JP2000026632A - 常圧プラズマを用いたフィルム基材への薄膜形成方法 - Google Patents

常圧プラズマを用いたフィルム基材への薄膜形成方法

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JP2000026632A
JP2000026632A JP10197559A JP19755998A JP2000026632A JP 2000026632 A JP2000026632 A JP 2000026632A JP 10197559 A JP10197559 A JP 10197559A JP 19755998 A JP19755998 A JP 19755998A JP 2000026632 A JP2000026632 A JP 2000026632A
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thin film
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substrate
plasma
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Takuya Yara
卓也 屋良
Naoki Nishiguchi
直樹 西口
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】TAC等の吸湿性を有するフィルム基材の表面
上に、常圧プラズマを用いて薄膜を連続的に形成するに
あたり、その基材フィルムに皺が発生することを防止す
る。 【解決手段】大気圧近傍の圧力下において、フィルム基
材Fを対向電極11,12間に通過させながら、対向電
極11,12間にパルス電圧を印加することにより放電
プラズマを発生させ、その放電プラズマを用いてフィル
ム基材Fの表面に薄膜を連続的に形成する方法におい
て、金属元素含有アルコキシド0.01〜5体積%、ア
ルゴンガス50〜99.99体積%からなるガス雰囲気
下で、対向電極11,12間に、電界強度が1〜90k
V/cmとなるようにパルス電圧を印加して薄膜を形成
するとともに、その成膜中におけるフィルム基材Fの温
度を100℃以下に制御することで、プラズマ放電空間
でのフィルム基材の温度(含水率)の変動を抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧近傍の圧力
下で発生させたグロー放電プラズマを用いてフィルム基
材に薄膜を連続的に形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トリアセチルセルロース(TAC)フィ
ルムや、1軸延伸ポリエステルフィルムは透明性に優
れ、光学的に異方性が無いことから偏光フィルム、位相
差フィルムなどの光学用途の支持体として一般的に用い
られている。そのため、TACフィルム自身に誘電体薄
膜を成膜して反射防止のような光学性能等を付加する要
求が高まっている。
【0003】グロー放電プラズマを用いて、プラスチッ
クフィルム上に透明金属酸化物を連続的に成膜する方法
としては、特開平7−333404号公報及び特開平8
−165565号公報に示されているような低圧力下で
のプラズマCVDやスパッタリング法が公開されてい
る。しかし、これらの方法では、フィルムロールを真空
槽内に設置しているので、原料の搬入や製品の搬出ごと
に、真空の解除と形成を繰り返さなくてはならず、フィ
ルム基材の交換に多くの時間を要する。しかも複雑かつ
大規模な真空放電装置を用いる必要があることから、設
備がコスト高になるという問題がある。
【0004】このような点を解消するため、本出願人
は、常圧パルスプラズマを用いた成膜法を既に提案して
いる。
【0005】その成膜法は、互いに対向する一対の電極
で構成され、その一方または双方の電極の対向面(最表
面)が固体誘電体で被覆されてなる対向電極を、大気圧
近傍の圧力下に配置し、その対向電極間にフィルム基材
を電極に接触させながら走行させると同時に、対向電極
間にパルス電圧を印加することによりグロー放電プラズ
マを発生させ、その放電プラズマを用いてフィルム基材
に薄膜を連続的に形成する方法である。この成膜法で
は、大気圧環境下から直接フィルム基材を成膜環境下に
