JP2000294246A - 非水電解質二次電池用結着剤の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用結着剤の製造方法

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JP2000294246A
JP2000294246A JP11096654A JP9665499A JP2000294246A JP 2000294246 A JP2000294246 A JP 2000294246A JP 11096654 A JP11096654 A JP 11096654A JP 9665499 A JP9665499 A JP 9665499A JP 2000294246 A JP2000294246 A JP 2000294246A
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polyesteramide
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JP11096654A
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English (en)
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Hisao Ikeda
尚夫 池田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活物質を混合したときの沈降を抑え、塗膜の
ひび割れがなく、金属箔との優れた接着力を有し長時間
でも溶液の粘度変化がなく、電池の製造時の塗工性にも
悪影響を及ぼさないで、しかも携帯型電子機器等の移動
用電源として好適に使用することができる非水電解質二
次電池用結着剤の製造方法を提供する。 【解決手段】 分子鎖中にカルボキシル基、アミノ基及
び水酸基から選ばれる官能基を2個以上含有するポリエ
ステルアミド系オリゴマー並びに、ジイソシアネートか
らなる結着剤ポリマーを、N−メチル−2−ピロリドン
に溶解、分散させる際に、該結着剤ポリマーを140〜
180℃に1〜3時間加熱して溶解させた後、撹拌しな
がら2〜10℃/時の速度で冷却降温させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高容量で充放電性
に優れた非水電解質二次電池用結着剤の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯型ビデオカメラや携帯型パソ
コン等の携帯型電子機器の普及に伴い、移動用電源とし
ての電池の需要が急増している。また、このような電池
に対して、小型化、軽量化、高エネルギー密度化の要求
が非常に高まりつつある。
【0003】移動用電源としてアルカリマンガン電池の
ような一次電池は、一回の放電のみの使用で廃棄するの
で、コスト的に不利である。また、繰り返し充放電が可
能な二次電池としては、従来、鉛電池、ニッケル、カド
ミウム電池等の水溶系電池が主流であるが、これらの水
溶系電池は、充放電特性は優れているが、重量やエネル
ギー密度の点で、携帯型電子機器の移動用電源として十
分満足できる特性を有しているとはいえなかった。
【0004】携帯型ビデオカメラや携帯型パソコン等の
携帯型電子機器は、比較的消費電流が大きいものが多い
ため、このような携帯型電子機器の移動用電源は、重負
荷に耐える必要がある。従って、その電池構造として
は、正電極と負電極とを帯状とし、帯状のセパレーター
を介して、その長さ方向に巻回することによって渦巻式
巻回電極構造とすることが好ましい。このような構造と
することによって、電極面積を大きくし、限られた空間
内にできるだけ多くの活物質を充填することができるの
で、重負荷による使用にも耐えることができる。
【0005】このような構造をとるためには、正電極と
負電極は可撓性があり薄膜状である必要がある。可撓性
があり薄膜状である電極を有する非水電解質二次電池と
しては、例えば、特開平4−249860号公報に、結
着剤であるポリフッ化ビニリデンにより炭素材料を金属
箔上に設けたものを負電極とし、リチウムの複合酸化物
をポリフッ化ビニリデンにより金属箔上に設けたものを
正電極とした非水電解質二次電池が開示されている。
【0006】しかしながら、この非水電解質二次電池に
上記結着剤を使用すると、可撓性が余りないため、製造
時や数百万回以上の放電を繰り返した場合に、炭素材料
又は複合酸化物が金属箔から剥離する場合があり、容量
が低下するため長期の繰り返し使用が制限されることが
あった。そこで、結着剤としてポリアミド系エラストマ
ーが適切であることを見いだしたが、ポリアミド系エラ
ストマーは溶媒に溶解後、活物質と混合して金属箔上に
塗工する際に活物質の沈降により塗膜にひび割れ発生
し、金属箔から剥離することがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、活物質を混合したときの沈降を抑え、塗
膜のひび割れがなく、金属箔との優れた接着力を有し長
時間でも溶液の粘度変化がなく、電池の製造時の塗工性
にも悪影響を及ぼさないで、しかも携帯型電子機器等の
移動用電源として好適に使用することができ、高容量で
充放電特性に優れ、長期の繰り返し使用においても容量
維持率の高い非水電解質二次電池用結着剤の製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解質二次
電池用結着剤の製造方法は、下記一般式(1)で表され
るジカルボン酸、下記一般式(2)で表されるジオー
ル、並びに、還元粘度(1g/dL98%硫酸溶液、2
0℃にて測定)0.5〜7dL/gであるポリアミドを
構成成分とし、分子鎖中にカルボキシル基、アミノ基及
び水酸基から選ばれる官能基を2個以上含有するポリエ
ステルアミド系オリゴマー100重量部、並びに、一般
