適である。その際の熱風温度は電極温度±5
℃以内である必要がある。その範囲内でないと効果は得
られない。
【0019】本発明において、放電プラズマ処理が施さ
れる基材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル
樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のプラスチ
ック等が挙げられる。
【0020】本発明に適用する対向電極としては、銅、
アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合
金、金属間化合物等からなるものが挙げられる。
【0021】対向電極の少なくともいずれか一方の対向
面に固体誘電体を密着させて配置する。この際に、固体
誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位
があるとそこからアーク放電が生じるため、対向面を完
全に覆うように固体誘電体を配置する。固体誘電体の形
状は、シート状でもフィルム状でもよいが、厚すぎると
放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、薄すぎると
電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生するた
め、厚みが0.01〜4mmであることが好ましく、さ
らに好ましくは0.05〜4mmである。
【0022】固体誘電体としては、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチッ
ク、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジ
ルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バ
リウム等の複酸化物等が挙げられる。
【0023】固体誘電体は炭素鋼等の導電体上に、また
は、電極上に直接、被膜状態に形成して用いてもよい。
この場合、被膜の厚みは、薄い方が放電プラズマを発生
し易いが、薄すぎると被膜の耐電圧を超えるためアーク
放電が生じ、厚すぎると誘電損失が大きくなり放電プラ
ズマが発生し難く、かつ高温度になったり、被膜にクラ
ックが生じたりするため、10〜1000μmの間が好
ましく、50〜700μmがより好ましい。金属酸化物
被膜は、厚みが均一である方が得られる放電プラズマが
均一になるので好ましい。
【0024】電極間の間隔は広くなりすぎると放電をプ
ラズマ処理に適したグロー状態に保つことが困難になる
ため狭い空間とした方がよいが、反応ガス供給量と基材
の走行安定性を考慮すると2〜4mmが好ましい。
【0025】さらに電極の大きさは処理時間と基材の走
行速度を考慮して適宜決定される。処理時間はプラズマ
反応速度に左右されるので、処理用ガスによって異な
る。
【0026】本発明において対向電極間に印加する電界
は、交流波またはパルス波のいずれであってもよいが、
特に、高速立ち上がりのパルス電圧を用いれば、成膜処
理に好適な高密度のグロー放電プラズマを発生させるこ
とができる。
【0027】そのパルス電圧のパルス波形は特に限定さ
れるものではないが、図3(A),(B)に例示するよ
うなインパルス型や、(C)に例示するような方形波
型、(D)に例示するような変調型等を用いることがで
きる。この図7には印加電圧が正負の繰り返しであるも
のを例示したが、正または負のいずれかの極性のみのパ
ルス電圧、いわゆる片波状のパルス電圧を印加してもよ
い。なお、パルス電圧の印加において、直流を重畳して
もよい。
【0028】対向電極間に印加するパルス電圧は、その
パルスの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が短い程、
プラズマ発生の際のガスの電離が、効率よく行われる。
特に、電極間に印加するパルス電圧の立ち上がりは、1
00μs以下とすることが好ましい。100μsをこえ
ると、放電状態がアーク放電に移行し易く、不安定なも
のとなる。また、このような高速立上がり時間のパルス
電界によって電子密度の高い放電状態を実現する効果が
ある。
【0029】パルス電圧の立ち下がり時間は特に規定さ
れないが、立ち上がり時間と同程度に高速であることが
好ましく、より好ましくは100μs以下である。ま
た、立ち上がり/立ち下がり時間の下限は特に限定しな