導入し、そのフィルム基材上に薄膜を直接成膜すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、標準状態
(20℃,65%相対湿度)にある空気中で1%以上の
吸湿率をもつプラスチックフィルム、例えばTACフィ
ルムのような吸湿性を有するフィルム基材を、常圧放電
下に置いて成膜を行う場合、フィルム基材を大気中から
放電プラズマ空間に導入した際に、放電による加熱によ
ってフィルム基材の含水量に急激な変動が生じ、フィル
ム基材が変形して皺が入ってしまう。
【0007】ここで、反射防止の光学性能を付加するた
めの誘電体薄膜等は、膜質・膜厚が均一であることが要
求されるが、その支持体であるフィルム基材に皺が入っ
てしまうと、光学的特性が損なわれてしまい、本来の機
能を全く発揮できなくなる。従って、フィルム基材への
皺入りは、光学的用途が目的である場合、致命的な問題
となる。
【0008】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、常圧プラズマを用いてフィルム基材上に薄膜を
連続的に形成するにあたり、そのフィルム基材に皺が発
生することを防止することのできる薄膜形成方法の提供
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、互いに対向する一対の電極で構成され、
その一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で被覆
されてなる対向電極を、大気圧近傍の圧力下に配置し、
この対向電極間にフィルム基材を通過させながら、対向
電極間にパルス電圧を印加することにより放電プラズマ
を発生させ、その放電プラズマを用いてフィルム基材の
表面に薄膜を連続的に形成する方法であって、金属元素
含有アルコキシド0.01〜5体積%、アルゴンガス5
0〜99.99体積%からなるガス雰囲気下で、対向電
極間に、電界強度が1〜90kV/cmとなるようにパ
ルス電圧を印加して薄膜を形成するとともに、その成膜
中におけるフィルム基材の温度を100℃以下に制御す
ることによって特徴づけられる。
【0010】なお、本発明において、大気圧近傍の圧力
とは、100〜800Torrの圧力を言い、中でも、
圧力調整が容易で装置構成が簡単となる700〜780
Torrの圧力範囲とすることが好ましい。 <作用>まず、放電中のフィルム基材の急激な含水率変
動を防ぐためには、フィルム基材の急激な温度変化を抑
える必要がある。これを達成するには、(1)放電プラ
ズマから与えられる熱を奪うこと、及び(2)エネルギ
をある水準以下にすることが有効であり、それらについ
て本発明で実施する手法を、以下に詳細に説明する。 (1)について 常圧パルスプラズマCVDは低温成膜が可能で高分子フ
ィルム上にも放電プラズマ処理が可能であるが、保温あ
るいは冷却の措置を講じなければ、電極が加熱され、高
分子フィルムの熱変形温度を超えてしまう。
【0011】例えば、本発明において課題の一つとして
いるTACフィルムは、メーカーによって異なるが、熱
変形温度が110〜120℃である。従って放電による
熱変形(皺の発生等)を避けるには、基材温度ないしは
基材表面温度をその熱変形温度以下、好ましくは製造ロ
ットの差を加味した100℃以下にする必要があり、こ
の点を勘案して本発明の薄膜形成方法では、フィルム基
材の温度を100℃以下に制御した状態で、フィルム基
材にTiO2 膜またはSiO2 膜などを成膜する。
【0012】具体的には、フィルム基材が接触する電極
の内部に冷媒を循環させることにより、放電プラズマか
らの熱を奪ってフィルム基材の温度を一定に保った状態
で成膜を行う。なお、このような温度制御に用いる冷媒
としては、例えば、水、シリコーンオイル、エチレング
リコールといった熱容量の大きな流動体が好ましく、特
に100℃以上にならない水を冷媒として用いることが
より好ましい。
【0013】なお、常圧プラズマを用いた薄膜形成に
は、一般に、対向電極として、平行平板型、円筒対向平
板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、円筒−曲面対
向型構造のものが用いられるが、フィルム基材温度を一
定に保つという目的を達成するには、円筒−曲面対向型
構造の対向電極を用い、その一方のロール電極にフィル