式(3)又は(4)で表されるジイソシアネート5〜5
0重量部からなる結着剤ポリマーを、N−メチル−2−
ピロリドンに溶解、分散させる際に、該結着剤ポリマー
を140〜180℃で1〜3時間加熱して溶解させた
後、撹拌しながら2〜10℃/時の速度で冷却降温させ
ることを特徴とする。
【0009】本発明の製造方法で得られる結着剤ポリマ
ーは、下記一般式(1)で表されるジカルボン酸、下記
一般式(2)で表されるジオール、並びに、還元粘度
(1g/dL98%硫酸溶液、20℃にて測定)0.5
〜7dL/gであるポリアミドからなる、ポリエステル
アミド系オリゴマーを主成分とする。
【0010】 HOOC−R1 −COOH ・・・(1) HO−R2 −OH ・・・(2)
【0011】式中、R1 は炭素数2〜8のアルキレン基
を示し、R2 は炭素数2〜6のアルキレン基を示す。
【0012】上記ジカルボン酸(1)としては、特に限
定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらは単独で用
いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0013】上記ジカルボン酸(1)に、得られる結着
剤の物性を損なわない範囲で、その他のジカルボン酸を
適宜併用することができる。その他のジカルボン酸とし
ては、例えば、フタル酸、マレイン酸等の芳香族系ジカ
ルボン酸、カルボン酸末端ポリオール、カルボン酸末端
ポリエステル等の各種ジカルボン酸などが挙げられる。
その他のジカルボン酸の配合量は、ジカルボン酸(1)
の5〜20重量%が好ましい。
【0014】上記ジオール(2)としては、特に限定さ
れず、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパン
ジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、得
られる結着剤ポリマーの柔軟性を向上させるためには、
1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール等の分岐を有するジオールの使
用が好ましい。
【0015】また、上記ジオール(2)に加えて、得ら
れる結着剤ポリマーの物性を損なわない範囲で、ジオー
ル成分として、グリコール、ポリアルキレンオキシド等
を適宜併用することができる。
【0016】上記グリコールとしては、特に限定され
ず、例えば、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デ
カンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シ
クロヘキサン−1,2−ジオール、シクロへキサン−
1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げら
れる。
【0017】上記ポリアルキレンオキシドとしては、特
に限定されず、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリ
ヘキサメチレンオキシド等が挙げられる。
【0018】上記ジカルボン酸又はジオールとして2種
以上の複数成分が用いられる場合は、複数成分のうちい
ずれか1つの成分のジカルボン酸全体又はジオール全体
に対する割合は、30〜70重量%が好ましい。30重
量%未満であっても、70重量%を超えても生成するポ
リエステルアミド系オリゴマーの結晶性がやや高くなる
ため、結着剤ポリマーの硬度がやや高くなり、柔軟性が
不足することがある。
【0019】上記ポリアミドは、ポリマー主鎖にアミド
結合を有するものであって、上記ジカルボン酸及びジオ
ールに溶解し、かつ加熱溶融するものが好ましい。上記
ポリアミドは、還元粘度(1g/dL98%硫酸溶液、
20℃にて測定)0.5〜7dL/gのものが用いられ
る。還元粘度が、0.5dL/g未満では、得られるポ
リエステルアミド系オリゴマーの高温での機械的強度が
不足することがあり、7dL/gを超えると溶解性が低
下して合成しにくくなる。
【0020】上記ポリアミドのトルエン/イソオクタン
=1:1(重量比)の混合溶液に対する膨潤度は、重量
変化率で5%以下であることが好ましい。5%を超える
と、得られるポリエステルアミドの耐電解液性が劣った
ものとなり、このポリエステルアミドを結着剤として用
いた電池は充放電サイクルが低くなることがある。ま
た、上記ポリアミドの分子量は、1,000〜60,0
00が好ましく、より好ましくは2,000〜50,0
00である。
【0021】上記ポリアミドとしては、特に限定され
ず、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナ
イロン、11−ナイロン、12−ナイロン、6,10−
ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族ナイロン;イ
ソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸と、メタキ
シリレンジアミン、2,2−ビス(パラアミノシクロヘ
キシル)プロパン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシ
ルメタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
等の芳香族ジアミン、脂環族ジアミン又は側鎖置換脂肪
族ジアミンを、重縮合したポリアミドなどが挙げられ
る。
【0022】上記ポリエステルアミド系オリゴマー中に
おける上記ポリアミドの含量は、5〜70重量%が好ま
しく、より好ましくは5〜50重量%である。ポリアミ
ド含量が、5重量%未満であると、得られる結着剤ポリ
マーの機械的強度が不足することがあり、70重量%を
超えると、ハードセグメント含量が増大するので硬くな
り、良好なゴム弾性を有する結着剤ポリマーを得にくく