いが、電源装置等を勘案すると数10ns以上が現実的
である。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧変
化の向きが連続して正である時間をいい、立ち下がり時
間とは、電圧変化の向きが連続して負である時間を指す
ものとする。
【0030】対向電極間に形成するパルス電界は、その
パルス波形、立ち上がり及び立ち下がり時間、及び、周
波数が適宜に変調されていてもよい。なお、パルス電界
は、周波数が高く、パルス幅が短い方が、高速連続薄膜
形成には適している。
【0031】パルス電界の周波数は、0.5kHz〜1
00kHzの範囲とすることが好ましい。0.5kHz
未満であると、薄膜形成速度が遅すぎて現実的ではな
く、100kHzを超えると、アーク放電が発生し易く
なる。パルス電界の周波数は、より好ましくは上記範囲
の中で1kHz以上である。
【0032】また、パルス電界におけるパルス継続時間
は、1μs〜1000μsであることが好ましく、より
好ましくは3μs〜200μsである。1μs未満であ
ると放電が不安定なものとなり、1000μsを越える
とアーク放電に移行しやくなる。ここで、パルス継続時
間とは、図8に例示するように、ON・OFFが繰り返
されるパルス電界における、1つのパルス波形の連続持
続時間を言い、図4(A)の波形ではパルス継続時間=
パルスデューティ時間であるが、図4(B)の波形では
複数のパルスを含んだ、オンが継続する時間を言う。
【0033】対向電極間に形成するパルス電界の強度
は、1〜100kV/cmの範囲が好ましい。1kV/
cm未満であると処理に時間がかかりすぎ、1〜100
kV/cmを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。
【0034】上記のようなパルス電界は、ターンオン時
間及びターンオフ時間が500ns以下である半導体素
子によりパルスに変換する機構を有する高電圧パルス電
源によって得ることができる。この高電圧パルス電源
は、高電圧電流を供給可能な直流電圧供給部、並びに、
ターンオン時間及びターンオフ時間が500ns以下で
ある半導体素子を用いて前記高電圧直流を高電圧パルス
に変換するパルス制御部からなる。
【0035】
【実施例】まず、本発明の実施例(比較例)に用いた成
膜装置を図1に模式的に示す。
【0036】図1に示す成膜装置は、主として、チャン
バ1、高電圧パルス電源2、巻き出しロール3、加熱ロ
ール4及びその容器5、処理用ガス供給装置6、真空ポ
ンプ(油回転ポンプ)7、及び巻き取りロール8等によ
って構成されている。
【0037】チャンバ1の内部には、互いに対向するロ
ール電極11と曲面電極12が配置されている。このロ
ール電極11と曲面電極12との間(放電空間S)に
は、高電圧パルス電源2からのパルス電圧が印加され
る。また、ロール電極11の内部には、冷却水の循環用
流路(図示せず)が形成されており、このロール電極1
1に接触しながら進行する基材Fを成膜に適した温度
(例えば60℃)に保持することができる。なお、曲面
電極12にも同様に循環用流路が形成されている。
【0038】チャンバ1の内部には、ガス導入口13及
びガス吸引口14が設けられており、そのガス導入口1
3に処理用ガス供給装置6が接続され、ガス吸引口14
に減圧用の真空ポンプ7が接続されている。また、チャ
ンバ1の内部には、ロール電極11の直前部位に、熱風
ドライヤ9が設置されている。
【0039】そして、本実施例に使用する成膜装置で
は、加熱ロール4が、放電プラズマ処理前段部つまりチ
ャンバ1の基材Fの導入部の直前に配置されている。こ
の加熱ロール4の周辺は、基材搬送口5a及びガス流入
口5bを有する容器5で覆われている。なお、容器5の
内部の環境(温度、湿度等)は、ガス流入口5aから乾
燥ガス及び/または加熱ガスを導入することにより、目
的とする条件に設定できる。
【0040】また、本実施例に使用するガス導入口13
は、図2の断面図(A)、底面図(B)及びC矢視図
(C)に示すように、第1室110と第2室120によ
って構成されている。
【0041】第1室110は、直方形状の容器111の
長手方向の一端部に、ガス供給管Gが接続されるガス流
入口112を設けるとともに、容器111の対角線上に
斜板113を設けることにより、ガス流入口112から
遠ざかる程狭くなる区画を形成し、ガス流入口112か
ら流入したガスを乱流化し、その区画内での密度を均一
