JP2000297094A - 新規有機ケイ素化合物およびその製造方法並びにそれを用いる表面処理剤および樹脂添加剤 - Google Patents

新規有機ケイ素化合物およびその製造方法並びにそれを用いる表面処理剤および樹脂添加剤

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JP2000297094A
JP2000297094A JP11108246A JP10824699A JP2000297094A JP 2000297094 A JP2000297094 A JP 2000297094A JP 11108246 A JP11108246 A JP 11108246A JP 10824699 A JP10824699 A JP 10824699A JP 2000297094 A JP2000297094 A JP 2000297094A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属および無機物質と樹脂との接着性を
向上させる有機ケイ素化合物の提供。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される新規有機ケ
イ素化合物。 【化1】 (ただし、式中、R1、R2、R3は水素、炭素数が1〜
20のアルキル基、ビニル基、フェニル基、又はベンジ
ル基であり、R4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基
であり、R5、R6は炭素数1〜5のアルコキシル基で置
換された又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基であ
り、mは1〜10、nは1〜3の整数である。ただし、
2、R3は結合してベンゼン環になっても良い。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅、鉄鋼、および
アルミニウム等の金属またはガラス繊維、シリカ、酸化
アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機物質と樹脂
との接着性の改善を行うための表面処理剤、または、エ
ポキシ樹脂等の樹脂の機械的強度の改善を行うための樹
脂添加剤およびさらに有用な有機ケイ素化合物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子機器のボードは銅箔と紙−フェノー
ル樹脂含浸基材やガラス−エポキシ樹脂含浸基材等を加
熱、加圧して銅張積層板を作成した後、エッチングして
回路網を形成し、これに半導体装置等の素子を搭載する
ことにより作られる。
【0003】これらの過程では、銅箔と基材との接着、
加熱、酸やアルカリ液への浸漬、レジストインクの塗
布、ハンダ付け等が行われるため、さまざまな性能が要
求される。これらの要求を満たすために、銅箔は黄銅層
形成処理(特公昭51−35711号公報、同54−6
701号公報)やクロメート処理、亜鉛または酸化亜鉛
とクロム酸化物とからなる亜鉛−クロム基混合物被覆処
理(特公昭58−7077号公報)、シランカップリン
グ剤処理等が検討されている。また、樹脂は樹脂や硬化
剤の種類およびその配合量を変えたり、添加剤等によっ
て上記要求特性を満足させている。また、ガラス繊維は
シランカップリング剤等の表面処理等が検討されてい
る。しかしながら、最近、プリント回路が緻密化してい
るので、使用される電子機器用のボードに要求される特
性はますます厳しくなっている。
【0004】これに伴うエッチング精度の向上に対応す
るため銅箔のプリプレグと接着される粗化面(M面)に
はさらに低い表面粗さ(ロープロファイル)も求められ
ている。しかし、M面の表面粗さは一方ではプリプレグ
との接着にあたって、アンカー効果をもたらしているの
で、M面に対するこのロープロファイルの要求と接着力
の向上とは二律背反の関係にあり、ロープロファイル化
によるアンカー効果の低減分は別の手段による接着力の
向上で補償することが必要である。
【0005】また、発電所などの高電圧・高容量の機器
や半導体の封止等に使われている電気絶縁用注型材料は
エポキシ樹脂のマトリックス中にシリカやアルミナ等の
無機物質を充填した複合材料である。これらの材料には
様々な電気的・機械的特性が要求されており、それらの
特性を満足させるためには、無機物質と樹脂の接着性を
向上させる必要がある。この対策としてシランカップリ
ング剤を樹脂中に添加したり、無機物質をシランカップ
リング剤で表面処理することが提案されているが、さら
なる樹脂/無機物質界面の改善が要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした要
請に対応できる、すなわち銅、鉄鋼、およびアルミニウ
ム等の金属またはガラス繊維、シリカ、酸化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム等の無機物質と樹脂との接着性
を向上させることができる新規な有機ケイ素化合物、そ
の製造方法、並びにそれを用いた表面処理剤または樹脂