なる。
【0023】本発明で用いられるポリエステルアミド系
オリゴマーの極限粘度(オルトクロロフェノール中、3
0℃にて測定)は0.1〜1dL/gが好ましい。極限
粘度が0.1dL/g未満であると、結着剤ポリマーの
分子量を上昇させるために多量のジイソシアネートを必
要とし、得られるポリマーの柔軟性が劣ったものとなる
ことがある。また、極限粘度が1dL/gを超えると、
多官能イソシアネートとの反応性が低下して、定量的に
オリゴマーの鎖延長反応を進めにくくなって、同時に起
こる架橋反応を抑制しにくくなり、生成するポリマーは
溶解性の劣ったものとなることがある。より好ましくは
0.2〜0.9dL/gである。
【0024】上記ポリエステルアミド系オリゴマーは、
任意の方法で合成することができ、例えば、ポリアミド
の存在下でジカルボン酸とジオールとを重合することに
よって得られる。この重合反応は、通常、エステル化反
応及び重縮合反応からなる二段階の反応で行われる。
【0025】第一段階のエステル化反応は、上記ポリア
ミドをポリエステル成分に溶解させて、透明均質な溶液
の状態で行う。不均一な状態では、反応が効率よく進行
しない。溶解温度は150〜230℃が好ましい。15
0℃未満では溶解がしにくくなり、230℃を超えると
分解反応を起こす可能性がある。
【0026】第二段階の重縮合反応は、減圧下、好まし
くは10mmHg以下で、温度180〜260℃にて行
うことが好ましい。温度が、180℃未満であると反応
速度が小さく、重合粘度が高くなるため効率的な重合が
しにくくなり、260℃を超えると分解反応や着色が起
こることがある。
【0027】上記重縮合反応においては、上記ジカルボ
ン酸1モルに対して、上記ジオール1.2〜3モルを仕
込むのが好ましい。上記ジカルボン酸1モルに対して、
上記ジオールが1.2モル未満であると、エステル化反
応が効率よく進行せず、3モルを超えると過剰のジオー
ル成分を用いるためコスト面で不利であり、過剰なジオ
ール成分によってポリアミドの切断反応が起こり易くな
るので、ブロック性の低下が起こり耐熱性が低下するこ
とがある。
【0028】上記重縮合反応には、ポリエステルの製造
時に通常用いられている触媒を使用してもよい。上記触
媒としては特に限定されず、例えば、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、
チタン、コバルト、ゲルマニウム、タングステン、錫、
鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホウ素、カドミウ
ム、マンガン、ジルコニウム等の金属;これらの有機金
属化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等
が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、2種
以上が併用されてもよい。
【0029】上記触媒の中でも、特に酢酸カルシウム、
ジアシル第一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキ
サイド、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレー
ト、錫ジオクタノエート、錫テトラアセテート、トリイ
ソブチルアルミニウム、テトラブチルチタネート、テト
ラプロポキシチタネート、チタン(オキシ)アセチルア
セテート、二酸化ゲルマニウム、タングステン酸、三酸
化アンチモン等が好適に用いられる。
【0030】上記ポリエステルアミド系オリゴマーに
は、その他の熱可塑性樹脂、ゴム成分等を混合して混合
結着剤として使用してもよい。
【0031】上記熱可塑性樹脂としては、特に限定され
ず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポ
リスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリスルフォン、ポリエステル、ポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0032】特に、上記ポリアミド系エラストマーと、
フッ化ビニリデンとの混合物は、接着性、柔軟性と耐電
解質性をバランスさせるのに有利である。その混合割合
としては、ポリアミド系エラストマーとポリフッ化ビニ
リデンの重量比で5: 95〜40:60が好ましく、よ
り好ましくは8:92〜30:70である。
【0033】上記ゴム成分としては、特に限定されず、
例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(S
BR)、水添SBR、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン
−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロ
ロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、
ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ス
チレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、ス
チレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、水
添SBS(SEBS)、水添SIS(SEPS)等のス
チレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性
エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミ
ド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラスト
マー等が挙げられる。