化させてその流速を略一様なものとすると同時に、その
方向を偏向させた後、容器111の縁部近傍に設けた一
様な多数の小孔群114からガスを整流して吹き出す構
造となっている。
【0042】第2室120は、直方形状の容器121の
内部に一様な隙間を有する仕切板122を設けるととも
に、縁部近傍にスリット123を形成しており、第1室
110の小孔群114から出たガスが仕切板112を回
り込んでスリット123から層流となって放電空間内に
吹き出すように構成されている。
【0043】次に、本発明の放電プラズマ処理方法の具
体的な実施例を、以下、比較例とともに説明する。 <実施例1>図1に示した成膜装置において、ロール電
極11として、直径400mm、長さ750mm、表面
がTiO2 20重量%、Al2 O3 80重量%からなる
厚み1mmの固体誘電体がコーティング(溶射法)され
ているものを用い、また、曲面電極12として、曲率半
径202mm、長さ750mmのものを用い、これらロ
ール電極11と曲面電極12との間隔を2mmとした。
【0044】また、ロール電極11と曲面電極12との
間に原料ガスを導入するガス導入口13には図2に示す
構造のものを用いた。さらに、基材Fの熱膨張を促すた
めの熱風ドライヤ9(作動温度:電極温度70℃±5
℃)を配置するとともに、チャンバ1の前段に、加熱ロ
ール4(直径400mm、長さ759mm、ステンレス
製、基材との接触長さ700mm)とその容器5とを設
置し、基材F(TACフィルム:コニカ社製,厚み80
μm)をロール電極11の放電面11aに接触させた。
【0045】さらに、チャンバ1内を、10Torrま
で真空ポンプ7で排気した後、テトライソプロキシチタ
ン;0.2体積%/アルゴン;99.8体積%の混合ガ
スを、ガス導入口13からチャンバ1内に導入して、内
圧を760Torrとした。このとき、加熱ロール4の
容器5の内部を窒素ガス(加熱ガス)で満たし、その露
点を−20℃とし、また、容器5の内部の温度を20℃
とした。
【0046】そして、巻き出しロール3と巻き取りロー
ル8との間に10kgf/m2 の張力をかけながら、走
行速度0.5m/minで基材Fを走行させるととも
に、ロール電極11を、基材Fの走行方向に、かつ基材
Fの走行速度に対応させて回転させた。このとき、加熱
ロール4の表面温度を70℃とした。
【0047】次に、ロール電極11及び曲面電極12を
循環水により60℃の状態に設定した状態で、ロール電
極11と曲面電極12との間に、図3(A)に示すパル
ス電界(立ち上がり時間5μs,周波数4kHz,パル
ス幅50μs,波高値6kV)を放電電流密度2mA/
cm2 で印加し、放電プラズマを発生させて、基材Fの
表面にTiO2 薄膜を形成した。 <実施例2>加熱ロール4の容器5内部の環境を40℃
とした以外は、実施例1と同じとして基材Fの表面にT
iO2 薄膜を形成した。 <実施例3>加熱ロール4の表面温度を90℃とした以
外は、実施例1と同じとして基材F表面にTiO2 薄膜
を形成した。 <比較例1>加熱ロール4の容器5内部の環境を湿度4
0%とした以外は、実施例1と同じとして基材Fの表面
にTiO2 薄膜を形成した。 <比較例2>加熱ロール4の表面温度を25℃とした以
外は、実施例1と同じとして基材F表面にTiO2 薄膜
を形成した。 <比較例3>加熱ロール4の表面温度を120℃とした
以外は、実施例1と同じとして基材F表面にTiO2 薄
膜を形成した。 <比較例4>加熱ロール4の容器5内部の露点を−5
℃、加熱ロール4の表面温度を35℃とした以外は、実
施例1と同じとして基材F表面にTiO2 薄膜を形成し
た。 <比較例5>加熱ロール4の容器5内部の環境を120
℃とした以外は、実施例1と同じとして基材Fの表面に
TiO2 薄膜を形成した。 <比較例6>熱風ドライヤ9の作動温度を30℃とする
以外は、実施例1と同じとして基材Fの表面にTiO2
薄膜を形成した。 <比較例7>熱風ドライヤ9の作動温度を80℃とする
以外は、実施例1と同じとして基材Fの表面にTiO2
薄膜を形成した。
【0048】以上の実施例1〜3及び比較例1〜7の各
例の処理で得られた基材・TiO2薄膜について、以下
の物性評価を行った。その結果を、下記の表1に示す。 ・屈折率及び膜厚 エリプソメータ(溝尻光学工業社製、「形式BVA−3
6VM」)を使用して測定した。 ・外観評価 目視により評価した。
【0049】白化度については白化の度合いを数値化し