ム基材の全幅を密着させて成膜を行うことが好ましい。
【0014】また、本発明において、一対の対向電極の
電極対向面の一方または双方に固体誘電体を設けてお
く。この際、固体誘電体によって覆われずに電極どうし
が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生
じやすくなるため、固体誘電体はこれを設置する側の電
極に密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うよ
うにする。
【0015】固体誘電体の形状は、シート状でもフィル
ム状でもよいが、厚みが0.5〜5mm程度であること
が好ましく、厚すぎると放電プラズマを発生するのに高
電圧を要し、薄すぎると電圧印加時に絶縁破壊が起こり
アーク放電が発生する。
【0016】固体誘電体の材質には、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリエチレンテレフタレートまたはテフロ
ン(四フッ化エチレン;デュポン社製品の商品名)等の
プラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタニウム等の金属酸
化物、あるいはチタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げ
られる。
【0017】ただし、固体誘電体は、比誘電率が2以上
(25℃環境下、以下同)であることが好ましい。この
ような誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、
ガラス、金属酸化膜等を挙げることができる。
【0018】また、放電電流密度が0.2〜300mA
である放電プラズマを安定して発生させるためには、比
誘電率が10以上の固体誘電体を用いると有利である。
【0019】比誘電率の上限は特に限定されるものでは
ないが、現実の材料では18500程度のものが知られ
ている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、酸
化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜
95重量%で混合された金属酸化物被膜、またた酸化ジ
ルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、その被
膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いること
が好ましい。
【0020】本発明における一対の電極間の距離は、固
体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマの利用目
的等を考慮して決定されるが、1〜50mmとすること
が好ましい。1mm未満ではその間に発生するプラズマ
を表面処理等に利用する際のフィルム基材の配置のため
の空隙を設けるのに不充分であり、50mmを越えると
均一な放電プラズマを発生することが困難となる。 (2)の手段について フィルム基材の温度を一定にするには、前記したように
プラズマの放電エネルギを制限することが有効であり、
本発明では、電界強度を1〜90kV/cmとする。す
なわち、常圧下では、大抵のガス雰囲気において電界強
度が90kV/cm以上となると、電極全面に均一なグ
ロー放電を形成することができず、一部にストリーマー
状の放電が発生してしまい、光学薄膜を成膜することが
できない。また、電界強度が1kV/cm以下の場合、
成膜に十分なプラズマ密度が得られない。
【0021】ここで、90kV/cm以下の電界強度を
実現するには、放電ガスの雰囲気の選択が必要であり、
ヘリウムガス,アルゴンガスを50%以上の存在下で成
膜を行うことが必要である。しかし、ヘリウムガス雰囲
気とした場合、成膜するのに十分なプラズマ密度が得ら
れない。
【0022】従って、常圧プラズマを用いた成膜法にお
いて90kV/cm以下の電界強度を実現するにはアル
ゴンガスを用いた雰囲気をすることが必要であり、例え
ば、金属酸化物をTAC上に成膜する場合、好ましいガ
ス雰囲気は、金属元素含有アルコキシド0.01〜5
%、アルゴンガス50〜99.99%からなるガス雰囲
気である。
【0023】金属元素含有アルコキシドの混合量を前記
範囲としているのは、金属元素含有アルコキシドは、一