【0034】上記結着剤ポリマーは、上記ポリエステル
アミド系エラストマーの分子鎖中に2個以上存在する、
カルボキシル基、アミノ基及び水酸基から選ばれる2種
以上の官能基と、ジイソシアネートのイソシアネート基
を鎖延長反応させることにより得ることができる。ジイ
ソシアネートとしては、同一分子内に2個のイソシアネ
ート基を有する化合物であれば、特に限定されず、生成
するポリエステルアミド系エラストマーの流動性を保つ
範囲で3個以上のイソシアネート基を有する化合物を用
いてもよい。
【0035】上記ジイソシアネートとしては、例えば、
4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MD
I)、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレ
ンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の
芳香族ジイソシアネート;1,2−エチレンジイソシア
ネート、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4
−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジ
イソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ
ート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、水素添加した4,4'-ジフェ
ニルメタンジイソシアネート(MDI)等の脂肪族ジイ
ソシアネートなどが挙げられる。
【0036】上記ジイソシアネートの配合量は、ポリエ
ステルアミド系オリゴマー100重量部に対して5〜5
0重量部とされる。配合量が5重量部未満では高分子量
の結着剤ポリマーが得られず、強度が不十分となり金属
箔との接着力も不十分となる。また、配合量が50重量
部を超えると過剰のイソシアネート基が分子の架橋反応
を起こし、得られるポリエステルアミド系エラストマー
は柔軟性(可撓性)がなく、しかも溶解性が劣る。
【0037】上記結着剤ポリマーは、例えば、上記ポリ
エステルアミド系オリゴマー及びジイソシアネートを押
出機に供給して溶融混合することにより得られる。溶融
混合温度は180〜260℃が好ましく、より好ましく
は200〜240℃である。溶融混合温度が180℃未
満ではポリエステルアミド系オリゴマーが溶融しにくい
ため反応しにくくなり、260℃を超えるとポリエステ
ルアミド系オリゴマー及びジイソシアネートが分解し、
強度が十分なポリマーを得にくい。
【0038】上記ポリエステルアミド系オリゴマーとジ
イソシアネートとの反応において、触媒が用いられても
よい。触媒としては、上記ポリエステルアミド系オリゴ
マー重縮合反応において用いられるものと同様の触媒が
挙げられる。
【0039】次に、ポリエステルアミド系オリゴマーゲ
ル粒子の製造方法について説明する。上記ポリエステル
アミド系オリゴマーからゲル粒子を得るために、ポリエ
ステルアミド系オリゴマーを、特定の溶剤N−メチル−
2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)に溶解す
る。溶解方法としては、重合釜内で140〜180℃に
て1〜3時間撹拌溶解させてから、撹拌しながら2〜1
0℃/時の降温速度で冷却し、重合釜内の溶液温度が5
0℃未満になった時点で溶液を抜き出す。
【0040】上記NMPは、高温時のポリエステルアミ
ド系オリゴマーの溶解度が高く、室温での溶解度が低い
ので、ゲル粒子を析出させるに適度な溶解度を有する。
【0041】上記ポリエステルアミド系オリゴマーをN
MPに溶解させ、次いで、溶液を冷却させる間溶液を撹
拌する必要がある。ポリエステルアミド系オリゴマーを
溶解させる際や溶解溶液を降温冷却させる際に撹拌を行
わないと、溶液に温度分布を生じやすく、溶液を抜き出
す時に溶液表面に皮がはったような状態となる場合や、
溶剤に溶けない微粒子ゲルを発生させることがある。す
なわち、ゲル粒子が活物質を十分に分散させることがで
きないので、活物質と混合されたポリエステルアミド系
オリゴマーからなる結着剤を金属箔に塗工した際に剥離
する。なお、撹拌の回転数は60〜150rpmが好ま
しい。尚、上記微粒子ゲルは、目視観察できる程度の大
きさであり、三次元架橋したような溶剤に不溶なゲル状
物をいう。
【0042】ポリエステルアミド系オリゴマーをNMP
に溶解させる温度が、140℃未満であるとNMPに溶
解しない膨潤したゲル粒子が発生し、180℃を超える
とポリエステルアミド系オリゴマーの劣化が起こりやす
く、活物質との接着性や塗工性が悪くなる。
【0043】ここで、冷却する際の降温速度は2〜10
℃/時となされる。降温速度が2℃/時に満たないと、
ゲル粒子の分散体の保存中に大量に存在する微小なゲル
粒子が合着してゼリー状になり、ついには溶液全体がゲ
ル化してしまうので、塗工性や保存安定性が悪くなる。
加えて、冷却速度が非常に遅いため、単位時間当たり一
定の速度で冷却させること自体が難しく、複雑な制御と
高価な設備が必要であり実用的でない。
【0044】また、冷却する際の降温速度が10℃/時
を超えると、ゲル粒子の粒径が大きくなりすぎ、金属箔
に均一な厚みで塗工することが難しく、活物質を均一に
分散できないので塗膜表面が光沢のない荒れた状態にな
ってしまう。好ましい降温速度は4〜7℃/時である。
【0045】なお、十分な量のゲル粒子が析出した溶液
を得るには、溶液温度が50℃未満になるまで冷却した
後溶液を抜き出すことが好ましい。
【0046】上記ポリエステルアミド系オリゴマーのゲ
ル粒子を調製する際に、上記溶剤にポリアミド系エラス
トマーの高温における溶解度が低い溶剤を添加してもよ
い。このような高温での溶解度が低い溶剤としては、例
えば、四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム
等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のケトン・エステル類;エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエ
ーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール
等のアルコール類などが挙げられる。これらは単独で用
いられてもよく、二種類以上が併用されてもよい。
【0047】上記ポリエステルアミド系オリゴマーゲル
粒子からなる結着剤を含有する正電極用塗工溶液及び負
電極用塗工溶液を導電性基体に塗工することによって、
正電極及び負電極が形成される。上記正電極用塗工溶液
又は負電極用塗工溶液は、例えば結着剤として用いられ
るポリエステルアミド系オリゴマーゲル粒子を、正極活
物質又は負極活物質と共に遊星撹拌機を用いて混合する
ことにより調製することができる。得られた正電極用塗
工溶液又は負電極用塗工溶液を、導電性基体上に塗工し
て電極用塗膜を形成することにより、正又は負電極を得
ることができる。
【0048】上記正又は負電極用塗工溶液の塗布方法と
しては、例えば、押出しコーター、リバースローラー、
ドクターブレード等による従来より公知の方法が採用さ
れるが、電極用塗膜を積層して形成する際には、これら
の塗布方法を適宜組合わせて、例えば、同時重層塗布方
式(ウェット・オン・ウェット)、逐次重層塗布方式
(ウェット・オン・ドライ)等の積層方式を採用すれば
よい。
【0049】また、電極用塗膜を形成した後、ロールプ
レス機を用いて強力な加圧プレスを行う等の方法が採用
されてもよい。
【0050】上記導電性基体としては、金属箔が用いら
れる。金属箔の材料としては、特に制限されず、例え
ば、金、銀、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウ
ム、チタン等が挙げられる。これらの中で、正電極用と
しては、ステンレス、アルミニウム、チタン等が好まし
く、負電極用としては銅が好ましい。
【0051】上記導電性基体として用いられる金属箔の
厚さは、数μm〜数百μmが好ましい。
【0052】上記負電極用塗工溶液は、結晶性又は低結
晶性の炭素材料、及びゲル粒子からなる結着剤との混合
物より形成される。上記結晶性又は低結晶性の炭素材料
は、負電極用活物質として用いられる。
【0053】上記結晶性の炭素材料としては、X線回折
における(002)面の面間隔が、3.7Å以上である
ものが好ましい。面間隔が、3.7Å未満であると、リ
チウムのドープ量が少なくなり、炭素の単位重量当たり
の電流容量が小さくなることがある。
【0054】上記結晶性の炭素材料としては、例えば、
ピッチコークス、ニードルコークス等のコークス;カー
ボンファイバー、人造黒鉛、天然黒鉛等が挙げられる。
上記結晶性の炭素材料は、例えば、700〜1,500
℃の温度で有機材料を焼成して炭素化することにより得
られる。
【0055】上記有機材料としては、例えば、フルフリ
ルアルコール又はフルフラールのホモポリマーよりなる
フラン樹脂;フルフリルアルコール及びフルフラールの
コポリマーよりなるフラン樹脂の他、セルロース、フェ
ノール樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル樹脂、
塩化ビニル樹脂等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセチレン、ポリパ
ラフェニレン等の有機高分子化合物などが挙げられる。
これらの中で、フルフリルアルコール又はフルフラール
のホモポリマーよりなるフラン樹脂、フルフリルアルコ
ール及びフルフラールのコポリマーよりなるフラン樹脂
が好適に用いられる。
【0056】また、上記有機材料としては、水素原子と
炭素原子との比(水素原子/炭素原子)が0.6〜0.
8である石油ピッチを用い、これに酸素を含む官能基を
導入するための酸素架橋を施すことによって、酸素含有
量10〜20重量%の前駆体を用いることができる。こ
の前駆体を焼成することによって得られる結晶性炭素材
料も、負極用活物質として好適に用いられる。
【0057】さらに、上記有機材料として、例えば、ナ
フタレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニ
レン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ピリレ
ン、ペンタフェン、ペンタセン等の3員環以上の単環炭
化水素化合物が互いに2個以上縮合してなる縮合環式炭
化水素化合物及びこれらの誘導体;インドール、イソイ
ンドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フ
タラジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フ
ェナントリジン等の3員環以上の複素単環化合物が互い
に少なくとも2個以上結合するか、又は、3員環以上の
複素単環化合物が1個以上の3員環以上の単環炭化水素
化合物と縮合してなる縮合複素環式化合物及びこれらの
誘導体などが用いられてもよい。
【0058】上記低結晶性の炭素材料としては、易黒鉛
化炭素材、難黒鉛化炭素材が挙げられる。上記易黒鉛化
炭素材は、例えば、石油又は石炭から得られるタールピ
ッチを原料とし、該原料を500〜1,000℃で熱処
理することにより得られる。また、上記難黒鉛化炭素材
は、例えば、フェノール樹脂等の有機化合物を焼成し炭
化することによって得られるものであって、炭素網面が
ランダムに積層した乱層構造を有するものが好ましい。
これは熱処理温度を高くしても黒鉛化が進むことはな
く、その層間距離は天然黒鉛よりかなり広いものであ
る。
【0059】上記結晶性又は低結晶性の炭素材料と、上
記ポリエステルアミド系オリゴマーゲル粒子を含有する