た。 白化度0:透明性が高く、白粉の付着及び白化箇所は見
当たらない。
【0050】白化度1:一部白化箇所が見られるが、光
学評価は可能である。 白化度2:全体が白化しており、光学評価が不可能であ
る。 ・基材含水率 水分測定装置(三菱化学社製「CA−06」)を使用し
て測定した。
【0051】
【表1】
【0052】以上の結果から、実施例1〜3の処理で得
られたTiO2 薄膜は、成膜状態(膜厚等)が良好であ
り、透明性にも優れていることがわかる。また、屈折率
も良好な値示していることがわかる。なお、文献値によ
るTiO2 の屈折率は2.15である。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大気圧近傍の圧力下においてグロー放電プラズマを発生
させ、その放電プラズマを用いて基材表面に薄膜を形成
する方法において、放電プラズマ処理前段部に基材乾燥
装置を設けるとともに、その基材乾燥装置から放電プラ
ズマ処理部までを容器で覆い、この容器の内部を乾燥ガ
ス及び/または加熱ガスで満たすことによって、放電プ
ラズマ処理を施す基材を処理前に、基材を乾燥し、さら
に放電プラズマ処理区間までの基材搬送区間において基
材の再吸湿を防止することで含水率を所定の割合にして
いるので、TACフィルム等の吸湿性を有する基材に薄
膜を形成する場合でも、その基材の表面に、TiO2 等
の透明金属酸化物薄膜を均一な膜厚で、かつ効率的に成
膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で用いた成膜装置の構成を
模式的に示す図である。
【図2】図1に示す成膜装置に設置するガス導入口の構
造を示す図である。
【図3】対向電極間に印加するパルス電界の例を示す電
圧波形図である。
【図4】対向電極間に印加するパルス電界のパルス継続
時間の例を示す図である。
【符号の説明】
1 チャンバ 11 ロール電極 12 曲面電極 13 ガス導入口 14 ガス吸引口 2 高電圧パルス電源 3 巻き出しロール 4 加熱ロール 5 容器 6 処理用ガス供給装置 7 真空ポンプ 8 巻き取りロール 9 熱風ドライヤ F 基材(TACフィルム)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧近傍の圧力下に対向電極を配置
    し、この対向電極間に基材を配した状態で、対向電極間
    に電界を印加することによって放電プラズマを発生さ
    せ、その放電プラズマを用いて基材の表面に薄膜を形成
    する方法において、放電プラズマ処理前段部に基材乾燥
    装置を設けるとともに、その基材乾燥装置から放電プラ
    ズマ処理部までを、基材搬送口及びガス流入口を有する
    容器で覆い、この容器の内部を乾燥ガス及び/または加
    熱ガスで満たすことを特徴とする放電プラズマ処理方
    法。
  2. 【請求項2】 放電プラズマ処理にロール電極を使用す
    るとともに、そのロール電極の直前部位において基材を
    予備加熱することを特徴とする請求項1記載の放電プラ
    ズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 基材の予備加熱を熱風ドライヤで行うこ
    とを特徴とする請求項2記載の放電プラズマ処理方法。
  4. 【請求項4】 基材の予備加熱温度が電極温度±5℃以
    内であることを特徴とする請求項2または3記載の放電
    プラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】 乾燥ガスの露点が−15℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の放電プラズマ処
    理方法。
  6. 【請求項6】 加熱ガスの温度が35℃以上、100℃
    未満であることを特徴とする請求項1、2または5記載
    の放電プラズマ処理方法。
  7. 【請求項7】 基材乾燥装置が、加熱ロールであること
    を特徴とする請求項1、2、5または6記載の放電プラ
    ズマ処理方法。
  8. 【請求項8】 加熱ロールの温度が、50℃以上、10
    0℃未満であることを特徴とする請求項7記載の放電プ
    ラズマ処理方法。
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