般に気化温度が100℃より高いので、100℃以下の
条件下に導入するにはガス希釈(アルゴンガス等)によ
って飽和蒸気圧以下にする必要があり、5%以上では飽
和蒸気以下にすることが難しく、また、成膜されずに排
気される割合が大きくなってコスト的にも不利である。
一方、混合量が0.01%以下では十分な成膜速度が得
られない、という理由による。
【0024】金属元素含有アルコキシドとしては、例え
ば、テトラメトキシシラン;Si(OCH3 )4 、テト
ラエトキシシラン;Si(OC2 H5 )4 、テトラエト
キシチタン;Ti(OC2 H5 )4 、テトライソプロポ
キシチタン;Ti(OC3 H7 )4 、テトラブトキシチ
タン;Ti(OC4 H9 )4 及びこれの混合物等が挙げ
られる。
【0025】また、アルゴンガスの混合量を50%以上
としているのは、混合雰囲気中のアルゴンガスが50%
以下では混合ガスのプラズマ化に高電界が必要となり、
その高電界によってフィルム基材が変形してしまう、と
いう理由による。
【0026】なお、アルゴンガス以外の希釈用ガスとし
ては、酸素、空気、二酸化炭素等の酸化反応を助成する
反応ガスや窒素等のプラズマ密度を制御するための添加
ガス等を用途に応じて選択できる。
【0027】本発明において、対向電極間に印加するパ
ルス電圧のパルス波形は特に限定されるものではない
が、図4(A),(B)に例示するようなインパルス型
や、(C)に例示するような方形波型、(D)に例示す
るような変調型等を用いることができる。この図4には
印加電圧が正負の繰り返しであるものを例示したが、正
または負のいずれかの極性のみのパルス電圧、いわゆる
片波状のパルス電圧を印加してもよい。
【0028】本発明において、電極間に印加するパルス
電圧は、そのパルスの立ち上がり時間及び立ち下がり時
間が短い程、プラズマ発生の際のガスの電離が、効率よ
く行われる。特に、電極間に印加するパルス電圧の立ち
上がりは、100μs以下とすることが好ましい。10
0μsをこえると、放電状態がアーク放電に移行し易
く、不安定なものとなる。また、このような高速立上が
り時間のパルス電界によって電子密度の高い放電状態を
実現する効果がある。
【0029】パルス電圧の立ち下がり時間は特に規定さ
れないが、立ち上がり時間と同程度に高速であることが
好ましく、より好ましくは100μs以下である。ま
た、立ち上がり/立ち下がり時間の下限は特に限定しな
いが、電源装置等を勘案すると40μs以上が現実的で
ある。なお、ここでいう立ち上がり時間とは、電圧変化
の向きが連続して正である時間をいい、立ち下がり時間
とは、電圧変化の向きが連続して負である時間を指すも
のとする。
【0030】対向電極間に形成するパルス電界は、その
パルス波形、立ち上がり及び立ち下がり時間、及び、周
波数が適宜に変調されていてもよい。なお、パルス電界
は、周波数が高く、パルス幅が短い方が、高速連続薄膜
形成には適している。
【0031】本発明において対向電極間に印加するパル
ス電界の周波数は、0.5kHz〜100kHzの範囲
とすることが好ましい。0.5kHz未満であると、薄
膜形成速度が遅すぎて現実的ではなく、100kHzを
超えると、アーク放電が発生し易くなる。パルス電界の
周波数は、より好ましくは上記範囲の中で1kHz以上
である。
【0032】また、パルス電界におけるパルス継続時間
は、1μs〜1000μsであることが好ましく、より
好ましくは3μs〜200μsである。1μs未満であ
ると放電が不安定なものとなり、1000μsを越える
とアーク放電に移行し易くなる。ここで、パルス継続時
間とは、図5に例示するように、ON・OFFが繰り返
されるパルス電界における、1つのパルス波形の連続持
続時間を言い、図5(A)の波形ではパルス継続時間=
パルスデューティ時間であるが、図5(B)の波形では
複数のパルスを含んだ、オンが継続する時間を言う。
【0033】なお、本発明に用いるフィルム基材の材質
としては、TACのほか、ポリエステル、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリカーボネート等の透明プラスチックなどが挙
げられる。
【0034】
【実施例】本発明のフィルム基材への薄膜形成方法の具
体的な実施例を比較例とともに説明する。
【0035】まず、本発明の実施例(比較例)に用いた