結着剤とを、有機溶剤に分散させてスラリー状にしたも
のを金属箔上に塗布、乾燥して電極用塗膜を形成するこ
とにより、二次電池用負電極を得る。ここで用いられる
有機溶剤としては、特に限定されず、例えば、N−メチ
ルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0060】上記負電極における結着剤の配合量は、炭
素材料100重量部に対して、1〜20重量部が好まし
い。配合量が、1重量部未満では、上記炭素材料を金属
箔に塗布しにくくなり、20重量部を超えると二次電池
としての容量が低下することがある。
【0061】上記正電極用塗工溶液は、通常、一般式L
iMO2 (式中、Mは、Co、Ni、Mn及びVから選
ばれる少なくとも1種を示す)で表される複合酸化物
と、上記結着剤との混合物より形成される。上記一般式
LiMO2 で表される複合酸化物は、正電極用活物質と
して用いられる。
【0062】上記複合酸化物としては、例えば、リチウ
ム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化
物、リチウム・コバルト・ニッケル複合酸化物、リチウ
ム・マンガン複合酸化物、リチウム・バナジウム複合酸
化物等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、
2種以上が併用されてもよく、固溶体として用いられて
もよい。これらの複合酸化物の中で、特に、リチウム・
コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、
リチウム・コバルト・ニッケル複合酸化物が好適に用い
られる。これらの複合酸化物には、黒鉛、カーボンブラ
ック、グラファイト等の電子導電助剤が混合されてもよ
い。
【0063】上記複合酸化物とゲル粒子からなる結着剤
とを、有機溶剤等に分散させてスラリー状にしたものを
金属箔上に塗布、乾燥して電極用塗膜を形成することに
より、二次電池用正電極を得る。
【0064】上記正電極における結着剤の配合量は、複
合酸化物100重量部に対して、1〜20重量部が好ま
しい。配合量が、1重量部未満では、上記複合酸化物を
金属箔に塗布しにくくなり、20重量部を超えると二次
電池としての容量が低下することがある。
【0065】上記負電極及び正電極の形状は、特に制限
がなく、例えば、シート形、角形、円筒形等、いずれの
形状であってもよい。本発明で得られる非水電解質二次
電池では、上記負電極及び正電極が、電解液を含浸した
セパレーターを介して対向するように配置される。
【0066】上記セパレーターとしては、電解液の含浸
性及び保液性に優れた材料が好ましい。このような材料
としては、特に制限がなく、例えば、ポリオレフィン系
樹脂の不織布;厚さ10〜50μm、開口率30〜70
%の微多孔性ポリプロピレンフィルム、微多孔性ポリエ
チレンフィルム等のフィルム、及び、前記材料の多層フ
ィルムなどが用いられる。
【0067】上記電解液には、有機溶媒に電解質を溶解
したものが用いられる。上記有機溶媒としては、特に制
限はないが、例えば、カーボネート類、スルホラン類、
塩素化炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン
類、ラクトン類、ニトリル類等が用いられる。具体的に
は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキ
シエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0068】上記電解質としては、特に制限がなく、例
えば、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiB
Ph4 (式中、Phはフェニル基を示す)、LiCl、
LiBr、MeSO3 Li(式中、Meはメチル基を示
す)、CF3 SO3 等が挙げられ、これらは単独で用い
られてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】上記非水電解質二次電池は、導電性基体上
に形成される最下層の塗膜が柔軟性を有し、かつ、接着
性に優れているので、充放電による活物質の膨張と収縮
が最下層の塗膜によって緩和される。従って、活物質を
含有する塗膜の剥離し難く、高容量かつ長期の繰り返し
使用においても高い容量維持率を有する。
【0070】(作用)本発明で用いられる結着剤は、活
物質と共にNMP溶媒に分散させてスラリー状塗工液に
調製する際に、比重差により活物質が沈降するという現
象が見受けられるが、イソシアネート成分を鎖延長によ
り分子量を大きくすることによって粘度を上昇させ、高
比重の活物質の沈降を抑えることができる。これによっ
て、活物質の周囲をバインダーが覆う形となり、金属箔
との接着性を向上させることができる。さらに、本発明
で用いられるポエリアミドエラストマーは、低い弾性率
を有し、柔軟性に優れているので、得られる電極は可撓
性があり、形状を自由に設定することができる。そのた
めに、電極の取り扱いが容易であり、限られた空間にで
きるだけ多くの負電極活物質を充填することができ、し
かも活物質を含有する塗膜が剥離しにくいので、高いエ
ネルギー密度と高容量の二次電池の作製が可能となる。
従って、高容量かつ長期繰り返し使用においても高い容
量維持率を発現する。
【0071】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて、本発明を
さらに詳細に説明する。
【0072】(実施例1)ポリエステルアミド系オリゴマー(I)の製造 アジピン酸146重量部、ブチレングリコール108重
量部、ネオペンチルグリコール125重量部〔ブチレン
グリコール/ネオペンチルグリコール=50/50(モ
ル比)、仕込み時のアジピン酸成分/ジオール成分=1
/2.4(モル比)〕、6−ナイロン(東洋紡績社製T