添加剤を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
進めた結果、前記一般式(1)に示す新規有機ケイ素化
合物を金属または無機物質に表面処理した場合、樹脂と
の接着性を向上させることができ、また、エポキシ樹脂
等の樹脂に添加しても硬化反応が促進され、かつ機械的
強度が改善されることを見出した。
【0008】本発明は、かかる知見に基づきなされたも
のであり、その要旨は、 (1)下記一般式(1)で表される新規有機ケイ素化合
物、
【0009】
【化3】
【0010】(ただし、式中、R1、R2、R3は水素、
炭素数が1〜20のアルキル基、ビニル基、フェニル
基、又はベンジル基であり、R4は水素又は炭素数1〜
3のアルキル基であり、R5、R6は炭素数1〜5のアル
コキシル基で置換された又は無置換の炭素数1〜5のア
ルキル基であり、mは1〜10、nは1〜3の整数であ
る。ただし、R2、R3は結合してベンゼン環になっても
良い。) (2)下記一般式(2)で表されるイミダゾール化合物
と下記一般式(3)で表されるアクリルシランを40〜
150℃で反応させることを特徴とする前記(1)記載
の有機ケイ素化合物の製造方法、
【0011】
【化4】
【0012】(ただし、R1、R2、R3、R4、R5
6、m、nは一般式(1)と同義) (3)前記(1)に記載の有機ケイ素化合物を有効成分
とする表面処理剤、 (4)前記(1)に記載の有機ケイ素化合物を有効成分
とする樹脂添加剤、にある。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】上記一般式(1)におけるR1、R2、R3
は、水素、炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、フ
ェニル基、又はベンジル基であれば本発明の効果を十分
に発揮する。ただし、これらの置換基は使用する用途に
よって適したものを選定する必要がある。すなわち、フ
ィラーや金属等に水溶液で表面処理したい場合は、水素
または炭素数の少ないアルキル基が溶解性の点で好まし
い。
【0015】また、樹脂に添加する場合は、対象樹脂と
の相溶性が高い置換基を選定する必要がある。上記一般
式(1)におけるR5、R6は、炭素数1〜5のアルコキ
シル基で置換された又は無置換の炭素数1〜5のアルキ
ル基であるが、特には合成の容易性やシランの加水分
解、縮合のし易さの点からメチル基またはエチル基が好
適である。また、nは1〜3であるが、金属、無機物質
や樹脂との反応性や架橋性の高い方が接着特性が向上す
るため、nは2または3が好適である。また、mは1〜
10である。
【0016】本発明の上記新規有機ケイ素化合物(1)
は下記反応式(4)で表される反応により合成される。
すなわち、イミダゾール化合物とアクリルシランを混合
し、40〜150℃に加熱することにより製造すること
ができる。
【0017】
【化5】
【0018】(反応式中、各記号は前記と同義)上記反
応式(4)のイミダゾール化合物とアクリルシランの反
応モル比はイミダゾール化合物1モルに対して0.1〜
10モルのアクリルシランを反応させることにより製造
できるが、イミダゾール化合物1モルに対してアクリル
シランを1モル以下で反応させることが望ましい。これ
らの新規有機ケイ素化合物は、過剰のイミダゾールを水
で洗浄するか、蒸留することにより簡単に単離されう
る。
【0019】上記、新規有機ケイ素化合物を金属または
無機物質の表面処理剤として用いる場合、その金属また
は無機物質には特に制限がない。例えば、金属では、
銅、鉄、アルミニウム、亜鉛等またはそれらの合金、無
機物質ではガラス繊維、シリカ、酸化アルミニウム、水
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、
タルク等である。表面処理は、そのまま塗布しても良い
が、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチ
ル、トルエン等の溶剤で0.001〜20重量%になる
ように希釈して噴霧するか、この液に金属または無機物
質を浸漬させる方法で塗布することが簡便で好ましい。
【0020】なお、この新規有機ケイ素化合物は単独で
用いても良いが、他のシランまたはチタネートカップリ
ング剤、防錆剤と混合しても良い。
【0021】上記、本発明の新規有機ケイ素化合物は樹
脂添加剤として用いる場合、その樹脂には特には制限が
なく、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも良いが、特に
はエポキシ樹脂に添加すると硬化剤または硬化促進剤と
して効果的に作用し、本発明の効果を十分に発揮するこ
とができる。本発明の新規有機ケイ素化合物は樹脂中の
そのまま添加してもアルコール系、芳香族系、脂肪族系
有機溶剤に溶解して添加しても良い。添加量は樹脂10
0に対して0.001〜50添加すれば本発明の効果を
十分発揮できる。なお、本発明の新規有機ケイ素化合物
は、硬化剤、シランカップリング剤、可塑剤等の添加剤