成膜装置を図1に模式的に示す。図1に示す成膜装置
は、主として、チャンバ1、高電圧パルス電源2、巻出
機3、加熱ロール4、処理用ガス供給装置5、油回転ポ
ンプ6、及び巻取機7によって構成されている。
【0036】チャンバ1の前後(フィルム基材Fの走行
方向における前後)にはそれぞれシール装置8,9が設
置されている。また、チャンバ1には、ガス導入口10
a及びガス吸引口10bが設けられており、そのガス導
入口10aに処理用ガス供給装置5が接続され、ガス吸
引口10bに減圧用の油回転ポンプ6が接続されてい
る。
【0037】チャンバ1の内部には、互いに対向するロ
ール電極11と曲面電極12が配置されている。このロ
ール電極11と曲面電極12との間には、高電圧パルス
電源2からのパルス電圧が印加される。また、ロール電
極1の内部には、冷却水の循環用流路(図示せず)が形
成されており、このロール電極11に接触しながら進行
するフィルム基材Fを成膜に適した温度(例えば60
℃)に保持することができる。
【0038】そして、以上の構造の成膜装置において、
処理用ガス供給装置5及び油回転ポンプ6の操作によ
り、チャンバ1内を、大気圧近傍の圧力下、希釈用ガス
(Ar)及び原料ガス(Ti(OC3 H7 )4 またはS
i(OC2 H5 )4 )雰囲気にした状態で、ロール電極
11と曲面電極12との間に、高電圧パルス電源2から
高電圧をかけることによりグロー放電プラズマを発生さ
せるとともに、フィルム基材F(TAC等)をロール電
極11に接触させながら走行させることにより、ロール
−ロール方式で連続的にフィルム基材Fに薄膜(TiO
2 またはSiO2)を形成することができる。 <実施例1>図1に示した成膜装置において、ロール電
極11として、SUS304製;φ210mm、表面を
厚み0.2mm・比誘電率14のAl2 O3 誘電体で被
覆したものを用い、また、曲面電極12として、SUS
304製;R52mm、表面を厚み1mm・比誘電率1
4のAl2 O3 誘電体で被覆したものを用いた。
【0039】また、ロール電極11と曲面電極12と
を、ロール電極11にフィルム基材F(TACフィル
ム;コニカ社製,幅25mm,厚み80μm)を接触さ
せた状態で、そのフィルム基材Fの2mm下方に曲面電
極12の対向面が位置するように配置した。
【0040】そして、以下の条件でフィルム基材Fの表
面にTiO2 薄膜を1200Å成膜した。
【0041】チャンバ1内を、Ti(OC3 H7 )4 ;
0.2体積%/Ar;99.8体積%の混合ガスで置換
した後、ロール電極11と曲面電極12との間に、波高
値14kV、周波数4kHzのパルス電界を印加して、
電界値が70kV/cmのグロー放電を生じさせ、この
放電開始後、フィルム基材F(TACフィルム)を0.
3m/minで走行させながら成膜を行った。また、ロ
ール電極11の循環用流路に、導電率2μS/cm、温
度60℃の冷却水を循環させて、このロール電極11上
を走行するフィルム基材(TACフィルム)Fの温度を
60℃に保持した。 <実施例2>実施例1で作成したTiO2 膜付きのTA
Cフィルムを、再び、図1に示す成膜装置に通し、導入
混合ガスを入れ換えてSiO2 膜を積層した。
【0042】このときの条件は、導入混合ガスをSi
(OC2 H5 )4 );0.2体積%/O2 ;10体積%
/N2 ;10体積%/Ar;79.8体積%の混合ガス
とし、また、フィルム走行速度を0.7m/minとし
てSiO2 膜を950Å成膜した以外は、実施例1と同
じとした。 <比較例>実施例2においてSiO2 膜を積層するとき
の導入混合ガスを、Si(OC2H5 )4 );0.2体
積%/O2 ;10体積%/N2 ;89.8体積%の混合
ガスとし、放電電圧を波高値18kV(電界値90kV
/cm)とするとともに、フィルム走行速度を1m/m
inとした以外は、実施例2と同じとした。 <成膜結果>実施例1及び2のいずれも皺無く成膜され
た。一方、比較例のガス配合では、窒素の放電電界が高
いため、フィルム基材が高エネルギに曝された結果、表
面温度が100℃を越えて、皺入りが発生した。また、
一度皺入りが発生すると、その盛り上がった部分はロー
ル電極11から外れてしまい、フィルム基材Fの温度制
御が不可となった。 <反射率測定>実施例1及び2で得られた積層酸化物薄
膜の反射スペクトルを測定した。その結果を図2に示