850、98%硫酸中、20℃での還元粘度3.5dL
/g)30重量部、触媒としてテトラブチルチタネート
0.25重量部、安定剤として1,3,5−トリメチル
−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.4重量部、並びに、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト0.4重量部を加え、反応系を窒素雰囲気下200℃
に昇温した。10分後には6−ナイロンが溶解し、透明
な溶液となった。この温度で更に1時間保ってエステル
化反応を行った。エステル化反応の進行は留出する水分
量を計量することにより確認した。エステル化反応進行
後、30分間で240℃まで昇温し減圧操作を行った。
重合系は10分間で1mmHg以下の減圧度に達した。
この状態で30分間重縮合反応を行って透明のポリエス
テルアミド(I)327重量部を得た。
【0073】ゲル状分散体(a)の調製 上記ポリエステルアミド系オリゴマー(I)粉砕品10
0重量部及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネー
ト10量部を、二軸押出機(ベルストルフ社製、L/D
=40)に供給して210℃で混練(滞留時間180
秒)し、結着剤ポリマーを得た。上記結着剤ポリマー5
重量部及びNMP95重量部を還流塔と撹拌装置のつい
たフラスコに仕込み、窒素気流下、溶解温度170℃で
2時間かけて結着剤のNMP溶液を調製した。さらに冷
却速度を制御するために加温して5℃/時の降温速度を
保ちながら撹拌を行い、溶液温度が40℃になった時点
で溶解液ととした。このNMP溶解液を室温まで冷却し
てゲル状分散体(a)(電極塗膜用結着剤)を得た。
【0074】負電極の作製 出発原料としての石油ピッチに、酸素を含む官能基を1
0〜20重量%導入する酸素架橋を行なった後、この酸
素架橋された前駆体を不活性ガス気流中で100℃に焼
成することによって炭素材料を得た。得られた炭素材料
についてX線回折測定を行なった後、面間隔は3.76
Åであった。この炭素材料を粉砕し、平均粒径10μm
の炭素材料粉末を得た。上記炭素材料粉末100重量部
及び上記ゲル状分散体(a)100重量部を遊星撹拌機
中で混合、分散させて、スラリー状の負電極用塗工液
(a1)を得た。このスラリー状の負電極用塗工液 (a1)
を、10cm×50cm×15μmの銅箔に塗布、乾燥
させて負電極を作製した。
【0075】正電極の作製 炭素リチウム0.5モルと炭素コバルト1モルとを混合
し、900℃の空気中で5時間焼成することによって、
LiCoO2 を得た。得られたLiCoO2 95重量部
及び導電剤としてグラファイト5重量部を、上記ゲル状
分散体(a)100重量部に分散させ、スラリー状の正
電極用塗工液 (a2)を得た。このスラリー状の正電極用
塗工液 (a2)を、10cm×30cm×15μmのアル
ミ箔に塗布、乾燥させて正電極を作製した。
【0076】上記ポリエステルアミド系オリゴマー
(I)、電極用塗工液 (a1)及び (a2)につき、下記の
評価を行い、その結果を表1に示した。
【0077】(1)ポリエステルアミド系オリゴマー
(I)の極限粘度 [η] 上記ポリエステルアミド系オリゴマー(I)の極限粘度
[η] を、ウベローデ粘度管を用いて、オルトクロロフ
ェノール中30℃で測定した。
【0078】(2)ポリエステルアミド系オリゴマー
(I)中のポリアミド含量 生成したポリエステルアミド系オリゴマー(I)の重量
に対する仕込み時のポリアミドの重量から、ポリエステ
ルアミド系オリゴマー(I)のポリアミド含量を算出し
た。
【0079】(3)ゲル状分散体(a)の微小ゲル粒径 ゲル状分散体(a)(電極塗膜用結着剤)の粒径を位相
差顕微鏡で測定した。 (4)塗工液の粘度 23℃の雰囲気下でスラリー状塗工液のE型粘度を測定
した。
【0080】(5)電極用塗工液 (a1)及び (a2)の塗
工性 ゲル状分散体 (a1)及び (a2)を200μmのドクター
ブレードでガラス板上に塗工し、空気巡回式オーブン
中、150℃で5分間乾燥して、得られたフィルムを目
視観察により評価した。塗膜表面にひび割れや亀裂など
がなく、厚さが均一なものを○、塗膜表面に僅かにひび
割れや亀裂などがあるものを△、塗膜表面にひび割れや
亀裂などがあり、厚さにばらつきのあるものを×で示し
た。
【0081】(6)塗膜の接着性 上記で作製された正電極及び負電極を半径0.5mmの
半円状の溝が掘られたステンレス製の平板上に置き、そ
の上から端部が半径0.3mmの半円状に丸められたス
テンレス製の平板を、その端部が平板の溝にはまり込む
ように押し当てて変形させた。次いで、金属箔を取り出
し、曲げ変形させられた部分の再下層の塗膜の接着状態
を走査型顕微鏡により観察して、剥離せずに接着してい
るものを○、僅かに剥離が認められるものを△、かなり
の剥離が認められるものを×で示した。
【0082】(実施例2)6−ナイロン(T850、東
洋紡績社製)30重量部の代わりに、6−ナイロン(ユ
ニチカ社製A1050、98%硫酸中、20℃での還元
粘度6.2dL/g)65重量部を用いたこと以外は、
実施例1と同様にしてポリエステルアミド系オリゴマー
(II)272重量部を得た。得られたポリエステルアミ
ド系オリゴマー(II)の粉砕品100重量部、及び、
4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート10重量部
を、二軸押出機(ベルストルフ社製、L/D=40)に
供給して220℃で混練(滞留時間220秒)し、得ら
れたポリマーを粉砕して結着剤ポリマーを得た。この結
着剤ポリマーを使用して、結着剤を調製する際に溶解温
度を180℃としたこと以外は、実施例1と同様にして
ゲル状分散体(b)を得た。
【0083】(実施例3)結着剤ポリマーを調製する際
の溶解温度を160℃、冷却速度を7℃/時としたこと
以外は、実施例1と同様にしてゲル状分散体を得た。