等と併用しても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】実施例1 イミダゾール13.6g(0.2モル)とメタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン24.8g(0.1モ
ル)を混合し、100℃で11時間反応させた。室温ま
で冷却後、酢酸エチル100mlを加え、純水100m
lで3回洗浄することにより過剰のイミダゾールを除去
した。これにモレキュラーシーブスを添加し、1晩酢酸
エチル溶液を乾燥した。その後、酢酸エチルをロータリ
ーエバボレーターで留去し、下記式(5)で示される目
的精製物を28.2g(収率78.7%)得た。得られ
た化合物はFT−IR、NMRにより同定した。本化合
物の1H−NMR、13C−NMR、FT−IRスペクト
ルを図1〜3に示す。
【0023】
【化6】
【0024】実施例2表面処理剤としての適用 アルミ合金板(JIS H4000に規定するA202
4P、日本テストパネル製、厚さ1.6mm、25×1
00mm)を上記実施例1で合成された新規有機化合物
の0.4%メタノール溶液に浸漬した後、熱風乾燥する
ことにより表面処理した。この表面処理したアルミ合金
板2枚をエポキシ樹脂組成物[エピコート828(エポ
キシ樹脂、油化シェルエポキシ製):100部、ジシア
ンジアミド(関東化学(株)製):5部、2−エチル−
4−メチルイミダゾール(四国化成製):1部]により
100℃で1時間+150℃で1時間の硬化条件で接着
し、JIS K6850に準じて引っ張り剪断接着試験
を行った。また比較として未処理のアルミ合金板、およ
び0.4% 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランのメタノール溶液で処理したアルミ合金板について
も同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】実施例3樹脂への添加剤としての適用 未処理のアルミ合金板2枚をエポキシ樹脂組成物[エピ
コート828:100部、ジシアンジアミド(関東化学
(株)製):5部、実施例1で得られた新規有機ケイ素
化合物:1部]により100℃で1時間+150℃で1
時間の硬化条件で接着し、JIS K6850に準じて
引っ張り剪断接着試験を行った。その結果を表2に示
す。また、比較として新規有機ケイ素化合物の代わり
に、2−エチル−4−メチルイミダゾール1部を用いて
同様に評価した。その結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の新規有機
ケイ素化合物は表面処理剤、樹脂添加剤として金属と樹
脂との接着性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成された有機ケイ素化合物の1
−NMRチャート。
【図2】同上、13C−NMRチャート。
【図3】同上、FT−IRチャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H049 VN01 VP01 VQ64 VR20 VR40 VS30 VT43 VT49 VU16 VU21 VW02 VW32 4J002 AA011 AA021 CD001 DA077 DA097 DA107 DC007 DE077 DE147 DE217 DJ017 DJ047 DL007 EX076 FA047

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される新規有機ケ
    イ素化合物。 【化1】 (ただし、式中、R1、R2、R3は水素、炭素数が1〜
    20のアルキル基、ビニル基、フェニル基、又はベンジ
    ル基であり、R4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基
    であり、R5、R6は炭素数1〜5のアルコキシル基で置
    換された又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基であ
    り、mは1〜10、nは1〜3の整数である。ただし、
    2、R3は結合してベンゼン環になっても良い。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表されるイミダゾー
    ル化合物と下記一般式(3)で表されるアクリルシラン
    を40〜150℃で反応させることを特徴とする請求項
    1記載の有機ケイ素化合物の製造方法。 【化2】 (ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6、m、nは一
    般式(1)と同義)
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の有機ケイ素化合物を有
    効成分とする表面処理剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の有機ケイ素化合物を有
    効成分とする樹脂添加剤。
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