す。この図2の測定結果から、実施例1及び2の条件で
成膜を行うと、フィルム基材F(TACフィルム)上に
良好な反射防止効果が得られることが分かる。
【0043】また、実施例1及び2で得られた積層酸化
物薄膜の550nmでの反射率のマッピング測定を行っ
たところ、図3に示すような測定結果が得られた。この
図3から、実施例1及び2の条件では、放電による皺入
りがないため、極めて均一な膜厚の積層酸化物薄膜が得
られることが分かる。
【0044】なお、反射率の波長特性の測定には、分光
光度計(日立製作所製、商品名;UV−3300)を用
い、また、マッピング測定には、自動膜厚測定装置(ナ
ノメトリックス社製、商品名;M−5500)を可動ス
テージ(200mm×300mm)に取り付けたものを
用いた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大気圧近傍下においてグロー放電プラズマを用いてフィ
ルム基材の表面に薄膜を形成する方法において、成膜時
のフィルム基材の温度を100℃以下に制御するととも
に、雰囲気ガス及び対向電極間のパルス電界強度の各条
件を適当に設定して、プラズマ放電空間でのフィルム基
材の温度及び含水率の変動を抑えているので、TACフ
ィルム等の吸湿性を有するフィルム基材に薄膜を形成す
る場合でも、そのフィルム基材に皺が入ることがなくな
り、TiO2 またはSiO2 等の透明金属酸化物薄膜を
均一な膜厚で成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた成膜装置の構成を示す
模式図である。
【図2】実施例1及び2で得られた積層酸化物薄膜の反
射率スペクトルの測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1及び2で得られた積層酸化物薄膜のマ
ッピング測定の結果を示すグラフである。
【図4】対向電極間に印加するパルス電界の例を示す電
圧波形図である。
【図5】対向電極間に印加するパルス電界のパルス継続
時間の例を示す図である。
【符号の説明】
1 チャンバ 10a ガス導入口 10b ガス吸引口 11 ロール電極 12 曲面電極 2 高電圧パルス電源 3 巻出機 4 加熱ロール 5 処理用ガス供給装置 6 油回転ポンプ 7 巻取機 8,9 シール装置 F フィルム基材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向する一対の電極で構成され、
    その一方または双方の電極の対向面が固体誘電体で被覆
    されてなる対向電極を、大気圧近傍の圧力下に配置し、
    この対向電極間にフィルム基材を通過させながら、対向
    電極間にパルス電圧を印加することにより放電プラズマ
    を発生させ、その放電プラズマを用いてフィルム基材の
    表面に薄膜を連続的に形成する方法であって、金属元素
    含有アルコキシド0.01〜5体積%、アルゴンガス5
    0〜99.99体積%からなるガス雰囲気下で、対向電
    極間に、電界強度が1〜90kV/cmとなるようにパ
    ルス電圧を印加して薄膜を形成するとともに、その成膜
    中におけるフィルム基材の温度を100℃以下に制御す
    ることを特徴とする、常圧プラズマを用いたフィルム基
    材への薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 標準状態(20℃,65%相対湿度)の
    空気中で1%以上の吸湿率を有するフィルム基材を対向
    電極間に通過させて薄膜を形成することを特徴とする、
    請求項1に記載の常圧プラズマを用いたフィルム基材へ
    の薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 フィルム基材がトリアセチルセルロース
    であることを特徴とする、請求項1または2に記載の常
    圧プラズマを用いたフィルム基材への薄膜形成方法。
JP10197559A 1998-07-13 1998-07-13 常圧プラズマを用いたフィルム基材への薄膜形成方法 Pending JP2000026632A (ja)

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