【0084】(実施例4)実施例2のポリエステルアミ
ド系オリゴマー100重量部に対して4,4'-ジフェニ
ルメタンジイソシアネート30重量部を添加したこと以
外は、実施例2と同様にして結着剤ポリマーを得た後、
結着剤を調製する際の溶解温度及び冷却速度を実施例3
と同様の条件にしてゲル状分散体を得た。
【0085】(実施例5)実施例1のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(I)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート30重量部を添加した
こと以外は、実施例2と同様にして結着剤ポリマーを得
た後、結着剤を調製する際の溶解温度及び冷却速度を実
施例3と同様の条件にしてゲル状分散体を得た。
【0086】(比較例1)実施例1のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(I)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート55重量部を添加した
こと以外は、実施例1と同様にして、結着剤ポリマーの
押出しを試みたが押出機中でゲル化を起こし、押出しが
不可能であった。
【0087】(比較例2)実施例1のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(I)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート2重量部を添加したこ
と以外は、実施例1と同様にしてゲル状分散体を得た。
【0088】(比較例3)実施例2のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(II)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート2重量部を添加したこ
と以外は、実施例1と同様にして結着剤ポリマーを得た
後、結着剤を調製する際の溶解温度及び冷却速度を実施
例1と同様の条件にしてゲル状分散体を得た。
【0089】(比較例4)結着剤を調製する際の溶解温
度を170℃とし、自然放冷により冷却したこと以外は
実施例1と同様にしてゲル状分散体を得た。尚、自然放
冷による降温速度は一定せず、100℃までは13〜1
0℃/時であり、100〜50℃までは8〜6℃/時で
あった。
【0090】(比較例5)結着剤を調製する際の冷却速
度を7℃/時としたこと以外は、実施例1と同様にして
ゲル状分散体を得た。
【0091】(比較例6)実施例1のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(I)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート25重量部を添加した
こと以外は、実施例1と同様にして結着剤ポリマーを得
た後、結着剤を調製する際の溶解温度を130℃、冷却
速度を1℃/時としたこと以外は、実施例1と同様にし
てゲル状分散体を得た。
【0092】(比較例7)実施例2のポリエステルアミ
ド系オリゴマー(II)100重量部に対して4,4'-ジ
フェニルメタンジイソシアネート30重量部を添加した
こと以外は、実施例1と同様にして結着剤ポリマーを得
た後、結着剤を調製する際の溶解温度を200℃、冷却
速度を12℃/時としたこと以外は、実施例1と同様に
してゲル状分散体を得た。
【0093】上記実施例2〜5及び比較例1〜7で得ら
れたポリエステルアミド系オリゴマー、ゲル状分散体に
ついて、実施例1と同様の項目(1)〜(6)の評価を
行い、その結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【発明の効果】本発明の非水電解質二次電池用結着剤の
製造方法は、上述の構成であり、得られる結着剤は、活
物質を混合したときに沈降が起こらず、電極塗膜のひび
割れがなく、金属箔との優れた接着力を有し長時間でも
溶液の粘度変化がなく、電池の製造時の塗工性にも悪影
響を及ぼさないので、携帯型電子機器等の移動用電源と
して好適に使用することができる。また、高容量で充放
電特性に優れ、長期の繰り返し使用においても容量維持
率の高い非水電解質二次電池用結着剤を提供する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジカルボン
    酸、下記一般式(2)で表されるジオール、並びに、還
    元粘度(1g/dL98%硫酸溶液、20℃にて測定)
    0.5〜7dL/gであるポリアミドを構成成分とし、
    分子鎖中にカルボキシル基、アミノ基及び水酸基から選
    ばれる官能基を2個以上含有するポリエステルアミド系
    オリゴマー100重量部、並びに、一般式(3)又は
    (4)で表されるジイソシアネート5〜50重量部から
    なる結着剤ポリマーを、N−メチル−2−ピロリドンに
    溶解、分散させる際に、該結着剤ポリマーを140〜1
    80℃で1〜3時間加熱して溶解させた後、撹拌しなが
    ら2〜10℃/時の降温速度で冷却させることを特徴と
    する非水電解質二次電池用結着剤の製造方法。 HOOC−R1 −COOH ・・・(1) HO−R2 −OH ・・・(2) −O−CO−NH−R3 −NH−CO−O−・・・(3) −CO−NH−R3 −NH−CO−O− ・・・(4) (式中、R1 は炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R
    2 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、R3 は炭素数
    2〜15のアルキレン基又はフェニレン基を示す)
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